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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60W |
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管理番号 | 1336669 |
審判番号 | 不服2017-5726 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-20 |
確定日 | 2018-02-13 |
事件の表示 | 特願2015-530361「車両制御システム用の制御装置及びそれを備える車両」拒絶査定不服審判事件〔2014年3月13日国際公開、WO2014/037325、平成27年10月15日国内公表、特表2015-530308、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年9月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年9月6日、英国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月22日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年6月10日に意見書が提出され、同年8月18日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年11月18日に意見書が提出されたが、同年12月8日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年12月20日)、これに対し、平成29年4月20日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に請求項の削除を目的として手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1 請求項1ないし7、17、18について 引用文献1には、選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作するように複数の車両サブシステムを制御するための自動車両制御システムであって、システムは、ユーザが該走行表面を選択することができる手動動作モード及び自動動作モードで動作可能であり、システムは、ユーザ操作可能入力装置を用いて手動動作モードと自動動作モードとの間で切り替わることができ、自動動作モードで動作し、しかも自動操作モードから手動動作モードへの変更をユーザ操作可能入力装置により行うときに、システムは、デフォルトのサブシステム構成モードを選択するように構成された、システムが開示若しくは示唆されているといえる。 以上を踏まえて、請求項1に係る発明と引用文献1に記載のものとを対比すると、前者は「走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能であり」としているのに対して、後者はユーザが走行表面を選択し自動動作モードで動作している点で、両者は相違する。 この相違点について検討するに、自動車両制御システムの技術分野において、走行表面を自動的に検知し自動的に制御プログラムを選択する構成するとすることは、従来より周知である(必要ならば、引用文献2の段落【0013】、引用文献3の段落【0012】等参照)。 そうしてみると、当該周知技術に照らし、引用文献1に記載の自動車両制御システムにおいて、ユーザ操作可能入力装置が自動動作モードを選択している場合に、システムが走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能な構成とすることに格別の困難性があるとは認められない。 よって、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明及び上記周知技術から当業者が容易になし得たものである。 また、引用文献1に記載の技術及び上記周知技術からみて、請求項2ないし7、17、18に係る発明の発明特定事項については、当業者が適宜設計若しくは設計変更し得る事項である。したがって、請求項2ないし7、17、18に係る発明についても、引用文献1に記載の発明及び上記周知技術から当業者が容易になし得たものである。 2 請求項8ないし16について 引用文献4には、具体的なモードは本願発明と相違するものの、モード選択を回転と軸方向の移動とによって行うスイッチの構成が開示若しくは示唆されている(図3、段落【0017】参照)。 そして引用文献1に記載のユーザ操作可能入力装置もモード選択を行うものであるから、引用文献1に記載のユーザ操作可能入力装置を、引用文献4に記載のスイッチの構成とし、その際に走行表面の選択を回転で、また自動動作モード、手動動作モードの選択を軸方向に移動させる構成とすることに格別の困難性があるとは認められない。 したがって、請求項8ないし16に係る発明についても、引用文献1に記載の発明、引用文献4に記載の発明及び上記周知技術から当業者が容易になし得たものである。 引用文献等一覧 1.特開平10-103496号公報 2.特開2002-173011号公報(周知技術を示す文献) 3.特開2004-17951号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2007-315438号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、平成29年4月20日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりの以下のものである。 