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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1336432 |
審判番号 | 不服2016-6264 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-27 |
確定日 | 2018-01-09 |
事件の表示 | 特願2015-185753「コンテンツ提供システム、コンテンツサーバ、端末装置、コンテンツ提供方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017- 59176〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年9月18日の出願であって、平成27年10月30日付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成28年1月4日付けで手続補正がなされたが、平成28年1月25日付けで拒絶査定がなされた。 これに対し、平成28年4月27日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたが、その後当審において、平成29年1月23日付けで最初の拒絶理由が通知され、それに応答して平成29年4月17日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成29年4月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりである。 なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。 (本願発明) (A)案内対象についての画像及び音声による案内情報を収納した複数種のコンテンツを格納しており、前記複数種のコンテンツから指定されたコンテンツを配信するコンテンツサーバと、 (B)前記コンテンツサーバにネットワークを介して接続され、前記コンテンツサーバに配信を求めるコンテンツを指定し、指定に応じて前記コンテンツサーバから配信されたコンテンツを取得して再生する端末装置と、 (C)を備え、 前記案内対象には、前記複数種のコンテンツから特定のコンテンツを指定する二次元コードが配置される、コンテンツ提供システムであって、 (A)前記コンテンツサーバは、 (A1)1種のコンテンツに対して複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段と、 (A2)前記端末装置から指定されたコンテンツと前記端末装置から指定された言語に基づいて指定された言語に対応する言語別コンテンツを選択する言語別コンテンツ指定手段と、 を備え、 (B)前記端末装置は、 (B1)前記案内対象に表示された二次元コードを撮影できる箇所に配置可能であり、モバイル通信又は無線通信によりネットワークに接続された携帯型端末であり、 (B2)前記端末装置において、表示、入力のために使用される言語が設定された言語設定部と、 (B3)前記二次元コードを撮像して画像データを出力する撮像手段と、 (B4)前記画像データを解析して所望のコンテンツを特定するコンテンツ指定データを取得するコンテンツ解析手段と、 (B5)前記言語設定部に予め設定された前記端末装置の使用言語を特定する言語特定データを取得する言語特定データ取得手段と、 (B6)前記コンテンツ指定データ及び前記言語特定データに基づいて前記コンテンツサーバに要求するコンテンツを指定する指定信号を生成するコンテンツ指定手段と、 (B7)前記指定信号を、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバに送出する通信制御部と、 (B8)前記コンテンツの画像を再生する手段及び音声を再生する手段を備えたコンテンツ再生手段と、 を備える、 (C)ことを特徴とするコンテンツ提供システム。 第3 当審の判断 1.引用文献の記載 (1)引用文献1 当審における、平成29年1月23日付けの拒絶理由に引用された引用文献1である特開2014-154162号公報には、「物理的な物品のユーザにデジタルコンテンツを提供する方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 ア.「【0019】 図1は、様々な実施形態による態様を実装するための環境100の例を示している。理解されるように、環境100は説明の目的で提供されているが、様々な実施形態を実装するために、必要に応じて異なる環境が利用されてよい。図示された環境100は電子デバイス102を含み、電子デバイス102は適切なネットワーク116を介して要求、メッセージ、または情報を送受信して、デバイス102のユーザ110に情報を返送するように動作可能な任意の適切なデバイスを含みうる。このような電子デバイスの例には、モバイル電話、電子デバイス、モバイルデバイス、ハンドヘルドメッセージングデバイス、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末、電子書籍リーダー、腕時計、手首装着型デバイス、および同等物がある。 【0020】 実施形態によれば、電子デバイス102は、セルラー電話、メディアプレイヤー、パーソナルコンピュータなどの、1つまたは複数のポータブルデバイスの機能を組み込む。ユーザは、たとえ電子デバイス102がポータブルであっても、電子デバイス102を使用して、写真およびビデオの閲覧、インターネットサーフィン等をすることが可能である。また、電子デバイス102によって、ユーザは、インターネット、あるいはローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなどのネットワーク116に接続して、それを通じて通信することができる。また、たとえば電子デバイス102によって、ユーザは、電子メール、テキストメッセージング、インスタントメッセージング、または他の形式の電子通信を使用して通信することができる。 【0021】 実施形態によれば、電子デバイス102は、ブルートゥース(登録商標)、無線周波数識別(RFID)、および/または近距離通信(NFC)などの短距離無線接続を使用して他のデバイスと通信する。NFCやRFIDが、NFCが有効な電子デバイスがRFIDチップを有するスマートタグからデータを読み出す方法で、またはその逆の方法で、連携することが可能である。図1に示されるように、電子デバイス102は、短距離無線接続118を使用して、物品124に取り付けられたスマートタグ120と通信する。たとえば、電子デバイス102は、物品124のスマートタグ120から情報を取得して、取得した情報を使用してネットワーク116から物品124に関連するデジタルコンテンツを取り出す。物品124はユーザ110によって購入された、または他の方法で入手された、任意の消費者製品または品物でよい。たとえば、物品124は、シューズ、靴下、シャツ、パンツ、帽子等の衣料品でよい。また、たとえば物品124は、フットボール、サッカーボール、テニスボールおよびラケット、心拍数モニタ、腕時計などのスポーツ用器材でよい。 【0022】 図2は、様々な実施形態による例示的電子デバイス102のブロック図を示している。図示されるように、デバイス102は、内部コンポーネントを損傷から保護する外部ケーシング202に囲まれている。外部ケーシングは、プラスチック、金属等の任意の適切な材料製とすることができる。