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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L
管理番号 1336098
審判番号 不服2016-8106  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-16 
確定日 2018-01-05 
事件の表示 特願2013-544331号「多種類のミネラルを含む複合健康機能性食品」拒絶査定不服審判事件〔平成25年5月23日国際公開,WO2013/073644〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概略
本願は,2012年11月8日(優先権主張:2011年11月14日,日本国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は,概ね,以下のとおりである。
平成27年 8月31日 拒絶理由通知書
平成27年11月 2日 意見書,手続補正書及び上申書
平成28年 2月 8日 拒絶査定
平成28年 5月16日 審判請求書
平成29年 5月15日 拒絶理由通知書
平成29年 7月20日 意見書及び手続補正書

第2 特許請求の範囲
本願の特許請求の範囲は,平成29年7月20日付けの手続補正書により補正された,以下のとおりのものである。
【請求項1】
一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は,海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマにより,固まって出来た花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒(30mesh?70mesh)を〔(1)硫酸水溶液(2)塩酸水溶液(3)硝酸水溶液(4)水酸化ナトリウム(5)水酸化カリウム(6)水酸化カルシウム〕の(1)から(6)の溶液から選択された一つの溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化した該イオン〔(1)カルシウム(2)リン(3)マグネシウム(4)カリウム(5)ナトリウム(6)セレニウム(7)シリコン(8)ゲルマニウム(9)亜鉛(10)マンガン(11)鉄(12)銅(13)コバルト(14)ニッケル(15)モリブデン(16)リチウム(17)バナジウム(18)タングステン(19)バリウム(20)チタン(21)リビジウム(22)アルミニウム〕(1)から(22)の全てのミネラルを含む溶解液に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き得られた多種類のミネラルを含む溶解液を〔人間のミネラル所要量の適正ゾーン範囲以内の適量〕を水で薄めた多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水
【請求項2】
堆積岩がマグマにより固まって出来た花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物から摂取できない微量ミネラルは該鉱石[「三価クロム(1)超苦鉄質性化成岩100mg?3400mg/kg 平均1800mg/kg(2)大陸地殻 80mg?200mg/kg 平均125mg/kg(3)玄武岩火成岩40mg?600mg/kg 平均220mg/kg(4)花崗岩性火成岩2mg?90mg/kg 平均20mg/kg(5)頁岩と粘土30mg?590mg/kg 平均120mg/kg(6)石灰岩20mg/kg(7)砂岩35mg/kgなどの鉱石に三価クロムが含まれる」銀.白金.金.錫.硫黄.ハロゲン族(ヨウ素・ホウ素・フッ素・塩素・臭素)などの元素でこの自然界に存在する90種類以上の元素の内,人間の身体に必要とする微量(金属元素)ミネラルの鉱石]を細粉して,[(1)硫酸水溶液(2)塩酸水溶液(3)硝酸水溶液(4)水酸化ナトリウム(5)水酸化カリウム(6)水酸化カルシウム(7)熱濃硫酸(8)〔玉水(濃塩酸3:濃硝酸1)〕]の(1)から(8)の溶液から選択された一つの溶液に入れて,該鉱石を溶解させイオン化した溶液を〔人間のミネラル所要量適正ゾーン範囲内5mg?10mgの量〕を花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粉を〔(1)硫酸水溶液(2)塩酸水溶液(3)硫酸水溶液(4)水酸化ナトリウム(5)水酸化カリウム(6)水酸化カルシウム〕の(1)から(6)の溶解液から選択された一つの溶解液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させてイオン化した該イオン〔(1)カルシウム(2)リン(3)マグネシウム(4)カリウム(5)ナトリウム(6)セレニウム(7)シリコン(8)ゲルマニウム(9)亜鉛(10)マンガン(11)鉄(12)銅(13)コバルト(14)ニッケル(15)モリブデン(16)リチウム(17)バナジウム(18)タングステン(19)バリウム(20)チタン(21)ルビジウム(22)アルミニウム〕(1)から(22)の全てのミネラルを含む溶解液に混ぜ合わせたる溶解液〔(23)三価クロム(24)銀(25)白金(26)金(27)錫(28)硫黄(29)ヨウ素(30)ホウ素(31)フッ素(32)塩素(33)臭素(23)から(33)の各ミネラルは5mg?10mg以内の量〕に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き多種類のミネラルを含む溶解液〔人間のミネラル所要量の適正ゾーンの範囲以内の適量〕をを水で薄めた多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水

