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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01L |
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管理番号 | 1334232 |
審判番号 | 不服2017-3665 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-13 |
確定日 | 2017-11-28 |
事件の表示 | 特願2012-174382「高分子ゲルを用いたセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年2月20日出願公開、特開2014-32162、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この審判事件に関する特許出願(以下、「本願」という。)は、平成24年8月6日にされたものである。そして、平成28年6月21日付けで拒絶理由が通知され、同年8月24日に特許請求の範囲及び明細書についての補正がされ、同年12月1日付けで拒絶査定がされ、同年12月13日に査定の謄本が送達された。 これに対し、平成29年3月13日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に特許請求の範囲及び明細書についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。 第2 原査定の概要 本願の請求項1及び請求項2に係る発明は、いずれも、下記の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2006-173219号公報 引用文献2:特開2012-130201号公報 第3 本件補正について 本件補正は、以下に述べるとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項に規定する要件を満たすものである。 1 本件補正の目的について 本件補正は、請求項1に記載された「誘電性高分子材料からなるゲルシート」を「誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシート」に変更することにより、「ゲルシート」の材質を限定するものである。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。 2 新規事項の追加について 本願の願書に最初に添付した明細書には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、PVC(ポリ塩化ビニル))ゲル等の高分子ゲルを圧力あるいは変位等の検知に利用する高分子ゲルを用いたセンサに関する。」 「【0006】 …(略)… また、前記誘電性高分子材料からなるゲルシートが、ポリ塩化ビニルを基材とし、可塑剤としてアジピン酸ジブチルを使用して作製したものは、応答特性が良好で、荷重や変位の測定が容易になるという利点がある。」 「【0010】 (センサの構成) …(略)… センサ素子10はポリ塩化ビニル(PVC)からなる第1のゲルシート12a及び第2のゲルシート12bと、第1のゲルシート12aと第2のゲルシート12bの対向面間に挟まれて配置されるメッシュ体14とからなる。第1のゲルシート12aと第2のゲルシート12bの内層には電極層13a、13bが設けられている。」 「【0012】 ゲルシートは、ポリ塩化ビニル(PVC)を、アジピン酸ジブチル(DBA)を可塑剤として加えた溶剤テトラヒドロフラン(THF)に完全に溶解した後、この溶液をシャーレにキャストし、容器を数日間水平に保持してTHFを完全に蒸発させることによって得られる。」 このように、本願の願書に最初に添付した明細書には、「誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシート」を用いることが記載されている。 したがって、本件補正が新規事項を追加するものでないことは、明らかである。 3 独立特許要件について 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」といい、これらを総称して「本願各発明」という。)は、後記のとおり、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 したがって、本件補正は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願各発明 本願発明1及び本願発明2は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 高分子ゲルを利用したセンサ素子と、該センサ素子の厚さ方向に作用する荷重を電気信号として検知する検知部とを備え、 前記センサ素子は、誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートと、該ゲルシートを厚さ方向に挟む、電極層と、導電体からなるメッシュ体とを配置した構成を基本構造とし、前記電極層を内蔵したゲルシートと、前記メッシュ体とが交互に積層された積層構造体に形成され、 前記メッシュ体と電極層が、検知用の電極として前記検知部に電気的に接続されていることを特徴とする高分子ゲルを用いたセンサ。 