電子デバイス102は、スイッチ、キー、ボタン、タッチセンサ式ボタン等を含む、任意の数の触覚入力コントロールを含みうる。また、デバイス102は、デバイスによって生成された様々な画像を表示することができるディスプレイ208を含む。ディスプレイ208は、発光ダイオード(LED)ベースのディスプレイ、Retinaディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)などの任意のタイプのディスプレイでよい。デバイス102は、選択した要素をタッチすることによって、ユーザがディスプレイ208の要素を選択することができるタッチスクリーン212を含みうる。 【0023】 ディスプレイ208は、ユーザがデバイスと対話できるようにするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するために使用されうる。触覚入力コントロールまたはタッチスクリーンは、GUIをナビゲートするために使用されうる。たとえば、タッチスクリーン212の適切な位置をタッチすることによって、アイコンを選択することができる。アイコンが選択されると、デバイス102は、そのアイコンに関連付けられるアプリケーションを開いて、対応するスクリーンを表示するように構成されうる。たとえば、スポーツトレーニングアイコンが選択されると、デバイス102はスポーツトレーニングプログラムを開いて、スポーツトレーニングプログラムで利用可能な様々なツールおよび機能を提示するトレーニングメニューを表示することができる。電子デバイス102は、オーディオ入力を受信するマイクや、サウンドを出力するスピーカなどのオーディオ入力および出力要素を含みうる。 (中略) 【0026】 また、電子デバイス102は、1つまたは複数の通信チャネルを介して情報を送受信するための1つまたは複数のネットワークデバイス232を含みうる。したがって、ネットワークデバイス232は、1つまたは複数のネットワークインターフェースカード(NIC)またはネットワークコントローラを含みうる。いくつかの実施形態では、ネットワークデバイス232は、有線イーサネット(登録商標)ベースネットワーク、および/または、IEEE 802.11x無線ネットワーク(すなわち、WiFi)などの無線LANに接続するためのローカルエリアネットワーク(LAN)インターフェースを含みうる。特定の実施形態では、LANインターフェースは、LANに接続するために使用される、サービスセット識別子(SSID)、チャネル、および暗号化キーなどの情報を受信するために使用されうる。 【0027】 また、ネットワークデバイス232は、セルラー通信ネットワークを介してインターネットに接続できるようにするワイドエリアネットワーク(WAN)インターフェースを含みうる。また、ネットワークデバイス232は、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、IEEE 802.15.4(ZigBee)ネットワーク、またはウルトラワイドバンド(UWB)ネットワークなどの、パーソナルエリアネットワーク(PAN)に接続するためのPANインターフェースを含みうる。ネットワークデバイス232はアンテナと相互作用して、ネットワークの無線周波数信号を送受信することができる。ネットワークデバイス232は、任意の数および組合せのネットワークインターフェースを含みうる。」 イ.「【0029】 いくつかの実施形態によれば、デバイス102は、物品124に関連付けられるタグまたはラベルから物品識別情報を取得するために使用されうるバーコードスキャナなどのスキャナ220を含み、それらの情報はデバイス102にインストールされたアプリケーションによって使用されうる。当業者は、スキャナ220を実装するための様々なデバイスおよび技法を理解できるであろう。また、デバイス102はカメラ224を含みうる。スキャナ220と同様に、カメラ224は、消費者製品などの物品124を識別するために、全体的なシステムの一部として使用されうる。たとえば、カメラ224は、バーコードまたはQRコード(登録商標)の画像を取り込むために使用することができ、それらの画像は、符号化された製品識別情報を抽出するためにデバイス102によって処理されうる。符号化された情報を抽出するためにビデオ画像を処理するための技法も、当業者には知られているであろう。」 ウ.「【0035】 図示された環境100は、少なくとも1つのサーバ122およびデータストア130を含む。連鎖されうる、または他の方法で構成されうる、および適切なデータストアからのデータの取得などのタスクを実行するために相互作用しうる、いくつかのサーバ(たとえば、アプリケーションサーバ、ウェブサーバ等)、レイヤ、あるいは他の要素、処理、またはコンポーネントがありうることが理解されよう。本明細書で使用されるように、「データストア」という用語は、データの格納、アクセス、および/または取込みができる、任意のデバイスまたはデバイスの組合せを指し、任意の標準的、分散型、またはクラスタ環境における、任意の組合せおよび数のデータサーバ、データベース、データ記憶装置、ならびにデータ記憶媒体を含みうる。 【0036】 実施形態によれば、サーバ122は、クライアントデバイス102の1つまたは複数のアプリケーションの態様を実行するために必要に応じてデータストアを組み入れるための任意の適切なハードウェアおよびソフトウェアを含むアプリケーションサーバであり、アプリケーションのデータアクセスおよびビジネスロジックの大部分を処理することもできる。たとえば、サーバ122は、データストア130と協働するアクセス制御サービスを提供し、ユーザに転送されるべきテキスト、グラフィック、オーディオ、および/またはビデオなどのコンテンツを生成することができるアプリケーションサーバでよく、HTML、XML、または他の適切な構造化言語の形式で、ウェブサーバによってクライアントデバイス102上のネイティブアプリケーションによりユーザに配信されてもよい。 【0037】 データストア130は、それに関連付けられるロジックを通じて、サーバ122から命令を受信して、それに応答してデータを取得、更新、または他の方法で処理するように動作可能である。一例では、ユーザは、特定の物品124に関連するデジタルコンテンツを求める要求を提出することができる。この場合、データストア130は、格納されたユーザ情報にアクセスしてユーザのアイデンティティを確認することができ、また、データストア130は、格納された情報にアクセスして物品124についての情報を取得することができる。次いで、情報がユーザに表示されうる。ユーザは、ユーザデバイス102上のネイティブアプリケーションを介して、またはユーザデバイス102上でブラウザを介してユーザが閲覧できるウェブページを介して、結果を見直すことができる。」 エ.「【0041】 一実施形態における環境100は、1つまたは複数のコンピュータネットワークまたは直接接続を使用して、通信リンクを介して相互接続されるいくつかのコンピュータシステムおよびコンポーネントを利用する、分散コンピューティング環境である。しかし、当業者には、このようなシステムは、図1に示されるコンポーネントよりも少数またはより多数のコンポーネントを有するシステムにおいても等しく良好に動作できることが理解されよう。したがって、図1における環境100の描写は本質的に例示的なものと見なされるべきであり、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。」 オ.「【0042】 図1の環境100は、図5のシステム500に示されるように、さらなるコンポーネントおよび/または他の構成を含みうる。