第3 拒絶理由の概要
当審において,平成29年5月15日付けの拒絶理由通知書において通知した拒絶の理由の概要は,以下のとおりである。
1 この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
(1) 請求項1について
ア 「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒」を,どのような溶液に入れるのか明確に特定することができない。
イ 「イオン化した該イオン」に関する記載が不明で,どのようなイオンが含まれているのか明確に特定することができない。
ウ 請求項1に係る発明について,(ア)「一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法」の発明,(イ)「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法の発明,(ウ)「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明など,いろいろな解釈が可能で,明確に特定することができない。
エ 請求項1に係る発明が,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明であるとしても,請求項1の記載は「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」という物の発明に係る特許請求の範囲に,その物の製造方法が記載されている場合に該当し,本願明細書等には,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情(以下「不可能・非実際的事情」という)について何ら記載がなく,当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるとも言えないから,請求項1に係る発明は明確でない。
オ 「mcsh」,「リビジウム」が不明である。
(2) 請求項2について
ア 「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物から摂取できない微量ミネラルは該鉱石」に関する記載が,どのような事項を特定しているのか明確でない。
イ 「イオン化した該イオン」に関する記載が不明で,どのようなイオンが含まれているのか明確に特定することができない。
ウ 請求項2に係る発明について,(ア)「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法の発明,(イ)「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明など,いろいろな解釈が可能で,明確に特定することができない。
エ 請求項2に係る発明が,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明であるとしても,請求項2は「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」という物の発明であるが,請求項2の記載は,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法が記載されている場合に該当し,請求項1と同様の理由により,請求項2に係る発明は明確でない。
オ 請求項2に係る発明が,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法であるとしても,その記載が不明である。
カ 「鈴」,「リビジウム」が不明である。

2 この出願の請求項1,2に係る発明は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(引用例)
引用例1:特開2006-129850号公報
引用例2:特開平3-224690号公報
引用例3:特開2005-7362号公報
引用例4:特開2007-224006号公報

第4 理由1(36条6項2号)について
1 請求項1について
(1) 特許請求の範囲の請求項1には,「一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は,・・・」と記載されているとともに,「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒・・・を〔(1)硫酸水溶液・・・〕の(1)から(6)の溶液から選択された一つの溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,・・・全てのミネラルを含む溶解液に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き得られた多種類のミネラルを含む溶解液を・・・水で薄めた」などと,製造工程と解される記載もある上に,末尾には「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」と記載されている(前記第2)。
このような記載では,請求項1に係る発明について,
ア 「一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法」の発明
