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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1335544
審判番号 不服2017-1493  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-01 
確定日 2018-01-09 
事件の表示 特願2015-227982「配信装置、配信方法および配信プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 1日出願公開、特開2017- 97555、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成27年11月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 6月23日付け:拒絶理由の通知
平成28年 8月29日 :意見書、及び、手続補正書の提出
平成28年10月21日付け:拒絶査定
平成29年 2月 1日 :審判請求書、及び、手続補正書の提出
平成29年 3月17日 :前置報告
平成29年 5月17日 :上申書の提出


第2 原査定の概要

原査定(平成28年10月21日付け拒絶査定)の概要は次の通りである。

本願請求項1-8、10-17に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、本願請求項9に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2007-226382号公報
2.特開2010-249876号公報
3.特開2015-194771号公報
4.特開2015-153094号公報
5.特開2015-5052号公報


第3 審判請求時の補正について

審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項2、3、6、7、10は削除された。また、請求項1、11、12(補正前の請求項1、16、17に対応)について「書籍に含まれる画像情報」を「ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報」とし、「電子書籍とともに表示される」を「前記ユーザが前記電子書籍を閲覧する際に表示される」とする補正がなされたところ、「電子書籍」が「ユーザが閲覧中の電子書籍」であることを限定し、これに伴って、表示されるタイミングを「閲覧する際」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。さらに、請求項2-10(補正前の請求項4、5、8、9、11-15に対応)になされた補正は、請求項の削除、及び、特許請求の範囲の減縮に伴って、表記を合わせるためになされたものである。
また、「ユーザが閲覧中の電子書籍」に関しては、当初明細書の段落【0090】、【0121】等に記載されているから、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-12に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明

本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、平成29年 2月 1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報と、広告情報である所定のテキスト情報と、所定の吹き出し画像と、所定の広告コンテンツとを取得する取得部と、
前記画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが隣接されて、前記ユーザが前記電子書籍を閲覧する際に表示される表示枠に表示されるように配信する配信部と
を有することを特徴とする配信装置。

【請求項2】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報として、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれるキャラクターを含む画像情報を配信対象の画像情報として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の配信装置。

【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報として、当該ユーザのユーザ属性に対応する画像情報を配信対象の画像情報として取得する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配信装置。

【請求項4】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報に応じた前記広告情報を配信対象の広告情報として取得する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項5】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報の属するカテゴリと一致するカテゴリに属する前記広告情報を配信対象の広告情報として取得する
ことを特徴とする請求項1?4のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項6】
前記配信部は、隣接する複数の前記表示枠それぞれに、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが表示されるように配信する
ことを特徴とする請求項1?5のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項7】
前記配信部は、1つの前記表示枠に、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが隣接された状態で表示されるように配信する
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項8】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報であって、当該画像情報が指定された場合に、広告情報である前記所定のテキスト情報の詳細ページに遷移する画像情報を取得する
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項9】
前記取得部は、前記ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報であって、当該画像情報が指定された場合に、当該画像情報掲載元のコンテンツの著者の作品集ページへ遷移する画像情報を取得する
ことを特徴とする請求項1?8のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項10】
前記取得部は、前記広告コンテンツに対する背景となる背景画像を取得する
ことを特徴とする請求項1?9のいずれか1つに記載の配信装置。

【請求項11】
コンピュータが実行する配信方法であって、
ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報と、広告情報である所定のテキスト情報と、所定の吹き出し画像と、所定の広告コンテンツとを取得する取得工程と、
前記画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが隣接されて、前記ユーザが前記電子書籍を閲覧する際に表示される表示枠に表示されるように配信する配信工程と
を含んだことを特徴とする配信方法。

【請求項12】
ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報と、広告情報である所定のテキスト情報と、所定の吹き出し画像と、所定の広告コンテンツとを取得する取得手順と、
前記画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが隣接されて、前記ユーザが前記電子書籍を閲覧する際にに表示される表示枠に表示されるように配信する配信手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする配信プログラム。」


