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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1334703
審判番号 不服2017-13135  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-05 
確定日 2017-12-05 
事件の表示 特願2016-211361「写真撮影遊戯機及びその制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日出願公開、特開2017- 73787、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成25年12月9日に出願した特願2013-254052号の一部を平成28年3月29日に新たな特許出願とした特願2016-64843号の一部を平成28年10月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成29年 3月 3日:手続補正
平成29年 3月15日:拒絶理由の通知
平成29年 5月22日:手続補正
平成29年 5月31日:拒絶査定
平成29年 6月 6日:拒絶査定の謄本の送達
平成29年 9月 5日:拒絶査定不服審判の請求
平成29年 9月 5日:手続補正

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開2009-258488号公報
引用文献2:特開2013-76818号公報
引用文献3:特開2012-242645号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、平成29年3月3日付け、平成29年5月22日付け、平成29年9月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
カメラと、
前記カメラで被写体を撮影し、複数の写真画像を生成する生成手段と、
利用者による写真画像に対する編集操作を受け付ける編集画面に、前記複数の写真画像から選択された前記写真画像を表示し、文字、図形、又は文字と図形との組み合わせからなる複数のスタンプ画像を個別編集画像表示領域に表示し、前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像を前記編集画面に前記複数のスタンプ画像とともに表示する表示手段と、
前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし、前記個別編集画像表示領域に表示されたスタンプ画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、利用者の操作に応じた位置に、前記個別編集画像表示領域で選択された前記スタンプ画像を重ねて表示し、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、当該見本画像における前記スタンプ画像を、当該見本画像における位置、大きさ、及び角度と同じになるように、前記写真画像に重ねて表示する編集手段と、
を備える写真撮影遊戯機。
【請求項2】
請求項1に記載の写真撮影遊戯機であって、
前記表示手段は、利用者による前記見本画像の切り替え操作を受け付けた場合、前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像の表示を維持しながら、表示されている前記見本画像を、当該表示されている見本画像とは異なる見本画像であって前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像に切り替えて表示する、写真撮影遊戯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の写真撮影遊戯機であって、
前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像は、装飾の雰囲気やテイストで分類された画像であって、利用者に直接的に関係する要素が少ない画像である、写真撮影遊戯機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の写真撮影遊戯機であって、
前記編集手段は、前記スタンプ画像を前記写真画像上に配置するスタンプ入力と、前記写真画像上を描画するペン入力を前記編集入力として受け付け、
前記表示手段は、前記スタンプ入力を受け付ける場合に前記見本画像を表示し、前記ペン入力を受け付ける場合に前記見本画像を表示しない、写真撮影遊戯機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の写真撮影遊戯機であって、
前記編集手段は、利用者の操作により、前記写真画像に施す前記見本編集画像と同じ内容の編集画像の移動を受け付ける、写真撮影遊戯機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の写真撮影遊戯機であって、
前記生成手段は、前記カメラで、前記被写体の上半身を撮影する上半身撮影と、前記被写体の全身を撮影する全身撮影とを行い、
前記表示手段は、選択された前記写真画像が前記上半身撮影によって生成された場合には、前記上半身撮影に応じたサイズの前記見本画像を表示し、選択された前記写真画像が前記全身撮影によって生成された場合には、前記全身撮影に応じたサイズの前記見本画像を表示する、写真撮影遊戯機。
【請求項7】
カメラを備える写真撮影遊戯機のコンピュータに、
前記カメラで被写体を撮影し、複数の写真画像を生成する生成ステップと、
利用者による写真画像に対する編集操作を受け付ける編集画面に、前記複数の写真画像から選択された前記写真画像を表示し、文字、図形、又は文字と図形との組み合わせからなる複数のスタンプ画像を個別編集画像表示領域に表示し、前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像を前記編集画面に前記複数のスタンプ画像とともに表示する表示ステップと、
前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし、前記個別編集画像表示領域に表示されたスタンプ画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、利用者の操作に応じた位置に、前記個別編集画像表示領域で選択された前記スタンプ画像を重ねて表示し、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、当該見本画像における前記スタンプ画像を、当該見本画像における位置、大きさ、及び角度と同じになるように、前記写真画像に重ねて表示する編集ステップと、を実行させる制御プログラム。」

