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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1334727
審判番号 不服2017-2572  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-22 
確定日 2017-11-16 
事件の表示 特願2015-529594「情報処理装置、認証システム、認証方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日国際公開、WO2015/016262〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2014年7月30日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 1月20日 :国内書面の提出
平成28年 1月20日 :出願審査請求書の提出
平成28年 7月28日付け :拒絶理由の通知
平成28年10月 3日 :意見書,手続補正書の提出
平成28年11月14日付け :拒絶査定
平成29年 2月22日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成29年 5月11日 :前置報告

第2 平成29年2月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成29年2月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の内容

平成29年2月22日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成28年10月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至16の記載(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)を,

「 【請求項1】
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する端末装置から,前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は,前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けし,各々の前記第2生体データについての重み付けされた照合の結果を比較することにより,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する,
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は,前記第1生体データに対応する前記第2生体データが複数特定された場合,前記比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記特定された第2生体データの優先度を更に決定する,
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1生体データと共に受信した属性情報を,前記第1生体データに対応する第2生体データに紐付く属性情報として前記属性情報記憶手段に蓄積する蓄積手段を更に有する,
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記属性情報の種別毎に優先度が設定されており,
前記特定手段は,前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる,
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記照合用データ記憶手段は前記属性情報の区分に応じて複数存在し,
前記第1生体データと共に受信した属性情報に基づいて,前記複数の照合用データ記憶手段の中から前記照合時に参照する前記照合用データ記憶手段を選択する選択手段を更に有する,
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
一の前記照合用データ記憶手段に記憶されている前記第2生体データを,当該第2生体データに紐付く属性情報に対応する他の前記照合用データ記憶手段に移動またはコピーする配置手段を更に有する,
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置とサーバとを備え,
前記情報処理装置は,
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する第1取得手段と,
前記第1生体データと前記属性情報とを送信する送信手段と,
を有し,
前記サーバは,
前記第1生体データと前記属性情報とを受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段と,
を有する認証システム。
【請求項9】
コンピュータが,
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する他のコンピュータから,前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信し,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合し,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得し,
前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定し,
特定された第2生体データの人物情報を出力する,
ことを含む認証方法。
【請求項10】
前記コンピュータが,
前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けし,各々の前記第2生体データについての重み付けされた照合の結果を比較することにより,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する,
ことを含む請求項9に記載の認証方法。
【請求項11】
前記コンピュータが,
前記第1生体データに対応する前記第2生体データが複数特定された場合,前記比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記特定された第2生体データの優先度を決定する,
ことを含む請求項9または10に記載の認証方法。
【請求項12】
前記コンピュータが,
前記第1生体データと共に受信した属性情報を,前記第1生体データに対応する第2生体データに紐付く属性情報として前記属性情報記憶手段に蓄積する,
ことを含む請求項9から11のいずれか1項に記載の認証方法。
【請求項13】
前記属性情報の種別毎に優先度が設定されており,
前記コンピュータが,
前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる,
ことを含む請求項9から12のいずれか1項に記載の認証方法。
【請求項14】
前記照合用データ記憶手段は前記属性情報の区分に応じて複数存在し,
前記コンピュータが,
前記第1生体データと共に受信した属性情報に基づいて,前記複数の照合用データ記憶手段の中から前記照合の時に参照する前記照合用データ記憶手段を選択する,
ことを含む請求項9から13のいずれか1項に記載の認証方法。
【請求項15】
前記コンピュータが
一の前記照合用データ記憶手段に記憶されている前記第2生体データを,当該第2生体データに紐付く属性情報に対応する他の前記照合用データ記憶手段に移動またはコピーする,
ことを含む請求項14に記載の認証方法。
【請求項16】
コンピュータを,
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する他のコンピュータから,前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信する受信手段,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段,
前記第1生体データと共に取得された属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段,
として機能させるためのプログラム。」
(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴の変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。

2 目的要件

本件補正は上記「1 補正の内容」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正前の請求項と補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1乃至16はそれぞれ,補正前の請求項1乃至16に対応することは明らかである。

(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1乃至6よりなるものである。

<補正事項1>
補正前の請求項1,8,16の
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する出力手段」との記載を,
補正後の請求項1,8,16の
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段」
との記載に変更し,この変更にあわせて補正前の請求項2,3,5の「前記出力手段」を「前記特定手段」に変更する補正。

