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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1334752
審判番号 不服2016-11709  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-04 
確定日 2017-11-13 
事件の表示 特願2013-528768号「圧力制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年3月29日国際公開、WO2012/038724、平成25年11月7日国内公表、特表2013-540477号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成23年9月16日(パリ条約による優先権主張 2010年9月20日(GB)英国)を国際出願日とする特許出願であって、平成27年7月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月27日に意見書とともに特許請求の範囲について手続補正書が提出されたが、平成28年3月30日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。これに対し、同年8月4日に本件審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし22に係る発明は、平成27年10月27日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その請求項1の記載は以下のとおりである。

「【請求項1】
局所的な陰圧の創傷部位への適用における前記創傷部位に陰圧をかけるための装置であって、
陰圧供給源と、
処理要素と、
メモリと、
を備え、
前記メモリが、プロセッサで実行されたときに、
前記陰圧供給源を介して、前記創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップと、
第1の所定時間の後に前記望ましい陰圧が生成されなかった場合に、第2の所定時間にわたり前記陰圧供給源の運転を停止させるステップと、
その後に、前記創傷部位に前記望ましい陰圧を生成するように試みるステップと
を前記装置に実施させるように構成された命令を含む、装置。」(以下「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明
これに対して、原審の平成27年7月22日付け拒絶の理由に引用された、本件優先日前に頒布された刊行物である以下の文献には、以下の発明が記載されていると認められる。

刊行物1:特表2010-517681号公報

1.刊行物1の記載事項
刊行物1には、「組織部位における減圧を管理するためのシステムおよび方法」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付したものである。

ア「【請求項1】
組織部位における減圧を管理するための装置であって、
送達チューブを介して前記組織部位に送達される減圧を生成する減圧源と、
前記組織部位における実際の減圧を検出する単一の圧力センサと、
前記減圧源によって生成される減圧の増加に対する、前記単一の圧力センサによって測定される前記実際の減圧の反応性を測定する制御装置と、
前記単一のセンサによって測定された前記実際の減圧が、前記減圧源によって生成される減圧の増加に対して反応していないと前記制御装置が判定したときに、信号を発する表示器とを備えることを特徴とする装置。」

イ「【請求項12】
組織部位における減圧を管理するための方法であって、
目標減圧を決定するステップと、
単一の圧力センサを使用して前記組織部位における実際の減圧を検出するステップと、
前記実際の減圧を前記目標減圧と比べて、比較を形成するステップと、
前記比較に基づいて減圧管理機能を実行するステップとを備えることを特徴とする方法。
・・・
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
前記比較に基づいて減圧管理機能を実行するステップが、
前記目標減圧が前記実際の減圧を超えることに応答して、減圧源によって生成される生成減圧を増加させるステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記生成減圧の増加に対し、前記組織部位における実際の減圧が反応しないことに応答して、表示器を使用して信号を発するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
・・・
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に前記組織部位における前記実際の減圧が前記目標減圧に達しないときは、前記組織部位における前記実際の減圧が、前記生成減圧の増加に反応していないことを特徴とする方法。」

ウ「【0013】
上記装置は、制御装置も含む。制御装置は、単一の圧力センサからのデータのようなデータを処理することができる任意の装置である。制御装置は、当該装置の1または複数の構成要素の操作を制御するものであってもよい。制御装置は、減圧源によって生成される減圧の増加に対する、単一の圧力センサによって測定された実際の減圧の反応性を判定する。」

エ「【0022】
ここで図1を参照すると、組織部位において減圧を管理するための装置のブロック図が、本発明の例示的な実施形態に従って記載されている。具体的には、図1は、組織部位105に対する減圧を管理するための減圧処置システム100を示している。」

オ「【0023】
減圧処置システム100は、組織部位105に減圧処置を適用するために用いることができる。組織部位105は、任意の人、動物またはその他生命体の生体組織とすることができ、それには、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯または任意のその他組織が含まれるようにしてもよい。組織部位105は、創傷、病変組織または欠損組織を含むようにしてもよく、さらに、創傷、病変または欠損の無い健康な組織を含むものであってもよい。組織部位105への減圧の適用は、追加的な組織成長を促進すると同時に、組織部位105からの滲出液およびその他液体の排出を促すために用いることができる。組織部位105が創傷部位である場合には、肉芽組織の成長および滲出液と細菌の除去が、創傷の治癒を促す。健康組織を含む非創傷組織または非欠損組織への減圧の適用は、採取されて別の組織部位に移植されることとなる組織の成長を促すために使用することができる。」

