• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01Q
管理番号 1335011
審判番号 不服2016-13222  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-05 
確定日 2017-11-30 
事件の表示 特願2012-165061「アンテナ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日出願公開、特開2014- 27417〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成24年7月25日の出願であって、平成27年12月14日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月15日付けで手続補正がなされ、平成28年5月30日付けで拒絶査定がされ、平成28年9月5日に拒絶査定不服審判が請求されると共に同時に手続補正がなされ、平成29年3月29日付けで当審が拒絶理由を通知し、平成29年6月1日付けで手続補正がなされたものである。


2.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年6月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「基板と、
導電性の材料によって構成されると共に前記基板の第1板面側から突出する形態で設けられ、前記基板の厚さ方向を前後方向としたときの当該前後方向と直交する方向に長手状に延びる本体部と、前記本体部の長手方向一端側と前記基板とを連結する第1連結部と、前記本体部の長手方向他端側と前記基板とを連結する第2連結部とを備え、前記第1連結部を介して前記本体部に給電されるように構成されたエレメントと、
前記基板において前記第2連結部に電気的に接続された導電路として構成される周波数調整部と、
を備え、
前記エレメントは複数設けられ、
各エレメントの前記本体部の長手方向が、それに隣接する他のエレメントの前記本体部の長手方向と異なる方向となるように、それら複数の前記エレメントが前記基板における所定の中央部の周りに並んで配置され、
前記基板は矩形状に構成されており、
前記基板の周縁部を構成する各端部に隣接して沿うように各エレメントがそれぞれ配置され、
前記周波数調整部は、前記第2連結部から前記第1板面に沿って折れ曲がるように当該第1板面側から露出する配線パターンとして構成され、先端側となるにつれて前記第1連結部側に近づくように直線状に配されるか又は複数の折り曲げ箇所を有するように配されることを特徴とするアンテナ。」


3.当審の拒絶理由

一方、当審において平成29年3月29日付けで通知した拒絶理由の概要は、本願請求項1に係る発明は、特開平7-297626号公報(以下、「引用例1」という。)に記載された発明及び特開平3-166803号公報(以下、「引用例2」という。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


4.引用例

引用例1(下線は当審が付与。)には、

「【0009】本発明において上記容量接続端子に接続されるコンデンサは、種々の態様で構成することができる。例えば、上記コンデンサは、基板の少なくとも一部の層を誘電体層として用いることにより構成され得る。このような構造の例としては、上記基板の一方主面に容量取り出し電極を、他方主面に容量取り出し電極と対向するように形成されたグランド電極を形成した構造、あるいは容量取り出し電極及び容量取り出し電極に基板の一部の層を介して対向するように配置されたグランド電極の少なくとも一方を基板内に形成した構造を挙げることができる。
【0010】さらに、上記コンデンサは、基板上に実装されたコンデンサ素子で構成されてもよい。また、上記コンデンサは、基板上に形成された一対の電極間に誘電体層を介在させた構造によって構成することも可能である。
【0011】上記のように、本発明において容量接続端子に接続されるコンデンサは、種々の態様で構成することができ、このようなコンデンサの形態は、アンテナ装置において上記放射体に接続されるコンデンサの必要とする容量値に応じて適宜選択し得る。
【0012】もっとも、上記のように、基板の少なくとも一部の層を誘電体層として用いて構成されたコンデンサが好ましく、その場合には、別部品としてのコンデンサ素子を用意する必要がない。すなわち、別部品としてのコンデンサ素子を用意し、基板上に実装するといった作業を省略することができ、実装作業を簡略化することができる。」

「【0021】図2を参照して、放射体11は、銅もしくは銅合金のような金属材料よりなる金属板を図示の形状に機械加工することにより得られている。放射体11は、平面形状が長方形の放射部12を有する。放射部12は、電波を送受信する機能を果たす。放射部12の一方の短辺側側縁からは、放射部12の幅のまま下方に折り曲げられた折曲部13が形成されている。折曲部13の先端側に、幅の狭い給電端子14及びグランド端子15が折曲部13と一体に形成されている。本実施例では、後述のように、給電端子14及びグランド端子15が、それぞれ、プリント回路基板の挿入孔に挿入されるため、折曲部13の下端13aの位置を決定することにより、放射板12とプリント回路基板の上面との間の間隔を決定することができる。
【0022】放射部12の他方の短辺側側縁からも、放射部12の幅と同一幅の折曲部16が下方に折り曲げられて形成されている。折曲部16の先端には、幅の狭い容量接続端子17が折曲部16と一体に形成されている。」

