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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1334894
審判番号 不服2017-4305  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-27 
確定日 2017-11-24 
事件の表示 特願2014-220051号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日出願公開、特開2015- 24238号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年1月8日に出願した特願2009-002940号の一部を平成25年10月15日に新たな特許出願(特願2013-214767号)とし、さらにその一部を平成26年10月29日に新たな特許出願(特願2014-220051号)としたものであって、平成27年10月20日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年12月10日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成28年6月9日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年8月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年1月24日付けで補正の却下の決定がなされるとともに同日付で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年3月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成29年3月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年3月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段と、遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段とを備え、前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、
前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段と、
前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段とを備え、
前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し、
前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間は複数種類ある、
ことを特徴とする遊技機。」
から、
「【請求項1】
A 始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段と、
B 遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段とを備え、
C 前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、
D 前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段と、
E 前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段と、
F 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段とを備え、
G 前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し、
H 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間は複数種類あり、該変化させるまでの期間に応じて異なる遊技価値を付与可能である、
I ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、当審において請求項1をA?Iに分説した)。

2 補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間」に関し、補正前の「複数種類ある」との記載を「複数種類あり、該変化させるまでの期間に応じて異なる遊技価値を付与可能である」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2008-173187号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1-a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技領域に設けられた始動領域にて遊技媒体を検出する始動検出手段と、該始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化する始動動作を行う可変入賞装置と、該可変入賞装置に設けられた複数の領域のうち特定領域に進入した遊技媒体を検出する特定検出手段とを備え、始動動作にて第1の状態となった可変入賞装置に進入した遊技媒体が特定検出手段によって検出されたことに対応して、遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技領域に設けられた始動領域(始動入賞口あるいは始動口)にて遊技媒体である遊技球が検出されたことに基づいて、開閉部材(いわゆる羽根部材)により大入賞口を開放し、大入賞口に進入した遊技球が可変入賞装置内の特定領域(Vゾーン)に進入することによるV入賞が生じると、特定遊技状態(大当り遊技状態)となるパチンコ遊技機が知られている。」

(1-b)
「【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の遊技機は、遊技領域(例えば遊技領域41など)に設けられた始動領域(例えば始動領域56など)にて遊技媒体(例えば遊技球など)を検出する始動検出手段(例えば始動口スイッチ60など)と、該始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、遊技者にとって有利な第1の状態(例えば開放状態など)と遊技者にとって不利な第2の状態(例えば閉鎖状態など)とに変化する始動動作を行う可変入賞装置(例えば第1特別可変入賞球装置66など)と、・・・前記始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、各々が識別可能な複数種類の第1識別情報(例えば特別図柄など)の可変表示を行う第1可変表示手段(例えば特別図柄表示装置44aなど)と、・・・を備え、前記始動動作にて前記第1の状態となった前記可変入賞装置に進入した遊技媒体が前記特定検出手段によって検出されたことに対応して、遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、・・・」

(1-c)
「【0030】
遊技領域41には、第1特別可変入賞球装置66、第2特別可変入賞球装置47、普通可変入賞球装置61、普通図柄表示装置63などが設けられている。その他にも、遊技領域41には、例えば通常入賞口53a?53cといった、遊技球を入賞させる各種の入賞口、あるいは、例えば通過ゲート58といった、遊技球を通過させる通過領域、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、遊技領域41の最下方には、いずれの入賞領域にも入賞しない遊技球が取り込まれるアウト口69が設けられている。
【0031】
第1特別可変入賞球装置66の左側方には、普通可変入賞球装置61が設けられている。図2(A)及び(B)は、図1に示すα-β間における普通可変入賞球装置61の断面図であり、普通可変入賞球装置61の内部構造を拡大して示している。普通可変入賞球装置61は、遊技領域41にて遊技球が進入可能な通路に設けられ、始動領域56、始動口スイッチ60、板状の可変誘導部材61aを含んで形成されている。可変誘導部材61aは、普通電動役物用ソレノイド59の駆動力によって進出と退避とが切り替わり、進出したときには遊技球を始動領域56へと誘導可能にする。例えば、普通電動役物用ソレノイド59が駆動されず可変誘導部材61aがパチンコ遊技機1の奥行き方向における奥側に退避しているときには、図2(A)に示すように、普通可変入賞球装置61に進入した遊技球を始動領域56に誘導することが困難(不可能)になり、始動領域56に進入しなかった遊技球は、遊技領域41へと戻るように誘導される。これに対して、普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aがパチンコ遊技機1の奥行き方向における手前側に進出しているときには、図2(B)に示すように、普通可変入賞球装置61に進入した遊技球を始動領域56に誘導することが容易(可能)になる。始動領域56に進入した遊技球は、始動口スイッチ60によって検出される。」

(1-d)
「【0060】
特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ、所定時間が経過した後に閉鎖状態に戻す。このような小当り遊技状態で行われる開口部82の開閉動作を始動動作という。例えば、小当り遊技状態では、開口部82を開閉する始動動作が、例えば2回といった複数回行われ、各始動動作において、第1特別可変入賞球装置66を遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態に変化させる。なお、小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開口部82を開閉する始動動作が複数回行われるものに限らず、始動動作が1回だけ行われてもよい。このように、始動動作は、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づき、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームの可変表示結果が「小当り」となったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66の開口部82を、遊技者にとって不利な第2の状態である閉鎖状態から遊技者にとって有利な第1の状態である開放状態とした後に再び第2の状態である閉鎖状態へと変化させる。
【0061】
始動動作にて開放状態となった開口部82から第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態となる。・・・」

(1-e)
「【0070】
パチンコ遊技機1には、例えば図6に示すような主基板120や演出制御基板90、音声枠ランプ基板92、ランプドライバ基板93、電源基板97、払出制御基板98、残高表示基板104といった、各種の制御基板が搭載されている。
・・・
【0075】
主基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ99が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ99は、例えば1チップマイクロコンピュータであり、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)100と、ワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)111と、プログラムに従って遊技の進行を制御するCPU(Central Processing Unit)112と、演出制御基板90等に制御信号となるコマンドを送信するI/O114とを含んでいる。遊技制御用マイクロコンピュータ99では、CPU112がROM100から読み出したプログラムを実行し、RAM111をワークエリアとして用いることで、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
・・・
【0077】
・・・遊技制御用マイクロコンピュータ99では、乱数値MR1が所定の範囲内にあるか否かを、例えばCPU112によって判定することにより、可変表示結果を「大当り」とするか否かの判定や、「小当り」とするか否かの判定が行われる。」

(1-f)
「【0158】
図24は、特別図柄プロセス処理として、図21に示すステップS16にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU112は、特図プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。
【0159】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、普通可変入賞球装置61に設けられた始動口スイッチ60により始動領域56に進入した遊技球が検出されたことなどに基づき、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定などが行われる。さらに、特別図柄通常処理では、特図表示結果に対応して特別図柄表示装置44aによる特図ゲームにおける停止図柄(確定特別図柄)が決定される。・・・
・・・
【0162】
ステップS113の小当り開放時処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この小当り開放時処理では、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。また、小当り開放時処理では、小当り制御パターンに従って、各種の設定や制御が実行される。」

(1-g)
「【0167】
図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。図25に示す特別図柄通常処理において、CPU112は、まず、始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態であるか否かを判定することにより、始動領域56に遊技球が進入したか否かの判定を行う(ステップS201)。このとき、始動口スイッチ60からの検出信号がオフ状態であれば(ステップS201;No)、そのまま特別図柄通常処理を終了する。
【0168】
ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合には(ステップS201;Yes)、例えば乱数発生回路60aにて更新可能にカウントされる数値データを抽出することなどにより、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202にて取得した乱数値MR1に基づき、図8に示すような特図表示結果判定テーブル200を参照することにより、特図ゲームにおける可変表示結果となる特図表示結果の判定を行う(ステップS203)。このとき、特図表示結果を「大当り」とする旨の判定がなされた場合には、遊技制御フラグ設定部162に設けられた大当りフラグをオン状態にセットすればよい。他方、特図表示結果を「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする旨の判定がなされた場合には、遊技制御フラグ設定部162に設けられた小当りフラグをオン状態にセットすればよい。
【0169】
ステップS203にて特図表示結果の判定を行った後には、図10に示す特図変動パターン決定テーブル220を参照することにより、特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定する(ステップS204)。続いて、CPU112は、例えば小当りフラグがオンであるか否かを判定することなどにより、ステップS203にて特図表示結果を「小当り」とする旨の判定がなされたか否かの判定を行う(ステップS205)。このとき、「小当り」とする旨の判定がなされていれば(ステップS205;Yes)、始動インターバル時間の決定を行う(ステップS206)。ここで、始動インターバル時間は、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出されたことに基づき、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームを開始してから、特図表示結果が「小当り」となったことに対応する小当り遊技状態における始動動作により第1大入賞口となる開口部82を開放状態とするまでの時間である。・・・

