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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L |
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管理番号 | 1336556 |
審判番号 | 不服2017-4047 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-21 |
確定日 | 2018-02-13 |
事件の表示 | 特願2015-235214「電子証明書管理システム、電子証明書利用端末及び電子証明書管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 8日出願公開、特開2017-103614、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成27年12月1日の出願であって,平成28年5月27日付けで拒絶理由通知がされ,平成28年8月3日付けで手続補正がされ,平成28年8月19日付けで最後の拒絶理由通知がされ,平成28年10月28日付けで手続補正がされ,平成28年12月13日付けで平成28年10月28日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成29年3月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,平成29年4月26日に前置報告がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年12月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1-12に係る発明は,以下の引用文献1-7に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2010-63069号公報 2.国税庁,法人番号について,詳しく解説します,日本,[online],2015年 7月21日,[retrieved on 2016-08-19.] Retrieved from the Internet,URL,http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/houjinbangou/kuwasiku.htm 3.国税庁・内閣府,法人番号について,[online],2015年 5月,[retrieved on 2016-08-19.] Retrieved from the Internet,URL,https://web.archive.org/web/20151125211008/https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/houjingangou_gaiyou.pdf 4.片澤 友浩,ログ保存なら管理サーバー方式,日経NETWORK,2015年 7月,Vol. 184,pp. 76-81 5.特開2015-170303号公報 6.格安のSSL証明書を取得し自作サーバーに組み込む,日経Linux,2009年 5月,Vol. 11, No. 5,pp. 26-29 7.特開2001-57552号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって請求項1に「国が法人に固有に割り当てた特定法人番号を管理する法人情報管理装置に管理された前記特定法人番号を保有し,この保有している前記特定法人番号と,この前記特定法人番号に対応する情報として保有する法人情報とに基づいて,前記電子証明書の発行に必要であって前記特定法人番号と前記法人情報とを含んでいる前記申請情報を生成する端末と,前記端末の送信した」という事項(以下,「事項A」という。)を追加する補正は,補正前の請求項1に記載されている「法人情報」と「特定法人番号」が含まれる「申請情報」が,「端末」において「生成」され,かつ,「端末」から「送信」されるものであることを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,上記事項Aは,本願明細書の段落【0033】-【0036】,【0073】,図1,図3,図5,及び図9に記載されているから,上記事項Aは,当初明細書等に記載された事項であり,新規事項を追加するものではない。 そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1-12に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-12に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は,平成29年3月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 申請情報に基づいて電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システムであって, 発行した電子証明書に関する履歴を保持する証明書履歴記憶部と, 国が法人に固有に割り当てた特定法人番号を管理する法人情報管理装置に管理された前記特定法人番号を保有し,この保有している前記特定法人番号と,この前記特定法人番号に対応する情報として保有する法人情報とに基づいて,前記電子証明書の発行に必要であって前記特定法人番号と前記法人情報とを含んでいる前記申請情報を生成する端末と, 前記端末の送信した前記申請情報から前記申請情報に含まれる前記法人情報と前記特定法人番号とを取得し,前記取得した特定法人番号を,特定法人番号に国が対応付けた法人情報を併せて管理する前記法人情報管理装置に送信するとともに,前記法人情報管理装置から前記取得した特定法人番号に対応する法人情報を受信し,前記受信した法人情報と,前記申請情報に含まれる法人情報との一致の度合いに基づいて前記申請情報に含まれる法人情報の正当性を判定する法人情報判定部と, 前記法人情報判定部が前記申請情報に含まれる法人情報が正当であると判定した結果に対応して,前記申請情報に基づく電子証明書を発行する証明書発行部と, 前記証明書履歴記憶部に前記発行した電子証明書に関する履歴として前記電子証明書を発行したことを登録する履歴登録部とを備える ことを特徴とする電子証明書管理システム。 【請求項2】 前記証明書履歴記憶部に登録された前記電子証明書に関する履歴を外部からの要求に応じて検索及び出力する履歴検索部をさらに備える 請求項1に記載の電子証明書管理システム。 【請求項3】 公開鍵を記憶し,外部に公開する公開鍵記憶部をさらに備え, 前記発行した電子証明書に基づいて生成された公開鍵の登録情報に基づいて,前記登録情報の対象とする公開鍵を前記発行した電子証明書とともに前記公開鍵記憶部に登録する鍵登録部を備える 請求項1又は2に記載の電子証明書管理システム。 【請求項4】 前記申請情報には当該申請情報が送信された前記端末に備えられている位置測定装置で検出された現在位置を示す位置情報が含まれており,この申請情報に含まれる位置情報と前記特定法人番号に対応する法人情報に含まれる法人の所在地との一致の度合いを判定する位置情報処理部をさらに備え, 前記証明書発行部はさらに,前記電子証明書の発行に前記位置情報処理部の判定結果を反映させる 請求項1?3のいずれか一項に記載の電子証明書管理システム。 【請求項5】 ドメインとそのIPアドレスとを対応付けて管理するドメイン管理装置から前記申請情報の法人情報に対応するドメインに基づき得たIPアドレスと,前記申請情報を送信したドメインから得られたIPアドレスとの一致の度合いを判定するドメイン情報処理部をさらに備え, 前記証明書発行部はさらに,前記電子証明書の発行に前記ドメイン情報処理部の判定結果を反映させる 請求項1?4のいずれか一項に記載の電子証明書管理システム。 【請求項6】 前記申請情報には前記電子証明書を付した通信文の送信を担当する者を示す情報である送信者情報が含まれており, 前記証明書発行部は,前記送信者情報を含めて前記電子証明書を発行する 請求項1?5のいずれか一項に記載の電子証明書管理システム。 【請求項7】 前記申請情報には前記電子証明書の付された通信文の受信を担当する者を示す情報である受信者情報が含まれており, 前記証明書発行部は,前記受信者情報を含めて前記電子証明書を発行する 請求項1?6のいずれか一項に記載の電子証明書管理システム。 【請求項8】 前記電子証明書を受信した受信端末からの前記電子証明書の検証の依頼に基づいて判定した前記電子証明書の正当性の判定結果を前記受信端末に返信する返信部をさらに備え, 前記履歴登録部はさらに,前記受信端末から検証の依頼を受けた旨を前記電子証明書に関する履歴に対応付けて前記証明書履歴記憶部に登録する 請求項1?7のいずれか一項に記載の電子証明書管理システム。 【請求項9】 前記履歴登録部はさらに,前記返信部の判定結果を信頼した旨を前記受信端末から受けたとき,前記受信端末のドメイン情報及び前記受信端末の利用者のアドレス情報及び前記受信端末に前記電子証明書を送付した送信端末の利用者のアドレス情報の少なくとも1つの情報を取得し,前記取得した情報を前記電子証明書に関する履歴に対応付けて前記証明書履歴記憶部に登録する 請求項8に記載の電子証明書管理システム。 