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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1336055
審判番号 不服2016-11551  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-02 
確定日 2018-01-04 
事件の表示 特願2014-192324「目標物検出装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月26日出願公開、特開2015- 38486〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年2月6日(優先権主張平成19年2月9日、平成19年5月30日)に出願した特願2008-26073号の一部を平成23年6月17日に新たな特許出願とした特願2011-135503号の一部を平成24年2月13日に新たな特許出願とした特願2012-27901号の一部を平成25年8月26日に新たな特許出願とした特願2013-174335号の一部を平成26年9月22日に新たな特許出願としたものであって、平成26年9月22日に上申書が提出され、平成27年9月9日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年11月10日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年4月27日付けで拒絶査定がされ、平成28年8月2日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において平成29年6月16日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年8月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る発明は、平成29年8月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲及び願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、下記の【請求項1】のとおりである。

「 【請求項1】
目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる機能を備えた電子機器であって、
警報状態を待ち受ける画面である待ち受け画面と、警報状態中の画面である警報画面のいずれかを画面に表示する機能を備え、
前記待ち受け画面として、目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面を表示する第一の待ち受け画面表示と、前記目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面である第一の待受け画面ではない待ち受け画面を表示する第二の待ち受け画面表示と、を備え、
前記待ち受け画面として、前記第一の待ち受け画面表示と前記第二の待ち受け画面表示のいずれを行うかをユーザ設定可能とし、当該ユーザ設定に基づいて前記第一の待ち受け画面表示と前記第二の待ち受け画面表示のいずれかの待ち受け画面を表示する機能と、
前記自車の位置と前記目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に、前記第二の待ち受け画面表示をしている場合には前記警報画面として前記2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に切り替えるとともに当該2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる一方、前記第一の待ち受け画面表示をしている場合には前記警報画面として当該第一の待ち受け画面表示の2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる機能と
を備えることを特徴とする目標物検出装置。」

第3 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由で引用され、本願の優先日前に国内において頒布された刊行物である特開2001-59728号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「ナビゲーションシステム、取締情報更新方法及び記録媒体」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付した。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、取締情報を適切に更新し、更新した取締情報に基づいた取締区域を報知することのできるナビゲーションシステム、取締情報更新方法及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、交通事故の削減等を目的として、高速道路や一般道において、レーダ式の速度取締装置等を用いた速度超過車両の取り締まりが行われている。この速度取締装置は、所定の周波数の電波、例えば、マイクロ波を走行車両に向けて発して、その反射波により対象車両の速度等を計測し、制限速度を違反している速度超過車両を特定する。
【0003】一方、このような速度取締装置から発せられる電波を検出し、現在走行中の経路が警察職員等による速度超過車両の取締区域であることを運転者に報知するレーダ探知機が知られている。このレーダ探知機は、取締区域を運転者に報知し、速度の再確認を運転者に求める。すなわち、レーダ探知機は、運転者に対して、一般的に速度を上げ易い取締区域を走行中であることを報知することにより、運転者に法定速度を遵守した安全な走行を促すことができる。
【0004】例えば、高速道路を走行した後に一般道を走行するような場合、運転者の速度感覚が高速走行に慣れてしまっているため、運転者に制限速度を守る意思があっても、知らぬ間に一般道の制限速度を超過してしまうことがある。このような、高速道路の出口から続く一般道等、つまり、一般的に速度を上げ易い区域において、速度超過車両の取り締まりが行われている場合が多い。このような区域において、レーダ探知機により、取締区域を走行中であることが報知されることを契機として、運転者は、自車の速度を再確認し、制限速度を遵守した安全な走行をすることができる。
【0005】また、最近では、予め記憶された取締情報に従って取締区域を表示することにより、運転者に自車の速度を再確認する契機を与えるナビゲーションシステムも知られている。このようなナビゲーションシステムは、自車の現在位置を所定のGPS(Global Positioning System)ユニット等により順次取得し、現在位置を示すシンボルと地図情報等とを合成することにより生成したナビゲーション画像を所定の表示装置に表示する。その際、予め記憶された取締情報に基づいた取締区域を地図情報等に合成して表示したり、自車の現在位置が取締区域に近づいた際に、所定のメッセージを表示すること等により、運転者に法定速度を遵守した安全な走行を促すことができる。」(段落【0001】ないし【0005】)

