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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01D |
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管理番号 | 1336564 |
審判番号 | 不服2017-4860 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-06 |
確定日 | 2018-02-13 |
事件の表示 | 特願2013-258858「表示制御装置、表示制御方法、および表示制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年6月22日出願公開、特開2015-114300、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この審判事件に関する特許出願(以下、「本願」という。)は、平成25年12月16日にされたものであって、平成29年1月26日に特許請求の範囲及び明細書についての補正がされた。そして、同年2月14日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、同21日に査定の謄本が送達された。 これに対して、同年4月6日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲及び明細書についての補正がされた。 第2 本願に係る発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項17に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明17」という。)は、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項17に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部と、 前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、表示制御装置。 【請求項2】 前記計測情報以外の情報を示す情報画像を生成する情報画像生成部と、 前記情報画像生成部にて生成された前記情報画像と、前記計測描画オブジェクト生成部にて生成された前記第1の計測描画オブジェクトおよび前記第2の計測描画オブジェクトのうちの少なくとも1つとを合成する画像合成部と、 を備えることを特徴とする、請求項1に記載の表示制御装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記予め定められた条件として前記情報画像生成部が前記情報画像を生成したとき、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとを生成するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項2に記載の表示制御装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠内を無模様とするように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠に対して予め定められた変形を加えるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記中間表示形態において、前記第1の描画オブジェクトの前記外形枠と前記第2の計測描画オブジェクトとの表示位置を予め定められた位置に移動するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項7】 前記第1の計測描画オブジェクトはアナログメータを示し、前記第2の計測描画オブジェクトはデジタルメータを示し、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠は前記アナログメータの外形を示すことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項8】 前記制御部は、前記中間表示形態において、前記アナログメータの外形を徐々に縮小し、前記アナログメータの外形が前記デジタルメータに対して予め定められた大きさとなったときに前記アナログメータの外形を消去するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項7に記載の表示制御装置。 【請求項9】 前記制御部は、前記中間表示形態において、前記アナログメータの外形および前記デジタルメータを同じ大きさにした後、前記アナログメータの外形および前記デジタルメータを徐々に縮小し、前記アナログメータの外形および前記デジタルメータが予め定められた大きさとなったときに前記アナログメータの外形を消去するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、請求項7に記載の表示制御装置。 【請求項10】 前記計測情報以外の情報は、カメラによって撮影された映像に関する情報、あるいは予め定められた自車両内イベントに関する情報であることを特徴とする、請求項2から9のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項11】 前記自車両内イベントは、警報表示または電話の着信であることを特徴とする、請求項10に記載の表示制御装置。 【請求項12】 前記計測情報以外の情報は、前記自車両を経路誘導する経路誘導に関する情報であることを特徴とする、請求項2から9のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項13】 前記経路誘導に関する情報は、地図に関する情報を含むことを特徴とする、請求項12に記載の表示制御装置。 【請求項14】 前記デジタルメータの色調は、前記アナログメータの色調と同じであることを特徴とする、請求項7から13のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項15】 前記第2の計測描画オブジェクトは、前記計測情報をその中に表現する外形枠を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の表示制御装置。 