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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  D04B
管理番号 1335114
異議申立番号 異議2017-700051  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-20 
確定日 2017-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5953470号発明「弾性経編地」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5953470号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4について訂正することを認める。 特許第5953470号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5953470号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成22年8月30日(優先権主張 平成21年12月7日 日本国)を国際出願日とする特願2011-545107号の一部を、平成26年9月8日に新たに特許出願したものであって、平成28年6月24日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人特許業務法人虎ノ門知的財産事務所(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年4月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月19日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。また、訂正を「本件訂正」という。)があり、本件訂正請求に対して、平成29年7月27日に申立人から意見書(以下、「申立人意見書」という。)が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正の内容は、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を、次のように訂正するものである(下線は、訂正箇所を示す)。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であることを特徴とする前記弾性経編地。」
と記載されているのを、
「三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であることを特徴とする前記弾性経編地。」
に訂正する。

イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成している、請求項1に記載の弾性経編地。」
と記載されているのを、
「二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。」
に訂正する。

ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記非弾性繊維の編目の傾きが20?70度である、請求項2に記載の弾性経編地。」
と記載されているのを、
「二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であることを特徴とする弾性経編地。」
に訂正する。

エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記非弾性繊維の少なくとも1種は、2針振りで5ウェルにわたってアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている、請求項1?3のいずれか1項に記載の弾性経編地。」
と記載されているのを、
「二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であり、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。」
に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力について「100cN?600cN」から「100cN?300cN」に数値範囲を狭めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0024】の「本発明の弾性経編地は、80%伸長時の経方向及び緯方向の伸長力が100cN?600cNであり、経方向/緯方向の伸長力比が0.8?1.8であることを特徴とする。
経方向及び緯方向の伸長力は、・・・より好ましくは100cN?300cN、・・・である。」との記載、及び同段落【0073】の【表1】の実施例6において、伸長力が、経方向221cN、緯方向196cNである点に基づくもので、訂正事項1は、本件特許明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

イ.訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を請求項1を引用する記載から、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるもので、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的するものに該当する。
また、訂正事項2は、「三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地」を「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」と限定し、さらに、非弾性繊維の編成を「該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」ものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項2の「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」は、本件特許明細書の段落【0023】の「本発明の弾性経編地は、少なくとも二枚の筬により編成され、少なくとも1つの筬に弾性繊維、その他の筬には非弾性繊維がそれぞれ配されることを特徴とする。・・・二枚の筬を使用する場合、・・・フロント筬に非弾性繊維、バック筬に弾性繊維を配置することが好ましい。」との記載、及び図5に非弾性繊維と弾性繊維とで二枚筬により編成されてなる弾性経編地が示されている点に基づくもので、訂正事項2の「該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」は、同段落【0041】の「二つ目の好ましい編み組織は、非弾性繊維の少なくとも1種が2針振りで5ウェルにわたってアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されてなる組織である。特に、三枚筬からなり、弾性繊維が1針振りで3ウェルにわたってアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成され、非弾性繊維の少なくとも1種は2針振りで5ウェルにわたってアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されてなることが好ましい。このとき、非弾性繊維のアトラス編みは弾性繊維と反対方向であることが好ましい。」との記載、同段落【0045】の「非弾性繊維の少なくとも1種は2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と同方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されると、編地上の非弾性繊維の編目は全てウェル方向に傾いたものとなり、編地の経方向に伸びにくいものとなり、経方向と緯方向の伸長力のバランスが悪くなり、瞬間回復性が悪くなることがある。」との記載、同段落【0065】の「[実施例6]
カールマイヤー製の32ゲージのシングルトリコット機を用いて、フロント筬に33dtex/48fのポリエステルフィラメントを、バック筬に22dtexのポリウレタン繊維をそれぞれフルセットで通糸し、フロントの組織を4-5/3-2/1-0/2-3、該ランナーを140(cm/ラック)、バックの組織を1-0/1-2/2-3/2-1、該ランナーを70(cm/ラック)で編成し、生機を得た。図5に、この組織図を示す。」との記載及び図5に非弾性繊維が弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている点が示されている点に基づくものである。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
なお、申立人は、申立人意見書(3頁末行?4頁15行の「(4)相違点2について」)において、段落【0041】における好ましい編み組織は三枚筬が前提となっているから、相違点2に係る訂正、すなわち「二枚筬の場合に、非弾性繊維が、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではないので認められるべきものではない旨主張するが、段落【0041】において、三枚筬は、「二つ目の好ましい編み組織」の特に好ましい例にすぎないから、【0041】の記載全体が、三枚筬を前提としているとか、二枚筬を除外しているということはできないし、上記で述べたように、「二枚筬の場合に、非弾性繊維が、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(特に、段落【0065】及び図5の二枚筬の実施例6の組織参照)の範囲内の訂正であるから、申立人の意見には理由がない。

