• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1335406
審判番号 不服2016-11913  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-08 
確定日 2017-12-26 
事件の表示 特願2014- 46898「ゲル状の洗浄料」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月21日出願公開、特開2014-148512、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 主な手続の経緯
本願は、平成24年12月22日に出願した特願2012-280367号(優先権主張平成23年12月28日)(以下、「原出願」という。)の一部を平成26年3月10日に新たな特許出願としたものであって、その後の主な経緯は以下のとおりである。

平成27年 1月 8日付け:拒絶理由の通知
同年 3月11日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 9月14日 :最後の拒絶理由の通知
同年11月24日 :意見書及び手続補正書の提出
平成28年 4月22日 :平成27年11月24日付け手続補正を却下 して拒絶査定(以下、「原査定」という。)
同年 8月 8日 :拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提 出
平成29年 8月 3日 :拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。 )の通知
同年10月27日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由1.請求項1、2に係る発明は不明確であり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2.本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献A?Gに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2011-088852号公報
B.特開2007-051168号公報
C.特開2002-255769号公報
D.特開2003-041299号公報
E.特開平10-182408号公報
F.特開平08-283123号公報
G.特開2010-043147号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1.本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2.本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1?15に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由3.請求項1、2に係る発明は不明確であり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

引用文献等一覧
1.特開2013-100305号公報
2.特開平08-217634号公報
3.特開2008-007430号公報
4.特開2011-088852号公報(拒絶査定時の引用文献A)
5.特開2007-051168号公報(拒絶査定時の引用文献B)
6.特開2005-281292号公報
7.国際公開第2010/029769号
8.特開昭53-071112号公報
9.特開2002-088396号公報
10.特開平04-018494号公報
11.特開2009-040968号公報
12.特開2003-041299号公報(拒絶査定時の引用文献D)
13.特開2008-048604号公報
14.特開平09-143494号公報
15.特開平11-148089号公報

第4 本願発明について
本願の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、平成29年10月27日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されている事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
下記(A-1)および(A-2-2)に示すA群から選択される1種もしくは2種以上のアニオン性界面活性剤と、
キシログルカン(グリロイド6C)、あるいはキシログルカン(グリロイド6C)と下記に示す(C-1)および(C-2)に示すC群から選択される1種もしくは2種以上の0.1?10重量%の水溶性天然高分子と、
下記(D-3)に示すD群から選択されるグリセリンであるアルコール、あるいはグリセリンとグリセリン以外の下記(D-1)、(D-2)および(D-3)に示すD群から選択される1種もしくは2種以上とからなるアルコールであって、2?50重量%のアルコールと、
を含む混合物の高粘液を保温しながら鋳型に流し込んで室温で静置する工程を備えるゲル状の皮膚洗浄用洗浄料の製造方法であって、
前記ゲル状の皮膚洗浄用洗浄料は、1重量%水溶液としたときのpHが8以上11以下であることを特徴とするゲル状の皮膚洗浄用洗浄料の製造方法。
(A群)カルボン酸塩を有するアニオン性界面活性剤
(A-1)
【化1】


(A-2-2)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩
R-O(CH_(2)CH_(2)O)_(n)CH_(2)COOM
R:炭素数12の飽和アルキル基
M:Na,K,アミン塩
n:4または5
(C群)水溶性天然高分子
(C-1)
ローカストビーンガム及びグルコマンナンから選ばれる1種もしく2種以上の植物・海藻由来の水溶性天然高分子
(C-2)
キサンタンガムである微生物発酵産生の水溶性天然高分子
(D群)ヒドロキシル基を有する1価アルコールまたは多価アルコール
(D-1)
【化2】


(D-2)
【化3】


(D-3)
【化4】


【請求項2】
ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタインおよびヤシ油脂肪酸プロピルベタインから選ばれる1種または2種の両イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のゲル状の皮膚洗浄用洗浄料の製造方法。」