【請求項16】 (a)自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する工程と、 (b)前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記工程(a)を制御する工程と、 を備え、 前記工程(b)は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記工程(a)を制御することを特徴とする、表示制御方法。 【請求項17】 表示装置と、当該表示装置に画像を表示するよう制御する表示制御装置とを備える表示制御システムであって、 前記表示制御装置は、 自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部と、 前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、表示制御システム。」 なお、本願発明2ないし本願発明15は、いずれも本願発明1の構成を全て含む。また、本願発明16は、本願発明1に係る表示制御装置の動作を方法の発明として表現したものであり、本願発明17は、本願発明1に係る表示制御装置を備える表示制御システムの発明である。 第3 原査定の概要 本願発明1ないし本願発明17は、いずれも、後記の引用文献1ないし引用文献3に記載された発明と、例えば後記の引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2008-267880号公報 引用文献2:特開2010-030330号公報 引用文献3:特開2009-107482号公報 引用文献4:特開2008-195393号公報 引用文献5:特開2009-025173号公報 引用文献6:特開2003-159960号公報 引用文献7:特開2007-131291号公報 第4 引用文献に記載された事項 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 「【0017】 図1に示す表示装置1は、例えば、車載用の表示装置として使用され、表示パネルである液晶パネル2と、発光ダイオード3と、制御手段であるCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)4と描画IC(集積回路)5と、ROM(リード・オンリー・メモリ)41と、記憶データの書き換えが可能な画像メモリ51とを備える。」 「【0020】 CPU4からの指示により、画像データがROM41から画像メモリ51へ転送され、描画IC5は、画像メモリ51の画像データと、入力した計測量やインジケータ/ウォーニング情報に基いて、各画素21において赤色画素と緑色画素と青色画素に印加する電圧を制御し、複数の画素21の各表示状態を制御する。これにより、図2に示すように、回転メータ画像7や、これを縮小した縮小画像7bや、速度メータ画像8や、これを縮小した縮小計器画像8bや、インジケータ/ウォーニング画像91-94b等を液晶パネル2に表示させる。」 「【0024】 速度メータ画像8は、当該自動車の速度を表示する速度メータを表す画像であり、回転メータ画像7と同様に、当該自動車の速度の増減に従って動く(回動する)指針を表す指針画像81と、指針が指し示す目盛であって指針が回動する方向に沿って配列された目盛を表す目盛画像82と、指針が指し示す文字を表す文字画像83とを備える。指針画像81は、当該自動車の速度の増減に従って、回転中心81cを中心として回動し、目盛画像82が、指針画像81の回動に沿って略円弧状に配列される。インジケータ/ウォーニング画像91-94aは、メッセージ等を含むインジケータとウォーニングとを表す画像である。 【0025】 以下、本発明の特徴である速度メータ画像8の表示切替を中心にして、図2に基いて説明する。 【0026】 ナイトビジョンスイッチ11がオフされている場合、図2(a)に示す速度メータ画像8を液晶パネル2に表示し、ナイトビジョンスイッチ11がオンされると、速度メータ画像8から図2(b)に示す中間計器画像8aへ表示を切り替える。ナイトビジョンスイッチ11がオンされてから所定時間(例えば1秒)を経過する間に、図2(c)に示す縮小計器画像8bの大きさまで徐々に中間計器画像8aを縮小して、中間計器画像8aから縮小計器画像8bに表示を切り替える。 【0027】 縮小計器画像8bは、速度メータ画像8と同じ当該自動車の速度を表す画像であるが、速度メータ画像8より縮小され、速度メータ画像8と異なる形態の画像である。具体的に、縮小計器画像8bは、指針画像81と目盛画像82と文字画像83の代わりに、当該自動車の速度を表す数字画像81bと、目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82bであって目盛画像82の配列形状(図2(a)において円弧状)を略相似的に縮小した形状(図2(c)において円弧状)に沿って配列した目盛画像82bとを備える。また、数字画像81bは、目盛画像82bによって囲まれた内側に設けられる。」 「【0031】 中間計器画像8aは、速度メータ画像8と同じ当該自動車の速度を表す画像であり、速度メータ画像8と同じ大きさの画像であるが、速度メータ画像8と形態が異なり、縮小計器画像8bと同じ形態の画像である。具体的に、中間計器画像8aは、目盛画像82と同じ目盛画像82aと、指針画像81と文字画像83の代わりに数字画像81bと同じ数字画像81aとを備える。」 「【0034】 中間計器画像8aが、速度メータ画像8と同じ大きさで且つ縮小計器画像8bと形態が同一であるため、速度メータ画像8と縮小計器画像8bとの間で表示を切り替える際、この表示切替による画像の変化を緩和できる。即ち、この表示切替の間で中間計器画像8aへ表示を切り替えることによって、速度メータ画像8と縮小計器画像8bとの間の表示切替による画像の形態と大きさとの両方の変化を、速度メータ画像8と中間計器画像8aとの間の表示切替による画像の形態の変化と、縮小計器画像8bと中間計器画像8aとの間の表示切替による画像の大きさの変化とに分けることができる。