イ 「【0020】図1は、この発明の実施の形態に適用されるナビゲーションシステムの一例を示すブロック図である。このシステムは、GPSアンテナ1と、GPSモジュール2と、レーダ探知部3と、CD-ROM4と、処理制御部5と、操作部6と、フラッシュメモリ7と、音声出力部8と、表示部9とから構成される。
【0021】このナビゲーションシステムは、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両の現在位置を示すシンボル等を地図情報に合成して生成したナビゲーション画像を表示することにより、利用者を目的地等まで適切に誘導する。以下、ナビゲーションシステムを搭載した車両のことを「自車」という。そして、自車が速度取締装置による取締が行われている取締区域又はその近傍(取締区域に到達する経路)を走行する際に、その旨を報知して利用者に安全運転を促す。
【0022】GPS(Global Positioning System)アンテナ1は、ヘリカル型アンテナ、誘電体アンテナ、パッチ型平面アンテナ等からなり、所定のGPS衛星が発信するスペクトラム拡散変調された衛星電波を受信する。
【0023】GPSモジュール2は、複数のGPS衛星から送信され、GPSアンテナ1が受信した衛星電波に同調し、各衛星電波をそれぞれ逆拡散復調して複数の衛星受信信号を取得する。GPSモジュール2は、取得したそれぞれの衛星受信信号に従って算出した各衛星電波の到達時間の差に基づいて、緯度、経度及び高度等からなる位置情報を生成する。GPSモジュール2は、所定のタイミング毎に、生成した位置情報を処理制御部5に供給する。
【0024】レーダ探知部3は、速度取締装置から発せられる所定の周波数の電波、例えば、マイクロ波を絶えず探知し、発せられた電波を検出すると、検出信号を処理制御部5に供給する。なお、レーダ探知部3は、1種類の速度取締装置から発せられる1つの周波数における電波を探知するだけでなく、周波数の異なる電波を発する他の種類の速度取締装置をも探知できるように、複数の周波数帯を順次スキャンして、いずれかの速度取締装置から発せられる電波を検出してもよい。
【0025】CD-DOM4は、表示用の地図情報を記憶すると共に、道路セグメント(リンク)や道路ノード等からなる道路網情報を記憶する。また、固定して設置されている自動速度取締装置(オービス)の位置等を示す設置情報を予め記憶する。なお、CD-ROM4は、図示せぬドライバ装置を介して、処理制御部5に地図情報、道路網情報及び設置情報を供給する。
【0026】処理制御部5は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えたCPU(Central Processing Unit)から構成され、ナビゲーションシステム全体を制御する。すなわち、処理制御部5は、GPSモジュール2から供給された位置情報に従って、CD-ROM4に記憶された対象となる地図情報を読み出し、読み出した地図情報に自車の現在位置を示す所定のシンボル等を合成してナビゲーション画像を生成する。その際、処理制御部5は、フラッシュメモリ7に記憶された後述する取締情報に従って、自車の現在位置が取締区域の近傍(取締区域に至る経路上の所定範囲)に位置すると判別した場合、取締区域を走行中である旨等の出力用音声データ及び表示用データを生成する。処理制御部5は、生成した出力用音声データを音声出力部8に供給し、所定の音声メッセージを音声出力部8に出力させ、また、生成した表示用データをナビゲーション画像に更に合成して、表示部9に表示する。
【0027】また、処理制御部5は、レーダ探知部3が速度取締装置から発せられた電波を受信すると、自車の現在位置の座標を含んだ後述する取締レコードを生成する。処理制御部5は、生成した取締レコードをフラッシュメモリ7に供給し、後述する取締情報を更新する。
【0028】操作部6は、所定の操作パネル等からなり、利用者による入力操作に従って、種々の情報を処理制御部5に供給する。例えば、操作部6は、利用者の操作に従って、目的地を指し示す座標情報等を入力し、処理制御部5に供給する。
【0029】フラッシュメモリ7は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等からなり、図2に示すような取締情報71を記憶する。取締情報71は、図示するように、複数の取締レコード72から構成される。各取締レコード72は、速度取締装置の設置座標、表示用設置場所、及び、速度取締装置の種類からなる。なお、速度取締装置の設置座標を基準として、設置座標の経路上に定められる所定の範囲が取締区域となる。
【0030】フラッシュメモリ7は、処理制御部5から新たな取締レコード72が供給される度に、取締情報71に追加して記憶する。すなわち、取締情報71を順次更新する。なお、フラッシュメモリ7に取締情報71が記憶されていないナビゲーションシステムにおける初期動作時において、処理制御部5は、CD-ROM4に記憶された自動速度取締装置(オービス)の設置情報を読み取り、読み取った設置情報から取締レコード72を順次生成して初期の取締情報71を生成する。
【0031】図1に戻って、音声出力部8は、スピーカ等を備えた音声合成ユニット等からなり、処理制御部5から供給される出力用音声データに従って、所定の音声メッセージを合成し、合成した音声メッセージを出力する。
【0032】表示部9は、LCD(Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)等からなり、処理制御部5から供給されるナビゲーション画像を表示する。」(段落【0020】ないし【0032】)