第5 当審の認定・判断
1.引用文献の記載事項
引用文献2には、以下の事項(2-1)?(2-3)が記載されている。

(2-1)「【請求項1】 次の成分(A)?(E)、
(A)・・・
(B)高級脂肪酸塩および/またはN-長鎖アシルアミノ酸塩 0.1?12重量%
(C)・・・
(D)水溶性高分子
(E)水
を含有し、かつ、20℃における粘度が5000?100000cpsであることを特徴とするメークアップ除去料。」
(2-2)「【0015】(D)成分の水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルゲコロイド、カラギーナン、ポリビニルアルコール、ポリビニールピロリドン等、通常化粧料に使用される水溶性高分子であれば使用可能であるが、特にカルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、キサンタンガムが好ましい。」
(2-3)「【0020】実施例1?5および比較例1?10
表1に示すメークアップ除去料を調製し、下記方法により、メークアップ化粧料の除去効果、使用時のマイルド感(肌へのやさしさ)、洗い流し時の洗浄性、起泡性、洗い上がりのさっぱり感について評価を行った。結果を表2に示す。
【0021】
【表1】

【0022】(製法)
A.成分(1)?(8)および(12)?(17)を混合する。
B.成分(9)?(11)を(18)に加熱溶解する。
C.AとBを混合し、容器に充填して製品とする。」

引用文献3、11及び13には、それぞれ以下の事項(3-1)、(11-1)?(11-2)及び(13-1)?(13-2)が記載されている。(なお、下線は当審による。)

(3-1)「【請求項9】
ゲル状化粧料の粘度が、25℃において、1000?20000cpsである請求項1?8のいずれか一項に記載の化粧料。」

(11-1)「【請求項1】
発酵セルロースを全量に対し0.01?2質量%含有することを特徴とする洗浄剤。
【請求項2】
洗浄剤が、頭髪用シャンプー、ボディシャンプー、液体石鹸、台所用洗剤、浴室用洗剤、洗濯用洗剤のいずれかである請求項1記載の洗浄剤。」
(11-2)「【0023】
係る粒状ゲルを調製するために、各種の増粘多糖類を利用すると簡便に当該ゲルを調製することができる。具体的には、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グァーガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、水溶性大豆ヘミセルロース、アルギン酸等の増粘多糖類と香気成分或いは洗浄成分を混合しゲル化させ、ゲルを破砕することにより粒状のゲルを得ることができる。或いは、ジェランガム、アルギン酸やペクチン等のカルシウム反応性を有するゲル化剤と香気成分或いは洗浄成分を混合した溶液を調製し、得られた調製液をカルシウムを含む溶液中に滴下することにより、粒状のゲルを得ることもできる。」

(13-1)「【0019】
本発明の多糖類はガラクトマンナン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、寒天、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、大豆水溶性多糖類、カラヤガム、サイリウムシードガム、プルラン、アラビアガム、トラガントガム、ガッディーガム、アラビノガラクタン、カードランからなる群、好ましくはガラクトマンナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ペクチンからなる群から少なくとも1種が選択される。また、ガラクトマンナンの種類がグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムであればさらに好ましい。」
(13-2)「【0036】
本発明の液状組成物とは、室温で液状あるいはペースト状の形態をとるものであり、液状食品組成物、液状化粧品組成物、液状医薬品組成物、液状工業用組成物等が含まれる。これら液状組成物に配合する、本発明の安定剤の添加量は、特に制限されるものではないが、通常は0.001?2質量%程度、好ましくは0.1?1質量%程度である。」