このため、速度メータ画像8と縮小計器画像8bとの間の表示切替による画像の変化を緩和できる。」 【図1】 【図2】 (2)引用文献1に記載された発明 引用文献1の前記(1)の記載(特に下線を付した部分及び図2)によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「液晶パネル2と、制御手段であるCPU4及び描画IC5とを備え、 ナイトビジョンスイッチ11がオフされている場合、速度メータ画像8を液晶パネル2に表示し、ナイトビジョンスイッチ11がオンされると、速度メータ画像8から中間計器画像8aへ表示を切り替え、ナイトビジョンスイッチ11がオンされてから所定時間を経過する間に、縮小計器画像8bの大きさまで徐々に中間計器画像8aを縮小して、中間計器画像8aから縮小計器画像8bに表示を切り替える表示装置1であって、 速度メータ画像8は、自動車の速度を表示する速度メータを表す画像であって、自動車の速度の増減に従って回動する指針を表す指針画像81と、指針が指し示す目盛であって指針が回動する方向に沿って配列された目盛を表す目盛画像82と、目盛画像82によって囲まれた内側に設けられ、指針が指し示す文字を表す文字画像83とを備え、 中間計器画像8aは、目盛画像82と同じ目盛画像82aを備え、目盛画像82aによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81aが設けられ、 縮小計器画像8bは、速度メータ画像8と同じ自動車の速度を表す画像であるが、速度メータ画像8より縮小され、速度メータ画像8と異なる形態の画像であり、目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82bを備え、目盛画像82bによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81bが設けられている、表示装置1。」 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 引用文献2には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 「【0011】 図1において車両用表示装置は、画像表示手段10と、制御手段20とから構成され、この制御手段20には車両情報検出手段30及び撮像素子40からの各入力信号を受信可能に構成されている。」 「【0017】 図2は、前記車両情報として計測情報をアナログ表示する第1の表示モードを示すものである。この第1の表示モードでは、前記エンジン回転数を表示する第1のアナログ表示画像101と、前記車速を表示する第2のアナログ表示画像102とが表示される。第1,第2のアナログ表示画像101,102は、それぞれアナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像Mと、これら指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像Rを含み、前記各車両情報の変化に応じて指針画像Pの表示位置を移動させて前記各車両情報を表示する。この場合、第2のアナログ表示画像102は指針Pによって車速が「60km/h」であることを示している。 【0018】 制御手段20は、画像表示手段10が図2に示す第1の表示モードである場合に、前記切換信号として例えば所定のスイッチ入力を検出すると、画像表示手段10の表示モードを第1の表示モードから図4に示す第2の表示モードに切り換える。 【0019】 この第2の表示モードでは、前記計測情報として第1のアナログ表示画像101と、撮像素子40からの映像となる撮像画像103とが表示されると共に、第1の表示モードでは第2のアナログ表示画像102によってアナログ表示されていた車速からなる計測情報は、第2の表示モードではデジタル表示画像(文字画像)104として、第2のアナログ表示画像102が表示されていた所定領域PA内に表示される。この場合、デジタル表示画像104は車速が「60km/h」であることを示している。 【0020】 この場合、所定領域PAは、図4にて点線にて示すように、第2のアナログ表示画像102を構成するリングRの外径線にて画定することができ、アナログとデジタルでの表示位置のばらつきを抑える観点から、この外径線内に全てのデジタル表示画像104が収まるように表示位置を設定することが望ましい。 【0021】 また本実施形態では、図2に記載した第1の表示モードから図4に記載した第2の表示モードに切り替わる際、各モードの間に図3に示す中間表示モードを挟むようにしている。 【0022】 この中間表示モードでは、第1,第2のアナログ表示画像101,102に加えて、撮像画像103と、デジタル表示画像104が表示される。この場合、撮像画像103は、第1,第2のアナログ表示画像101,102の間に表示され、またデジタル表示画像104は、第2のアナログ表示画像102の図3中、下側に隣接して表示される。 【0023】 このように第2のアナログ表示画像102とデジタル表示画像104とを図3中上下に併記した状態である中間表示モードを経て第2の表示モードに移行することにより、デジタル表示画像104が移動したように見える。」 「【0026】 また本実施形態では、制御手段20が、前記第1の表示モードから前記第2の表示モードに移行する場合、中間表示モードを経て移行するように設定されており、この中間表示モードにてデジタル表示画像104をアナログ表示画像102と共に一旦表示させ、その後、デジタル画像104を所定領域PA内に表示させてなることにより、デジタル表示画像104とアナログ表示画像102とを同時に表示した後、デジタル画像104を所定領域PA内に表示するため、モード変更に際して表示態様の急激な変化を抑え、これにより情報の認識性をより一層高めることができる。」 「【0029】 図5は、本発明の第2の実施形態として中間表示モードの変形例を示すもので、図3に示した中間表示モードとの相違点は、デジタル表示画像104の位置である。 【0030】 すなわち、図3に示す中間表示モードでは、デジタル表示画像104を第2のアナログ表示画像102の図3中下側に表示したが、図5に示す中間表示モードでは、第2のアナログ表示画像102の領域内に表示している。 【0031】 このように構成することによって、前記第1の実施形態と同様の効果を期待できる。」 