【請求項2】 前記誘電性高分子材料からなるゲルシートが、アジピン酸ジブチルを含むことを特徴とする請求項1記載の高分子ゲルを用いたセンサ。」 なお、本願発明2は、本願発明1の構成を全て含む。 第5 引用文献に記載された発明 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。 「【0010】 図1は、本発明の実施例1を示す高分子アクチュエータの斜視図である。図2は、図1の高分子アクチュエータを断面と平面からみた図である。図1および図2において、高分子アクチュエータ1は、電圧印加用電極31と起電力検出用電極32とを備えた高分子膜2からなっている。 【0011】 本発明が特許文献1と異なる部分は、起電力検出用電極32を、電圧印加用電極31と共にひとつの高分子膜2に備えた部分である。 【0012】 つぎに、本実施例の動作を図3を用いて説明する。 高分子膜2に備えた電圧印加用電極31に、電圧印加装置41の電圧を印加すると、高分子膜2にたわみ変形力5が生じ、アクチュエータとして機能することができる。一方、高分子膜2に外力6を与えると、高分子膜2の表面に起電力を生じる。この起電力を図4に示すように起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42で検出することにより、センサとして機能することができる。すなわち、ひとつの高分子膜2からなる高分子アクチュエータ1は、アクチュエータとしての機能とセンサとしての機能を併せ持つことができる。また、電圧印加によるアクチュエータ機能と起電力検出によるセンサ機能は、同時に機能することができる。」 「【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 」 (2)引用文献1に記載された発明の認定 引用文献1の図1ないし図4を参照すると、高分子アクチュエータ1は、高分子膜2と、高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の電圧印加用電極31と、高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の起電力検出用電極32と、一対の電圧印加用電極31に接続した電圧印加装置41と、一対の起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42とを備えることが見て取れる。 そうすると、引用文献1の前記(1)の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「高分子膜2と、高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の電圧印加用電極31と、高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の起電力検出用電極32と、一対の電圧印加用電極31に接続した電圧印加装置41と、一対の起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42とを備える高分子アクチュエータ1であって、 一対の電圧印加用電極31に、電圧印加装置41の電圧を印加すると、高分子膜2にたわみ変形力5が生じ、アクチュエータとして機能することができ、高分子膜2に外力6を与えると、高分子膜2の表面に起電力を生じ、この起電力を一対の起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42で検出することにより、センサとして機能することができる高分子アクチュエータ1。」 2 引用文献2 引用文献2には、以下の記載がある。下線は、当審が付したものである。 「【0011】 (収縮型ゲルアクチュエータ) 図1は、本発明に係る収縮型ゲルアクチュエータの制御方法を適用する収縮型ゲルアクチュエータの構成とその作用を示す。 本実施形態の収縮型ゲルアクチュエータ10は、箔状に形成した電極12の一方の面と他方の面にゲル13a、13bを被着したゲル体11を、メッシュ状に形成したメッシュ電極14を層間に介在させて、厚さ方向に複数段に積み重ねて形成されている。図示例の収縮型ゲルアクチュエータ10は、中央部に連通空間を設けるように電極12等を円形リング状としているが、ゲル本体11等は円形等の任意の形状に形成できる。 【0012】 図1(a)は、電極12とメッシュ電極14との間に電圧を印加していない状態、図1(b)は電極を印加した状態である。図のように、電極12を陰極、メッシュ電極14を陽極として電圧を印加すると、収縮型ゲルアクチュエータ10は厚さ方向に収縮し(図1(b))、電圧の印加を解除すると、元の厚さに復帰する(図1(a))。この収縮型ゲルアクチュエータ10の収縮作用は、電圧を印加すると、メッシュ電極14のメッシュの隙間にゲルが引き込まれ(入り込む)ゲルが引き込まれることによって厚さが薄くなる(圧縮される)ことによって生じる。 【0013】 電場を作用させた際にこのような作用をなすゲルとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン6、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等の誘電性高分子材料が知られている。 