<補正事項2>
補正前の請求項2の
「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けすることにより,前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」との記載を,
補正後の請求項2の
「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けし,各々の前記第2生体データについての重み付けされた照合の結果を比較することにより,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」との記載に変更する補正。

<補正事項3>
補正前の請求項5の
「前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」との記載を,
補正後の請求項5の
「前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」との記載に変更する補正。

<補正事項4>
補正前の請求項9の
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する」との記載を,
補正後の請求項9の
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定し,
特定された第2生体データの人物情報を出力する」との記載に変更する補正。

<補正事項5>
補正前の請求項10の
「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けすることにより,前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」との記載を,
補正後の請求項10の
「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けし,各々の前記第2生体データについての重み付けされた照合の結果を比較することにより,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」との記載に変更する補正。

<補正事項6>
補正前の請求項13の
「前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」との記載を,
補正後の請求項13の
「前記第1生体データの前記属性情報及び前記第2生体データの前記属性情報を種別毎に比較し,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」との記載に変更する補正。

(3)補正事項1,4について

補正後の請求項1,8,16の「該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段」との特定事項は,実質的に,「複数の前記第2生体データ」から「少なくとも1つの前記第2生体データを特定」するという機能を新たに追加するとともに,「特定手段」という新たな機能手段を追加するものであって,この特定事項は,補正前の請求項1,8,16に記載された発明特定事項のいずれかを概念的により下位にしたものともいえない。
また,補正後の請求項9における「該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定し」との特定事項は,実質的に,「複数の前記第2生体データ」から「少なくとも1つの前記第2生体データを特定」するという処理を新たな手順として追加するものであって,この特定事項は,補正前の請求項9に記載された発明特定事項のいずれかを概念的により下位にしたものともいえない。
したがって,補正事項1,4は,限定的減縮を目的とするものとは認められない。
また,請求項の削除,誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)のいずれにも該当しない。

(4)補正事項2,5について

補正前の発明特定事項である「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けすることにより,前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」を「前記比較の結果を用いて前記照合の結果を重み付けし,各々の前記第2生体データについての重み付けされた照合の結果を比較することにより,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する」に限定することを目的とするものである。
また,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。
したがって,補正事項2,5は,限定的減縮を目的とするものである。

(5)補正事項3,6について

補正前の発明特定事項である「前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」を「複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する前記第2生体データを少なくとも1つ特定する場合に,前記優先度が相対的に高い前記種別の比較結果を用いる」に限定することを目的とするものである。
また,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。
したがって,補正事項3,6は,限定的減縮を目的とするものである。

(6)小括

したがって,上記補正事項2,3,5,6の目的は限定的減縮であるものの,上記補正事項1,4の目的は請求項の削除,限定的減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しないものである。

以上より,本件補正は,特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除,同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。),同条同項第3号の誤記の訂正,同条同項第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに限られるものではない。

よって,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

3 独立特許要件

以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが,仮に本件補正に含まれる上記補正事項1,4が限定的減縮を目的として補正されたとして,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか),念のため以下で検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は,上記平成29年2月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する端末装置から,前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。」

(2)引用例

(2-1)引用例1に記載されている技術的事項および引用発明

ア 本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成28年7月28日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2013-61875号公報(平成25年4月4日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0011】
第1の実施の形態の認証システムは,カメラ102,読取装置103,コントローラ104,管理サーバ105及び顔画像検索システム106を備える。図1には,複数の読取装置103,複数のコントローラ104及び複数の管理サーバ105が備わるが,各々一つずつ備わってもよい。」

B 「【0024】
顔画像検索システム106は,カメラ102が撮影した顔画像及び管理サーバ105から出力されたカードIDを取得し,顔画像の撮影時刻及びカードIDの取得時刻に基づいて,顔画像とカードIDとを対応付ける。さらに,顔画像検索システム106は,撮影された顔画像と蓄積された顔画像との類似度を計算し,両画像の類否を判定する。画像の類似度は,公知の画像マッチング技術を用いて計算することができる。なお,本発明の実施の形態では,画像が似ている程,大きな値となる類似度を用いる。
【0025】
この判定は,後述するように,読取装置103が取得したカードIDによる絞り込みを併用してもよいし,カードIDによる絞り込みを併用しなくてもよい。さらに,顔画像検索システム106は,該判定結果に基づいて被験者の成りすましの有無を判定し,なりすましの判定結果を端末107に通知する。」

