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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
管理番号 1336123
異議申立番号 異議2017-700342  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-07 
確定日 2017-11-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6006396号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6006396号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6006396号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6006396号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成23年8月9日に出願した特願2011-174426号の一部を平成27年10月29日に新たな特許出願としたものであって、平成28年9月16日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年4月7日付けで特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より特許異議の申立てがなされたものであり、平成29年6月23日付け(発送:同年6月29日)で取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月28日付けで意見書の提出及び訂正請求がなされ、これに対して、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より、同年10月13日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段と、」の後に
「遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段と、」を加える。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段と、」とあるのを
「前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段と、」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する特典付与手段と、」とあるのを、
「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段と、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に
「を備える」とあるのを、
「を備え、」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1において、上記訂正事項4で訂正された「を備え、」の後に
「前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、」を加える。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1において、上記訂正事項5で訂正された「前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、」の後に
「前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、」を加える。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1において、上記訂正事項6で訂正された「前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、」の後に
「前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え、」を加える。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1において、上記訂正事項7で訂正された「前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え、」の後に
「前記第2特典付与手段は、
前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し、
前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する、」を加える。

(9)訂正事項9
願書に添付した明細書の段落【0008】に
「上記目的を達成するため、本発明の手段1にかかるスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(可変表示装置2)を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)において、
表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段(メイン制御部41:内部抽選処理)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段(メイン制御部41:リール停止処理)と、
開始条件(潜伏期間の終了)の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態(AT)に制御する有利状態制御手段(メイン制御部41:ATへの制御)と、
2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利(AT権利)を付与する特典付与手段(メイン制御部41:ステップS106、S107(図14))と、
前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御(遅延制御)を行う特殊制御手段(メイン制御部41:遅延制御の実行(図16))と、
を備えることを特徴とする。」とあるのを、
「上記目的を達成するため、本発明の手段1にかかるスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(可変表示装置2)を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)において、
表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段(メイン制御部41:内部抽選処理)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段(メイン制御部41:リール停止処理)と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段(メイン制御部41:潜伏期間の設定「図13))と、
前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する開始条件(潜伏期間の終了)の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態(AT)に制御する有利状態制御手段(メイン制御部41:ATへの制御)と、
2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利(AT権利)を付与する第1特典付与手段(メイン制御部41:ステップS106、S107(図14))と、
前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御(遅延制御)を行う特殊制御手段(メイン制御部41:遅延制御の実行(図16))と、
を備え、
前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、
前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、
前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果(ブドウ入賞)が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段(メイン制御部41:ステップS111、S112(図14))をさらに備え、
前記第2特典付与手段は、
前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し、
前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する、
ことを特徴とする。」に訂正する。

2 訂正の適否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段」という発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0236】の「ATは、一般遊技状態中のATに制御されていないゲームでAT権利があると判定されると、ATに制御されるまでの潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過したときに制御される。」との記載、すなわち、潜伏期間の制御の開始前に予め潜伏期間が決定されるとともに、この予め決定された潜伏期間に制御され、潜伏期間が終了した時にATに制御される旨の記載、及び図13に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項1は、上記のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、「遊技者にとって有利な有利状態に制御する」「開始条件」について「前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する」ものであることを特定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0236】の「ATは、一般遊技状態中のATに制御されていないゲームでAT権利があると判定されると、ATに制御されるまでの潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過したときに制御される。」との記載、すなわち、潜伏期間の制御の開始前に予め潜伏期間が決定されるとともに、この予め決定された潜伏期間に制御され、潜伏期間が終了した時にATに制御される旨の記載、及び図13に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(2)訂正事項3
ア 訂正の目的
下記の訂正事項7において「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する特典付与手段」に加え、「前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え」ることを加える訂正をするため、それぞれの「特典付与手段」が異なる手段であることを明確化することを目的として、「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する特典付与手段」を「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段」と訂正するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項3は、訂正前の「特典付与手段」を、他の手段である「第2特典付与手段」と識別するために「第1特典付与手段」とするものであって、実質的な変更をするものではない。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項3は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4の訂正は、下記の訂正事項5ないし8において各構成を加える訂正を行うため、「を備える」の「る」に代えて、構成の区切りを示す読点とするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項4は、下記の訂正事項5ないし7の構成を加えるに当たり、構成の区切りを示す読点を加えるものである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、「前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能」であるいう発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した図14のステップS101において「AT中か?」の判断がされ、「AT中」でない場合、及びステップS102において「継続カウンタ≠0?」の判断がされ、「継続カウンタ≠0」の場合には、ステップS103?S107において、押し順メロン当選の有無を判断して、AT権利を+1する処理、すなわち有利状態に制御する権利を新たに付与する処理を行うことが記載されている。
そして、ステップS101の「AT中か?」の判断は、願書に添付した明細書の段落【0252】における「当該ゲームの遊技状態をAT(潜伏期間を含まず、遅延制御が行われている期間を含む)としていたかどうかを判定する(ステップS101)。」ものであるから、上記「AT中」でない場合とは、潜伏期間に制御されているときを含むことは明らかである。また、ステップS102の「継続カウンタ≠0?」の場合とは、願書に添付した明細書の【0253】に「継続カウンタの値が0でなければ、当該ゲームはATの開始条件が成立していても遅延制御が行われて、AT対象役の報知が行われ得ないゲームであったので、ステップS103の処理に進む。」と記載されているとおり、遅延制御が行われていることを意味するものである。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項5は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、「前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御」するものであるという発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0236】の「ATは、一般遊技状態中のATに制御されていないゲームでAT権利かあると判定されると、ATに制御されるまでの潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過したときに制御される。ATは、一定ゲーム数(例えば、50ゲーム)を消化することによって終了させられるが、ATの終了直後のゲームでもAT権利かあると判定されると、再び潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過すると新たなATに制御される。」との記載に基づいて導き出される構成である。
なお、上記オ(ウ)のとおり、「前記潜伏期間に制御されているとき」、「前記有利状態への制御の開始を遅延させているとき」は、既に「有利状態の権利を有している」ことを前提とし、さらに「前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能」であるから、前記有利状態に制御する権利が複数回付与可能なことは明らかである。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項6は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、「前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え」るという発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0257】の「ブドウに入賞していれば、当該ゲームの遊技状態がAT(潜伏期間を含まず、遅延制御が行われている期間を含む)であるか否かに応じて定められた当選確率(ATの方が非ATよりも当選確率が高い)で、AT抽選を行い(ステップS110)、これに当選したかどうかを判定する(ステップS111)。AT抽選にハズレとなった場合には、そのままAT権利の付与に関する処理を終了する。AT抽選に当選した場合には、遊技者のAT権利を1増加させて(ステップS112)、AT権利の付与に関する処理を終了する。」、及び図14のステップS110、ステップS111、ステップS112の記載があり、上記「ブドウに入賞」し、「AT抽選に当選した場合には、遊技者のAT権利を1増加させ」ることは、2以上の所定回数連続して導出される「特定表示結果」とは異なる「特別表示結果」が導出されたときに、「有利状態に制御する権利を付与可能」といえるから、上記構成は、同明細書及び図面の記載に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項7は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的
訂正事項8は、「前記第2特典付与手段」は、「前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し」、「前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する」という発明特定事項を新たに加え、特許請求の範囲を減縮するものであるから、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0257】の「ブドウに入賞していれば当該ゲームの遊技状態がAT(潜伏期間を含まず、遅延制御が行われている期間を合む)であるか否かに応じて定められた当選確率(ATの方が非ATよりも当選確率が高い)で、AT抽選を行い(ステップS110)、これに当選したかどうかを判定する(ステップS111)。AT抽選にハズレとなった場合には、そのままAT権利の付与に関する処理を終了する。AT抽選に当選した場合には、遊技者のAT権利を1増加させて(ステップS112)、AT権利の付与に関する処理を終了する。」、及び図14のステップS110、ステップS111、ステップS112の記載かおり、有利状態であるATに制御されているときの方が非ATよりも当選確率が高いこと、及びゲームの遊技状態がATである期間には、遅延制御が行われている期間が含まれること、に基づいて導き出される構成である。
したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項8は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正事項1ないし8に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0008】の記載を、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に対応する記載に訂正するものである。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項9は、明細書の発明の詳細な説明の記載を、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に対応する記載に訂正するものであり、訂正事項1ないし8は、それぞれ上記(1)?(8)のイに記載したとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項9も同様の理由により、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項9は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。

3 むすび
したがって、本件訂正の訂正事項1、2、5?8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合し、訂正事項3、4、9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(当審において請求項をA?Mに分説した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
B 表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段と、
C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
D 前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段と、
E 遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段と、
F 前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段と、
G 2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段と、
H 前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御を行う特殊制御手段と、
を備え、
I 前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、
J 前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、
K 前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え、
L 前記第2特典付与手段は、
前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し、
M 前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する、ことを特徴とするスロットマシン。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して平成29年6月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
1.訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2003-52910号公報)に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。
2.訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証(特開2008-301986号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1、2号証を提出し、訂正前の請求項1に係る発明について、以下のとおり主張している。

訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一のものであって、新規性を有しないものであるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2003-52910号公報
甲第2号証:特開2008-301986号公報

4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
取消理由で通知した甲第1号証(特開2003-52910号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【0022】本発明は、複数の回転リール40をストップスイッチ50の操作により停止させ、所定の図柄61が所定の入賞態様に配列することにより入賞となる遊技機、例えばスロットマシンに適している。本発明は、特殊遊技を開始させるための遊技履歴を、回転リール40が停止した時に視認可能な図柄61が所定の配列となることとしたものである。この場合、「所定の配列」が入賞の態様である場合には、入賞回数を遊技履歴として記憶するものとなるが、入賞の有無に関わらず、特定の図柄61が特定の並びになったことを遊技履歴として記憶するものとしても良い。」

(イ)「【0042】そして、前記特殊遊技制御手段は、所定の入賞がn回連続した場合に、前記特殊遊技を開始可能に形成することができる。また、本発明に係る遊技機用プログラムは、遊技機を、複数の図柄を変動表示又は停止表示させるための図柄表示手段、図柄の変動表示を開始させるための図柄変動開始手段、変動表示されている図柄を停止表示させるための図柄変動停止手段、及び所定図柄を所定位置に停止させる停止制御を行うための図柄停止制御手段として機能させることができる。
【0043】このとき、前記図柄表示手段は、周囲に複数の図柄61を表示した回転リール40とし、この回転リール40の回転を制御するように形成することができる。この場合、図柄変動開始手段は、前記回転リール40の回転を開始させるためのスタートスイッチ30とすることができる。また、前記図柄変動停止手段は、回転リール40の回転を停止させるためのストップスイッチ50とすることができる。」

(ウ)「【0063】(遊技制御装置21)次に、遊技制御装置21について詳述する。遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。そして、この遊技制御装置21は、次の(1)乃至(3)の手段として機能する。
【0064】(1)通常遊技制御手段70
(2)特別遊技制御手段80
(3)当選抽選手段110
なお、前記通常遊技制御手段70は、通常遊技を行わせるために通常遊技に関する制御を行うものであり、前記特別遊技制御手段80は、特別遊技を行わせるために特別遊技に関する制御を行うものである。
【0065】また、遊技制御装置21としては、上記した(1)乃至(3)の手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
(通常遊技制御手段70)通常遊技制御手段70は、通常遊技を行わせるためのものである。すなわち、メダルの投入若しくはベットスイッチ16の投入を条件に、または、「再遊技(Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、スタートスイッチ30を操作すると、リールユニット60が駆動され、三個の回転リール40が回転を開始する。
【0066】その後、ストップスイッチ50の一個を操作すると、当該対応する回転リール40の回転が停止する。そして、ストップスイッチ50を三個全て操作し終わると、三個の回転リール40の回転が全て停止する。このとき、表示窓12の入賞有効ライン上に、予め設定された図柄61が停止すると、ホッパーユニット65を介して所定枚数のメダルが払い出される。なお、メダルを払い出す代わりに、クレジットしても良い。
【0067】当選には、入賞により遊技メダルの払い出しを伴い、遊技者に利益を付与する小役当選と、この小役当選よりもさらに大きな利益を遊技者に付与する特別当選と、遊技メダルの払い出しは無いが、遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行うことができる「再遊技(Replay)」とを備えている。そして、その抽選結果がいずれかの役に当選となった場合、その当選に対応した当選フラグが成立する。そして、抽選結果が特別当選である場合に、特別当選フラグが成立し、この特別当選フラグ成立中に、リールユニット60の回転リール40の停止図柄61の組み合わせが、予め定められた所定の特別当選図柄61(例えば、入賞有効ライン上に「7」が三個揃うもの)と一致したことを条件に入賞し、遊技者に有利な特別遊技を行わせるように形成されている。一方、抽選により特別当選フラグが成立したが、回転リール40の停止図柄61の組み合わせが特別当選図柄61と一致していない場合には、それ以後の遊技に特別当選フラグ成立の権利が持ち越されるように設定されている。なお、小役の当選フラグは、当選フラグが成立した遊技で入賞させられない場合、当選フラグ成立の権利の次の遊技への持ち越しはない。
【0068】また、いずれかの当選フラグが成立中に、対応する当選図柄61を入賞有効ライン上に揃えることができるか否かは、回転リール40の回転速度が一定の場合、ストップスイッチ50のタイミングによるものである。具体的には、ストップスイッチ50を操作した後、190ms以内に回転リール40が停止するように設定されているため、ストップスイッチ50を操作した後、そのまま停止させるか、或いは190ms以内に停止可能な回転リール40の円周上の引き込み可能図柄61、例えば停止図柄から連続する4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する入賞図柄61が含まれているような場合には、停止するまでの時間を遅らせて、回転リール40は入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止する。一方、かかる4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する当選図柄61が含まれていないような場合には、入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止することができない。」

(エ)「【0076】(特殊遊技制御手段120)特殊遊技制御手段120は、特殊遊技を制御するためのものである。そして、特殊遊技制御手段120は、図1に示すように、第一特典遊技制御手段121及び第二特典遊技制御手段122を有している。第一特典遊技制御手段121は、第一の特典遊技を行わせるためのものであり、第二特典遊技制御手段122は、第二の特典遊技を行わせるためのものであるが、これについては後述する。
【0077】ここで、特典遊技とは、後述する遊技履歴記憶手段130の記憶した遊技履歴に基づいて開始される特殊遊技であって、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技、すなわち遊技者に何らかの特典を与えるような遊技である。特典遊技としては、例えば、以下のような遊技を設けることができる。
(1)リプレイタイム遊技
リプレイタイム遊技とは、所定期間に亘り、「再遊技」の当選確率が高く設定された遊技期間である。」

(オ)「【0092】具体的には、例えば、特定の遊技履歴を特定の入賞(例えば再遊技入賞)とし、n=3、m=3と設定したと仮定する。この場合、「再遊技」が連続して3回入賞すると、第一特典遊技制御手段121が第一特典遊技を開始させる。一方、「再遊技」の連続入賞が連続して6回目となったときには、第二特典遊技制御手段122が第二特典遊技を開始させる。
【0093】このとき、第一特典遊技を例えばリプレイタイム遊技とし、第二特典遊技をアシストリプレイタイム遊技とすると、「再遊技」連続6回入賞を果たした場合には、第二特典遊技により、第一特典遊技より大きな特典が付与されることとなる。これは、第二特典遊技を大特典遊技として位置づけたものである。また、第一特典遊技を例えばアシストタイム遊技50ゲームとし、第二特典遊技はアシストタイム遊技100ゲームとすることにより、第二特典遊技を大特典遊技として位置づけることもできる。
【0094】なお、第一特典遊技は、第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定したとき(例えば連続入賞が5回の場合)に開始されるものとしても良いし、第一特典遊技の開始条件に該当したら第一特典遊技を開始し、その後さらに、第二特典遊技遊技の開始条件に該当した場合には、第二特典遊技を開始するようにしても良い。この場合、第一特典遊技の終了後に第二特典遊技を開始しても良いし、第一特典遊技中に第二特典遊技を開始しても良い。」

(カ)「【0110】なお、遊技履歴記憶手段130としては、上記の他にも、例えば遊技回数、特定期間中の遊技回数をカウントし記憶することもできる。
(当選抽選手段110)当選抽選手段110は、予め定めた抽選確率に基づいて当選役に係わる抽選を行うものである。そして、当選抽選手段110による抽選の結果、所定の当選役に当選である場合に当選フラグが成立し、この当選フラグ成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当選図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。」