カ「【0026】
減圧源110は、被覆材115を介して組織部位105に減圧を提供する。被覆材115は、マニホールド120を含む。・・・
・・・
【0031】
被覆材115は、密封部材125も含む。マニホールド120は、密封部材125を使用して組織部位105に固定するようにしてもよい。・・・
・・・
【0033】
一実施形態において、密封部材125は、マニホールド120周囲の組織および組織部位105との密封結合(sealed connection)を提供するように構成されている。密封結合は、密封部材125の周縁に沿って配置された接着剤または密封部材125の任意の部分に配置された接着剤により提供して、密封部材125をマニホールド120または組織部位105周囲の組織に固定するようにしてもよい。・・・」

キ「【0049】
減圧処置システムは制御装置170を含む。制御装置170は、圧力センサ155からのデータ等のデータを処理することができる任意の装置である。また、制御装置170は、減圧源110、安全弁175、制御チューブバルブ165、圧力センサ155または表示器180のような、減圧処置システム100の1または複数の構成要素の操作を制御するようにしてもよい。一実施形態において、制御装置170は、圧力センサ155からのデータ等のデータを受信・処理するとともに、減圧処置システム100の1または複数の構成要素の操作を制御して、組織部位105における減圧を管理する。」

ク「【0061】
別の実施形態においては、生成される減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に組織部位105における実際の減圧が目標減圧に達しないときは、組織部位105における実際の減圧が、生成される減圧の増加に反応していない。前述した実施形態と同様、このような無反応は、送達チューブ135またはソースチューブ130のような、減圧処置システム100の1または複数の構成要素が閉塞または漏れを生じていることを示している可能性がある。」

ケ「【0079】
図7を参照すると、組織部位において減圧を管理するための方法を示すフローチャートが、本発明の例示的な実施形態に従って記載されている。図7に示す方法は、図1の減圧処置システム100の構成要素など、減圧処置システムの他の構成要素と協働して、図1の制御装置170のような制御装置が実施するものであってもよい。図7に示す方法は、例示的な実施形態と、図6のステップ615および620に関する追加的な詳細説明を与える。
【0080】
この方法においては、組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に増加するかどうかを判定することによって開始する(ステップ705)。組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に増加していないと判定した場合には、表示器を使用して信号を発する(ステップ710)。その後、この方法は終了となる。
【0081】
一方、ステップ705において、組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に増加していると判定した場合には、組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に目標減圧に達するかどうかを判定する(ステップ715)。組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に目標減圧に達しないと判定した場合には、表示器を使用して信号を発する(ステップ710)。その後、この方法は終了となる。一方、ステップ715において、組織部位における実際の減圧が、予め定められた時間内に目標減圧に達すると判定した場合には、この方法は終了となる。」

コ「【0084】
・・・また、例示的な実施形態は、組織に対して予め設定された減圧を加えることを可能にするとともに、従来のシステムよりも少ない構成要素で、ある異常なシステム状態の検出および通知を提供する。
【0085】
例示的な実施形態は、減圧源における測定値を使用して組織部位圧力に近付ける必要性も取り除くことができる。さらに、例示的な実施形態のその他の特徴に付随しているとき、組織部位における圧力を直接測定することによって、減圧処置システムは、減圧源でなされた操作変更に応答する組織部位における圧力変化を観察することで、漏れおよび閉塞を検出することが可能となる。」

2.刊行物1記載の発明

サ 上記記載事項アの「組織部位における減圧を管理するための装置」の実施形態(上記記載事項エ)である「減圧処置システム100」は、上記記載事項オによれば、「組織部位105」たる「創傷部位」に「減圧処置を適用するために用いることができる」から、「創傷部位105に減圧処置を適用するための」装置であるといえる。

シ 上記記載事項イ及びケ、並びに上記認定事項サによれば、上記「減圧処置システム100」は、「組織部位105」たる「創傷部位」において「減圧を管理するための方法」(図7参照)を実施するものであって、その実施は「制御装置170」が行うものであるといえる。

ス 上記認定事項シの「創傷部位」において「減圧を管理するための方法」は、上記記載事項イによれば、「目標減圧が前記実際の減圧を超えることに応答して、減圧源によって生成される生成減圧を増加させるステップ」を含むところ、かかるステップは、「減圧源110によって生成される減圧の増加により、創傷部位105に目標減圧を生成するように試みるステップ」と言い換えることができる。