C 「【0037】
図6は,第1の実施の形態の顔画像検索システム106に格納される顔画像データベース310を説明する図である。
【0038】
顔画像データベース310は,被験者の顔画像及び当該画像に関する情報(例えば,入退室履歴)を格納し,時刻311,カードリーダID312,カードID313,サーバID314,判定結果315,類似度316及び顔画像317を含む。」

D 「【0067】
図11は,信頼度判定処理1(S102)の第3の例のフローチャートである。
【0068】
まず,顔画像検索システム106は,ステップS101において取得した1枚以上の被験者の顔画像をキーとして顔画像データベース310を検索し,ステップS101で取得した顔画像と顔画像データベース310に格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出する(S137)。
【0069】
その後,顔画像データベース310から抽出された顔画像の撮影日時によって,計算された類似度に重み付けをする(S133)。具体的には,顔画像データベース310から取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,現在日時から撮影日時を減じた値(経過時間)を所定の基準で区分けして,各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された類似度に乗じる。例えば,下記のように係数を決定することができる。
現在日時から30月以内 1.5
30日から60日 1.0
60日以上 0.5
また,前述のように表を用いずに,所定の計算式によって重み(係数)を決定してもよい。例えば,最近の画像の重みと古い画像の重みとの差が大きくなるように,経過時間の対数値を用いた式によって重みを計算することができる。
【0070】
その後,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較する(S134)。その結果,類似度の平均値が所定の閾値より小さければ,認証の信頼度が高いと判定する(S135)。一方,類似度の平均値が所定の閾値より大きければ,認証の信頼度が低いと判定する(S136)。」

イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの段落【0011】の「第1の実施の形態の認証システムは,カメラ102,読取装置103,コントローラ104,管理サーバ105及び顔画像検索システム106を備える。」との記載,上記Bの段落【0024】の「顔画像検索システム106は,カメラ102が撮影した顔画像及び管理サーバ105から出力されたカードIDを取得し,顔画像の撮影時刻及びカードIDの取得時刻に基づいて,顔画像とカードIDとを対応付ける。」との記載からすると,「カメラ」が「顔画像」を撮影し,「顔画像検索システム」が当該「カメラ」から当該「顔画像」を取得することが読み取れるから,引用例1には,“顔画像を撮影するカメラから前記顔画像を取得”する“顔画像検索システム”が記載されていると解される。

(イ)上記Cの段落【0038】の「顔画像データベース310は,被験者の顔画像及び当該画像に関する情報(例えば,入退室履歴)を格納し,時刻311,カードリーダID312,カードID313,サーバID314,判定結果315,類似度316及び顔画像317を含む。」との記載,上記Dの段落【0068】の「まず,顔画像検索システム106は,ステップS101において取得した1枚以上の被験者の顔画像をキーとして顔画像データベース310を検索し,ステップS101で取得した顔画像と顔画像データベース310に格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出する(S137)。」との記載からすると,「顔画像データベース」は「顔画像」を複数格納し,「顔画像検索システム」は,取得した「顔画像」をキーとして「顔画像データベース」を検索し,取得した「顔画像」と「顔画像データベース」に格納された「顔画像」との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出することが読み取れるから,引用例1には,“取得した顔画像をキーとして,顔画像を複数格納する顔画像データベースを検索し,取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出”する“顔画像検索システム”が記載されていると解される。

(ウ)上記Dの段落【0068】の「まず,顔画像検索システム106は,ステップS101において取得した1枚以上の被験者の顔画像をキーとして顔画像データベース310を検索し,ステップS101で取得した顔画像と顔画像データベース310に格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出する(S137)。」,段落【0069】の「その後,顔画像データベース310から抽出された顔画像の撮影日時によって,計算された類似度に重み付けをする(S133)。具体的には,顔画像データベース310から取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,現在日時から撮影日時を減じた値(経過時間)を所定の基準で区分けして,各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された類似度に乗じる。」との記載からすると,「顔画像検索システム」は,「顔画像データベース」から抽出された顔画像の「撮影日時」を「顔画像データベース」から取得し,取得した「撮影日時」と「現在日時」とを比較することが読み取れるから,引用例1には,“顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較”する“顔画像検索システム”が記載されていると解される。