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「写真シール作成装置、写真シール作成方法、及びプログラム」(発明の名称)に関し、次に掲げる事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、写真シール作成装置、写真シール作成方法、およびプログラムに関し、特に、完成度の高い写真シールを簡単な操作で作成することができるようにすることにより、利用者の満足度を向上させることができるようにする写真シール作成装置、写真シール作成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者(被写体)を撮影し、得られた被写体の画像を予め用意されたフレーム画像、スタンプ画像、または手書きの線画像の編集入力画像と合成する編集処理を行い、シール紙に印刷し、写真シールとして利用者に提供する写真シール機が知られている。
【0003】
写真シール機では、被写体を撮影し、撮影で得た画像に編集(落書き)を行い、編集が施された編集画像または撮影画像をシール紙に印刷するという流れで1ゲームが終了する。また、1ゲーム内の、撮影を行う処理時間、編集を行う処理時間、印刷を行う処理時間のそれぞれには、制限時間が設けられているのが一般的である。
【0004】
写真シール機は遊戯施設等に設置され、女子中学生や女子高生が複数人の友達同時で利用することが多く、利用者は、出力されたシール紙を見ながら、望みどおりの編集(=落書き)であるかの仕上がりを確認して、色々な画像サイズが混在しているシール紙を小分けに切り、分け合ったりしている。」

「【0045】
写真シール作成装置1は、このような特徴を有するが、その筐体10は、図1に示されるように、事前接客ユニット11、撮影ユニット12、編集ユニット13、および天井ストロボユニット14の4つのユニットに大きく分けられる。」

「【0047】
撮影ユニット12は、被写体(利用者等)を撮影する機能を有しており、後述する内部の空間(撮影空間)において被写体の撮影が行われる。この撮影ユニット12は、大きく、前方ユニット12Aと後方ユニット12Bの2つに分けられる。」

「【0073】
図6は、前方ユニット12Aの構成例を示す図である。図6に示される正面12A-1は、撮影空間32内に面する側面であり、撮影作業を行う利用者にとって前方に位置する面である。つまり、利用者は、撮影空間32において、基本的にこの正面12A-1に向かって(前方ユニット12A側を向いて)撮影作業を行う。
【0074】
この正面12A-1には、撮影空間32内の被写体を撮影するカメラ51、例えば、カメラ51により光電変換されてリアルタイムに(即時)取得されている(撮り込まれている)取得画像や撮影結果である撮影画像、撮影作業に関する案内、および、背景画像の選択等を行うGUI(Graphical User Interface)画像の表示等、撮影作業に関する表示を行うとともに、画面上に重畳されたタッチパネルにより利用者の指示を受け付けるタッチパネルモニタ52、撮影空間32内を照明したり、カメラ51による撮影タイミングに合わせてフラッシュ光を発光したりする照明装置53-1乃至照明装置53-8、撮影作業中の利用者の手荷物等を置くための荷物置場54-1および荷物置場54-2、並びに、撮影作業に関する案内や効果音等の音声が出力されるスピーカ55-1およびスピーカ55-2が設けられている。」

「【0120】
これらの中で、編集処理部203は、写真シール作成ゲームの編集作業の工程において、利用者による、撮影作業の工程において得られた撮影画像に対する編集(落書き)に関する処理を行う。例えば、編集処理部203は、GUI画像を表示したり、利用者による編集入力を受け付けたり、その編集入力の画像を撮影画像に合成したりする。つまり、編集処理部203は、利用者に対して、撮影画像に対する編集入力機能を提供する。この編集入力機能として、どのような機能が提供されるようにしてもよいが、例えば、フリーハンドの線等で撮影画像に落書きを行うペン画像入力機能や、所定の絵柄の画像を撮影画像の任意の位置に合成するスタンプ画像入力機能等がある。
【0121】
スタンプ画像入力機能とは、編集入力機能の1つであり、所定の絵柄の画像(スタンプ画像)を、所謂印鑑を押すように、撮影画像上の利用者が指示した位置にスタンプ画像として貼り付ける(合成する)編集入力機能のことである。例えば、利用者が、画面上に表示された予め用意された複数の絵柄の中から所望の絵柄のスタンプ画像を選択し、同じく表示された撮影画像上で場所を指定すると、その指定位置に指定された絵柄が合成される。
【0122】
つまり、スタンプ画像入力機能を用いることにより、利用者は、絵柄を容易に撮影画像に合成させることができる。例えば、利用者は、このスタンプ画像入力機能を用いることにより、同じ絵柄を複数箇所に合成させるような落書き作業を、フリーハンドで線や絵柄を描くペン画像入力機能と比べて容易に行うことができる。」