【請求項10】 電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システムに対して電子証明書の発行を申請する電子証明書利用端末であって, 前記電子証明書管理システムが請求項1?9のいずれか一項に記載の電子証明書管理システムであって, 前記電子証明書利用端末は,法人情報と法人に固有に割り当てられた特定法人番号とを含む申請情報を生成して前記電子証明書管理システムに送信し,この送信した申請情報に対して前記電子証明書管理システムが発行した電子証明書を受信するとともに,この受信した電子証明書に基づいて生成した一対の公開鍵及び秘密鍵のうちの公開鍵を前記電子証明書とともに前記電子証明書管理システムに公開を申請する申請部を備える ことを特徴とする電子証明書利用端末。 【請求項11】 電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システムに電子証明書の検証を要求する電子証明書利用端末であって, 前記電子証明書管理システムが請求項1?9のいずれか一項に記載の電子証明書管理システムであって, 前記電子証明書利用端末は,送信者から受信した特定法人番号を含む電子証明書を前記電子証明書管理システムに送信し,この送信した電子証明書の正当性の検証を前記電子証明書管理システムに要求し,この要求に対して正当であるとの判定が前記電子証明書管理システムから得られることに基づいて前記送信者が送信した電子証明書を信頼し,この電子証明書を信頼した旨を該電子証明書利用端末のドメイン情報及び該電子証明書利用端末の利用者のアドレス情報及び前記送信者のアドレス情報の少なくとも1つの情報とともに前記電子証明書管理システムに送信する受信部を備える ことを特徴とする電子証明書利用端末。 【請求項12】 申請情報に基づいて電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システムで用いられる電子証明書管理方法であって, 端末が,国が法人に固有に割り当てた特定法人番号を管理する法人情報管理装置に管理された前記特定法人番号を保有し,この保有している前記特定法人番号と,この前記特定法人番号に対応する情報として保有する法人情報とに基づいて,前記電子証明書の発行に必要であって前記特定法人番号と前記法人情報とを含んでいる前記申請情報を生成し, 法人情報判定部が,前記端末の送信した前記申請情報から前記申請情報に含まれる前記法人情報と前記特定法人番号とを取得し,前記取得した特定法人番号を,特定法人番号に国が対応付けた法人情報を併せて管理する前記法人情報管理装置に送信するとともに,前記法人情報管理装置から前記取得した特定法人番号に対応する法人情報を受信し,前記受信した法人情報と前記申請情報に含まれる法人情報との一致の度合いに基づいて前記申請情報に含まれる法人情報の正当性を判定し, 証明書発行部が,前記法人情報判定部で前記申請情報に含まれる法人情報が正当であると判定した結果に対応して前記申請情報に基づく電子証明書を発行し, 履歴登録部が,証明書履歴記憶部に前記発行した電子証明書に関する履歴として前記電子証明書を発行したことを登録する ことを特徴とする電子証明書管理方法。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) A 「【0017】 図1は,本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように,本情報処理システム100は,電子認証の認証局として機能する認証局システム10と,インターネット情報検索サービスを提供する検索サーバ20と,各種サービスを提供する複数のウェブサーバ30と,ユーザの使用するユーザ端末40とを備え,これらがインターネット等のネットワーク50を介して相互に接続されることにより構成されている。 【0018】 認証局システム10は,電子署名解析用の公開鍵が真正であることを証明するデータである電子証明書を発行するコンピュータ・システムであり,電子証明書の発行申請を受け付ける受付サーバ12と,登録局として機能する複数の登録局システム14と,発行局として機能する発行局システム16とを備えている。これらはLAN等の通信回線を介して,それぞれ相互に通信可能になっている。 【0019】 受付サーバ12は,電子証明書の発行を受けようとする申請者がウェブサーバ30又はユーザ端末40等を用いて提出(送信)する申請書類データを受け付けるためのコンピュータである。受付サーバ12は,申請に必要なデータ,すなわち,ウェブサイトのURL,法人名,所在地,申請責任者氏名,電子証明書の用途などを記載した所有者情報と,所定のアルゴリズムを用いて生成された公開鍵と,を受け取る。 【0020】 登録局システム14は,電子証明書の発行申請者が受付サーバ12に提出した所有者情報を審査するためのコンピュータ・システムであり,審査の結果,所有者情報に問題が無ければ,発行局システム16に審査結果を送り,電子証明書の発行を要求する。 