(エ)上記Dの段落【0069】の「具体的には,顔画像データベース310から取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,現在日時から撮影日時を減じた値(経過時間)を所定の基準で区分けして,各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された類似度に乗じる。」,段落【0070】の「その後,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較する(S134)。その結果,類似度の平均値が所定の閾値より小さければ,認証の信頼度が高いと判定する(S135)。一方,類似度の平均値が所定の閾値より大きければ,認証の信頼度が低いと判定する(S136)。」,上記Bの段落【0025】の「さらに,顔画像検索システム106は,該判定結果に基づいて被験者の成りすましの有無を判定し,なりすましの判定結果を端末107に通知する。」との記載からすると,「顔画像データベース」から取得した「顔画像」の「撮影日時」と「現在日時」とを比較して得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された類似度に乗じ,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較して,被験者の成りすましの有無を判定することが読み取れるから,引用例1には,顔画像の撮影日時と現在日時との“比較により得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された類似度に乗じ,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較し,被験者の成りすましの有無を判定”する“顔画像検索システム”が記載されていると解される。

ウ 以上,(ア)乃至(エ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「顔画像を撮影するカメラから前記顔画像を取得し,
取得した前記顔画像をキーとして,顔画像を複数格納する顔画像データベースを検索し,取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出し,
前記顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,
前記比較により得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された前記類似度に乗じ,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較し,被験者の成りすましの有無を判定する,
顔画像検索システム。」

(2-2)引用例2に記載されている技術的事項

本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成28年7月28日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2008-129830号公報(平成20年6月5日出願公開,以下,「引用例2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。

E 「【0040】
顔識別処理部12は,顔識別用画像処理部11からの取り込まれた画像から取得された顔画像Finの特徴データとしての特徴ベクトルVinを受けて,この特徴ベクトルVinと,顔識別用辞書データベース10に格納されている複数の個人の顔識別用辞書データ(特徴ベクトル)FRDiとを比較して照合し,一致していると判定することができる顔識別用辞書データFRDiを検出するようにする。
【0041】
そして,顔識別処理部12は,一致していると判定することができる顔識別用辞書データFRDiが検出できたときには,その旨と,検出できた顔識別用辞書データFRDiに対応する個人特定情報,この例では,個人の氏名とを,表示情報生成部13に送る。」

上記Eの記載からすると,引用例2には,
「取得された顔画像の特徴ベクトルと,顔識別用辞書データベースに格納されている複数の個人の顔識別用辞書データとを比較して照合し,一致していると判定することができる顔識別用辞書データを検出し,検出できた顔識別用辞書データに対応する個人特定情報を表示のために用いること」が記載されているものと認められる。

(2-3)引用例3に記載されている技術的事項

本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定において引用された,特開2009-259269号公報(平成21年11月5日出願公開,以下,「引用例3」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

F 「【0037】
まず,第1の実施の形態に係る入力端末2における顔画像の入力処理について説明する。
図8は,第1の実施の形態に係る入力端末2における顔画像の入力処理の流れを説明ためのフローチャートである。図8に示す処理は,各入力端末の上記処理プロセッサ31により実行されるものである。
…(中略)…
【0041】
上記画像入力処理では,上記処理プロセッサ31の制御によりカメラ22が1フレーム分の画像を撮影し,撮影した画像をキャプチャボード35によって上記処理部12内に取り込む。上記カメラ22が撮影した顔画像を顔画像データとして処理部12内に取り込むと,上記処理プロセッサ31は,取り込んだ画像データ全体から顔の特徴点を検出することにより顔検出処理を行う(ステップ13)。この顔検出処理では,上記カメラ22により取り込んだ画像データ(入力画像データ)から粗く顔画像領域を探索し,続いて細かく顔領域内の瞳領域中心点と鼻孔領域中心点との4つの特徴点を顔の特徴点として検出する処理である。
…(中略)…
【0045】
当該ユーザの顔の特徴量としての特徴ベクトルを算出すると,上記処理プロセッサ31は,履歴情報の生成処理として当該ユーザのID情報,撮影時間,及び,撮影地点などからなる履歴情報を生成する。この履歴情報の生成処理により履歴情報を生成すると,上記処理プロセッサ31は,当該履歴情報,撮影した画像,及びその画像から算出した特徴ベクトルなどからなる顔履歴情報を上記顔記録サーバ3へ伝送する伝送処理を実行する(ステップS17)。なお,この伝送処理において上記顔記録サーバ3へデータを伝送する際,上記処理プロセッサ31は,上記磁気ディスク37を一時バッファとして用いる。」