1 本願発明1 「【請求項1】 車両制御システム用の制御装置であって、該制御システムは、複数の車両サブシステムを選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作すべく制御するように構成され、該システムは、ユーザが該走行表面を選択することができる手動動作モード及び該システムが該走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能であり; 該装置は、ユーザによって該走行表面を選択するために該装置を操作できる手動動作モード位置と、該ユーザが該装置を操作して該走行表面を選択することができない自動動作モード位置との間で移動するように構成される装置。」 2 本願発明5 「【請求項5】 車両制御システム用の制御装置であって、該制御システムは、複数の車両サブシステムを選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作すべく制御するように構成され、 該システムは、ユーザが該走行表面を選択することができる手動動作モード及び該システムが該走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能であり; 該制御システムは、該手動動作モードにおいて該走行表面を選択するためにユーザによって回転されるように、およびユーザが該手動動作モードと自動動作モードとを切り替えることによって軸方向に移動されるように構成されたユーザ操作可能入力装置を備える装置。」 3 本願発明2ないし4、6ないし11 本願発明2ないし4、6ないし11は、本願発明1又は本願発明5の発明特定事項の全てを含み、さらに他の発明特定事項を備えるものである。 第4 引用文献 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平10-103496号公報)には、「自動変速機の変速制御装置」に関し、図面(特に、図1)とともに次の事項が記載されている。下線は当審で付した。以下同じ。 ア 「【0022】図1は、ノーマルパターンとスノーパターンの複数の変速パターンに加えて、車両の運転状態に応じて自動的に変速比(又は変速段、以下同様)を変更する自動変速モードと、運転者の操作に応じて任意の変速比を選択可能なマニュアルモードを備えた自動変速装置を示し、エンジン11に連結された自動変速機10は、変速制御コントローラ1からの指令に応じて変速比を変更するもので、ここでは、自動変速機10を4速で構成して、変速制御コントローラ1から指令されたGEAR位置に応じた変速段へ変速を行う。 【0023】変速制御コントローラ1は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、図1に示すように、運転者が操作するシフトレバー3の操作に応じたシフトスイッチ2からの信号と、前記従来例と同様に通常走行用の変速パターンであるノーマルパターンと、積雪路等の低μ路の走行に適したスノーパターンとを選択的に切り替える変速パターン切替スイッチ8からの信号に応じて、後述するような複数の変速マップの中から運転者の操作に応じた変速マップを選択し、さらに、車両の運転条件として、車速センサ7から車速VSを、スロットル開度センサ6から図示しないスロットルバルブの開度TVOを読み込んで、上記選択した変速マップに基づいて変速比を設定し、自動変速機10へ指令する。 【0024】ここで、変速制御コントローラ1の図示しない記憶手段には、ノーマルパターンとスノーパターンの2つの変速パターンに対応して、自動変速モードとマニュアルモードのそれぞれについて変速マップが後述するように設定されている。 【0025】そして、これらの変速モードを選択するため、シフトレバー3のセレクタスイッチ2は、図1に示すように、「H」型のゲートを備え、自動変速モードである「D」レンジに加えて、手動変速を行うUPスイッチ4(図中「+」)とDOWNスイッチ5(図中「-」)を備えており、シフトレバー3を図1のDレンジ位置から図中左側へ操作することで、変速モードは自動変速モードからマニュアルモードへ切り替えられる。 【0026】このマニュアルモードでは、シフトレバー3の前後方向(図1の上下方向)へのストロークに応じて順次相対的に変速段を変更するもので、「+」側へシフトレバー3を操作すると、自動変速機10には、現在の変速段からアップシフトするよう指令され、逆に「-」側へシフトレバー3を操作すると、自動変速機10には、現在の変速段からダウンシフトするよう指令される。 【0027】さらに、上記変速パターンを切り替えるために変速パターン切替スイッチ8が配設されており、このスイッチ8を操作することにより通常走行用のノーマルパターンと、低μ路用のスノーパターンが択一的に設定される。」 イ 自動変速機において変速段を変更するため変速機構を備えることは明らかである。 上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明1に則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「自動変速機の変速制御装置であって、該自動変速機は、変速機構を変速パターン切替スイッチ8からの信号に応じて2つの変速パターンで動作すべく制御するように構成され、該自動変速機は、変速パターン切替スイッチ8を操作することにより通常走行用のノーマルパターンと低μ路用のスノーパターンが択一的に設定される自動変速機の変速制御装置。」 2 引用文献2 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2002-173011号公報)には、図面(特に、図1)とともに次の事項が記載されている。 「【0013】制御装置24には図示していないが次ぎの装置を設けることができる。検出器23、29、30の検出値を増幅、減少、変更してモーター11を作動することができる。晴れ、雨、雪等の天候や、砂利道等道路の状況に応じた制動プログラムをIC等に記録しておき、運転席の押しボタンで予め選択して最適の制動制御を行なうか、道路状況をデジタルカメラ等の検知器で検知して自動的に制御プログラムを選択させることができる。