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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1335494
審判番号 不服2016-5009  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-05 
確定日 2017-12-06 
事件の表示 特願2014-525995「位置決めモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月21日国際公開、WO2013/025278、平成26年10月30日国内公表、特表2014-529068〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2012年6月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年8月17日 US アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成26年2月14日に国内書面が提出され、平成26年3月4日に手続補正書が提出され、平成27年4月7日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年6月10日に意見書及び補正書が提出されたが、平成27年12月9日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年4月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、当審において平成29年2月22日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知されたのに対し、平成29年5月19日に意見書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 本件発明
本件出願の請求項1ないし18に係る発明は、平成26年2月14日に提出された国内書面により提出された明細書の翻訳文、平成29年5月19日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び平成26年2月14日に提出された国内書面により提出された図面の翻訳文(以下、「本願明細書等」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
人の位置を決定するための位置決め装置であって、
前記人の針路を検出し且つ針路情報を提供するよう構成される磁気計と、
前記人の運動を検出し且つ運動情報を提供するよう構成される運動センサと、
前記磁気計及び前記運動センサに結合され、且つ前記針路情報及び前記運動情報に基づき位置データを生成するよう構成されるマイクロプロセッサと、
該マイクロプロセッサに結合され、且つ前記位置データを含む信号を無線送信するよう構成される送信器と、
前記マイクロプロセッサ、前記磁気計、前記運動センサ、及び前記送信器のうちの少なくとも1つに動力を供給するよう構成される圧電性動力源と、
統合ハウジングとを含み、
当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品内に埋設され、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され、
前記GPSは、前記位置データを含む前記信号を前記送信器から受信し、且つ前記送信器からの前記位置データの受信に応答してGPS拒否環境内で位置を決定するよう構成され、
前記マイクロプロセッサ、前記磁気計、前記運動センサ、前記送信器、及び前記圧電性動力源は、前記統合ハウジング内に配置され、
前記統合ハウジングは、履物品の中底上に適合するよう構成される踵カップの内に又は下に配置されるよう構成され、且つ当該位置決め装置を前記中底上に保持するよう構成される、
位置決め装置。」

第3 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2005/0033515号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、「無線個人用追跡及びナビゲーションシステム」に関し、図面とともに次の記載がある。なお、括弧内は当審において作成した仮訳である。

ア「[0019] FIG. 1 shows an illustration of a personal tracking system, …or in other places where global positioning system (GPS) data is not reliable or not obtainable.

[0020] Wireless communication device 120 comprises,…with a pair of wireless transceivers 132a and 132b.

[0021] Pedometer 130 , often attached to the shoe, foot, ankle or leg of user 112 ,… Pedometer 130 may comprise additional accelerometers 134 to determine, for example, changes in height or deviations from a straight line.

[0022] Pedometer 130 may contain an electronic compass 136 such as a calibrated magnetometer to determine heading information. … to an electronic module within or connected to wireless communication device 120 , or to pedometer 130 .

[0023] Pedometer 130 may be electrically coupled to wireless communication device 120 … wireless communication device with a wired link such as a serial or parallel data link.

[0024] In some cases, elevation or altitude information is … electrically coupled to wireless communication device 120 to provide altitude information.

[0025] Global positioning system (GPS) unit 140 may be … are available with sufficient signal strength.

[0026] Position information of user 112 may be sent to a server 150 … or a GPS signal diminishes below a signal threshold, or manually when prompted by user 112 .