(キ)「【0129】なお、テーブル停止制御においても、当選フラグが成立しているときには、その当選フラグに対応する図柄が入賞有効ライン上に揃うように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる引き込み設定の一種を備えているものである。また、当選フラグが成立していないときには、他の当選図柄が入賞有効ライン上に揃わないように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる蹴飛ばし設定の一種を備えているものである。」

したがって、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、甲1発明のa?hは、本件発明のA?Hに対応させて付した。
(甲1発明)
「a 複数の図柄61を変動表示させるため周囲に複数の図柄61を表示した回転リール40からなる図柄表示手段を備え(段落【0042】、【0043】)、
複数の回転リール40を停止させ、所定の図柄61が所定の入賞態様に配列することにより入賞となるスロットマシンにおいて(段落【0022】)、
b 回転リール40の停止前に、当選役に係わる抽選を行う当選抽選手段110と(段落【0110】)、
c 回転リール40の回転を停止させるためのストップスイッチ50と(段落【0043】)、
d ストップスイッチ50の操作により、回転リール40の停止を制御する遊技制御装置21であって、当選抽選手段110の抽選によるいずれかの当選フラグが成立中に、ストップスイッチ50を操作した後、そのまま停止させるか、例えば停止図柄から連続する4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する入賞図柄61が含まれているような場合には、停止するまでの時間を遅らせて、回転リール40は入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止し、一方、かかる4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する当選図柄61が含まれていないような場合には、入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止することができず、当選抽選手段110の抽選による当選フラグが成立していないときには、他の当選図柄が入賞有効ライン上に揃わないように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる蹴飛ばし設定の一種を備えている遊技制御装置21と(段落【0063】?【0068】、【0110】、【0129】)、
f 遊技履歴記憶手段130の記憶した遊技履歴に基づいて開始される特殊遊技であって、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技、すなわち遊技者に何らかの特典を与えるような遊技を制御する特殊遊技制御手段120と(段落【0076】、【0077】)、
g 特定の遊技履歴として例えば特定の入賞が連続して3回入賞すると第一特典遊技を開始させる第一特典遊技制御手段121と(段落【0092】)、
h 連続6回の特定の入賞を果たし場合には、第二特典遊技が付与されるが、第一特典遊技は、第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定したときに開始されるものとする制御手段と(段落【0093】、【0094】)、を備える
スロットマシン。」

(2)甲第2号証
取消理由で通知した甲第2号証(特開2008-301986号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【0001】
本発明は、メダルを用いて遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)に関する。」

(イ)「【0072】
ミッション演出では、内部当選したベル小役の入賞を所定のミッション達成必要回数(以下「ベル当て回数」ともいう。)だけ成立させることで、ミッションが達成されるようになっている。本実施例の遊技機1では、ベル当て回数が4回に設定され、内部当選したベル小役の入賞を連続して4回成立させることでミッションが達成されるように構成されている。なお、本発明の「特定条件」は、ミッション演出における達成すべきミッションの内容であり、「特定条件の達成」は内部当選したベル小役の入賞を所定のミッション達成必要回数だけ成立させることで実現される。」

(ウ)「【0077】
一方、ミッションが達成された場合には、所定の特典が遊技者に付与される。遊技者に付与される特典として、RT遊技中にベル小役の種類(ベルA、ベルB、ベルCのいずれか)を特定したベル小役の内部当選の報知が行われる。ベル小役の内部当選報知は、所定のベル小役報知期間だけ行われる。本実施例のベル小役報知期間は、所定回数の遊技(ベル報知ゲーム数)が実行されるまでの期間として設定されている。ミッションが達成された場合には、所定のベル小役報知期間として第1報知期間(本実施例では100ゲーム)が設定される。このベル小役の内部当選報知は、サブ制御基板220のCPUによって行われる。また、ベル小役の内部当選報知が行われる所定のベル小役報知期間が本発明の所定の報知期間に相当している。」

したがって、甲第2号証には次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲2記載事項)
「ベル小役の入賞を連続して4回成立させることで、RT遊技中にベル小役の種類(ベルA、ベルB、ベルCのいずれか)を特定したベル小役の内部当選の報知が行われる特典が遊技者に付与されるスロットマシン(段落【0001】、【0072】、【0077】)。」

(3)甲第3号証
異議申立人が平成29年10月13日付けの意見書で提出した甲第3号証(特開2004-097575号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0007】
第3に、所定のゲーム数が経過した後、1セット分のATゲームが実行される。つまり、ATゲームの権利が発生しても直ちにATゲームが開始されるわけではなく、通常ゲームを経た後、ATゲームが開始される。そして、あるセットが終了し、所定数の通常ゲームが経過すると、次のセットが開始される。本明細書では、権利が発生したゲームから最初のATゲームの直前ゲームまでの期間、およびあるセットと次のセットとの期間を潜伏期間といい、実際に報知が行われるATゲームの期間を作動期間という。さらに、潜伏期間と作動期間とを合わせてAT期間といい、AT期間を除いた期間を通常期間という。」

「【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、AT期間又は作動期間において、AT権利の発生確率を高くするスロットマシンは知られていない。すなわち、従来のスロットマシンでは、AT期間又は作動期間において、セット数の上乗せの期待度は、通常期間と何ら変わることがなかった。ATゲームは上述したようにリールストップボタンの押し順等がプレイヤーに報知される。このため、プレイヤーは、ATゲームに移行することを期待しながら通常ゲームを楽しむが、通常ゲームからATゲームに移行すると、後はATゲームを消化するだけになってしまうという問題があった。」

「【0132】
以上の処理において、モードの遷移は以下の通りである。モード1からモード2への遷移は、ビッグボーナスゲームの終了を契機とする。モード2からモード1への遷移は、ビッグボーナスゲームの終了後に20ゲームを経過したことを契機とする。モード1からモード3への遷移は、AT権利が発生し、かつ、モード3抽選に当選したことを契機とする。モード3からモード1への遷移は、AT期間が終了したこと、又は、あるATゲームのセットが終了し次のセットの潜伏期間に移行したとき次のセットのモード3フラグが無効であることを契機とする。
【0133】
<1-5-2:AT権利発生処理>
次に、AT権利発生処理について説明する。図14は、AT権利発生処理におけるサブ基板30BのCPU55の動作を示すフローチャートである。まず、CPU55は、内部抽選データISDに基づいて、リプレイ賞に当選しているか否かを判定し(ステップS201)、リプレイ賞に当選していれば、さらにモードデータがモード3を指示するか否かを判定する(ステップS202)。」

「【0135】
換言すれば、モード3の場合には、リプレイ賞又はチェリー賞に当選していることを条件に権利抽選を実行し、モード1又はモード2の場合にはチェリー賞に当選していることを条件に権利抽選を実行する。つまり、AT期間においては、所定の条件(モード3)を充足すると、権利抽選へ移行する条件となる内部抽選の賞群(区分)の種類が増加する。これにより、内部抽選の各賞群又はハズレの当選確率、すなわち、抽選区分の幅を変更することなく、権利抽選を実行する機会を増やし、AT権利発生確率を高くすることができる。」

「【0145】
以上、説明したように本実施形態によれば、AT権利の抽選確率がモード3であれば、AT期間において、AT権利の発生確率を高確率にすることができるので、ATゲームの意味を単に入賞し易いものとするだけでなく、セットの上乗せを容易にできるという新たなゲーム性を付加することができる。また、モード3の抽選は、AT権利の発生に当選した際に実行され、モード3の抽選に当選すると、モード3フラグがセット数Sと対応付けられて記憶される。すなわち、将来のゲームにモード3を適用することを記憶し、所定の始動条件が充足されるとモード3を適用することができる。」

「【0157】
さらに、図14に示すステップ206では、モード3において第1抽選に当選した場合には高確率で第2抽選を実行したが、この場合の確率は100%であってもよい。そして、そのような場合には、第2抽選を省略して、第1抽選において当選していれば、AT権利を発生させてもよい。」

「【0161】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、所定の条件を充足する場合、特別ゲーム期間において移行権利の発生確率を高確率にすることができるから、特別ゲームの趣向性を大幅に向上させることができる。また、特別状態を記憶し、始動条件を充足することによって、将来のゲームで特別状態を適用することができるので、プレイヤーは特別状態に移行することを期待してゲームをプレイすることができる。」

したがって、甲第3号証には次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(甲3記載事項)
「ATゲームの権利が発生したゲームから最初のATゲームの直前ゲームまでの期間、およびあるセットと次のセットとの期間を潜伏期間といい、実際に報知が行われるATゲームの期間を作動期間といい、さらに、潜伏期間と作動期間とを合わせてAT期間といい、AT期間を除いた期間を通常期間といい(【0007】)、
モード1からモード3への遷移は、AT権利が発生し、かつ、モード3抽選に当選したことを契機とし、モード3からモード1への遷移は、AT期間が終了したこと、又は、あるATゲームのセットが終了し次のセットの潜伏期間に移行したとき次のセットのモード3フラグが無効であることを契機とし(【0132】)、
モード3の場合には、リプレイ賞又はチェリー賞に当選していることを条件に権利抽選を実行し、モード1の場合にはチェリー賞に当選していることを条件に権利抽選を実行する、つまり、AT期間においては、所定の条件(モード3)を充足すると、権利抽選へ移行する条件となる内部抽選の賞群(区分)の種類が増加し、(【0135】)、
AT権利の抽選確率がモード3であれば、AT期間において、AT権利の発生確率を高確率にすることができる(【0145】)
スロットマシン(【0009】)。」

5 当審の判断
5-1 取消理由について
(1)対比
本件発明と甲1発明を対比する。なお、見出しの(a)?(h)は、甲1発明のa?hに対応させた。

(a)甲1発明の「複数の図柄61」及び「周囲に複数の図柄61を表示した回転リール40からなる図柄表示手段」は、それぞれ、本件発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報」及び「可変表示部」に相当する。また、甲1発明の「複数の回転リール40を停止させ、所定の図柄61が所定の入賞態様に配列することにより入賞となる」ことは、本件発明の複数の「前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な」ことに相当する。
したがって、甲1発明の「複数の図柄61を変動表示させるため周囲に複数の図柄61を表示した回転リール40からなる図柄表示手段を備え、複数の回転リール40を停止させ、所定の図柄61が所定の入賞態様に配列することにより入賞となるスロットマシン」は、本件発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。

(b)甲1発明の「回転リール40の停止前」は、本件発明の「表示結果が導出される前」に相当する。また、甲1発明の「当選抽選手段110」により「抽選」される「当選役」が、複数の回転リール40を停止させて配列することが許容されるものであることは明らかである。
したがって、甲1発明の「回転リール40の停止前に、当選役に係わる抽選を行う当選抽選手段110」は、本件発明の「表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段」に相当する。

(c)甲1発明の「回転リール40の回転を停止させるためのストップスイッチ50」は、遊技者が操作することは明らかであるから、本件発明の「遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段」に相当する。

(d)甲1発明の「ストップスイッチ50の操作により、回転リール40の停止を制御する遊技制御装置21であって、当選抽選手段110の抽選による何れかの当選フラグが成立中に、ストップスイッチ50を操作した後、そのまま停止させるか、例えば停止図柄から連続する4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する入賞図柄61が含まれているような場合には、停止するまでの時間を遅らせて、回転リール40は入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止し、一方、かかる4個の引き込み可能図柄61の中に、対応する当選図柄61が含まれていないような場合には、入賞有効ライン上にその当選図柄61を引き込んで停止することができず、当選抽選手段110の抽選による当選フラグが成立していないときには、他の当選図柄が入賞有効ライン上に揃わないように、予めテーブルの上で停止位置が決定されてあり、いわゆる蹴飛ばし設定の一種を備えている遊技制御装置21」は、本件発明の「前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段」の機能を有するといえる。

(f)甲1発明の「遊技履歴記憶手段130の記憶した遊技履歴に基づいて開始される特殊遊技であって、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技、すなわち遊技者に何らかの特典を与えるような遊技を制御する特殊遊技制御手段120」は、本件発明の「開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段」に相当する。

(g)甲1発明の「特定の入賞」が「入賞する」ことは、本件発明の「特定表示結果が導出され」ることに相当する。
したがって、甲1発明の「特定の遊技履歴として例えば特定の入賞が連続して3回入賞すると第一特典遊技を開始させる第一特典遊技制御手段121」は、本件発明の「2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段」に相当する。

(h)甲1発明の「第一特典遊技は、第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定したときに開始される」ことは、「第一特典遊技」の「開始」が「第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定」するまで遅延されることといえる。
したがって、甲1発明の「連続6回の特定の入賞を果たし場合には、第二特典遊技が付与されるが、第一特典遊技は、第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定したときに開始されるものとする制御手段と、を備えるスロットマシン」は、本件発明の「前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御を行う特殊制御手段と、を備え」ることに相当する。

そうすると、本件発明と甲1発明は次の点で一致する。
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
B 表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段と、
C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
D 前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段と、
F’開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段と、
G 2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段と、
H 前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御を行う特殊制御手段と、
を備える
スロットマシン。」

そして、本件発明と甲1発明は以下の点で相違する。
(相違点1)(構成E、F)
本件発明では「E 遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段」を備え、有利状態制御手段が遊技者にとって有利な有利状態に制御する開始条件は、「F 前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する」ものであるのに対し、甲1発明ではそのようなものではない点。

(相違点2)(構成I)
本件発明は「I 前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であ」るのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。

(相違点3)(構成J)
本件発明は「J 前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御する」ものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。

(相違点4)(構成K)
本件発明は「K 前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段」を備えるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。

(相違点5)(構成L)
本件発明は「L 前記第2特典付与手段は、前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与」するものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。

(相違点6)(構成M)
本件発明は「M 前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する」ものであるのに対し、甲1発明はそのようなものではない点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点6について検討する。

異議申立人は、平成29年10月13日付けの意見書において、甲第3号証には、「権利が発生したゲームから最初のATゲームの直前ゲームまでの期間、およびあるセットと次のセットとの期間を潜伏期間といい、実際に報知が行われるATゲームの期間を作動期間という。さらに、潜伏期間と作動期間とを合わせてAT期間といい、AT期間を除いた期間を通常期間という。」(段落【0007】)の構成、及び「AT権利の抽選確率がモード3であれば、AT期間において、AT権利の発生確率を高確率にすることができる」(段落【0145】)」の構成から、要するに「AT権利の発生したゲームから最初のATゲームの直前ゲームまでの期間が潜伏期間であって、この潜伏期間終了後にATゲームの開始を遅延させる遅延制御が行われ、潜伏期間開始からAT権利の当選確率が高確率に制御され、遅延制御中はAT期間でない期間に比べAT権利の当選確率が高確率」となる構成が開示されていることからして、相違点6に係る本件発明の構成が記載されており、相違点6に係る本件発明の構成は、甲第1?3号証の記載から当業者に自明な事項、すなわち当業者における周知慣用技術にすぎない旨、主張する。

しかしながら、甲第3号証には、甲3記載事項、すなわち、潜伏期間と作動期間を合わせたAT期間において、権利抽選へ移行する条件となる内部抽選の賞群の種類を増加し(チェリー賞だけでなくリプレイ賞も)、AT権利の発生確率を高確率にすることが記載されているのみで、潜伏期間終了後に行われるATゲームの開始を遅延させる遅延制御については記載も示唆もされていない。
また、甲第2号証にも、上記相違点6に係る本件発明の構成について、記載も示唆もされていない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。

また、本件発明の「M 前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態」に相当する、「特定の入賞が連続して3回入賞すると」「開始される」「第一特典遊技」の「開始」が「連続6回の特定の入賞を果たし場合」の「第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定」するまで「開始」されない状態を開示する甲1発明に対して、甲3記載事項の適用を検討するに、甲1発明の前記開示事項を甲3記載事項の潜伏期間と類似するものとして、甲1発明に甲3記載事項を適用し得たとしても、連続して3回入賞するより前の特定入賞の確率より、その後の特定の入賞の確率を高確率にして第二特典遊技を開始し易くすることまでは想到できるが、相違点6に係る本件発明の「特別表示結果」は構成Kにおいて「前記特定表示結果とは異なる」と特定されているから、特定入賞とは異なる入賞の確率を高確率にして、相違点6に係る本件発明の構成の「前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する」ことは、甲1発明及び甲3記載事項に基づいて容易に想到し得るものではない。

さらに、甲1発明の「特定の入賞が連続して3回入賞すると」「開始される」「第一特典遊技」の「開始」が「連続6回の特定の入賞を果たし場合」の「第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定」するまで「開始」されない状態を残しつつ、それとは別に、甲3記載事項を適用する動機付けは見出せないが、仮に適用し得たとしても、甲1発明の「特定の入賞が連続して3回入賞すると」「開始される」「第一特典遊技」の「開始」が「連続6回の特定の入賞を果たし場合」の「第二特典遊技の開始条件に該当しないことが確定」するまで「開始」されない状態をも、リプレイ賞のAT権利の発生確率を高確率にして相違点6に係る本件発明の構成に容易に想到し得るものではない。