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 (2)引用文献2に記載された発明 引用文献2の前記(1)の記載(特に下線を付した部分)によれば、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 「画像表示手段10と、制御手段20とから構成され、 制御手段20は、画像表示手段10が第1の表示モードである場合に、所定のスイッチ入力を検出すると、画像表示手段10の表示モードを第1の表示モードから第2の表示モードに切り換え、 第1の表示モードから第2の表示モードに切り替わる際、各モードの間に中間表示モードを挟むようにしている車両用表示装置であって、 第1の表示モードでは、エンジン回転数を表示する第1のアナログ表示画像101と、車速を表示する第2のアナログ表示画像102とが表示され、第1、第2のアナログ表示画像101、102は、それぞれアナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像Mと、これら指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像Rを含み、各車両情報の変化に応じて指針画像Pの表示位置を移動させて各車両情報を表示し、 第2の表示モードでは、第1の表示モードでは第2のアナログ表示画像102によってアナログ表示されていた車速からなる計測情報は、デジタル表示画像(文字画像)104として、第2のアナログ表示画像102が表示されていた所定領域PA内に表示され、 中間表示モードでは、デジタル表示画像104を第2のアナログ表示画像102の領域内に表示している車両用表示装置。」 3 引用文献3 引用文献3(特に【0031】)には、車間距離センサ15からの計測値が所定の値になったときに、車両用表示装置Dの表示形態を切り替えることが記載されている。 4 引用文献4及び引用文献5 引用文献4(特に図13)及び引用文献5(特に図9)には、地図上にメータを表示することが記載されている。 5 引用文献6及び引用文献7 引用文献6(特に【0002】、【0003】、【0042】ないし【0050】)及び引用文献7(特に【0054】ないし【0065】)には、車両用計器を構成する各部位を順次点灯させて段階的に表示することが記載されている。 第5 本願発明1についての対比・判断 1 引用発明1との対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明1の「自動車の速度」は、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報」に相当する。 イ 引用発明1の「速度メータ画像8」は、「自動車の速度を表示する速度メータを表す画像」であるから、前記アを踏まえると、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示」す「第1の計測描画オブジェクト」に相当する。 ウ 引用発明1の「速度メータ画像8」は、「自動車の速度を表示する速度メータを表す画像であって、自動車の速度の増減に従って回動する指針を表す指針画像81と、指針が指し示す目盛であって指針が回動する方向に沿って配列された目盛を表す目盛画像82と、目盛画像82によって囲まれた内側に設けられ、指針が指し示す文字を表す文字画像83とを備え」るから、「目盛画像82」の内側に「自動車の速度を表示する」「指針画像81」及び「文字画像83」があることが明らかである。 したがって、前記アを踏まえると、引用発明1の「目盛画像82」は、本願発明1の「当該計測情報をその中に表現する外形枠」に相当する。 エ 前記アないしウをまとめると、引用発明1の「自動車の速度を表示する速度メータを表す画像であって、自動車の速度の増減に従って回動する指針を表す指針画像81と、指針が指し示す目盛であって指針が回動する方向に沿って配列された目盛を表す目盛画像82と、目盛画像82によって囲まれた内側に設けられ、指針が指し示す文字を表す文字画像83とを備え」る「速度メータ画像8」は、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクト」に相当する。 オ 引用発明1の「速度メータ画像8と同じ自動車の速度」は、前記エを踏まえると、本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報」に相当する。 カ 引用発明1の「縮小計器画像8b」は、「速度メータ画像8と同じ自動車の速度を表す画像であるが、速度メータ画像8より縮小され、速度メータ画像8と異なる形態の画像であり、目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82bを備え、目盛画像82bによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81bが設けられている」から、前記オを踏まえると、本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクト」に相当する。 キ 引用発明1は、「速度メータ画像8を液晶パネル2に表示し、」「縮小計器画像8bに表示を切り替える」ものであるから、「速度メータ画像8」及び「縮小計器画像8b」を生成する画像生成部を備えると認められ、したがって、前記エ及びカを踏まえると、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部」に相当する構成を備える。 ク 前記エ及びカを踏まえると、引用発明1が「速度メータ画像8を液晶パネル2に表示し」た状態及び「縮小計器画像8bに表示を切り替え」た状態は、それぞれ本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態」及び「前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態」に相当する。 