(1-h)
「【0231】
図34は、図32のステップS143にて実行される普通図柄停止処理の一例を示すフローチャートである。この普通図柄停止処理において、CPU112は、まず、普図表示結果フラグの値が「第1普図当り」に対応した“1”であるか否かを判定する(ステップS371)。・・・
【0232】
ステップS371にて普図表示結果フラグの値が“1”ではない場合には(ステップS371;No)、その値が「第2普図当り」に対応した“2”であるか否かを判定する(ステップS373)。・・・
・・・
【0234】
例えば、ステップS372、S374の処理においてセットした普電作動パターンに対応して、普通可変入賞球装置61に設けられた普通電動役物用ソレノイド59を駆動して可変誘導部材61aを進出させることで始動領域56に遊技球が進入可能となる入賞可能時間が設定される。・・・
【0235】
言い換えると、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となることに対応して5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる一方で、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応して0.1秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。他方、パチンコ遊技機1における遊技状態が特別遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となるか「第2普図当り」となるかに関わりなく、普図ゲームでの可変表示結果が「普図当り」となることに対応して、5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。そして、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときに、普図表示結果が「第1普図当り」となる場合には、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応した0.1秒間よりも長い5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となることから、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合に比べて、遊技者にとって有利な第1誘導動作が行われることになる。他方、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合には、普図表示結果が「第1普図当り」となる場合に行われる第1誘導動作に比べて、遊技者にとって不利な第2誘導動作が行われることになる。」

(1-i)
「【0280】
以下、パチンコ遊技機1における具体的な制御の一例について説明する。ここではまず、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果である特図表示結果が「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとなることに対応して小当り遊技状態に制御される場合における制御例について説明する。
・・・
【0281】
パチンコ遊技機1では、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出することで、始動領域56に遊技球が進入可能となる。このとき、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、図41(A)に示すように、始動口スイッチ60から出力される検出信号がオン状態となったことに基づいて、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームが開始され、特別図柄の可変表示が行われる。
【0282】
このとき、例えば図25(A)に示すステップS202の処理にて取得した特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、ステップS203にて図8に示す特図表示結果判定テーブル200を参照することで、特図表示結果となる表示結果種別を「第1小当り」とする判定あるいは「第2小当り」とする判定がなされたとする。この場合、ステップS204の処理では、図10に示す特図変動パターン決定テーブル220を参照することにより、「第1小当り」に対応する特図変動パターンとしては「小当りA」の特図変動パターンが決定され、「第2小当り」に対応する特図変動パターンとしては「小当りB」の特図変動パターンが決定される。「小当りA」あるいは「小当りB」の特図変動パターンが決定された場合には、特図ゲームにて特別図柄の変動を開始してから確定特別図柄を導出表示して特図ゲームを終了するまでの特図変動時間が「5.0秒」となる。
・・・
【0284】
これらの決定結果や設定内容に基づき、特別図柄表示装置44aでは、例えば図41(B)に示すように、特別図柄の変動を開始してから「5.0秒」が経過したときに、可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示して特図ゲームを終了する。そして、特図表示結果が「第1小当り」となる場合には、図26に示すステップS228にて第1小当り時用の小当り制御パターンKP1がセットされる一方で、特図表示結果が「第2小当り」となる場合には、図26に示すステップS228にて第2小当り時用の小当り制御パターンKP2がセットされる。こうしてセットされた第1小当り時用の小当り制御パターンKP1あるいは第2小当り時用の小当り制御パターンKP2で定められた駆動パターンに従い、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから、例えば1.0秒といった所定の待機時間が経過したときに、始動インターバル時間となる「6.0秒」が経過したことに対応して、図41(C)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始され、開閉片81が第1大入賞口となる開口部82を2回にわたり閉鎖状態から開放状態とする始動動作が行われる。」

(1-j)
「【0303】
これらの決定結果や設定内容に基づき、特別図柄表示装置44aでは、例えば図43(B)に示すように、特別図柄の変動を開始してから「7.0秒」が経過したときに、可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示して特図ゲームを終了する。そして、特図表示結果が「第3小当り」となる場合には第3小当り時用の小当り制御パターンKP3がセットされる一方で、特図表示結果が「第4小当り」となる場合には第4小当り時用の小当り制御パターンKP4がセットされる(図26のステップS228)。第3小当り時用の小当り制御パターンKP3で定められた駆動パターンでは、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから2.0秒が経過したときに、始動インターバル時間となる「9.0秒」が経過したことに対応して、図43(C)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始され、開閉片81が第1大入賞口となる開口部82を2回にわたり閉鎖状態から開放状態とする始動動作が行われる。第4小当り時用の小当り制御パターンKP4で定められた駆動パターンでは、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから5.0秒が経過したときに、始動インターバル時間となる「12.0秒」が経過したことに対応して、図43(D)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始される。」

以上の記載事項から、以下の認定をすることができる。
(1-k)上記(1-c)の【0031】には、「普通可変入賞球装置61は、・・・可変誘導部材61aを含んで形成されている。可変誘導部材61aは、普通電動役物用ソレノイド59の駆動力によって進出と退避とが切り替わり、進出したときには遊技球を始動領域56へと誘導可能にする。・・・可変誘導部材61aが・・・退避しているときには、・・・遊技球を始動領域56に誘導することが困難(不可能)になり、・・・」と記載され、同【0030】には、「遊技領域41には、・・・普通可変入賞球装置61、・・・が設けられている。」と記載されており、遊技領域41はパチンコ遊技機1に備えられていることが明らかであるため、上記(1-c)にはパチンコ遊技機1は「始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」を備えることが記載されているといえる。

(1-l)上記(1-d)の【0060】には「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づき、・・・「小当り」となったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66の開口部82を、・・・開放状態とし」と記載され、同【0060】には「第1特別可変入賞球装置66を遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態に変化させる。」と記載され、同【0061】には、「開放状態となった開口部82から第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態となる。」と記載されており、上記(1-b)の【0007】には、「遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって」と記載されていることから、上記(1-b)及び(1-d)には、「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りとなったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御するパチンコ遊技機1」であることが記載されているといえる。

(1-m)上記(1-h)の【0234】には、「普通可変入賞球装置61に設けられた普通電動役物用ソレノイド59を駆動して可変誘導部材61aを進出させることで始動領域56に遊技球が進入可能となる入賞可能時間が設定される。」と記載されていることから、始動領域56に遊技球が進入可能となるのは、可変誘導部材61aを進出させた場合であることは明らかであるため、同【0234】には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合」がある点が記載されているといえる。
また、同【0235】には、「パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となることに対応して5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる一方で、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応して0.1秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。」と記載されているが、ここで「始動領域56に遊技球が進入可能となる」のは、【0234】に記載されるように「可変誘導部材61aを進出させ」た場合であることは明らかである。
さらに、同【0235】には、「普図表示結果が「第1普図当り」となる場合には、・・・5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となることから、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合に比べて、遊技者にとって有利な第1誘導動作が行われることになる。他方、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合には、・・・第2誘導動作が行われることになる。」と記載されていることから、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となる場合が第1普図当りに対応した「第1誘導動作」であり、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となる場合が第2普図当たりに対応した「第2誘導動作」とすることが記載されているといえる。
以上より、上記(1-h)には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とする」ことが記載されているといえる。
また、同【0231】には、「普通図柄停止処理において、CPU112は、まず、普図表示結果フラグの値が「第1普図当り」に対応した“1”であるか否かを判定する(ステップS371)。」と記載され、同【0232】には、「ステップS371にて普図表示結果フラグの値が“1”ではない場合には(ステップS371;No)、その値が「第2普図当り」に対応した“2”であるか否かを判定する(ステップS373)。」と記載されており、上記(1-e)の【0070】には、「パチンコ遊技機1には、・・・主基板120や・・・残高表示基板104といった、各種の制御基板が搭載されている。」と記載され、同【0075】には、「主基板120には、・・・遊技制御用マイクロコンピュータ99が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ99は、・・・CPU(Central Processing Unit)112と、・・・を含んでいる。」と記載されていることから、パチンコ遊技機1は第1普図当りまたは第2普図当りを判定するCPU112を備えているといえる。
以上の記載から、上記(1-e)及び(1-h)には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため、パチンコ遊技機1は「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112」を備えることが記載されているといえる。