そして、特別表示結果が導出表示されたときに高い確率で有利状態に制御する権利が付与される有利状態への制御の開始を遅延させている状態において、仮に、特別表示結果が導出表示されたときに高い確率で有利状態に制御する権利を付与しない場合には、有利状態への制御の開始を遅延させたことで遊技者に不満を与えてしまう虞があるが、本件発明は、上記相違点6に係る本件発明の構成により、特別表示結果が導出表示されたときに高い確率で有利状態に制御する権利を付与するため、つまり、有利状態への制御の開始の遅延が特別表示結果の導出表示時の権利の付与に影響を及ぼさないため、有利状態への制御の開始を遅延させたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができるという効果を奏するものである。

したがって、甲1発明に甲2記載事項、甲3記載事項を適用しても、上記相違点6に係る本件発明の構成に想到することはできない。

(3)まとめ
よって、本件発明は、上記相違点1?5を検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。
そして、特許異議申立人の主張する理由、特許異議申立人が提出した証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。

5-2 特許異議申立理由について
当審による平成29年6月23日付けの取消理由通知は、前記第3の2、3のように、特許異議申立の理由と同じ理由を包含するものであることから、特許異議申立理由は前記5-1において検討済みである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に報知対象表示結果を導出させるための操作手順を遊技者に報知するとともに、該操作手順が報知されない遊技状態において報知対象表示結果が導出されたことに基づいて遊技者に特典を付与するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示態様に従って入賞が発生する。
【0003】
ボーナス役を含めた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行われる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。もっとも、全ての役が内部抽選に当選していれば必ず入賞するというものではなく、役の種類によっては、停止ボタンの操作手順(操作順序および/または操作タイミング)が適切であることを条件として初めて入賞することとなる役もある。そして、このような役について入賞させるための停止ボタンの操作手順を遊技者に報知するAT(Assist Time)という遊技状態に制御するスロットマシンがある。
【0004】
ATの開始は、特定の遊技状態の終了などの様々な条件のものがあるが、1ゲーム限りで生じた事象に従ってATを開始させるものだけではなく、複数ゲームに亘って生じた事象に従ってATを開始させるものがあったり、ATの決定とATの開始が離れたタイミングであったりするものもある。また、ATの開始条件をAT抽選に当選したこととするものとして、遊技者が所定の操作手順で停止操作を行うことにより可変表示装置に特定の出目が導出されると、AT開始抽選が行われ、これに当選すると、ATが開始されるスロットマシンがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-57662号公報(段落0089、0093?0095等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスロットマシンでは、特定の出目が導出されるとAT開始抽選が行われ、これに当選すれば特定の出目の導出が1回だけでもATに制御されることとなる。これに対して、複数ゲームに亘って生じた事象に従ってATを開始させるものとしたり、ATの決定とATの開始とが離れたタイミングで生じるものとした場合には、特許文献1のスロットマシンのように1ゲーム限りで生じた事象に従ってATを開始させるものと同じ考えが通用しないことがある。
【0007】
本発明は、操作手順が報知されない状態で2以上の所定回数連続して報知対象表示結果が導出された場合に遊技者に特典を付与するスロットマシンにおいて、当該特典の付与に対して遊技者に不信感を与えないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の手段1にかかるスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(可変表示装置2)を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)において、
表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段(メイン制御部41:内部抽選処理)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段(メイン制御部41:リール停止処理)と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段(メイン制御部41:潜伏期間の設定(図13))と、
前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する開始条件(潜伏期間の終了)の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態(AT)に制御する有利状態制御手段(メイン制御部41:ATへの制御)と、
2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利(AT権利)を付与する第1特典付与手段(メイン制御部41:ステップS106、S107(図14))と、
前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御(遅延制御)を行う特殊制御手段(メイン制御部41:遅延制御の実行(図16))と、
を備え、
前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、
前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、
前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果(ブドウ入賞)が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段(メイン制御部41:ステップS111、S112(図14))をさらに備え、
前記第2特典付与手段は、
前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し、
前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する、
ことを特徴とする。
また、本発明の他の態様のスロットマシンは、
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)において、
ゲーム毎に前記可変表示装置の表示結果が導出されるよりも前に、報知対象表示結果(押し順メロン1?5)を含む複数種類の入賞表示結果の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(メイン制御部41:内部抽選処理)と、
前記識別情報の変動表示を停止させるために遊技者により操作される停止操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記停止操作手段の操作手順とに応じて前記可変表示装置に表示結果を導出させる手段であって、前記報知対象表示結果の導出を許容する旨が決定されているときには前記停止操作手段が該報知対象表示結果について定められた操作手順で操作されたことを条件に該報知対象表示結果を導出させる導出制御手段(メイン制御部41:リール停止処理、押し順メロン当選時のリール制御(図12))と、
報知開始条件(潜伏期間の終了)が成立したことを契機として、前記報知対象表示結果の導出を許容する旨が決定されたときに該報知対象表示結果を導出させるための操作手順を遊技者に報知する報知遊技状態(AT)に遊技状態を制御する報知遊技状態制御手段(メイン制御部41:ATへの制御)と、
前記報知遊技状態に制御されていないときにおいて2以上の所定回数連続して前記報知対象表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な特典(AT権利)を付与する特典付与手段(メイン制御部41:ステップS106、S107(図14))と、
前記報知開始条件が成立する直前において前記報知対象表示結果が所定回数未満導出されているときに、前記報知遊技状態の制御に関して特殊制御(遅延制御)を行う特殊制御手段(メイン制御部41:遅延制御の実行(図16))と
を備えるようにしてもよい。
【0009】
なお、前記報知対象表示結果が連続して導出されるとは、前記事前決定手段の決定結果に関わらずに該報知対象表示結果が連続して導出されている状態を指すものとしても、前記事前決定手段により前記報知対象表示結果の導出を許容する旨が決定されたゲームだけを考えれば該報知対象表示結果が連続して導出されている状態を指すものとしてもよい。
【0010】
また、前記特殊制御手段により行われる特殊制御は、前記報知開始条件が成立した時点で前記所定回数連続して前記報知対象表示結果が導出されたとみなして前記特典付与手段に特典を付与させるものとしても、前記報知対象表示結果が所定回数となるまで導出されている限りは前記報知開始条件が成立しても前記報知遊技状態制御手段に前記報知遊技状態への制御を遅延させるものとしても、前記報知開始条件が成立した時点までに前記報知対象表示結果が導出されていた回数を前記報知遊技状態の終了後に持ち越させるものとしてもよい。
【0011】
上記スロットマシンでは、報知対象表示結果の導出を許容する旨が決定されているときには、該報知対象表示結果について定められた操作手順で停止操作手段が操作されたことを条件に、該報知対象表示結果が導出される。報知開始条件が成立して報知遊技状態に遊技状態が制御されているときには報知対象表示結果を導出させるための操作手順が報知され、遊技者は、報知された操作手順に従って停止操作手段を操作すれば報知対象表示結果を導出させることができるので、遊技者にとって有利な遊技状態になっていると言える。
【0012】
一方、報知遊技状態に制御されていないときには、報知対象表示結果の導出を許容する旨が決定されていても、その導出のための操作手順が報知されることはないので、遊技者は、自らの勘に従って停止操作手段を操作しなければならない。もっとも、報知遊技状態に制御されていないときには、遊技者の勘が働いて2以上の所定回数連続して報知対象表示結果が導出されると遊技者にとって有利な特典が付与されるので、報知遊技状態に制御されていないことは、必ずしも遊技者にとって不利なものであるとは言い切れない。
【0013】
ここで、報知遊技状態に制御されていないときに報知対象表示結果が所定回数未満導出されている場合には特典の付与への機会が継続しているということが言えるが、このような状態からそのまま報知遊技状態に制御されてしまうと、「報知遊技状態に制御されていないときにおいて2以上の所定回数連続して報知対象表示結果が導出された」という条件が成立せず、遊技者が特典を得る機会を喪失してしまう。従って、このままでは、遊技者に不信感を与えてしまうことになりかねない。
【0014】
これに対して、上記スロットマシンでは、このような場合に報知遊技状態の制御に関して特殊制御を行うものとしているので、遊技者自らの勘に基づく報知対象表示結果の導出を無駄にさせずに、遊技者が特典を得る機会が喪失されてしまうのを防ぐことができる。また、報知遊技状態へ遊技状態が制御されることが、遊技者が特典を得る機会を喪失させてしまうのを防止することができるので、報知遊技状態への制御によって遊技者に不信感を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の手段2は、手段1のスロットマシンにおいて、
前記特殊制御手段により前記特殊制御が行われた旨を遊技者に報知する特殊制御報知手段(サブ制御部91:非AT報知(図16))をさらに備える
ことを特徴とする。
【0016】
この場合には、特殊制御が行われた旨が遊技者に示されるので、遊技者自らの勘に基づく報知対象表示結果の導出を無駄にされていないことが分かり易いものとなり、遊技者に不満を感じさせるのを防ぐことができる。特に、前記特殊制御が、前記報知対象表示結果が所定回数連続して導出されるまで前記報知遊技状態への制御を遅延させる制御である場合には、特典を得られるか得られないかの状態が継続中であることが遊技者に分かるようになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0017】
本発明の手段3は、手段1または2のスロットマシンにおいて、
前記報知対象表示結果が所定回数連続して導出されたこととは異なる特定条件(ブドウ入賞により行われるAT抽選の当選)が成立したときに、遊技者にとって有利な第2の特典(AT権利)を付与する手段であって、前記報知遊技状態に制御されているときには該報知遊技状態に制御されていないときよりも、該第2の特典の付与に関する遊技者にとっての有利度を高くする(AT中は非AT中よりもAT抽選の当選確率が高い)第2特典付与手段(メイン制御部41:ステップS110)をさらに備え、
前記特殊制御は、前記報知対象表示結果が所定回数連続して導出されるまで前記報知遊技状態への制御を遅延させる制御(遅延制御)であり、
前記第2特典付与手段は、前記特殊制御が行われている間に前記特定条件が成立したときには、前記報知遊技状態に制御されているときと同じ有利度で前記第2の特典を付与する(遅延制御中のAT抽選の当選確率はAT中のものを適用)
ことを特徴とする。
【0018】
この場合には、報知開始条件が成立しても報知対象表示結果が所定回数未満導出されているときには特殊制御により報知遊技状態への制御が遅延されるが、特殊制御による報知遊技状態への制御の遅延が第2の特典の付与に関しては影響を及ぼさないので、報知遊技状態への制御を遅延させたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0019】
なお、前記第2特典付与手段により付与される第2の特典は、前記特典付与手段により付与される特典とは異種のものであってもよいが、同種のものであっても構わない。
【0020】
本発明の手段4は、手段1乃至3の何れかのスロットマシンにおいて、
前記報知開始条件が成立した旨を報知する報知演出(AT報知)を実行する報知演出実行手段(サブ制御部91:AT報知の実行(図15、図16))をさらに備え、
前記特殊制御は、前記報知対象表示結果が所定回数連続して導出されるまで前記報知遊技状態への制御を遅延させる制御(遅延制御)であり、
前記報知演出実行手段は、前記報知開始条件が成立する直前において前記報知対象表示結果が所定回数未満導出されているときには、該報知開始条件が成立したゲームよりも後のゲームにおいて、前記報知演出を実行する(遅延制御の終了によりAT報知を実行(図16))
ことを特徴とする。
【0021】
この場合には、報知開始条件が成立しても報知対象表示結果が所定回数未満導出されているときには特殊制御により報知遊技状態への制御が遅延されるが、報知遊技状態への制御が遅延されると報知演出も遅延されて実行される。これにより、報知演出が実行されて報知開始条件の成立が報知されているのに、報知対象表示結果を導出させるための操作手順が報知されないということがなくなり、報知遊技状態への制御を遅延させたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0022】
なお、前記報知遊技状態に制御されるよりも複数ゲーム前のゲームで前記報知開始条件を成立させるか否かが確定されている場合には、複数ゲームに亘る連続演出を行い、該連続演出が終了するゲームの演出にて報知演出を実行するものとしてもよい。この連続演出は、前記報知開始条件を成立させない旨が確定されている場合にも実行開始することができるが、その場合には、該連続演出が終了するゲームの演出にて前記報知開始条件が成立していない旨を報知するものとすればよい。
【0023】
本発明の手段5は、手段1乃至4の何れかのスロットマシンにおいて、
前記報知開始条件が成立した旨を示す報知信号を外部装置に出力する報知信号出力手段(外部出力基板1000)をさらに備え、
前記特殊制御は、前記報知対象表示結果が所定回数連続して導出されるまで前記報知遊技状態への制御を遅延させる制御(遅延制御)であり、
前記報知信号出力手段は、前記特殊制御が終了したときに前記報知信号を出力する(遅延制御の終了後のゲームから外部出力信号をAT中を示すものとする(図16))
ことを特徴とする。
【0024】
この場合には、報知開始条件が成立しても報知対象表示結果が所定回数未満導出されているときには特殊制御により報知遊技状態への制御が遅延されるが、報知信号の外部装置への出力も遅延されることとなる。このため、報知信号を受けた外部装置が報知開始条件の成立を報知してしまっているのに、報知対象表示結果を導出させるための操作手順が報知されないということがなくなり、報知遊技状態への制御を遅延させたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】スロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構造を示す図である。
【図3】可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。
【図4】スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図5】入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図6】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図7】一般遊技状態における特別役・小役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【図8】一般遊技状態における再遊技役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【図9】押し順昇格リプレイ1?6のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図10】押し順維持リプレイ1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図11】押し順突入リプレイ1?4のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図12】押し順メロン1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図13】潜伏期間決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】AT権利の付与に関する処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態における遊技の進行例を示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の実施の形態における遊技の進行例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシンの内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体の側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
【0027】
スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0028】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ、「メロン(たとえば、左リール2Lの領域番号20の図柄)」、「バナナ(たとえば、左リール2Lの領域番号19の図柄)」、「白7(たとえば、左リール2Lの領域番号18の図柄)」、「黒BAR(たとえば、左リール2Lの領域番号17の図柄)」、「星(たとえば、左リール2Lの領域番号14の図柄)」、「ブドウ(たとえば、左リール2Lの領域番号13の図柄)」、「黒7(たとえば、左リール2Lの領域番号10の図柄)」、「白BAR(たとえば、左リール2Lの領域番号6の図柄)」、「イチゴ(たとえば、左リール2Lの領域番号5の図柄)」、「星7(たとえば、左リール2Lの領域番号1の図柄)」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。
【0029】
リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。また、リール2L、2C、2Rの図柄が描かれた部分以外は白色であり、高い透過率で光を透過するようになっており、図柄が描かれた部分についても、その図柄の色彩に応じて光を透過するようになっている。
【0030】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図2、図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0031】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9つのLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0032】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてその範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0033】
本実施の形態では、規定数の賭数として、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス(以下、ボーナスともいう)であることに応じて「2」が定められて、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の遊技状態(以下、一般遊技あるいは一般遊技状態ともいう)であることに応じて「3」が定められている。
【0034】
また、前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0035】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0036】
また、図4に示すように、前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するRAM異常エラーを除くエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
【0037】
筐体1a内部には、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)、リールLED55からなるリールユニット2、外部出力信号(後述するATであるか否かを示すAT中信号を含む)を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0038】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0039】
電源ボックス100の前面には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはRAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0040】
スロットマシン1においてゲームを行なう場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。
【0041】
遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L4(図1参照)の対応するラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
【0042】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために予め設定されているラインである。本実施の形態では、図1に示すように、入賞ラインL1?L4の4種類が入賞ラインとして定められている。
【0043】
入賞ラインL1は、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL2は、リール2Lの上段、リール2Cの上段、リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL3は、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL4は、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。なお、入賞ラインは、L1?L4に示すラインに限らず、たとえば各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨るラインなどを含むものであってもよい。
【0044】
ビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の一般遊技状態であるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L4(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。ビッグボーナスおよびレギュラーボーナスであるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL2?L4が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。