セ 上記認定事項シの「制御装置170」は、上記記載事項ウ及びキによれば、圧力センサ155からのデータ等の「データを処理することができる任意の装置であ」り、減圧源110といった「(装置の)構成要素の操作を制御する」ものである。そうすると、上記認定事項スのステップは、制御装置170がデータの処理を行ったときに、実施されるということができる。

ソ 上記認定事項スの「減圧を管理するための方法」は、上記記載事項ア、イ及びケによれば、「生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に」創傷部位105における「実際の減圧が目標減圧に達しないときは」、創傷部位105における「実際の減圧が、生成減圧の増加に反応していない」ことを示す信号を発するステップを含む、ということができる。

タ 上記認定事項ソの「創傷部位105における実際の減圧が、生成減圧の増加に反応していないことを示す信号を発するステップ」は、上記記載事項クによれば、「減圧処置システム100」の構成要素が漏れを生じている可能性を示すものであるといえる。
かかる「構成要素」の「漏れ」には、上記記載事項クに記載の「送達チューブ135またはソースチューブ130」の「漏れ」のほかにも、上記記載事項カ及び技術常識に照らせば、組織部位たる創傷部位105と密封部材125との密封結合(接着剤により提供)における「漏れ」も含まれると認める。そして、上記記載事項コにも照らせば、上記「減圧処置システム100」は、かかる「漏れ」を検出し通知するものであるといえる。

そこで、上記記載事項ア?コ及び認定事項サ?タを、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて本願発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認める。

「創傷部位105に減圧処置を適用するための減圧処置システム100であって、
減圧源110と、
データの処理を行う制御装置170と、
を備え、
前記制御装置170が、データの処理を行ったときに、
前記減圧源110によって生成される減圧の増加により、前記創傷部位105に目標減圧を生成するように試みるステップと、
前記生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に前記創傷部位105における実際の減圧が前記目標減圧に達しない場合に、前記創傷部位105における前記実際の減圧が、前記生成減圧の増加に反応していないことを示す信号を発するステップと、
を実施し、もって、前記創傷部位105と密封部材125との密封結合における漏れを含む、前記減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知するようにした、減圧処置システム100。」(以下「刊行物1発明」という。)

第4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると、以下のとおりである。
まず、刊行物1発明の「創傷部位105に減圧処置を適用するための減圧処置システム100」は、その構成及び機能に照らせば、本願発明の「局所的な陰圧の創傷部位への適用における前記創傷部位に陰圧をかけるための装置」又は「装置」に相当し、以下同様に、「減圧源110」は「陰圧供給源」に、「データの処理を行う制御装置170」は「処理要素」に、それぞれ相当する。
また、刊行物1発明の「目標減圧」は、技術常識に照らせば、本願発明の「望ましい陰圧」に相当することは明らかであり、同様に、「前記減圧源110によって生成される減圧の増加により、前記創傷部位105に目標減圧を生成するように試みるステップ」は「前記陰圧供給源を介して、前記創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップ」に、「前記生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に」は「第1の所定時間の後に」に、「前記生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に前記創傷部位105における実際の減圧が前記目標減圧に達しない場合に」は「第1の所定時間の後に前記望ましい陰圧が生成されなかった場合に」に、それぞれ相当することも明らかである。

次に、刊行物1発明の「前記創傷部位105における前記実際の減圧が、前記生成減圧の増加に反応していないことを示す信号を発するステップ」は、「装置について所定の対策動作をさせるステップ」である限りにおいて、本願発明の「第2の所定時間にわたり前記陰圧供給源の運転を停止させるステップ」と共通する。
さらに、刊行物1発明の「前記制御装置170が、データの処理を行ったときに、・・・試みるステップと、・・・発するステップと、を実施し、もって、前記創傷部位105と密封部材125との密封結合における漏れを含む、前記減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知するようにした」は、
「前記陰圧供給源を介して、前記創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップと、第1の所定時間の後に前記望ましい陰圧が生成されなかった場合に、装置について所定の対策動作をさせるステップと、を実施する」の限りにおいて、
本願発明の「前記メモリが、プロセッサで実行されたときに、・・・試みるステップと、・・・の運転を停止させるステップと、その後に、前記創傷部位に前記望ましい陰圧を生成するように試みるステップとを前記装置に実施させるように構成された命令を含む」と共通する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。

<一致点>
「局所的な陰圧の創傷部位への適用における前記創傷部位に陰圧をかけるための装置であって、
陰圧供給源と、
処理要素と、
を備え、
前記陰圧供給源を介して、前記創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップと、
第1の所定時間の後に前記望ましい陰圧が生成されなかった場合に、前記装置について所定の対策動作をさせるステップと、
を実施する、装置。」