ウ.訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3を請求項2を介して請求項1を引用する記載から、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるもので、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的するものに該当する。
また、訂正事項3は、「三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地」を「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項3の「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」は、本件特許明細書の段落【0023】の「本発明の弾性経編地は、少なくとも二枚の筬により編成され、少なくとも1つの筬に弾性繊維、その他の筬には非弾性繊維がそれぞれ配されることを特徴とする。・・・二枚の筬を使用する場合、・・・フロント筬に非弾性繊維、バック筬に弾性繊維を配置することが好ましい。」との記載、及び図5に非弾性繊維と弾性繊維とで編成されている二枚筬により編成されてなる弾性経編地が示されている点に基づくものである。
よって、訂正事項3は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
なお、申立人は、申立人意見書(4頁16行?5頁11行の「(5)相違点3について」)において、相違点3に係る訂正、すなわち特許請求の範囲の請求項2および4(当審注:相違点3は請求項3に係るものであるから、請求項3が正しいと思われる)において、「非弾性繊維が弾性繊維と反対方向にアトラス編にて往復しながら1コースずつ編成されており、かつ、非弾性繊維の編目の傾きが20?70度である」とする訂正は、明細書の記載と矛盾しており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではなく、認められるべきものではない旨主張するが、訂正事項3による請求項3の訂正には、「非弾性繊維が弾性繊維と反対方向にアトラス編にて往復しながら1コースずつ編成されており、」は含まれていないこと、及び「非弾性繊維の編目の傾きが20?70度である」は、訂正前の請求項3において既に特定されているから、申立人の意見には理由がない。

エ.訂正事項4について
訂正事項4は、請求項4を請求項2及び3を介して請求項1を引用する記載から、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるもので、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的するものに該当する。
また、訂正事項4は、「三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地」を「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」と限定し、さらに、編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力について「100cN?600cN」から「100cN?300cN」に数値範囲を狭め、さらに、非弾性繊維の編成を「該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」ものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正事項4の「二枚筬により編成されてなる弾性経編地」は、本件特許明細書の段落【0023】の「本発明の弾性経編地は、少なくとも二枚の筬により編成され、少なくとも1つの筬に弾性繊維、その他の筬には非弾性繊維がそれぞれ配されることを特徴とする。・・・二枚の筬を使用する場合、・・・フロント筬に非弾性繊維、バック筬に弾性繊維を配置することが好ましい。」との記載、及び図5に非弾性繊維と弾性繊維とで二枚筬により編成されてなる弾性経編地が示されている点に基づくもので、訂正事項4の編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力の「100cN?300cN」は、同段落【0024】の「本発明の弾性経編地は、80%伸長時の経方向及び緯方向の伸長力が100cN?600cNであり、経方向/緯方向の伸長力比が0.8?1.8であることを特徴とする。
経方向及び緯方向の伸長力は、・・・より好ましくは100cN?300cN、・・・である。」との記載、及び同段落【0073】の【表1】の実施例6において、伸長力が、経方向221cN、緯方向196cNである点に基づくもので、訂正事項4の「該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている」は、同段落【0041】の「二つ目の好ましい編み組織は、非弾性繊維の少なくとも1種が2針振りで5ウェルにわたってアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されてなる組織である。・・・このとき、非弾性繊維のアトラス編みは弾性繊維と反対方向であることが好ましい。」との記載、同段落【0045】の「非弾性繊維の少なくとも1種は2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と同方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されると、編地上の非弾性繊維の編目は全てウェル方向に傾いたものとなり、編地の経方向に伸びにくいものとなり、経方向と緯方向の伸長力のバランスが悪くなり、瞬間回復性が悪くなることがある。」との記載、同段落【0065】の「[実施例6]
カールマイヤー製の32ゲージのシングルトリコット機を用いて、フロント筬に33dtex/48fのポリエステルフィラメントを、バック筬に22dtexのポリウレタン繊維をそれぞれフルセットで通糸し、フロントの組織を4-5/3-2/1-0/2-3、該ランナーを140(cm/ラック)、バックの組織を1-0/1-2/2-3/2-1、該ランナーを70(cm/ラック)で編成し、生機を得た。図5に、この組織図を示す。」との記載及び図5に非弾性繊維が弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されている点が示されている点に基づくものである。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(3)一群の請求項について
訂正前の請求項2?4は、訂正前の請求項1を引用する請求項であるから、請求項1?4は一群の請求項であるところ、本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。
また、訂正後の請求項2?4に係る訂正事項2?4は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項2?4について訂正が認められるときは請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項2?4について請求項ごとに訂正することを認める。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1、2、3、4について訂正することを認める。