【0045】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0046】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化された入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。
【0047】
なお、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施の形態では、12枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化された入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0048】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0049】
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0050】
このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、その結果として当該図柄から6コマ先までの図柄を上段に表示させることができる。すなわち、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を含めて7コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0051】
スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101、外部出力基板1000が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0052】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40および遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
【0053】
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0054】
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0055】
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1?3BETLED14?16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0056】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0057】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行なうととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0058】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0059】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0060】
電断割込処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避させる処理が行なわれる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。
【0061】
次いで、全出力ポートを初期化した後、RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行なわないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。
【0062】
このように電断割込処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0063】
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行なわなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0064】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されている。
【0065】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
【0066】
なお、本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行なわれる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行なう出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行なう構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行なわれることとなる。
【0067】
また、本実施の形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0068】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0069】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0070】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0071】
スロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に有利度が段階的に低くなる。
【0072】
設定値を変更するためには、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、賭数を設定することによりゲームが開始可能となる状態に移行する。なお、スロットマシン1の電源がON状態である場合に一旦OFF状態にする操作、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をON状態にする操作、リセット/設定スイッチ38の操作、および設定値を確定させるためのスタートスイッチ7の操作など、設定値を設定するために必要な操作を設定変更操作という。なお、設定変更操作は、このような操作に限るものではなく、設定値を設定するための操作であればどのようなものであってもよい。
【0073】
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
【0074】
本実施の形態におけるスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行なうようになっている。なお、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
【0075】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0076】
なお、本実施の形態では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としてもよい。
【0077】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であればよく、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
【0078】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行なうようになっている。
【0079】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインサブCPU91aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0080】
なお、本実施の形態では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としてもよい。
【0081】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であればよく、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、BB中か、通常遊技状態か、RT1?4のいずれであるかなどの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(BB中であればBB中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしてもよい。
【0082】
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、停止相ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0083】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、BB終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、BB中のメダル払出総数等、BB終了時に初期化可能なデータ、各ゲームの終了時において初期化される当選フラグ(小役、リプレイ、SB)および入賞フラグが格納されるワークである。
【0084】
特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数等、設定開始前にのみ初期化されるデータ、各ゲームの終了時においてクリアされることはなく入賞時および設定変更時(設定変更モードへの移行時)に初期化される当選フラグ(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)、次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグ、消化したゲーム数が所定ゲーム数に到達することにより終了する遊技状態に制御される場合には残りゲーム数が格納されるワークである。なお、特別ワークにおいては、残りゲーム数が格納される例について説明するが、これに限らず、当該遊技状態に制御されてから消化したゲーム数が格納されるものであってもよい。
【0085】
設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行なう際に用いる設定値が格納されるワークであり、設定開始前(設定変更モードへの移行前)の初期化において0が格納された後、1に補正され、設定終了時(設定変更モードへの終了時)に新たに設定された設定値が格納されることとなる。
【0086】
なお、設定変更モードに移行させた場合(すなわち設定変更操作が行なわれた場合)、遊技状態フラグは、原則として、後述する通常遊技状態に関する情報に更新される。これにより、たとえば、RT中やボーナス中に設定変更モードに移行させた場合には、設定変更モードに移行された後において通常遊技状態に制御される。また、特別ワークにボーナスの当選フラグが設定されているときに設定変更モードに移行させた場合には、当該当選フラグが初期化される。たとえば、ボーナス当選している内部中RT中に設定変更モードに移行させた場合には、通常遊技状態に制御される。このように、設定変更に関連して、遊技状態フラグを通常遊技状態に対応する値に書き換えられる(初期化)。
【0087】
停止相ワークは、リールモータ32L、32C、32Rの停止相を示すデータが格納されるワークであり、リールモータ32L、32C、32Rが停止状態となった際にその停止相を示すデータが格納されることとなる。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。
【0088】
スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0089】
本実施の形態においてメインCPU41aは、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37のみがONの状態での起動時、BB終了時、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の6つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行なう。
【0090】
初期化0は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態であり、設定変更モードへ移行される場合に行なう初期化、またはRAM異常エラー発生時に行なう初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域および次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグが格納される領域を除く全ての領域(未使用領域および未使用スタック領域を含む)が初期化され、通常遊技状態に制御される。
【0091】
初期化1は、起動時において設定キースイッチ37のみがONの状態であり、設定変更モードへ移行される場合に行なう初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域、次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグが格納される領域、および停止相ワークを除く全ての領域(未使用領域および未使用スタック領域を含む)が初期化される。
【0092】
初期化2は、BB終了時に行なう初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行なう初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行なう初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。
【0093】
なお、本実施の形態では、初期化0、初期化1は設定変更モードの終了時に行なう例について説明するが、設定変更モードへ移行される前、設定変更モード中、あるいは設定変更後最初のゲームが開始されるまで(スタートスイッチ7が操作されるまで)に行なうようにしてもよい。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定値ワークの初期化は行なわれない。
【0094】
本実施の形態のスロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0095】
[入賞役、遊技状態の遷移]
図5(a)は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図であり、図5(b)は、予め定められた特殊出目の図柄組合せおよび特殊出目に関連する技術事項について説明するための図である。また、図6は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図である。
【0096】
本実施の形態におけるスロットマシンは、図6に示すように、メイン制御部41により、通常遊技状態、再遊技役の当選確率が通常遊技状態よりも向上されるRT1?RT4および内部中RT、および所定枚数払出されるまで小役の当選確率が向上されるビッグボーナスやレギュラーボーナスのうち、いずれかに制御される。また、本実施の形態におけるスロットマシンは、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。
【0097】
図5(a)を参照して、入賞役のうち特別役には、3種類のビッグボーナス1?3(以下、各々のビッグボーナスをBBとも称する)と、レギュラーボーナス(以下、レギュラーボーナスをRBとも称する)とが含まれる。
【0098】
BB1は、入賞ラインのいずれかに「白7-白7-白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB2は、入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB3は、入賞ラインのいずれかに「星7-星7-星7」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0099】
BB1?BB3のいずれかに入賞すると、ビッグボーナスに制御される。遊技状態がビッグボーナスに制御されている間は、入賞したBBの種類に対応するビッグボーナス中フラグがRAM41cに設定される。また、ビッグボーナスに制御されている間は、小役の所定確率に向上したBB時用のRBに制御される。BB時用のRBに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。すなわち、ビッグボーナス中フラグがON状態に設定されている間は、毎ゲーム、レギュラーボーナス中フラグがON状態に設定された状態に制御される。
【0100】
BB1またはBB2の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、361枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。BB3の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、241枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。
【0101】
RBは、入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-星7」あるいは「星7-星7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。RBに入賞すると、レギュラーボーナスに制御される。遊技状態がレギュラーボーナスに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。RBの入賞に起因して発生したレギュラーボーナスは、いずれかの入賞役に4回入賞することを条件として終了する。
【0102】
図6に示すように、BB1?BB3およびRBのいずれかに内部当選してから入賞するまでは、内部中RTに遊技状態が制御される。内部中RTでは、リプレイに当選する確率が通常遊技状態であるときよりも高確率となる。また、図6に示すように、BB1?BB3やRBが終了した後は、RT1に遊技状態が制御される。
【0103】
内部抽選においてBB1?BB3およびRBのうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。BB1?BB3およびRBを構成する図柄(「黒7」、「白7」、「星7」)は、各々、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。なお、内部抽選においてBB1?BB3およびRBのうちいずれかに当選しているときには、当選しているボーナスに入賞するまで、当該ボーナスの当選フラグが持ち越される。
【0104】
SBは、入賞ラインのいずれかに「星-黒7-星」の組合せが揃ったときに入賞となる。SB入賞すると、小役(たとえば、メロン1)の当選確率を通常遊技状態であるときよりも向上させた遊技状態であるシングルボーナスに制御される。シングルボーナスに制御されている間は、シングルボーナス中フラグがRAM41cに設定される。SBの入賞に起因して発生したシングルボーナスは、1回ゲームが行なわれることにより終了する。
【0105】
通常遊技状態、RT1、およびRT3のうちいずれかに制御されているときにSB入賞し、当該入賞に起因するシングルボーナスとしての1ゲームが終了した後は、RT2に遊技状態が制御される。一方、RT4に制御されているときにSB入賞し、当該入賞に起因するシングルボーナスとしての1ゲームが終了した後は、当該SB入賞前のRT4に引き続き制御される。なお、シングルボーナスは、1ゲームで終了する。このため、図6では、シングルボーナスを図示していないが、通常遊技状態、RT1、およびRT3のうちいずれかに制御されているときにSB入賞したときには、一旦シングルボーナスに制御された後にRT2に制御され、RT4に制御されているときにSB入賞したときには、一旦シングルボーナスに制御されるが再びRT4に制御されることになる。以下においては、便宜上、RT2およびRT4各々に、SB入賞によるシングルボーナスを概念的に含む遊技状態として説明するが、実質的には、上記したようにSB入賞によって一旦シングルボーナスに制御された後、当該SB入賞時の遊技状態に応じてRT2あるいはRT4に制御されることを意味する。
【0106】
内部抽選においてSBに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。SBを構成する図柄(「星」、「黒7」)は、各々、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。
【0107】
内部抽選においてSBに当選したゲームにおいて、当該SBに入賞しなかったときには、BB1?BB3やRBと異なり、当該SBの当選フラグが消去される。また、内部抽選においてSBに当選したゲームにおいてSB入賞させるタイミングで停止操作がされず、当該SBの図柄組合せを入賞ライン上に引込むことができないときには、図5(b)で示す特殊出目が入賞ラインL1?L4のいずれかに引込むように、リール制御が行なわれる。
【0108】
次に、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、1枚役、ブドウ、メロン1?メロン4、イチゴが含まれる。
【0109】
小役のうち1枚役は、入賞ラインのいずれかに「星-黒BAR-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。1枚役が入賞すると1枚メダルが払い出される。1枚役は、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。1枚役を構成する図柄(「星」、「黒BAR」、「黒7」)は、左リール2L?右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0110】
小役のうちブドウは、入賞ラインのいずれかに「ブドウ-ブドウ-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となる。ブドウは、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。ブドウを構成する図柄(「ブドウ」)は、左リール2L?右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0111】
小役のうちメロン1は、入賞ラインのいずれかに「any-メロン-any」あるいは「メロン-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。このため、メロン1は、中リール2Cの「メロン」の図柄が有効な入賞ラインに停止表示されることにより、左リール2Lおよび右リール2Rの図柄との組合せに関わらず、入賞が発生し得る入賞役といえる。
【0112】
メロン1は、当選していれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず入賞する。メロン1を構成する図柄(たとえば、「メロン」)は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されているためである。
【0113】
次に、メロン2?4について説明する。メロン2は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-白7-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。メロン3は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。メロン4は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-黒BAR-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0114】
ここで、図3を参照すると、メロン2?4各々を構成する図柄は、少なくとも、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。このため、後述する内部抽選においてメロン2?4のいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、当選しているメロン2?4のうち当選しているメロンに入賞することはない。
【0115】
しかしながら、メロン2?4は、後述するように、ビッグボーナス中を除いて、常にメロン1と同時に抽選対象役として読み出されて当選する。このため、メロン2?4に当選しているときには、ビッグボーナス中を除いて、メロン1を入賞させることができる。
【0116】
小役のうちイチゴは、入賞ラインのいずれかに「イチゴ-白7-バナナ」、「イチゴ-黒7-バナナ」、「イチゴ-星7-バナナ」、および「イチゴ-ブドウ-バナナ」のうちいずれかの組合せが揃ったときに入賞となる。イチゴは、当選していてもストップスイッチ8Lを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。イチゴを構成する左リール2Lの図柄(「イチゴ」)は、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0117】
