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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1334883
審判番号 不服2016-16606  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-07 
確定日 2017-11-24 
事件の表示 特願2012-157538「印刷装置、記憶媒体及びモバイル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 4日出願公開、特開2013- 25810〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成24年7月13日(パリ条約による優先権主張 2011年7月18日 米国)の出願であって、平成28年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年7月27日付けで手続補正がなされ、同年8月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成28年11月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成28年11月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
〈補正前の請求項1〉
「印刷装置であって:
一以上のプロセッサと;
印刷データを処理し、該印刷データを表す電子文書の印刷用のバージョンを、当該印刷装置で印刷するよう構成される印刷手段と;
符号化データを生成するための符号化データ生成手段と;
符号化データを表示するためのディスプレイであって、該符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる機能及びオプション;
b)当該印刷装置のプリンタ識別子;及び
c)ネットワークサービスのネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、前記ネットワークサービスインターフェースデータにより、モバイル装置が、印刷設定の選択データと、電子文書の識別データとを、前記ネットワークサービスへ送信可能となる、ディスプレイと;
を有し、
前記ディスプレイは、前記符号化データと異なる、更新された符号化データを表示するようさらに構成され、該更新された符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる前記機能及びオプション;
b)当該印刷装置の前記プリンタ識別子;及び
c)前記ネットワークサービスの更新されたネットワークサービスインターフェースデータ;
を表す、
印刷装置。」
から、
〈補正後の請求項1〉
「印刷装置であって:
一以上のプロセッサと;
印刷データを処理し、該印刷データを表す電子文書の印刷用のバージョンを、当該印刷装置で印刷するよう構成される印刷手段と;
符号化データを生成するための符号化データ生成手段と;
符号化データを表示するためのディスプレイであって、該符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる機能及びオプション;
b)当該印刷装置のプリンタ識別子;及び
c)ネットワークサービスのネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、前記ネットワークサービスインターフェースデータにより、モバイル装置が、印刷設定の選択データと、電子文書の識別データとを、前記ネットワークサービスへ送信可能となる、ディスプレイと;
を有し、
前記ディスプレイは、前記符号化データと異なる、更新された符号化データを表示するようさらに構成され、該更新された符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる前記機能及びオプション;
b)当該印刷装置の前記プリンタ識別子;及び
c)前記ネットワークサービスの更新されたネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、
前記符号化データ生成手段は、前記更新された符号化データを、(i)前記ネットワークサービスの所在が変更されたとき、(ii)当該印刷装置がアップグレードされたとき、および(iii)当該印刷装置が別のネットワークに再配置されたときのうちの少なくとも一つにおいて生成するよう構成されている、
印刷装置。」
とする補正事項を含むものである。下線は、補正箇所を示す。

上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「符号化データ生成手段」について、「前記符号化データ生成手段は、前記更新された符号化データを、(i)前記ネットワークサービスの所在が変更されたとき、(ii)当該印刷装置がアップグレードされたとき、および(iii)当該印刷装置が別のネットワークに再配置されたときのうちの少なくとも一つにおいて生成するよう構成されている」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

2 引用発明
原査定の拒絶理由に引用された米国特許公開第2011/0085196号明細書(以下、「引用文献」という。)には、次のア?カのとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。

「[0021] FIG.1 illustrates an environment that illustrates the operations of the printer and mobile device (e.g., cell phone, laptop, web camera). Note that the printer may be a standalone printer, or part of another system such as, for example, an MFP, a copier, or other device with printing capability.
[0022] Referring to FIG.1 , printer 101 displays a machine-readable code (e.g., dynamic 2D barcode). A dynamic 2D barcode is a barcode that changes over time or generated upon request. Each time a new dynamic 2D barcode is generated, it is different from all the previously generated ones. An example of a dynamic 2D barcode is shown in FIG.2 . The 2D barcode can be displayed on the control panel/touchscreen of the printer or be printed from the printer. In one embodiment, the 2D barcode is displayed in response to a user depressing a button on the printer. The button may be on the touchscreen of the printer.