(1-n)上記(1-d)の【0060】には、「特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ」と記載され、上記(1-e)の【0077】には「遊技制御用マイクロコンピュータ99では、乱数値MR1が所定の範囲内にあるか否かを、例えばCPU112によって判定することにより、可変表示結果を「大当り」とするか否かの判定や、「小当り」とするか否かの判定が行われる。」と記載されていることから、上記(1-d)及び(1-e)には、「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」が記載されているといえる。
また、上記(1-m)の検討より、上記(1-e)の記載から、パチンコ遊技機1はCPU112を備えているといえる。
そうすると、上記(1-d)及び(1-e)には、パチンコ遊技機1は「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」を備えることが記載されているといえる。

(1-o)上記(1-f)の【0158】には、「CPU112は、・・・以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。」と記載され、上記(1-g)の【0167】には、「図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。」と記載され、同【0169】には、図25の処理である特別図柄通常処理として「特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定する(ステップS204)。」と記載され、上記(1-i)の【0281】には、「特別図柄表示装置44aによる特図ゲームが開始され、特別図柄の可変表示が行われる。」と記載され、同【0282】には、「「小当りA」あるいは「小当りB」の特図変動パターンが決定された場合には、特図ゲームにて特別図柄の変動を開始してから確定特別図柄を導出表示して特図ゲームを終了するまでの特図変動時間が「5.0秒」となる。」と記載されていることから、上記(1-f)、(1-g)及び(1-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」が記載されているといえる。
そして、上記(1-b)の【0007】には、「遊技機は、・・・第1可変表示手段(例えば特別図柄表示装置44aなど)と、・・・を備え、・・・遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、・・・」と記載されていることから、特別図柄表示装置44aはパチンコ遊技機1に備えられているといえる。
そうすると、上記(1-b)、(1-f)、(1-g)及び(1-i)には、パチンコ遊技機1は「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」を備えることが記載されているといえる。

(1-p)上記(1-i)の【0281】には、「パチンコ遊技機1では、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出することで、始動領域56に遊技球が進入可能となる。このとき、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され・・・」と記載され、上記(1-m)で検討したとおり、上記(1-h)の【0235】には、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となる場合が第1普図当りに対応した「第1誘導動作」であり、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となる場合が第2普図当たりに対応した「第2誘導動作」とすることが記載されているといえるから、上記(1-h)及び(1-i)には、「普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され」ることが記載されているといえる。
また、上記(1-g)の【0167】には、「図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。」と記載され、同【0168】には、図25の処理である特別図柄通常処理について「ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合には(ステップS201;Yes)、例えば乱数発生回路60aにて更新可能にカウントされる数値データを抽出することなどにより、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202にて取得した乱数値MR1に基づき、図8に示すような特図表示結果判定テーブル200を参照することにより、特図ゲームにおける可変表示結果となる特図表示結果の判定を行う(ステップS203)。」と記載され、上記(1-f)の【0159】には、「ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。・・・特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定などが行われる。」と記載され、同【0162】には、「小当り開放時処理では、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。」と記載されていることから、上記(1-f)及び(1-g)には、「ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う」ことが記載されているといえる。
そして、上記(1-f)の【0158】には、「CPU112は、・・・以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。」と記載されている。
そうすると、上記(1-f)?(1-i)には、「CPU112は、ステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う処理を実行」する点が記載されているといえる。

(1-q)上記(1-i)の【0284】には、「こうしてセットされた第1小当り時用の小当り制御パターンKP1あるいは第2小当り時用の小当り制御パターンKP2で定められた駆動パターンに従い、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから、例えば1.0秒といった所定の待機時間が経過したときに、始動インターバル時間となる「6.0秒」が経過したことに対応して、図41(C)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始され、開閉片81が第1大入賞口となる開口部82を2回にわたり閉鎖状態から開放状態とする始動動作が行われる。」と記載され、上記(1-j)の【0303】には、「特図表示結果が「第3小当り」となる場合には第3小当り時用の小当り制御パターンKP3がセットされる一方で、特図表示結果が「第4小当り」となる場合には第4小当り時用の小当り制御パターンKP4がセットされる(図26のステップS228)。第3小当り時用の小当り制御パターンKP3で定められた駆動パターンでは、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから2.0秒が経過したときに、始動インターバル時間となる「9.0秒」が経過したことに対応して、図43(C)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始され、開閉片81が第1大入賞口となる開口部82を2回にわたり閉鎖状態から開放状態とする始動動作が行われる。第4小当り時用の小当り制御パターンKP4で定められた駆動パターンでは、確定特別図柄が導出表示されて特図ゲームが終了してから5.0秒が経過したときに、始動インターバル時間となる「12.0秒」が経過したことに対応して、図43(D)に示すように開閉片用ソレノイド105の駆動が開始される。」と記載され、上記(1-d)の【0060】には、「特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ」と記載されていることから、上記(1-d)、(1-i)及び(1-j)には、「確定特別図柄を導出表示してから開口部82を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当たり時は5.0秒とする」点が記載されているといえる。
また、上記(1-f)の【0162】に、「第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。」と記載されている通り、開口部82を開放状態とすることは、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とすることと同じであるといえる。
そして、上記(1-o)の認定より、上記(1-b)、(1-f)?(1-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う」ことが記載されているといえる。
そうすると、上記(1-b)、(1-f)?(1-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行い、確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当り時は5.0秒とする」ことが記載されているといえる。

したがって、上記(1-a)?(1-i)の記載事項及び(1-k)?(1-p)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?hは、本願補正発明の記号A?Hに対応させて付した。)。
「a 始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61と(1-k)、
b 遊技者にとって有利な開放状態と、遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する第1特別可変入賞球装置66とを備え(1-b)、
c 始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りとなったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御する遊技機であって(1-l)、
d 普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112と(1-m)、
e 第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当たりとするか否かを判定するCPU112と(1-n)、
f CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターン結果に基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44aとを備え(1-o)、
g CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う処理を実行し(1-p)、
h CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンの決定結果に基づき、特別図柄の可変表示を行い、確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当り時は5.0秒とする(1-q)、
i パチンコ遊技機1(【0007】)。」

(2)刊行物2
前置報告書で新たに引用された特開2008-194397号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(2-a)
「【0003】
また、遊技機として、所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う可変入賞球装置を備え、可変入賞球装置に設けられている特別領域(「V入賞領域」ともいう。)に遊技球が進入したこと(「V入賞」ともいう。)にもとづいて遊技状態を特定遊技状態に移行させるように構成された遊技機がある。特定遊技状態では、一般に可動部材を備えた役物が所定回数(例えば16回)開放状態に制御され、遊技球が役物内に進入し役物内に設けられている経路部材を通過した後に入賞領域に入賞すると賞球が払い出される。そして、所定の終了条件が成立すると、可動部材が閉鎖される。」

(2-b)
「【0070】
図15は、特別図柄の停止図柄と当りの種類との関係を示す説明図である。図15に示すように、特別図柄の停止図柄には大当り図柄(この例では、「3」または「7」)と小当り図柄(この例では、「3」および「7」以外)とがあるが、小当り図柄と第2大当り遊技状態におけるラウンド数とは対応している。また、小当り図柄と始動動作状態における役物20の開放回数は対応している。よって、小当り遊技においてV入賞が生ずる前の段階で遊技者の有利不利(開放回数)に関わる表示がなされ、特定入賞口66に遊技球が入賞するか否かに遊技者の興味を引きつけることができる。」

(2-c)
「【0122】
図21に示すように、この実施の形態では、複数種類の小当りがある。・・・また、小当り遊技においてV入賞が生じたことを条件に開始される第2大当り遊技にも複数の種類がある。すなわち、ラウンド数が異なる第2大当り遊技がある。」

(2-d)
図15には、「特別図柄の停止図柄 当りの種類」、「0 小当り:V入賞したら大入賞口3回開放(3R)」、「1 小当り:V入賞したら大入賞口7回開放(7R)」、「2 小当り:V入賞したら大入賞口11回開放(11R)」と記載されている。この図15から、小当り遊技においてV入賞が生じた場合、特別図柄の停止図柄に応じて3R、7R、11Rの3種類の異なるラウンド数が決定されるものといえる。