ウ 「【0033】以下、この発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムにおけるナビゲーション処理について図3を参照して説明する。図3は、ナビゲーション処理を説明するためのフローチャートである。図3に示すナビゲーション処理は、操作部6を介して目的地等が入力された後に開始する。
【0034】まず、処理制御部5は、GPSモジュール2から送られた位置情報に従って、自車の現在位置を取得する(ステップS1)。
【0035】処理制御部5は、取得した現在位置が取締区域の近傍に位置するか否かを判別する(ステップS2)。すなわち、処理制御部5は、フラッシュメモリ7に記憶された取締情報71におけるいずれかの設置座標の経路上を自車が走行中で、かつ、自車の現在位置がその設置座標を基準として定められる取締区域に至る経路上の所定範囲に位置するか否かを判別する。
【0036】処理制御部5は、自車が取締区域の近傍に位置すると判別した場合、後述するステップS5に処理を進める。
【0037】一方、自車が取締区域の近傍に位置しないと判別した場合、処理制御部5は、レーダ探知部3により速度取締装置から発せられた電波を受信しているか否かを判別する(ステップS3)。処理制御部5は、レーダ探知部3が電波を受信していないと判別した場合、後述するステップS7に処理を進める。
【0038】一方、レーダ探知部3が電波を受信していると判別した場合、処理制御部5は、フラッシュメモリ7に記憶された取締情報71を更新する(ステップS4)。すなわち、処理制御部5は、GPSモジュール2から取得した位置情報等に従って、新たな取締レコード72を生成し、生成した取締レコード72をフラッシュメモリ7に供給して取締情報71を更新する。
【0039】処理制御部5は、所定の出力用音声データを生成し、音声出力部8を介して出力する(ステップS5)。すなわち、処理制御部5は、現在、取締区域を走行中である旨等を表す出力用音声データを生成し、生成した出力用音声データを音声出力部8に供給することにより、出力用音声データに従って合成された音声メッセージを出力する。
【0040】処理制御部5は、所定の表示用データを生成する(ステップS6)。すなわち、処理制御部5は、取締区域を走行中である旨等を示す表示用データを生成する。
【0041】処理制御部5は、表示部9にナビゲーション画像を表示する(ステップS7)。すなわち、処理制御部5は、CD-ROM4から読み出した地図情報に自車の現在位置を示すシンボル等を合成して得られるナビゲーション画像を表示部9に表示する。その際、ステップS6にて、取締区域を走行中である旨等を示す表示用データが生成されている場合、処理制御部5は、この表示用データをも合成したナビゲーション画像を表示部9に表示する。
【0042】処理制御部5は、目的地に到着したか否かを判別する(ステップS8)。処理制御部5は、目的地に到着していないと判別した場合、ステップS1に処理を戻し、上述のステップS1?S8の処理を繰り返す。一方、目的地に到着したと判別した場合、処理制御部5は、ナビゲーション処理を終了する。
【0043】このように、取締情報により把握されていない新たな取締区域であっても、レーダ探知部3により検出されると、その取締区域に関する情報が取締情報に追加され、更新される。それ以後、その取締区域に向かって自車が近付くと、更新された取締情報に従って、取締区域の近傍に位置することが判別され、取締区域に達する前に取締区域が報知される。この結果、取締情報を適切に更新し、更新した取締情報に基づいた取締区域を利用者に報知することができる。そして、取締区域に達する前に取締区域が報知できるため、利用者に法定速度を遵守した安全な走行を促すことができる。」(段落【0033】ないし【0043】)

エ 「【0044】以下、この発明の実施の形態に係るナビゲーション処理について、図4を参照して、より具体的に説明する。図4は、取締情報が更新され、更新された取締情報により特定される取締区域が利用者に報知される様子を説明するための模式図である。
【0045】まず、取締区域に差し掛かったが、対応する取締区域の情報がフラッシュメモリ7の取締情報に含まれていない状態で、図4(a)に示すように自車Vが速度取締装置Pから発せられた電波Rを受信すると、処理制御部5は、レーダ探知部3が速度取締装置Pから発せられた電波を検出したと判別する(ステップS3)。処理制御部5は、ステップS1にてGPSモジュール2から取得した位置情報等に従って、新たな取締区域を規定する取締レコード72を生成し、生成した取締レコード72をフラッシュメモリ7に供給して取締情報71を更新する(ステップS4)。
【0046】処理制御部5は、現在、取締区域を走行中である旨の出力用音声データを生成し、生成した出力用音声データを音声出力部8に供給して得られた音声メッセージを出力する(ステップS5)。処理制御部5は、取締区域を走行中である旨を示す表示用データを生成する(ステップS6)。
【0047】処理制御部5は、CD-ROM4から読み出した対象の地図情報に、自車の現在位置を示すシンボルS及び、取締区域を走行中である旨を示す表示用データM1を合成して生成した図4(b)に示すようなナビゲーション画像を表示部9に表示する(ステップS7)。
【0048】これ以後、同一の経路を自車が走行する場合、取締区域に至る前に取締区域が利用者に報知されることとなる。つまり、取締情報71が更新された状態で、同一の経路を自車が走行すると、レーダ探知部3が速度取締装置Pから発せられた電波Rを検出する前に、処理制御部5は、更新後の取締情報71に従って現在位置が取締区域の近傍に位置すると判別する(ステップS2)。処理制御部5は、取締区域に近付いた旨を表す出力用音声データを生成し、生成した出力用音声データを音声出力部8に供給して得られた音声メッセージを出力する(ステップS5)。処理制御部5は、取締区域に近付いた旨を示す表示用データを生成する(ステップS6)。
【0049】処理制御部5は、CD-ROM4から読み出した地図情報に、自車の現在位置を示すシンボルS、取締区域T1、速度取締装置の設置場所T2、及び、取締区域に近付いた旨を示す表示用データM2を合成して生成した図4(c)に示すようなナビゲーション画像を表示部9に表示する(ステップS7)。
【0050】このように、取締情報により把握されていない新たな取締区域であっても、レーダ探知部3により検出されると、その取締区域に関する情報が取締情報に追加され、更新される。それ以後、その取締区域に近付いた際に、更新された取締情報に従って、取締区域の近傍に位置することが判別され、取締区域に達する前に取締区域が報知される。この結果、取締情報を適切に更新し、更新した取締情報に基づいた取締区域を利用者に報知することができる。そして、取締区域に達する前に取締区域が報知できるため、利用者に法定速度を遵守した安全な走行を促すことができる。」(段落【0044】ないし【0050】)