イ 「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法の発明
ウ 「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明
など,いろいろな解釈が可能で,請求項1に係る発明を明確に特定することができない。
よって,請求項1に係る発明が明確であるとは認められない。
(2) 仮に,請求項1に係る発明が,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明であるとしても,次の点で不明確である。
請求項1の「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒・・・を〔(1)硫酸水溶液・・・〕の(1)から(6)の溶液から選択された一つの溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,・・・全てのミネラルを含む溶解液に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き得られた多種類のミネラルを含む溶解液を・・・水で薄めた」との記載は製造工程を記載したものと解されるから,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法を記載したものと言える。
すなわち,請求項1の記載は「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」という物の発明に係る特許請求の範囲に,その物の製造方法が記載されている場合に該当する。
ところで,物の発明に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合すると言えるのは,不可能・非実際的事情が存在するときに限られると解するのが相当である(最高裁第二小法廷平成27年6月5日 平成24年(受)第1204号,平成24年(受)第2658号)。言い換えると,不可能・非実際的事情が存在しないとき,物の発明に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合は,特許法36条6項2号の「発明が明確であること」という要件に適合しない。
しかしながら,本願明細書等には不可能・非実際的事情について何ら記載がなく,当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるとも言えない。
そして,請求人から,この点に関する釈明は特段なかった。
よって,請求項1に係る発明が明確であるとは認められない。
(3) 以上のとおり,請求項1に係る発明が明確であるとは認められない。

2 請求項2について
(1) 特許請求の範囲の請求項2には,「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物から摂取できない微量ミネラルは該鉱石[「三価クロム・・・などの元素でこの自然界に存在する90種類以上の元素の内,人間の身体に必要とする微量(金属元素)ミネラルの鉱石]を細粉して,[(1)硫酸水溶液・・・]の(1)から(8)の溶液から選択された一つの溶液に入れて,該鉱石を溶解させイオン化した溶液を・・・を花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粉を〔(1)硫酸水溶液・・・〕の(1)から(6)の溶解液から選択された一つの溶解液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて・・・全てのミネラルを含む溶解液に混ぜ合わせたる溶解液・・・に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き多種類のミネラルを含む溶解液・・・を水で薄めた」などと,製造工程と解される記載があるとともに,末尾に「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」と記載されている(前記第2)。
このような記載では,請求項2に係る発明について,
ア 「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法の発明
イ 「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明
など,いろいろな解釈が可能で,請求項2に係る発明を明確に特定することができない。
よって,請求項2に係る発明が明確であるとは認められない。
(2) 仮に,請求項2に係る発明が,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明であるとしても,次の点が不明確である。
請求項2の「花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物から摂取できない微量ミネラルは該鉱石[「三価クロム・・・などの元素でこの自然界に存在する90種類以上の元素の内,人間の身体に必要とする微量(金属元素)ミネラルの鉱石]を細粉して,[(1)硫酸水溶液・・・]の(1)から(8)の溶液から選択された一つの溶液に入れて,該鉱石を溶解させイオン化した溶液を・・・を花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粉を〔(1)硫酸水溶液・・・〕の(1)から(6)の溶解液から選択された一つの溶解液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて・・・全てのミネラルを含む溶解液に混ぜ合わせたる溶解液・・・に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き多種類のミネラルを含む溶解液・・・を水で薄めた」との記載は製造工程を記載したものと解されるから,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の製造方法を記載したものと言える。