遊技者は、一般遊技状態中であってATに制御されていないときには、当該イチゴ入賞させるための操作手順で停止操作することにより、イチゴの取りこぼしを防止できるとともに、たとえば左リール2Lの図柄配列からSBを構成する左図柄である「星」を引込むことがなくSBを取りこぼすことによりSB入賞によりRT2に制御されてしまうことを防止することができる。
【0118】
次に、ブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときに払出されるメダルの枚数について説明する。ブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞すると、当該入賞したゲームが開始されたときの遊技状態および入賞ライン数に応じた枚数分のメダルが払い出される。
【0119】
一般遊技状態においてブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときには、4枚メダルが払い出される。一方、一般遊技状態と異なるボーナスにおいてブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときには、8枚メダルが払い出される。
【0120】
なお、入賞ラインL1、L3、L4は、中リール2Cの中段において交差している。また、メロン1の「any-メロン-any」は、中リール2Cの停止図柄のみより入賞が発生し得る。このため、メロン1は、複数の入賞ラインにおいて発生し得る入賞役といえる。このため、メロン1の「any-メロン-any」が停止されることによりメロン1に入賞したときには、入賞ライン数に応じた枚数のメダルが払い出される。たとえば、中リール2Cの「メロン」が中段に停止されたときには、一般遊技状態において入賞ラインL1、L3、L4において入賞することになるため4×3=12枚メダルが払い出され、ボーナスにおいて入賞ラインL3、L4において入賞することになるため8×2=16となり払出上限の12枚メダルが払い出される。
【0121】
次に、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、リプレイ1?リプレイ11が含まれる。再遊技役のいずれかに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した枚数分のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0122】
リプレイ1は、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。通常リプレイを構成する図柄(「バナナ」)は、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ1については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。リプレイ1は、入賞してもRT移行を伴わず、現状の遊技状態を維持する通常のリプレイであるため、以下では通常リプともいう。
【0123】
リプレイ2は、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ2を構成する図柄(「バナナ」、「メロン」)は、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ2については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0124】
図6に示すように、通常遊技状態においてリプレイ2に入賞した後は、通常遊技状態よりもリプレイ当選確率が向上したRT3に制御される。このため、リプレイ2は、以下では昇格リプともいう。後述するように、リプレイ2は、RT1やRT2における内部抽選においては当選しないように設定されており、通常遊技状態における内部抽選において所定確率で当選するように設定されている。このため、RT1やRT2においてはリプレイ2に入賞しない。その結果、RT1やRT2から直接RT3に制御されないように構成されており、通常遊技状態に制御された後、リプレイ2に入賞することにより、RT3に制御されるように構成されている。
【0125】
なお、通常遊技状態以外の遊技状態(たとえば、RT1やRT2)であるときにも、所定確率(極めて低い確率、1%)でリプレイ2について抽選して当選し得るようにし、通常遊技状態以外の遊技状態からもRT3に制御されるように構成してもよい。
【0126】
リプレイ3は、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-白7」あるいは「バナナ-バナナ-イチゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ3を構成する左図柄および中図柄(「バナナ」)は、左リール2Lおよび中リール2C各々において5コマ以内に配置されており、リプレイ3を構成する右図柄(「白7」および「イチゴ」)は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ3については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0127】
図6に示すように、RT3においてリプレイ3に入賞した後は、RT3よりもリプレイ当選確率がさらに向上したRT4に制御される。このため、リプレイ3は、以下では突入リプともいう。後述するように、リプレイ3は、通常遊技状態、RT1、およびRT2における内部抽選においては当選しないように設定されており、RT3における内部抽選において所定確率で当選するように設定されている。このため、通常遊技状態、RT1、およびRT2においてはリプレイ3に入賞しない。その結果、通常遊技状態、RT1、およびRT2から直接RT4に制御されないように構成されており、RT3に制御された後、リプレイ3に入賞することにより、RT4に制御されるように構成されている。
【0128】
なお、RT3以外の遊技状態(たとえば、通常遊技状態、RT1、およびRT2)であるときにも、所定確率(極めて低い確率、1%)でリプレイ3について抽選して当選し得るようにし、RT3以外の遊技状態からも有利RTに制御されるように構成してもよい。
【0129】
RT4へ一旦制御されると、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選しない限り、50ゲーム消化するまでの間、当該RT4への制御が維持される。
【0130】
リプレイ4は、入賞ラインのいずれかに「メロン-イチゴ-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ4を構成する図柄(「メロン」「イチゴ」)は、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ4については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。図6に示すように、RT3においてリプレイ4に入賞したときには、通常遊技状態に制御される。このため、リプレイ4は、以下では転落リプともいう。
【0131】
リプレイ5は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ6は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-白7」あるいは「黒BAR-黒BAR-イチゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ7は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-白7-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ8は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-バナナ-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ9は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ10は、入賞ラインのいずれかに「白7-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ11は、入賞ラインのいずれかに「白7-白7-星」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0132】
なお、リプレイ5は、黒BARの3つ揃いであるため、リプレイ5をBARリプともいう。また、リプレイ6?11は、各々、黒BARが2つ揃い、すなわち黒BARがテンパイ状態となるため、テンパイリプa?テンパイリプfともいう。
【0133】
リプレイ5?11各々を構成する図柄は、少なくとも1以上のリールにおいて、5コマ以内に配置されていない図柄を含む。このため、内部抽選においてリプレイ5?11のうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L?8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞しない。
【0134】
しかし、リプレイ5?11は、各々、他のリプレイと同時に当選するため、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず、当選しているいずれかのリプレイを構成する図柄を入賞ラインに引き込むことができる。このため、リプレイ5?11は、原則として、当選しても入賞させることができない場合も生じるが、いずれかのリプレイを入賞させることができる役といえる。
【0135】
次に、図5(b)を参照して、特殊出目について説明する。特殊出目は、「メロン-イチゴ-バナナ」である。本実施の形態において特殊出目を入賞ラインL1?L4のいずれかに停止させるリール制御は、いずれの遊技状態においても、SBに当選しているときであってSBを構成する図柄を入賞ライン上に引込むことができず、当該SBを取りこぼすときに行なわれる。
【0136】
図6に示すように、RT1?RT3において特殊出目が停止した後は、通常遊技状態に制御される。RT4において特殊出目が停止されたとしても、通常遊技状態に制御されない。また、通常遊技状態において特殊出目が停止されたとしても、当該通常遊技状態への制御が維持される。
【0137】
[抽選対象役の組合せ]
次に、図7、図8を参照して、内部抽選において抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せおよび判定値数について説明する。図7、図8は、一般遊技状態での内部抽選における抽選対象役を示しているが、ボーナスにおいても抽選対象役の種類と判定値数が異なるだけで、後述する内部抽選は同様の手法で行われる。
【0138】
図7、図8においては、各々、左2列により、“抽選対象役の名称”およびその名称に対応する“抽選対象役の組合せ”が示され、左3列目から、“遊技状態”が示されている。抽選対象役と遊技状態とが交差する欄の数値は、当該抽選対象役が当該遊技状態であるときに内部抽選において読み出されること、および当該抽選対象役の内部抽選で用いる判定値数を示す。図7、図8では、判定値数として、たとえば設定値1であるときの判定値数を示すが、設定値2?6であるときの判定値数も特定可能にROM41bに格納されている。また、抽選対象役と遊技状態とが交差する欄の×印は、当該抽選対象役が当該遊技状態であるときの内部抽選において読み出されないあるいは読み出されたとしても当選しないことを示している。
【0139】
なお、判定値数の分母は、内部抽選用の乱数(0?65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、たとえば、判定値数として「444」が設定されている抽選対象役(図7の通常遊技状態などにおけるイチゴ)の当選確率は、444/65536となる。
【0140】
また、スロットマシン1においては、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読出されて、重複して当選し得る。以下では、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。
【0141】
図7は、一般遊技状態における特別役・小役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【0142】
遊技状態が、通常遊技状態およびRT1?RT4のうちいずれかであるときには、イチゴ、押し順メロン1、押し順メロン2、押し順メロン3、押し順メロン4、押し順メロン5、12枚メロン、ブドウ、1枚役1、1枚役2、1枚役3、1枚役4、SB、RB、BB3、BB2、BB1が内部抽選の対象役となり内部抽選の対象役として順に読出される。なお、前述したように、RT2およびRT4各々は、概念的にシングルボーナスを含む。図中の括弧内の数値は、RT2あるいはRT4と異なる判定値数が設定されているシングルボーナス中の判定値数を示す。
【0143】
イチゴとは、イチゴを読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン1とは、メロン1+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン2とは、メロン1+メロン3を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン3とは、メロン1+メロン2を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン4とは、メロン1を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン5とは、メロン1+メロン3+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。12枚メロンとは、メロン1+ブドウ+イチゴを読み出す抽選対象役をいう。ブドウとは、ブドウを読み出す抽選対象役をいう。1枚役1とは、1枚役を読み出す抽選対象役をいう。1枚役2とは、1枚役+RBを読み出す抽選対象役をいう。1枚役3とは、1枚役+BB3を読み出す抽選対象役をいう。1枚役4とは、1枚役+BB2を読み出す抽選対象役をいう。
【0144】
遊技状態が内部中RTであるときには、イチゴ、押し順メロン1、押し順メロン2、押し順メロン3、押し順メロン4、押し順メロン5、12枚メロン、ブドウ、1枚役1が内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0145】
図8は、一般遊技状態における再遊技役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【0146】
遊技状態が、通常遊技状態であるときには、通常リプレイ、押し順昇格リプレイ1、押し順昇格リプレイ2、押し順昇格リプレイ3、押し順昇格リプレイ4、押し順昇格リプレイ5、押し順昇格リプレイ6、BARテンパイリプレイ1、BARテンパイリプレイ2、BARテンパイリプレイ3、BARテンパイリプレイ4、BARリプレイが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0147】
通常リプレイとは、通常リプを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ1とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ2とは、通常リプ+昇格リプ+突入リプ+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ3とは、通常リプ+昇格リプ+転落リプ+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ4とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプa+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ5とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプb+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ6とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプc+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。
【0148】
BARテンパイリプレイ1とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ2とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+RBを読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ3とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+BB3を読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ4とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+BB2を読み出す抽選対象役をいう。BARリプレイとは、通常リプ+BARリプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+テンパイリプfを読み出す抽選対象役をいう。
【0149】
遊技状態が、RT1、RT2、RT4、および内部中RTのいずれかであるときには、通常リプレイ、BARテンパイリプレイ1、BARテンパイリプレイ2、BARテンパイリプレイ3、BARテンパイリプレイ4、BARリプレイが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。なお、前述したように、RT2およびRT4各々は、概念的にシングルボーナスを含む。
【0150】
遊技状態がRT3であるときには、通常リプレイ、押し順維持リプレイ1、押し順維持リプレイ2、押し順維持リプレイ3、押し順維持リプレイ4、押し順維持リプレイ5、押し順突入リプレイ1、押し順突入リプレイ2、押し順突入リプレイ3、押し順突入リプレイ4、BARテンパイリプレイ1、BARテンパイリプレイ2、BARテンパイリプレイ3、BARテンパイリプレイ4、BARリプレイが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0151】
押し順維持リプレイ1とは、昇格リプ+転落リプ+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順維持リプレイ2とは、通常リプ+昇格リプ+転落リプ+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順維持リプレイ3とは、昇格リプ+突入リプ+転落リプ+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順維持リプレイ4とは、昇格リプ+転落リプ+テンパイリプa+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順維持リプレイ5とは、昇格リプ+転落リプ+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。
【0152】
押し順突入リプレイ1とは、突入リプ+転落リプを読み出す抽選対象役をいう。押し順突入リプレイ2とは、突入リプ+転落リプ+テンパイリプbを読み出す抽選対象役をいう。押し順突入リプレイ3とは、突入リプ+転落リプ+テンパイリプcを読み出す抽選対象役をいう。押し順突入リプレイ4とは、突入リプ+転落リプ+テンパイリプaを読み出す抽選対象役をいう。
【0153】
[内部抽選]
次に、内部抽選について詳細に説明する。内部抽選は、上記した各入賞役の発生を許容するか否か、すなわち入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数回路42から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)を取得する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各入賞役の判定値数に応じて行なわれる。
【0154】
本実施の形態においては、各役および役の組合せの判定値数から、小役や再遊技役などの一般役、特別役がそれぞれ単独で当選する判定値の範囲と、一般役のいずれかと特別役とが重複して当選する判定値の範囲と、が特定されるようになっており、内部抽選における当選は、排他的なものではなく、1ゲームにおいて一般役と特別役とが同時に当選することがあり得る。ただし、種類の異なる特別役については、重複して当選する判定値の範囲が特定されることがなく、種類の異なる特別役については、排他的に抽選を行なうものである。
【0155】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役または役の組合せおよび現在の遊技状態について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役または役の組合せに当選したものと判定される。
【0156】
ボーナスの内部抽選において取得される判定値数は、設定値が大きいほど大きくなるように設定されている。これにより、設定値が大きいほど、内部抽選において特別役に当選する確率を高くすることができる。
【0157】
一般遊技状態においては、図7に示すように、押し順メロン1?押し順メロン5各々が「2305」に設定されており、押し順メロン1?押し順メロン5のいずれかが2305×5/65536=11525/65536の確率で当選するように、他の抽選対象役と比較して高い確率で当選するように判定値数が設定されている。
【0158】
シングルボーナス中においては、たとえば、括弧内の数値に示すように、押し順メロン1の判定値数が通常遊技状態よりも1だけ大きい「2306」に設定されている。このように、SB入賞させてシングルボーナスに制御させても小役の当選確率が格段に向上するものではないのに対し、通常遊技状態、RT1、RT3のいずれかにおいてSB入賞したときにはRT2に制御される。このため、SBを入賞させるメリットが小さく、むしろ取りこぼして昇格リプ入賞によりRT3へ昇格し得る通常遊技状態に制御させる方が、遊技者にとって有利なゲーム進行であるといえる。なお、シングルボーナス中の判定値数は、図7で示すものに限るものではなく、少なくとも一の小役の当選確率が通常遊技状態であるときよりも向上するように設定されているものであればよい。
【0159】
次に、図8の再遊技役の判定値数に着目して、遊技状態毎に再遊技役の当選確率を比較する。通常遊技状態においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「2734」が、押し順昇格リプレイ1?6のいずれかが読み出されるときの判定値数として「1020」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、通常遊技状態においていずれかのリプレイに当選する確率は、8980/65536となる。また、通常遊技状態からRT3に昇格させる可能性のある押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選する確率は、1020×6/65536=6120/65536となる。
【0160】
RT1およびRT2においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「8856」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT1あるいはRT2においていずれかのリプレイに当選する確率は、8982/65536となる。なお、RT1およびRT2においては、RT3やRT4に移行させるための昇格リプや突入リプに当選しないように設定されている。
【0161】
RT3においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「715」が、押し順維持リプレイ1?5のいずれかが読み出されるときの判定値数として「6586」が、押し順突入リプレイ1?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「3500」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT3においていずれかのリプレイに当選する確率は、47771/65536となる。また、RT3から通常遊技状態に転落させる可能性のある押し順維持リプレイ1?5および押し順突入リプレイ1?4のいずれかに当選する確率は、(6586×5)+(3500×4)/65536=46930/65536となる。また、RT3からRT4に突入させる可能性のある押し順突入リプレイ1?4のいずれかに当選する確率は、3500×4/65536=14000/65536となる。
【0162】
RT4においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「47836」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT4においていずれかのリプレイに当選する確率は、47962/65536となる。
【0163】
内部中RTにおいては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「17000」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT4においていずれかのリプレイに当選する確率は、17126/65536となる。
【0164】
これらより、本実施の形態においては、いずれかのリプレイに当選する確率が、RT3、RT4、および内部中RTであるときに、通常遊技状態、RT1?RT2であるときよりも高くなるように設定されている。このため、RT3、RT4、および内部中RTは、通常遊技状態、RT1?RT2であるときよりも、リプレイの当選確率が高い点で、遊技者にとって有利な状態であるといえる。