(2)引用文献1の記載から分かること
上記(1)及び図面の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。

オ 上記(1)(特にアの段落【0001】を参照。)及び図面の記載から、引用文献1には、取締情報を適切に更新し、更新した取締情報に基づいた取締区域を報知することのできるナビゲーションシステムが記載されていることが分かる。

カ 上記(1)(特にエの段落【0049】等を参照。)及び図面(特に図4(c)を参照。)の記載から、引用文献1に記載されたナビゲーションシステムは、地図情報に、自車の現在位置を示すシンボルS、取締区域T1を示す斜線等を合成して生成したナビゲーション画像を表示部9に表示するものであることが分かる。

キ 上記(1)(特にウの段落【0036】、【0039】及び【0040】並びにエの段落【0046】及び【0047】を参照。)及び図面(特に図4(b))の記載から、引用文献1に記載されたナビゲーションシステムにおいて、取締区域に差し掛かったが、対応する取締区域の情報がフラッシュメモリ7の取締情報に含まれていない状態で、自車が取締区域を走行中の場合、CD-ROM4から読み出した地図情報に自車の現在位置を示すシンボル等を合成して得られるナビゲーション画像に取締区域を走行中である旨等を示す表示用データをも合成した図4(b)に示すようなナビゲーション画像を表示部9に表示することが分かる。

ク 上記(1)(特にエの段落【0049】を参照。)及び図面(特に図4(c))の記載から、引用文献1に記載されたナビゲーションシステムにおいて、自車が取締区域の近傍に位置するとき、ステップS7において、処理制御部5は、CD-ROM4から読み出した地図情報に、自車の現在位置を示すシンボルS、取締区域T1を示す斜線、及び取締区域に近付いた旨を示す表示用データM2を合成して生成した図4(c)に示すようなナビゲーション画像(以下、「第1の画像」という。)を表示部9に表示することが分かる。

ケ 上記クにおいて図4(c)が表示されるのは、自車が取締区域の近傍に位置するときであるから、その直前の、自車が取締区域の近傍の手前に位置するときには、段落【0005】に記載された従来の技術と同様に、取締区域T1の位置を示す斜線及び車両の現在位置を示すシンボルSを地図上に配置したナビゲーション画像を表示部9に表示することが分かる。(以下、自車が取締区域の近傍の手前に位置するときの「取締区域T1の位置と自車の位置とを、地図上に配置される(取締区域T1を示す)斜線及び(自車の現在位置を示す)シンボルSにより画面に表示させる画像」を、「第2の画像」という。)

(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる機能を備えたナビゲーションシステムであって、
自車が取締区域の近傍の手前に位置するときの画面である第2の画像と、自車が取締区域の近傍に位置するときの画面である第1の画像のいずれかを画面に表示する機能を備え、
第2の画像として、取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる第2の画像を表示する第2の画像表示を備え、
自車の位置と取締区域T1の位置が設定された報知条件を満たした場合に、第2の画像表示をしている場合には第1の画像として、当該第2の画像表示の地図上に配置される斜線及びシンボルSにより表示する画面に別の表示用データM2の領域を表示させる機能と
を備える、ナビゲーションシステム。」

2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用され、本願の優先日前に国内において頒布された刊行物である特開2005-326304号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「ナビゲーション装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付した。

ア 「【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、現在位置検出処理部によって検出された車両の現在位置を出発地として、該出発地から目的地までの経路が探索され、案内される。この場合、出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するようになっている。
【0003】
また、道路の渋滞情報を受信して渋滞区間を避けた最適な経路を探索することができるように、道路交通情報をナビゲーション装置に送信するシステムも提供されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、VICS(Vehicle Information & Communication System)(R)と称される道路交通情報通信システムにおいては、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して、道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を作成し、これを通信手段によって、ナビゲーション装置に送信するようになっている。そして、ナビゲーション装置は、前記道路交通情報に基づいて、渋滞を回避する経路を探索することができる。
【特許文献1】特開2000-39332号公報」(段落【0001】ないし【0003】)