ケ 引用発明1が「速度メータ画像8から中間計器画像8aへ表示を切り替え、」「縮小計器画像8bの大きさまで徐々に中間計器画像8aを縮小して、中間計器画像8aから縮小計器画像8bに表示を切り替える」際に「中間計器画像8a」を表示した状態は、「速度メータ画像8」と「縮小計器画像8b」との間における遷移中の状態といえるから、前記クを踏まえると、本願発明1の「前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態」に相当する。 コ 引用発明1は、「速度メータ画像8を液晶パネル2に表示し、」「速度メータ画像8から中間計器画像8aへ表示を切り替え、」「縮小計器画像8bの大きさまで徐々に中間計器画像8aを縮小して、中間計器画像8aから縮小計器画像8bに表示を切り替える」ものであるから、前記ク及びケを踏まえると、本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部」に相当する構成を備える。 サ 引用発明1において「ナイトビジョンスイッチ11がオンされる」ことは、本願発明1の「予め定められた条件」に相当するから、引用発明1において「ナイトビジョンスイッチ11がオンされると、速度メータ画像8から中間計器画像8aへ表示を切り替え」ることと、本願発明1において「前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する」こととは、前記コを踏まえると、「前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態を生成するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する」点で共通する。 シ 引用発明1の「制御手段であるCPU4及び描画IC5」は、「表示装置1」を制御する装置であり、「液晶パネル2」に「速度メータ画像8」、「中間計器画像8a」及び「縮小計器画像8b」を表示させていることが明らかであるから、本願発明1の「表示制御装置」に相当する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部と、 前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態を生成するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する表示制御装置。」 イ 相違点 (相違点1) 本願発明1は、「前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置する」のに対し、 引用発明1は、「中間計器画像8a」が「目盛画像82と同じ目盛画像82a」(本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠」に相当する。)を備えるものの、「目盛画像82aによって囲まれた内側」(本願発明1の「当該外形枠内」に相当する。)に設けられるのは、「自動車の速度を表す数字画像81a」であって、「縮小計器画像8b」(本願発明1の「前記第2の計測描画オブジェクト」に相当する。)ではない点。 (3)相違点1についての判断 ア 引用発明1の「中間計器画像8a」の「目盛画像82と同じ」「目盛画像82aによって囲まれた内側」に、「自動車の速度を表す数字画像81a」ではなく、「縮小計器画像8b」を設ければ、引用発明1は、相違点1に係る本願発明1の構成を備えることになる。 (ア)しかし、引用発明1の「縮小計器画像8b」は、「速度メータ画像8と同じ自動車の速度を表す画像であるが、速度メータ画像8より縮小され、速度メータ画像8と異なる形態の画像であり、目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82bを備え、目盛画像82bによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81bが設けられている」ものであるから、これを「目盛画像82と同じ」「目盛画像82aによって囲まれた内側」に設けると、「目盛画像82aによって囲まれた内側」に「目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82b」を設け、「目盛画像82bによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81b」を設けることになる。 これは、「自動車の速度を表す数字画像81b」を「目盛画像82」及び「縮小目盛画像82b」からなる二重の目盛画像の内側に設けることを意味し、自動車の速度を表示する画像として不自然というほかない。 (イ)また、引用発明1の「中間計器画像8a」は、「速度メータ画像8から中間計器画像8aへ表示を切り替え、ナイトビジョンスイッチ11がオンされてから所定時間を経過する間に、縮小計器画像8bの大きさまで徐々に中間計器画像8aを縮小して、中間計器画像8aから縮小計器画像8bに表示を切り替える」ものであるから、「速度メータ画像8」と「縮小計器画像8b」との間における遷移中の画像ではあるものの、その実体は、大きさの違いを除けば、「縮小計器画像8b」にほかならない。 そして、引用発明1は、「中間計器画像8a」が「速度メータ画像8」と同じ大きさであり、しかも、「縮小計器画像8b」と同一の形態であることによって、「速度メータ画像8」から「縮小計器画像8b」に表示を切り替える際の画像の形態及び大きさの変化を、「速度メータ画像8」から「中間計器画像8a」への画像の形態の変化と、「中間計器画像8a」から「縮小計器画像8b」への画像の大きさの変化とに分けることができ、「速度メータ画像8」から「縮小計器画像8b」に表示を切り替える際の画像の変化を緩和できるという効果を奏するものである(引用文献1【0034】)。 このように、引用発明1は、「速度メータ画像8」と「縮小計器画像8b」との間における遷移中の画像である「中間計器画像8a」が、「縮小計器画像8b」と同一の形態である点に技術的意義を有するものであるから、「中間計器画像8a」に代えて、「速度メータ画像8」の一部である「目盛画像82」と「縮小計器画像8b」とを組み合わせたものを表示し、その結果、「速度メータ画像8」と「縮小計器画像8b」との間における遷移中の画像を「縮小計器画像8b」と異なる形態のものにすることには、阻害要因があるというべきである。 (ウ)したがって、引用発明1の「中間計器画像8a」の「目盛画像82と同じ」「目盛画像82aによって囲まれた内側」に、「自動車の速度を表す数字画像81a」ではなく、「縮小計器画像8b」を設けることは、当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 イ なお、引用発明1の「中間計器画像8a」の「目盛画像82a」は、「目盛画像82と同じ」であるから、これが本願発明1の「第1の計測描画オブジェクト」の「外形枠」に相当し、引用発明1の「中間計器画像8a」の「自動車の速度を表す数字画像81a」が本願発明1の「第2の計測描画オブジェクト」に相当するということもできる。 この場合、引用発明1は、「中間計器画像8a」が「目盛画像82と同じ目盛画像82a」(本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠」に相当する。)を備え、「目盛画像82aによって囲まれた内側」(本願発明1の「当該外形枠内」に相当する。)に「自動車の速度を表す数字画像81a」のみが設けられている。 そうすると、仮に引用発明1の「縮小計器画像8b」が、「目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82b」と「目盛画像82bによって囲まれた内側に」設けられた「自動車の速度を表す数字画像81b」とで構成されるのではなく、「自動車の速度を表す数字画像81b」のみで構成されれば、引用発明1の「縮小計器画像8b」は、本願発明1の「第2の計測描画オブジェクト」に相当することになり、引用発明1は、本願発明1の全ての構成を備えることになる。 しかし、「目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82b」をなくし、「縮小計器画像8b」を「自動車の速度を表す数字画像81b」のみで構成すると、やはり、「速度メータ画像8」と「縮小計器画像8b」との間における遷移中の画像である「中間計器画像8a」が、「縮小計器画像8b」と異なる形態のものになって、引用発明1の技術的意義(前記ア(イ))を損なうことになる。 そうすると、引用発明1の「縮小計器画像8b」を「自動車の速度を表す数字画像81b」のみで構成することには、阻害要因があるというべきである。 したがって、そのように構成することは、当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 ウ 以上のとおりであるから、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 2 引用発明2との対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明2とを対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明2の「車速」は、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報」に相当し、引用発明2の「第1の表示モードで」「表示され」る「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」は、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示」す「第1の計測描画オブジェクト」に相当する。 イ 引用発明2の「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」が含む「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像M」は、「車両情報の変化に応じて指針画像Pの表示位置を移動させて」「車両情報を表示」するものであるから、「車速」を表示していることが明らかである。 したがって、引用発明2の「指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像R」は、前記アを踏まえると、本願発明1の「当該計測情報をその中に表現する外形枠」に相当する。 ウ 前記ア及びイをまとめると、引用発明2の「第1の表示モードで」「表示され、」「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像Mと、これら指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像Rを含み、」「車両情報の変化に応じて指針画像Pの表示位置を移動させて」「車両情報を表示し、」「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」は、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクト」に相当する。 エ 引用発明2の「第2の表示モードで」「第2のアナログ表示画像102が表示されていた所定領域PA内に表示され」る「デジタル表示画像(文字画像)104」は、「第1の表示モードでは第2のアナログ表示画像102によってアナログ表示されていた車速からなる計測情報」を表示するものであるから、前記アを踏まえると、本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクト」に相当する。 オ 引用発明2は、「画像表示手段10の表示モードを第1の表示モードから第2の表示モードに切り換え、」「第1の表示モードでは、」「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」「が表示され、」「第2の表示モードでは、第1の表示モードでは第2のアナログ表示画像102によってアナログ表示されていた車速からなる計測情報は、デジタル表示画像(文字画像)104として、第2のアナログ表示画像102が表示されていた所定領域PA内に表示され」るものであるから、「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」及び「デジタル表示画像(文字画像)104」を生成する画像生成部を備えると認められ、したがって、前記ウ及びエを踏まえると、本願発明1の「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部」に相当する構成を備える。 