この例では、システム500は、電子デバイスに特定の物品124に関連するデジタルコンテンツを提供するために、電子デバイスからの要求に応答するデジタル体験マネージャ510を含む。いくつかの実施形態では、デジタル体験マネージャ510は、サーバ122上で実行されるアプリケーションである。デジタル体験マネージャ510は、ウェブブラウザウインドウを介するなど、電子デバイス102を使用して起動、閲覧、および/または制御されうる。 【0043】 図1に示されるように、ユーザ110は、たとえば、電子デバイス102を使用して物品124のスマートタグ120をスキャンして、電子デバイス102に物品124に関連するデジタルコンテンツを提供するために、デジタル体験マネージャ510に要求を送信する。図示された実施形態によれば、デジタル体験マネージャ510は、アプリケーションダウンロードモジュール514、インストアコンテンツモジュール518、仮想値札モジュール522、登録モジュール526、登録済み所有者モジュール530、未登録ユーザモジュール534、チェックインモジュール532、ロック&キーモジュール538、およびタイムラインモジュール542を含む。デジタル体験マネージャ510は、アプリケーションデータストア554、物品情報データストア560、ユーザ情報データストア564、登録データストア568、デジタルコンテンツデータストア572、チェックイン情報データストア576、および便益情報データストア580に、データを読み出す、および/または書き込む。データストア554、560、564、568、572、576、および580は、本発明の実施形態に応じて、デジタル体験マネージャ510の一部として実装されてもよく、デジタル体験マネージャ510とは別に実装されてもよい。 (中略) 【0050】 デジタルコンテンツ572は、たとえば、テキスト、画像、ビデオコンテンツ、アニメーションコンテンツ、ゲーム、およびウェブサイトへのリンクを含むことができ、それらのいずれも物品124についての情報を含みうる。いくつかの実施形態によれば、物品124に関連付けられるエンティティ(たとえば、メーカー、商店主、小売業者、ベンダー、広告主など)は、デジタルコンテンツの一部として、物品についての情報、ならびにブランドイメージ、ロゴ、広告コンテンツ、および販売促進用コンテンツを提供することができる。たとえば、エンティティは、関連する製品、最もよく売れている物品、最新の物品、特定の価格範囲内の物品、特定の地理的位置または市場で人気のある物品についての情報、ならびに物品124を補完する製品についての情報を提供することができる。たとえば、ユーザが特定のバスケットボールシューズに興味がある場合、エンティティは、バスケットボールショートパンツ、ジャージ、汗止めバンド、バスケットボール、および同等物などの、バスケットボールシューズを補完する製品についてのデジタルコンテンツを提供することができる。」 カ.「【0063】 図8は、物品に関連するデジタルコンテンツを取得する要求を作成して送信する、例示的処理800を示す流れ図を提供する。804で示されるように、処理800は一般的に、ユーザが電子デバイスに、ユーザがデジタルコンテンツを受信したい物品のスマートタグを「スキャン」させると開始する。たとえば、スマートタグをスキャンするために、ユーザ110は、NFCインターフェースがまだアクティブではない場合、電子デバイス102のNFCインターフェース228をアクティブ化して、NFCインターフェース228を物品124のスマートタグ120に近接して配置する。スキャンの間、電子デバイス102は、スマートタグ120から物品124に関連付けられる物品識別子430を取得する。電子デバイス102は、どのアプリケーションを起動するべきかに関連する命令などの、さらなる情報を取得することができる。アプリケーションは、ウェブブラウザでもよく、スマートタグをスキャンして物品に関連するデジタルコンテンツを取得するために特別に設計されたアプリケーションでもよく、NFCインターフェースを操作するための汎用アプリケーションなどでもよいことが理解されよう。808で、電子デバイスが適切なアプリケーションを起動するか、適切なアプリケーションをダウンロードするようにユーザを促す(図6参照)。上述のように、電子デバイス102は、スマートタグから命令コードを受信すると、適切なアプリケーションを自動的に起動するか、デジタル体験マネージャ510のアプリケーションダウンロードモジュール514に適切なダウンロード要求を送信する。 【0064】 810で、一旦電子デバイス上でアプリケーションが起動されると、アプリケーションがオプションのメニューをユーザに表示する。図示されるように、808でアプリケーションが起動すると、処理800は822に直接進み、価格、ビデオ、画像などの、物品に関連するデジタルコンテンツを自動的に取得する要求が送信されることが理解されよう。814で、ユーザが、物品に関連するデジタルコンテンツを取得するオプションをメニューから選択する。図9Aは、「情報取得(get info)」オプション908を含む、オプションのメニューの例示的スクリーンショット904を提供する。818で、ユーザの選択に応答して、電子デバイス102が、物品に関連するデジタルコンテンツを提供する要求を作成する。要求は、物品に関連付けられるスマートタグ120から取得された物品識別子を含む。また、暗黙的または明示的な要求は、ユーザのユーザ識別子を含みうることが理解されよう。822で、電子デバイスが要求をデジタル体験マネージャ510に送信する。 【0065】 図10は、デジタル体験マネージャ510がユーザの要求に応答してデジタルコンテンツをユーザの電子デバイスに配信する、例示的処理1000を示す流れ図を提供する。ブロック1004で、デジタルコンテンツを提供する要求が受信される。要求はユーザによって明示的に要求されてもよく、ユーザによる明示的な要求なしに自動的に要求されてもよい。1008で、インストアコンテンツモジュール518が、物品情報およびデジタルコンテンツデータストア560、572を検索して、物品に関連するデジタルコンテンツを識別する。それを行うために、たとえば、インストアコンテンツモジュール518は、要求に含まれる物品識別子に関連付けられる全てのデジタルコンテンツを識別する。1012で、インストアコンテンツモジュール518が、識別されたデジタルコンテンツのサブセットを選択して、ユーザに提供する。 (中略) 【0067】 実施形態によれば、電子デバイス102のユーザ110に提示されるコンテンツの言語は、電子デバイス102の言語設定と一致する。したがって、ユーザがどの国にいるかに関わらず、ユーザが物品124を「タップ」すると、ユーザの電子デバイス102の言語設定と一致する言語でコンテンツが提示される。たとえば、たとえスペインでの休暇中にデジタルコンテンツを要求するためにドイツ人ユーザが物品を「タップ」しても、電子デバイスの言語設定がドイツ語であるドイツ人ユーザにはドイツ語のコンテンツが提示される。したがって、物品124に関連するデジタルコンテンツを取得するためにユーザが電子デバイス102を使用する時にどこにいるかに関わらず、ドイツ人ユーザはドイツ語のコンテンツを提示される。ある実施形態によれば、ドイツ人ユーザが物品124をタップして、彼の電子デバイス102がデジタルコンテンツを求める要求をサーバ122に送信する時、その要求は電子デバイスの言語設定を含む。要求に応答して、サーバ122は、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択する。