「【0137】
サンプル画像には、モデルによって予め撮影され、モデルが所定のポーズを取っている撮影画像に落書き編集が施された画像(以下、モデルサンプル画像と称する)や、モデルを使用せずに、落書き編集の内容のみが提示される画像がある。以下では、理解を容易にするために、モデルサンプル画像を表示して、表示したモデルサンプル画像とそのまま同じ写真シールを簡単に作成する例について説明する。
【0138】
図12は、サンプル貼り付け機能を有する写真シール作成ゲームの編集作業の工程において、編集用モニタ141に表示される編集画面250を示している。
【0139】
編集画面250の中央部には、画面上側から、時計表示部251、撮影画像表示部252、BGM制御部253、および編集ツール選択部254が配置されている。以下、時計表示部251、撮影画像表示部252、BGM制御部253、および編集ツール選択部254を総称して、共通利用表示部とも記述する。
【0140】
また、編集画面250の中央部に配置された共通利用表示部の両側には、編集済みモデルサンプル画像表示部261、編集画像表示部262、編集制御操作部263、記念日スタンプ表示部264、およびコンテンツパレット265がそれぞれ配置されている。具体的には、共通利用表示部の左側には、編集済みモデルサンプル画像表示部261-1、編集画像表示部262-1、編集制御操作部263-1、記念日スタンプ表示部264-1、およびコンテンツパレット265-1(以下、左側用編集表示部とも称する)が配置され、共通利用表示部の右側には、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2、編集画像表示部262-2、編集制御操作部263-2、記念日スタンプ表示部264-2、およびコンテンツパレット265-2(以下、右側用編集表示部とも称する)が配置されている。」

「【0143】
編集ツール選択部254は、落書き編集に用いられる各種の落書き編集ツールを選択するためのGUIボタンを表示する。GUIボタンとしては、「スペシャル」、「デコり」、「ペン」、「スタンプ」、「てがき」、および「コロコロ」が用意されており、例えば、利用者がタッチペン63-1を用い、編集ツール選択部254の「スペシャル」ボタンを選択すると、コンテンツパレット265には、作成スタンプ用のGUIが表示される。また、例えば、利用者がタッチペン63-2を用いて編集ツール選択部254の「ペン」ボタンを選択すると、コンテンツパレット265には、ペンによる落書き編集用のGUIが表示される。」

「【0147】
編集済みモデルサンプル画像表示部261-2には、撮影処理時に利用者が選択した合成用画像と対応付けて記憶部102に記憶されている編集済みモデルサンプル画像が表示される。
【0148】
編集済みモデルサンプル画像表示部261-2はスタンプ機能を有しており、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2に表示されている編集済みモデルサンプル画像がタッチペン63-2によって押下(選択)されると、編集済みモデルサンプル画像で使用されている編集入力機能の編集用合成画像が、そのまま編集画像表示部262-2に表示されている撮影画像に貼り付けられる。編集済みモデルサンプル画像表示部261-2に表示されている編集済みモデルサンプル画像のいずれの位置をタッチペン63-2で押下しても、編集済みモデルサンプル画像で使用されている編集入力機能の編集用合成画像が撮影画像に貼り付けられる。編集済みモデルサンプル画像を押下した時の編集用合成画像貼り付け処理(編集済みモデルサンプル貼り付け処理)の詳細については、図14を参照して後述する。編集済みモデルサンプル画像表示部261-2の左横には、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2のスタンプ機能を説明する「見本を押すとスタンプになるよ 押してみてね!!」のメッセージが表示されている。
【0149】
編集画像表示部262-2は、編集対象の撮影画像(のサムネイル画像)を表示する。利用者は、撮影画像表示部252に表示されている6枚の撮影画像(のサムネイル画像)のいずれかをタッチペン63-2で押下すると、押下された撮影画像が編集画像表示部262-2に表示される。編集画像表示部262-2に表示された撮影画像は、撮影画像表示部252内で「落書き中」の文字が表示される。なお、編集画像表示部262-2は、撮影画像に落書き編集がなされた後は、撮影画像と落書き編集に対応した編集用合成画像を合成した編集画像を表示する。」