【0165】
また、RT3では、リプレイの当選確率が高くなるものの転落リプの当選確率も高くなるため、後述するATに制御されていないときには当該RT3を維持させること、および突入リプを入賞させてRT4に制御させることが困難となるように構成されている。一方、RT4は、50ゲーム消化するまで当該RT4への制御が維持される。このため、RT4は、RT3よりも有利な遊技状態であるといえる。
【0166】
また、内部中RTであるときには、RT4などであるときよりも後述するようにリール制御においてボーナスよりも優先的に引き込まれるリプレイの当選確率が低くなるように設定されているため、RT4であるときと同じリプレイの当選確率が設定されている場合と比較して、当選しているボーナスを入賞させることができる割合を高めることができる。
【0167】
いずれかの役または役の組合せの当選が判定された場合には、当選が判定された役または役の組合せに対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。
【0168】
詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、特別役+一般役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。なお、いずれの役および役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
【0169】
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メインCPU41aは、リールの回転が開始したときおよび、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
【0170】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0171】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた引込コマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
【0172】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0173】
停止制御テーブルは、停止操作が行なわれたタイミング別の引込コマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0?167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0?20(図3参照)の領域番号が割り当てられている。
【0174】
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0?20の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から21番図柄に対して、それぞれ0?20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の引込コマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の引込コマ数を取得できるようになっている。
【0175】
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
【0176】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0177】
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0178】
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。
【0179】
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する引込コマ数を取得する。そして、取得した引込コマ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。
【0180】
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した引込コマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から引込コマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0181】
本実施の形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。
【0182】
すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行なわれることとなる。
【0183】
また、本実施の形態では、引込コマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0184】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0185】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役(イチゴなど)に当選した場合や、特別役が同時当選役と同時に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0186】
すなわち、このような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。その結果、小役を優先的に入賞させた後に特別役を入賞させることにより、小役よりも特別役を優先的に入賞させるものと比較して、小役を入賞させてメダルを獲得した後に特別役を入賞させることができるため、特別役入賞前に遊技者のメダルを極力増加させるようにすることができ、遊技者にとって有利なリール制御が行なわれる。なお、特別役と小役とを同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、小役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
【0187】
次に、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場や、特別役と再遊技役が同時に当選している場合などでは、当選した再遊技役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0188】
複数種類の再遊技役が同時に当選している場合(たとえば、押し順昇格リプレイ1など)には、図9?図11に示すように、同時当選した再遊技役の種類および停止操作順に応じて定められた再遊技役を入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0189】
なお、本実施の形態では、回転を開始した3つの左リール2L?右リール2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。また、本実施の形態において、順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作手順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作手順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作手順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作手順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作手順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作手順をいう。
【0190】
図9は、押し順昇格リプレイ1?6のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0191】
たとえば、押し順昇格リプレイ1が当選しているときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順押し以外の操作手順で操作された場合には、通常リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0192】
また、押し順昇格リプレイ2が当選しているときに、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順挟み押し以外の操作手順で操作された場合には、通常リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0193】
押し順昇格リプレイ3?6のいずれかが当選しているときにも、同様に、当選している押し順昇格リプレイの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、通常リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0194】
このように、昇格リプを入賞させてRT3に昇格させるための操作手順として、当選している押し順昇格リプレイの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、通常遊技状態において押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選したとしても、当選している押し順昇格リプレイの種類を特定することができない限り、1/6の確率でしか昇格リプを入賞させてRT3に制御させないようにすることができ、5/6の確率で通常リプを入賞させて通常遊技状態が維持されるように構成されている。これにより、後述するATに制御されていないときには、昇格リプに入賞し難くして極力RT3に制御されないようにしつつ、ATに制御されているときには、昇格リプに入賞させてRT3に制御されるようにすることができる。
【0195】
図10は、押し順維持リプレイ1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0196】
たとえば、押し順維持リプレイ1が当選しているときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0197】
また、押し順維持リプレイ2が当選しているときに、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順挟み押し以外となる操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0198】
押し順維持リプレイ3?5のいずれかが当選しているときにも、同様に、当選している押し順維持リプレイの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0199】
このように、昇格リプを入賞させてRT3を維持させるための操作手順、および転落リプを入賞させて通常遊技状態に転落させるための操作手順として、当選している押し順維持リプレイの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、RT3において、押し順維持リプレイのいずれかに当選したときには、当選している押し順維持リプレイの種類を特定することができない限り、1/5の確率でしか昇格リプを入賞させて当該RT3を維持できず、4/5の確率で転落リプを入賞させて通常遊技状態に転落するように構成されている。これにより、後述するATに制御されていないときには、運良くRT3に制御されていても転落リプに入賞し易くして極力当該RT3が維持されないように制御しつつ、ATに制御されているときには、昇格リプに入賞させて当該RT3を意図的に維持させることができるように制御することができる。
【0200】
図11は、押し順突入リプレイ1?4のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0201】
たとえば、押し順突入リプレイ1が当選しているときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち突入リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0202】
また、押し順突入リプレイ2が当選しているときに、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち突入リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順挟み押し以外となる操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0203】
押し順突入リプレイ3または4が当選しているときにも、同様に、当選している押し順突入リプレイの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、突入リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、転落リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0204】
このように、突入リプを入賞させてRT4に突入させるための操作手順、および転落リプを入賞させて通常遊技状態に転落させるための操作手順として、当選している押し順突入リプレイの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、RT3において、押し順突入リプレイのいずれかに当選したときには、当選している押し順突入リプレイの種類を特定することができない限り、1/4の確率でしか突入リプを入賞させてRT4に突入させることができず、3/4の確率で転落リプを入賞させて通常遊技状態に転落するように構成されている。これにより、後述するATに制御されていないときには、突入リプに入賞し難くして極力RT4に制御されないようにし、運良くRT3に制御されていても転落リプに入賞し易くして極力当該RT3が維持されないように制御しつつ、ATに制御されているときには、突入リプに入賞させてRT4に制御されるようにすることができる。
【0205】
また、BARテンパイリプレイ1?4のうちいずれかに当選したときには、当選しているいずれかのリプレイを入賞させつつ、入賞ラインL1?L4およびリール2Lの下段、リール2Cの下段、リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄に跨る下段ラインのいずれかに「黒BAR」を2つ揃わせてテンパイさせるリール制御を行なう。
【0206】
また、BARリプレイに当選したときには、引込可能コマ数の範囲内で、「黒BAR」を入賞ラインL1?L4のいずれかに停止させてBARリプを入賞させるリール制御を行なうとともに、BARリプを入賞させることができない場合には、当選しているいずれかのリプレイを入賞させつつ、BARテンパイリプレイ1?4のうちいずれかに当選したときと同様に、入賞ラインL1?L4および下段ラインのいずれかに「黒BAR」を2つ揃わせてテンパイさせるリール制御を行なう。
【0207】
次に、複数種類の小役が同時に当選している場合(イチゴ+1枚役など)には、払出枚数が多い小役が払出枚数の少ない小役よりも優先的に入賞ラインに引き込むリール制御が行なわれる。
【0208】
複数種類の小役が同時に当選している場合として、たとえば押し順メロン1?5のいずれかに当選している場合には、図12に示すように、当選している押し順メロンの種類および操作手順に応じて、異なるリール制御が行なわれる。
【0209】
図12は、押し順メロン1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0210】
たとえば、押し順メロン1が当選したときには、順押しとなる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、当該停止操作に対応して停止させるリールの「メロン」を上段に停止させる制御を行なう。すなわち、押し順メロン1が当選したときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL1、L3、L4の3ラインに停止するため、メダルが12枚払い出されるのに対し、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止するため、メダルが4枚払い出されるに留まる。また、押し順メロン1が当選したときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、左リール2Lおよび右リール2Rの「メロン」を入賞ラインL1上に停止させるのに対し、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、対応するリールの「メロン」を上段に停止させるリール制御が行なわれる。
【0211】
また、押し順メロン2が当選したときには、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、順挟み押し以外となる操作手順で操作された場合には、当該停止操作に対応して停止させるリールの「メロン」を上段に停止させる制御を行なう。すなわち、押し順メロン2が当選したときに、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL1、L3、L4の3ラインに停止するため、メダルが12枚払い出されるのに対し、順挟み押し以外となる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止するため、メダルが4枚払い出されるに留まる。また、押し順メロン2が当選したときに、順挟み押しとなる操作手順で操作された場合には、左リール2Lおよび右リール2Rの「メロン」を入賞ラインL1上に停止させるのに対し、順挟み押し以外となる操作手順で操作された場合には、対応するリールの「メロン」を上段に停止させるリール制御が行なわれる。
【0212】
押し順メロン3?5のいずれかが当選しているときにも、同様に、当選している押し順メロンの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させる制御を行ないメダルを12枚払い出し、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止させる制御を行ないメダルを4枚払い出すとともに、左リール2Lおよび右リール2Rのうち当該停止操作に対応して停止させるリールの「メロン」を上段に停止させる制御を行なう。
【0213】
このように、入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させるための操作手順として、当選している押し順メロンの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、押し順メロン1?5のいずれかに当選したときには、当選している押し順メロンの種類を特定することができない限り、1/5の確率でしか入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させることができず、4/5の確率で中リール2Cの「メロン」を入賞ラインL2にのみ停止させてメダルが4枚しか払い出されないように構成されている。これにより、押し順メロン1?5のいずれかに当選したときに、後述するATに制御されていないときには極力4枚しかメダルが払い出されないようにし、ATに制御されているときには意図的に入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させることを可能にし、12枚メダルが払い出されるように制御することができる。
【0214】
また、12枚メロンに当選したときには、操作手順に関わらず、中リール2Cの「メロン」を入賞ラインL1、L3、L4の3ラインに停止させるとともに、入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、メダルを12枚払い出させるリール制御を行なう。
【0215】
[メイン制御部41による処理]
次に、本実施の形態にかかるスロットマシン1におけるメイン制御部41により実行される処理について説明する。スロットマシン1においては、ゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることで遊技が進行されるものであるが、そのためには、まず、遊技の進行が可能な状態となっていなければならない。
【0216】
遊技の進行が可能な状態であるためには、たとえば、メインCPU41aを含むメイン制御部41が起動された状態で正常範囲の設定値が設定値ワークに格納されており、RAM41cに格納されたデータに異常がないことが条件となる。そして、遊技の進行が可能な状態となると、スロットマシン1においてゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることとなる。以下、スロットマシン1における各ゲームについて説明する。
【0217】
なお、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでをいうものであるが、ゲームを行なう際には、スタートスイッチ7の操作前の賭数の設定や、リール2L、2C、2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行なわれるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。
【0218】
ゲーム制御処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行なった後、またはリセット/設定スイッチ38の操作により設定変更を行なった直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、MAXBETスイッチ6を操作することにより、あるいはメダル投入口4からメダルを投入することにより賭数を設定し、スタートスイッチ7を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行なう。
【0219】
前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイゲーム中フラグにより前のゲームと同じ賭数が自動設定される(この段階でリプレイゲーム中フラグが消去される)。BET処理では、賭数が設定される毎に、賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なBETコマンドが演出制御基板90に送信される。
【0220】
BET処理により賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定するといった内部抽選を行なう内部抽選処理を行なう。内部抽選処理では、抽選結果に応じてRAM41cに設定されている当選フラグの設定状況を示す内部当選コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0221】
また、内部抽選処理では、BB1?BB3およびRBのいずれかに当選したときに、内部中RTに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に内部中RTフラグの値を設定など)が行なわれる。
【0222】
内部抽選処理が終了すると、次にリール回転処理が行なわれる。リール回転処理では、前回のゲームでのリール2L、2C、2Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リールモータ32L、32C、32Rを駆動させ、左、中、右の全てのリール2L、2C、2Rを回転開始させる。
【0223】
リール2L、2C、2Rの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ33SL、33SC、33SRにより基準位置を検出すること)が成立すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作有効とする。その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者によって操作されることにより、操作されたストップスイッチに対応するリールモータ32L、32C、32Rを駆動停止させ、リール2L、2C、2Rの回転を停止させる。本実施の形態におけるスロットマシン1は、ストップスイッチを操作することにより対応するリールの回転を停止させる例について説明するが、たとえば、リール回転開始から所定時間経過したときにストップスイッチが操作されたか否かに関わらず、回転中のリールを強制的に停止させるようにしてもよい。
【0224】
リール回転処理では、リール2L、2C、2Rの回転開始時にリールの回転の開始を通知するリール回転コマンドが演出制御基板90に送信され、リール2L、2C、2Rのうちいずれかの回転が停止する毎に、当該停止したリールがいずれであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号を特定可能なリール停止コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0225】
リール2L、2C、2Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上に図5(a)で示したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれる。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板40において発生した入賞に応じた各種の処理が行なわれる。