イ 「【0038】
さらに、前記画面切り換え部45は、経路判断部44の判断によって、現在時刻が記憶時間帯に入っていて、かつ、車両が記憶経路上を走行している場合、表示部35の画面に待ち受け画面を表示させる。なお、前記画面切り換え部45は、前記記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報があるか否かを判断し、渋滞情報がある場合には前記待ち受け画面の表示をキャンセルする。なお、渋滞情報がない場合には、表示部35の画面に前記待ち受け画面を表示させる。
【0039】
該待ち受け画面は、地図表示画面、入力事項表示画面、操作画面、情報表示画面、案内画面等のような車両用ナビゲーション装置15本来の画面以外の画面であり、例えば、パーソナルコンピュータの表示手段に表示されるスクリーンセーバー、壁紙等であるが、写真、模様、絵画等であってもよいし、静止画であっても動画であってもよいし、いかなる表示コンテンツであってもよい。なお、該表示コンテンツは、画面登録部46によってデータ記録部16又はROM33にあらかじめ格納されて登録されている。
【0040】
そして、前記記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報がある場合、前記画面切り換え部45は、表示部35の画面に地図表示画面を表示させる。これにより、操作者は、記憶経路周辺の渋滞情報を把握することができる。また、現在時刻が記憶時間帯に入っていない場合、及び、現在時刻が記憶時間帯に入っていても車両が記憶経路上を走行していない場合、前記画面切り換え部45は、同様に、表示部35の画面に地図表示画面を表示させる。
【0041】
さらに、前記画面登録部46は、表示コンテンツをデータ記録部16又はROM33に格納して登録する。この場合、前記表示コンテンツは、複数種類のものが前記データ記録部16又はROM33に格納され、操作者が任意の表示コンテンツを選択することができることが望ましい。さらに、前記操作者がデジタルカメラで撮影した画像、パーソナルコンピュータからダウンロードしたスクリーンセーバー等の表示コンテンツを前記データ記録部16又はROM33にアップロードして登録することができるようにしてもよい。」(段落【0038】ないし【0041】)

ウ 「【0051】
ここで、車両用ナビゲーション装置15の表示部35には初期画面として、図1(a)に示されるように、地図表示画面が表示されているものとする。なお、図1(a)において、14は地図上での車両の現在位置を示す現在位置マークである。まず、経路判断部44は、現在時刻が記憶時間帯の範囲内であるか否か、すなわち、現在時刻が経路登録部43に登録された記憶時間帯に入っているか否かを判断する。そして、現在時刻が記憶時間帯の範囲内でない場合、画面切り換え部45は、表示部35の画面を切り換えず、図1(a)に示されるような地図表示画面を表示させたままとし、処理を終了する。
【0052】
また、現在時刻が記憶時間帯の範囲内である場合、前記経路判断部44は現在位置が記憶経路上であるか否か、すなわち、車両がルートバンクに登録された記憶経路上を走行しているか否かを判断する。そして、現在位置が記憶経路上でない場合、画面切り換え部45は、表示部35の画面を切り換えず、図1(a)に示されるような地図表示画面を表示させたままとし、処理を終了する。
【0053】
一方、前記経路判断部44が現在位置が記憶経路上であると判断すると、画面切り換え部45は、前記記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報があるか否かを判断する。そして、渋滞情報がない場合には、前記画面切り換え部45は、表示部35の画面に図1(b-1)又は(b-2)に示されるような待ち受け画面を表示させ、処理を終了する。該待ち受け画面の表示コンテンツは画面登録部46によってあらかじめ登録されているものである。そして、図1(b-1)に示されるものは建造物の写真であり、図2(b-2)に示されるものは、無地の壁紙であって車両のダッシュボードと同じ色合いを示すものである。
【0054】
また、渋滞情報がある場合、画面切り換え部45は、前記待ち受け画面の表示をキャンセルし、表示部35の画面を切り換えず、地図表示画面を表示させたままとし、処理を終了する。この場合、渋滞情報があるので、地図表示画面は図1(c)に示されるようになり、渋滞情報を示すマークとして、例えば、赤い色の矢印13が表示される。
【0055】
なお、前述の動作は、所定の時間(例えば、16〔msec〕)間隔で繰り返し行われるようになっている。そのため、記憶時間帯の範囲内において、記憶経路以外の場所を走行していた車両が記憶経路上を走行するようになると、表示部35の画面が図1(a)に示されるような地図表示画面から図1(b-1)又は(b-2)に示されるような待ち受け画面に切り換えられる。また、記憶経路上を走行していた車両が記憶経路から外れて記憶経路以外の場所を走行するようになると、表示部35の画面が図1(b-1)又は(b-2)に示されるような待ち受け画面から図1(a)に示されるような地図表示画面に切り換えられる。さらに、車両が記憶経路上を走行している場合に、通信部38が受信した交通情報に記憶経路周辺の所定範囲内の道路についての渋滞情報が含まれていると、表示部35の画面が図1(b-1)又は(b-2)に示されるような待ち受け画面から図1(c)に示されるような地図表示画面に切り換えられる。
【0056】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 現在時刻が記憶時間帯の範囲内であるか否かを判断する。現在時刻が記憶時間帯の範囲内である場合はステップS12に進み、現在時刻が記憶時間帯の範囲内でない場合はステップS15に進む。
ステップS12 現在位置が記憶経路上であるか否かを判断する。現在位置が記憶経路上である場合はステップS13に進み、現在位置が記憶経路上でない場合はステップS15に進む。
ステップS13 記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報があるか否かを判断する。記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報がある場合はステップS15に進み、記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報がない場合はステップS14に進む。
ステップS14 待ち受け画面を表示して、処理を終了する。
ステップS15 地図表示画面を表示して、処理を終了する。
【0057】
このように、本実施の形態においては、通勤経路、通学経路等のように周辺の道路情報が既知である経路を記憶経路として、記憶時間帯とともにあらかじめルートバンクに格納して登録し、記憶時間帯の範囲内において車両が記憶経路上を走行すると、表示部35に待ち受け画面が表示されるようになっている。そのため、操作者にとって不要な情報が表示されることがないので、操作者は煩わしさを感じることがなく、快適に感じることができ、操作者のストレスを低減することができる。
【0058】
また、通勤時間、通学時間等のように、日常的に記憶経路上を走行する時間帯を記憶時間帯として設定することができる。そのため、例えば、休日に記憶経路を経由して別の場所に出掛けるような場合には、記憶経路上を走行しているときでも地図が表示されたままになるので、前記記憶経路から分岐する地点周辺の情報のように、必要な情報を操作者が取得することができる。
【0059】
さらに、待ち受け画面の表示コンテンツを操作者が任意に選択することができるので、操作者はより快適に感じることができ、操作者のストレスをより効果的に低減することができる。
【0060】
さらに、前記記憶経路周辺の所定範囲内の道路についての渋滞情報がある場合には、表示部35に渋滞情報を含む地図が表示されるので、操作者は随時必要な情報を取得することができる。」(段落【0051】ないし【0060】)