[0023] Alternatively, if printer 101 does not have a display, printer 101 prints a sheet of paper (or other print media) with the machine-readable code on it. Again, this may occur in response to the user depressing a button on the printer.
[0024] In one embodiment, the 2D barcode encodes the following information: 1) a passkey which changes on a periodic basis (e.g., a 10 minute basis, a 1/2 hour basis, an hourly basis, or every time a new barcode is displayed in response to a user depressing a button); 2)a printer ID; 3)routing information to the printer (e.g., MMS, Bluetooth, HTTP, etc.); and 4)an optional descriptor (e.g., an XML descriptor) of a printer dialog box.
[0025] In one embodiment, the machine-readable code encodes printing cost information. Also note that, in one embodiment, the machine-readable code and/or drop box is only temporary and is only good to use for a limited period of time after which time it expires. Also, the machine-readable code may only permit one-time use. In one embodiment, the machine-readable code encodes a public key with which data may be encrypted before sending to the printer. In another embodiment, the machine-readable code encodes a symmetric key with which data may be encrypted before sending to the printer.
[0026] Once the user has been presented with the machine-readable code, the user uses a mobile device 102 (e.g., cell phone) to scan and decode the barcode when the user wants to print data such as a document. This occurs using the camera of mobile device 102 . With the decoded information, the mobile device renders the printer dialog box on its display according to the decoded XML descriptor and allows the user to configure the printing job. Configuring the print job includes specifying the document (e.g., file, spreadsheet, presentation, text, photos, pictures) to print and may include specifying how the user wants the document printed (e.g., double-sided vs. single-sided, lighter, darker, number of copies, binding, halftone, etc.).
[0027] Once the user has completed configuring the print job, mobile device 102 uses its communication interface (e.g., a data network interface) to upload the print job to printer server 103 together with the passkey and printer ID using the routing information. The uploading may occur after pressing a button on the mobile device. In one embodiment, if one route is blocked, then other routes are used.
[0028] In one embodiment, mobile device 102 also uploads payment information to print server 103 to pay for the costs of the print job. This may include account information and/or credit/debit card information.
[0029] Print server 103 verifies that the passkey has recently been issued to the printer identified by the printer ID and then assigns this print job to printer 101 . In one embodiment, print server 103 uses the upload print job information to obtain the document to be printed. In one embodiment, the document is included in the uploaded print job. In another embodiment, the uploaded print job specifies a location (e.g., a URL or other resource location information) from which print server 103 obtains the document.
[0030] After obtaining the document to be printed, print server 103 renders the print data corresponding to the document and then sends the rendered print data to printer 101 for printing. Printer server 103 also uses uploaded payment information to charge the user's account for printing costs.」