「【0024】図3(a),(b)を参照して、上記放射体11は、プリント回路基板19に取り付けられている。この取り付けは、プリント回路基板19に設けられた挿入孔19a?19cを利用して行われている。すなわち、プリント回路基板19には、給電端子14が挿入される挿入孔19aと、上記グランド端子15が挿入される挿入孔19bと、容量接続端子17が挿入される挿入孔19cとが形成されている。 取り付けに際しては、挿入孔19aに給電端子14を、上記挿入孔19bにグランド端子15を、挿入孔19cに容量接続端子17を挿入することにより、放射体11がプリント回路基板19に対して図示のように位置決めされる。この場合、上記折曲部13の下端13aがプリント回路基板19の上面に当接する位置で挿入が終了される。従って、前述したように、上記折曲部13の下端13aの位置、すなわち放射部12から下端13aまでの距離を定めておくことにより、グランド端子15の挿入深度及び放射部12とプリント回路基板19の上面との間の距離を決定することができる。
【0025】プリント回路基板19の下面には、グランド電極20が形成されている。そして、グランド電極20が、はんだ21により、挿入孔19bに挿入されたグランド端子15に電気的に接続されている。
【0026】また、図3(b)に示すように、プリント回路基板19の上面には、給電電極22が形成されている。この給電電極22は、挿入孔19aに挿入された給電端子14にはんだ23により電気的に接続されている。他方、図3(a)から明らかなように、グランド電極20にプリント回路基板19の一部の層24を介して対向するように、容量取り出し電極25がプリント回路基板19に内に形成されている。容量取り出し電極25は、挿入孔19cに露出するように形成されており、かつ挿入孔19cに注入されたはんだ26により容量接続端子17に電気的に接続されている。」

「【0038】第1の実施例のアンテナ装置では、容量接続端子とグランド電子との間に接続されるコンデンサは、プリント回路基板19内に形成された容量取り出し電極25と、プリント回路基板19の下面に形成されたグランド電極パターン20とにより構成されていたが、プリント回路基板19の少なくとも一部の層を用いてコンデンサを構成する構造としては、容量取り出し電極及び容量取り出し電極に対向されるグランド電極の少なくとも一方がプリント回路基板19に内蔵されておればよい。すなわち、図3Aに示したコンデンサとは逆に、容量取り出し電極25をプリント回路基板19の基板面に形成し、グランド電極20に接続されるグランド電極をプリント回路基板19内に内蔵させてもよい。あるいは、プリント回路基板19の上面に容量取り出し電極を形成し、グランド電極20との間で静電容量を取り出すように構成してもよい。この場合には、プリント回路基板19の厚み方向の全ての部分がコンデンサを構成するための誘電体層として機能する。」

【図3】(a)

の記載がある。

電波を送受信する機能を果たす放射部12の一方の短辺側側縁からは、下方に折り曲げられた折曲部13が形成され、折曲部13の先端側に給電端子14とグランド端子15が折曲部13と一体に形成され、給電端子14及びグランド端子15が、それぞれプリント回路基板の挿入孔に挿入されるから、折曲部13は放射部12の一方の短辺側側縁とプリント回路基板19とを連結しており、かつ、折曲部13を介して放射部12に給電しているといえる。
一方、他方の短辺側側縁からも、折曲部16が下方に折り曲げられて形成され、容量接続端子17が折曲部16と一体に形成され、プリント基板19に設けられた挿入孔19cに容量接続端子17を挿入するから、折曲部16は放射部12の他方の短辺側側縁とプリント回路基板19とを連結しているといえる。

放射部12について、プリント回路基板19の上面から突出する形態で設けられており、かつプリント回路基板の厚さ方向を前後方向としたとき、放射部は当該前後方向と直交する方向であることは図3(a)より明らかである。

また、容量取り出し電極25は、容量接続端子17に電気的に接続されているから、折曲部16と容量取り出し電極は電気的に接続されているといえる。

上記によれば、引用例1には、

「プリント回路基板19と、
銅よりなる金属板によって構成されると共に、前記プリント回路基板19の上面から突出する形態で設けられ、前記プリント回路基板19の厚さ方向を前後方向としたとき、当該前後方向と直交する方向の長方形の放射部12と、前記放射部12の一方の短辺側側縁から前記放射部12の幅のまま下方に折り曲げられた折曲部13と、前記放射部12の他方の短辺側側縁から前記放射部12の幅と同一幅で下方に折り曲げられて形成されている折曲部16とを備え、前記折曲部13の先端側に幅の狭い給電端子14を備えるように構成された放射体11と、
前記折曲部16に容量接続端子17を介して電気的に接続されている容量取り出し電極25と、
を備え、
前記容量取り出し電極25を前記プリント回路基板19の基板面に形成し、グランド電極20に接続されるグランド電極を前記プリント回路基板19内に内蔵させることを特徴とするアンテナ。」

が記載されていると認める。(以下「引用発明」という。)