母国設定、居住都市設定、ウェブブラウザバージョン、デバイス識別子などの、言語設定以外のデータを使用することができることが理解されよう。」 (2)引用文献2 同じく、当審における拒絶の理由に引用された引用文献2である特開2015-138279号公報には、「情報管理サーバ、情報提供システム、情報提供方法、および、情報管理プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 キ.「【0032】 図3を参照して、ICタグ10が有するタグ情報Itと、対応コンテンツデータ43aを構成するコンテンツ情報Icおよび言語情報Igの対応関係について説明する。 図3に示されるように、タグの識別情報がタグIDとして設定され、1つのタグIDには、1つのタグ情報Itが対応付けられている。また、対応コンテンツデータ43aにおいて、コンテンツ情報Icおよび言語情報Igは、タグ情報Itに対応付けられる状態で記憶されている。1つのタグ情報Itには、1つのコンテンツ情報Icと1つの言語情報Igとからなる情報の組が複数対応付けられている。記憶部43は、1以上のタグ情報Itについて、対応コンテンツデータ43aを記憶している。 【0033】 例えば、「001」のタグIDを有するICタグ10には、タグ情報Itとして「http://△△/abc」が記憶されている。すなわち、「001」というタグIDは、「http://△△/abc」というタグ情報Itと対応付けられている。ここで、タグ情報ItとしてのURLのうち、「△△」は、情報管理サーバ40のドメイン名を示す。また、「abc」は、情報管理サーバ40内におけるファイルのパス名を示す。すなわち、「001」のタグIDには、情報管理サーバ40の「abc」に対応するファイルをアクセス先として指定する情報が対応付けられている。 【0034】 そして、タグ情報Itにて指定されるアクセス先のファイル、すなわち「abc」に対応するファイルには、「Aコンテンツ」を提供するコンテンツ提供サーバ30のURLであるコンテンツ情報Icと日本語を示す言語情報Igとが互いに対応付けられて記憶されている。さらに、「abc」に対応するファイルには、「Bコンテンツ」を提供するコンテンツ提供サーバ30のURLであるコンテンツ情報Icと英語を示す言語情報Igとが互いに対応付けられて記憶され、「Cコンテンツ」を提供するコンテンツ提供サーバ30のURLであるコンテンツ情報Icと中国語を示す言語情報Igとが互いに対応付けられて記憶されている。「Aコンテンツ」は日本語で表示されるコンテンツであり、「Bコンテンツ」は英語で表示されるコンテンツであり、「Cコンテンツ」は中国語で表示されるコンテンツである。これらのコンテンツは、「http://△△/abc」というタグ情報Itが記憶されているICタグ10が備えられた広告媒体や物品に関連するコンテンツであって、コンテンツにおける表示言語以外の内容は同一であってもよいし異なっていてもよい。」 ク.「【0037】 [情報提供システムの作用] 図4を参照して、情報提供システムによるコンテンツの提供の手順について説明する。 まず、コンテンツを取得したいユーザによって、ユーザ端末20における近距離無線通信によるデータの読み取り部がICタグ10にかざされる。これにより、ICタグ10に記憶されているタグ情報Itが、ユーザ端末20に読み取られる(ステップS10)。タグ情報Itが読み取られると、ユーザ端末20は、タグ情報Itによって特定される情報管理サーバ40のアクセス先に対するリクエストを情報管理サーバ40に送信する(ステップS11)。このとき、ユーザ端末20は、ユーザ端末20が有する言語情報Igを情報管理サーバ40に送信する。こうして、情報管理サーバ40は、アクセス先として指定された態様でユーザ端末20からタグ情報Itを受け取り、かつ、ユーザ端末20から言語情報Igを取得する。 【0038】 情報管理サーバ40の情報特定部42aは、ユーザ端末20からのリクエストに応じ、記憶部43に記憶されている対応コンテンツデータ43aを参照して、指定されたアクセス先に記憶される複数のコンテンツ情報Icの中から、ユーザ端末20から受信した言語情報Igと対応付けられているコンテンツ情報Icを特定する(ステップS12)。そして、情報特定部42aは、通信部41を介して、特定されたコンテンツ情報Icをレスポンスとしてユーザ端末20に送信する。これにより、ICタグ10が有するタグ情報Itおよびユーザ端末20が有する言語情報Igに情報管理サーバ40にて対応付けられているコンテンツ情報Icがユーザ端末20に送信される(ステップS13)。」 (3)引用文献3 同じく、当審における拒絶の理由に引用された引用文献3である特開2004-227199号公報には、「ブラウザ表示言語自動判別システム、Webサーバ及びそれに用いるブラウザ表示言語自動判別方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 ケ.「【0020】 Webサーバ2は、表示装置1からの表示言語情報を判別してその判別結果にしたがって言語別コンテンツ記憶部22から対応する言語のWebコンテンツを取得し、表示装置1に配信する表示言語判別部21と、日本語や英語等の各言語に作成されたWebコンテンツを作成された言語毎に分類して記憶する言語別コンテンツ記憶部22とを備え、ネットワーク100に接続されている。 【0021】 ここで、言語別コンテンツ記憶部22にはWebコンテンツが作成された言語毎に分類されて記憶されているか、あるいは上記の特許文献1の技術を用いて表示言語設定情報に適合する言語に翻訳する手段(図示せず)を備えている。 (中略) 【0023】 図2は本発明の一実施例によるブラウザ表示言語自動判別システムの動作を示すシーケンスチャートである。これら図1及び図2を参照して本発明の一実施例によるブラウザ表示言語自動判別システムの動作について説明する。 【0024】 表示装置1はネットワーク網100を経由してWebサーバ2に接続する際に、表示言語設定記憶部12に予め記憶してある表示言語情報をWebサーバ2に通知する(図2ステップS1)。 【0025】 Webサーバ2は内部の表示言語判別部21に、表示装置1から送られてきた表示言語設定情報を通知する。表示言語判別部21は表示装置1から通知さてきれた表示言語設定情報を基に表示言語を判別する(図2ステップS2)。 【0026】 このとき同時に、Webサーバ2は該当する言語のWebコンテンツを言語別コンテンツ記憶部22から取得し(図2ステップS3)、そのWebコンテンツを表示装置1に配信する(図2ステップS4)。 【0027】 表示装置1はWebサーバ3からWebコンテンツが送られてくると、表示言語設定記憶部12に予め設定した表示言語にしたがって、そのWebコンテンツを表示部11に自動表示する(図2ステップS5)。」 2.引用文献に記載される発明及び技術 (1)引用文献1に記載される発明 引用文献1に記載された発明を以下に認定する。 ア.電子デバイス(携帯情報端末) (ア)引用文献1の上記1(1)アの記載によれば、引用文献1に記載される環境100には、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなどのネットワーク116を介して要求、メッセージ、または情報を送受信する電子デバイス102が含まれており、電子デバイス102は、一例として携帯情報端末である。 電子デバイス102は、物品124に取り付けられたスマートタグ120と通信して情報を取得し、取得した情報を使用してネットワーク116から物品124に関連するデジタルコンテンツを取り出す。 