【0226】
入賞判定処理においては、入賞判定が行なわれた後に、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能な入賞判定コマンドが演出制御基板90に送られる。なお、入賞判定処理において、BB1?BB3およびRBのうちいずれかに入賞したと判断されたときには、対応するボーナスに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に対応するボーナスの値を設定など)が行なわれる。
【0227】
また、RT1、通常遊技状態、およびRT3のいずれかにおける入賞判定処理において、SBに入賞したと判断されたときには、RT2に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT2の値を設定など)が行なわれる。また、通常遊技状態における入賞判定処理において、昇格リプに入賞したと判断されたときには、RT3に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT3の値を設定など)が行なわれる。また、RT3における入賞判定処理において、突入リプに入賞したと判断されたときには、RT4に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT4の値を設定など)が行なわれる。また、RT3における入賞判定処理において、転落リプに入賞したと判断されたときには、通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0228】
また、RT1、RT2、およびRT3においていずれの入賞も発生しておらずかつ特殊出目が入賞ラインL1?L4のいずれかに停止していると判断されたときには、通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0229】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行なわれる。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出しまたはクレジット加算させる。ただし、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ34bを駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払出口9から払い出させる。
【0230】
また、払出処理では、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに、メダルの払出開始を通知する払出開始コマンドが演出制御基板90に送信され、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに、メダルの払出終了を通知する払出終了コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0231】
また、払出処理では、入賞に関わらない各種の処理として、ボーナス中においてはボーナスに応じたボーナス終了条件が成立したか否かを判定するためのボーナス終了判定処理が行なわれる。
【0232】
ボーナス終了判定処理において、ボーナス終了条件が成立したと判定されたときには、RT1に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT1フラグの値を設定など)が行なわれる。
【0233】
また、RT4中における払出処理では、当該RT4中において消化したゲーム数(SB入賞してシングルボーナスに制御されたゲームを含む)を特定可能に計数し、消化したゲーム数が50ゲームに到達したか否かを判定し、50ゲームに到達したと判定したときに通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0234】
また、払出処理では、次のゲームの遊技状態(RT1?RT4のいずれであるか、通常遊技状態であるか、内部中RTであるか、BBであるか、非BB中のRBであるか、さらにはATに制御されているか否か、後述する潜伏期間の残りゲーム数など)を特定可能な遊技状態コマンドが演出制御基板90に送信される。後述する遅延制御が行われている間は、ATに制御されていない旨を示す遊技状態コマンドが送られることになる。
【0235】
また、払出処理では、持ち越しのない当選フラグ(小役、再遊技役、SBの当選フラグ)の消去なども行なわれ、特別ワークに格納されるBBやRBのボーナスの当選フラグが消去されない。これにより、ボーナスの当選フラグは、当選しているボーナスに入賞するまで次のゲームに持ち越される。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0236】
また、メイン制御部41は、これらの基本的なゲームの繰り返しによる遊技の進行の処理に加えて、ATの遊技状態の制御に関する処理を行う。ATは、一般遊技状態中のATに制御されていないゲームでAT権利があると判定されると、ATに制御されるまでの潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過したときに制御される。ATは、一定ゲーム数(例えば、50ゲーム)を消化することによって終了させられるが、ATの終了直後のゲームでもAT権利があると判定されると、再び潜伏期間が決定され、この潜伏期間を経過すると新たなATに制御される。
【0237】
ここで、AT権利は、ATに制御されていない状態で押し順メロン1?5に当選したゲームのうちで入賞が継続しているゲーム数が3に到達したときと、ブドウに入賞したときに行われるAT抽選に当選したときに付与されるものとなっている。また、潜伏期間が終了した時点で押し順メロン1?5に当選したゲームのうちで入賞が継続しているゲーム数が1または2となっていると、押し順メロン1?5に当選して取りこぼすまで、または押し順メロンに当選したゲームのうちで入賞が継続したゲーム数が3に到達するまで、ATの発生を遅らせる遅延制御が行われる。
【0238】
まず、潜伏期間の決定について説明する。図13は、潜伏期間決定処理を示すフローチャートである。まず、SA01においては、最大決定時カウンタの値が0であるか否か、すなわち最大決定されていない状態あるいは最大決定に対応して設定される予め定められた回数(たとえば7)分のAT権利数をすでに消化完了した状態であるか否か判定する。
【0239】
SA01において、最大決定カウンタの値が0であると判定されたとき、すなわち最大決定されていない状態あるいは最大決定に対応して設定される回数分のAT権利数をすでに消化完了した状態であると判定されたときには、SA02において、短潜伏連続カウンタの値が4以下であるか否かが判定される。
【0240】
短潜伏連続カウンタとは、潜伏期間として、比較的短い期間(たとえば5?20ゲーム)が連続して設定された回数を特定するためのカウンタであって、RAM91cの所定領域に格納される。短潜伏連続カウンタは、当該潜伏期間決定処理において、比較的短い期間が決定されたときに1加算され、比較的長い期間(たとえば45?50ゲーム)が決定されたときや、AT権利数が0となりATでない旨を示すATフラグとなり一連のATが終了したときに、リセット(0に戻す)される。
【0241】
SA02において短潜伏連続カウンタの値が4以下であると判定されたとき、すなわち一連のATにおける潜伏期間のうち直近の潜伏期間から過去に遡り連続して比較的短い期間となった回数が4以下であり、比較的短い期間が未だ5回以上連続していないときには、SA03において比較的短い潜伏期間のみを選択し得る短潜伏用テーブルを用いて潜伏期間を設定する。なお、SA02においては、短潜伏連続カウンタの値が4以下である。
【0242】
SA04においては、比較的短い潜伏期間が設定されたために、短潜伏連続カウンタの値を1加算して潜伏期間決定処理を終了する。
【0243】
一方、SA02において短潜伏連続カウンタの値が4以下でないと判定されたとき、すなわち一連のATにおける潜伏期間のうち直近の潜伏期間から過去に遡り連続して比較的短い期間となった回数が5以上であり、比較的短い期間が5回以上連続していると判定されたときには、SA07において長い潜伏期間を高確率で選択し得る長潜伏用テーブルを用いて潜伏期間を設定する。
【0244】
また、最大決定時カウンタの値が0であるときにおいて、長潜伏用テーブルは、短潜伏連続カウンタの値が4より大きい値であるときに参照され、短潜伏用テーブルは、短潜伏連続カウンタの値が4以下であるときに参照される。このため、比較的短い期間の連続回数が5回に達しているときには、比較的短い期間の連続回数が4回以下であるときよりも高い割合で、潜伏期間として比較的長い期間が設定される。
【0245】
また、長潜伏用テーブルが参照されたときには、短潜伏用テーブルが参照されたときに比べて、決定されることが期待され得る潜伏期間を平均した平均ゲーム数が多くなるように決定される。
【0246】
SA08においては、SA07において長い潜伏期間が設定されたか否か判定する。
【0247】
SA08において長い潜伏期間が設定されたと判定されたときには、長い潜伏期間が設定されたことに伴ない、SA09において短潜伏連続カウンタの値をリセット(0に戻す)して潜伏期間決定処理を終了する。これにより、次回の潜伏期間決定処理においてはSA03において短潜伏用テーブルを用いて潜伏期間が決定される。なお、短潜伏連続カウンタの値は、ボーナス当選を契機としてリセット(0に戻す)して当該ボーナス終了後に引き継がないものであってもよく、またボーナス当選したとしても当該ボーナス終了後に引き継ぐものであってもよい。
【0248】
一方、SA08において長い潜伏期間が設定されたと判定されなかったときには、SA04に移行して短潜伏連続カウンタの値を1加算して潜伏期間決定処理を終了する。これにより、最大決定時カウンタの値が0であるときでSA02において短潜伏連続カウンタの値が4より大きい値であると判定されながら、SA07において比較的長い潜伏期間が設定されなかったときには、次回の潜伏期間決定時においても再びSA07に移行させて長潜伏用テーブルを用いて潜伏期間を決定させることができる。
【0249】
SA01において、最大決定時カウンタの値が0でないと判定されたときには、SA05において最大決定時カウンタの値を1減算する。このように、最大決定時カウンタは、AT権利1消費によってATに制御され得る状態である潜伏期間となると1減算される。なお、最大決定時カウンタの値が0に到達するまでにボーナス当選したときには、当該最大決定時カウンタの値を、リセット(0に戻す)してもよく、また当該ボーナス終了後に引き継ぐものであってもよい。
【0250】
SA06では、短潜伏連続カウンタの値が2以下であるか否か、すなわち比較的短い期間の連続回数が2回以下であるときで過去3回のいずれかの潜伏期間として比較的長い期間が決定されていたか否かが判定される。すなわち、SA02では、最大決定時カウンタの値が0であるときにおける特殊条件が成立しているか否かが判定されるのに対し、SA06では、最大決定時カウンタの値が0でないときにおける特殊条件が成立しているか否かが判定される。SA06において、短潜伏連続カウンタの値が2以下であると判定されたときにSA03以降の処理が行なわれ、短潜伏連続カウンタの値が2より大きい値であると判定されたときにSA08以降の処理が行なわれる。
【0251】
メイン制御部41は、AT管理処理を行なうことにより、潜伏期間決定処理で潜伏期間として設定されたゲーム数消化したか否かが判定される。潜伏期間であるゲーム数消化すると、ATの開始条件が再び成立可能となる。潜伏期間であるゲーム数消化したと判定された後においては、遊技状態に応じたAT対象役に当選することにより、ATの開始条件が成立する。但し、AT管理処理では、ATの開始条件が成立していても、潜伏期間が終了した時点で押し順メロン1?5に当選したゲームのうちで入賞が継続しているゲーム数が1または2となっていると、押し順メロン1?5に当選して取りこぼすまで、または押し順メロンに当選したゲームのうちで入賞が継続したゲーム数が3に到達するまで、遅延制御を行い、遅延制御が行われなくなった時点でAT対象役の当選報知が行われるものとなる。
【0252】
次に、AT権利の付与について説明する。図14は、AT権利の付与に関する処理を示すフローチャートである。メイン制御部41は、各ゲームの終了時において、このフローチャートに示す処理も実行するものとなっている。まず、メイン制御部41は、当該ゲームの遊技状態をAT(潜伏期間を含まず、遅延制御が行われている期間を含む)としていたかどうかを判定する(ステップS101)。当該ゲームの遊技状態をATとしていなかった場合には、ステップS109の処理に進む。
【0253】
当該ゲームの遊技状態をATとしていた場合には、押し順メロン1?5の何れかの当選時における入賞が継続している数を示す継続カウンタの値が0であるか否かを判定する(ステップS102)。継続カウンタの値が0であれば、当該ゲームは遅延制御が行われていたゲームではなく、AT対象役の報知が行われ得るゲームであったので、そのままステップS109の処理に進む。継続カウンタの値が0でなければ、当該ゲームはATの開始条件が成立していても遅延制御が行われて、AT対象役の報知が行われ得ないゲームであったので、ステップS103の処理に進む。
【0254】
ステップS103では、当該ゲームで押し順メロン1?5の何れかに当選していたかどうかを判定する。押し順メロン1?5の何れにも当選していなければ、そのままステップS109の処理に進む。
【0255】
押し順メロン1?5の何れかに当選していた場合には、当選していたものに対応した押し順に従って入賞を発生させることができたかどうかを判定する(ステップS104)。入賞を発生させることができなかった場合には、ステップS108の処理に進む。入賞を発生させることができていた場合には、継続カウンタの値を1だけ加算し(ステップS105)、その加算の結果により継続カウンタの値が3に達したかどうかを判定する(ステップS106)。継続カウンタの値が3に達していない場合には、そのままステップS109の処理に進む。
【0256】
継続カウンタの値が3に達した場合には、遊技者のAT権利を1増加させて(ステップS107)、ステップS108の処理に進む。ステップS108では、継続カウンタの値を0に初期化する。そして、ステップS109の処理に進む。
【0257】
ステップS109では、当該ゲームでブドウに入賞したかどうかを判定する。ブドウに入賞していなければ、そのままAT権利の付与に関する処理を終了する。ブドウに入賞していれば、当該ゲームの遊技状態がAT(潜伏期間を含まず、遅延制御が行われている期間を含む)であるか否かに応じて定められた当選確率(ATの方が非ATよりも当選確率が高い)で、AT抽選を行い(ステップS110)、これに当選したかどうかを判定する(ステップS111)。AT抽選にハズレとなった場合には、そのままAT権利の付与に関する処理を終了する。AT抽選に当選した場合には、遊技者のAT権利を1増加させて(ステップS112)、AT権利の付与に関する処理を終了する。
【0258】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板40のメイン制御部41は、RT1?RT4、内部中RT、通常遊技状態、ボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板90に送信している。これに対して、演出制御基板90のサブ制御部91は、遊技制御基板40から受信したコマンドに基づいて、各種処理を行なう。
【0259】
[サブ制御部91による処理]
次に、サブ制御部91により実行される処理について説明する。サブ制御部91は、まず、所定の演出初期設定処理を実行し、演出制御基板90における制御状態を電力供給停止時の状態に復旧させるための演出制御復旧処理を実行した後、演出側乱数値更新処理を繰り返して実行する。
【0260】
また、サブ制御部91では、所定の時間間隔(たとえば、2ミリ秒)で演出の進行を制御するための割り込みが発生し、リセット/割込コントローラによりRAM91cのタイマ割込フラグがON状態にセットされ、演出制御割り込み処理が実行される。演出制御割り込み処理では、内部レジスタの内容を退避し、演出バックアップ処理を実行して、サブ制御部91が再起動された場合に再起動の以前における制御状態を復旧させるために必要なデータのバックアップが行なわれる。
【0261】
また、遊技制御基板40から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行し、所定の演出制御処理を実行する。この演出制御処理により、スロットマシン1における遊技の進行状況に応じて、液晶表示器51に画像を表示させるとともに、スピーカ53、54から音を発生させるなどによる各種の遊技演出が行なわれる。遊技演出を行なうための画像の要素データや動画像データは、所定のROMに記憶されている。
【0262】
遊技演出を行なうために、サブ制御部91のRAM91cには、各種カウンタと、各種フラグを設定する領域と、遊技状態コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、および内部当選コマンドに基づいて、各役の当選状況、リール2L、2C、2Rに導出された表示結果の組合せ、入賞の発生の有無を示す情報、遊技制御基板40の側で進行しているゲームにおいて適用される遊技状態を保存する領域(当選状況および遊技状態については、2回分)もRAM91cに設けられている。
【0263】
また、演出制御基板90においては、リール停止コマンドに基づいて可変表示装置2の表示結果を判断するための停止図柄テーブルがRAM91cに設けられている。もっとも、リール停止コマンドは、停止したリールの種類と中段に停止した図柄の番号しか情報として含んでいないので、これだけではどのような図柄が停止しているかどうかが判断できない。このため、ROM91bには、リール2L、2C、2Rに配置された全ての図柄を示すテーブルが予め記憶されており、このテーブルを参照して停止図柄テーブルにリール2L、2C、2Rに停止されている図柄が登録される。サブ制御部91は、停止図柄テーブルの登録情報に基づき、演出を行なう。
【0264】
また、演出制御基板90の側にて乱数回路(図示略)等によりカウントされる各種の乱数値が更新され、その後、退避したレジスタの内容を復帰させてから、演出制御割り込み処理を終了する。
【0265】
演出制御割り込み処理において実行される演出制御処理では、サブ制御部91により、遊技状態等に応じて遊技演出やAT対象役の当選報知を実行するための遊技演出実行処理が行なわれる。遊技状態に応じたAT対象役とは、通常遊技状態であるときには昇格リプを含む押し順昇格リプレイ1?6をいい、RT3であるときには突入リプあるいは転落リプを含む押し順維持リプレイ1?5、および押し順突入リプレイ1?4をいい、RT4であるときには押し順メロン1?5をいう。
【0266】
また、潜伏期間が残り3ゲーム以下となったときには、潜伏期間が終了するまで、AT煽り演出を行い、AT煽り演出が開始された後の3ゲーム目を終了して(潜伏期間を終了して)から次のゲームが開始される(ATの開始条件が成立する)までの間で、AT報知を行うものとなっている。但し、継続カウンタの値が0でなく遅延制御が行われる場合は、継続カウンタの値が0とされるまで(すなわち、押し順メロン1?5の何れかに入賞するか取りこぼすまで)、非AT報知を継続的に行い、継続カウンタの値が0となったゲームの終了から次のゲーム(AT対象役の報知が行われ得るゲーム)が開始されるまでの間で、AT報知を行うものとなっている。
【0267】
なお、AT煽り演出は、ATに制御されず、潜伏期間ともなっていないときにも極低い確率で開始されるものとなっているが、この場合は、AT煽り演出が開始された後の3ゲーム目を終了してから次のゲームが開始されるまでの間で、非AT報知を行うものとなっている。
【0268】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技の進行を、具体的な例に基づいて説明する。図15、図16は、この実施の形態における遊技の進行例を示すタイミングチャートであり、図15では、ATの開始に関して遅延制御が行われない例を、図16では、ATの開始に関して遅延制御が行われる例を示す。また、図15、図16のタイミングチャートに示す最初のゲームである第0ゲーム(G0)は、ボーナスにもATにも制御されていないゲームであり、このゲームが開始された時点でのAT権利数は0であるものとする。
【0269】
図15の例において、第0ゲームの終了時点でブドウに入賞し、このときに行われたAT抽選に当選したものとすると、AT権利の数が1となる。次の第1ゲーム(G1)が開始されるときには、AT権利が1となっているので、このAT権利を用いて潜伏期間が決定され(10ゲームと決定されたものとする)、これによってAT権利が消費されてAT権利の数が0とされる。第1ゲーム(G1)では押し順メロン1?5の当選はなく、次の第2ゲーム(G2)で押し順メロン1?5の何れかに当選し、当選したものに応じた操作手順を遊技者が行ったことで、これに入賞させることができたものとする。これにより、継続カウンタの値が加算されて1となる。その後の第3ゲーム(G3)から第7ゲームまで、押し順メロン1?5の当選はないものとする。
【0270】
次に、第8ゲーム(G8)が開始されると、ここで潜伏期間の残りゲーム数が3となったので、AT煽り演出が開始されるものとなる。このAT煽り演出は、第10ゲームの終了まで続けられる。この第8ゲームでは、押し順メロン1?5の当選はないものとする。次の第9ゲーム(G9)で押し順メロン1?5の何れかに当選したが、当選したものに応じた操作手順を遊技者が行うことができず、これを取りこぼしてしまったものとする。これにより、継続カウンタの値が0に初期化される。
【0271】
第10ゲーム(G10)では、押し順メロン1?5の当選はないものとするが、この第10ゲームの終了時点において、継続カウンタの値は0となっている。このため、遅延制御が行われることはなく第11ゲーム(G11)からATが開始されてAT対象役の当選報知が行われ得ることとなるので、第10ゲームの終了とともにAT報知が行われる。第11ゲームが開始すると、外部出力基板1000からAT中であることを示す外部出力信号が出力されるものとなる。
【0272】
図16の例においても、第0ゲームの終了時点でブドウに入賞し、このときに行われたAT抽選に当選したものとすると、AT権利の数が1となる。次の第1ゲーム(G1)が開始されるときには、AT権利が1となっているので、このAT権利を用いて潜伏期間が決定され(10ゲームと決定されたものとする)、これによってAT権利が消費されてAT権利の数が0とされる。第1ゲーム(G1)では押し順メロン1?5の当選はなく、次の第2ゲーム(G2)で押し順メロン1?5の何れかに当選し、当選したものに応じた操作手順を遊技者が行ったことで、これに入賞させることができたものとする。これにより、継続カウンタの値が加算されて1となる。その後の第3ゲーム(G3)から第7ゲームまで、押し順メロン1?5の当選はないものとする。
【0273】
次に、第8ゲーム(G8)が開始されると、ここで潜伏期間の残りゲーム数が3となったので、AT煽り演出が開始されるものとなる。このAT煽り演出は、第10ゲームの終了まで続けられる。この第8ゲームでは、押し順メロン1?5の当選はないものとする。次の第9ゲーム(G9)で押し順メロン1?5の何れかに当選し、当選したものに応じた操作手順を遊技者が行ったことで、これに入賞させることができたものとする。これにより、継続カウンタの値が加算されて2となる。
【0274】
第10ゲーム(G10)では、押し順メロン1?5の当選はないものとするが、この第10ゲームの終了時点において、継続カウンタの値は2となっている。このため、ATの開始条件が成立していてもAT対象役の当選報知が行われない遅延制御が行われるものとなり、第10ゲームの終了から非AT報知が開始されるものとなる。第11ゲーム(G11)が開始されても、遅延制御が行われているために外部出力基板1000から出力される外部出力信号はAT中でないことを示すものとなったままである。この第11ゲームでは、押し順メロン1?5の当選はないものとする。
【0275】
次の第12ゲーム(G12)で押し順メロン1?5の何れかに当選し、当選したものに応じた操作手順を遊技者が行ったことで、これに入賞させることができたものとする。これにより、継続カウンタの値が加算されて一旦3となる。継続カウンタの値が3となったことで、新たなAT権利が付与され(このAT権利は、ATの開始条件が既に成立した状態にあるので、直ちに消費されずに持ち越される)、AT権利の数が1になるとともに、継続カウンタの値が0に初期化される。また、ここで遅延制御が終了して第13ゲーム(G13)からATが開始されてAT対象役の当選報知が行われ得ることとなるので、第13ゲームの終了とともにAT報知が行われる。第13ゲームが開始すると、外部出力基板1000からAT中であることを示す外部出力信号が出力されるものとなる。
【0276】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技状態がATに制御されているときには、AT対象役の当選報知が行われ、遊技者は、この当選報知に従ってストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すれば、有利な遊技状態への移行や不利な遊技状態への移行の回避等を図ることができる表示結果を導出させたり、押し順メロン1?5で中リール2Cの「メロン」を中段に停止させて入賞させたりすることができるので、ATは、遊技者にとって有利な遊技状態であると言える。
【0277】
一方、ATに制御されていないときには、押し順メロン1?5に当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rを如何に操作すればよいかに関する情報の報知がされないので、遊技者は、自らの勘に従ってストップスイッチ8L、8C、8Rを操作しなければならない。もっとも、ATに制御されていないときに遊技者の勘が働いて押し順メロン1?5の当選時における中段メロンでの入賞が3回続くとAT権利が付与されることとなるので、ATに制御されていないことは、必ずしも遊技者にとって不利なものとは言い切れない。