上記Fの記載からすると,引用例3には,
「端末においてカメラで撮影した画像に関する撮影時間などの情報を生成し,撮影した前記画像と共に撮影時間などの前記情報をサーバへ送信すること」が記載されているものと認められる。

(2-4)参考文献1に記載されている技術的事項

本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2010-55594号公報(平成22年3月11日出願公開,以下,「参考文献1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0018】
登録者データベース11は,監視カメラ6が顔画像を識別コード及びその顔画像に係る人物の属性,つまり,性別,年齢その他の属人的な情報と共に登録するデータベースである。前述したように,登録者データベース11に登録された顔画像は,顔認証エンジン9に読み出されて,顔検出エンジン8で検出された顔画像と照合される。また,顔検出エンジン8で検出された顔画像が登録者データベース11に登録された顔画像のいずれとも一致しない場合,つまり,顔検出エンジン8で検出された顔画像が,動線管理システム1が初めて検出した人物の顔画像である場合は,顔認証エンジン9が,その顔画像に新たな識別コードを付与して,登録者データベース11に登録する。
【0019】
履歴ファイル12は,顔認証エンジン9で認証された顔画像と識別コードに,推定エンジン10で推定された当該顔画像に係る人物性別・年齢,及び当該顔画像が撮像された日時及び当該顔画像を撮像した監視カメラ6の識別コード(言い換えれば,当該顔画像が撮像された場所を示す情報である)を記載したファイルであり,監視カメラ6が来店客7を撮像し,顔検出エンジン8が顔画像を検出する度に作成される。したがって,同一の来店客7が同一の場所(同一の監視カメラ6の視野)に滞留すると,複数の履歴ファイル12が作成される。また,来店客7が,ある場所(ある監視カメラ6の視野)から別の場所(別の監視カメラ6の視野)に移動すると,移動する度に履歴ファイル12が作成される。」

上記Gの記載からすると,参考文献1には,
「顔画像を登録者データベースに記憶し,前記顔画像が撮像された日時や前記顔画像が撮像された場所を示す情報を,前記登録者データベースとは別の記憶手段である履歴ファイルに記憶すること」が記載されているものと認められる。

(3)対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「カメラ」が撮影した「顔画像」は,被験者の身体的特徴を示す画像データであって,顔画像データベースに格納された顔画像との類似度の計算に用いられるものであるから,本件補正発明の「第1生体データ」に相当するといえる。
そして,引用発明の「顔画像を撮影するカメラ」は“端末装置”の態様の1つであるから,引用発明の「顔画像を撮影するカメラ」と,本件補正発明の「照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する端末装置」とを対比すると,両者は,後記する点で相違するものの,“照合対象の生体特徴データである第1生体データを取得する端末装置”という点で共通している。

(イ)引用発明の「顔画像検索システム」は,本件補正発明の「情報処理装置」に対応する。
また,引用発明の「顔画像検索システム」は,「顔画像を撮影するカメラから前記顔画像を取得」するところ,引用発明の「顔画像検索システム」は「カメラ」から「顔画像」を取得するための受信手段を備えていることは明らかである。
そうすると,引用発明の「顔画像を撮影するカメラから前記顔画像を取得」することと,本件補正発明の「前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信する受信手段」を備えることとは,後記する点で相違するものの,“前記第1生体データを受信する受信手段”を備える点で共通するといえる。

(ウ)引用発明の「顔画像データベース」は,顔画像を複数格納しており,「顔画像データベース」に格納された「顔画像」は,「カメラ」から取得された「顔画像」との類似度の計算に用いられる“生体特徴データ”といえることから,引用発明の「顔画像データベース」に格納された「顔画像」は,本件補正発明の「第2生体データ」に相当し,引用発明の「顔画像データベース」は,本件補正発明の「照合用データ記憶手段」に相当するといえる。
また,引用発明では,「顔画像検索システム」は「取得した前記顔画像をキーとして,顔画像を複数格納する顔画像データベースを検索し,取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算」するところ,取得した顔画像と,顔画像データベースに格納された顔画像とを照らし合わせて類似度を算出するとみることができるから,「顔画像検索システム」は,取得した顔画像と,顔画像データベースに格納された顔画像とを照合する照合手段を実質的に備えているといえる。
そうすると,引用発明の「取得した前記顔画像をキーとして,顔画像を複数格納する顔画像データベースを検索し,取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算」することと,本件補正発明の「前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段」を備えることに実質的な違いはなく,引用発明と本件補正発明とは,“前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段”を備える点で一致する。