2.引用発明の認定
上記記載事項(2-3)によると、引用文献2の実施例5には、「ミリスチン酸トリエタノールアミン1重量%、キサンタンガム1重量%、1,3-ブチレングリコール10重量%、及びグリセリン5重量%を含む混合物を容器に充填して製品とする、粘度が8.2×10^(3)cps/20℃であるメークアップ除去料の製造方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者における「ミリスチン酸トリエタノールアミン」は前者における(A-1)に相当する化合物であるから、前者における「(A-1)および(A-2-2)に示すA群から選択される1種もしくは2種以上のアニオン性界面活性剤」に相当する(A群の選択肢は上記第4参照。以下、A群、C群及びD群の選択肢は省略する。)。また、後者における「1,3-ブチレングリコール」及び「グリセリン」はそれぞれ(D-2)及び(D-3)に相当する化合物であるから、後者における「1,3-ブチレングリコール10重量%、及びグリセリン5重量%」は前者における「(D-3)に示すD群から選択されるグリセリンであるアルコール、あるいはグリセリンとグリセリン以外の下記(D-1)、(D-2)および(D-3)に示すD群から選択される1種もしくは2種以上とからなるアルコールであって、2?50重量%のアルコール」に相当する。そして、後者における「メークアップ除去料」は、前者における「皮膚洗浄用洗浄料」に相当する。
そうすると、両者は次の点で一致し、次の点で相違すると認められる。

<一致点>
「(A-1)および(A-2-2)に示すA群から選択される1種もしくは2種以上のアニオン性界面活性剤と、
(D-3)に示すD群から選択されるグリセリンであるアルコール、あるいはグリセリンとグリセリン以外の下記(D-1)、(D-2)および(D-3)に示すD群から選択される1種もしくは2種以上とからなるアルコールであって、2?50重量%のアルコールと、
を含む皮膚洗浄用洗浄料の製造方法。」

<相違点>
相違点1:
本願発明1においては、製造される皮膚洗浄用洗浄料が「ゲル状」であることが特定されているのに対し、引用発明では、粘度が「8.2×10^(3)cps/20℃」であることは特定されているものの、ゲル状であることが特定されていない点。

相違点2:
本願発明1においては、「キシログルカン(グリロイド6C)、あるいはキシログルカン(グリロイド6C)と下記に示す(C-1)および(C-2)に示すC群から選択される1種もしくは2種以上の0.1?10重量%の水溶性天然高分子」を含むことが特定されているのに対し、引用発明では、キサンタンガム((C-2)に相当する化合物)を含むことは特定されているものの、「キシログルカン(グリロイド6C)」を含むことが特定されていない点。

相違点3:
本願発明1においては、「1重量%水溶液としたときのpHが8以上11以下である」ことが特定されているのに対し、引用発明ではそのことが特定されていない点。

相違点4:
本願発明1においては、「混合物の高粘液を保温しながら鋳型に流し込んで室温で静置する工程を備える」ことが特定されているのに対し、引用発明ではそのことが特定されていない点。

(2)相違点についての判断
ア.相違点1について
まず、上記相違点1が実質的な相違点といえるかについて検討する。
引用発明においては、製造されるメークアップ除去料が「8.2×10^(3)cps/20℃」という高粘度を有することが特定されており、引用文献3には、25℃において、1000?20000cpsである化粧料が「ゲル状」であることが記載されているから(上記記載事項(3-1)参照)、引用文献2には明記されていないものの、引用発明も「ゲル状」である可能性、すなわち、上記相違点1が実質的な相違点ではない可能性が考えられる。
この点について、審判請求人は、平成29年10月27日付けで提出された意見書に添付された比較実験報告書において、具体的な試験結果を示しつつ、「本願明細書の実施例-1のゲル状洗浄料の試料は、弾力性があり、蒟蒻様の感触であった。これに対して、引用文献2の実施例5のメークアップ除去料の試料は、実際に流動性あるジェルであり弾力性はなかった。このように両者の試料は、全く異なる物性を持っていた。」(第11頁第27?30行参照)と記載するとともに、上記意見書において、「比較実験報告書には、引用文献2の実施例5のメークアップ除去料は流動性のあるジェルであって弾力が無く、本願発明のゲル状洗浄料とは異なることが明らかにされている。」(第6頁第23?25行参照)と記載し、引用発明と本願発明が異なるものである旨を主張している。
請求人の上記主張は、要するに、流動性を有する引用発明は「ゲル状」の洗浄料には相当せず、応力に対して弾力性を有する本願発明は「ゲル状」の洗浄料に相当する旨を主張しているものと解される。
そこで、請求人の上記主張を踏まえ、引用発明と本願発明が異なるものであるといえるかについて検討する。本願優先日時点の技術常識を確認するために参照する下記参考文献には、「流動性のあるコロイド分散系をゾルという.」及び「ゲルは本質的に分散系であるが,分散質同士の強い相互作用のために,系全体が網目構造を作り,弱い応力下で弾性をもっている.」(第561頁左欄第20行及び第561頁右欄第22?24行参照。下線は当審による。)と記載されており、これらの記載に基づけば、本願発明は「ゲル」に該当する一方、引用発明は「ゾル」に該当するから、両者は異なるものであると解することができる。
したがって、上記相違点1は実質的な相違点であるといえる。