(2)引用文献2の記載から分かること
上記(1)及び図面の記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていることが分かる。

カ 上記(1)アないしウ及び図面の記載から、引用文献2には、車両用ナビゲーション装置15が記載されていることが分かる。

キ 上記(1)ウ(特に段落【0051】)及び図面の記載から、車両用ナビゲーション装置15の表示部35には初期画面として、図1(a)に示されるように、地図上での車両の現在位置を示す現在位置マーク14を有する地図表示画面が表示されることが分かる。

ク 上記(1)イ及びウ(特に段落【0041】を参照。)並びに図面の記載から、車両用ナビゲーション装置15において、待ち受け画面として、第一の待ち受け画面と第二の待ち受け画面のいずれを行うかをあらかじめ登録可能とすることが分かる。

ケ 上記(1)ウ(特に段落【0052】及び【0053】を参照。)及び図面の記載から、車両用ナビゲーション装置15において、現在時刻が記憶時間帯の範囲内であり、車両の現在位置が記憶経路上であり、記憶経路周辺の所定範囲内の道路について渋滞情報がない場合には、画面切り換え部45は、表示部35の画面に予め登録した待ち受け画面を表示させることが分かる。

コ 上記(1)ウ(特に段落【0055】を参照。)及び図面の記載から、車両用ナビゲーション装置15において、車両が記憶経路上を走行している場合に、通信部38が受信した交通情報に記憶経路周辺の所定範囲内の道路についての渋滞情報が含まれていると、表示部35の画面が、待ち受け画面から、現在位置マーク14及び渋滞情報を示すマークを含む地図表示画面に切り換えられることが分かる。

(3)引用文献2記載の技術
上記1及び2から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認める。

ア 「車両用ナビゲーション装置15において、待ち受け画面として、第一の待ち受け画面と第二の待ち受け画面のいずれを行うかをあらかじめ登録可能とし、当該登録に基づいて第一の待ち受け画面と第二の待ち受け画面のいずれかの待ち受け画面を表示する機能を備える技術。」(以下、「引用文献2記載の技術1」という。)。

イ 「車両用ナビゲーション装置15において、地図上での車両の現在位置を示す現在位置マーク14を有する地図表示画面、又は待ち受け画面のどちらかを表示する機能を備える技術。」(以下、「引用文献2記載の技術2」という。)

ウ 「車両用ナビゲーション装置15において、自車の位置と渋滞情報の位置が設定された警報条件を満たした場合に、待ち受け画面を表示をしている場合には現在位置マーク14及び渋滞情報を示すマーク13を含む地図表示画面に切り換えられる機能を備える技術。」(以下、「引用文献2記載の技術3」という。)。

第4 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明における「取締区域T1」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「目標物」に相当し、以下同様に、「地図」は「2次平面」に、「斜線及びシンボルS」は「マーク」に、「ナビゲーションシステム」は「電子機器」及び「目標物検出装置」に、「報知条件」は「警報条件」に、「表示用データM2の領域」は「警報領域」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「自車が取締区域の近傍に位置するときの画面」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「警報状態中の画面」に相当する。
また、引用発明における「第1の画像」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「警報画面」に相当する。
また、引用発明における「自車が取締区域の近傍の手前に位置するときの画面」は、本願発明における「警報状態を待ち受ける画面」と、「警報状態になる前の画面」という限りにおいて一致する。
また、引用発明における「第2の画像」は、本願発明における「待ち受け画面」及び「第一の待ち受け画面」と、「所定の画面」という限りにおいて一致する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる機能を備えた電子機器であって、
警報状態になる前の画面である所定の画面と、警報状態中の画面である警報画面のいずれかを画面に表示する機能を備え、
所定の画面として、目標物の位置と自車の位置を2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる所定の画面を表示する所定の画面表示を備え、
自車の位置と目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に、所定の画面表示をしている場合には警報画面として当該所定の画面表示の2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる機能と
を備える、電子機器。」