したがって、上記(2-a)?(2-c)の記載事項及び(2-d)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されている(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う可変入賞球装置を備え、可変入賞球装置に設けられているV入賞領域に遊技球が進入してV入賞が生じたことにもとづいて遊技状態を特定遊技状態に移行させる遊技機において(2-a)、
特定入賞口66に遊技球が入賞するか否かに遊技者の興味を引きつけるため(2-b)、
小当り遊技においてV入賞が生じたことを条件に開始される第2大当り遊技に複数の種類があり(2-c)、
小当り図柄の図柄に応じて3R、7R、11Rの3種類の異なるラウンド数に決定するものである(2-b)、(2-d)。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)?(i)は、刊行物1発明の分節構成と対応させた。

(a)刊行物1発明における「始動領域56」及び「遊技球」は、それぞれ本願補正発明における「始動領域」及び「遊技媒体」に相当する。
また、刊行物1発明において、始動領域56に遊技球を「誘導可能」にすること、及び、始動領域56に遊技球を「誘導することが不可能」にすることは、それぞれ、始動領域56に遊技球を誘導することによって「通過可能」にすること、及び、始動領域56を遊技球が通過不可能にすることであるといえるから、刊行物1発明における「可変誘導部材61aが進出したとき」と「可変誘導部材61aが待避したとき」とに切り替わる「可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」は、本願補正発明における「第1状態」と「第2状態」とに変化可能な「可変始動手段」に相当する。
そして、刊行物1発明における可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61は、可変誘導部材61aが進出したときと可変誘導部材61aが待避したときとに「切り替わる」ものであるから、それぞれの状態に「変化可能」であることは明らかである。
そうすると、刊行物1発明における「始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」を備えることは、本願補正発明における「始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段」を備えることに相当する。

(b)刊行物1発明における「遊技者にとって有利な」「開放状態」及び「遊技者にとって不利な」「閉鎖状態」とは、それぞれ本願補正発明における「遊技者にとって有利な」「第1特別状態」及び「遊技者にとって不利な」「第2特別状態」に相当する。よって、刊行物1発明における「第1特別可変入賞球装置66」は、本願補正発明における「特別状態可変手段」に相当する。
また、刊行物1発明における「第1特別可変入賞球装置66」は、遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態と遊技者にとって不利な第2の状態としての閉鎖状態とに「変化する」ものであるから、それぞれの状態に「変化可能」であることは明らかである。
そうすると、刊行物1発明における「遊技者にとって有利な開放状態と、遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する第1特別可変入賞球装置66」を備えることは、本願補正発明における「遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段」を備えることに相当する。

(c)刊行物1発明における、「大当り遊技状態」は、本願補正発明における「所定の遊技価値」に相当する。
また、刊行物1発明において、「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出され」ることは、始動領域56を遊技球が通過することと同じ意味を示すことは明らかである。
そして、刊行物1発明は、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に「変化させる」ものであるから、第1特別可変入賞球装置66が開放状態に「変化可能」であるといえる。
さらに、刊行物1発明は、第1特別可変入賞球装置66の「内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合」には、「大当り遊技状態に制御する」ものであるから、第1特別可変入賞球装置66の「内部における遊技媒体の通過状況に基づいて」、「大当り遊技状態に制御可能」であるといえる。
そうすると、刊行物1発明における「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りとなったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御する遊技機」は、本願補正発明における「前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機」に相当する。

(d)刊行物1発明における「第1誘導動作」と「第2誘導動作」とを比較すると、前者が「始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる」のに対し、後者が「始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる」ものであるから、「第1誘導動作」の方が「第2誘導動作」よりも遊技球が通過しやすい態様であるといえ、逆に、「第2誘導動作」の方が「第1誘導動作」よりも遊技球が通過しにくい態様であるといえるから、刊行物1発明における「第1誘導動作」及び「第2誘導動作」は、それぞれ本願補正発明における「第1可変状態」及び「第2可変状態」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112」を備えることは、本願補正発明における「前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段」を備えることに相当する。

(e)刊行物1における「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」を備えることは、本願発明における「前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段」を備えることに相当する。

(f)刊行物1発明における「特別図柄表示装置44a」は、「CPU112」により「ステップS110の特別図柄通常処理において決定された特図変動パターン結果に基づき、特別図柄の可変表示を行う」ものであるから、本願補正発明における「可変表示手段」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」を備えることは、本願補正発明における「前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段」を備えることに相当する。

(g)刊行物1発明における「CPU112」は、「ステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行」うものであるが、ここで、「第1普図当り」に基づく「第1誘導動作」により「遊技球が始動口スイッチ60により検出され」た場合と、「第2普図当り」により「遊技球が始動口スイッチ60により検出され」た場合との、いずれの場合であっても、ステップS202にて取得される乱数値MR1により、大当りや小当りの判定を行うものであり、かつ、いずれの場合でも、乱数値MR1やそれを取得するステップS202に対して何らかの影響を与えないことは明らかであるため、刊行物1発明は、第1誘導動作であるときに始動領域56に進入した遊技球が検出されたか、第2誘導動作であるときに始動領域56に進入した遊技球が検出されたかに関わらず、共通のステップS203の処理を行うものであるといえる。
また、上記刊行物1発明は、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態「とするための制御を行う処理を実行」するものであるから、小当りとなるか否かを判定することを通じて第1特別可変入賞球装置66を開放状態「に変化させるか否かを決定」するものであるといえる。
そうすると、刊行物1発明における「CPU112は、特別図柄プロセス処理のステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行うか否かの処理を実行し」は、本願補正発明における「前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し」に相当する。

(h)刊行物1発明における「確定特別図柄」は、本願補正発明における可変表示の「表示結果」に相当する。
また、刊行物1発明は、確定特別図柄を導出表示してから第一特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当り時は5.0秒とするものであるから、確定特別図柄を導出表示してから第一特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は複数種類あるといえる。
そうすると、刊行物1発明と本願補正発明とは「前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間は複数種類あ」る点で共通する。

(i)刊行物1発明における「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明における「遊技機」に相当する。

以上の検討より、本願補正発明と、刊行物1発明とは、
「A 始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段と、
B 遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段とを備え、
C 前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、
D 前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段と、
E 前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段と、
F 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段とを備え、
G 前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し、
H’ 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間は複数種類ある、
I ことを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
可変表示の表示結果が導出されてから特別状態可変手段を第1特別状態に変化させるまでの複数種類の期間に関し、本願補正発明では、変化させるまでの期間に応じて異なる遊技価値を付与可能であるのに対して、刊行物1発明ではそのように特定されていない点。

(4)判断
ア 相違点について
刊行物1発明は、上記「第2 3 (1)」で検討したとおり、確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当り時は5.0秒とするものである。
一方、刊行物2記載の事項は、上記「第2 3 (2)」で検討したとおり、「所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う可変入賞球装置を備え、可変入賞球装置に設けられているV入賞領域に遊技球が進入してV入賞が生じたことにもとづいて遊技状態を特定遊技状態に移行させる遊技機において、
特定入賞口66に遊技球が入賞するか否かに遊技者の興味を引きつけるため、
小当り遊技においてV入賞が生じたことを条件に開始される第2大当り遊技に複数の種類があり、
小当り図柄の図柄に応じて3R、7R、11Rの3種類の異なるラウンド数に決定するものである。」である。
また、刊行物2記載の事項において「異なるラウンド数」とは、本願補正発明における「異なる遊技価値」を意味するものであり、異なるラウンド数「に決定する」ものであることから、異なるラウンド数「を付与可能である」ことを意味することは明らかである。
そうすると、刊行物2記載の事項を、本願補正発明の用語を用いて表現すると、小当り図柄の図柄に応じて「異なる遊技価値を付与可能である」点が記載されているといえる。
刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、いずれも、所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う特別可変入賞球装置を備え、特別可変入賞球装置に設けられているV入賞領域に遊技球が進入してV入賞が生じたことにもとづいて遊技状態を特定遊技状態に移行させるように構成され、V入賞が生じたときに特定遊技状態に移行する遊技機である点で共通するものである。また、刊行物1発明においては小当りの種類に応じて、第1特別可変入賞装置66を開放状態に変化させるまでの待機時間を異ならせているから、第1特別可変入賞装置66に遊技球が入賞するか否かに遊技者の興味を引きつけるという課題を内在するものである。
よって、刊行物1発明における小当りの種類に応じて、第1特別可変入賞装置66を開放状態に変化させるまでの待機時間が異なるパチンコ遊技機1に、刊行物2記載の事項の小当りの種類(図柄)に応じて異なる遊技価値(ラウンド数)を付与する技術を適用して、小当りの種類に応じて第1特別可変入賞装置66を開放状態に変化させるまでの待機時間が異なるだけでなく、付与される遊技価値も異なるようにして、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 請求人の主張について
請求人は、平成29年3月27日付け審判請求書において、本願の請求項1に係る発明では、第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから特別状態可変手段を第1特別状態に変化させるまでの期間に応じて、異なる遊技価値を付与可能であり、所定の遊技価値は、特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて付与可能なものであるのに対し、引用文献1-2の記載は、付与可能な遊技価値を変化させ得るものではなく、「異なる遊技価値」を付与可能とするものではない旨主張する(審判請求書第8頁第4行?第9頁第11行)。
しかしながら、出願人が主張する「異なる遊技価値を付与可能とする」点は、本願補正発明の構成Hに対応する構成かつ上記「(3)対比」で示した[相違点]に係る構成であって、上記アで検討したとおり、刊行物1発明において刊行物2記載の事項を適用することで、当業者が容易になし得たものである。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