道路に設けた磁性体又はセンターライン等の標識を検知器で検知して、それを入力した制御装置24がモーター11を制御して、車体20を磁性体又はセンターラインに保つように自動制御して居眠り運転による事故防止をすることができる。遠方・近傍の障害物を車載の検知器で検知し、モーター11を制御して、センターライン内で方向制御をするか、制動することができる。」 3 引用文献3 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2004-17951号公報)には、図面(特に、図5)とともに次の事項が記載されている。 「【0012】制御装置73には図示してないが、次の装置を設けることができる。晴れ、雨、雪等の天候や、砂利道等道路の状況に応じた制動プログラムをIC,LSI等に記録しておき、運転席の押しボタンで予め選択して最適の制動制御を行うか、道路の状況をデジタルカメラ等の検知器で検知して、自動的に制御プログラムを選択させることができる。 道路に設けた磁性体又は白線等センターラインの標識を検知器で検知して、それを入力した制御装置73がモーター61を制御して車体70をセンターラインに沿うように自動制御して居眠り運転による事故防止をすることが出来る。 又、遠方、近傍の障害物を車載の検知器で検知し、モーター61を制御して、センターライン内で方向制御をするか、制動することが出来る。」 4 引用文献4 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2007-315438号公報)には、図面(特に、図3)とともに次の事項が記載されている。 「【0017】 又、図3に示すように、モード選択スイッチ8は、プッシュスイッチを併設するシャトルスイッチであり、外部操作者(一般的には運転者であるため、以下においては、「運転者」と称して説明する)がリング状の操作つまみ8aを操作することで、後述する3種類のモード(第1モードであるノーマルモード1、第2モードであるセーブモード2、第3モードであるパワーモード3)を選択することができる。すなわち、本形態では、操作つまみ8aを左方向へ回転させることで左側スイッチがON動作されてノーマルモード1が選択され、右方向へ回転させることで右側スイッチがON動作されてパワーモード3が選択され、一方、操作つまみ8aを下方向にプッシュすることでプッシュスイッチがON動作してセーブモード2が選択される。尚、プッシュスイッチにセーブモード2を割り当てることで、例えば運転中に誤ってプッシュスイッチをONした場合であっても、セーブモード2は後述するように出力トルクが抑制されているため、モードがセーブモード2に切換えられても駆動力が急に増加されてしまうことがなく、運転者は安心して運転することができる。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「自動変速機の変速制御装置」は前者の「車両制御システム用の制御装置」に相当し、以下同様に、「自動変速機」は「制御システム」に、「変速機構」は「車両サブシステム」に、「2つの変速パターン」は「複数のサブシステム構成モード」に、「変速パターン切替スイッチ8からの信号に応じて2つの変速パターンで動作すべく制御する」ことは「選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作すべく制御するするように構成され」ることに、「変速パターン切替スイッチ8を操作することにより通常走行用のノーマルパターンと低μ路用のスノーパターンが択一的に設定される」ことは「ユーザが該走行表面を選択することができる」ことにそれぞれ相当する。 したがって、両者は、 「車両制御システム用の制御装置であって、該制御システムは、車両サブシステムを選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作すべく制御するように構成され、該システムは、ユーザが該走行表面を選択することができる装置。」 で一致し、次の点で相違する。 〔相違点1〕 本願発明1は、「複数の」車両サブシステム制御するものであり、ユーザが走行表面を選択することができる「手動動作モード及び該システムが該走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能であり;該装置は、ユーザによって該走行表面を選択するために該装置を操作できる手動動作モード位置と、該ユーザが該装置を操作して該走行表面を選択することができない自動動作モード位置との間で移動するように構成される」のに対し、 引用発明は、かかる構成を備えていない点。 そこで、相違点1について検討する。 引用文献2,3には、制御装置には次の装置を設けることができる旨、及び晴れ、雨、雪等の天候や、砂利道等道路の状況に応じた制動プログラムをIC等に記録しておき、運転席の押しボタンで予め選択して最適の制動制御を行なうか、道路状況をデジタルカメラ等の検知器で検知して自動的に制御プログラムを選択させることができる旨の記載がある。 これらの記載からみて、引用文献2,3には、制御装置において運転席の押しボタンで予め砂利道等道路の状況に応じた制動プログラムを選択するか、道路状況を検知器で検知して自動的に制御プログラムを選択する装置を設けることが記載されていると認められる(以下「引用文献2,3に記載された事項」という。)。 そして、本願発明1と引用文献2,3に記載された事項とを対比すると、後者の「運転席の押しボタンで予め砂利道等道路の状況に応じた制動プログラムを選択する」ことは前者の「ユーザが該走行表面を選択することができる」ことに相当し、後者の「道路状況を検知器で検知して自動的に制御プログラムを選択する」ことは前者の「走行表面を自動的に選択するように動作できる」ことに相当するが、引用文献2,3に記載された事項は、本願発明1のように手動動作モード及び自動動作モードを併設するとは直ちにはいえない。 