そして,既に述べたとおり,物の発明に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合すると言えるのは,不可能・非実際的事情が存在するときに限られると解するのが相当であるが,本願明細書等には不可能・非実際的事情について何ら記載がなく,当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるとも言えない。
そして,請求人から,この点に関する釈明は特段なかった。
よって,請求項2に係る発明が明確であるとは認められない。
(3) 以上のとおり,請求項2に係る発明が明確であるとは認められない。

3 まとめ
以上のとおり,請求項1及び2に係る発明が明確であるとは認められないから,本願は特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしているものとは認められない。

第5 理由2(29条2項)について
1 請求項1に係る発明
前記第4・1のとおり,請求項1に係る発明が明確ではないが,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2,なお,「リビジウム」は「ルビジウム」の誤記であると認める。)により特定される,「多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明であるとして,検討する。

2 引用例1に記載された事項及び発明
(1) 引用例1には,以下の事項が記載されている(なお,「・・・」の部分は記載を省略した。)。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,成人病・生活習慣病・ウイルス病・アレルギー病色々な病気を予防・治療・完治できる細胞を活性化できる微量(金属元素)ミネラル水の多種類を鉱物から摂取する機能性食品の製造方法」
・「【背景技術】
【0003】
五大栄養素・炭水化物・タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルこれらの物どれもが欠けても人間は,色々な病気にかかりやすいのです。特にミネラルは,体内では造ることが出来ません。そもそもミネラルとはいったい何者なのでしょうか。一言で言えば身体に必要な金属元素なのです。人体を構成する元素は原始の海に生物が誕生したころの必要不可欠な元素として分かっているのは30種類位です。
ミネラルは人間の60兆個の細胞にビタミンと一緒に3,000種類の酵素に何らかの形で細胞活動に関わっています。人間はミネラルを主の供給源として穀物や農作物やそれらを飼料にしている畜産物から摂取しています。戦後化学肥料や農薬を使用するようになって土壌にミネラルが不足してしまっているのです。そのため現在は穀物・農産物・畜産物に大変ミネラルが不足しています。戦前の十分の一から二十分の一しか,ミネラルが含まれていません。それらを食している我々人間は,当然ミネラルが不足している状態です。ミネラルが不足しているため細胞の正常な活動が,出来なくなっているために癌・糖尿病・アレルギー症などの病気の患者が増えているのです。細胞の正常な活動さえ出来れば病気は予防・治療・完治出来るのです。」
・「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミネラルを充分に摂取するためには農業政策を有機栽培にするか,化学肥料や農薬を使用することを止めるか,このことは世界の食糧不足のため出来ません。次の策があります地球が創世記に形成された鉱物から直接ミネラルを利用するしかないのです。」
・「【発明の課題を解決するための手段】
・・・
【0006】
日本の福島県の阿武隈山系やアメリカの西部のネバタ州に見られる鉱山はマグマが固まって出来た花崗岩(黒雲母)でその典型的な鉱物です。これらの鉱物は強力な抗酸化物質である硫化水素によって保護され浸食や汚染による変質から守られて純粋なミネラルがバランスよく含んでいます。」
・「【0007】
微量(金属元素)ミネラル水は細胞を活性化できる機能性食品である。これらの鉱物を微粉砕して硫酸で溶解しイオン化した溶掖を水で薄めて飲食用にした微量(金属元素)ミネラル水です。これらは十七種類以上のミネラルが含まれていますこの微量(金属元素)ミネラル水は飲食用として使用できます。
ミネラルとは必須元素のうちカリウム・ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄など無機物質の事で食品中には主に無機化合物の状態で存在します。ミネラルは水溶性(イオン化する事で水に溶ける状態になります。)ものでないと体内に取り入れない性質を持っています。ミネラルは細胞に作用するためには細胞内に入らないと活動しません。
【0008】