エ まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年12月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
A 始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段と、
B 遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段とを備え、
C 前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、
D 前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段と、
E 前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段と、
F 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段とを備え、
G 前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し、
H 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間は複数種類ある、
I ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された発明
(1)刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2008-142348号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)

(3-a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技領域に設けられた始動領域にて遊技媒体を検出する始動検出手段と、該始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化する始動動作を行う可変入賞装置と、該可変入賞装置に設けられた複数の領域のうち特定領域に進入した遊技媒体を検出する特定検出手段とを備え、始動動作にて第1の状態となった可変入賞装置に進入した遊技媒体が特定検出手段によって検出されたことに対応して、遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技領域に設けられた始動領域(始動入賞口あるいは始動口)にて遊技媒体である遊技球が検出されたことに基づいて、開閉部材(いわゆる羽根部材)により大入賞口を開放し、大入賞口に進入した遊技球が可変入賞装置内の特定領域(Vゾーン)に進入することによるV入賞が生じると、特定遊技状態(大当り遊技状態)となるパチンコ遊技機が知られている。」

(3-b)
「【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の遊技機は、遊技領域(例えば遊技領域41など)に設けられた始動領域(例えば始動領域56など)にて遊技媒体(例えば遊技球など)を検出する始動検出手段(例えば始動口スイッチ60など)と、該始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、遊技者にとって有利な第1の状態(例えば開放状態など)と遊技者にとって不利な第2の状態(例えば閉鎖状態など)とに変化する始動動作を行う可変入賞装置(例えば第1特別可変入賞球装置66など)と、・・・前記始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて、各々が識別可能な複数種類の第1識別情報(例えば特別図柄など)の可変表示を行う第1可変表示手段(例えば特別図柄表示装置44aなど)と、・・・を備え、前記始動動作にて前記第1の状態となった前記可変入賞装置に進入した遊技媒体が前記特定検出手段によって検出されたことに対応して、遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、・・・」

(3-c)
「【0029】
遊技領域41には、第1特別可変入賞球装置66、第2特別可変入賞球装置47、普通可変入賞球装置61、普通図柄表示装置63などが設けられている。その他にも、遊技領域41には、例えば通常入賞口53a?53cといった、遊技球を入賞させる各種の入賞口、あるいは、例えば通過ゲート58といった、遊技球を通過させる通過領域、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、遊技領域41の最下方には、いずれの入賞領域にも入賞しない遊技球が取り込まれるアウト口69が設けられている。
【0030】
第1特別可変入賞球装置66の左側方には、普通可変入賞球装置61が設けられている。図2(A)及び(B)は、図1に示すα-β間における普通可変入賞球装置61の断面図であり、普通可変入賞球装置61の内部構造を拡大して示している。普通可変入賞球装置61は、遊技領域41にて遊技球が進入可能な通路に設けられ、始動領域56、始動口スイッチ60、板状の可変誘導部材61aを含んで形成されている。可変誘導部材61aは、普通電動役物用ソレノイド59の駆動力によって進出と退避とが切り替わり、進出したときには遊技球を始動領域56へと誘導可能にする。例えば、普通電動役物用ソレノイド59が駆動されず可変誘導部材61aがパチンコ遊技機1の奥行き方向における奥側に退避しているときには、図2(A)に示すように、普通可変入賞球装置61に進入した遊技球を始動領域56に誘導することが困難(不可能)になり、始動領域56に進入しなかった遊技球は、遊技領域41へと戻るように誘導される。これに対して、普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aがパチンコ遊技機1の奥行き方向における手前側に進出しているときには、図2(B)に示すように、普通可変入賞球装置61に進入した遊技球を始動領域56に誘導することが容易(可能)になる。始動領域56に進入した遊技球は、始動口スイッチ60によって検出される。」

(3-d)
「【0057】
特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ、所定時間が経過した後に閉鎖状態に戻す。このような小当り遊技状態で行われる開口部82の開閉動作を始動動作という。例えば、小当り遊技状態では、開口部82を開閉する始動動作が、1回、あるいは3回といった複数回行われ、各始動動作において、第1特別可変入賞球装置66を遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態に変化させる。このように、始動動作は、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づき、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームの可変表示結果が「小当り」となったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66の開口部82を、遊技者にとって不利な第2の状態である閉鎖状態から遊技者にとって有利な第1の状態である開放状態とした後に再び第2の状態である閉鎖状態へと変化させる。
【0058】
始動動作にて開放状態となった開口部82から第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態となる。・・・」

(3-e)
「【0067】
パチンコ遊技機1には、例えば図6に示すような主基板120や演出制御基板90、音声枠ランプ基板92、ランプドライバ基板93、電源基板97、払出制御基板98、残高表示基板104といった、各種の制御基板が搭載されている。
・・・
【0072】
主基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ99が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ99は、例えば1チップマイクロコンピュータであり、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)100と、ワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)111と、プログラムに従って遊技の進行を制御するCPU(Central Processing Unit)112と、演出制御基板90等に制御信号となるコマンドを送信するI/O114とを含んでいる。遊技制御用マイクロコンピュータ99では、CPU112がROM100から読み出したプログラムを実行し、RAM111をワークエリアとして用いることで、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
・・・
【0074】
特図表示結果判定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける可変表示結果を、「大当り」とするか「小当り」とするかなどの判定を行うために用いられる乱数値であり、例えば「0」?「65535」の範囲の値をとる。すなわち、特図表示結果判定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける可変表示結果に基づきパチンコ遊技機1が大当り遊技状態となるか小当り遊技状態となるかなどの判定を行うために用いられる。・・・遊技制御用マイクロコンピュータ99では、乱数値MR1が所定の範囲内にあるか否かを、例えばCPU112によって判定することにより、可変表示結果を「大当り」とするか否かの判定や、「小当り」とするか否かの判定が行われる。・・・」

(3-f)
「【0153】
図24は、特別図柄プロセス処理として、図21に示すステップS16にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU112は、特図プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。
【0154】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、普通可変入賞球装置61に設けられた始動口スイッチ60により始動領域56に進入した遊技球が検出されたことなどに基づき、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定などが行われる。さらに、特別図柄通常処理では、特図表示結果に対応して特別図柄表示装置44aによる特図ゲームにおける停止図柄(確定特別図柄)が決定される。・・・
・・・
【0157】
ステップS113の小当り開放時処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この小当り開放時処理では、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。また、小当り開放時処理では、小当り制御パターンに従って、各種の設定や制御が実行される。」

(3-g)
「【0162】
図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。図25に示す特別図柄通常処理において、CPU112は、まず、始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態であるか否かを判定することにより、始動領域56に遊技球が進入したか否かの判定を行う(ステップS201)。このとき、始動口スイッチ60からの検出信号がオフ状態であれば(ステップS201;No)、そのまま特別図柄通常処理を終了する。
【0163】
ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合には(ステップS201;Yes)、例えば乱数発生回路60aにて更新可能にカウントされる数値データを抽出することなどにより、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202にて取得した乱数値MR1に基づき、図8に示すような特図表示結果判定テーブル200を参照することにより、特図ゲームにおける可変表示結果となる特図表示結果の判定を行う(ステップS203)。このとき、特図表示結果を「大当り」とする旨の判定がなされた場合には、遊技制御フラグ設定部162に設けられた大当りフラグをオン状態にセットすればよい。他方、特図表示結果を「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする旨の判定がなされた場合には、遊技制御フラグ設定部162に設けられた小当りフラグをオン状態にセットすればよい。
【0164】
ステップS203にて特図表示結果の判定を行った後には、図10に示す特図変動パターン決定テーブル220を参照することにより、特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定する(ステップS204)。」