(エ)引用発明の「顔画像の撮影日時」は,顔画像データベースに格納された「顔画像」に係る“属性情報”とみることができるから,本件補正発明の「第2生体データに紐付く属性情報」に相当するといえる。
また,引用発明では,「顔画像検索システム」は「顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較」するところ,「顔画像検索システム」は,各々の「顔画像」の「撮影日時」を「顔画像データベース」から取得していることから,「顔画像検索システム」は,各々の「顔画像」の「撮影日時」を記憶する「顔画像データベース」から前記「顔画像」の「撮影日時」を取得する取得手段を実質的に備えているといえる。
そうすると,引用発明の「顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較」することと,本件補正発明の「各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段」を備えることとは,後記する点で相違するものの,“各々の第2生体データに紐付く属性情報を記憶する記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段”を備える点で共通するといえる。

(オ)引用発明では,「顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較」するところ,「現在日時」は「カメラ」から取得した「顔画像」の「撮影日時」に相当する情報とみることができるから,引用発明の「現在日時」は,本件補正発明の「第1生体データの属性を示す属性情報」に相当するといえる。
そして,引用発明の「顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較」することと,本件補正発明の「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較」することとは,後記する点で相違するものの,“第1生体データの属性を示す属性情報と第2生体データに紐付く属性情報とを比較”する点で共通するといえる。

(カ)引用発明の「各顔画像の重み」は,「顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較」することで決定されるものであるから,本件補正発明の「比較の結果」に相当するといえる。
また,引用発明の「類似度」は,「取得した前記顔画像」と「顔画像データベースに格納された顔画像」とを照らし合わせることで算出されるものであるから,本件補正発明の「照合の結果」に相当するといえる。
そして,引用発明の「取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出」し,「顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,前記比較により得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された前記類似度に乗じ」,「重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較し,被験者の成りすましの有無を判定」することは,「所定の類似度以上の顔画像」であって,被験者本人のものである可能性が高い「顔画像」を特定しているといえ,「顔画像データベース」から抽出された「顔画像」に係る事項を特定するとみることができるから,「顔画像検索システム」は,「重み付けされた類似度」に基づいて,「顔画像データベース」から抽出された「顔画像」が被験者本人のものである可能性が高いか否か,すなわち,「顔画像データベース」から抽出された「顔画像」に係る事項を特定する特定手段を実質的に備えているといえる。
そうすると,引用発明の「取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出し,前記顔画像データベースから取得した顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,前記比較により得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された前記類似度に乗じ,重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較し,被験者の成りすましの有無を判定」することと,本件補正発明の「該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段」を備えることとは,後記する点で相違するものの,“比較の結果及び照合の結果に基づいて,第2生体データに係る事項を特定する処理を行う特定手段”を備える点で共通するといえる。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

<一致点>

「照合対象の生体特徴データである第1生体データを取得する端末装置から,前記第1生体データを受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データの属性を示す属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,第2生体データに係る事項を特定する処理を行う特定手段と,
を有する情報処理装置。」

<相違点1>
第1生体データの属性を示す属性情報の取得に関し,本件補正発明では,端末装置が「第1生体データの属性を示す属性情報」を取得し,情報処理装置が,「第1生体データの属性を示す属性情報」を第1生体データと共に前記端末装置から受信するのに対して,引用発明では,端末装置が取得した現在日時を前記端末装置から顔画像と共に受信することについて言及されていない点。

<相違点2>
第2生体データに紐付く属性情報に関し,本件補正発明では,「第2生体データに紐付く属性情報」を,「第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段」とは異なる記憶手段である「属性情報記憶手段」に記憶するのに対して,引用発明では,これらを同じ「顔画像データベース」に記憶する点。

<相違点3>
特定手段に関し,本件補正発明では,「特定手段」が,「比較の結果」及び「照合の結果」に基づいて,「複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する」のに対して,引用発明では,「重み付けされた類似度」に基づいて,「顔画像データベース」から抽出された「所定の類似度以上の顔画像」が,被験者本人のものである可能性が高いか否かを特定する点。

<相違点4>
出力手段に関し,本件補正発明では「特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段」を備えているのに対して,引用発明では当該「出力手段」について特定されていない点。