3.本件発明
上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下、「本件発明1?4」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であることを特徴とする前記弾性経編地。
【請求項2】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。
【請求項3】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であることを特徴とする弾性経編地。
【請求項4】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であり、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。」

4.取消理由の概要
本件発明1?4に係る特許に対して平成29年4月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、申し立てられた特許異議申立理由は、すべて通知した。
以下、甲各号証を「甲1」等という。また、甲各号証に記載された発明及び事項を、「甲1発明」及び「甲2記載事項」等という。

[理由1]本件発明1及び2は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2]本件発明1?4は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲1:特開2007-138362号公報
甲2:日本繊維機械学会編、「メリヤス技術必携[たて編篇]」、第2版、日本繊維機械学会、昭和57年8月10日発行、51頁
甲3:特開2003-129361号公報
甲4:特開2008-69486号公報

[理由1]及び[理由2]
(1)本件発明1は、甲1発明と同一である。
また、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2は、甲1発明と同一である。
また、本件発明2は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明3は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明4は、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術(甲3及び甲4に記載されたような周知技術)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.甲各号証の記載
(1)甲1(特開2007-138362号公報)
甲1には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性経編地とその製造方法に関し、詳しくは、詳しくは、インナー衣料などに利用される伸縮性に優れた経編地と、そのような経編地を編成製造する方法とを対象にしている。」
「【0010】
〔弾性糸の編成組織B〕
伸縮性経編地に良好な伸縮性を付与する機能を有する。また、伸縮性経編地のホツレや裂けを防止する機能も果たす。
編成組織Bは、弾性糸が、同じコース内で複数針間オーバーラップするコースと、コース間で前のコースから1ウェール分の振り幅でウェール方向に振られて次のコースに移る個所とを、1コース毎または2コース毎に有し、全てのコースでループを形成する。
基本的には、二目編の技術概念に含まれる編成組織の中で、コース間の移行が1ウェール分の振り幅でウェール方向に振られている編成組織を採用することができる。具体的には、1コース毎に同じコース内で複数針間オーバーラップさせたあと1ウェール分の振り幅でウェール方向に振られて次のコースに移り全てのコースでループを形成する編成組織が採用できる。なお、一般的には、同じコース内でのオーバーラップが2針間である場合が多いが、オーバーラップが3針間以上であってもよい。」
「【0013】具体的な編成組織Bとして、31/02//、31/12/02/21//などの繰り返し単位を有する編成組織が採用できる。・・・」
「【0024】
・・・
<伸縮特性>
伸縮性経編地の基本的な伸縮特性として、伸び(伸度)およびパワーがある。伸度およびパワーは常法により測定される。具体的には、伸度は、生地の引張試験において、荷重2.25kgf(44.13N)で1回目の伸長時に測定された値で規定される。パワーは、80%伸長で引張試験を行ったときに、3回目の伸長時に測定された値で規定される。・・・」
「【0026】
・・・伸長回復性も重要である。伸長回復性は、前記引張試験における伸長前に対する伸長後の長さ(%)を測定する。1回目の伸長時、あるいは、3回目の伸長時に測定することができる。伸長回復性(1回目、以下同様)を、90%以上に設定できる。好ましくは、 93%以上である。」
「【0032】
・・・図1において、編成装置の第1の筬〔G1〕で編成される非弾性糸10の編成組織Aは、12/23/21/10//の繰り返し単位からなる。第2の筬〔G2〕で編成される弾性糸20の編成組織Bは、31/02//の繰り返し単位からなり、二目編を構成している。図において、弾性糸20が同じコースでヨコ方向に延び、コース間を斜め方向に左右交互に移っていることが判る。・・・」
「【0033】
・・・全ての編目で、非弾性糸10と弾性糸20とがループを形成して絡んでいる。・・・」
「【0058】
・・・
〔比較例1〕
<編成条件>
編成組織A、Bに相当する編成組織だけで編成した。
編成組織A:10/12//。
筬〔G1〕、ナイロン6、33-6セミダル異形(東レ社製)
編成組織B:31/02//。
【0059】
筬〔G2〕、ライクラ44-127C(オペロンテックス社製)
何れもフルセットであり、各糸の給糸量は以下のとおりである。・・・」
「【0060】【表6】