(3-h)
「【0224】
図34は、図32のステップS143にて実行される普通図柄停止処理の一例を示すフローチャートである。この普通図柄停止処理において、CPU112は、まず、普図表示結果フラグの値が「第1普図当り」に対応した“1”であるか否かを判定する(ステップS371)。・・・
【0225】
ステップS371にて普図表示結果フラグの値が“1”ではない場合には(ステップS371;No)、その値が「第2普図当り」に対応した“2”であるか否かを判定する(ステップS373)。・・・
・・・
【0227】
例えば、ステップS372、S374の処理においてセットした普電作動パターンに対応して、普通可変入賞球装置61に設けられた普通電動役物用ソレノイド59を駆動して可変誘導部材61aを進出させることで始動領域56に遊技球が進入可能となる入賞可能時間が設定される。・・・
【0228】
言い換えると、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となることに対応して5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる一方で、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応して0.1秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。他方、パチンコ遊技機1における遊技状態が特別遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となるか「第2普図当り」となるかに関わりなく、普図ゲームでの可変表示結果が「普図当り」となることに対応して、5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。そして、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときに、普図表示結果が「第1普図当り」となる場合には、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応した0.1秒間よりも長い5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となることから、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合に比べて、遊技者にとって有利な第1誘導動作が行われることになる。他方、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合には、普図表示結果が「第1普図当り」となる場合に行われる第1誘導動作に比べて、遊技者にとって不利な第2誘導動作が行われることになる。」

(3-i)
「【0270】
以下、パチンコ遊技機1における具体的な制御の一例について説明する。ここではまず、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果である特図表示結果が「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとなることに対応して小当り遊技状態に制御される場合における制御例について説明する。・・・
【0271】
パチンコ遊技機1では、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出することで、始動領域56に遊技球が進入可能となる。このとき、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、図40(A)に示すように、始動口スイッチ60から出力される検出信号がオン状態となったことに基づいて、特別図柄表示装置44aによる特図ゲームが開始され、特別図柄の可変表示が行われる。このとき、例えば図25に示すステップS202の処理にて取得した特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、ステップS203にて図8に示す特図表示結果判定テーブル200を参照することで、特図表示結果となる表示結果種別を「第1小当り」とする判定がなされたとする。この場合、ステップS204の処理では、図10に示す特図変動パターン決定テーブル220を参照することにより、「第1小当り」に対応する特図変動パターンとして「小当りA」の特図変動パターンが決定される。この「小当りA」の特図変動パターンが決定された場合には、特図ゲームにて特別図柄の変動を開始してから確定特別図柄を導出表示して特図ゲームを終了するまでの特図変動時間が「1.2秒」となる。
【0272】
これらの判定結果や決定結果に基づき、特別図柄表示装置44aでは、例えば図40(B)に示すように、特別図柄の変動を開始してから1.2秒が経過したときに、可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示して特図ゲームを終了する。・・・
【0273】
第1小当り時用の小当り制御パターンKP1による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第1の開閉駆動パターンで駆動される。この第1の開閉駆動パターンでは、例えば図27に示すステップS242の処理で遊技制御プロセスタイマ値が大入賞口開放開始判定値と合致したことに対応して(ステップS242;Yes)、図40(C)に示すように、特図ゲームが終了してから特図表示結果を示す確定特別図柄を停止表示しておく時間などに対応する所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「1」で開放時間が「1秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が開始される(ステップS243)。
・・・
【0277】
第2小当り時用の小当り制御パターンKP2による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第2の開閉駆動パターンで駆動される。この第2の開閉駆動パターンでは、例えば図41(C)に示すように、特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「1」で開放時間が「2秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。」

(3-j)
「【0282】
第3小当り時用の小当り制御パターンKP3による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第3の開閉駆動パターンで駆動される。この第3の開閉駆動パターンでは、例えば図42(C)に示すように、特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「3」で開放時間が「1秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。
・・・
【0286】
第4小当り時用の小当り制御パターンKP4による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第4の開閉駆動パターンで駆動される。この第4の開閉駆動パターンでは、例えば図43(C)に示すように、特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「3」で開放時間が「2秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。」

以上の記載事項から、以下の認定をすることができる。
(3-k)上記(3-c)の【0030】には、「普通可変入賞球装置61は、・・・可変誘導部材61aを含んで形成されている。可変誘導部材61aは、普通電動役物用ソレノイド59の駆動力によって進出と退避とが切り替わり、進出したときには遊技球を始動領域56へと誘導可能にする。・・・可変誘導部材61aが・・・退避しているときには、・・・遊技球を始動領域56に誘導することが困難(不可能)になり、・・・」と記載され、同【0029】には、「遊技領域41には、・・・普通可変入賞球装置61、・・・が設けられている。」と記載されており、遊技領域41はパチンコ遊技機1に備えられていることが明らかであるため、上記(3-c)にはパチンコ遊技機1は「始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」を備えることが記載されているといえる。

(3-l)上記(3-d)の【0057】には「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づき、・・・小当りになったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66の開口部82を、・・・開放状態とし」と記載され、同【0057】には「第1特別可変入賞球装置66を遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態に変化させる。」と記載され、同【0058】には、「開放状態となった開口部82から第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態となる。」と記載されており、上記(3-b)の【0008】には、「遊技者にとってさらに有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって」と記載されていることから、上記(3-b)及び(3-d)には、「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りになったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御するパチンコ遊技機1」であることが記載されているといえる。

(3-m)上記(3-h)の【0227】には、「普通可変入賞球装置61に設けられた普通電動役物用ソレノイド59を駆動して可変誘導部材61aを進出させることで始動領域56に遊技球が進入可能となる入賞可能時間が設定される。」と記載されていることから、始動領域56に遊技球が進入可能となるのは、可変誘導部材61aを進出させた場合であることは明らかであるため、同【0227】には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合がある」点が記載されているといえる。
また、同【0228】には、「パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるときには、普図表示結果が「第1普図当り」となることに対応して5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる一方で、普図表示結果が「第2普図当り」となることに対応して0.1秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となる。」と記載されているが、ここで「始動領域56に遊技球が進入可能となる」のは、【0227】に記載されるように「可変誘導部材61aを進出させ」た場合であることは明らかである。
さらに、同【0228】には、「普図表示結果が「第1普図当り」となる場合には、・・・5秒間にわたり始動領域56に遊技球が進入可能となることから、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合に比べて、遊技者にとって有利な第1誘導動作が行われることになる。他方、普図表示結果が「第2普図当り」となる場合には、・・・第2誘導動作が行われることになる。」と記載されていることから、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となる場合が第1普図当りに対応した「第1誘導動作」であり、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となる場合が第2普図当たりに対応した「第2誘導動作」とすることが記載されているといえる。
以上より、上記(3-h)には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とする」ことが記載されているといえる。
また、同【0224】には、「普通図柄停止処理において、CPU112は、まず、普図表示結果フラグの値が「第1普図当り」に対応した“1”であるか否かを判定する(ステップS371)。」と記載され、同【0225】には、「ステップS371にて普図表示結果フラグの値が“1”ではない場合には(ステップS371;No)、その値が「第2普図当り」に対応した“2”であるか否かを判定する(ステップS373)。」と記載されており、上記(3-e)の【0067】には、「パチンコ遊技機1には、・・・主基板120や・・・残高表示基板104といった、各種の制御基板が搭載されている。」と記載され、同【0072】には、「主基板120には、・・・遊技制御用マイクロコンピュータ99が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ99は、・・・CPU(Central Processing Unit)112と、・・・を含んでいる。」と記載されていることから、パチンコ遊技機1は第1普図当りまたは第2普図当りを判定するCPU112を備えているといえる。
以上の記載から、上記(3-e)及び(3-h)には、始動領域56に遊技球が進入可能となるため、パチンコ遊技機1は「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112」を備えることが記載されているといえる。