また、電子デバイス102は、デバイスによって生成された様々な画像を表示することができるディスプレイ208、オーディオ入力を受信するマイクや、サウンドを出力するスピーカなどのオーディオ入力および出力要素を備えている。 さらに、電子デバイス102は、セルラー通信ネットワークを利用するワイドエリアネットワーク(WAN)や無線ネットワークを利用するローカルエリアネットワーク(LAN)を介して情報を送受信するためのネットワークデバイス232を備えている。 すなわち、引用文献1には、環境100に含まれる『電子デバイス』が記載されており、『電子デバイス』は、物品に取り付けられたスマートタグと通信して情報を取得し、『取得した情報を利用して、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなどのネットワークを介して、要求を送信し、物品に関連するデジタルコンテンツを取り出す』ものであり、『携帯情報端末など』である。 なお、この『取得した情報』は、下記(イ)に後述するように『物品識別情報』である。 また、『電子デバイス』は、『セルラー通信ネットワークを利用するワイドエリアネットワークや無線ネットワークを利用するローカルエリアネットワークを介して情報を送受信するためのネットワークデバイス』、及び『デバイスによって生成された様々な画像を表示するディスプレイ、サウンドを出力するスピーカ』を備えている。 (イ)引用文献1の上記1(1)イの記載によれば、引用文献1に記載される電子デバイス102は、他の実施形態として、物品124に関連付けられるタグまたはラベルから物品識別情報を取得するために使用されうるバーコードスキャナなどのスキャナ220、又は、カメラ224を備えている。 カメラ224は、スキャナ220と同様に、消費者製品などの物品124を識別するために使用されるものであり、バーコードまたはQRコードの画像を取り込むために使用することができ、それらの画像は、物品識別情報を抽出するために電子デバイス102によって処理される。 ここで、カメラ224は、物品124に関連付けられるタグまたはラベルから物品識別情報を取得するものであって、物品124を識別するためにQRコードの画像を取り込むものであるから、物品のタグまたはラベルにQRコードが表示されているといえ、カメラは、物品のタグまたはラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むものといえる。 また、上記(ア)において認定した事項を併せて検討すると、引用文献1の電子デバイスは、物品に取り付けられたスマートタグと通信して情報を取得する他に、スマートタグの代替としてQRコードが表示されるタグ又はラベルを使用し、そのQRコードが表示されるタグ又はラベルから物品識別情報を取得するものといえる。 以上のことから、引用文献1の電子デバイスは、物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラを備え、カメラにより取り込まれた画像を処理して物品識別情報を抽出するものといえる。 よって、引用文献1記載の『電子デバイス』は、『物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラ』を備え、『カメラにより取り込まれた画像を処理して物品識別情報を抽出する』ものである。 イ.サーバ及びデータストア 引用文献1の上記1(1)ウの記載によれば、引用文献1に記載される環境100には、サーバ122及びデータストア130が含まれている。 サーバ122は、データストア130と協働するアクセス制御サービスを提供し、ユーザに転送されるべきテキスト、グラフィック、オーディオ、および/またはビデオなどのコンテンツを生成し、電子デバイス102上のネイティブアプリケーションによりユーザに配信する。 データストア130は、それに関連付けられるロジックを通じて、サーバ122から命令を受信して、それに応答してデータを取得、更新、または他の方法で処理するように動作可能であり、ユーザによる特定の物品124に関連するデジタルコンテンツを求める要求に対応する。 すなわち、引用文献1には、環境100に含まれる『サーバ及びデータストア』が記載されており、『サーバ』は、『データストアと協働し、ユーザによる特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、ユーザに転送されるべきテキスト、グラフィック、オーディオ、ビデオなどのコンテンツを生成し、ユーザの電子デバイスに配信するサーバ』である。 ウ.環境(システム) 引用文献1の上記1(1)エの記載によれば、引用文献1に記載される環境100は、1つまたは複数のコンピュータネットワークまたは直接接続を使用して、通信リンクを介して相互接続されるいくつかのコンピュータシステムおよびコンポーネントを利用する分散コンピューティング環境である。 すなわち、環境100は、サーバ及びデータストアと電子デバイスを含むコンピュータシステムが相互接続された分散コンピューティング環境であり、機器としての側面で捉えれば、『サーバ及びデータストアと、電子デバイスとを備えたシステム』といえる。 エ.システムの動作 引用文献1の上記1(1)オの記載によれば、引用文献1には、サーバ122上で実行されるアプリケーションであって、電子デバイスに特定の物品124に関連するデジタルコンテンツを提供するデジタル体験マネージャ510が記載されている。 ユーザ110は、例えば電子デバイス102を使用して物品124のスマートタグ120をスキャンして、電子デバイス102に物品124に関連するデジタルコンテンツを提供するために、デジタル体験マネージャ510に要求を送信する。 デジタル体験マネージャ510は、デジタルコンテンツデータストア572からデータを読み出し、デジタルコンテンツデータストア572は、例えば、物品についての情報、ブランドイメージ、ロゴ、広告コンテンツ、及び販売促進用コンテンツである、物品124についてのテキスト、画像、ビデオコンテンツなどの情報を含んでいる。 引用文献1の上記1(1)カの記載によれば、引用文献1には、物品に関連するデジタルコンテンツを取得する要求を作成して送信する処理が記載されている。 ユーザが電子デバイスに、ユーザがデジタルコンテンツを受信したい物品のスマートタグをスキャンさせ、スマートタグ120から物品124に関連付けられる物品識別子430を取得し、デジタル体験マネージャ510に適切なダウンロード要求を送信する。 電子デバイス上でアプリケーションが起動されると、ユーザが物品に関連するデジタルコンテンツを取得するオプションをメニューから明示的に選択するか、あるいは自動的に、物品に関連付けられるスマートタグ120から取得された物品識別子を含む物品に関連するデジタルコンテンツを取得する要求が送信される。 また、電子デバイス102のユーザ110に提示されるコンテンツの言語は、電子デバイス102の言語設定と一致する。電子デバイス102がデジタルコンテンツを求める要求をサーバ122に送信する時、その要求は電子デバイスの言語設定を含み、サーバ122は、要求に応答して、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択する。 以上のことから、『電子デバイス』は、『サーバに電子デバイスの言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求を送信』する。 『サーバ』は、『電子デバイスからの要求に応答して、データストアから、物品についての情報、ブランドイメージ、ロゴ、広告コンテンツ、及び販売促進用コンテンツなどである、特定の物品に関連するテキスト、画像、ビデオコンテンツなどのデジタルコンテンツデータのうち、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択して読み出し、電子デバイスに提供』する。 