第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)

(ア)
「本発明は、コンピュータや携帯電話機のモニタに広告を表示させるプログラムに関する。」(【0001】)

(イ)
「{第3の実施の形態}
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態において、図7に示すように、広告表示を行うプログラムは、ファイラーではなく、プレーヤー(コンテンツの再生プログラム)10Aである。プレーヤー10Aは、たとえばコンテンツが静止画像であれば静止画像の表示プログラムであり、動画であれば動画再生プログラムである。また、コンテンツが音声ファイルであれば、音声再生プログラムである。
図8は、第3の実施の形態に係る広告表示システムの処理の流れを示す図である。ユーザは、操作部14を操作してプレーヤー10Aを起動する。そして、ユーザは、再生したいコンテンツ(MP3などのファイル)を探すため、目的のコンテンツが格納されていると思われるフォルダを選択する(ステップS31)。なお、コンテンツについても、図2で示したように、フォルダ管理されており、フォルダ名称としてコンテンツの内容を表現した名称が用いられている。
プレーヤー10Aは、フォルダを選択するユーザの操作に応答して、選択されたフォルダに格納されているコンテンツをモニタ13に一覧表示する。また、選択されたフォルダの配下にフォルダが存在する場合には、そのフォルダも一覧表示する。
次に、プレーヤー10Aは、コンテンツサーバ2にアクセスし、検索キーワードとして選択されたフォルダ名称を送信し、新着情報の取得要求を行う(ステップS32)。たとえば、選択されたフォルダ名が「J-POP」であれば、「J-POP」についての新着情報の取得要求を行う。あるいは、フォルダの管理ファイルが存在する場合には、第2の実施の形態と同様、管理ファイルから抽出したファイル名をキーワードとして送信してもよい。
コンテンツサーバ2が検索キーワードを受信すると、検索処理部21が、コンテンツデータベース22に接続し、RSSデータ33に対して検索処理の問い合わせを行う(ステップS33)。
これにより、コンテンツデータベース22は、受け取った検索キーワードを用いてRSSデータ33を検索し、検索キーワードがマッチするコンテンツを抽出する(ステップS34)。たとえば、検索キーワードでマッチしたコンテンツの中で、RSSデータ33に記述されている登録日が新しいコンテンツを新着コンテンツとして抽出するようにすればよい。あるいは、データベース内に新着情報を登録するフラグなどを設けるようにしてもよい。
検索処理部21は、該当するコンテンツを取得すると、抽出された新着コンテンツのうち、たとえば、最新数件分のコンテンツリストを携帯電話機1に送信する(ステップS35)。また、合わせて、それらコンテンツについて格納されている広告画像データ32とRSSデータ33から抽出された広告文字情報を携帯電話機1に送信する(ステップS36)。もちろん、ここでは、新着情報を一例として説明しているが、検索キーワードでマッチしたコンテンツに関する広告データをそのまま送信する形態であってもよい。また、コンテンツに対応する広告データに限らず、検索キーワードにマッチした広告データを送信する形態であってもよい。
これにより、携帯電話機1は最新情報としてのコンテンツリストと広告画像データ32と広告文字情報を受信する。そして、プレーヤー10Aは、コンテンツリストと広告画像データ32と広告文字情報とをモニタ13の所定のエリアに表示するのである(ステップS37)。たとえば、選択されたコンテンツが音楽ファイルであれば、音楽ファイルの再生を行いつつ、モニタ13には、コンテンツリストと、リストされたコンテンツに関連する広告が表示されるのである。選択されたコンテンツが動画ファイルであれば、たとえば、画面中央で動画再生を行いながら、画面の下に広告表示を行う。」(【0046】-【0054】)