[0027] Position information may be generated and displayed locally on wireless communication device 120 . … Position or location information may be stored as desired in a memory 156 connected to server 150 . 」(段落[0019]ないし[0027])
([0019] 図1は、この発明の1実施形態に沿った個人用追跡システムを示すイラストレーション100である。個人用追跡システム110は、ワイヤレス通信装置120、ワイヤレス通信装置120と電気的に結合された歩数計130、及び歩数計130と関連して動作可能に置かれた電子コンパス136を含む。歩数計130及び電子コンパス136からの読取りは、ワイヤレス通信装置120が受信し、位置情報を提供する。この位置情報は、例えば、ビル内、地下、高層ビル間又はグローバルポジショニングシステム(GPS)データが利用出来ない若しくは得られない他の場所における個人又はユーザ112のロケーションを特定するために用いられる。
[0020] ワイヤレス通信装置120は、例えば、CDMA、TDMA、GSM、又はマルチバンドフォンのような携帯電話、携帯ラジオ、統合デジタル拡張ネットワーク(iDEN)フォン、LAN又はWLAN向けワイヤレスネットワーク装置、PDA、又はパケットデータが送受信可能な他の電話又は携帯ラジオを含む。ある例では、ワイヤレス通信装置120は、動作モードを選択し、結果を表示するディスプレイ及び入力装置を備える携帯電話である。他の例では、ワイヤレス通信装置120は、ディスプレイ及び、音声通信に加え、個人用追跡及びナビゲーションが可能な比較的短距離の通信用携帯無線機を備えた携帯ラジオである。さらに他の例では、ワイヤレス通信装置120は、GPS衛星データが利用可能な時、ラジオ及びユーザ112のロケーションを特定するためのGPSユニット140を備えたiDENラジオである。ワイヤレス通信装置120は、例えば、個人のウェストに取付けられるか、手で運ばれるか、或いは他の方法でユーザ112の体に結合される。ワイヤレス通信装置120は、例えば1又はそれ以上の有線で歩数計130に接続され、又は無線トランシーバ132a及び132bのペアでワイヤレスで歩数計130に接続される。
[0021] ユーザ112の靴、足、踵又は脚に取付けられることの多い歩数計130は、例えば、ピエゾ電子加速度計又はシリコンベースのマイクロマシーンからなる加速度計のような、少なくとも1つの1軸加速度計134を含む。加速度計134は、過去の位置、又は、例えば歩数又は歩調と1歩当たりの歩幅から演算した参照位置に基づいて、現在の位置を特定できるよう、ユーザ112が歩行する際の足の動きの変化に応じた加速度信号及び減速度信号を提供する。歩数計130は、高さの変化又は直線ラインからの逸脱を特定する追加の加速度計134を含んでもよい。