ミネラルは不足しているからといって,むやみに摂取すれば良いと言うことではありません。一つのミネラルが過剰になると他のミネラルの吸収を妨げる新たなミネラル不足を生じる「拮抗作用」を起こします。「拮抗作用」が起きるとミネラルのバランスが崩れ健康を維持する事が出来なくなります。これらの事を考えると鉱物の微量(金属元素)ミネラル水は非常にバランスよくミネラルが含まれています。」
・「【発明の効果】
【0010】
現在世界的に食糧不足の時であり,無機農法で農作物を作ることは避けられないこの状態が続けばミネラル不足になって子供たちのアレルギー症や糖尿病は避けられない。鉱物からミネラルが摂取できればこれらの病気は避けられる。」
・「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
阿武隈山系の鉱物を採掘して微粉砕機にかけて硫酸の溶液に入れて鉱物を溶解しイオン化した溶液を尚仁沢(地元)の名水をろ過して薄めて2リットル用のポリ容器に入れて飲食用にして使用してもらう。」
・「【産業上の利用可能性】
【0012】
これらの微量(金属元素)ミネラル水は人間・動物・植物・魚の細胞を活性化するものです。
人間の成人病・生活習慣病・ウイルス病・アレルギー症などの色々な病気は,人間の持つ自然治癒能力を高める免疫細胞活性化できるのでエイズやサーズなどのウイルス病も予防治療完治できるものである。
【0013】
全ての癌患者に微量(金属元素)ミネラル水一日150ccを3ヶ月間飲料してもらったら初期癌は癌細胞が消えてなくなった。末期癌は転移を抑えられて癌細胞が小さくなっていた。
【0014】
犬や猫の死にかけている動物に,このミネラル水を飲ませたら元気になった
【0015】
池の鯉が弱っていたのでミネラル水を入れたら元気に泳ぎだした。
【0016】
梨・林檎・バナナなど酸化して変色する果物を砂糖水やオリゴ糖水を沸騰させて冷まし,ミネラル水を入れ皮を剥いた梨・林檎・バナナを漬け込んだら変色を防げた
【0017】
バラの花が萎れかかっていたので,ミネラル水を入れたら老化を防いだ。
【0018】
頭のはげている人に市販されている育毛剤をいっしょに一ヶ月間頭皮にすり込むように使用してもらったら髪が生えてきた。
【0019】
糖尿病の患者に飲料してもらったらインシリンの注射をしなくとも血糖値が下がり安定した。
【0020】
血圧の高い人に飲料してもらったら血圧が下がった。
【0021】
これらの実施例のように微量(金属元素)ミネラル水は飲食用に使用できるので機能性食品として使用すれば病気も予防・治療・完治できる。
自然界で生命を保持するものつまり細胞で形成されているものすべてにミネラルを充分に摂取することが出来るので全てが元の元気な姿に戻る。」
・「【手続補正書】
【提出日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【手続補正1】
・・・
【請求項1】
1度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は,海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマによって固って出来た花崗岩(黒雲母)を含む鉱物の細粒を硫酸の溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化し該イオンを含む溶液を水で薄め,更に含まれる粒子を濾過により除去して,得られた多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水
・・・
【手続補正2】
・・・
【0005】
【発明の課題を解決するための手段】ミネラルを摂取するのには,なぜ鉱物が良いのかと言うと鉱物には多種類の純度の高いミネラルが安定して貯えられているからです。地球が誕生以来海中のプランクトン魚介類・海藻・流れ込んだ草木・落ち葉や土壌の微生物などが海底に堆積し長い年月をかけて鉱石になる堆積岩は生物に使われやすいのです。
【手続補正3】
・・・
【0009】 このことを考えると金属の鉱石をそれぞれに微粉砕して硫酸で溶解してイオン化した溶掖を「拮抗作用」が起こらない適量を混ぜ合わせてミネラル水を作ることも出来る。この場合最低でも分析表に記載した十七種類以上の金属の鉱石をイオン化してミネラル水を作ることも可能である。細胞を活性化するためには,一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取することが大切です。例えば糖尿病には亜鉛・三価クロム・バナジウムとその他の多種類の微量(金属元素)ミネラルを一度に摂取すれことができれば,糖尿病は予防・治療・完治することができるのですが,しかし三価クロムのミネラルは鉱物の微量(金属元素)ミネラル水には含まれておりません。
そこで三価クロムの金属の鉱石を微粉砕して,硫酸の溶液で溶解して,イオン化した溶掖を「拮抗作用」が起こらない適量を水で薄めて鉱物の微量(金属元素)ミネラル水に混ぜ合わせてやればよい(ただしミネラルの所要量は狭い適正ゾーンですから適量を充分に注意する必要がある)このようなことから癌の病気に打ち克つためには,免疫細胞・NK細胞を活性化することが大切です。免疫細胞・NK細胞を活性化できるミネラルはチタンと多種類の微量(金属元素)ミネラルを一度に摂取することです。