以上の記載(特に、【0058】?【0060】、【表6】の比較例1)によれば、甲1には以下の甲1発明が記載されていると認められる。 (なお、編地の80%伸長時の、タテ方向のパワー、ヨコ方向のパワーをcNに換算した値を、括弧内に示す。)
「二枚の筬により編成されてなる伸縮性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、タテ方向のパワーが493(g)(483cN)、ヨコ方向のパワーが361(g)(354cN)であり、タテ方向のパワー/ヨコ方向のパワー伸長力の比が1.36であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後のタテ方向の伸長回復性が93.6%、ヨコ方向の伸長回復性が92.3%であり、弾性繊維の編成組織は、31/02//の繰り返し単位からなる二目編で、弾性繊維はフルセットであり、かつ、全てのコースでループを形成しており、非弾性繊維の編成組織は、10/12//の繰り返し単位(トリコット、デンビー編み)からなる、伸縮性経編地。」

(2)甲2(日本繊維機械学会編、「メリヤス技術必携[たて編篇]」、第2版)
甲2には、1枚おさによる1/1トリコット(デンビ)編地の表側の実写真(51頁第3.7b図)が示されている。

(3)甲3(特開2003-129361号公報)
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【請求項3】弾性糸と非弾性糸がフルセットに配列され、各糸条1針振りで3乃至4ウエールにわたって互いに反対方向にアトラス編方式で往復しながら、1コースずつ編成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の経緯の伸縮バランスに優れた弾性経編地。」
「【0008】
・・・3.弾性糸と非弾性糸がフルセットに配列され、各糸条1針振りで3乃至4ウエールにわたって互いに反対方向にアトラス編方式で往復しながら、1コースずつ編成されていることを特徴とする上記第1又は2に記載の経緯の伸縮バランスに優れた弾性経編地。・・・」

(4)甲4(特開2008-69486号公報)
甲4には、以下の事項が記載されている。
「【0007】
・・・非弾性糸の編成組織は、特に限定されず、例えば、プレーンコード、アトラス編などが挙げられる。」

6.取消理由についての当審の判断
(1)理由1(特許法第29条第1項第3号)
ア.本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1では、弾性経編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであるのに対して、甲1発明では、伸縮性経編地の80%伸長時の、タテ方向のパワーが493(g)(483cN)、ヨコ方向のパワーが361(g)(354cN)である点。
上記相違点1は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明ではない。

イ.本件発明2について
本件発明2と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
本件発明2では、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されているのに対して、甲1発明では、弾性繊維の編成組織は、31/02//の繰り返し単位からなる二目編で、非弾性繊維の編成組織は、10/12//の繰り返し単位(トリコット、デンビー編み)からなる点。
上記相違点2は、実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲1発明ではない。

ウ.小括
以上のとおり、本件発明1及び2は、特許法第29条第1項第3号には該当せず、特許を受けることができないものとすることはできない。

(2)理由2(特許法第29条第2項)
ア.本件発明1について
上記相違点1について検討する。
本件発明1と甲1発明とでは、特にタテ方向の伸長力が甲1発明の方が大きなものとなっている。
甲1発明では、弾性繊維が二目編であるが、弾性繊維の編み組織を二目編にすると、伸長力の低いものはできないことは、本件優先日前に編地の技術分野での技術常識である(例えば、甲1の【0003】で従来技術として挙げられている特開2003-73962号公報の【0007】の「さて、編糸(編物の基本となる組織(地編)を編成するための糸条)を2針にわたりオーバーラップして編成する2目編は、編地の伸縮性が少なくほつれにくいという特徴がある。」の記載、本件特許明細書の【0046】の記載参照。)。そのような伸長力の高い編地を作る編み方である二目編を採用した甲1発明において、伸長しやすくするという、逆方向の改変を行うことには動機がない。
また、甲1の【0029】の「本発明にかかる伸縮性経編地は、地組織となる非弾性糸による特定の編成組織Aと、第1の弾性糸による二目編に相当する特定の編成組織Bと、第2の弾性糸が挿入された特定の編成組織Cとを組み合わせることによって、従来における、弾性糸の二目編を採用した伸縮性経編地に比べて、タテ・ヨコ方向に加えて斜め方向にもバランスの取れた良好な伸びおよびパワーを発揮させることができる。・・・なお、編成組織Cを有さず、編成組織Bだけでは、編成組織をいかに工夫しても弾性糸の太さを変えてみても、タテ・ヨコ・斜め方向への伸びおよびパワーをバランス良く発揮させることは困難である。」(下線は当審にて付与。)との記載から、甲1発明は編成組織Cを有さない場合に当たるので、甲1発明の編成組織を変更して上記相違点1に係る構成、すなわち、弾性経編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNとすることには阻害要因があるというべきであるし、甲1には、そのようにするための具体的な技術の記載もない。
また、甲2?甲4にも、甲1発明について、本件発明1との一致点の構成を維持したまま、上記相違点1に係る構成とするための具体的な技術は、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、上記相違点1に係る構成を有することにより、本件特許明細書記載の「本発明の弾性編地は、編地の経方向と緯方向の両者において所定の伸長を有し、かつ、瞬間回復性が良好であることから、運動追随性や着脱性に優れ、着用した際の快適性に優れる。」(【0019】)という作用効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件発明2について
上記相違点2について検討する。
甲1発明では、非弾性糸の編成組織は10/12//の(トリコット、デンビー編み)である。
そして、上記(ア)で述べたように、甲1発明には伸長しやくする動機がないから、甲1発明の編成組織を変更して相違点2に係る構成、すなわち、非弾性繊維を2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成するようにすることには動機がないし、甲1には、上記構成についての記載や示唆もない。
また、甲2?甲4にも、上記相違点2に係る具体的構成は、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明2は、上記相違点2に係る構成を有することにより、本件特許明細書記載の「本発明の弾性編地は、編地の経方向と緯方向の両者において所定の伸長を有し、かつ、瞬間回復性が良好であることから、運動追随性や着脱性に優れ、着用した際の快適性に優れる。」(【0019】)という作用効果を奏するものである。
よって、本件発明2は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