<参考文献>
化粧品ハンドブック、日光ケミカルズ株式会社・日本サーファクタント工業株式会社・東色ピグメント株式会社、平成8年11月1日、p.561

イ.容易想到性について
上記ア.で検討のとおり、相違点1は実質的な相違点といえるので、本願発明1と引用発明は、上記相違点1?4の点で相違する。
ここで、これらのうち、相違点1及び2についてまとめて検討する。
引用文献2には、(D)成分として水溶性高分子を配合することが記載されており(上記記載事項(2-1)参照)、キサンタンガムを含め、通常化粧料に使用される水溶性高分子を使用可能であることが記載されているから(上記記載事項(2-2)参照)、引用発明において、キサンタンガムに代えて、又は加えて、通常化粧料に使用される水溶性高分子であるキシログルカン(タマリンドシードガム)を配合しようとする動機は存在していたといえる(必要であれば、上記記載事項(11-1)?(11-2)及び(13-1)?(13-2)参照)。
しかしながら、上述(上記ア.参照)のとおり、引用発明は流動性を有しており、「ゲル状」とはいえないものであると認められるところ、引用文献2には、メークアップ除去料を「ゲル状」にすることについて記載も示唆もされておらず、そのように流動性を有する引用発明を、流動性がなく、応力に対して弾力性を有する「ゲル状」にしようとする動機が存在していたとはいえない。
そうすると、配合する水溶性高分子の種類や量を変更すれば、得られる化粧料の物性に影響が及ぶことは自明であるところ、引用発明において、キサンタンガムに代えて、又は加えて、キシログルカンを配合するに当たり、得られるメークアップ除去料が「ゲル状」となるように、その配合量等を調製することが、当業者が容易に想到し得たことであったということはできない。
よって、相違点3や相違点4について検討するまでもなく、本願発明1が、引用文献2に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

4.本願発明2について
請求項2の記載は、請求項1の記載を直接引用するものである。そして、本願発明1が、引用文献2に記載の発明に基づいて想到容易であるといえないことは上述のとおりであるから、本件発明2も同様の理由により、想到容易であるとはいえない。