〔1〕チタンのミネラルは免疫細胞・NK細胞に関与している〔2〕ゲルマニウムのミネラルは免疫機能を高める〔3〕リチウムのミネラルは白血球を増加させる作用がある。〔4〕亜鉛のミネラルは免疫機能に関与している。〔5〕セレニウムのミネラルが欠乏すると免疫力が低下する。〔6〕銅のミネラルが欠乏すると免疫機能が低下することと,白血球細胞の成熟にはかかせない〔7〕モリブデンのミネラルは抗癌作用の可能性を示唆されています。〔8〕カリウムのミネラルは癌の予防や治療に有効である。以上の各ミネラルの効用・効能を総合して考えると,癌の病気には一度に多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル水を摂取することで免疫細胞・NK細胞を活性化できるものと考えられますので,癌の発病・増殖・転移など阻止できるものと考えられます。
多種類のミネラルを含んだ微量(金属元素)ミネラル水は遺伝子と深い関係にあるのです。
自然界には70?100種類位の元素「微量(金属元素)ミネラル」が存在すると言われております。私達の体内にはそれと同じ数の元素が取り入られています。遺伝子解読の結果遺伝子の数は約32000程度・その内,遺伝性疾患の原因遺伝子は5000個位と推測され既に1200個が確認されています。これらの原因遺伝子を正常な機能に活動させることができるのは自然界に存在する70?100種類の元素「微量(金属元素)ミネラル」なのです。つまり微量(金属元素)ミネラルの探究が遺伝子病の解決策なのです。」
・「【公報種別】特許法第17条の2の規定による補正の掲載
【部門区分】第1部門第1区分
【発行日】平成18年9月21日(2006.9.21)
・・・
【手続補正書】
【提出日】平成18年4月17日(2006.4.17)
・・・


(2) 引用例1に記載された発明
引用例1に記載された事項からすると,引用例1には次の発明が記載されていると言える(以下「引用発明」という。)
(引用発明)
「1度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は,海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマによって固って出来た花崗岩(黒雲母)を含む鉱物の細粒を硫酸の溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化し該イオン〔カルシウム,リン,マグネシウム,カリウム,ナトリウム,セレニウム,シリコン,ゲルマニウム,亜鉛,マンガン,鉄,銅,コバルト,ニッケル,モリブデン,リチウム,バナジウム,タングステン,バリウム,チタン,ルビジウム,アルミニウム〕の全てのミネラルを含む溶液を水で薄め,更に含まれる粒子を濾過により除去して,得られた多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」
(3) 対比及び判断
ア 対比
請求項1に係る発明と引用発明とを,その機能に照らして対比すると,引用発明は,請求項1に係る発明と同様に,「1度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は・・・多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」の発明である。
引用発明における「海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマによって固って出来た花崗岩(黒雲母)を含む鉱物の細粒を硫酸の溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化(する)」点は,請求項1に係る発明と,「海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマにより,固まって出来た花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒」を「硫酸水溶液」に「入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化(する)」点で共通する。
引用発明において,含まれる粒子を濾過により除去することにより不純物が取り除かれることは明らかであるから,引用発明における「該イオン〔カルシウム,リン,マグネシウム,カリウム,ナトリウム,セレニウム,シリコン,ゲルマニウム,亜鉛,マンガン,鉄,銅,コバルト,ニッケル,モリブデン,リチウム,バナジウム,タングステン,バリウム,チタン,ルビジウム,アルミニウム〕の全てのミネラルを含む溶液を水で薄め,更に含まれる粒子を濾過により除去して,得られた」点は,請求項1に係る発明と,「該イオン〔(1)カルシウム(2)リン(3)マグネシウム(4)カリウム(5)ナトリウム(6)セレニウム(7)シリコン(8)ゲルマニウム(9)亜鉛(10)マンガン(11)鉄(12)銅(13)コバルト(14)ニッケル(15)モリブデン(16)リチウム(17)バナジウム(18)タングステン(19)バリウム(20)チタン(21)ルビジウム(22)アルミニウム〕(1)から(22)の全てのミネラルを含む溶解液に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き得られた多種類のミネラルを含む溶解液」を「水で薄めた」点で共通する。
そうすると,請求項1に係る発明と引用発明とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「一度に多種類の微量(金属元素)ミネラルを摂取する方法は,海底に有機物が堆積して出来た堆積岩がマグマにより,固まって出来た花崗岩(黒雲母)を含む該鉱物の細粒を硫酸水溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させて,イオン化した該イオン〔(1)カルシウム(2)リン(3)マグネシウム(4)カリウム(5)ナトリウム(6)セレニウム(7)シリコン(8)ゲルマニウム(9)亜鉛(10)マンガン(11)鉄(12)銅(13)コバルト(14)ニッケル(15)モリブデン(16)リチウム(17)バナジウム(18)タングステン(19)バリウム(20)チタン(21)リビジウム(22)アルミニウム〕(1)から(22)の全てのミネラルを含む溶解液に含まれる粒子を濾過により不純物を取り除き得られた多種類のミネラルを含む溶解液を水で薄めた多種類のミネラルを含む微量(金属元素)ミネラル飲料水」である点