オ.まとめ 以上によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。 なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために付与したものであり、以下、構成(a)、構成(b)などと称する。 (引用発明) (a)サーバ及びデータストアと、 (b)携帯情報端末などの電子デバイスと、 (c)を備えたシステムであって、 (a)サーバは、 データストアと協働し、ユーザによる特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、ユーザに転送されるべきテキスト、グラフィック、オーディオ、ビデオなどのコンテンツを生成し、ユーザの電子デバイスに配信するものであり、 電子デバイスからの要求に応答して、データストアから、物品についての情報、ブランドイメージ、ロゴ、広告コンテンツ、及び販売促進用コンテンツなどである、特定の物品に関連するテキスト、画像、ビデオコンテンツなどのデジタルコンテンツデータのうち、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択して読み出し、電子デバイスに提供し、 (b)電子デバイスは、 物品識別情報を利用して、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなどのネットワークを介して、要求を送信し、物品に関連するデジタルコンテンツを取り出すものであり、 物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラと、 セルラー通信ネットワークを利用するワイドエリアネットワークや無線ネットワークを利用するローカルエリアネットワークを介して情報を送受信するためのネットワークデバイスと、 デバイスによって生成された様々な画像を表示するディスプレイ、サウンドを出力するスピーカと、 を備え、 カメラにより取り込まれた画像を処理して物品識別情報を抽出し、 サーバに電子デバイスの言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求を送信する、 (c)システム。 (2)引用文献2,3に記載される技術 引用文献2の上記1(2)キ、クの記載によれば、引用文献2には、ユーザ端末が読み取ったタグ情報Itによって特定されるリクエストとユーザ端末が有する言語情報Igを情報管理サーバに送信し、情報管理サーバが、ユーザ端末からのリクエストと言語情報Igに応じて、対応するコンテンツ情報をユーザ端末に送信する技術であり、コンテンツ情報は、タグ情報Itが示すコンテンツのファイルのパス(「http://△△/abc」)に記憶された言語情報Igに対応付けられたコンテンツ情報Ic(コンテンツ提供サーバのURL)により管理されている技術が記載されている。 また、引用文献3の上記1(3)ケの記載によれば、引用文献3には、表示装置がネットワーク網を経由してWebサーバに接続する際に、表示言語設定記憶部に予め記憶してある表示言語情報をWebサーバに通知し、Webサーバが該当する言語のWebコンテンツを言語別コンテンツ記憶部から取得して表示装置に配信する技術であり、言語別コンテンツ記憶部には、各言語に作成されたWebコンテンツが作成された言語毎に分類されて記憶されている技術が記載されている。 このように、引用文献2,3には、『クライアント端末からサーバへ言語指定を含むコンテンツの要求が行われ、サーバからクライアント端末へ要求されたコンテンツを配信するシステムにおいて、要求されるコンテンツに対応させて、複数の言語に対応する言語別コンテンツを格納する技術』が記載されている。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)本願発明の構成(A)について 引用発明の「サーバ」は、「データストアと協働し、ユーザによる特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、ユーザに転送されるべきテキスト、グラフィック、オーディオ、ビデオなどのコンテンツを生成し、ユーザの電子デバイスに配信する」ものである。 ここで、「物品に関連するデジタルコンテンツ」は、物品についての情報、ブランドイメージ、ロゴ、広告コンテンツ、及び販売促進用コンテンツなどである、特定の物品に関連するテキスト、画像、ビデオコンテンツなどのデジタルコンテンツデータであるから、特定の物品を説明するビデオコンテンツ、すなわち、物品を案内するビデオコンテンツであり、ビデオコンテンツは一般に画像及び音声からなるものであるから、『物品についての画像及び音声による案内情報』である。 また、案内の対象となる「物品」は『案内対象』といえる。 さらに、引用発明の「サーバ」は、「データストア」と協働し、ユーザによる特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、ユーザに転送されるべきデジタルコンテンツを配信するものであるから、「データストア」に、物品毎にそれぞれの物品に関連する種類の複数のデジタルコンテンツを格納し、ユーザが指定した特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、そのデジタルコンテンツを配信するものといえ、『物品についての複数種のデジタルコンテンツをデータストアに格納しており、複数種のデジタルコンテンツから指定されたデジタルコンテンツを配信する』ものである。 以上のことから、引用発明の「サーバ及びデータストア」は、本願発明の構成(A)の「案内対象についての画像及び音声による案内情報を収納した複数種のコンテンツを格納しており、前記複数種のコンテンツから指定されたコンテンツを配信するコンテンツサーバ」と一致する。 (2)本願発明の構成(B)について 引用発明の「電子デバイス」は、ネットワークを介して、サーバに特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求を送信し、サーバから物品に関連するデジタルコンテンツを取り出す、つまり、サーバから要求に応じて配信されるデジタルコンテンツを取得するものであり、サーバから取り出したデジタルコンテンツは、電子デバイスにおいて再生されることは明らかである。 また、「電子デバイス」は携帯情報端末などであるから、『端末装置』である。 したがって、引用発明の「電子デバイス」は、本願発明の構成(B)の「前記コンテンツサーバにネットワークを介して接続され、前記コンテンツサーバに配信を求めるコンテンツを指定し、指定に応じて前記コンテンツサーバから配信されたコンテンツを取得して再生する端末装置」と一致する。 (3)本願発明の構成(C)について 引用発明の「システム」は、本願発明の「コンテンツサーバ」に相当する「サーバ及びデータストア」と、本願発明の「端末装置」に相当する「電子デバイス」とを備え、「サーバ」から「電子デバイス」へコンテンツを提供するものである。 また、引用発明の「電子デバイス」は、「物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラ」を備えており、「カメラにより取り込まれた画像を処理して物品識別情報を抽出し、サーバに電子デバイスの言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求を送信」し、「サーバ」は、ユーザによる特定の物品に関連するデジタルコンテンツを求める要求に応答して、デジタルコンテンツデータのうち、ユーザに転送されるべきコンテンツを選択して読み出し、電子デバイスに配信するものである。 