「【0153】
次に、図14を参照して、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2の編集済みモデルサンプル画像が押下された場合の、編集処理部203による編集済みモデルサンプル貼り付け処理についてさらに説明する。
【0154】
編集済みモデルサンプル画像表示部261-2に表示される、見本となる編集済みモデルサンプル画像271は、モデルの背景に表示される背景画像271a、モデルを映した被写体画像271b、および、モデルの前景に表示される前景画像271cに分解することができる。編集済みモデルサンプル画像271の例では、モデルの背景に表示される背景画像271aはヴェール画像となっているが、その他の背景画像の種類にはオーラ画像などがある。前景画像271cには、ペン画像入力機能で入力されたペン画像とスタンプ画像入力機能で入力されたスタンプ画像が含まれている。
【0155】
編集作業開始時(撮影処理終了直後)においては、編集画像表示部262-2に、撮影処理時に選択した合成用画像と被写体としての利用者の画像を合成した撮影画像272が表示されるが、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2の編集済みモデルサンプル画像が利用者によって押下されると、編集処理部203は、編集済みモデルサンプル画像表示部261-2に表示されている編集済みモデルサンプル画像271で使用されている編集入力機能の編集用合成画像を撮影画像272に一括で貼り付ける。
【0156】
即ち、編集済みモデルサンプル画像が押下された場合、編集処理部203は、図14に示されるように、背景画像271aとしてのヴェール画像入力機能を用いた編集用合成画像であるヴェール画像と、前景画像271cとしてのペン画像入力機能を用いた編集用合成画像であるペン画像、および、スタンプ画像入力機能を用いた編集用合成画像であるスタンプ画像を、撮影画像272に貼り付け、編集画像273を作成する。」

「【0171】
次に、図16と図17のフローチャートを参照して、図11のステップS5において実行される撮影処理の詳細な流れを説明する。なお、撮影処理では、上述したように、最終的に6枚の撮影画像を編集処理対象として決定するが、撮影は3枚単位で行われる。」

「【0192】
1枚のボーナス撮影による撮影画像生成後、ステップS55において、撮影処理部202は、撮影時間として設定されている所定時間(撮影所定時間)が経過したかを判定する。ステップS55で、撮影所定時間が経過していないと判定された場合、処理はステップS49に戻り、上述したステップS49乃至S55の処理が繰り返される。これにより、編集処理で使用する撮影画像は6枚であるが、撮影時間が残っている間は、6枚以上の撮影画像を作成することができ、撮影画像の選択肢を増やすことができるので、利用者がより満足する撮影画像を作成することができる。
【0193】
ステップS55で、撮影所定時間が経過したと判定された場合、処理はステップS56に進み、撮影処理部202は、これまでの処理で得られた撮影画像を表示し、編集処理で編集の対象とする撮影画像である編集対象画像を利用者に選択させる。なお、上述したステップS48において、撮影可能な時間がないと判定され、撮影画像が6枚しか作成されなかった場合には、ステップS56の処理はスキップすることができる。
【0194】
ステップS57において、撮影処理部202は、ステップS56で選択された6枚の撮影画像を編集対象画像として保存して、撮影処理を終了する。」

「【0205】
ステップS88において、編集処理部203は、編集済みモデルサンプル画像表示部261に表示された編集済みモデルサンプル画像が押下されたかを判定する。ステップS88で、編集済みモデルサンプル画像が押下されたと判定された場合、処理はステップS89に進み、編集処理部203は、図14を参照して説明したように、押下された編集済みモデルサンプル画像で使用されている編集入力機能の編集用合成画像を、編集画像表示部262の撮影画像に反映する。」









2 引用文献1に記載された発明
上記1より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。各構成の最後に、対応する記載の段落番号、図番を括弧をつけて付した。