引用例2(下線は当審が付与。)には、

「(実施例1)
第1図は本発明による第1の実施例である。ここでは一辺を短絡した長方形のマイクロストリップアンテナを例として示す。第1図(a)は平面図、同図(b)は(a)図のA-A’を切口とした断面図である。図において、誘電体板15の上に4枚の放射導体111?114を設け、各放射導体を短絡導体121?124で接地導体14と短絡する。131?134は各放射導体111?114の給電点であり背面から給電される。放射導体111及び112は同一の大きさであり共振周波数を送信周波数に合わせてあり、放射導体113及び114は同一の大きさであり共振周波数を受信周波数に合わせてある。従って、放射導体111及び113は相異なる大きさとなっている。
また、送信について、同相で放射導体111及び112に給電された信号は、放射導体111及び112により円偏波に合成されるが、一般にこれは使用周波数の半波長以内で構成しなければならないことが知られている。受信についてもアンテナの可逆性から同様であり、円偏波を受信するための放射導体113及び114から構成されている。送信用の放射導体111,112と受信用の放射導体113,114とは互いに干渉しないように配置されている。これらの条件を満足するように、放射導体111,112,113,114が第1図のように配置されており、個々の放射導体について各給電点を通るその短絡導体に対する直交面(例えば111についてA-A’面)により誘電体5上に矩形又は正方形が形成される。なお、送信・受信に必要な帯域幅に放射導体1l1?114の大きさを制限することにより、送信受信間の結合は通信に支障がないようにすることができる。給電点131及び132は接地導体14の背面から給電線を経て方向性結合器を介して送信装置へ接続される。放射導体111及び112は各々互いに直交する直線偏波を発生するので、第4図(a)の構成で示すように、方向性結合器で給電する位相を90度ずらして給電することにより円偏波を合成することができる。右旋、左旋の偏波は方向性結合器の接続方向により選択する。受信も同じ原理で方向性結合器を介すことにより円偏波を受信する。」(3頁右上欄11行?右下欄13行)

第1図(a)

の記載がある。

2002年電子情報通信学会ソサイエティ大会 B-1-130 近藤隆明、山内潤治、中野久松著「円偏波用L型電磁結合給電板状ループアンテナ」(以下、「引用例3」という。「1.まえがき」「2.本論」以外の下線は当審が付与。)には、

「1.まえがき
電磁結合給電された直線偏波用板状ループアンテナが検討されている[1].本稿では板状ループアンテナを4点給電し円偏波放射特性を検討する.
2.本論
試験周波数を3GHz(λ3=10cm)に選ぶ.図1にアンテナ構造を示す.板状ループは厚みBの誘電体基板上に印刷されており,ループ外周には幅dの垂直壁が装着されている.板状ループは4つのL字素子によって電磁結合給電されている.L字素子の垂直部長をL_(V),水平部長をL_(H)とする.反射板は正方形で,その一辺をgとする.4端子(F1,F2,F3,F4)は(1,-j,-1,j)で給電されている.」

図1


したがって引用例2、3に示されるように、「矩形状の誘電体上に4つのアンテナを直交配置して円偏波のアンテナを構成すること。」は周知(以下、「周知技術」という。)である。


5.本願発明と引用発明の対比

引用発明の「プリント回路基板19」は、本願発明の「基板」に
引用発明の「放射体11」は、本願発明の「エレメント」に
引用発明の「折曲部13」は、本願発明の「第1連結部」に
引用発明の「折曲部16」は、本願発明の「第2連結部」に
それぞれ相当する。

引用例1の【0029】に「上記容量取り出し電極25とグランド電極20とが誘電体層である基板層24を介して積層されてコンデンサが構成されている。(中略)よって、上記コンデンサC1の静電容量により、アンテナ装置の共振周波数が低下し、従ってより小型のアンテナ装置を構成することができる。」と記載されているように、引用発明の「容量取り出し電極25」は、グランド電極と共にコンデンサを構成し、該コンデンサによって共振周波数を変更するためのものであるから、引用発明の「容量取り出し電極25」は、本願発明の「周波数調整部」に相当する。

「銅」が導電性の材料であることは技術常識であるから、引用発明の「放射部12」は「導電性の材料によって構成」されているといえ、かつ、引用例1の図3から明らかなように、プリント回路基板19の上面から突出する形態で設けられ、プリント回路基板19の厚さ方向を前後方向としたとき、放射部は当該前後方向と直交する方向の長方形を有しているから、引用発明の「放射部12」の構成と、本願発明の「本体部」の、導電性の材料によって構成されると共に前記基板の第1板面側から突出する形態で設けられ、前記基板の厚さ方向を前後方向としたときの当該前後方向と直交する方向に長手状に延びる構成、との違いは無い。