【0278】
ここで、ATに制御されていないときに押し順メロン1?5の当選時における中段メロンでの入賞が途切れていない場合には、AT権利の付与への機会が継続しているということができるが、このような状態のままATに遊技状態が制御されてしまうと、3回の継続した条件が成立し得なくなってしまい、遊技者がAT権利の付与の機会を喪失してしまう。従って、このままでは、遊技者に不信感を与えてしまうことになりかねない。
【0279】
これに対して、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、潜伏期間の終了時において継続カウンタの値が0でない場合には、押し順メロン1?5を取りこぼすか入賞の継続が3回に到達するまで、ATの発生を遅延させる遅延制御を行うものとしている。これにより、遊技者の勘に基づく押し順メロン1?5の入賞を無駄にさせずに、遊技者がAT権利を得る機会が喪失されてしまうのを防ぐことができる。また、ATへの制御がAT権利を得る機会を喪失させてしまうのを防止することができるので、ATへの制御によって遊技者に不信感を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0280】
また、AT権利は、押し順メロン1?5の継続した入賞を条件にする他、ブドウに入賞したときに行われるAT抽選に当選することによっても付与されるが、このAT抽選の当選確率は、AT中は非AT中よりも高くなっている。遅延制御が行われている間は、ATとしての当選報知はなされないものの、AT抽選の当選確率としてはAT中の高いものが適用されるものとなっており、遅延制御の実行がAT抽選の当選には影響を及ぼさないものとなっているので、遅延制御を行ったことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0281】
また、遅延制御が開始されると、その終了まで非AT中報知が継続して行われて遅延制御が行われている旨が遊技者に示されるので、遊技者の勘に基づく押し順メロン1?5の入賞を無駄にされていないことが分かり易いものとなり、遊技者に不満を感じさせるのを防ぐことができる。また、AT権利が得られるか得られないかの状態が継続中であることが遊技者に分かるようになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0282】
また、潜伏期間が終了してATが開始すると、AT報知が行われるものとなっているが、遅延制御が行われた場合には、このAT報知の実行も遅延制御が終了するまで遅延される。これにより、AT報知が行われて潜伏期間の終了が報知されているのに、AT対象役の当選報知が全く行われないということがなくなり、遅延制御が行われたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0283】
さらに、潜伏期間が終了してATが開始すると、AT中を示す外部出力信号が外部出力基板1000から外部装置に出力されることとなるが、遅延制御が行われた場合には、外部出力信号をAT中を示すものに変化させるのも遅延制御が終了するまで遅延される。これにより、外部出力信号を受けた外部装置がATに制御されていることを報知してしまっているのに、AT対象役の当選報知が全く行われないということがなくなり、遅延制御が行われたことで遊技者に不満を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0284】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0285】
上記の実施の形態では、潜伏期間が終了してATの開始条件が成立した場合でも、継続カウンタの値が1または2となっていると、すなわち潜伏期間が終了した時点で押し順メロン1?5に当選したゲームのうちで入賞が継続しているゲーム数が1または2となっていると、押し順メロン1?5に当選して取りこぼすまで、または押し順メロンに当選したゲームのうちで入賞が継続したゲーム数が3に到達するまで、ATの発生を遅らせる遅延制御が行われるものとしていた。
【0286】
もっとも、本発明は、これに限るものではなく、例えば、潜伏期間が終了した時点で押し順メロン1?5に当選したゲームのうちで入賞が継続しているゲーム数が1または2となっていたときには、その時点で入賞が継続したゲーム数が3に到達したものとみなして、AT権利の付与を行うとともに継続カウンタの値を0に初期化するものとしてもよい。或いは、潜伏期間が終了すれば、継続カウンタの値に関わらずにATを発生させてAT対象役の当選報知が行われ得るようにするが、その時点の継続カウンタの値をATの終了まで初期化せずに持ち越させるものとしてもよい。
【0287】
上記の実施の形態では、押し順メロン1?5の何れかに当選したゲームで操作手順に従った入賞が3回続くとAT権利が付与されるものとなっていた。すなわち、押し順メロン1?5に当選しなかったゲームでは、継続カウンタの値は不変とされた。押し順メロン1?5の当選を条件とせず、押し順メロン1?5の何れかに入賞したゲームで継続カウンタの値を加算するとともに、入賞しなかったゲームでは0に初期化するものとしてもよい。特に押し順メロン1?5の当選確率を比較的高いものとした場合には、この変形例の仕様が適する場合もある。また、AT権利を付与するための押し順メロン1?5の入賞の継続回数は、2以上の任意の回数とすることができ、何れの回数とした場合であっても、潜伏期間が終了した時点での継続回数が0でない限り、遅延制御を行うものとすることができる。
【0288】
上記の実施の形態では、押し順メロン1?5の何れかに当選したゲームで操作手順に従った入賞が3回続くとAT権利が付与される他、ブドウに入賞したゲームで行われるAT抽選に当選したときにもAT権利が付与されるものとなっていた。AT抽選の当選確率は、AT中(遅延制御中を含む)は非AT中よりも高くなっているので、AT権利の付与に関してAT中は非AT中よりも遊技者にとって有利であると言えるものであったが、AT権利の付与とは異なる種類の特典を遊技者に与えるものとしても、AT中(遅延制御中を含む)は非AT中よりも遊技者にとって有利なものとなるようにすることができる。
【0289】
上記の実施の形態では、潜伏期間の残り3ゲームから潜伏期間の終了までの連続した3ゲームで、AT煽り演出を行うものとしていたが、このAT煽り演出を行うゲーム数は3ゲームに限るものではなく、潜伏期間のゲーム数以下の任意のゲーム数(1ゲームとしてもよい)とすることができる。
【0290】
上記の実施の形態では、AT対象役が、通常遊技状態であるときには昇格リプを含む押し順昇格リプレイ1?6であり、RT3であるときには突入リプあるいは転落リプを含む押し順維持リプレイ1?5、および押し順突入リプレイ1?4であり、RT4であるときには押し順メロン1?5である例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、AT対象役に、イチゴやブドウを含め、当選したときにイチゴに当選した旨あるいはブドウに当選した旨を報知するようにしてもよい。
【0291】
また、通常遊技状態およびRT3であるときにおけるAT対象役に、押し順メロン1?5を含めてもよい。この場合、RT4に制御させることなく、RT3において遊技を継続させることによりAT権利を消費することなくメダルを純増させるようなゲーム進行を行なうことができないようにするために、RT3において実行されるナビ演出から想起される押し順と異なる押し順で停止操作されたことを条件として所定のペナルティを課す処理を行なうようにしてもよい。所定のペナルティとしては、ATに制御されるか否かにおいて、遊技者にとって不利益となるものであればよく、たとえば、AT抽選条件が成立したときに遊技者にとって有利度合いが低いAT抽選を行なわせるものであってもよい。たとえば、ATを強制終了させることや、AT抽選条件が成立したとしてもAT抽選を行なわないようにすることなどであってもよい。
【0292】
上記の実施の形態においては、押し順メロン1?5のいずれかが当選したときには、図12で示したように、当選した押し順メロンの種類に応じた所定の押し順となる操作手順でストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したことを条件として、中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメロン1を3ラインで入賞させ、所定の押し順と異なる操作手順で操作したことを条件として、中リール2Cの「メロン」を上段に停止させてメロン1を1つの入賞ラインに入賞させる例について説明した。しかし、所定の押し順となる操作手順で操作された場合にメロン1が入賞する入賞ライン数は、3つの入賞ラインに限らず、複数であれば、たとえば2つ、4つの入賞ラインであってもよい。また、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作された場合にメロン1が入賞する入賞ライン数は、1つの入賞ラインに限らず、所定の押し順となる操作手順で操作された場合に入賞する入賞ライン数よりも少ない入賞ライン数であれば、たとえば、複数の入賞ラインであってもよい。
【0293】
また、上記の実施の形態において、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順として、左・中・右リールを所定の順番で停止させる手順を例に説明した。しかし、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順としては、これに限らず、左・中・右リールのうち所定のリールを第2に停止させる手順であってもよく、左・中・右リールのうち所定のリールを第1に停止させる手順であってもよい。これにより、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順のバリエーションが増えるため、興趣を向上させることができる。
【0294】
上記の実施の形態では、図12において、押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときにおいて、所定の押し順となる操作手順で操作されたときと、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作されたときとで異なるリール制御が行なわれる一例を説明した。しかし、異なるリール制御としては、図12に示すものに限らず、たとえば、所定の押し順となる操作手順で操作されたときには、左リール2Lおよび右リール2R各々について、当選していない入賞役が入賞してしまう場合を除き、停止操作されたタイミングで停止させる制御(停止遅延させない制御)が行なわれ、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作されたときには、左リール2Lおよび右リール2R各々について、当選していない入賞役が入賞してしまう場合を除き、停止操作されたタイミングから停止遅延させて停止させる制御が行なわれるようにしてもよい。
【0295】
上記の実施の形態においては、潜伏期間として非AT中のゲーム数を設定し、当該ゲーム数消化することにより潜伏期間が経過したと判定して次回のAT作動を開始可能にする例について説明した。しかし、潜伏期間としては、ゲーム数に限らず、ゲームが消化されることに伴なって経過が進行する期間であればよく、以下のものであってもよい。
【0296】
第1の例としては、たとえば、潜伏期間として、メダル枚数を設定するものであってもよく、この場合、潜伏期間において設定された賭数と当該潜伏期間において払い出された払出メダル枚数とを計数する処理を行ない、賭数から払出メダル枚数を差し引いた枚数が、設定されたメダル枚数に達したことを条件として、次回のAT作動を開始可能にするように構成してもよい。
【0297】
第2の例としては、たとえば、潜伏期間として、当選回数を設定するものであってもよく、この場合、潜伏期間において特定の入賞役(たとえば、昇格リプなど)に当選した回数を計数する処理を行ない、計数された回数が、設定された当選回数に達したことを条件として、次回のAT作動を開始可能にするように構成してもよい。
【0298】
第3の例としては、たとえば、潜伏期間として、所定の遊技状態を終了した状態終了回数(たとえば、SB入賞や昇格リプ入賞させて通常遊技状態を終了させる回数)を設定するものであってもよい。
【0299】
また、潜伏期間としては、ゲーム数など一種類の条件を設定するものに限らず、ゲーム数、メダル枚数、当選回数、押し順回数、状態終了回数のうち複数種類の条件を設定し、いずれかの条件を満たしたときに、次回AT作動を開始可能にするように構成してもよい。これにより、潜伏期間の種類がバラエティー豊かになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0300】
なお、潜伏期間を決定するに際しては、それ以前の潜伏期間の長さに基づき短潜伏決定条件が成立しているときよりも成立していないときの方が高い割合で長い期間(すなわちメダル枚数である場合にはより多いメダル枚数、当選回数、押し順回数、状態終了回数である場合にはより多い回数)となるように決定するように構成すればよい。また、潜伏期間を決定するに際しては、最大決定されていないときよりも最大決定されているときの方が高い割合で長い期間(すなわちメダル枚数である場合にはより多いメダル枚数、当選回数、押し順回数、状態終了回数である場合にはより多い回数)となるように決定することにより、メダルの純増枚数が少なくなるように構成すればよい。これにより、前述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0301】
上記の実施の形態では、ATにおけるAT対象役の当選報知やAT煽りなどの演出はサブ制御部91で制御していたものの、AT権利の付与並びに潜伏期間の決定及び制御を含めたATの制御は、メイン制御部41で行うものとしていた。これに対して、AT権利の付与並びに潜伏期間の決定及び制御を含めたATの制御も、サブ制御部91が行うものとしてもよい。サブ制御部91がATの制御を行うものとした場合、遊技制御基板40に接続された外部制御基板1000と同様に、演出制御基板90に外部制御基板を接続し、ここから外部装置にAT中であるか否かを示す外部出力信号を出力することができる。
【0302】
ここで、サブ制御部91は、自らの制御に基づいてATや潜伏期間に制御されていることを特定することができ、入賞判定コマンドに基づいてブドウの入賞を特定することができるので、ブドウの入賞時に上記の実施の形態と同様のAT抽選を実行して、AT権利を付与するものとすることができる。また、サブ制御部91は、自らの制御に基づいて非ATや潜伏期間に制御されていることを特定することができ、内部当選コマンドと入賞判定コマンドに基づいて押し順メロン1?5の継続した入賞や取りこぼしを特定することができるので、非ATで押し順メロン1?5の入賞が継続している回数を判断することができる。そして、押し順メロン1?5の入賞が3回継続した場合、AT権利を付与するものとすることができる。
【0303】
また、サブ制御部91は、自らの制御に基づいてATや潜伏期間に制御されていることを特定することができ、また、遊技状態コマンドに基づいてボーナスに制御されていないことを特定することができるが、ボーナスに制御されてなく、ATや潜伏期間にも制御されていないゲームが開始されるときにAT権利があれば、上記の実施の形態における潜伏期間決定処理と同様の処理を行い、潜伏期間を決定する。決定した潜伏期間のゲーム数は、サブ制御部91が自らカウントする。
【0304】
サブ制御部91は、自ら決定した潜伏期間のゲーム数と自らカウントしている潜伏期間のゲーム数とに従って、AT煽り演出を実行させる。サブ制御部91は、潜伏期間のゲーム数が終了した時点で押し順メロン1?5の入賞が継続していなければ、AT報知を行うとともに、その次のゲームからAT対象役の報知を開始させる。一方、潜伏期間のゲーム数が終了した時点で押し順メロン1?5の入賞が2回以下で継続していれば、その時点では非AT報知を行うとともに、押し順メロン1?5の入賞が3回継続するか途切れるかするまでAT対象役の当選報知を行わず、また、押し順メロン1?5の入賞が3回継続するか途切れるかした時点でAT報知を行うものとすればよい。
【0305】
上記の実施の形態では、潜伏期間のゲーム数が終了した時点で押し順メロン1?5の入賞が2回以下で継続した場合には、押し順メロン1?5の入賞が3回継続するか途切れるかするまで、全てのAT対象役の当選報知を行わないものとしていた。もっとも、AT権利の付与に関わるAT対象役は押し順メロン1?5だけであるので、押し順メロン1?5の入賞が3回継続するか途切れるかするまで、押し順メロン1?5の当選報知は行わないものとするが、他のAT対象役の当選報知は行うようにしてもよい。
【0306】
上記の実施の形態に示すスロットマシンにおいて、ストップスイッチ8L?8Rやスタートスイッチ7などゲーム進行において操作される操作手段の操作を強制的に無効にするフリーズ制御を行なうようにしてもよい。たとえば、RT4、BB1?BB3、RBへの制御の開始時あるいは終了時において、フリーズ制御を行なうようにしてもよい。また、フリーズ制御が行なわれている間に、当該フリーズ制御を行なう契機となった事象に対応した演出(たとえば、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等により特定の演出)を行なうようにしてもよい。
【0307】
上記の実施の形態に示すスロットマシンにおいて、内部抽選で特定の入賞役(たとえば、BARテンパイリプレイ1?4、BARリプレイ、BB1など)に当選したときに、リール回転開始時にリール2L?2Rの動作により特定の演出を実行することにより、特定の入賞役に当選したことを報知するようにしてもよい。特定の演出としては、たとえば、特定のリールのみを他のリールよりも先に回転開始させる演出、他のリールよりも先に回転開始させるリールの回転速度を通常と異なる速度で回転させた後に他のリールを回転開始させるときに通常速度に切替える演出、特定のリールを所定時間逆回転させる演出など、通常と異なる態様で行なわれるものであればどのようなものであってもよい。また、特定の演出を複数種類設け、遊技者の期待度が高い入賞役(たとえば、BARテンパイリプレイ1?4よりもBARリプレイ、BARリプレイよりもBB1など)に当選しているときほど、特別種類の特定の演出を実行するようにしてもよい。これにより、特定の演出の種類に応じて遊技者の期待度を異ならせることができる。
【0308】
上記の実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0309】
また、上記の実施の形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
【0310】
さらに、流路切替ソレノイド30や投入メダルセンサ31など、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行なう球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、ホッパーモータ34bや払出センサ34cなど、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払出を行なう球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダルおよび遊技球の双方を用いて賭数を設定してゲームを行なうことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球が払い出されるスロットマシンに適用してもよい。
【0311】
上記の実施の形態においては、図9?図12で示したように、昇格リプの入賞手順、突入リプの入賞手順、転落リプレイの回避手順、および中リール2Cの「メロン」を中段停止させる手順が、各々、停止操作の押し順である例について説明したが、これに限らず、停止操作タイミングが含まれるものであってもよく、押し順だけのものや、停止操作タイミングだけのものに限らず、押し順+停止操作タイミングとなるものであってもよい。
【0312】
上記の実施の形態においては、SB当選時における取りこぼし出目である特殊出目が導出されることにより、RT1あるいはRT2から通常遊技状態に移行する例について説明したが、通常遊技状態への移行契機はこれに限るものではない。たとえば、SB当選時に限らず、特定の入賞役当選時において当該特定の入賞役(特定の小役、特定の再遊技役)の入賞を発生させることができないときに停止される出目であってもよく、また、特定の入賞役と同時に当選し得る他の特定の入賞役に入賞することであってもよい。
【0313】
上記の実施の形態においては、昇格リプ入賞することにより、通常遊技状態からRT3に昇格し、突入リプ入賞することによりRT3からRT4に移行する例について説明したが、通常遊技状態からRT3への昇格契機およびRT3からRT4への移行契機はこれに限らず、たとえば、所定の入賞役の取りこぼし時にのみ停止する図柄組合せが停止されることであってもよい。これにより、所定の入賞役を取りこぼす代わりに遊技状態が移行されるという面白みを付加することができる。
【0314】
上記の実施の形態においては、50ゲーム消化することにより、1のAT権利に対するATを終了させる例について説明した。しかし、1のAT権利に対応してATに制御する期間としては、予め定められた回数分ゲーム消化する期間に限らず、複数種類の回数から乱数などを用いてランダムに抽選で決定された回数分ゲームを消化する期間、AT対象役に当選してナビ演出が実行された回数が所定回数に到達するまでの期間、特定の入賞役(たとえばイチゴなど)に当選した回数が所定回数に到達するまでの期間などであってもよい。
【0315】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0316】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41b ROM、41c RAM、42 乱数回路、43 パルス発振器、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a サブCPU、91b ROM、91c RAM。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後に表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、導出が許容される表示結果を決定する事前決定手段と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する導出制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利が付与された後、予め定められた潜伏期間に制御する潜伏期間制御手段と、
前記潜伏期間制御手段により制御された前記潜伏期間が終了したときに成立する開始条件の成立に応じて、遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段と、
2以上の所定回数連続して特定表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与する第1特典付与手段と、
前記有利状態に制御する権利を有しており、かつ前記特定表示結果が連続して導出されている連続状態が継続しているときに、前記有利状態への制御の開始を遅延させる特殊制御を行う特殊制御手段と、
を備え、
前記第1特典付与手段は、前記潜伏期間に制御されているとき、または、前記有利状態への制御の開始を遅延させているときのいずれにおいても前記有利状態に制御する権利を新たに付与可能であり、
前記有利状態制御手段は、前記有利状態に制御する権利が複数回付与されたときに、前記有利状態に複数回制御し、
前記スロットマシンは、前記特定表示結果とは異なる特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御する権利を付与可能な第2特典付与手段をさらに備え、
前記第2特典付与手段は、
前記有利状態において前記特別表示結果が導出表示されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与し、
前記特殊制御により前記有利状態への制御の開始を遅延させている状態において前記特別表示結果が導出されたときに、前記有利状態に制御されていない状態において前記特別表示結果が導出されたときよりも高い確率で前記有利状態に制御する権利を付与する、ことを特徴とするスロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-07 
出願番号 特願2015-212615(P2015-212615)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
P 1 651・ 113- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 藤田 年彦
服部 和男
登録日 2016-09-16 
登録番号 特許第6006396号(P6006396)
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 平野 昌邦  
代理人 平野 昌邦  
代理人 松沼 泰史  
代理人 佐伯 義文  
代理人 佐伯 義文  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 松沼 泰史  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
代理人 田▲崎▼ 聡  

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