(引用発明)
「カメラ(段落【0045】、【0047】、【0073】、【0074】)と、
前記カメラで被写体を撮影し、複数の写真画像を生成する生成手段(段落【0171】、【0192】?【0194】)と、
利用者による写真画像に対する編集操作を受け付ける編集画面に、前記複数の写真画像から選択された前記写真画像を表示し、複数のスタンプ画像を個別編集画像表示領域に表示し、見本画像を前記編集画面に前記複数のスタンプ画像とともに表示する表示手段(段落【0138】、【0140】、【0143】、【0147】?【0149】、【0153】、【0154】、図12、図14)と、
前記個別編集画像表示領域に表示されたスタンプ画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、利用者の操作に応じた位置に、前記個別編集画像表示領域で選択された前記スタンプ画像を重ねて表示し、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択を受け付けた場合、表示された前記写真画像に対し、当該見本画像における前記スタンプ画像を、当該見本画像と同じになるように、前記写真画像に重ねて表示する編集手段(段落【0120】?【0122】、【0156】、【0205】)と、
を備える写真撮影遊戯機(段落【0001】?【0004】)。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、相違点は次のとおりである。

(相違点1)
「スタンプ画像」が、本願発明においては「文字、図形、又は文字と図形との組み合わせからなる」スタンプ画像であるのに対し、引用発明においては、「文字、図形、又は文字と図形との組み合わせからなる」と特定されていない点

(相違点2)
「見本画像」が、本願発明においては、「前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む」見本画像であるのに対し、引用発明においては、「前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む」と特定されていない点

(相違点3)
本願発明においては、「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし」ているのに対し、引用発明においては、「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし」ていない点

(相違点4)
「当該見本画像における前記スタンプ画像を、当該見本画像と同じになるように、前記写真画像に重ねて表示する」ことが、本願発明においては、「当該見本画像における前記スタンプ画像を、当該見本画像における位置、大きさ、及び角度と同じになるように、前記写真画像に重ねて表示する」のに対し、引用発明においては、「当該見本画像における位置、大きさ、及び角度と同じになるように」と特定されていない点
(下線は相違をわかりやすくするために付与した。)

(2)相違点についての判断
上記相違点3について検討する。

相違点3における本願発明1の「前記見本画像」は、相違点2における本願発明1の「見本画像」であるから、相違点3は、次のように表現できる。

(相違点3)
本願発明においては、「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された、前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし」ているのに対し、引用発明においては、「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された、前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像の選択のいずれかを受け付け可能とし」ていない点

すなわち、本願発明1は、編集画面に、個別編集画像表示領域に表示された複数のスタンプ画像と、複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本画像とを表示し、スタンプ画像の選択と、見本画像の選択とを受け付け可能とするものであるのに対し、引用発明は、個別編集画像表示領域に表示された複数のスタンプ画像と、見本画像とを表示し、スタンプ画像の選択と、見本画像の選択とを受け付け可能とするものであるものの、見本画像に含まれるスタンプ画像と同じスタンプ画像が個別編集画像表示領域に表示されて、選択できるように表示されているものでない点で、本願発明1と相違している。
引用文献1には、見本画像に含まれるスタンプ画像と同じスタンプ画像が個別編集画像表示領域に表示されて、選択できるように表示することは、示唆されておらず、このことが自明のこととも認められない。
査定の理由で引用された引用文献2、3にも、見本画像に含まれるスタンプ画像と同じスタンプ画像が個別編集画像表示領域に表示されて、選択できるように表示することは、開示も示唆もされていない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項から、相違点3に係る「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された、前記個別編集画像表示領域に表示される前記複数のスタンプ画像の少なくとも1つと同じスタンプ画像を含む見本編集画像を含む見本画像の選択のいずれかを受け付け可能と」する構成を容易に想到することはできない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2?6について
本願発明2?6も、本願発明1の「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能と」するという同一の構成を有しているから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1の動作を、「写真撮影遊戯機のコンピュータ」に実行させる制御プログラムとしたものであり、「前記編集画面の前記個別編集画像表示領域に表示された前記複数のスタンプ画像のうち1つのスタンプ画像の選択と、前記編集画面において前記複数のスタンプ画像とともに表示された前記見本画像の選択のいずれかを受け付け可能と」するという本願発明1の相違点1に係る構成と同様の構成を有するものである。
したがって、本願発明7は、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
上記第3?第5のとおり、本願発明1?7は、原査定において引用された引用文献1?3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-20 
出願番号 特願2016-211361(P2016-211361)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 堀 洋介  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 写真撮影遊戯機及びその制御プログラム  
代理人 上羽 秀敏  
代理人 山内 哲文  

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