そして、以下の点で相違又は一応相違する。
<相違点>
(1)「警報状態になる前の画面である所定の画面」を画面に表示する機能、及び「所定の画面として、目標物の位置と自車の位置を2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる所定の画面を表示する所定の画面表示を備え」に関して、本願発明においては、「警報状態を待ち受ける画面である待ち受け画面」を表示する機能を備え、「待ち受け画面として、目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面を表示する第一の待ち受け画面表示」を備えるのに対し、引用発明においては、「第2の画像」を表示する機能を備え、「第2の画像として、表示の取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる第2の画像を表示する第2の画像表示」を備えるものの、引用発明における「自車が取締区域の近傍の手前に位置するときの画面である第2の画像」が、本願発明における「警報状態を待ち受ける画面である待ち受け画面」に相当するかどうか、また、引用発明における「第2の画像」が、本願発明における「第一の待ち受け画面」に相当するかどうか明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

(2)「所定の画面として、目標物の位置と自車の位置を2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる所定の画面を表示する所定の画面表示を備え、自車の位置と目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に、所定の画面表示をしている場合には警報画面として当該所定の画面の2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる機能とを備える」に関して、
本願発明においては、「待ち受け画面として、目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面を表示する第一の待ち受け画面表示と、目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面である第一の待受け画面ではない待ち受け画面を表示する第二の待ち受け画面表示と、を備え、待ち受け画面として、第一の待ち受け画面表示と第二の待ち受け画面表示のいずれを行うかをユーザ設定可能とし、当該ユーザ設定に基づいて第一の待ち受け画面表示と第二の待ち受け画面表示のいずれかの待ち受け画面を表示する機能と、自車の位置と目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に、第二の待ち受け画面表示をしている場合には警報画面として2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に切り替えるとともに当該2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる一方、第一の待ち受け画面表示をしている場合には警報画面として当該第一の待ち受け画面表示の2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる機能とを備える」のに対し、
引用発明においては、「第2の画像として、取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる第2の画像を表示する第2の画像表示を備え、自車の位置と取締区域T1の位置が設定された報知条件を満たした場合に、第2の画像表示をしている場合には第1の画像として当該第2の画像表示の2次平面上に配置される斜線及びシンボルSにより報知する画面に別の表示用データM2の領域を表示させる機能とを備える」点(以下、「相違点2」という。)。

2 判断
相違点1及び2について、以下に検討する。
(1)相違点1について
本願発明における「待ち受け画面」という用語の意義を知るために、本願の明細書を参照する。
本願の明細書には、
「【0075】
図14は、表示画面の一例を示している。上記の複数のターゲットアイコンの位置情報と、自車の位置情報を2次元空間上で表示可能とする表示形態は、図14(a),(c)に示すように、GPS位置情報に基づく警報や、マイクロ波の受信などの警報情報を具備しない待ち受け状態の画面(待ち受け画面:図14(c))と、実際の警報画面(図14(a))のいずれにも適用できる。
【0076】
さらに、警報時には、上記の2次元空間上で複数のターゲット位置を報知するものでなく、従来のように文字等のメッセージを出力表示する(図14(b)参照)ようにしてもよい。このようにした場合、表示画面が大きいことから、ユーザに対して何の警報であるかを確実に通知することができる。
【0077】
また、待ち受け画面を図14(d)に示すように、ターゲットアイコンを表示しないイラスト画面(図では、衛星数(24個),自車の位置情報(軽度,緯度,高度)を文字列で表示するようにしてもよい。
【0078】
待ち受け画面並びに警報画面は、図14ではそれぞれ2種類のパターンを示したが、その他のパターンを用意するのを妨げない。そして、待ち受け時と警報時にどのパターンを用いるかは、リモコン17,スイッチ部3の操作によりユーザが選択する。すなわち、制御部18が、表示部5に対し、待ち受け時と警報時にどのパターンを用いるかを選択する画面を表示させる。制御部18は、ユーザによるリモコン17またはスイッチ部3の操作による選択状態を検出し、その選択状態に基づき、それぞれの場合についてどのパターンを用いるかを記憶しておく。そして、制御部18は、記憶されたパターンにもとづき、待ち受け時には待ち受け時用に記憶されたパターンの表示を行い、警報時には警報時用に記憶されたパターンの表示を行う。」(段落【0075】ないし【0078】)、
「【0101】
図19は、警報時の表示画面の一例を示している。・・・(中略)・・・
【0102】
ここで、シンボル表示領域R5は、フォーカスされたターゲット(目標物)の内容を示す静止画を表示する領域である。また、アニメーション画面表示領域R6は、フォーカスされたターゲットが何であるかをわかりやすく動画表示する領域である。各領域に表示する静止画並びに動画は、目標物の種類と関連づけてデータベース19あるいは所定の記憶手段に格納しておき、制御部18は、フォーカスされたターゲットが自車両から一定の距離に近づくなどの警報画面を表示する条件を具備した場合、制御部18は、記憶手段に格納した対応する静止画並びに動画を読み出し、表示画面に表示する。
【0103】
このようにすると、ターゲット表示画面の表示状態の連続性を保ったまま、警報画面が表示されるため、ターゲットの位置を見失わずに、警報とターゲットの位置を同時に知ることができる。なお、本実施形態では、警報画面は、静止画(シンボル)と動画(アニメーション画面)の2種類を用意し、それらを同時に表示するようにしたが、いずれか一方のみとしても良い。
【0104】
なお、図14を用いて説明したように、図2以降の実施形態では、ターゲット表示画面を待ち受け画面として使用したり、警報画面として使用したりすることができるようになっている。」(段落【0104】)
と記載されている(下線は当審で付した)。
すなわち、本願発明における「待ち受け画面」とは、一般的な「待ち受け画面」のみではなく、「GPS位置情報に基づく警報や、マイクロ波の受信などの警報情報を具備しない待ち受け状態の画面」であって、例えば、「複数のターゲットアイコンの位置情報と、自車の位置情報を2次元空間上で表示可能とする表示形態」(図14(c))、「ターゲットアイコンを表示しないイラスト画面」(図14(d))、又はその他のパターンであって、「待ち受け時用に記憶されたパターン」(段落【0078】)であることが分かる。
ここで、本願明細書の「ターゲット(当審注:「目標物」のこと。)表示画面を待ち受け画面として使用したり、警報画面として使用したりすることができる」(段落【0104】)という記載から、目標物を表示する警報画面と同様の画面を待ち受け画面として使用できることが分かる。
そうすると、引用発明における「第2の画像表示の取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる画像」は、本願発明において定義される「待ち受け画面」に含まれるものであり、本願発明における「目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面」に相当するといえる。
したがって、引用発明における「自車が取締区域の近傍に位置するときの画面である第2の画像」は、本願発明における「警報状態を待ち受ける画面である待ち受け画面」に相当するといえる。
よって、上記相違点1は、実質的な相違点ではないといえる。