(4)当審の判断

上記相違点1乃至4について検討する。

ア 相違点1について

端末においてカメラで撮影した画像に関する撮影時間などの情報を生成し,撮影した前記画像と共に撮影時間などの前記情報をサーバへ送信することは,引用例3(上記Fを参照)に記載されるように,本願出願前には当該技術分野における周知技術であった。
そして,引用発明において,現在日時を取得する際に,顔画像検索システムで生成された現在日時を取得するか,カメラで生成された現在日時を取得するかは,当業者が適宜に選択し得た設計的事項である。また,「現在日時」をカメラから取得することの阻害要因も認められない。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,顔画像検索システムが,カメラにおいて取得された現在日時を前記カメラで撮影した画像と共に前記カメラから受信すること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について

顔画像と,前記顔画像が撮像された日時などの情報とを,別々の記憶手段に記憶することは,参考文献1(上記Gを参照)に記載されるように,本願出願前には当該技術分野における周知技術であった。
そして,引用発明において,顔画像と顔画像の撮影日時とを同じ記憶手段に格納するか,別々の記憶手段に格納するかは,当業者が適宜に選択し得た設計的事項である。また,顔画像と顔画像の撮影日時とを別々の記憶手段に格納することの阻害要因も認められない。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,顔画像の撮影日時を,顔画像を記憶する顔画像データベースとは異なる記憶手段に格納すること,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について

引用発明では,「取得した前記顔画像と前記顔画像データベースに格納された顔画像との類似度を計算し,所定の類似度以上の顔画像を抽出」し,「顔画像の撮影日時と現在日時とを比較し,前記比較により得られた値に応じて各顔画像の重みを決定し,決定された係数を計算された前記類似度に乗じ」,「重み付けされた類似度の平均値と所定の閾値とを比較し,被験者の成りすましの有無を判定」することから,「重み付けされた類似度」に基づいて,「顔画像データベース」に格納された複数の「顔画像」の中から,「所定の類似度以上の顔画像」であって,被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの「顔画像」を実質的に特定しているといえる。
そうすると,引用発明は,全体としてみると,取得した「顔画像」と「顔画像データベース」に格納された顔画像との「類似度」を用いた照合及び,「重み付けされた類似度」を用いた比較の結果に基づいて,「顔画像データベース」から被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの「顔画像」を特定するといえる。
してみると,引用発明において,適宜,類似度を用いた照合の結果,及び重み付けされた類似度を用いた比較の結果に基づいて,顔画像データベースから,被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの顔画像を特定すること,すなわち,上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

エ 相違点4について

上記ウでの検討より,引用発明では,「顔画像データベース」に格納された複数の「顔画像」の中から,「所定の類似度以上の顔画像」であって,被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの「顔画像」を実質的に特定しているといえる。
また,顔識別用辞書データベースから,取得された顔画像の特徴ベクトルに対応する顔識別用辞書データを検出し,検出できた顔識別用辞書データに対応する個人特定情報を表示のために用いることは,引用例2(上記Eを参照)に記載されるように,本願出願前には当該技術分野における周知技術であった。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,顔画像データベースから特定された,被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの顔画像に対応する個人特定情報を出力すること,すなわち,上記相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

オ 小括

上記で検討したごとく,相違点1乃至4に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び,引用例2,3,参考文献1に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 請求人の主張について

請求人は,審判請求書において「引用文献1の顔画像データベース310に記憶されている顔画像は,入退室が許可されている人,すなわち,「なりすましでない」場合に類似度が高いと判定される顔画像です。すると,被験者が「なりすましでない」場合には類似度が高い顔画像は全て被験者本人のものである可能性が高いため,あえていずれかの顔画像を特定する必要はないと言えます。また,被験者が「なりすましである」場合には,被験者は未登録であるため,類似度の高いいずれかの顔画像を特定したところでそれは被験者本人のものではなく,特定する意味をなしません。したがって,引用文献1に記載された発明において,抽出された複数の顔画像からいずれかの顔画像を特定するといった構成を採るための動機付けはないと言えます。」と主張している。
しかしながら,上記「(4)当審の判断」の「ウ 相違点3について」の項でも検討したとおり,引用発明では,類似度を用いた照合の結果,及び重み付けされた類似度を用いた比較の結果に基づいて,顔画像データベースから,被験者本人のものである可能性が高い少なくとも1つの「顔画像」を特定していて,このことは,被験者がなりすましで無かった場合に,複数の第2生体データから第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段を実質的に有していることを示しており,被験者がなりすましであった場合にも,当該照合及び比較は行われ,その結果として被験者本人ではない顔画像が複数特定されていることは当業者に自明であるから,被験者がなりすましであるか否かの如何によらず,引用発明は,複数の第2生体データから第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段を有しているといえるから,上記主張は採用の限りではない。