したがって、上記(ア)ないし(イ)の記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「コンテンツサーバ2が検索キーワードを受信すると、検索処理部21が、コンテンツデータベース22に接続し、RSSデータ33に対して検索処理の問い合わせを行い、
コンテンツデータベース22は、受け取った検索キーワードを用いてRSSデータ33を検索し、検索キーワードがマッチするコンテンツを抽出し、
検索処理部21は、該当するコンテンツを取得すると、コンテンツリストを携帯電話機1に送信し、合わせて、広告画像データ32とRSSデータ33から抽出された広告文字情報を携帯電話機1に送信し、
コンテンツに対応する広告データに限らず、検索キーワードにマッチした広告データを送信する形態であってもよい
コンテンツサーバ。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ウ)
「本発明は、商品またはサービスの広告情報をコミック本や雑誌等のあらゆる書籍、動画、静止画等のメディアデータの内容と組み合わせて生成可能なサーバ装置、当該サーバ装置における広告情報生成方法及びプログラムに関する。」(【0001】)

(エ)
【図5】本発明の一実施形態において生成される広告ユニット情報の表示例を示した図である。


3 引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(オ)
「本発明は、広告決定装置、広告決定方法およびプログラムに関する。」(【0001】)

(カ)
「==(1)概要==
以下、本発明の一実施形態に係る広告配信システムについて説明する。本実施形態の広告配信システムはWebページに含まれる所定の大きさの表示枠に、大きさの異なる広告を表示するものである。
図1は本実施形態の広告配信システムにおいて提供されるWebページ1の一例を示す図である。Webページ1には表示枠2が設けられている。表示枠2の幅および高さは一定であり、所定の長さを1単位として、一例として横5縦4の大きさであるものとすることができる。また、表示枠2に表示される広告の幅は一定であり、表示枠2の幅と同じであるものとする。表示枠2に表示される広告の高さは不定であるものとする。すなわち、表示枠2には縦方向に複数の高さの異なる広告を表示することが可能となる。図1の例では、表示枠2の高さは4であるので、高さ4の広告を1つ表示することもできるし、高さ2の広告を1つと高さ1の広告を2つ表示することもできる。高さ1の広告を4つ表示することもできる。」(【0020】)

4 引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(キ)
「本発明は、抽出装置、抽出方法および抽出プログラムに関する。」(【0001】)

(ク)
「この点について図11を用いて説明する。図11は、ウェブページ表示画面の一例を示す図である。図11に示すように、ウェブページW1は、広告枠F1および広告枠F2を有する。また、図11に示すように、広告枠F1は、広告枠F2と比較して、コンテンツに記載されているキーワード「車」の位置との間の距離が近い位置にある。すなわち、広告枠F1とコンテンツに記載されているキーワード「車」の位置との間の距離L1は、広告枠F2とコンテンツに記載されているキーワード「車」の位置との間の距離L2より短いものとする。」(【0084】)

5 引用文献5について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ケ)
「本発明は、広告生成装置、広告生成方法及び広告生成プログラムに関する。」(【0001】)

(コ)
「〔5-6.広告パーツの抽出処理(1)〕
また、上記実施形態において、抽出部135は、広告パーツと広告テンプレートとの間の親和性を考慮して広告パーツを抽出してもよい。具体的には、抽出部135は、広告パーツを抽出する際に、広告テンプレートと広告パーツとの間の親和性を算出する。親和性は、例えば、広告テンプレートと広告パーツとを組み合わせて生成された広告コンテンツの過去のクリック実績が高いほど、大きい値が算出される。言い換えれば、親和性は、広告テンプレートと広告パーツとを組み合わせて生成された広告コンテンツの過去のクリック実績が低いほど、小さい値が算出される。そして、抽出部135は、ユーザ情報及び親和性に基づいて広告パーツを抽出する。例えば、抽出部135は、好感度スコアと親和性との合計値が最も高い広告パーツを抽出する。これにより、抽出部135は、広告テンプレートと親和性の高い広告パーツを抽出することができるので、広告効果の高い広告コンテンツを生成することができる。なお、抽出部135は、好感度スコアと親和性に重み付けを行った上で合計値を算出し、合計値が最も高い広告パーツを抽出してもよい。」(【0093】)