第6 原査定についての判断
1.理由1(特許法第36条第6項第2号)について
原査定では、(C-1)、(C-2)成分について「等」という記載がある点、及び物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている点に関し、それらに起因して請求項1、2に係る発明が不明確となっている旨を指摘している。
しかしながら、審判請求時の補正によって、「等」との記載は削除され、また、請求項1、2はいずれも「物の製造方法」の発明へと補正されたため、上記の記載不備はいずれも解消している。
よって、原査定の理由1を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
原査定では、引用文献Aに記載された、カラギーナンを必須成分とする発明を引用発明としつつ、請求項1、2に係る発明が、引用文献A?Gに基づいて容易に発明できたものである旨を指摘している。
しかしながら、審判請求時の補正により、本願発明1、2の(C-1)成分の選択肢よりカラギーナンが削除され、また、平成29年10月27日付けの補正により、本願発明1、2において「キシログルカン(グリロイド6C)」が必須成分となったところ、引用文献A?Gには「キシログルカン(グリロイド6C)」は記載も示唆もされていない。
よって、本願発明1、2は、当業者であっても、引用文献A?Gに基づいて容易に発明できたものとはいえず、原査定の理由2を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について
1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
当審では、以下(a)及び(b)の点で、本願明細書等に記載された事項が、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるとはいえない旨を指摘しつつ、本願は、原出願の分割出願として不適法であり、出願日の遡及を認めることができないことを前提として、請求項1、2に係る発明が、原出願の公開公報(引用文献1)に記載の発明と同一である旨を指摘した。

(a)(A-2-2)において「n」が「1-20」であることが特定されている点
(b)(A-3)において「R’」が「-H、-CH_(3)、-CH_(2)CH_(2)COOM」であることが特定されている点

しかしながら、平成29年10月27日付けの補正の結果、以下のとおり、本願明細書等に記載された事項が、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内といえるものとなった。

(a)(A-2-2)が「ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩」となり、「n」が「4または5」となった。
(b)(A-3)が削除された。

したがって、本願は、原出願の分割出願として適法であり、出願日の遡及が認められるので、引用文献1は、本願優先日前に頒布された刊行物ではない。
よって、この拒絶の理由は解消した。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
当審では、引用文献2の実施例5に記載のメークアップ除去料を引用発明としつつ、請求項1、2に係る発明が、引用文献1?15に基づいて容易に発明できたものである旨を指摘した。
しかしながら、平成29年10月27日付けの補正により、本願発明1、2において「キシログルカン(グリロイド6C)」が必須成分になるとともに、同日付けの意見書において、引用文献2の実施例5のメークアップ除去料が流動性を有するものであり、「ゲル状」ではないことを確認する比較実験報告書が提出された。
よって、上記第5の3.及び4.で述べたとおり、本願発明1、2は、引用文献2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではないから、この拒絶の理由は解消した。

3.理由3(特許法第36条第6項第2号)について
当審では、以下(a)?(e)の点に関し、請求項1、2に係る発明が不明確である旨を指摘した。

(a)「(D-1)」や「(D-2)」から「選択されるグリセリン」との記載の意味する内容が不明確である。
(b)「グリセリン」が必須成分となるものと解されるところ、本願明細書の実施例のうち、「グリセリン」が含まれているのは実施例1及び5のみであるため、上記記載の意味する内容が不明確である。
(c)1価のアルコールは「多価アルコール」とはいわないため、「1価以上の多価アルコール」の意味する内容が不明確である。
(d)請求項1における(A-2-2)の構造と、明細書に例示された化合物の構造が整合していない。
(e)請求項2の(B-3)において、「R」及び「M」の意味する内容が不明である。

しかしながら、平成29年10月27日付けの補正の結果、以下のとおり、上記記載不備はいずれも解消した。

(a)「グリセリン」の選択肢から「(D-1)」及び「(D-2)」が削除された。
(b)本願発明1、2に対応しない「実施例」が「参考例」となった。
(c)「1価以上の多価アルコール」が「1価アルコールまたは多価アルコール」となった。
(d)請求項1における(A-2-2)の構造と、明細書に例示された化合物の構造が整合するようになった。
(e)請求項2の(B-3)が削除された。

よって、この拒絶の理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由、及び当審からの拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-12-11 
出願番号 特願2014-46898(P2014-46898)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A61K)
P 1 8・ 121- WY (A61K)
P 1 8・ 113- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小出 直也橋本 憲一郎松村 真里  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 安川 聡
小川 慶子
発明の名称 ゲル状の洗浄料  
代理人 特許業務法人 津国  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