仮に、引用文献2,3に記載された事項が手動動作モード及び自動動作モードを併設するとしても、引用文献2,3に記載された事項は、本願発明1の「該装置は、ユーザによって該走行表面を選択するために該装置を操作できる手動動作モード位置と、該ユーザが該装置を操作して該走行表面を選択することができない自動動作モード位置との間で移動するように構成される」ものではない。 そうすると、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項は、相違点1に係る本願発明1の「該装置は、ユーザによって該走行表面を選択するために該装置を操作できる手動動作モード位置と、該ユーザが該装置を操作して該走行表面を選択することができない自動動作モード位置との間で移動するように構成される」との事項を備えるものではなく、また、当該事項は当業者が容易に想到し得たものでもない。 したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本願発明5について 本願発明5と引用発明とを対比すると、前記「1 本願発明1について」で述べた相当関係に加えて、後者の「変速パターン切替スイッチ8」は前者の「ユーザ操作可能入力装置」に相当する。 したがって、両者は、 「車両制御システム用の制御装置であって、該制御システムは、車両サブシステムを選択された走行表面に応じて複数のサブシステム構成モードで動作すべく制御するように構成され、該システムは、ユーザが該走行表面を選択することができるユーザ操作可能入力装置を備える装置。」 で一致し、次の点で相違する。 〔相違点2〕 本願発明5は、「複数の」車両サブシステム制御するものであり、ユーザが走行表面を選択することができる「手動動作モード及び該システムが該走行表面を自動的に選択するように動作できる自動動作モードで動作可能であり;該制御システムは、該手動動作モードにおいて該走行表面を選択するためにユーザによって回転されるように、およびユーザが該手動動作モードと自動動作モードとを切り替えることによって軸方向に移動されるように構成され」るのに対し、 引用発明は、かかる構成を備えていない点。 そこで、相違点2について検討する。 引用文献2,3に記載された事項については前述のとおりである。 また、引用文献4には、リング状の操作つまみ8aを左方向へ回転させることで左側スイッチがON動作されてノーマルモード1が選択され、右方向へ回転させることで右側スイッチがON動作されてパワーモード3が選択され、操作つまみ8aを下方向にプッシュすることでプッシュスイッチがON動作してセーブモード2が選択される旨の記載がある。 この記載からみて、引用文献4には、ユーザがモードを切り替えるために、ユーザによって回転されるように及び軸方向に移動されるように構成されたユーザ操作可能入力装置が記載されているといえる(以下「引用文献4に記載された事項」という。)。 本願発明5と引用文献4に記載された事項とを対比すると、本願発明5のユーザ操作可能入力装置は、軸方向に移動させることによって手動動作モードと自動動作モードとを切り替え、回転させることによって走行表面を選択するものであるのに対し、引用文献4に記載された事項のユーザ操作可能入力装置は、回転及び軸方向に移動によってモードを切り換えるものであるから、両者は、本願発明5が軸方向の移動によって切り替える対象と回転によって切り替える対象とを異にする点で相違する。そして、引用文献4に記載された事項において、軸方向の移動によって切り替える対象と回転によって切り替える対象とを異にすることは自明ではない。 そうすると、引用発明、引用文献2,3に記載された事項、引用文献4に記載された事項は、相違点2に係る本願発明5の「該手動動作モードにおいて該走行表面を選択するためにユーザによって回転されるように、およびユーザが該手動動作モードと自動動作モードとを切り替えることによって軸方向に移動されるように構成された」との事項を備えるものではなく、また、当該事項は当業者が容易に想到し得たものでもない。 したがって、本願発明5は、引用発明、引用文献2,3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本願発明2ないし4、6ないし11について 本願発明2ないし4、6ないし11は、本願発明1又は本願発明5の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1又は本願発明5と同様の理由により、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項又は引用発明、引用文献2,3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 まとめ 以上のとおり、本願発明1ないし11は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項又は引用発明、引用文献2,3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 前記「第5」のとおり、本願発明1ないし11は、引用発明及び引用文献2,3に記載された事項又は引用発明、引用文献2,3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-01-29 |
出願番号 | 特願2015-530361(P2015-530361) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B60W)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山村 秀政 |
特許庁審判長 |
佐々木 芳枝 |
特許庁審判官 |
八木 誠 冨岡 和人 |
発明の名称 | 車両制御システム用の制御装置及びそれを備える車両 |
代理人 | アクシス国際特許業務法人 |