【0014】 本実施形態においては、ゲル13a、13bとして、可塑剤としてアジピン酸ジブチル(DBA)を加えたPVCを使用した。ゲルの膜厚は0.6?1.0mmである。 また、電極12には、厚さ0.01mmのステンレス箔を使用し、メッシュ電極14には、線径0.2mm、メッシュ孔1.1×1.1mm、厚さ0.4mmのステンレスメッシュを使用した。 収縮型ゲルアクチュエータ10の厚さ方向の変位量は、ゲル体11の積層数を多くすることによって大きくなる。下記の実験で使用した収縮型ゲルアクチュエータ10はゲル体11を8層としたものである。」 「【図1】 」 以上の記載によれば、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 「箔状に形成した電極12の一方の面と他方の面にゲル13a、13bを被着したゲル体11を、メッシュ状に形成したメッシュ電極14を層間に介在させて、厚さ方向に複数段に積み重ねて形成されている収縮型ゲルアクチュエータ10であって、 電極12を陰極、メッシュ電極14を陽極として電圧を印加すると、厚さ方向に収縮し、電圧の印加を解除すると、元の厚さに復帰し、その収縮作用は、電圧を印加すると、メッシュ電極14のメッシュの隙間にゲルが引き込まれる(入り込む)ことによって厚さが薄くなる(圧縮される)ことによって生じるものであり、 ゲル13a、13bは、可塑剤としてアジピン酸ジブチル(DBA)を加えたポリ塩化ビニル(PVC)である収縮型ゲルアクチュエータ10。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明1の「高分子アクチュエータ1」は、「高分子膜2に外力6を与えると、高分子膜2の表面に起電力を生じ、この起電力を起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42で検出することにより、センサとして機能することができる」から、本願発明1の「高分子ゲルを用いたセンサ」と、「高分子材料を用いたセンサ」である点で共通する。 イ 引用発明1の「高分子膜2」と本願発明1の「誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシート」とは、「高分子材料のシート」である点で共通する。 ウ 前記ア及びイを踏まえると、引用発明1の「高分子膜2」及び「高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の起電力検出用電極32」と、本願発明1の「高分子ゲルを利用したセンサ素子」であって、「誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートと、該ゲルシートを厚さ方向に挟む、電極層と、導電体からなるメッシュ体とを配置した構成を基本構造と」する「センサ素子」とは、「高分子材料を利用したセンサ素子」であって、「高分子材料のシートと、該シートを厚さ方向に挟む一対の電極を配置した構成」を有する「センサ素子」である点で共通する。 エ 前記ア及びウを踏まえると、引用発明1の「外力6」と本願発明1の「該センサ素子の厚さ方向に作用する荷重」とは、「センサ素子に作用する外力」である点で共通する。 オ 前記アないしエを踏まえると、引用発明1が「高分子膜2を厚さ方向に挟む一対の起電力検出用電極32」及び「一対の起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42」を備えることと、本願発明1が「荷重を電気信号として検知する検知部」を備え、「メッシュ体と電極層が、検知用の電極として前記検知部に電気的に接続されていること」とは、「外力を電気信号として検知する検知部」を備え、「高分子材料のシートを厚さ方向に挟む一対の電極が、検知用の電極として前記検知部に電気的に接続されている」点で共通する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「高分子材料を利用したセンサ素子と、該センサ素子に作用する外力を電気信号として検知する検知部とを備え、 前記センサ素子は、高分子材料のシートと、該シートを厚さ方向に挟む一対の電極を配置した構成を有し、 前記一対の電極が、検知用の電極として前記検知部に電気的に接続されている高分子材料を用いたセンサ。」 イ 相違点 (ア)相違点1 本願発明1では、「高分子材料のシート」が「誘電性高分子材料としてポリ塩化ビニルを基材とするゲルシート」であり、その結果、「高分子材料を利用したセンサ素子」及び「高分子材料を用いたセンサ」がそれぞれ「高分子ゲルを利用したセンサ素子」及び「高分子ゲルを用いたセンサ」であるのに対し、引用発明1では、「高分子材料のシート」が「高分子膜2」であって、材質が特定されず、ゲルであるかも不明な点。 (イ)相違点2 「センサ素子に作用する外力」が、本願発明1では「センサ素子の厚さ方向に作用する荷重」であるのに対し、引用発明1では「外力6」である点。 (ウ)相違点3 「一対の電極」が、本願発明1では「電極層」と「導電体からなるメッシュ体」とからなるのに対し、引用発明1では「一対の起電力検出用電極32」であって、その一方が「メッシュ体」とされていない点。 (エ)相違点4 本願発明1では、「センサ素子」が「高分子材料のシートと、該シートを厚さ方向に挟む一対の電極を配置した構成を有」するだけでなく、その「構造」を「基本構造とし、」「電極層を内蔵したゲルシートと、」「メッシュ体とが交互に積層された積層構造体に形成」されているのに対し、引用発明1では、そのようにされていない点。 (3)相違点についての判断 まず、相違点1について検討する。 引用発明1は、「高分子膜2に外力6を与えると、高分子膜2の表面に起電力を生じ、この起電力を一対の起電力検出用電極32に接続した起電力検出装置42で検出することにより、センサとして機能することができる」ものである。したがって、引用発明1の高分子膜2は、外力を与えたときにその表面に起電力が生じるものでなければならないし、その起電力を検出することでセンサとして機能するものでなければならない。 これに対し、引用発明2は、アクチュエータに係るものであり、そもそもセンサとして機能するものではないから、引用発明1の「センサとして機能することができる」「高分子膜2」についての示唆をするものではない。 また、引用発明2は、「電極12を陰極、メッシュ電極14を陽極として電圧を印加すると、」「メッシュ電極14のメッシュの隙間にゲルが引き込まれる(入り込む)ことによって厚さが薄くなる(圧縮される)」現象を利用するものであり、この「ゲル」は「可塑剤としてアジピン酸ジブチル(DBA)を加えたポリ塩化ビニル(PVC)」ではあるものの、これに外力を与えたときにその表面に生じる起電力を利用するものではない。そもそも、引用文献2には、ポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートに外力を与えるとその表面に起電力が生じることは記載されていないし、このことが当業者にとって自明であると認めることもできない。 そうすると、当業者には、引用発明1の高分子膜2として、引用発明2の「可塑剤としてアジピン酸ジブチル(DBA)を加えたポリ塩化ビニル(PVC)である」「ゲル13a、13b」をシート状にしたものを採用する動機付けがあるということはできないから、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 したがって、相違点2ないし相違点4について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 2 本願発明2について 本願発明2は、本願発明1の構成を全て含むから、少なくとも本願発明1と引用発明1との相違点1ないし相違点4(前記1(2)イ(ア)ないし(エ))で引用発明1と相違する。そして、前記1(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできないから、相違点1に係る本願発明2の構成も同様である。 したがって、本願発明2は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第7 原査定について 原査定は、本願発明1の作用が既知の圧電効果による作用とは全く別異であるとの請求人(出願人)の主張に対し、本願発明1の作用は引用文献1に及び引用文献2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものであると判断した。 しかし、引用文献2には、ポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートに外力を与えるとその表面に起電力が生じることは記載されていないし、このことが当業者にとって自明であると認めることもできない。 この点に関し、引用文献1の段落0005には、「高分子膜に加圧や延伸などを施すと、その高分子膜の表面に電位が発現し、触覚センサとして利用できることが知られている。」という記載がある。しかし、この記載は、高分子材料の膜に関する一般論と解されるから、ポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートという特定高分子材料(ポリ塩化ビニル)及び特定構造(ゲル)の膜にも当てはまると直ちに認めることはできない。仮に、高分子膜に加圧や延伸などを施せば必ずその表面に電位が発現するものだとしても、その電位は、高分子材料の種類や膜の構造(固体かゲルかなど)によって異なることが当然に予想され、したがって、ポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートに加圧や延伸などを施せば、外力の検出に利用できるほど大きい電位が発現することが当業者にとって自明であるということはできない。そうすると、引用文献1の前記記載は、引用発明1の高分子膜2として、ポリ塩化ビニルを基材とするゲルシートを採用することを示唆するものではない。 したがって、原査定の理由は、維持することができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願は拒絶をするべきものであるということはできない。 また、他に、本願は拒絶をするべきものであるとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-11-14 |
出願番号 | 特願2012-174382(P2012-174382) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大森 努、山下 雅人、濱本 禎広、公文代 康祐 |
特許庁審判長 |
中塚 直樹 |
特許庁審判官 |
▲うし▼田 真悟 小林 紀史 |
発明の名称 | 高分子ゲルを用いたセンサ |