5 補正却下の決定のむすび

上記「2 目的要件」で指摘したとおり,上記補正事項1,4の目的は請求項の削除,限定的減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しないものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また,仮に本件補正に含まれる上記補正事項1,4が限定的減縮を目的として補正されたとしても,上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

平成29年2月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年10月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
照合対象の生体特徴データである第1生体データと前記第1生体データの属性を示す属性情報とを取得する端末装置から,前記第1生体データと前記第1生体データに関連する属性情報とを共に受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する照合用データ記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する属性情報記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。」

2 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成29年2月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比

本願発明は,前記「第2 平成29年2月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明において,
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,複数の前記第2生体データから前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データを特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された第2生体データの人物情報を出力する出力手段」
との記載を,
「前記第1生体データと共に受信した属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する出力手段」に変更したものであるから,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

<一致点>

「照合対象の生体特徴データである第1生体データを取得する端末装置から,前記第1生体データを受信する受信手段と,
前記第1生体データの照合に用いる生体特徴データである第2生体データを複数記憶する記憶手段を参照し,前記第1生体データと各々の前記第2生体データとを照合する照合手段と,
各々の前記第2生体データに紐付く属性情報を記憶する記憶手段から前記第2生体データの属性情報を取得する第2取得手段と,
前記第1生体データの属性を示す属性情報と前記第2生体データに紐付く属性情報とを比較し,該比較の結果及び前記照合の結果に基づいて,第2の生体データに係る事項の処理を行う手段と,
を有する情報処理装置。」

<相違点a>
第1生体データの属性を示す属性情報の取得に関し,本願発明では,端末装置が「第1生体データの属性を示す属性情報」を取得し,情報処理装置が,「第1生体データの属性を示す属性情報」を第1生体データと共に前記端末装置から受信するのに対して,引用発明では,端末装置が取得した現在日時を前記端末装置から顔画像と共に受信することについて言及されていない点。

<相違点b>
第2生体データに紐付く属性情報に関し,本願発明では,第2生体データに紐付く属性情報を,第2生体データを記憶する照合用データ記憶手段とは異なる記憶手段である属性情報記憶手段に記憶するのに対して,引用発明では,これらを同じ「顔画像データベース」に記憶する点。

<相違点c>
比較の結果及び照合の結果に基づいて行われる第2の生体データに係る事項の処理に関し,本願発明では,「比較の結果」及び「照合の結果」に基づいて,「前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する」のに対して,引用発明では,「重み付けされた類似度」に基づいて,「顔画像データベース」から抽出された「所定の類似度以上の顔画像」が,被験者本人のものである可能性が高いといえるのか否かを特定しているものの,「重み付けされた類似度」に基づいて「前記第1生体データに対応する少なくとも1つの前記第2生体データによって特定される人物情報を出力する」ことについて言及されていない点。

4 当審の判断

本願発明と引用発明との間の<相違点a>及び<相違点b>は,本件補正発明と引用発明との間の<相違点1>及び<相違点2>と同等のものであり,また,本願発明と引用発明との間の<相違点c>は,本件補正発明と引用発明との間の<相違点3>から「複数の前記第2生体データから」及び「を特定する特定手段と,」の限定事項を削除したものと,<相違点4>から「前記特定手段によって特定された第2生体データの」の限定事項を削除したものとをあわせたものと同等のものであるから,本願発明と引用発明との間の<相違点a>乃至<相違点c>は,前記「第2 平成29年2月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(4)当審の判断」において検討したとおり,格別のものではない。
そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本願発明は,上記引用発明及び,引用例2,3,参考文献1に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-06 
結審通知日 2017-09-12 
審決日 2017-09-29 
出願番号 特願2015-529594(P2015-529594)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸島 弘詩伏本 正典  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 山崎 慎一
辻本 泰隆
発明の名称 情報処理装置、認証システム、認証方法、及びプログラム  
代理人 速水 進治  
代理人 速水 進治  

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