カ 引用発明2の「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」「が表示され」る「第1の表示モード」、「第1の表示モードでは第2のアナログ表示画像102によってアナログ表示されていた車速からなる計測情報」が「デジタル表示画像(文字画像)104として」「表示され」る「第2の表示モード」、及び「第1の表示モードから第2の表示モードに切り替わる際、各モードの間に」「挟むようにしている」「中間表示モード」は、前記ウ及びエを踏まえると、それぞれ本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態」、「前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態」、及び「前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態」に相当する。 キ 引用発明2は、「画像表示手段10の表示モードを第1の表示モードから第2の表示モードに切り換え、」「第1の表示モードから第2の表示モードに切り替わる際、各モードの間に中間表示モードを挟むようにしている」から、前記カを踏まえると、本願発明1の「前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部」に相当する構成を備える。 ク 引用発明2において「所定のスイッチ入力を検出する」ことは、本願発明1の「予め定められた条件」に相当する。 ケ 引用発明2は、「中間表示モードでは、デジタル表示画像104を第2のアナログ表示画像102の領域内に表示して」おり、「第2のアナログ表示画像102」は、「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像Mと、これら指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像Rを含み」、前記イのとおり、引用発明2の「指針画像部Pと指標画像Mの周囲を取り巻くリング画像R」は、本願発明1の「当該計測情報をその中に表現する外形枠」に相当する。 したがって、引用発明2が「中間表示モードでは、デジタル表示画像104を第2のアナログ表示画像102の領域内に表示している」ことと、本願発明1が「前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置する」こととは、前記ウ及びエを踏まえると、「前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトが位置する」点で共通する。 コ 前記キないしケをまとめると、引用発明2において「所定のスイッチ入力を検出すると、画像表示手段10の表示モードを第1の表示モードから第2の表示モードに切り換え、」「第1の表示モードから第2の表示モードに切り替わる際、各モードの間に中間表示モードを挟むようにしている」ことと、本願発明1において「前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する」こととは、「前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する」点で共通する。 サ 引用発明2の「制御手段20」は、「車両用表示装置」を制御する手段であり、「画像表示手段10」に「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」及び「デジタル表示画像(文字画像)104」を表示させていることが明らかであるから、本願発明1の「表示制御装置」に相当する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「自車両の走行に関する計測情報を示し、当該計測情報をその中に表現する外形枠を有する第1の計測描画オブジェクトと、前記第1の計測描画オブジェクトと同一の前記計測情報であって、前記第1の計測描画オブジェクトとは異なる表現形式の第2の計測描画オブジェクトとを生成する計測描画オブジェクト生成部と、 前記第1の計測描画オブジェクトを表示する第1の表示形態、前記第2の計測描画オブジェクトを表示する第2の表示形態、および前記第1の表示形態と前記第2の表示形態との間における遷移中の形態である中間表示形態のうちのいずれかの表示形態となるように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、予め定められた条件に応じて、前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御することを特徴とする、表示制御装置。」 イ 相違点 (相違点2) 本願発明1は、「前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置する」のに対し、 引用発明2は、「中間表示モード」(本願発明1の「中間表示形態」に相当する。)において、「デジタル表示画像104を第2のアナログ表示画像102の領域内に表示している」結果、「リング画像R」(本願発明1の「第1の計測描画オブジェクト」の「外形枠」に相当する。)内に「デジタル表示画像104」(本願発明1の「第2の計測描画オブジェクト」に相当する。)のみならず、「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像M」も生成し、それらも併せて「リング画像R」内に位置する点。 (3)相違点2についての判断 引用発明2は、「中間表示モード」において「デジタル表示画像(文字画像)104」と「アナログ表示画像102」とを同時に表示した後、「デジタル表示画像(文字画像)104」を「第2のアナログ表示画像102が表示されていた所定領域PA内」に表示することにより、モード変更に際して表示態様の急激な変化を抑え、情報の認識性を高めることができるという効果を奏するものである(引用文献2【0026】、【0031】)。 引用発明2の「中間表示モード」において、「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像M」を表示しないようにすれば、「リング画像R」内に「デジタル表示画像(文字画像)104」のみが表示されることになるから、引用発明2は、相違点2に係る本願発明1の構成を備えることになる。 