ここで、QRコードは二次元コードであり、物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されているから、物品に配置されているものといえる。 また、物品識別情報は、サーバから、デジタルコンテンツデータのうち、特定の物品に関連するデジタルコンテンツを取り出すための情報であるから、上記(1)において検討した事項を考慮すると、引用発明の「システム」が取り扱う「物品」、すなわち『案内対象』には、『複数種のコンテンツから特定のコンテンツを指定する二次元コードが配置され』ているといえる。 したがって、引用発明の「システム」は、本願発明の構成(C)の「コンテンツサーバと、端末装置と、を備え、前記案内対象には、前記複数種のコンテンツから特定のコンテンツを指定する二次元コードが配置される、コンテンツ提供システム」と一致する。 (4)本願発明の構成(A1)について 本願発明の構成(A1)の「1種のコンテンツに対して複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段」は、本願明細書の段落【0025】の「コンテンツ格納部31は、複数種のコンテンツ、即ちコンテンツ1?コンテンツNについて、日本語、英語、中国語等の予め設定された言語に対応する言語別コンテンツを格納している。図3は同コンテンツ提供システムにおけるコンテンツサーバのコンテンツの格納状態を示す表である。」という記載、及び図3に示されるように、1種のコンテンツのそれぞれに対応させて、複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段である。 一方、引用発明の「データストア」は、上記(1)で検討したように、物品に関連する複数種のデジタルコンテンツを格納するものである。 さらに、引用発明は、サーバが、電子デバイスからの要求に応答して、デジタルコンテンツデータストアから、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択して読み出すものであり、電子デバイスの言語設定には複数の言語設定が存在することは明らかであり、言語に対応するコンテンツも言語に対応して複数あることは明らかであるから、引用発明の「データストア」には、特定の物品に関連する電子デバイスの言語設定に対応した複数の言語別コンテンツが格納されている。 すなわち、引用発明の「データストア」は、物品に関連する複数種のデジタルコンテンツを格納すると共に、物品に関連する電子デバイスの言語設定に対応した複数の言語別コンテンツを格納しているものであるものの、複数種のコンテンツのそれぞれに対応させて複数の言語別コンテンツを格納するとは特定されていない。 したがって、引用発明の「データストア」は、本願発明の構成(A1)と「複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段」というものである点で一致するものの、本願発明の「コンテンツ格納手段」は「1種のコンテンツに対して」複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するものであるのに対し、引用発明の「データストア」は、そのようなものとは特定されていない点で相違する。 (5)本願発明の構成(A2)について 引用発明の「サーバ」は、電子デバイスから、言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求を受けるものであり、電子デバイスからの要求に応答して、デジタルコンテンツデータのうち、電子デバイスの言語設定と一致する言語で提示されるコンテンツを選択して読み出すものであるから、本願発明の構成(A2)の「前記端末装置から指定されたコンテンツと前記端末装置から指定された言語に基づいて指定された言語に対応する言語別コンテンツを選択する」する機能を有しており、その機能を有する「サーバ」は、本願発明の構成(A2)の「言語別コンテンツ指定手段」を備えているといえる。 (6)本願発明の構成(B1)について 引用発明の「電子デバイス」は、「物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラ」と、「セルラー通信ネットワークを利用するワイドエリアネットワークや無線ネットワークを利用するローカルエリアネットワークを介して情報を送受信するためのネットワークデバイス」を備えており、その例として「携帯情報端末」がある。 すなわち、本願発明の「端末装置」に相当する引用発明の「電子デバイス」は、物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードをカメラにより撮影できる位置に配置することが可能であり、セルラー通信ネットワークや無線ネットワークに接続される携帯情報端末であるから、QRコードは物品に表示されているといえ、上記(3)において検討した事項を考慮すると、本願発明と構成(B1)の「前記案内対象に表示された二次元コードを撮影できる箇所に配置可能であり、モバイル通信又は無線通信によりネットワークに接続された携帯型端末であり」というものである点で一致する。 (7)本願発明の構成(B2)について 引用発明の「電子デバイス」は、「言語設定」が可能な「携帯情報端末など」であり、携帯情報端末で設定される言語設定は、携帯情報端末の「表示、入力のために使用される言語」を設定するものであることは明らかである。そして、そのような言語設定を行う設定部を備えているものといえる。 したがって、本願発明の「端末装置」に相当する引用発明の「電子デバイス」は、本願発明と構成(B2)の「前記端末装置において、表示、入力のために使用される言語が設定された言語設定部」という構成を備えている点で一致する。 (8)本願発明の構成(B3)について 引用発明の「電子デバイス」は、「物品に取り付けられたタグ又はラベルに表示されるQRコードの画像を取り込むカメラ」を備えており、上記(3)において検討した事項を考慮すると、引用発明の「カメラ」は、本願発明の構成(B3)の「前記二次元コードを撮像して画像データを出力する撮像手段」と一致する。 (9)本願発明の構成(B4)について 引用発明の「電子デバイス」は、「カメラにより取り込まれた画像を処理して物品識別情報を抽出」する機能を有しており、そのような機能を実現する手段を備えているといえる。 ここで、画像を処理して物品識別情報を抽出することは、画像を解析することであり、物品識別情報は、上記(3)において検討したように、サーバから、デジタルコンテンツデータのうち、特定の物品に関連するデジタルコンテンツを取り出すための情報であるから、本願発明の「所望のコンテンツを特定するコンテンツ指定データ」に相当する。 したがって、本願発明の「端末装置」に相当する引用発明の「電子デバイス」は、本願発明と構成(B4)の「前記画像データを解析して所望のコンテンツを特定するコンテンツ指定データを取得するコンテンツ解析手段」という構成を備えている点で一致する。 (10)本願発明の構成(B5)及び(B6)について 引用発明の「電子デバイス」は、「サーバに電子デバイスの言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求を送信する」機能を有している。 ここで、言語設定をサーバに送信するためには、上記(7)において検討した言語設定部から、電子デバイスの言語設定を取得する手段を有していることは明らかである。 