第6 対比・判断

1 本願発明1について

1-1 対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1)
引用発明では「コンテンツに対応する広告データに限らず、検索キーワードにマッチした広告データを送信する形態であってもよい」のであり、「検索キーワードにマッチした広告データ」を「送信する」ためには、「検索キーワードにマッチした広告データ」を取得する必要があることは明らかであるから、引用発明は、「広告データ」を取得する取得部を備えていると認められる。
また、引用発明に係る「広告画像データ」と「広告文字情報」は、本願発明1でいうところの『所定の広告コンテンツ』と『広告情報である所定のテキスト情報』に相当する。
そして、引用発明に係る「広告データ」には、引用発明の「広告画像データ」と「広告文字情報」が含まれると認められるから、引用発明と本願発明1とは、『広告情報である所定のテキスト情報と、所定の広告コンテンツとを取得する取得部』を有する点で共通する。

(2)
引用発明は、「広告画像データ32とRSSデータ33から抽出された広告文字情報を携帯電話機1に送信」するのであり、前記「「第5」の「1」の「(イ)」」で摘記したように、引用文献1には、「コンテンツリストと広告画像データ32と広告文字情報とをモニタ13の所定のエリアに表示する」ことが記載されているのであるから、引用発明は、「広告画像データ」と「広告文字情報」を表示枠に表示されるように配信する配信部を備えているといえる。
そして、引用発明に係る「コンテンツサーバ」は、「広告画像データ」と「広告文字情報」を配信するのであるから、本願発明1でいうところの『配信装置』に対応する。

したがって、上記(1)から(2)で対比した様に、本願発明4と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「広告情報である所定のテキスト情報と、所定の広告コンテンツとを取得する取得部と、
広告情報である所定のテキスト情報と所定の広告コンテンツとを表示枠に表示されるように配信する配信部と
を有することを特徴とする配信装置」

(相違点)
(相違点1)本願発明1では、『ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報』と『所定の吹き出し画像』を取得部で所得しているのに対し、引用発明では、その旨特定されていない点。

(相違点2)本願発明1では、『前記画像情報と、前記所定のテキスト情報および前記所定の吹き出し画像が一体化された一体化画像と、前記所定の広告コンテンツとが隣接されて、前記ユーザが前記電子書籍を閲覧する際に表示される表示枠に表示されるように配信』しているのに対し、引用発明では、「広告画像データ」と「広告文字情報」を表示枠に表示されるように配信している点。

1-2 相違点についての判断

上記相違点1、2についてまとめて検討すると、本願発明1における『画像情報』は、『ユーザが閲覧中の電子書籍に含まれる画像情報』であり、『配信装置』が、これを取得して、『ユーザが前記電子書籍を閲覧する際に』表示されるように配信する構成を備えているところ、引用文献1では、前記「「第5」の「1」の「(イ)」」で摘記したように、静止画像の表示プログラムや動画再生プログラムであるプレーヤー10Aが、「たとえば、画面中央で動画再生を行いながら、画面の下に広告表示を行う」ことは記載されているが、広告表示される広告データが、上記「静止画像」や「動画」に含まれるものであることは記載されておらず、引用発明において、広告データとして、上記「静止画像」や「動画」に含まれるデータを取得して、その「静止画像」や「動画」の閲覧中に、当該データを広告表示するために配信することが、当業者にとって容易であるとはいえない。
また、引用文献2-5にも、上記構成については記載されていない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-10について

本願発明2-10も、本願発明1の上記相違点1、2に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明11、12について

本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明12は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、ともに本願発明1の上記相違点1、2に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定について

審判請求時の補正により、本願発明1-12は、上記相違点1、2に係る構成を備えるものであるから、上記「第5 引用文献、引用発明等」から「第6 対比・判断」で言及したとおり、本願発明1-12は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2015-227982(P2015-227982)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小太刀 慶明後藤 昂彦吉田 誠  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 宇多川 勉
相崎 裕恒
発明の名称 配信装置、配信方法および配信プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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