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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
管理番号 1336153
異議申立番号 異議2017-700465  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-12 
確定日 2017-12-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6048416号発明「高温安定熱伝導性材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6048416号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10、12、13〕及び〔11〕について訂正することを認める。 特許第6048416号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。  
理由 第1 手続の経緯

特許第6048416号の請求項1ないし13に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2012年1月10日(パリ条約による優先権主張 2011年1月26日、米国(US))を国際出願日とする特許出願(特願2013-551984号)であって、平成28年12月2日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 柏木 里実(以下、単に「特許異議申立人」という。)により請求項1ないし13(全請求項)に係る特許について特許異議の申立てがされ、平成29年8月2日付けで請求項1ないし13に係る特許について取消理由が通知され、その指定期間内である同年9月4日付け(受理日:同年同月5日)で意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年同月14日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知がされたところ、特許異議申立人から意見書が提出されなかったものである。

第2 訂正の適否についての判断

1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項(1)及び(2)のとおりである。

訂正事項(1)
特許請求の範囲の請求項1において、
「ゲル又はカプセル化材料組成物。」とあるのを、「ゲル用組成物。」と訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし10、12及び13も同様に訂正する。)。

訂正事項(2)
特許請求の範囲の請求項11において、
「熱伝導性を有するゲル又はカプセル化材料硬化性オルガノポリシロキサン組成物の安定性を向上させる方法。」とあるのを、
「熱伝導性を有するゲル用硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 上記訂正事項(1)の訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、明瞭でない記載であった、「ゲル」を「ゲル用」とすることにより、組成物が硬化前の状態であることを明らかにし、また、明瞭でない記載であった「カプセル化材料」を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 上記訂正事項(2)の訂正は、特許請求の範囲の請求項11において、明瞭でない記載であった、「ゲル」を「ゲル用」とすることにより、組成物が硬化前の状態であることを明らかにし、また、明瞭でない記載であった「カプセル化材料」を削除するものである。
また、請求項11において明瞭でない記載であった、「安定性を向上させる」との記載を、「硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ」ものであることを明らかにするものであるから、これらの訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ そして、これら訂正は一群の請求項ごとに適法に請求されたものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-10、12、13〕及び〔11〕について訂正を認める。

第3 本件発明について

本件訂正請求により訂正された請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明13」という。また、総称して「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
(A)1分子当たり平均して少なくとも0.1個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノアルキルポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)組成物(A)及び(B)の硬化を開始させるのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)熱伝導性充填材であって、前記熱伝導性充填材が、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、チタン酸バリウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、金属微粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせから選択される、熱伝導性充填材と、
(E)無金属フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物からなる群より選択される添加剤を、
構成要素(B)をそのSiH基と構成要素(A)における不飽和脂肪族有機基に対するモル比が3:1?0.1:1となる範囲の量を含み、構成要素(D)を組成物全体の30体積%?97体積%含み、構成要素(E)を全体の0.01?5.0重量%含む、ゲル用組成物。
【請求項2】
前記添加剤が、金属含有フタロシアニン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属が銅である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記銅含有フタロシアニン化合物が、29H,31H-フタロシアニナト(2-)-N29,N30,N31,N32銅である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱伝導性充填材が、アルミニウム、銅、金、ニッケル、スズ、銀、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属の粒子である金属微粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱伝導性充填材が、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか一項に記載の組成物を硬化することにより製造される、硬化シリコーン。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化シリコーンを含む、熱伝導材料。
【請求項9】
前記材料が、前記硬化シリコーンで被覆された支持体を含む、請求項8に記載の熱伝導材料。
【請求項10】
前記熱伝導材料が放熱する、請求項9に記載の熱伝導材料。
【請求項11】
フタロシアニン化合物を全体の0.01?5.0重量%となる量と、熱伝導性充填剤を組成物全体の30体積%?97体積%で、SiH:Viのモル比が3:1?0.1:1であり、
(A)1分子当たり平均して少なくとも0.1個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノアルキルポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)組成物(A)及び(B)の硬化を開始させるのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒
からなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物に添加する工程を含む、熱伝導性を有するゲル用硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法。
【請求項12】
第1構成要素から第2構成要素へ熱を伝達する方法であって、前記第1構成要素が前記第2構成要素より高温であり、請求項8に記載の熱伝導材料が前記第1構成要素及び前記第2構成要素と接触していることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の熱伝導材料を、第1構成要素と接触させることにより第1構成要素から放熱する方法。」

第4 特許異議の申立ての概要
特許異議申立人は、証拠として甲第1号証(特開2009-234112号公報、以下「甲1」という。)及び甲第2号証(特開平3-146560号公報、以下「甲2」という。)を提出し、特許異議の申立てとして要旨以下のとおり主張している。