したがって、本願発明の「端末装置」に相当する引用発明の「電子デバイス」は、本願発明と構成(B5)の「前記言語設定部に予め設定された前記端末装置の使用言語を特定する言語特定データを取得する言語特定データ取得手段」という構成を備えている点で一致する。 また、送信される「電子デバイスの言語設定を含む物品に関連するデジタルコンテンツの要求」は、特定の物品に関連するデジタルコンテンツを指定する物品識別情報と言語設定を特定する情報を合わせた情報であり、本願発明の「コンテンツ指定データ及び言語特定データに基づいて前記コンテンツサーバに要求するコンテンツを指定する指定信号」に相当するものである。そして、「電子デバイス」は、その指定信号を生成する機能を有し、その生成を行う手段を備えているものといえる。 したがって、本願発明の「端末装置」に相当する引用発明の「電子デバイス」は、本願発明と構成(B6)の「前記コンテンツ指定データ及び前記言語特定データに基づいて前記コンテンツサーバに要求するコンテンツを指定する指定信号を生成するコンテンツ指定手段」という構成を備えている点で一致する。 (11)本願発明の構成(B7)について 引用発明の「電子デバイス」は、「セルラー通信ネットワークを利用するワイドエリアネットワークや無線ネットワークを利用するローカルエリアネットワークを介して情報を送受信するためのネットワークデバイス」を備えており、このネットワークデバイスにより、上記(10)において検討した指定信号をサーバへ送出する制御を行っているといえる。 したがって、引用発明の「ネットワークデバイス」は、本願発明の構成(B7)の「前記指定信号を、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバに送出する通信制御部」と一致する。 (12)本願発明の構成(B8)について 引用発明の「電子デバイス」は、「デバイスによって生成された様々な画像を表示するディスプレイ、サウンドを出力するスピーカ」を備えている。 ここで、「電子デバイス」は、サーバから取り出したデジタルコンテンツを、このディスプレイとスピーカを利用して再生することは明らかであり、そのディスプレイとスピーカによる再生を実行する手段を備えているといえる。 したがって、引用発明の「ディスプレイ及びスピーカ」は、本願発明の構成(B8)の「前記コンテンツの画像を再生する手段及び音声を再生する手段」に相当し、引用発明の「電子デバイス」は、それらの再生する手段を備えた「コンテンツ再生手段」を有しているといえる。 (13)まとめ 上記(1)ないし(12)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次の通りである。 (一致点) 案内対象についての画像及び音声による案内情報を収納した複数種のコンテンツを格納しており、前記複数種のコンテンツから指定されたコンテンツを配信するコンテンツサーバと、 前記コンテンツサーバにネットワークを介して接続され、前記コンテンツサーバに配信を求めるコンテンツを指定し、指定に応じて前記コンテンツサーバから配信されたコンテンツを取得して再生する端末装置と、を備え、 前記案内対象には、前記複数種のコンテンツから特定のコンテンツを指定する二次元コードが配置される、コンテンツ提供システムであって、 前記コンテンツサーバは、 複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段と、 前記端末装置から指定されたコンテンツと前記端末装置から指定された言語に基づいて指定された言語に対応する言語別コンテンツを選択する言語別コンテンツ指定手段と、 を備え、 前記端末装置は、前記案内対象に表示された二次元コードを撮影できる箇所に配置可能であり、モバイル通信又は無線通信によりネットワークに接続された携帯型端末であり、 前記端末装置において、表示、入力のために使用される言語が設定された言語設定部と、 前記二次元コードを撮像して画像データを出力する撮像手段と、 前記画像データを解析して所望のコンテンツを特定するコンテンツ指定データを取得するコンテンツ解析手段と、 前記言語設定部に予め設定された前記端末装置の使用言語を特定する言語特定データを取得する言語特定データ取得手段と、 前記コンテンツ指定データ及び前記言語特定データに基づいて前記コンテンツサーバに要求するコンテンツを指定する指定信号を生成するコンテンツ指定手段と、 前記指定信号を、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバに送出する通信制御部と、 前記コンテンツの画像を再生する手段及び音声を再生する手段を備えたコンテンツ再生手段と、 を備える、 ことを特徴とするコンテンツ提供システム。 (相違点) 「コンテンツ格納手段」に関して、本願発明は「1種のコンテンツに対して」複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するものであるのに対し、引用発明の「データストア」は、そのようなものとは特定されていない点。 4.相違点の判断 上記「2.(2)引用文献2,3に記載される技術」において認定したように、引用文献2,3には、『クライアント端末からサーバへ言語指定を含むコンテンツの要求が行われ、サーバからクライアント端末へ要求されたコンテンツを配信するシステムにおいて、要求されるコンテンツに対応させて、複数の言語に対応する言語別コンテンツを格納する技術』が記載され、公知の技術である。 引用発明と上記公知技術は、『クライアント端末からサーバへ言語指定を含むコンテンツの要求が行われ、サーバからクライアント端末へ要求されたコンテンツを配信するシステム』という点で同じ技術分野に属しており、『要求されるコンテンツに対応させて、複数の言語に対応する言語別コンテンツを格納する』という上記公知技術を引用発明に適用することで、引用発明の「データストア」を、相違点に係る「1種のコンテンツに対して複数の言語に対応した複数の言語別コンテンツを格納するコンテンツ格納手段」とすることは、当業者が容易になし得たことである。 5.効果等について 本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。 6.まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は引用発明、及び引用文献2,3に記載される技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のように、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2,3に記載される技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-09-25 |
結審通知日 | 2017-10-17 |
審決日 | 2017-10-31 |
出願番号 | 特願2015-185753(P2015-185753) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 矢野 光治、岡本 正紀 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
清水 正一 冨田 高史 |
発明の名称 | コンテンツ提供システム、コンテンツサーバ、端末装置、コンテンツ提供方法、及びプログラム |
復代理人 | 宮尾 雅文 |
代理人 | 木村 高明 |
代理人 | 木村 高明 |
復代理人 | 宮尾 雅文 |