(2)相違点2について
上記相違点1についての検討を踏まえると、
引用発明における「第2の画像として、取締区域T1の位置と自車の位置とを地図上に配置される斜線及びシンボルSにより画面に表示させる第2の画像を表示する第2の画像表示を備え、自車の位置と取締区域T1の位置が設定された報知条件を満たした場合に、第2の画像表示をしている場合には第1の画像として当該第2の画像表示の2次平面上に配置される斜線及びシンボルSにより報知する画面に別の表示用データM2の領域を表示させる機能とを備える」という事項は、
本願発明における「待ち受け画面として、目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面を表示する第一の待ち受け画面表示」を備え、「自車の位置と目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に」、「第一の待ち受け画面表示をしている場合には警報画面として当該第一の待ち受け画面表示の2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる機能とを備える」という事項に相当するといえる。

また、引用文献2には、「車両用ナビゲーション装置15において、待ち受け画面として、第一の待ち受け画面と第二の待ち受け画面のいずれを行うかをあらかじめ登録可能とし、当該登録に基づいて第一の待ち受け画面と第二の待ち受け画面のいずれかの待ち受け画面を表示する機能を備える技術。」(上記「引用文献2記載の技術1」)、
「車両用ナビゲーション装置15において、地図上での車両の現在位置を示す現在位置マーク14を有する地図表示画面と、待ち受け画面のどちらかを表示する機能を備える技術。」(上記「引用文献2記載の技術2」)、及び
「車両用ナビゲーション装置15において、自車の位置と渋滞情報の位置が設定された警報条件を満たした場合に、待ち受け画面を表示をしている場合には現在位置マーク14及び渋滞情報を示すマーク13を含む地図表示画面に切り換えられる機能を備える技術。」(上記「引用文献2記載の技術3」)が記載されている。
そして、引用発明と、引用文献2記載の技術1ないし3とは、ナビゲーションシステムの技術分野において、警報画面以外の画面を通常表示する画面とし、警報条件を満たしたときには、待ち受け画面から警報画面に切り換える機能を備えている点で共通するものである。
したがって、引用発明において、引用文献2記載の技術1ないし3を適用することにより、本願発明における「目標物の位置と自車の位置とを2次平面上に配置されるマークにより画面に表示させる待ち受け画面である第一の待受け画面ではない待ち受け画面を表示する第二の待ち受け画面表示と、を備え」、「待ち受け画面として、第一の待ち受け画面表示と第二の待ち受け画面表示のいずれを行うかをユーザ設定可能とし」、「当該ユーザ設定に基づいて第一の待ち受け画面表示と第二の待ち受け画面表示のいずれかの待ち受け画面を表示する機能と」、「自車の位置と目標物の位置が設定された警報条件を満たした場合に、第二の待ち受け画面表示をしている場合には警報画面として2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に切り替えるとともに当該2次平面上に配置されるマークにより報知する画面に別の警報領域を表示させる」機能を備えることは、当業者が容易に想到できたことである。

よって、引用発明において、引用文献2記載の技術1ないし3を適用することにより、相違点2に係る本願発明の発明特定事項を想到することは、当業者が容易になし得たことである。

(3)効果について
そして、本願発明を全体としてみても、本願発明が、引用発明及び引用文献2記載の技術1ないし3からみて、格別顕著な効果を奏するともいえない。

(4)まとめ
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである

第5 むすび
上記第4(4)のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-02 
結審通知日 2017-11-07 
審決日 2017-11-20 
出願番号 特願2014-192324(P2014-192324)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 恭司  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 金澤 俊郎
松下 聡
発明の名称 目標物検出装置及びプログラム  

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