・特許法第29条第2項について
請求項1ないし13に係る発明は、甲1及び甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

第5 取消理由の概要

当審において平成29年8月2日付けで通知した取消理由の概要は、本件特許の請求項1ないし13に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである、というものである。

第6 取消理由に記載した理由に対する当審の判断
特許法第36条第6項第2号に係る取消理由は、以下のとおりである。

理由A:本件特許発明1及び11には、「ゲル又はカプセル化材料組成物。」と記載されているが、「ゲル・・・化材料組成物」との記載は、硬化前の状態であることを意味するのか、硬化後の状態であることを意味するのかが明瞭でない。

理由B:本件特許発明1、11における「カプセル化材料」とは、具体的に何を何でカプセル化したことを意味するのかがわからないし、どのような状態にある組成物を意味するのか理解できない。また「カプセル化」の技術的意義が不明である。

理由C:本件特許発明11には、「・・・熱伝導性を有するゲル又はカプセル化材料硬化性オルガノポリシロキサン組成物の安定性を向上させる方法。」と記載されているが、具体的にどのような条件下での、どのような物性の安定性を向上させる方法を意味するのか不明である。

(4)判断
まず、理由Aについて検討すると、訂正事項1及び訂正事項2によって、特許請求の範囲の請求項1、11において、訂正前に存在していた「ゲル」を「ゲル用」と訂正することにより、組成物が硬化前の状態であることが明らかになったことから、理由Aは解消している。

次に、理由Bについて検討すると、訂正事項1及び訂正事項2によって、特許請求の範囲の請求項1、11において、訂正前に存在していた「カプセル化材料」という文言が削除されたことから、理由Bは解消している。

そして、理由Cについて検討すると、訂正事項2によって、特許請求の範囲の請求項11において、「安定性を向上させる」とは、「硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ」ものであることを明らかになったことから、請求項の記載は明瞭であり、理由Cは解消している。

(5)小括
したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、取り消すべきものではない。

第7 取消理由において採用しなかった特許異議の申立ての理由に対する当審の判断

1 甲1に記載された発明
甲1の請求項1、段落【0036】の記載から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

「(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100容量部、
(b)アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、金粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化鉄粉末、酸化チタン粉末、酸化ジルコニウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化珪素粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末、フラーレン粉末、カーボングラファイト粉末などである、熱伝導性充填材:50?1,000容量部、
(c)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分のケイ素原子に結合した水素原子/(a)成分中のアルケニル基のモル比が0.5?5.0となる量、
(d)白金族金属系触媒:有効量、
(e)反応制御剤:有効量、および
(f)シリコーン樹脂:50?500容量部
を含むシリコーン組成物1。」

さらに、甲1の請求項1及び8、段落【0036】の記載から、甲1には、以下の発明(以下「甲1’発明」という。)も記載されているといえる。

「甲1発明に係るシリコーン組成物1を硬化させる方法。」

2 本件特許発明1と甲1発明との対比・判断
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「(a)」成分、「(c)」成分、「(d)」成分、「(b)」成分は、本件特許発明1における「(A)」成分、「(B)」成分、「(C)」成分、「(D)」成分に各々対応するといえるから、本件特許発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の相違点1、2で相違する。

相違点1:本件特許発明1では、組成物に、(E)無金属フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物からなる群より選択される添加剤を、全体の0.01?5.0重量部含むと特定されているのに対し、甲1発明では、その点が特定されていない点。
相違点2:本件特許発明1は、ゲル用の組成物であるのに対し、甲1発明は、その点が特定されていない点。

以下、相違点1について検討する。
本件特許発明1において、相違点1に係る構成を特定(フタロシアニン化合物の使用)することの技術的意義は、本件特許明細書の段落【0007】、実施例等の記載に鑑みれば、この特定を満たすことで、高温での熱伝導性ポリシロキサン材料の硬度の経時的な上昇を防ぐことであると解される。
一方、甲2には、硬化性オルガノポリシロキサンゴム組成物において、フタロシアニン化合物を0.01?5重量部添加すること(特許請求の範囲)、それにより、ゴムの圧縮永久歪み率の小さい硬化性ポリオルガノシロキサンゴムを得られること(実施例等)、シロキサンゴムの用途としては、OA機器や自動車等の部品であること(第1頁右欄の[従来の技術]欄)が記載されている。
しかしながら、甲1発明の用途は、発熱性電子部品と放熱部材との間の熱境界面に介装し得る熱伝導性積層体であり、甲2とはその技術分野が異なるものである。また、甲2において、フタロシアニン化合物を添加する目的は、ゴムの圧縮永久歪率を小さくするためであって、本件特許発明1とは相違するし、また、甲1発明に、ゴムの圧縮永久歪率を小さくするという課題が存在するとは認められないから、甲1発明に、技術分野が相違し、課題も異なる甲2に記載の上記技術事項を適用する動機がない。
そうすると、甲1発明に、甲2の記載に基いて、フタロシアニン化合物を0.01?5重量部配合することは、たとえ当業者であっても容易になし得ることであるとはいえない。
また、本件特許発明1の高温での熱伝導性ポリシロキサン材料の硬度の経時的な上昇を防ぐという効果は、甲1及び甲2にも記載されておらず、当業者においても予測できない。