そして、本願発明と刊行物1発明とは、少なくとも形式的には、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明はメモリを備え、前記メモリが、プロセッサで実行されたときに、創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップ等の一連のステップを装置に実施させるように構成された命令を含むのに対して、
刊行物1発明は、制御装置170がデータの処理を行ったときに、創傷部位105に目標減圧を生成するように試みるステップ等の一連のステップを実施するものであるものの、メモリを備えることについて明示されていない点。

<相違点2>
第1の所定時間の後に望ましい陰圧が生成されなかった場合の所定の対策動作について、本願発明は、第2の所定時間にわたり陰圧供給源の運転を停止させるステップと、その後に、創傷部位に望ましい陰圧を生成するように試みるステップとを実施するのに対して、
刊行物1発明は、創傷部位105における実際の減圧が、生成減圧の増加に反応していないことを示す信号を発するステップを実施し、もって、創傷部位105と密封部材125との密封結合における漏れを含む、減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知するようにした点。

第5 相違点の検討
1.相違点1について
刊行物1発明の制御装置170は、圧力センサ155からのデータ等の「データを処理する装置」であり、減圧源110といった減圧処置システム100の「構成要素の操作を制御する」ものである(上記認定事項セ)。かかるデータ処理や構成要素の操作の制御を行うに当たり、当該処理や制御に関連する様々な情報を記憶する必要があるのは、技術常識に照らせば明らかであり、当該制御装置170は、当然にメモリを有しているものと認められる。
また、上記「構成要素の操作を制御する」とは、“構成要素に対して所定の動作を実施することを命令すること”と言い換えることができる。そうすると、上記メモリには、当該命令に係る情報も含まれることになる。
そうすると、上記相違点1に係る本願発明に係る構成は、刊行物1発明の制御装置170が当然に備えているものであるということができ、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

2.相違点2について
刊行物1発明は、生成減圧の増加に応答して、予め定められた時間内に創傷部位105における実際の減圧が目標減圧に達しない場合に、創傷部位105における実際の減圧が、生成減圧の増加に反応していないことを示す信号を発するステップを実施し、もって、創傷部位105と密封部材125との密封結合における漏れを含む、減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知するようにしたものである。
ここで、刊行物1発明のような創傷部位に減圧処置を適用するための装置においては、(1)減圧処置が適用される創傷部位において本来密封されるべき部分から漏れが生じること、(2)かかる漏れが発生した場合に、漏れの原因を特定(確認)し対策を施して、再度減圧処置を行うこと、(3)予め定められた時間内に創傷部位における実際の減圧が目標減圧に達しない場合に装置の運転を停止することは、いずれも、従来周知の事項である(例えば、(1)については、国際公開第2009/071924号(16頁3?7行)又は特表2010-527713号公報(段落【0006】)を、(2)については、国際公開第2009/103031号([00102][00144])を、(3)については、特表2003-521962号公報(段落【0061】)又は国際公開第2010/017484号(図5等)をそれぞれ参照)。
そして、刊行物1発明は、減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知するものであるから、上記従来周知の事項を適用する動機付けは十分に存在するものである。
また、原査定で周知技術として示されている「監視している圧力が設定された圧力値に達しない場合、駆動源の運転を停止させるとともに、一定時間後に再駆動させること」は、流体を扱うポンプが用いられる技術であれば、技術分野の相違に関わらずに適用することが可能な、ごく一般的な慣用手段にすぎない。
そうすると、刊行物1発明において、減圧処置システム100の構成要素の漏れを検出し通知した場合に、上記従来周知の事項に照らして、当該システム100の運転を一旦停止して、かかる漏れの原因を特定して対策を施し、再度減圧処置を行うようにすることは、当業者にとって容易である。この場合において、上記慣用手段にも留意しつつ、システム100の停止及び再駆動を制御装置170の命令でもって実施するようにすることにも、格別の困難性はない。
そうすると、上記相違点2に係る本願発明の構成は、当業者であれば、刊行物1発明に上記従来周知の事項を適用して容易に想到し得たことである。

本願発明によってもたらされる効果も、刊行物1発明及び従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものではない。

3.小括
したがって、本願発明は、刊行物1発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、その余の請求項2ないし22に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-14 
結審通知日 2017-06-19 
審決日 2017-07-03 
出願番号 特願2013-528768(P2013-528768)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 姫島 卓弥  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 平瀬 知明
根本 徳子
発明の名称 圧力制御装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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