(当審訳:[0021] 図1は、プリンタとモバイルデバイス(例えば、携帯電話、ラップトップ、ウェブカメラ)の動作を示す環境を示している。プリンタはスタンドアロンプリンタ、または、例えば、複合機、複写機、または印刷機能を有する他の装置のような、別のシステムの一部であってもよい。
[0022] 図1を参照すると、プリンタ101は、機械可読コード(例えば、動的な2次元バーコード)を表示する。動的な2次元バーコードは、時間と共に変化するバーコードや要求に応じて生成される。新しい動的な2次元バーコードが生成されるたびに、動的な2次元バーコードは、すべての以前に生成されたものとは異なる。動的な2次元バーコードの一例を図2に示す。2次元バーコードは、プリンタのコントロール・パネル/タッチスクリーン上に表示され、プリンタから印刷されてもよい。一実施形態では、2次元バーコードは、ユーザがプリンタのボタンを押すことに応答して表示される。ボタンは、プリンタのタッチスクリーンであってもよい。
[0023] 代わりに、プリンタ101は、ディスプレイを有していない場合、プリンタ101は、機械可読コードを用いた紙のシート(または他の印刷媒体)を印刷する。繰り返しになるが、これは、ユーザがプリンタのボタンを押すことに応答して行うことができる。
[0024] 一実施形態では、2次元バーコードは、以下の情報が符号化される。:1)定期的に(例えば、10分単位、1/2時間単位、時間毎、またはボタンを押すユーザに応じて表示される新しいバーコード毎)に変化するパスキー;2)プリンタID;3)プリンタへの経路情報(例えば、MMS、Bluetooth、HTTPなど);4)プリンタダイアログボックスの任意の記述子(例えば、XML記述子)。
[0025] 一実施形態では、機械可読コードは、印刷コスト情報を符号化する。また、一実施形態では、機械可読コード及び/又はドロップボックスは一時的なもので、限られた時間のみ有効であり、その後は、失効することに注意しなければならない。また、機械可読コードは、一回使用を可能にするだけでもよい。一実施形態では、機械可読コードは、データをプリンタに送信する前に暗号化することが可能な公開鍵を符号化する。別の実施形態では、機械可読コードは、データをプリンタに送信する前に暗号化することが可能な共通鍵を符号化する。
[0026] 機械可読コードが提示されると、文書等の印刷を実行したい時に、ユーザは、モバイルデバイス102(例えば、携帯電話)を用いてバーコードをスキャン及び復号する。これは、モバイルデバイス102のカメラを使用して行われる。復号された情報により、モバイルデバイスは、復号されたXML記述子に応じてディスプレイにプリンタダイアログボックスをレンダリングし、ユーザに対して印刷ジョブを設定することが可能である。印刷ジョブを設定する印刷する文書(例えば、ファイル、スプレッドシート、プレゼンテーション、テキスト、写真、絵)を指定するステップを含み、ユーザは、文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)の指定を含んでもよい。
[0027] ユーザが印刷ジョブの設定を完了すると、モバイルデバイス102は、経路情報を用い、パスキーとプリンタIDと共にプリントサーバ103へ印刷ジョブをアップロードするために、自身の通信インターフェース(例えば、データ・ネットワーク・インターフェース)を使用する。アップロードはモバイルデバイス上のボタンを押した後に行うことができる。一実施形態では、1つの経路が塞がっている場合、他の経路が使用される。
[0028] 一実施形態において、モバイルデバイス102は、印刷ジョブのコストを支払うために、印刷サーバ103に支払い情報をアップロードする。これには、アカウント情報および/またはクレジット/デビットカード情報を含むことができる。
[0029] プリントサーバ103は、パスキーがプリンタIDによって識別されるプリンタに最近発行されていることを確認し、プリンタ101に印刷ジョブを割り当てる。一実施形態において、プリントサーバ103は、印刷対象の文書を取得するためにアップロード印刷ジョブ情報を使用する。一実施例において、文書は、アップロードされた印刷ジョブに含まれる。別の実施形態において、アップロードされた印刷ジョブは、印刷サーバ103が文書をどこから取得するかの位置(例えば、URLまたは他のリソース・ロケーション情報)を特定する。
[0030] 印刷すべき文書取得後、印刷サーバ103は、文書に対応する印刷データをレンダリングし、その後、印刷のためにプリンタ101に印刷データを送信する。プリンタサーバ103は、また、アップロードされた支払い情報を使用して、印刷コストをユーザのアカウントへ課金する。)

「[0033] The process begins with processing logic of the printer optionally receiving a machine-readable code (e.g., a barcode) (processing block 401). In one embodiment, the machine-readable code is received from a remote location over a networked connection. The remote location may be a web service. In one embodiment, the machine-readable code is randomly generated at the remote location and sent to the printer. Alternatively, the printer could generate the machine-readable code itself. In one embodiment, the machine-readable code consists of one part that is randomly generated and one part that is associated with the printer (e.g., a Printer ID).」
(当審訳:[0033] プロセスは、機械可読コード(例えば、バーコード)を受信するオプションによって、プリンタの処理ロジックで始まる(処理ブロック401)。一実施形態において、機械可読コードは、ネットワーク接続を介して離れた位置から受信される。離れた位置は、ウェブサービスとすることができる。一実施形態では、機械可読コードは離れた位置でランダムに生成され、プリンタに送信される。あるいは、プリンタ自体が機械可読コードを生成することができる。一実施形態では、機械可読コードは、ランダムに生成される部分と、プリンタに関連付けられている部分とからなる(例えば、プリンタID)。)

「[0037] FIG.5 is a flow diagram of another embodiment of the interaction process for causing data to be printed. The process is performed by processing logic that may comprise hardware (circuitry, dedicated logic, etc.), software(such as is run on a general purpose computer system or a dedicated machine), or a combination of both. In one embodiment, the process is performed by a mobile device, such as the mobile device of FIG. 1 , or a laptop computer.
[0038] The process begins by processing logic scanning (with a camera of the mobile device) and decoding (with a processor of the mobile device) a machine-readable code that is associated with a printer (processing block 501). In one embodiment, scanning and decoding the machine-readable code is displayed on a screen of the printer. In another embodiment, scanning and decoding the machine-readable code is printed on a print medium printed by the printer.
[0039] Next, processing logic displays on a screen of the mobile device the interface (e.g., a print dialog box) (processing block 502). In one embodiment, the interface is generated from decoded information from the machine-readable code and dynamically rendered on the mobile device. In another embodiment, the interface is obtained from a location remote with respect to the mobile device using decoded information (e.g., a link, URL, etc.) from the machine-readable code.
[0040] Using the interface on the screen of the mobile device, processing logic specifies data to be printed (processing block 503) and causes the data to be sent to the printer using routing information encoded in the machine readable code (processing block 504). In one embodiment, this is done by sending information indicating the data to print from the mobile device to an intermediary (e.g., a web service, a print server, etc.) which forwards a rendered version of the data to the printer for printing over a network connection between the intermediary and the printer. The information may be sent by uploading the data to a URL or other resource locator and having the printer access that location to obtain the data.
[0041] Also, processing logic optionally sends information to specify the manner in which the data is to be printed (processing block 505).
[0042] Afterwards, processing logic charges a user account when the data to be printed is uploaded to the drop box for printing (processing block 506 ).」
(当審訳:[0037] 図5は、印刷すべきデータを生じさせるための対話処理の別の実施例のフロー図である。処理は、ハードウェア(回路、専用ロジック等)、ソフトウェア(汎用コンピュータ・システム上、又は専用マシン上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを備え得る処理ロジックによって行われる。一実施形態では、図1のモバイルデバイス、またはラップトップコンピュータ等のモバイルデバイスにより実行される。
[0038] 処理は、処理ロジックが(モバイルデバイスのカメラにより)スキャンすることと、このプリンタに関連付けられている機械可読コードを(モバイルデバイスのプロセッサにより)復号することによって開始される(処理ブロック501)。一実施形態では、機械可読コードのスキャンと復号は、プリンタの画面に表示される。別の実施形態において、機械可読コードのスキャンと復号は、プリンタにより印刷された印刷媒体に印刷される。
[0039] 次に、処理ロジックは、モバイルデバイスの画面にインターフェース(例えば、プリントダイアログボックス)を表示する(処理ブロック502)。一実施形態では、インターフェースは、機械可読コードから復号された情報から生成され、モバイルデバイス上で動的にレンダリングされる。別の実施形態では、インターフェースは、機械可読コードから復号された情報(例えば、リンク、URLなど)を使用してモバイルデバイスに対して離れた位置から取得される。
[0040] モバイルデバイスのスクリーン上のインターフェースを利用して、処理ロジックは、印刷すべきデータを特定し(処理ブロック503)、機械可読コードに符号化された経路情報を使用してプリンタに送信すべきデータを生成する(処理ブロック504)。一実施形態では、これは、モバイルデバイスからデータを示す情報を中継(例えば、ウェブサービス、プリントサーバ等)に送信し、中継が、中継とプリンタとの間のネットワーク接続を介して、印刷用のレンダリングされたデータのバージョンをプリンタに転送することにより、行われる。情報は、URLまたは他のリソースロケータにデータをアップロードし、プリンタにそのその位置にアクセスさせ、データを取得させることにより、送信されてもよい。
[0041] また、処理ロジックは、必要に応じて、印刷すべきデータの印刷方法を指定する情報を送信する(処理ブロック505)
[0042] その後、処理ロジックは、印刷すべきデータが印刷のためにドロップボックスにアップロードされると、ユーザアカウントに課金する(処理ブロック506)。)

「[0046] Referring to FIG.6 , the processing begins with a mobile device reading a printer ID and (optionally) web service endpoint information from a machine-readable code (e.g., QR code) displayed by a printer, on the printer, or in a proximity of a printer (processing block 601 ). The machine-readable code may be static or dynamic.
[0047] Next, processing logic of the mobile device requests a temporary private drop-box "in the cloud" by sending a request with the printer ID to the web service endpoint (e.g., via HTTP, SMS, email, XMPP, etc.) (processing block 602 ).
[0048] Then, processing logic in the mobile device gets some access information for the drop-box (e.g., a URL, an SMS number, etc.) from the web service (processing block 603 ).
[0049] Processing logic in the mobile device uploads or side-loads a document to the drop box (processing block 604 ), and processing logic in the printer detects a new document available to it (processing block 605) and prints the document (processing block 606). In one embodiment, the printer detects the new document via a pull or push. This may occur without the drop box ID being revealed to the printer.」
(当審訳:[0046] 図6を参照すると、処理は、モバイルデバイスが、プリンタにより、プリンタに、又は、プリンターの近く表示された機械可読コード(例えば、QRコード)からプリンタIDと(必要に応じて)ウェブサービスエンドポイント情報を読み取ることにより始まる(処理ブロック601)。機械可読コードは、静的でも動的でもよい。
[0047] 次に、モバイルデバイスの処理ロジックは、ウェブサービスエンドポイント(例えば、HTTP、SMS、電子メール、XMPP等を介して)に、プリンタIDと要求を送信することにより、一時的なプライベートドロップボックス「クラウド」を要求する(処理ブロック602)。
[0048] そして、モバイルデバイスの処理ロジックは、ウェブサービスからドロップボックス(例えば、URL、SMS番号等)のためのいくつかのアクセス情報を取得する(処理ブロック603)。
[0049] モバイルデバイスの処理ロジックは、ドロップボックスに文書をアップロード又はサイドロードし(処理ブロック604)、プリンタの処理ロジックは、利用可能な新たな文書を検出し(処理ブロック605)、文書を印刷する(処理ブロック606)。一実施形態において、プリンタは、プルまたはプッシュにより、新たな文書を検出する。これは、プリンタにドロップボックスIDを与えなくても起こる。)

「[0064] FIG.9 is a block diagram of one embodiment of a printer. Referring to FIG.9 , the printer includes a controller 901(e.g., one or more processors or micro controllers) that controls the operations of the other components. The printer also includes a print engine 902 that prints documents under control of controller 901 using paper supply 910 . The printer also includes a screen/control panel 904 to allow user input (via one or more buttons) and to display the machine-readable code. The printer also includes a network interface 903 to communicate over a network, including to receive machine-readable codes (if generated remotely) and to receive print data.」
(当審訳:[0064] 図9は、プリンタの一実施形態を示すブロック図である。図9を参照すると、プリンタは、他の構成要素の動作を制御する制御部901(例えば、1つまたは複数のプロセッサまたはマイクロコントローラ)を有する。プリンタは、給紙部910を用いて、制御部901の制御の下に文書を印刷する印刷エンジン902を有する。プリンタはまた、ユーザからの(1又はそれ以上のボタンを介して)入力を可能とし、機械可読コードを表示するために、画面/コントロール・パネル904を有している。プリンタはまた、ネットワークを介して通信し、機械可読コード(遠隔で発生した場合)を受信し、印刷データを受信するネットワークインターフェース903を有している。)


図1には、「プリンタ、モバイルデバイス、プリンタサーバとからなる印刷システム」が記載されているといえるから、段落[0021]?[0030]、[0033]、[0037]?[0041]、[0064]の下線部、図1の記載によれば、引用文献1には、
「プリンタ、モバイルデバイス、プリンタサーバとからなる印刷システムであって、
前記プリンタは、他の構成要素の動作を制御する制御部(1つまたは複数のプロセッサまたはマイクロコントローラ)と、コントロール・パネル/タッチスクリーンと、給紙部を用いて、制御部の制御の下に文書を印刷する印刷エンジンとを有し、
前記プリンタは、2次元バーコードをプリンタのコントロール・パネル/タッチスクリーン上に表示し、
前記2次元バーコードは、プリンタで生成され、プリンタID、プリンタへの経路情報(MMS、Bluetooth、HTTPなど)、プリンタダイアログボックスの任意の記述子(XML記述子)を符号化したものであり、
ユーザは、モバイルデバイスを用いて2次元バーコードをスキャン及び復号し、
モバイルデバイスは、復号されたXML記述子に応じてディスプレイにプリンタダイアログボックスをレンダリングし、
ユーザは、プリンタダイアログボックスにより、印刷する文書の指定、文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)の指定を含む、印刷ジョブの設定を行い、
印刷ジョブの設定が完了すると、モバイルデバイスは、自身の通信インターフェースを使用し、経路情報を用いて、プリンタIDと共にプリントサーバへ印刷ジョブをアップロードし、
プリンタサーバは、印刷対象の文書を取得し、文書に対応する印刷データをレンダリングし、印刷のためにプリンタに印刷データを送信する、
印刷システム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明における「印刷システム」の「プリンタ」は、本願補正発明と同様に「印刷装置」であるといえる。
(2)引用発明における「他の構成要素の動作を制御する制御部(1つまたは複数のプロセッサまたはマイクロコントローラ)」、「給紙部を用いて、制御部の制御の下に文書を印刷する印刷エンジン」は、それぞれ、本願補正発明の「一以上のプロセッサ」、「印刷データを処理し、該印刷データを表す電子文書の印刷用のバージョンを、印刷装置で印刷するよう構成される印刷手段」に相当する。
(3)引用発明において、「2次元バーコード」は符号化されたデータであり、「2次元バーコードは、プリンタで生成され」るから、引用発明は、本願補正発明の「符号化データを生成するための符号化データ生成手段」に相当する手段を有しているといえる。
(4)引用発明の「2次元バーコード」を表示する「コントロール・パネル/タッチスクリーン」は、本願補正発明の「符号化データを表示するためのディスプレイ」に相当する。
(5)引用発明の「2次元バーコード」は、「プリンタダイアログボックスの任意の記述子(XML記述子)を符号化したもの」を含んでいるが、当該記述子で記述される「プリンタダイアログボックス」は、「文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)の指定」をするためのものであり、「文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)」は、「プリンタの機能及びオプション」であるといえる。
そうすると、引用発明の「2次元バーコード」に符号化される「プリンタダイアログボックスの任意の記述子(XML記述子)」は、本願補正発明の「a)当該印刷装置により現時点でサーポートされる機能及びオプション」に相当するといえる。
(6)引用発明の「2次元バーコード」に符号化される「プリンタID」は、本願補正発明の「b)印刷装置のプリンタ識別子」に相当する。
(7)引用発明の「2次元バーコード」に符号化される「プリンタへの経路情報(MMS、Bluetooth、HTTPなど)」は、「モバイルデバイス」が、「自身の通信インターフェースを使用し、プリンタIDと共にプリントサーバへ印刷ジョブをアップロード」するのに用いられ、「印刷ジョブ」は、「印刷する文書の指定、文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)の指定」を含むから、引用発明の「プリントサーバ」、「印刷する文書の指定」、「文書をどのように印刷したいか(例えば、両面-片面、より明るく、より暗く、部数、綴じ、中間調処理など)の指定」は、それぞれ、本願補正発明の「ネットワークサービス」、「電子文書の識別データ」、「印刷設定の選択データ」に相当するといえる。
よって、引用発明の「プリンタへの経路情報(MMS、Bluetooth、HTTPなど)」は、本願補正発明の「c)ネットワークサービスのネットワークサービスインターフェースデータ」に相当するものであって、本願補正発明と同様に、「前記ネットワークサービスインターフェースデータにより、モバイル装置が、印刷設定の選択データと、電子文書の識別データとを、前記ネットワークサービスへ送信可能となる」ものである。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有している。
[一致点]
「印刷装置であって:
一以上のプロセッサと;
印刷データを処理し、該印刷データを表す電子文書の印刷用のバージョンを、当該印刷装置で印刷するよう構成される印刷手段と;
符号化データを生成するための符号化データ生成手段と;
符号化データを表示するためのディスプレイであって、該符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる機能及びオプション;
b)当該印刷装置のプリンタ識別子;及び
c)ネットワークサービスのネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、前記ネットワークサービスインターフェースデータにより、モバイル装置が、印刷設定の選択データと、電子文書の識別データとを、前記ネットワークサービスへ送信可能となる、ディスプレイと;
を有する、