ウ.本件発明3について
本件発明3と甲1発明とを対比すると、少なくとも、以下の相違点3で相違する。
<相違点3>本件発明3では、非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であるのに対し、甲1発明では、非弾性繊維の編目の傾きが不明である点。
上記相違点3について検討する。
本件発明3では、経緯方向の伸長比を特定の範囲にするために、弾性繊維と非弾性繊維を二枚筬で編成し、非弾性繊維の編目の傾きを特定の範囲(20?70度)に規定しているが、甲1には、経緯方向の伸長比を特定の範囲にするために、非弾性繊維の編目の傾きを特定範囲(20?70度)にするという思想が記載されておらず、示唆もされていない。
また、甲2記載事項は、一枚筬における非弾性繊維の編目の傾きを示すだけで、本件発明3のような、弾性繊維と非弾性繊維を二枚筬で編成したものにおける非弾性繊維の編目の傾きを特定範囲とするものではない。
よって、本件発明3は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ.本件発明4について
本件発明4と甲1発明とは、少なくとも、上記相違点1?3に係る本件発明1?3の構成を甲1発明が備えない点で相違する。
したがって、上記相違点1?3に関して示した理由と同様の理由により、本件発明4は、甲1発明、甲2記載事項及び周知技術(甲3及び甲4に記載されたような周知技術)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ.小括
以上のとおり、本件発明1?4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。

7.むすび
以上のとおり、本件発明1?4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三枚筬を除く複数枚の筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、かつ、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であることを特徴とする前記弾性経編地。
【請求項2】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。
【請求項3】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?600cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、かつ、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であることを特徴とする弾性経編地。
【請求項4】
二枚筬により編成されてなる弾性経編地であって、一つの筬のみに弾性繊維が、その他の筬に非弾性繊維が、それぞれ、配されてなり、該編地の80%伸長時の、経方向の伸長力と緯方向の伸長力がいずれも100cN?300cNであり、経方向の伸長力/緯方向の伸長力の比が0.8?1.8であり、80%伸長・回復を3回繰り返した後の経方向の伸長回復率と緯方向の伸長回復率がいずれも85%以上であり、該弾性繊維は、筬にフルセットで通糸され、かつ、ループを形成しており、該非弾性繊維の編目の傾きが20?70度であり、かつ、該非弾性繊維は、2針振りで5ウェルにわたって弾性繊維と反対方向にアトラス編みにて往復しながら1コースずつ編成されていることを特徴とする弾性経編地。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-12 
出願番号 特願2014-182698(P2014-182698)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (D04B)
P 1 651・ 113- YAA (D04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長谷川 大輔  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 蓮井 雅之
小野田 達志
登録日 2016-06-24 
登録番号 特許第5953470号(P5953470)
権利者 旭化成株式会社
発明の名称 弾性経編地  
代理人 三間 俊介  
代理人 中村 和広  
代理人 齋藤 都子  
代理人 石田 敬  
代理人 三間 俊介  
代理人 古賀 哲次  
代理人 古賀 哲次  
代理人 中村 和広  
代理人 石田 敬  
代理人 青木 篤  
代理人 齋藤 都子  
代理人 青木 篤  

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