しかし、これは、「中間表示モード」において「デジタル表示画像(文字画像)104」と「アナログ表示画像102」とが同時に表示されないことを意味し、したがって、引用発明2が奏する効果を損なうことになる。 そうすると、引用発明2の「中間表示モード」において、「アナログ計器における指針を模した表示像である指針画像部Pと複数の指標からなる指標画像M」を表示しないようにすることには、阻害要因があるというべきであり、そのようなことは、当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 したがって、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 3 本願発明1についてのまとめ 前記1(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 また、前記2(3)のとおり、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできない。 したがって、本願発明1は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明と、例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第6 本願発明2ないし本願発明17についての対比・判断 1 本願発明2ないし本願発明15 本願発明2ないし本願発明15は、いずれも本願発明1の構成を全て含むから、少なくとも本願発明1と引用発明1との相違点1(前記第5の1(2)イ)で引用発明1と相違し、また、少なくとも本願発明1と引用発明2との相違点2(前記第5の2(2)イ)で引用発明2と相違する。 そして、前記第5の1(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできないし、第5の2(3)のとおり、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできないから、相違点1又は相違点2に係る本願発明2ないし本願発明15の構成も同様である。 したがって、本願発明2ないし本願発明15は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明と、例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 2 本願発明16 本願発明16は、本願発明1に係る表示制御装置の動作を方法の発明として表現したものであり、相違点1又は相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものである。 そして、前記第5の1(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明1、引用文献2及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできないし、第5の2(3)のとおり、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明2、引用文献1及び引用文献3に記載された発明、並びに例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に思い付くことであるということはできないから、これに対応する本願発明16の構成も同様である。 したがって、本願発明16は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明と、例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 3 本願発明17 本願発明17は、本願発明1に係る表示制御装置を備える表示制御システムの発明である。 そして、本願発明1は、前記第5のとおり、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明と、例えば引用文献4ないし引用文献7に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 そうである以上、本願発明17も同様である。 第7 原査定について 原査定は、引用発明1の「数字画像81a」が本願発明1の「第2の計測描画オブジェクト」に相当すると判断した。 しかし、本願発明1の「第2の計測描画オブジェクト」に相当するのは、引用発明1の「速度メータ画像8と同じ自動車の速度を表す画像であるが、速度メータ画像8より縮小され、速度メータ画像8と異なる形態の画像であり、目盛画像82を縮小した縮小目盛画像82bを備え、目盛画像82bによって囲まれた内側に、自動車の速度を表す数字画像81bが設けられている」「縮小計器画像8b」であり、「数字画像81a」ではない。 また、原査定は、引用発明2において、表示態様の急激な変化を抑制するためにアナログ画像を段階的に消去するようにすることは当業者にとって容易であると判断した。 しかし、引用発明2において、「車速を表示する第2のアナログ表示画像102」を段階的に消去しても、本願発明1の「前記中間表示形態において、前記第1の計測描画オブジェクトの前記外形枠と当該外形枠内の前記第2の計測描画オブジェクトとのみを生成し、かつ前記外形枠内に前記第2の計測描画オブジェクトのみが位置するように前記計測描画オブジェクト生成部を制御する」という構成が得られると認めることはできない。 したがって、原査定の理由は、維持することができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願は拒絶をするべきものであるということはできない。 また、ほかに本願は拒絶をするべきものであるとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-01-29 |
出願番号 | 特願2013-258858(P2013-258858) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤田 憲二 |
特許庁審判長 |
清水 稔 |
特許庁審判官 |
▲うし▼田 真悟 小林 紀史 |
発明の名称 | 表示制御装置、表示制御方法、および表示制御システム |
代理人 | 吉竹 英俊 |
代理人 | 有田 貴弘 |