(3-n)上記(3-d)の【0057】には、「特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ」と記載され、上記(3-e)の【0074】には「遊技制御用マイクロコンピュータ99では、乱数値MR1が所定の範囲内にあるか否かを、例えばCPU112によって判定することにより、可変表示結果を「大当り」とするか否かの判定や、「小当り」とするか否かの判定が行われる。」と記載されていることから、上記(3-d)及び(3-e)には、「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」が記載されているといえる。
また、上記(3-m)の検討より、上記(3-e)の記載から、パチンコ遊技機1はCPU112を備えているといえる。
そうすると、上記(3-d)及び(3-e)には、パチンコ遊技機1は「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」を備えることが記載されているといえる。

(3-o)上記(3-f)の【0153】には、「CPU112は、・・・以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。」と記載され、上記(3-g)の【0162】には、「図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。」と記載され、同【0164】には、図25の処理である特別図柄通常処理として「特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定する(ステップS204)。」と記載され、上記(3-i)の【0271】には、「特別図柄表示装置44aによる特図ゲームが開始され、特別図柄の可変表示が行われる。」と記載され、同【0271】には、「「小当りA」の特図変動パターンが決定された場合には、特図ゲームにて特別図柄の変動を開始してから確定特別図柄を導出表示して特図ゲームを終了するまでの特図変動時間が「1.2秒」となる。」と記載され、同【0272】には、「これらの判定結果や決定結果に基づき、特別図柄表示装置44aでは、例えば図40(B)に示すように、特別図柄の変動を開始してから「1.2秒」が経過したときに、可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示して特図ゲームを終了する。」と記載されていることから、上記(3-f)、(3-g)及び(3-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」が記載されているといえる。
そして、上記(3-b)の【0008】には、「遊技機は、・・・第1可変表示手段(例えば特別図柄表示装置44aなど)と、・・・を備え、・・・遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、・・・」と記載されていることから、特別図柄表示装置44aはパチンコ遊技機1に備えられているといえる。
そうすると、上記(3-b)、(3-f)、(3-g)及び(3-i)には、パチンコ遊技機1は「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」を備えることが記載されているといえる。

(3-p)上記(3-i)の【0271】には、「パチンコ遊技機1では、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出することで、始動領域56に遊技球が進入可能となる。このとき、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され・・・」と記載され、上記(3-m)で検討したとおり、上記(3-h)の【0228】には、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となる場合が第1普図当りに対応した「第1誘導動作」であり、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となる場合が第2普図当たりに対応した「第2誘導動作」とすることが記載されているといえるから、上記(3-h)及び(3-i)には、「普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され」ることが記載されているといえる。
また、上記(3-g)の【0162】には、「図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。」と記載され、同【0163】には、図25の処理である特別図柄通常処理について「ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合には(ステップS201;Yes)、例えば乱数発生回路60aにて更新可能にカウントされる数値データを抽出することなどにより、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202にて取得した乱数値MR1に基づき、図8に示すような特図表示結果判定テーブル200を参照することにより、特図ゲームにおける可変表示結果となる特図表示結果の判定を行う(ステップS203)。」と記載され、上記(3-f)の【0154】には、「ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。・・・特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定などが行われる。」と記載され、同【0157】には、「小当り開放時処理では、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。」と記載されていることから、上記(3-f)及び(3-g)には、「ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う」ことが記載されているといえる。
そして、上記(3-f)の【0153】には、「CPU112は、・・・以下のようなステップS110?S117の各処理を実行する。」と記載されている。
そうすると、上記(3-f)?(3-i)には、「CPU112は、ステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う処理を実行」する点が記載されているといえる。

(3-q)上記(3-i)の【0273】には、「第1小当り時用の小当り制御パターンKP1による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第1の開閉駆動パターンで駆動される。この第1の開閉駆動パターンでは、・・・特図ゲームが終了してから特図表示結果を示す確定特別図柄を停止表示しておく時間などに対応する所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「1」で開放時間が「1秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が開始される(ステップS243)。」と記載され、同【0277】には、「第2小当り時用の小当り制御パターンKP2による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第2の開閉駆動パターンで駆動される。この第2の開閉駆動パターンでは、・・・特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「1」で開放時間が「2秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。」と記載され、上記(3-j)の【0282】には、「第3小当り時用の小当り制御パターンKP3による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第3の開閉駆動パターンで駆動される。この第3の開閉駆動パターンでは、・・・特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「3」で開放時間が「1秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。」と記載され、同【0286】には、「第4小当り時用の小当り制御パターンKP4による設定に基づき、開閉片用ソレノイド105は第4の開閉駆動パターンで駆動される。この第4の開閉駆動パターンでは、・・・特図ゲームが終了してから所定の待機時間(例えば0.5秒)が経過した後に、始動動作回数が「3」で開放時間が「2秒」となるように、開閉片用ソレノイド105の駆動制御が行われる。」と記載され、上記(3-d)の【0057】には、「特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となったことに基づく小当り遊技状態では、第1特別可変入賞球装置66の開閉片81を回動させて、開口部82を所定の始動態様で閉鎖状態から開放状態に変化させ」と記載されていることから、上記(3-d)、(3-i)及び(3-j)には、「確定特別図柄を導出表示してから開口部82を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時から第4小当たり時のいずれにおいても0.5秒とする」ことが記載されているといえる。
また、上記(3-f)の【0157】に、「第1特別可変入賞球装置66に設けられた第1大入賞口としての開口部82を、始動動作により開放状態とするための制御が行われる。」と記載されている通り、開口部82を開放状態とすることは、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とすることと同じであるといえる。
そして、上記(3-o)の認定より、上記(3-b)、(3-f)?(3-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う」ことが記載されているといえる。
そうすると、上記(3-b)、(3-f)?(3-i)には、「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行い、確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時から第4小当たり時のいずれにおいても0.5秒とする」ことが記載されているといえる。

したがって、上記(3-a)?(3-i)の記載事項及び(3-k)?(3-p)の認定事項を総合すると、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?hは、本願補正発明の記号A?Hに対応させて付した。)。
「a 始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61と(3-k)、
b 遊技者にとって有利な開放状態と、遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する第1特別可変入賞球装置66とを備え(3-b)、
c 始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りになったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御する遊技機であって(3-l)、
d 普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112と(3-m)、
e 第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当たりとするか否かを判定するCPU112と(3-n)、
f CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターン結果に基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44aとを備え(3-o)、
g CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行う処理を実行し(3-p)、
h CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンの決定結果に基づき、特別図柄の可変表示を行い、確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時から第4小当たり時のいずれにおいても0.5秒とする(3-q)、
i パチンコ遊技機1(【0007】)。」

(2)対比
本願発明と刊行物3発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)?(i)は、刊行物3発明の分節構成と対応させた。

(a)刊行物3発明における「始動領域56」及び「遊技球」は、それぞれ本願発明における「始動領域」及び「遊技媒体」に相当する。
また、刊行物3発明において、始動領域56に遊技球を「誘導可能」にすること、及び、始動領域56に遊技球を「誘導することが不可能」にすることは、それぞれ、始動領域56に遊技球を誘導することによって「通過可能」にすること、及び、始動領域56を遊技球が通過不可能にすることであるといえるから、刊行物3発明における「可変誘導部材61aが進出したとき」と「可変誘導部材61aが待避したとき」とに切り替わる「可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」は、本願発明における「第1状態」と「第2状態」とに変化可能な「可変始動手段」に相当する。
そして、刊行物3発明における可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61は、可変誘導部材61aが進出したときと可変誘導部材61aが待避したときとに「切り替わる」ものであるから、それぞれの状態に「変化可能」であることは明らかである。
そうすると、刊行物3発明における「始動領域56に遊技球を誘導可能な可変誘導部材61aが進出したときと、誘導することが不可能な可変誘導部材61aが待避したときとに切り替わる可変誘導部材61aを含む普通可変入賞球装置61」を備えることは、本願発明における「始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段」を備えることに相当する。

(b)刊行物3発明における「遊技者にとって有利な」「開放状態」及び「遊技者にとって不利な」「閉鎖状態」とは、それぞれ本願発明における「遊技者にとって有利な」「第1特別状態」及び「遊技者にとって不利な」「第2特別状態」に相当する。よって、刊行物3発明における「第1特別可変入賞球装置66」は、本願発明における「特別状態可変手段」に相当する。
また、刊行物3発明における「第1特別可変入賞球装置66」は、遊技者にとって有利な第1の状態としての開放状態と遊技者にとって不利な第2の状態としての閉鎖状態とに「変化する」ものであるから、それぞれの状態に「変化可能」であることは明らかである。
そうすると、刊行物3発明における「遊技者にとって有利な開放状態と、遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する第1特別可変入賞球装置66」を備えることは、本願発明における「遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段」を備えることに相当する。