印刷装置。」

[相違点]
本願補正発明は、「前記ディスプレイは、前記符号化データと異なる、更新された符号化データを表示するようさらに構成され、該更新された符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる前記機能及びオプション;
b)当該印刷装置の前記プリンタ識別子;及び
c)前記ネットワークサービスの更新されたネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、
前記符号化データ生成手段は、前記更新された符号化データを、(i)前記ネットワークサービスの所在が変更されたとき、(ii)当該印刷装置がアップグレードされたとき、および(iii)当該印刷装置が別のネットワークに再配置されたときのうちの少なくとも一つにおいて生成するよう構成され」るのに対し、引用発明ではそうではない点。

4 判断
上記[相違点]について、検討する。
一般に、通信ネットワークにおいて、装置の移動等によりネットワークアドレスが変更される等のネットワークの変更が頻繁に生じることは技術常識であるが、ネットワークの構成が変更されれば、ネットワークの変更された構成に伴い関係する設定を速やかに変更することは、当業者が当然行うべき事項である。
そうすると、引用発明において、プリントサーバの位置が変更された場合に、そのタイミングで、プリントサーバの変更された位置に基づいた経路情報を含んだ2次元バーコードを生成するよう構成し、相違点に係る本願補正発明に係る択一的に記載された構成のうち、
「ディスプレイは、前記符号化データと異なる、更新された符号化データを表示するようさらに構成され、該更新された符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる前記機能及びオプション;
b)当該印刷装置の前記プリンタ識別子;及び
c)前記ネットワークサービスの更新されたネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、
前記符号化データ生成手段は、前記更新された符号化データを、(i)前記ネットワークサービスの所在が変更されたとき、において生成するよう構成され」るよう構成することは、当業者が容易に想到し得た事項である。

以上判断したとおり、本願補正発明における上記相違点に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のとおり、本願補正発明は引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項の規定により準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
平成28年11月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年7月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「印刷装置であって:
一以上のプロセッサと;
印刷データを処理し、該印刷データを表す電子文書の印刷用のバージョンを、当該印刷装置で印刷するよう構成される印刷手段と;
符号化データを生成するための符号化データ生成手段と;
符号化データを表示するためのディスプレイであって、該符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる機能及びオプション;
b)当該印刷装置のプリンタ識別子;及び
c)ネットワークサービスのネットワークサービスインターフェースデータ;
を表し、前記ネットワークサービスインターフェースデータにより、モバイル装置が、印刷設定の選択データと、電子文書の識別データとを、前記ネットワークサービスへ送信可能となる、ディスプレイと;
を有し、
前記ディスプレイは、前記符号化データと異なる、更新された符号化データを表示するようさらに構成され、該更新された符号化データは:
a)当該印刷装置により現時点でサポートされる前記機能及びオプション;
b)当該印刷装置の前記プリンタ識別子;及び
c)前記ネットワークサービスの更新されたネットワークサービスインターフェースデータ;
を表す、
印刷装置。」

2 引用発明
引用発明は、上記「第2」の「2 引用発明」の欄に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「更新された符号化データ」について、「前記符号化データ生成手段は、前記更新された符号化データを、(i)前記ネットワークサービスの所在が変更されたとき、(ii)当該印刷装置がアップグレードされたとき、および(iii)当該印刷装置が別のネットワークに再配置されたときのうちの少なくとも一つにおいて生成するよう構成されている」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」の「3」ないし「4」に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-20 
結審通知日 2017-09-26 
審決日 2017-10-10 
出願番号 特願2012-157538(P2012-157538)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩澤 如正  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 新川 圭二
山澤 宏
発明の名称 印刷装置、記憶媒体及びモバイル装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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