以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2に記載された技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本件特許発明2ないし10、12及び13と甲1発明との対比判断
本件特許発明2ないし10、12及び13は、本件特許発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、上記2にて示した判断と同様の理由により、甲1発明及び甲2に記載された技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本件特許発明11と甲1’発明との対比判断
本件特許発明11と甲1’発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の相違点1’、2’及び3’で相違する。

相違点1’:本件特許発明11に係る発明において硬化されるゲル用組成物には(E)無金属フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物からなる群より選択される添加剤を、全体の0.01?5.0重量部含むと特定されているのに対し、甲1’発明では、その点が特定されていない点。

相違点2’:本件特許発明11に係るゲル用硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法では、組成物がゲル用と特定されているのに対し、甲1’発明は、その点が特定されていない点。

相違点3’:本件特許発明11に係る方法は、ゲル用硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法であると特定されているのに対し、甲1’発明では、その点
が特定されていない点。

しかしながら、上記相違点1’に係る発明特定事項については、上記2の相違点1にて示した判断と同様の理由により、当業者であっても容易になし得ることであるとはいえない。
また、上記相違点3’に係る発明特定事項について、甲1及び甲2には、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法である点について、記載も示唆もないことから、この点はたとえ当業者であっても容易になし得ることであるとはいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明11は、甲1’発明及び甲2に記載された技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 小括
したがって、本件特許発明1ないし13が、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものではないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。
よって、上記特許異議申立理由は理由がない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由に記載した理由並びに特許異議申立人による特許異議の申立ての理由及び提出した証拠によっては、本件特許発明1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子当たり平均して少なくとも0.1個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノアルキルポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)組成物(A)及び(B)の硬化を開始させるのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(D)熱伝導性充填材であって、前記熱伝導性充填材が、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、チタン酸バリウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、金属微粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせから選択さ
れる、熱伝導性充填材と、
(E)無金属フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物からなる群より
選択される添加剤を、
構成要素(B)をそのSiH基と構成要素(A)における不飽和脂肪族有機基に対するモル比が3:1?0.1:1となる範囲の量を含み、構成要素(D)を組成物全体の30体積%?97体積%含み、構成要素(E)を全体の0.01?5.0重量%含む、ゲル用組成物。
【請求項2】
前記添加剤が、金属含有フタロシアニン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属が銅である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記銅含有フタロシアニン化合物が、29H,31H-フタロシアニナト(2-)-N29,N30,N31,N32銅である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱伝導性充填材が、アルミニウム、銅、金、ニッケル、スズ、銀、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属の粒子である金属微粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱伝導性充填材が、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか一項に記載の組成物を硬化することにより製造される、硬化シリコーン。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化シリコーンを含む、熱伝導材料。
【請求項9】
前記材料が、前記硬化シリコーンで被覆された支持体を含む、請求項8に記載の熱伝導材料。
【請求項10】
前記熱伝導材料が放熱する、請求項9に記載の熱伝導材料。
【請求項11】
フタロシアニン化合物を全体の0.01?5.0重量%となる量と、熱伝導性充填剤を組成物全体の30体積%?97体積%で、SiH:Viのモル比が3:1?0.1:1であり、
(A)1分子当たり平均して少なくとも0.1個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノアルキルポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)組成物(A)及び(B)の硬化を開始させるのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒
からなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物に添加する工程を含む、熱伝導性を有するゲル用硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物が硬化後経時的に硬度が上昇することを遅らせるか、又は防ぐ方法。
【請求項12】
第1構成要素から第2構成要素へ熱を伝達する方法であって、前記第1構成要素が前記第2構成要素より高温であり、請求項8に記載の熱伝導材料が前記第1構成要素及び前記第2構成要素と接触していることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の熱伝導材料を、第1構成要素と接触させることにより第1構成要素から放熱する方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-24 
出願番号 特願2013-551984(P2013-551984)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C08L)
P 1 651・ 537- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山村 周平  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 堀 洋樹
小野寺 務
登録日 2016-12-02 
登録番号 特許第6048416号(P6048416)
権利者 ダウ コーニング コーポレーション
発明の名称 高温安定熱伝導性材料  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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