(c)刊行物3発明における、「大当り遊技状態」は、本願発明における「所定の遊技価値」に相当する。
また、刊行物3発明において、「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出され」ることは、始動領域56を遊技球が通過することと同じ意味を示すことは明らかである。
そして、刊行物3発明は、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に「変化させる」ものであるから、第1特別可変入賞球装置66が開放状態に「変化可能」であるといえる。
さらに、刊行物3発明は、第1特別可変入賞球装置66の「内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合」には、「大当り遊技状態に制御する」ものであるから、第1特別可変入賞球装置66の「内部における遊技媒体の通過状況に基づいて」、「大当り遊技状態に制御可能」であるといえる。
そうすると、刊行物3発明における「始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60によって検出されたことに基づいて、小当りになったことに応じて、第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させ、第1特別可変入賞球装置66の内部に進入した遊技球が特定領域としての第1特定進入口89と第2特定進入口91のいずれかに進入した場合には、大当り遊技状態に制御する遊技機」は、本願発明における「前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機」に相当する。

(d)刊行物3発明における「第1誘導動作」と「第2誘導動作」とを比較すると、前者が「始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる」のに対し、後者が「始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる」ものであるから、「第1誘導動作」の方が「第2誘導動作」よりも遊技球が通過しやすい態様であるといえ、逆に、「第2誘導動作」の方が「第1誘導動作」よりも遊技球が通過しにくい態様であるといえるから、刊行物3発明における「第1誘導動作」及び「第2誘導動作」は、それぞれ本願発明における「第1可変状態」及び「第2可変状態」に相当する。
そうすると、刊行物3発明における「普通可変入賞球装置61の可変誘導部材61aを進出させる場合に、始動領域56に遊技球が5秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第1普図当りに対応した第1誘導動作とするか、始動領域56に遊技球が0.1秒間にわたり進入可能となるよう可変誘導部材61aを進出させる第2普図当りに対応した第2誘導動作とするかとを判定するCPU112」を備えることは、本願発明における「前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段」を備えることに相当する。

(e)刊行物1における「第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させる小当りとするか否かを判定するCPU112」を備えることは、本願発明における「前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段」を備えることに相当する。

(f)刊行物3発明における「特別図柄表示装置44a」は、「CPU112」により「ステップS110の特別図柄通常処理において決定された特図変動パターン結果に基づき、特別図柄の可変表示を行う」ものであるから、本願補正発明における「可変表示手段」に相当する。
そうすると、刊行物3発明における「CPU112はステップS110の特別図柄通常処理において特図表示結果に対応する特図変動パターンを決定し、決定された特図変動パターンに基づき、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置44a」を備えることは、本願発明における「前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段」を備えることに相当する。

(g)刊行物3発明における「CPU112」は、「ステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行」うものであるが、ここで、「第1普図当り」に基づく「第1誘導動作」により「遊技球が始動口スイッチ60により検出され」た場合と、「第2普図当り」により「遊技球が始動口スイッチ60により検出され」た場合との、いずれの場合であっても、ステップS202にて取得される乱数値MR1により、大当りや小当りの判定を行うものであり、かつ、いずれの場合でも、乱数値MR1やそれを取得するステップS202に対して何らかの影響を与えないことは明らかであるため、刊行物3発明は、第1誘導動作であるときに始動領域56に進入した遊技球が検出されたか、第2誘導動作であるときに始動領域56に進入した遊技球が検出されたかに関わらず、共通のステップS203の処理を行うものであるといえる。
また、上記刊行物3発明は、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態「とするための制御を行う処理を実行」するものであるから、小当りとなるか否かを判定することを通じて第1特別可変入賞球装置66を開放状態「に変化させるか否かを決定」するものであるといえる。
そうすると、刊行物3発明における「CPU112は、特別図柄プロセス処理のステップS110の特別図柄通常処理において、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果である普図表示結果が「第1普図当り」あるいは「第2普図当り」となったことに基づき、普通可変入賞球装置61にて普通電動役物用ソレノイド59が駆動されて可変誘導部材61aが進出する第1誘導動作または第2誘導動作とすることで、始動領域56に遊技球が進入可能となり、始動領域56に進入した遊技球が始動口スイッチ60により検出され、ステップS201にて始動口スイッチ60からの検出信号がオン状態である場合に、ステップS202にて特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データを取得し、ステップS203にて取得した乱数値MR1に基づき、特図ゲームにおける可変表示結果としての特図表示結果を、「大当り」とする判定や「第1小当り」から「第4小当り」のいずれかとする判定を行い、特図ゲームにおける可変表示結果が「小当り」となったことに対応して、第1特別可変入賞球装置66を開放状態とするための制御を行うか否かの処理を実行し」は、本願発明における「前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し」に相当する。

(h)刊行物3発明における「確定特別図柄」は、本願発明における可変表示の「表示結果」に相当する。
また、刊行物3発明は、確定特別図柄を導出表示してから第一特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時から第4小当たり時のいずれにおいても0.5秒とするものであるから、確定特別図柄を導出表示してから第一特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間があるといえる。
そうすると、刊行物3発明と本願発明とは「前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間があ」る点で共通する。

(i)刊行物3発明における「パチンコ遊技機1」は、本願発明における「遊技機」に相当する。

以上の検討より、本願発明と、刊行物3発明とは、
「A 始動領域を遊技媒体が通過可能な第1状態と通過不可能な第2状態とに変化可能な可変始動手段と、
B 遊技者にとって有利な第1特別状態と遊技者にとって不利な第2特別状態とに変化可能な特別状態可変手段とを備え、
C 前記始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて前記特別状態可変手段が前記第1特別状態に変化可能であるとともに、前記特別状態可変手段の内部における遊技媒体の通過状況に基づいて所定の遊技価値を付与可能な遊技機であって、
D 前記可変始動手段を前記第1状態に変化させるときに、前記始動領域を遊技媒体が通過しやすい態様で前記第1状態に変化させる第1可変状態とするか、該第1可変状態よりも前記始動領域を遊技媒体が通過しにくい態様で前記第1状態に変化させる第2可変状態とするかとを決定する第1決定手段と、
E 前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定する第2決定手段と、
F 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示を行う可変表示手段とを備え、
G 前記第2決定手段は、前記第1可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したか、前記第2可変状態であるときに前記始動領域を遊技媒体が通過したかにかかわらず、共通の処理に従って、前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるか否かを決定し、
H’ 前記第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから前記特別状態可変手段を前記第1特別状態に変化させるまでの期間がある、
I ことを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
可変表示の表示結果が導出されてから特別状態可変手段を第1特別状態に変化させるまでの期間に関し、本願発明では、複数種類の期間があるのに対して、刊行物3発明ではそのように特定されていない点。

(3)相違点に関する判断
刊行物1発明において「確定特別図柄を導出表示してから第1特別可変入賞球装置66を開放状態に変化させるまでの所定の待機時間は、第1小当り時あるいは第2小当り時は1.0秒、第3小当り時は2.0秒、第4小当り時は5.0秒とする」ことは、上記「第2 3 (3) (h)」にて検討したとおり、第2決定手段の決定に基づく可変表示の表示結果が導出されてから特別状態可変手段を第1特別状態に変化させるまでの期間は「複数種類ある」ことを意味するものである。
刊行物3発明と刊行物1発明とは、いずれも所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う特別可変入賞球装置を備え、特別可変入賞球装置に設けられているV入賞領域に遊技球が進入してV入賞が生じたときにもとづいて遊技状態を特定遊技状態に移行させるように構成され、V入賞が生じたときに特定遊技状態に移行する遊技機である点で共通するため、刊行物3発明における可変表示の表示結果が導出されてから特別状態可変手段を第1特別状態に変化させるまでの期間に関し、刊行物1発明の「複数種類ある」点を適用して、上記相違点に係る本願発明とすることは、当業者が容易になし得たことである。

3 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-25 
結審通知日 2017-09-26 
審決日 2017-10-10 
出願番号 特願2014-220051(P2014-220051)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 瀬津 太朗
鹿戸 俊介
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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