(相違点1)
請求項1に係る発明は,「鉱物の細粒」が「30mesh?70mesh」であるのに対し,引用発明においてはどの程度の細粒であるか明らかでない点
(相違点2)
請求項1に係る発明は,「鉱物の細粒・・・を〔(1)硫酸水溶液(2)塩酸水溶液(3)硝酸水溶液(4)水酸化ナトリウム(5)水酸化カリウム(6)水酸化カルシウム〕の(1)から(6)の溶液から選択された一つの溶液に入れて該鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させ(る)」のに対し,引用発明においては,硫酸の溶液に入れるものの,その他の溶液に入れて溶解させることについて明らかでない点
(相違点3)
請求項1に係る発明は,「多種類のミネラルを含む溶解液を〔人間のミネラル所要量の適正ゾーン範囲以内の適量〕を水で薄め(る)」のに対し,引用発明においては,どの程度の量を水で薄めるのか明らかでない点
イ 判断
上記相違点について検討する。
(ア) 相違点1について
引用発明において,鉱物に含まれる多種類のミネラルを溶解させるに当たり,鉱物をどの程度の細粒とするかは,溶解のしやすさ等を考慮して,当業者が適宜決定し得ることである。
(イ) 相違点2について
請求項1に係る発明は,〔(1)硫酸水溶液(2)塩酸水溶液(3)硝酸水溶液(4)水酸化ナトリウム(5)水酸化カリウム(6)水酸化カルシウム〕の溶液から選択された一つの溶液を利用すれば足りるのであるから,硫酸の溶液を利用する引用発明は,請求項1に係る発明とこの点で相違するものではなく,相違点2は実質的な相違点ではない。
また,引用発明において,溶解液が硫酸水溶液に限定されるものでないことは技術的に明らかであるから,溶解可能なその他の適宜の溶解液を利用することは,当業者にとって格別困難なことではない。
(ウ) 相違点3について
引用例1には,ミネラルはむやみに摂取すれば良いというものではなく,過剰な摂取は「拮抗作用」を起こすこと,摂取に当たっては「拮抗作用」が起こらない適量が好ましいこと,ミネラルの所要量は狭い適性ゾーンであるから適量を十分に注意する必要がある旨記載されていることから(【0008】,【0009】),引用発明において,人間にとって適正な量(〔人間のミネラル所要量の適正ゾーン範囲以内の適量〕)の溶液を薄めることは,当業者にとって格別困難なことではない。
(エ) 請求項1に係る発明の奏する効果をみても,引用発明や引用例1に記載された事項から,当業者であれば予測の範囲内のものである。
請求人は,請求項1に係る発明は,発毛に関し効果がある旨主張し,発毛育毛剤の溶液とビタミン(11種類)とアミノ酸(12種類)を多種類のミネラル飲料水に溶解したものを頭皮にすり込み,豚毛のブラシでブラッシングしたところ100%発毛が確認できた旨主張しているが(平成29年7月20日付け意見書(2)),引用例1にも発毛効果がある旨記載されているから(【0018】),発毛効果は予測の範囲内であるとともに,請求人が確認できたと主張する点は,請求項1の記載に基づかないものであって,請求項1に係る発明の特有の効果とは認められない。
ウ よって,引用発明において,上記相違点に係る請求項1に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できる事項である。
(4) 以上のとおり,請求項1に係る発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり,本願は,請求項1及び2に係る発明が明確でないから,特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしているものとは認められず,本願は拒絶すべきものである。
請求項1に係る発明が明確であるとしても,請求項1に係る発明は,引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。そして,請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上,請求項2に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-23 
結審通知日 2017-10-31 
審決日 2017-11-14 
出願番号 特願2013-544331(P2013-544331)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A23L)
P 1 8・ 121- WZ (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長部 喜幸松岡 徹  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 窪田 治彦
井上 哲男
発明の名称 多種類のミネラルを含む複合健康機能性食品  

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