[0022] 歩数計130は、針路情報を特定する、較正された磁気計のような電子コンパス136を含んでいてもよい。電子コンパスからの電気信号は、例えば、ユーザ112が北方向へ移動しているか、又は南方向へ移動しているか、又は北と南の間の他の方向へ移動しているかを確認するために用いられる。或いはその代わりに、電子コンパス136は、ワイヤレス通信装置120又はワイヤレス通信装置120内の電子モジュール160に搭載される。電子コンパス136は、ワイヤレス通信装置120と機械的に結合するか、ワイヤレス通信装置120内又はワイヤレス通信装置120と接続した電子モジュールと機械的に結合するか、或いは歩数計130と機械的に結合する。
[0023] 歩数計130は、有線リンク又は無線リンクによりワイヤレス通信装置120と電気的に接続する。例えば、歩数計130は、IEEE802.15.4ワイヤレスプロトコル、ブルートゥースプロトコル、又は歩数計130とワイヤレス通信装置120との間の位置データの伝送に利用可能な他の短距離ワイヤレスプロトコルに従って、ワイヤレス通信装置と電気的に結合する。或いはその代わりに、歩数計30は、シリアルデータリンクやパラレルデータリンクのような有線リンクを用いてワイヤレス通信装置と電気的に接続する。
[0024] いくつかの場合において、上昇又は高さ情報は、ユーザ112のロケーション特定を手助けするために、必要とされる。例えば、ユーザ112が、階段、エレベータ又はエスカレータで上るか下りるかするとき、ユーザ112のいるフロアは、高さ情報から特定し得る。気圧計138は、高さを特定し得る気圧情報を提供する。気圧信号は、ワイヤレス通信装置120が受信し、高度情報を提供する。気圧計138は、歩数計130の電子モジュール160内に位置するか、又はワイヤレス通信装置120内に位置し、ワイヤレス通信装置120と電気的に結合して、高さ情報を提供する。
[0025] グローバルポジショニングシステム(GPS)ユニット140は、ワイヤレス通信装置120と電気的に結合する。GPSユニットからのGPS信号は、緯度座標及び経度座標をワイヤレス通信装置120に提供し、GPS衛星142からのGPS衛星信号が十分な信号強度で利用可能な時、位置情報を特定するために用いられる。
[0026] ユーザ112の位置情報は、個人用追跡システム110からサーバ150へ送られる。サーバ150は、位置情報及び関連するコマンドメッセージが送信されてきたとき、ワイヤレス通信装置120と通信する。例えば、ワイヤレス通信装置120は、セルラアンテナシステム122、携帯電話ネットワーク124、並びに有線及び無線の混合ネットワーク126を介してサーバ150と接続される。位置情報は、位置リクエストに応じてワイヤレス通信装置120からサーバ150へ送信される。位置リクエストは、例えば、サーバ150又はワイヤレス通信装置120内で実行されているアプリケーションが生成する。位置リクエストは、例えば、規定のタイムリミット時に、自動的に生成され、GPSデータが利用できないか若しくはGPS信号が信号閾値未満に減少した時に半自動的に生成され、ユーザ112の指示に応じて手動で生成される。
[0027] 位置情報は生成され、ワイヤレス通信装置120の特定の箇所に表示される。或いは、その代わりに、位置情報は生成され、ログ保存用又は他のユーザ112追跡用のラップトップ又はパーソナルコンピュータのようなコンピュータ154と接続したディスプレイ152に表示されてもよい。位置又はロケーション情報は、必要な場合、サーバ150と接続されたメモリ156記録される。)