また、引用例1の段落【0038】の記載によれば、「プリント回路基板19内に形成された容量取り出し電極25と、プリント回路基板19の下面に形成されたグランド電極パターン20」の代わりに、「容量取り出し電極25をプリント回路基板19の基板面に形成し、グランド電極20に接続されるグランド電極をプリント回路基板19内に内蔵させてもよい」のであるから、容量取り出し電極25はプリント回路基板の基板面に形成、すなわち基板面から露出する構成が開示されているといえ、その場合容量取り出し電極25と、屈曲部16とははんだ26により接続されることから、外見上容量取り出し電極25は、折曲部16からプリント基板の基板面に沿って折れ曲がるような構成であるといえる。
さらに、容量取り出し電極25が、折曲部13に近づくように配置されていることは図3(a)より明らかである。

したがって、本願発明と引用発明は、

「基板と、
導電性の材料によって構成されると共に前記基板の第1板面側から突出する形態で設けられ、前記基板の厚さ方向を前後方向としたときの当該前後方向と直交する方向に長手状に延びる本体部と、前記本体部の長手方向一端側と前記基板とを連結する第1連結部と、前記本体部の長手方向他端側と前記基板とを連結する第2連結部とを備え、前記第1連結部を介して前記本体部に給電されるように構成されたエレメントと、
前記基板において前記第2連結部に電気的に接続された導電路として構成される周波数調整部と、
を備え、
前記エレメントは所定数設けられ、
前記周波数調整部は、前記第2連結部から前記第1板面に沿って折れ曲がるように当該第1板面側から露出する配線パターンとして構成され、第1連結部に近づくように配置されることを特徴とするアンテナ。」

で一致し、下記の点で相違する。

相違点1

一致点の「所定数」に関し、本願発明は、複数であるのに対し、引用発明は単一である点。それに伴い、本願発明では、各エレメントの前記本体部の長手方向が、それに隣接する他のエレメントの前記本体部の長手方向と異なる方向となるように、それら複数の前記エレメントが前記基板における所定の中央部の周りに並んで、かつ、矩形状の基板の周縁部を構成する各端部に隣接して沿うように各エレメントがそれぞれ配置されているのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。

相違点2

一致点の「周波数調整部」の「配線パターン」が、本願発明では、「直線状」に配されるか又は「複数の折り曲げ箇所」を有するように配されるのに対し、引用発明では「容量取り出し電極」のパターン形状が明らかでない点。


6.当審の判断

上記相違点について検討する。

相違点1について

引用例1の【0001】に記載されるように、引用発明のアンテナは移動体通信に用いるアンテナである。
そして、移動体通信において円偏波のアンテナを形成することは周知の課題であるから、引用発明において、円偏波のアンテナを形成するようにするための周知技術を用いることは周知の課題の実現に過ぎず、当業者が容易に相当しうることである。
そうすると、円偏波のアンテナとして、「矩形状の誘電体上に4つのアンテナを直交配置して円偏波のアンテナを構成すること。」が周知技術であって、引用発明のプリント回路基板は誘電体であるから、引用発明のプリント回路基板を矩形状として周縁部を構成する各端部に隣接して沿うように4つアンテナを、プリント回路基板上に隣接するアンテナの本体部の長手方向とは異なる方向となるように、プリント回路基板における所定の中央部の周りに並んで配置して円偏波アンテナとして機能させることは当業者が容易に想到しうることである。

相違点2について

引用発明の「容量取り出し電極25」は、グランド電極と共にコンデンサを構成し、所定の静電容量を確保できればその形状は任意であり、また、コンデンサを形成するため、直線状あるいは複数の折り曲げ箇所を有する形状のパターンを用いることは周知慣用の事項であるから、相違点2に係る本願発明のように構成することは、当業者が適宜なし得る事項に過ぎない。


7.請求人の主張

請求人は、平成29年6月1日付け意見書において、本願発明では、周波数調整部は第1板面側から露出する配線パターンとして構成されるから、配線長さが視認しやすくなり、配線長さの変更の有無を容易に把握することができること、第1板面に沿うように折れ曲がるから、周波数調整部の先端の位置が変わったとしても第2連結部に連なる配線パターンの他端の位置が変わらず、要求される周波数に応じた配線パターンになっていない基板を製造したとしても配線パターンの位置を確認するだけで製造不良を特定できることを主張している。

しかし、引用発明においても、「5.本願発明と引用発明の対比」の項で記載したように、「容量取り出し電極25」はプリント回路基板19の基板面に構成されているから、配線長さを視認し、配線パターンの位置を確認することは可能であり、また容量取り出し電極25の先端の位置が変わっても第2連結部に連なる配線パターンの他端の位置が変わらないから、請求人の主張は採用することができない。


8.むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-29 
結審通知日 2017-10-03 
審決日 2017-10-16 
出願番号 特願2012-165061(P2012-165061)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 当秀  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 中野 浩昌
吉田 隆之
発明の名称 アンテナ  
代理人 田下 明人  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