【0021】 本実施形態では,登録局システム14を複数設け,各登録局システム14はそれぞれ異なる観点で独立に,申請者の信頼性の審査・認証を行う点に特徴を有している。例えば,3つの登録局システム14を備え,一の登録局システム14は,医師法,薬事法,通販法,競馬法等のコンプライアンス(法令遵守)を中心としたサイト審査で,申請者の運営するウェブサイトの関連法案への順法性を審査する。そして,他の登録局システム14では,登記簿を確認し,また,ドメイン証明サービスにより,法的及びインターネット上での申請者の存在を審査する。さらに,残りの登録局システム14では,経営者へのヒアリングや電話等を通じて申請者の実在性(リアルな存在)を審査する。このように,複数,本実施形態では3つの登録局システム14において,それぞれ独立に異なる審査を行い,全ての登録局システム14で認証されて初めて,発行局システム16が電子証明書を発行する。こうして,複数の登録局システム14が,それぞれ独自の強みとして持っているデータベースを独立に利用して審査・認証を行うことにより,プロダクトミックス効果が生まれ,登録局システム14がそれぞれ単体で認証する場合に比べて,電子証明書の価値が何倍にも高まる。 【0022】 発行局システム16は,複数の登録局システム14による審査の結果,全ての登録局システムから認証を得られた場合に限り,電子証明書の発行を行うコンピュータ・システムである。また,申請者に対して電子証明書を発行するとともに,図示しないリポジトリと呼ばれる電子証明書の保管サーバに,発行した電子証明書を格納する。発行局システム16は,電子証明書を発行する際,公開鍵暗号方式を用いて,発行者による電子署名がなされる。申請者はこの電子証明書により,ウェブサイトや電子メールが本物であることを確認したり,運営している組織の実在性を確認したり,ウェブサイトとの通信の暗号化をしたりすることができる。なお,保管サーバ(リポジトリ)に格納された電子証明書は公開され,ユーザ端末40からの要求に基づいて,電子証明書をユーザ端末40に出力する。」 B 「【図1】 」 C 「【図3 」 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「電子認証の認証局として機能する認証局システム10と,ユーザの使用するユーザ端末40とを備えた情報処理システムであって, 認証局システム10は,電子署名解析用の公開鍵が真正であることを証明するデータである電子証明書を発行するコンピュータ・システムであり,電子証明書の発行申請を受け付ける受付サーバ12と,登録局として機能する複数の登録局システム14と,発行局として機能する発行局システム16とを備えており, 受付サーバ12は,電子証明書の発行を受けようとする申請者がユーザ端末40を用いて提出(送信)する申請書類データを受け付けるためのコンピュータであり,申請に必要なデータ,すなわち,ウェブサイトのURL,法人名,所在地,申請責任者氏名,電子証明書の用途などを記載した所有者情報と,所定のアルゴリズムを用いて生成された公開鍵と,を受け取り, 登録局システム14は,電子証明書の発行申請者が受付サーバ12に提出した所有者情報を審査するためのコンピュータ・システムであり, 複数の登録局システム14のうちの一の登録局システム14は,医師法,薬事法,通販法,競馬法等のコンプライアンス(法令遵守)を中心としたサイト審査で,申請者の運営するウェブサイトの関連法案への順法性を審査し,他の登録局システム14では,登記簿を確認し,また,ドメイン証明サービスにより,法的及びインターネット上での申請者の存在を審査し,さらに,残りの登録局システム14では,経営者へのヒアリングや電話等を通じて申請者の実在性(リアルな存在)を審査し, 発行局システム16は,複数の登録局システム14による審査の結果,全ての登録局システムから認証を得られた場合に限り,申請者に対して電子証明書を発行するとともに,リポジトリと呼ばれる電子証明書の保管サーバに,発行した電子証明書を格納する, 情報処理システム。」 2.引用文献2について また,原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。 D 「法人番号は,どなたでも利用可能で,インターネット上で公表します。 国税庁法人番号公表サイトの特徴 (1)法人情報を番号・名称・所在地で検索(当審注:原文の丸付き数字は,カッコ()で囲んだ数字で表記した。