イ 「[0028] FIG. 2 shows a block diagram of a system for tracking a location of a person, … , sometimes referred to as a foot pod.

[0029] In one embodiment, location-tracking system 200 comprises an electronic module 260 … In another embodiment, pedometer 230 is connected by a wired link to electronic module 260.

[0030] Electronic module 260 provides position information to wireless communication device 220. … Serial port 262 may be located in electronic module 260 with a matching port located in wireless communication device 220 for sending and receiving data, messages, and position information.

[0031] Pedometer 230 comprises at least one accelerometer 234 for detecting one or more steps of a user … Electronic compass 236 may be electrically coupled to controller 264 via a wired or a wireless link.

[0032] Location-tracking system 200 may receive altitude information from a barometer 238 to determine … that is electrically coupled to controller 228 , and may be extracted or inspected when desired.

[0033] For example, microcode running on controller 264 within electronic module 260 calculates the position of a user … provided by voice or keypad input in response to an application running on wireless communication device 220.」(段落[0028]ないし[0033])
([0028] 図2は、この発明の一実施形態における個人用位置追跡システム200のブロックダイアグラムを表す。位置追跡システム200は、携帯電話又は携帯ラジオ及び歩数計230のようなワイヤレス通信装置220を含み、フットポッドとして参照されることもある。
[0029] ある実施形態では、位置追跡システム200は、個人用追跡システム向けの電子モジュール260を含む。電子モジュール260は、コントローラ264、及び歩数計230内の、対応する無線トランシーバ232bと電気的に接続可能な無線トランシーバ232aを含む。電子モジュール260内の無線トランシーバ232aは、IEEE802.15.4ワイヤレスプロトコル、IEEE802.11ワイヤレスプロトコル、または 他の短距離ワイヤレス通信プロトコルにしたがって、歩数計230内の無線トランシーバ232bを介して歩数計230と接続する。電子モジュール260は、ワイヤレス通信装置220内に位置し、或いはアクセサリモジュールとしてワイヤレス通信装置220と接続される。他の実施形態では、歩数計230は、電子モジュール260と有線リンクで接続する。
[0030] 電子モジュール260はワイヤレス通信装置220へ位置情報を提供する。電子モジュール260は、ワイヤレス通信装置220との接続を行う有線接続を含んでも良い。位置情報は、ワイヤレス通信装置220に、有線接続を介して提供される。電子モジュール260からの位置情報は、ワイヤレス通信装置220に、ワイヤレス通信装置220内からの有線接続を介して、又はワイヤレス通信装置220の外部のシリアルポート262のような有線接続を介して、送信される。シリアルポート262は、電子モジュール260に位置し、ワイヤレス通信装置220の対応するポートとともに、データ、メッセージ又は位置情報を送受信する。
[0031] 歩数計230は、ユーザの1以上の歩数及び1歩当たりの歩幅を検出する少なくとも1つの加速度計234を含む。歩数計230は、針路情報を提供する磁気計のような電子コンパス236を含んでもよい。歩数計230から受信した歩数計データ及び電子コンパス260からの針路情報は、個人又はユーザの位置又はロケーションを特定するために用いられる。電子コンパス236は、有線又は無線リンクを介して電気的にコントローラ264と結合される。
[0032]位置追跡システム200は、気圧計238から高さ情報を受信し、個人又はユーザのロケーションを、高さ情報に基づいて特定する。気圧計238は、歩数計230内に含まれていてもよい。ある実施の形態では、歩数計230内のコントローラ228は、マイクロコードを実行し、加速度計234、電子コンパス236及び気圧計238から信号を得、位置情報を電子モジュール又はワイヤレス通信装置220に伝送するコマンドを実行する。コントローラ228は、位置情報を直接演算し、又はその代わりに、位置又はロケーション情報を演算し得る電子モジュール260又はワイヤレス通信装置220内のコントローラに信号情報を送信する。或いはその代わりに、位置又はロケーション情報は、ワイヤレス通信装置と接続された外部サーバー又はデジタル演算装置で演算されてもよい。歩数計230内の加速度計234、電子コンパス236又は気圧計238からの位置情報または信号は、コントローラ228と電気的に結合されたメモリ244内に記録されてもよく、必要な時に取り出され、又は参照されてもよい。
[0033] 例えば、電子モジュール260内のコントローラ264上で実行されているマイクロコードは、基準ロケーション又は、歩数、1歩当たりの歩幅、又は針路に基づく初期ロケーションに関連してユーザの位置を計算する。初期又は基準情報は、例えば、ワイヤレス通信デバイス220内のGPSユニット240又は電子モジュール260内のGPSユニット240から与えられる。或いはその代わりに、初期又は基準情報は、ワイヤレス通信装置220上で実行するアプリケーションに応答した声又はキーパッド入力により提供されてもよい。)

ウ「[0036] In another embodiment, electronic module 260 comprises GPS unit 240 … provide a longitudinal coordinate and a latitudinal coordinate to controller 264.」(段落[0036])
([0036] 他の実施形態において、電子モジュール260は、GPSユニット240(図示せず)を含む。この実施形態において、GPSユニット240は、コントローラ264と電気的に結合する。電子モジュール260内に位置するGPSユニット240からのGPS信号は、緯度座標及び経度座標をコントローラ264に提供する。)

エ「[0043] In situations where GPS coordinate information is not available or not reliable … the GPS unit may be powered down and the personal tracking system powered up to extend battery life.」(段落[0043])
([0043] GPSの座標情報が利用できないか、或いは信頼できない、例えばGPS衛星からの信号強度が低いか、又はビルの谷間で正確な信号が得られない状況において、GPS座標情報又は他のユーザ提供の位置又はロケーション情報は、ユーザに取付けられた歩数計及び電子コンパスからのローカル追跡情報がアップデートされる。例えば、ユーザがビルに入っている時又はGPSの受け取りが制限される施設内を広範囲に歩いているとき、歩数計及び針路の情報はユーザの位置を特定するために用いられ、GPSの読み取りから、又は個人的な基準ロケーション入力からの過去の位置又はロケーションの情報を確認し、調整し又は拡張する。このとき、GPSユニットはパワーダウンされ、個人用追跡システムはパワーアップし、バッテリ寿命を延ばす。)

(2)引用文献1に記載の事項
上記ア及びエに示された実施形態を基本構成として参照しつつ、イ及びウに示された実施形態に着目すると、次のことが分かる。

カ 上記ア及びイから、引用文献1には、人の靴、足首又は脚などに取付けられ、人の位置を追跡する個人用追跡システムに用いられる歩数計130又は230が記載されていることが分かる。また、引用文献1記載の歩数計130又は230は、人の歩数及び歩幅を検出することが分かる。

キ 上記ア及びイから、引用文献1には、人の針路を検出し、針路情報を提供する磁気計のような電子コンパス136又は236、人の加速度又は減速度を検出し、加速度又は減速度情報を提供する加速度計134又は234を備えることが分かる。

ク 上記ア及びイから、引用文献1記載の歩数計230は、加速度計234及び電子コンパス236から信号を得て位置情報を演算するコンとローラ228と、コントローラ228と結合され、位置情報を含む信号を、GPSユニット240を備えた電子モジュール260に備えられた無線トランシーバ232aに送信する無線トランシーバ232bと、を備えることが分かる。

ケ 上記イから、GPSユニット240及び無線トランシーバ232aを備えた電子モジュール260は、無線トランシーバ232bを備えた歩数計230に無線式に結合することが分かる。

コ 上記ア、イ及びエから、電子モジュール260は、歩数計230の備えた無線トランシーバ232bからの位置情報に応答して、GPS座標が利用できない又は頼りにならない場合に、ユーザ112の位置を特定するために用いられることが分かる。

(3)引用文献1発明
上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されていると認める。

<引用文献1発明>
「ユーザ112の位置を追跡しナビゲーションする個人用位置決め及びナビゲーション装置に用いる歩数計230であって、
前記ユーザ112の針路を検出し且つ針路情報を提供するよう構成される磁気計からなる電子コンパス236と、
前記人の加速度を検出し且つ加速度情報を提供する加速度計234と、
電子コンパス236及び加速度計234に結合され、且つ前記針路情報及び加速度情報に基づき位置情報を演算するコントローラ228と、
該コントローラ228に結合され、且つ位置情報を含む信号を無線送信するよう構成される無線トランシーバ232bと、
を含み、
当該歩数計230は、前記ユーザの靴、足首又は脚などに装着され、GPSユニット240を備えた電子モジュール260が、当該歩数計230に無線式に結合され、
GPSユニット240を備えた電子モジュール260は、前記位置情報を含む前記信号を前記無線トランシーバ232bから受信し、且つ前記無線トランシーバ232bからの前記位置情報の受信に応答してGPS座標が情報が利用できない又は頼りにならない場合にユーザ112の位置を決定するよう構成され、
前記コントローラ228、前記磁気計からなる電子コンパス236、前記加速度計234、前記無線トランシーバ232bは、歩数計230に配置される、
歩数計230。」

2 引用文献2
本件出願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由に引用された文献である特開2003-217095号公報(以下、「引用文献2」ともいう。)の、特に段落【0001】ないし【0003】及び【0013】ないし【0024】並びに図1ないし3の記載からみて、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献2技術>
「歩行者用ナビゲーション装置において、圧電発電装置16及び二次電池14を備え、圧電発電装置16によって発電した電力を、歩数カウンター7、方位センサ6及び処理手段8へ供給する技術。」

3 引用文献3ないし引用文献5
(1)引用文献3技術1及び2
本件出願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由に引用された文献である特開2008-268098号公報(以下、「引用文献3」という。)の、特に段落【0001】及び【0023】の記載からみて、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3技術1」という。)が記載されていると認める。

<引用文献3技術1>
「携帯ナビゲーション装置において、圧電素子を有する自己発電装置3b及び二次電池3dを備え、該自己発電装置3bの出力した電気エネルギを方位センサ3a、制御部3f及びローカル送信部3iへ供給する技術。」

また、引用文献3の、特に段落【0001】及び【0027】並びに図1及び2の記載からみて、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3技術2」という。)が記載されていると認める。

<引用文献3技術2>
「携帯ナビゲーション装置において、シューズ2の表底21の踵部2aに設けた凹部21aに、方位センサ3a、圧電素子を有する自己発電装置3b、制御部3f、ローカル送信部3i及びローカルアンテナ3jを収容したケース31を収容し、表底21と中敷き22の間に挿入したアッパヒール23及び中敷22でケース31を押さえつける技術。」

(2)引用文献4技術1ないし引用文献4技術3
本件出願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由に引用された文献である特表2009-535157号公報(以下、「引用文献4」という。)の、特に段落【0007】、【0048】及び【0052】ないし【0082】並びに図5ないし9からみて、引用文献4には次の技術(以下「引用文献4技術1」という。)が記載されていると認める。

<引用文献4技術1>
「フットウェア製品において、歩数計タイプの速度及び/又は距離データ、GPSデータ及び加速度計データを提供する電子モジュールのハウジングを嵌めこむ穴又は凹みを、フットウェア構造のヒール領域のミッドソール部材、インソール部材、中敷き又はブーティー部材に形成し、該穴又は凹みにハウジングを嵌めこんで着実に保持する技術。」

また、引用文献4の、特に【特許請求の範囲】の【請求項117】及び明細書の段落【0019】の記載からみて、引用文献4には、次の技術(以下、「引用文献4技術2」という。)が記載されていると認める。

<引用文献4技術2>
「フットウェア製品において、電源、電気接点、データ処理能力及びデータ送受信能力を電子モジュールに含めることで、フットウェア構造そのものが電源、電気接点、データ処理能力及びデータ送受信能力を要しないようにする技術。」

さらに、引用文献4の、特に段落【0066】ないし【0070】並びに図5及び6の記載からみて、引用文献4には、次の技術(以下、「引用文献4技術3」という。)が記載されていると認める。

<引用文献4技術3>
「フットウェア製品において、フットウェア構造のヒール領域のインソール部材、中敷き又はブーティ部材の上面に開口を設けてハウジングを配置するか、或いは上面に開口を設ける代わりに、下面に設けた開口を介してハウジングを配置する技術。」

(3)引用文献5技術
本件出願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由に引用された文献である特開2006-280955号公報(以下、「引用文献5」という。)の、特に段落【0007】、【0008】及び【0027】の記載からみて、引用文献5には次の技術(以下、「引用文献5技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献5技術>
「ランニングシューズ内の電子歩数計に関して、インソール下のミッドソールの収納部、インソール内に設けた収納部又はミッドソール及びインソールが一緒になって形成した空洞に、電子歩数計のハウジングを収納してしっかり収容する技術。」

第3 対比及び判断
1 対比
本件発明と引用文献1発明とを対比すると、引用文献1発明における「個人用位置決め及びナビゲーション装置に用いる歩数計230」は、その構造、機能又は技術的意義からみて、本件発明における「位置決め装置」に相当し、以下同様に、「前記ユーザ112の針路を検出し且つ針路情報を提供するよう構成される磁気計からなる電子コンパス236」は「前記人の針路を検出し且つ針路情報を提供するよう構成される磁気計」に、「前記人の加速度を検出し且つ加速度情報を提供する加速度計234」は「前記人の運動を検出し且つ運動情報を提供するよう構成される運動センサ」に、「電子コンパス236及び加速度計234に結合され、且つ前記針路情報及び加速度情報に基づき位置情報を演算するコントローラ228」は「前記磁気計及び前記運動センサに結合され、且つ前記針路情報及び前記運動情報に基づき位置データを生成するよう構成されるマイクロプロセッサ」に、「該コントローラ228に結合され、且つ位置情報を含む信号を無線送信するよう構成される無線トランシーバ232b」は「該マイクロプロセッサに結合され、且つ前記位置データを含む信号を無線送信するよう構成される送信器」に、相当する。
また、引用文献1発明において「ユーザ112の位置を追跡」することは、本件発明において「人の位置を決定」することに、相当する。
さらに、「当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品に設けられ、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され」という限りにおいて、引用文献1発明において、「当該歩数計230は、前記ユーザの靴、足首又は脚などに装着され、GPSユニット240を備えた電子モジュール260が、当該歩数計230に無線式に結合され」ることは、本件発明において、「当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品内に埋設され、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され」ることに相当し、引用文献1発明において、「GPSユニット240を備えた電子モジュール260は、前記位置情報を含む前記信号を前記無線トランシーバ232bから受信し、且つ前記無線トランシーバ232bからの前記位置情報の受信に応答してGPS座標が情報が利用できない又は頼りにならない場合にユーザ112の位置を決定するよう構成され」ることは、本件発明において、「前記GPSは、前記位置データを含む前記信号を前記送信器から受信し、且つ前記送信器からの前記位置データの受信に応答してGPS拒否環境内で位置を決定するよう構成され」ることに相当する。

そうすると、本件発明と、引用文献1発明とは、
「人の位置を決定するための位置決め装置であって、
前記人の針路を検出し且つ針路情報を提供するよう構成される磁気計と、
前記人の運動を検出し且つ運動情報を提供するよう構成される運動センサと、
前記磁気計及び前記運動センサに結合され、且つ前記針路情報及び前記運動情報に基づき位置データを生成するよう構成されるマイクロプロセッサと、
該マイクロプロセッサに結合され、且つ前記位置データを含む信号を無線送信するよう構成される送信器と、
を含み、
当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品に設けられ、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され、
前記GPSは、前記位置データを含む前記信号を前記送信器から受信し、且つ前記送信器からの前記位置データの受信に応答してGPS拒否環境内で位置を決定するよう構成される、
位置決め装置。」という点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本件発明においては、「前記マイクロプロセッサ、前記磁気計、前記運動センサ、及び前記送信器のうちの少なくとも1つに動力を供給するよう構成される圧電性動力源」及び「統合ハウジング」を含み、「前記マイクロプロセッサ、前記磁気計、前記運動センサ、前記送信器、及び前記圧電性動力源は、前記統合ハウジング内に配置」されるのに対し、引用文献1発明においては「圧電性動力源」及び「統合ハウジング」を備えるか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
「当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品に設けられ、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され」ることに関し、本件発明においては「当該位置決め装置は、前記人が装着する履物品内に埋設され、衛星航法システム(GPS)が、当該位置決め装置に無線式に結合され」、「前記統合ハウジングは、履物品の中底上に適合するよう構成される踵カップの内に又は下に配置されるよう構成され、且つ当該位置決め装置を前記中底上に保持するよう構成される」のに対し、引用文献1発明においては、「当該歩数計230は、前記ユーザの靴、足首又は脚などに装着され、GPSユニット240を備えた電子モジュール260が、当該歩数計230に無線式に結合され」るものの、それ以上の特定はされていない点(以下、「相違点2」という。)。

2 判断
(1)相違点1についての検討
個人用の歩数計又は携帯ナビゲーション装置という引用文献1発明と共通の技術分野に属する引用文献2技術及び引用文献3技術1等に例示されるように、圧電素子を備えた発電装置を用いて、歩行者の歩行により発電を行い、発電した電力を用いて、歩行者用の歩数計ないしナビゲーション装置に給電を行う技術は、本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。)である。
また、靴に設ける個人用の電子モジュールという引用文献1発明と共通の技術分野に属する引用文献3技術2及び引用文献4技術2等に例示されるように、電源と電気負荷とをハウジング内に一体化させた電子モジュールの技術は、本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1-1」という。)である。
そして、引用文献1発明において、歩数計230は、何らかのハウジング又はケースを備えること並びに加速度計234、歩数計230の電子コンパス236、コントローラ228及び無線トランシーバ232bは電源を要することは、いずれも自明の事項である。
そうすると、引用文献1発明において、周知技術1-1を考慮して周知技術1を採用し、電子コンパス236、加速度計234、コントローラ228及び無線トランシーバ232bへ電力を供給する圧電発電装置を、歩行により発電できる箇所へ設ける際、当該圧電発電装置を、引用文献1発明において備えることが自明なハウジング又はケース内に配置して、相違点1に係る本件発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

(2) 相違点2についての検討
ア 相違点2における「踵カップ」という本件発明の特定事項について
相違点2について検討を行うため、まず、本件出願において、「踵カップ」がどのようなものであるのか、本願明細書等を参照して把握する。
本願明細書等を参照すると、段落【0039】及び【0040】に、「踵カップ22は、履物内に、例えば、中底上にしっかりと嵌るよう構成」及び「位置決めモジュール10に対して人の踵の下向きの圧力を伝えるよう構成される曲げやすい材料で踵カップ22を製造し得る。」と記載されている。そうすると、本件出願において、「踵カップ」とは、履物内に、例えば、中底上にしっかりと嵌まるものであり、曲げやすい材料で製造し得るものである。また、本願明細書等における当該記載以外については、当業者にとって自明な、一般的な踵カップの構造であり得るものと解される。
ところで、例えば、本件出願の優先日前に頒布された文献である特表2009-511213号公報の段落【0003】に、「・・・ほとんどの店頭市場のインソールは、十分にかかとを固定又は脚を調整しないとても低いヒールカップと中間及び側部フランジを具える」と記載される等するように、ヒールカップ、すなわち踵カップは、「ほとんどの店頭市場のインソール」が備え得るものであり、また「十分に踵を固定しない」ものをも包含し得るものであると解される。そうすると、踵カップとは、単にインソール部材の代表的なものの一例であるか、あるいはインソール部材の一部位に過ぎないものである。また、インソール部材は、中底内又は中底上において、しっかりと嵌まるものであること及び曲げやすい材料で製造され得るものであることは、いずれも本件優先日前において技術常識である。
したがって、本件出願における「踵カップ」は、インソールの一部位であるものを包含する。

イ 相違点2について
靴に設ける個人用の電子モジュールという引用文献1発明と共通の技術分野に属する引用文献3技術2、引用文献4技術1、引用文献4技術3及び引用文献5技術等に例示されるように、インソール下部に設けた凹部に歩数計を内蔵するケースを配置する技術は本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。)である。このとき、引用文献4技術3及び引用文献5技術等に例示されるように、電子機器を収納する開口を、ミッドソール側又はインソール側のいずれに設けるかを、適宜に選択ないし置換する技術もまた周知の技術(以下、「周知技術2-1」という。)である。
そうすると、引用文献1発明に周知技術2-1を考慮して周知技術2を採用し、引用文献1発明において歩数計230が備えることが自明なハウジング又はケースを、インソール底部に設けた開口に収納するようにして、相違点2に係る本件発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

また、本件発明は、全体としてみても、引用文献1発明、周知技術1、周知技術1-1、周知技術2及び周知技術2-1から当業者が予測し得る以上の格別な作用効果を奏するものでもない。

したがって、本件発明は、引用文献1発明、周知技術1、周知技術1-1、周知技術2及び周知技術2-1から当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 まとめ
以上のとおり、本件発明は、引用文献1発明、周知技術1、周知技術1-1、周知技術2及び周知技術2-1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第5 むすび
上記第4のとおり、本件発明は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本件出願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-04 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-25 
出願番号 特願2014-525995(P2014-525995)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩田 玲彦  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 三島木 英宏
槙原 進
発明の名称 位置決めモジュール  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
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