以下,同様。) (2)法人情報のダウンロード機能 (3)Web-API機能(システム間連携インタフェース) + (4)マルチデバイス対応 パソコンからの利用に加えて,タブレット,スマートフォンからも利用可能 検索機能 ・あいまい検索 ・絞り込み検索 ・五十音順,都道府県別の並び替え データダウンロード機能 ・月末時点のすべての最新情報 ・日次の更新情報 ・データ形式はCSV,XML Web-API機能 企業等のシステムから法人情報を直接取得するためのインタフェースの提供」(第3/6ページ,「法人番号は,どなたでも利用可能で,インターネット上で公表します。」の項) 3.引用文献3について また,原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。 E 「法人番号の利活用事例(2) ?法人番号公表サイトを利用した新規営業先等の把握? ?現状? 新規営業先の開拓や会員勧誘先の把握にあたり,様々な情報源から情報を入手しており,手間とコストがかさむ。 インターネット 登記所 信用調査会社 ↓ 新規営業先 会員勧誘先の把握 <人件費,手数料等> ?法人番号利活用後? 法人番号公表サイトを利用すれば・・・ 新たに法人番号を指定した法人(≒新規設立法人)の情報から,新規営業先や会員勧誘先を効率的に把握可能に!! 国税庁 法人番号公表サイト ↓ ↓ ダウンロード ZIP(.csv) ↓ 法人番号指定年月日で絞込み ↓ 新規設立法人の抽出(※) 新規営業先 会員勧誘先の把握 <効率化> (※)番号法施行(平成27年10月)後,株式会社などの設立登記法人が設立された場合,法務省から連絡される登記情報に基づき法人番号を指定・通知し,当該情報を公表します。」(第5ページ,「法人番号の利活用事例(2)」の項) 4.引用文献4-7について(省略) 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明における「申請書類データ」は,電子証明書の発行を受けようとする申請者が提出する“情報”である点で,本願発明1の「申請情報」に対応するものであり,引用発明における「電子証明書」は,電子署名解析用の公開鍵が真正であることを証明するデータであるから,本願発明1の「電子証明書」に相当する。 また,引用発明の「情報処理システム」は,「申請者に対して電子証明書を発行するとともに,リポジトリと呼ばれる電子証明書の保管サーバに,発行した電子証明書を格納」していることから,「電子証明書を管理する」「システム」であるといえる。 そうすると,引用発明の「情報処理システム」と本願発明1の「電子証明書管理システム」とは, 「申請情報に基づいて電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システム」である点で一致する。 イ 引用発明は,「電子証明書の発行を受けようとする申請者がユーザ端末40を用いて提出(送信)する申請書類データ」を受付サーバ12に送信するものであり,「ユーザ端末40」は,「提出(送信)する申請書類データ」を「生成」しているといえるから,引用発明の「ユーザ端末40」が本願発明1の「申請情報を生成する端末」に相当する。 ウ 引用発明の発行局システム16は,「複数の登録局システム14による審査の結果,全ての登録局システムから認証を得られた場合に限り,申請者に対して電子証明書を発行する」ものであるところ,当該「審査」は,「電子証明書の発行を受けようとする申請者がユーザ端末40を用いて提出(送信)する申請書類データ」に基づいて行われるものであるから,発行局システム16は,「申請書類データに基づく電子証明書を発行する」ものであるといえる。 そうすると,引用発明の「発行局システム16」が本願発明1の「前記申請情報に基づく電子証明書を発行する証明書発行部」に相当する。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「申請情報に基づいて電子証明書を発行し,この発行した電子証明書を管理する電子証明書管理システムであって, 前記申請情報を生成する端末と, 前記申請情報に基づく電子証明書を発行する証明書発行部とを備える 電子証明書管理システム。」 (相違点) (相違点1)本願発明1の電子証明書管理システムは,「発行した電子証明書に関する履歴を保持する証明書履歴記憶部」と「前記証明書履歴記憶部に前記発行した電子証明書に関する履歴として前記電子証明書を発行したことを登録する履歴登録部」を備えるのに対し,引用発明の情報処理システムはそのような構成を備えていない点。 (相違点2)本願発明1の端末は,「国が法人に固有に割り当てた特定法人番号を管理する法人情報管理装置に管理された前記特定法人番号を保有し,この保有している前記特定法人番号と,この前記特定法人番号に対応する情報として保有する法人情報とに基づいて,前記電子証明書の発行に必要であって前記特定法人番号と前記法人情報とを含んでいる前記申請情報を生成する」のに対し,引用発明のユーザ端末40は,そのような構成となっていない点。 (相違点3)本願発明1の電子証明書管理システムは,「前記端末の送信した前記申請情報から前記申請情報に含まれる前記法人情報と前記特定法人番号とを取得し,前記取得した特定法人番号を,特定法人番号に国が対応付けた法人情報を併せて管理する前記法人情報管理装置に送信するとともに,前記法人情報管理装置から前記取得した特定法人番号に対応する法人情報を受信し,前記受信した法人情報と,前記申請情報に含まれる法人情報との一致の度合いに基づいて前記申請情報に含まれる法人情報の正当性を判定する法人情報判定部」を備え,「前記法人情報判定部が前記申請情報に含まれる法人情報が正当であると判定した結果に対応して」,電子証明書を発行するのに対し,引用発明の情報処理システムはそのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて,上記相違点2及び3について先に検討すると,相違点2及び3に係る本願発明1の構成は,端末が,法人情報(以下,「第1法人情報」という。)と「特定法人番号」とを含んだ申請情報を送信すると,申請情報から「特定法人番号」を取得して法人情報管理装置に送信し,法人情報管理装置から,送信した「特定法人番号」に対応する法人情報(以下,「第2法人情報」という。)を受信することに加えて,申請情報に含まれる第1法人情報と,法人情報管理装置から受信した第2法人情報との一致の度合いに基づいて前記申請情報に含まれる法人情報の正当性を判定するというものであるのに対して,引用発明は,法人情報を確認する際に,登記簿を確認するものの,引用発明では,登記簿の確認をシステムで自動的に実行しているのか,あるいは人手で行っているのか等について何らの記載もないうえに,法人番号を使用することについて,何ら記載も示唆もなく,引用発明の情報処理システムにおいて,法人番号を活用したシステムを構築しようとする動機付けが存在しなから,たとえ,引用文献2(上記Dの記載を参照)に,法人番号を用いて法人名称や法人所在地が検索できるサービス,及びそのためのWeb-API機能について記載され,また,上記引用文献3(上記Eの記載を参照)に,現状では登記所から入手している情報を法人番号検索サイトを利用すれば効率的に入手できることが記載されているとしても,そのことだけで,引用発明の登録局システム14を,法人番号を利用して法人情報を検索し,検索結果と申請情報に含まれる法人情報との一致の度合いに基づいて申請情報に含まれる法人情報の正当性を判定するようなシステムとして構築することまで当業者が容易に想到することができたということはできない。 したがって,本願発明1は,相違点1を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明,及び引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-11について 本願発明2-11は,本願発明1を直接または間接に引用するものであり,本願発明1の上記相違点2及び相違点3に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2,3に記載された技術的事項,及び引用文献4-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明12について 本願発明12は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1の上記相違点2及び相違点3に係る構成に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,及び引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 1.理由1(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により,本願発明1-12は,上記相違点2及び相違点3に係る構成を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由1を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-01-29 |
出願番号 | 特願2015-235214(P2015-235214) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 金木 陽一、脇岡 剛、児玉 崇晶 |
特許庁審判長 |
石井 茂和 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 仲間 晃 |
発明の名称 | 電子証明書管理システム、電子証明書利用端末及び電子証明書管理方法 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |