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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G
管理番号 1336786
審判番号 不服2016-4605  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-30 
確定日 2018-01-24 
事件の表示 特願2014- 23021「動きレートの指標に基づいてディスプレイにフレームを供給する方法、システム及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月17日出願公開、特開2014-132351〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年2月23日を出願日(パリ条約による優先権主張 2009年3月12日(優先日) 米国)とする特願2011-554033号の一部を、平成26年2月10日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願2014-23021号)としたものであって、平成27年11月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年3月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。
その後、当審より平成29年1月31日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年4月18日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がされた。

第2 当審拒絶理由
当審拒絶理由のうち理由1は、概略、以下のとおりである。

この出願の請求項1?17に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された特開2004-252105号公報に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第3 本願発明
本願の請求項1?14に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。

「第一の入力レートを有する第一のサブフレームと、前記第一の入力レートに等しい第二の入力レートを有する第二のサブフレームとを有する、あるシーンの映像を受信するステップであって、前記第一のサブフレームはディスプレイの第一の領域に対応し、前記第二のサブフレームは前記ディスプレイの第二の領域に対応し、前記の受信された映像は動きレートの指標を含む、ステップと、
前記動きレートの指標に少なくとも基づいて、第一のアップデートレート及び第二のアップデートレートを決定するステップと、
前記第一のサブフレームと前記第二のサブフレームとを前記ディスプレイにおける対応する領域に選択的に供給し、前記ディスプレイの前記第一の領域に前記第一のアップデートレートを、及び前記ディスプレイの前記第二の領域に前記第二のアップデートレートを提供するステップであって、前記第一のアップデートレートは、表示された画像が低減されたモーションブラーを有するように、前記第二のアップデートレートよりも高い、ステップと、
を含み、
前記動きレートの指標は、前記シーンの中でより速い動きを含むサブフレームを示し、前記より速い動きは、前記シーンを捕捉する画像捕捉装置により検出され、前記動きレートの指標は、前記より速い動きに基づいて前記画像捕捉装置により決定され、
前記動きレートの指標は、前記第一のサブフレームにおける動きが前記第二のサブフレームにおける動きより速いことを示す、
方法。」(以下、「本願発明」という。)

第4 引用例に記載の事項及び発明
1 記載事項
当審拒絶理由で引用された特開2004-252105号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項(a)ないし(g)が記載されている。

(a)
「【請求項12】
走査線とデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素を有し、前記複数の画素のそれぞれが、データを保持する保持手段と、前記保持手段に保持されたデータに応じて、駆動電流を設定する駆動素子と、当該設定された駆動電流に応じた輝度で発光する電気光学素子とを有し、かつ、前記複数の画素のそれぞれの駆動モードを走査線単位で選択する電気光学装置の駆動方法において、
あるフレームの画像データを構成する所定のビット列において、所定のビットレベルの個数をカウント値として算出し、当該フレームに関する前記カウント値を従前のフレームに関する前記カウント値と比較することによって、動画の判別を画素行単位で行う第1のステップと、
前記判別結果より、前記動画表示を行う画素行に関しては、前記書込対象となる画素に対応する前記走査線が選択されてから当該走査線が次に選択されるまでの期間よりも短い第1の発光期間で、前記電気光学素子を駆動させる第2のステップと、
前記判別結果より、前記動画表示を行わない画素行に関しては、前記書込対象となる画素に対応する前記走査線が選択されてから当該走査線が次に選択されるまでの期間において、前記第1の発光期間よりも長い第2の発光期間で、前記電気光学素子を駆動させる第3のステップと
を有することを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項13】
前記第2のステップでは、前記電気光学素子のインパルス駆動が行われ、
前記第3のステップでは、前記電気光学素子のホールド駆動が行われることを特徴とする請求項12に記載された電気光学装置の駆動方法。」

(b)
「【0030】
駆動モードがインパルス駆動の場合、パルス信号PLSの波形は、HレベルとLレベルとを交互に繰り返すパルス状になる。このパルス波形は、画素2が次に選択されるタイミングtcに至るまで継続される。これにより、パルス信号PLSによって導通制御される制御トランジスタT4は、オンとオフとを交互に繰り返す。制御トランジスタT4のオン期間では、電源電圧Vddから電圧Vssに向かって、駆動トランジスタT3と制御トランジスタT4と有機EL素子OLEDとを介した駆動電流Ioledの電流経路が形成される。有機EL素子OLEDを流れる駆動電流Ioledは、駆動トランジスタT3のチャネル電流に相当し、その電流レベルは、キャパシタCの蓄積電荷に起因したゲート電圧Vgによって制御される。したがって、オン期間では、駆動電流Ioledに応じた輝度で有機EL素子OLEDが発光する(画像表示)。一方、制御トランジスタT4のオフ期間では、駆動電流Ioledの電流経路が制御トランジスタT4によって強制的に遮断される。したがって、オフ期間では、有機EL素子OLEDの発光が一時的に停止する(黒表示)。このように、インパルス駆動時には、駆動電流Ioledの電流経路の断続が繰り返されるため、有機EL素子OLEDの発光と非発光とが繰り返される。
【0031】
一方、駆動モードがホールド駆動の場合、パルス信号PLSの波形は、常時Hレベルのホールド状になる。これにより、駆動期間tb?tcにおいて、制御トランジスタT4は常時オンし、駆動電流Ioledの電流経路が形成され続ける。したがって、有機EL素子OLEDは駆動電流Ioledに応じた輝度で発光し続ける。」

(c)
「【0037】
データカウント部6は、制御回路5の制御下において、あるフレームの画像データDの一部を構成し、カウント単位となるビット列毎に、ビットレベル”1”(”0”でも可)の個数をカウントし、このカウント値を従前フレームのそれと比較する。本実施形態では、走査線毎に駆動モードを設定する関係上、カウント単位も走査線単位、すなわち、画素行単位(mドット)であり、画素行毎にカウント値が算出・比較される。」

(d)
「【0043】
駆動モード選択部7は、データカウント部6からの判別結果に基づいて、画素行単位(走査線単位)で、駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMを生成する。ここで、「走査線単位」とは、本実施形態のように1本の走査線であってもよいが、互いに隣接した複数の走査線Yを1グループ化したものも含む(「画素行単位」も同じ意味)。
【0044】
図5は、駆動モード信号DRTMの説明図である。この駆動モード信号DRTMは、走査線駆動回路3の線順次走査と同期しており、Lレベルがホールド駆動を指示し、Hレベルがインパルス駆動を指示する。一例として、表示領域Bで動画表示を行い、その上下の表示領域A,Cで静止画表示を行うケースについて考える。表示領域Aを構成する走査線群が順次選択される期間t0?t1では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっている。したがって、表示領域Aでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われる。つぎに、表示領域Bを構成する走査線群が順次選択される期間t1?t2では、駆動モード信号DRTMがHレベルになっている。したがって、表示領域Bでは、動画表示に適したインパルス駆動が行われる。そして、表示領域Cを構成する走査線群が順次選択される期間t2?t3では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっているため、表示領域Cでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われる。駆動モード選択部7によって生成された駆動モード信号DRTMは、駆動モード切替回路8とデータ線駆動回路4とに出力される。
【0045】
駆動モード切替回路8は、走査線単位で設けられており、駆動モード信号DRTMにより指定された駆動モードに応じて、パルス信号PLSの波形を設定する。それぞれの切替回路8は、制御回路5からの信号INP1,INP2、走査線駆動回路3からの信号SEL,LM、および、駆動モード選択部7からの駆動モード信号DRTMに基づいて、パルス信号PLSを走査線単位で発生し、これを対応する走査線に対して出力する。」

(e)
「【0054】
このように、本実施形態では、有機EL素子OLEDの駆動モードを走査線単位(画素行単位)で設定し、かつ、表示対象に応じて駆動モードを切り替える。すなわち、動画を表示すべき画素行(表示領域B)に関しては、インパルス駆動が設定される。これにより、書込対象となる画素2に対応する走査線が選択されてからこの走査線が次に選択されるまでの期間よりも短い第1の発光期間で、有機EL素子OLEDの駆動が行われる。これに対して、静止画を表示すべき画素行(表示領域A,C)に関しては、ホールド駆動が設定される。これにより、書込対象となる画素2に対応する走査線が選択されてからこの走査線が次に選択されるまでの期間において、第1の発光期間よりも長い第2の発光期間で、有機EL素子OLEDの駆動が行われる。このようなインパルス駆動を行うことで、画素2の光学応答をインパルス型に近づけることができ、かつ、有機EL素子OLEDが非発光となる期間(黒表示の期間)が分散されるため、表示画像のちらつきの低減を図ることができる。それとともに、画素2の光学応答を改善することにより、動画表示等における疑似輪郭の発生も有効に抑制可能となる。」

(f)
【図3】


(g)
【図4】


2 引用発明
(1)上記1(f)より、ホールド駆動される有機EL素子OLEDを含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間とインパルス駆動される有機EL素子OLEDを含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間がいずれも1垂直走査期間であることが見て取れる。
(2)上記1(g)より、データカウント部6に画像データが入力されることが見て取れる。
(3)「有機EL素子OLED」は電気光学素子であることを踏まえると、上記1(a)ないし(g)より、引用例には次の発明が記載されていると認められる。なお、括弧内の記載は、根拠となる請求項、段落及び図面の番号を示す。

「走査線とデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素を有し、前記複数の画素のそれぞれが、データを保持する保持手段と、前記保持手段に保持されたデータに応じて、駆動電流を設定する駆動素子と、当該設定された駆動電流に応じた輝度で発光する電気光学素子とを有し、かつ、前記複数の画素のそれぞれの駆動モードを走査線単位で選択する電気光学装置の駆動方法において(【請求項12】)、
画像データが入力されるデータカウント部で、あるフレームの画像データを構成する所定のビット列において、所定のビットレベルの個数をカウント値として算出し、当該フレームに関する前記カウント値を従前のフレームに関する前記カウント値と比較することによって、動画の判別を画素行単位(走査線単位)で行い、ここで、「走査線単位」とは、本実施形態のように1本の走査線であってもよいが、互いに隣接した複数の走査線Yを1グループ化したものも含む(「画素行単位」も同じ意味)、第1のステップと(【請求項12】、段落【0037】、段落【0043】、【図4】)、
データカウント部からの前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行う画素行に関しては、前記電気光学素子の発光と非発光とが繰り返されるインパルス駆動が行われる第2のステップと(【請求項12】、【請求項13】、段落【0030】、段落【0043】)、
データカウント部からの前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行わない画素行に関しては、前記電気光学素子が発光し続けるホールド駆動が行われる第3のステップと(【請求項12】、【請求項13】、段落【0031】、段落【0043】)、
を有し、
ホールド駆動される電気光学素子を含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間とインパルス駆動される電気光学素子を含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間がいずれも1垂直走査期間であり(【図3】)、
表示領域Bで動画表示を行い、その上下の表示領域A、Cで静止画表示を行うケースにおいて、表示領域Aを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっていて、表示領域Aでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われ、表示領域Bを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがHレベルになっていて、表示領域Bでは、動画表示に適したインパルス駆動が行われ、表示領域Cを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっていて、表示領域Cでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われ(段落【0044】)、
動画表示等における疑似輪郭の発生も有効に抑制可能となる(段落【0054】)、
電気光学装置の駆動方法(【請求項12】、【請求項13】)。」
(以下、「引用発明」という。)

第5 対比
引用発明と本願発明を対比する。

1(1)引用発明は、表示領域Aでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われ、表示領域Bでは、動画表示に適したインパルス駆動が行われ、表示領域Cでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われるものであって、インパルス駆動が行われる表示領域Bに表示される画像は、「フレームの画像データ」の一部分に対応し、ホールド駆動が行われる表示領域A又はCに表示される画像は、「フレームの画像データ」の(前記一部分とは異なる)一部分に対応する。
(2)引用発明において、「ホールド駆動される電気光学素子を含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間とインパルス駆動される電気光学素子を含む画素が選択されてから次に選択されるまでの期間がいずれも1垂直走査期間であ」るから、インパルス駆動が行われる表示領域Bに表示される画像に対応する「フレームの画像データ」の一部分の入力レートとホールド駆動が表示領域A又はCに表示される画像に対応する「フレームの画像データ」の(前記一部分とは異なる)一部分の入力レートは等しいといえる。
(3)引用発明においては、表示される画像に動画と(動きのない)静止画が含まれており、動画表示が行われる「表示領域Bを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがHレベルにな」り、静止画表示が行われる表示領域A又は「Cを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがLレベルにな」るから、駆動モード信号値は、フレームのなかで動画に対応するより速い動きを含む「フレームの画像データ」の一部分を示すものであるといえる。
(4)表示部で動画表示を行うことから、引用発明は、映像を受信するステップを含むといえるし、また、表示部の表示領域に表示するために表示部で受信された当該映像画像は、データカウント部からの判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成されたものであるから、駆動モード信号DRTMの「H」、「L」の値を含んでいるといえる。
(5)上記(1)?(4)を踏まえると、引用発明は、「第一の入力レートを有する第一のフレームの画像データの一部分と、前記第一の入力レートに等しい第二の入力レートを有する第二のフレームの画像データの一部分とを有する、映像を受信するステップであって、前記第一のフレームの画像データの一部分は表示部の表示領域Bに対応し、前記第二のフレームの画像データの一部分は前記表示部の表示領域A又はCに対応し、前記受信された画像はフレームのなかで動画に対応するより速い動きを含むフレームの画像データの一部分を示す駆動モード信号値を含む、ステップ」を含むところ、フレームの画像データの一部分は、サブフレームであるといえるし、フレームのなかで動画に対応するより速い動きを含むフレームの画像データの一部分を示す駆動モード信号DRTMの値は、動きを示す指標であるといえるから、引用発明が含む当該ステップは、本願発明における「第一の入力レートを有する第一のサブフレームと、前記第一の入力レートに等しい第二の入力レートを有する第二のサブフレームとを有する、あるシーンの映像を受信するステップであって、前記第一のサブフレームはディスプレイの第一の領域に対応し、前記第二のサブフレームは前記ディスプレイの第二の領域に対応し、前記の受信された映像は動きレートの指標を含む、ステップ」に相当する。

2(1)引用発明において、「インパルス駆動」では「電気光学素子の発光と非発光とが繰り返され」、「ホールド駆動」では「電気光学素子が発光し続ける」から、ある期間での光の更新(放出・消滅)回数は、「インパルス駆動」の方が「ホールド駆動」よりも多いといえる。
(2)引用発明においては、「前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行う画素行に関しては、前記電気光学素子の発光と非発光とが繰り返されるインパルス駆動が行われ」、また、「前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行わない画素行に関しては、前記電気光学素子が発光し続けるホールド駆動が行われる」から、駆動モード信号DRTMの値に基づいて、「インパルス駆動」を行うか「ホールド駆動」を行うかが決定されるところ、上記(1)を踏まえると、この決定は、ある期間での光の更新(放出・消滅)回数を決定しているといえる。
(3)引用発明においては、インパルス駆動を行うことにより「動画表示等における疑似輪郭の発生も有効に抑制可能となる」から、表示された動画は低減された疑似輪郭を有しているといえる。
(4)上記(1)?(3)、並びに、本願発明の「アップデートレート」が「ディスプレイの指示された光出力が変化するレート」(本願明細書段落【0005】)であること、及び、動画のぶれである「モーションブラー」は、動画像が明確に表示されないものであって、「動画表示等における疑似輪郭」に対応することを踏まえると、引用発明における「画像データが入力されるデータカウント部で、あるフレームの画像データを構成する所定のビット列において、所定のビットレベルの個数をカウント値として算出し、当該フレームに関する前記カウント値を従前のフレームに関する前記カウント値と比較することによって、動画の判別を画素行単位(走査線単位)で行い、ここで、「走査線単位」とは、本実施形態のように1本の走査線であってもよいが、互いに隣接した複数の走査線Yを1グループ化したものも含む(「画素行単位」も同じ意味)、第1のステップと、前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行う画素行に関しては、前記電気光学素子の発光と非発光とが繰り返されるインパルス駆動が行われる第2のステップと、前記判別結果より駆動モードを指定する駆動モード信号DRTMが生成され、前記動画表示を行わない画素行に関しては、前記電気光学素子が発光し続けるホールド駆動が行われる第3のステップと」、「表示領域Bで動画表示を行い、その上下の表示領域A、Cで静止画表示を行うケースにおいて、表示領域Aを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっていて、表示領域Aでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われ、表示領域Bを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがHレベルになっていて、表示領域Bでは、動画表示に適したインパルス駆動が行われ、表示領域Cを構成する走査線群が順次選択される期間では、駆動モード信号DRTMがLレベルになっていて、表示領域Cでは、静止画の表示に適したホールド駆動が行われ、動画表示等における疑似輪郭の発生も有効に抑制可能となる」ことは、本願発明における「前記動きレートの指標に少なくとも基づいて、第一のアップデートレート及び第二のアップデートレートを決定するステップと、前記第一のサブフレームと前記第二のサブフレームとを前記ディスプレイにおける対応する領域に選択的に供給し、前記ディスプレイの前記第一の領域に前記第一のアップデートレートを、及び前記ディスプレイの前記第二の領域に前記第二のアップデートレートを提供するステップであって、前記第一のアップデートレートは、表示された画像が低減されたモーションブラーを有するように、前記第二のアップデートレートよりも高い、ステップ」に相当する。

3(1)引用発明において、駆動モード信号DRTMの値のうち「H」は、フレームのなかで動画に対応するより速い動きを含む「フレームの画像データ」の一部分を示すものであるといえる。
(2)引用発明において、「動画の判別」は「データカウント部」で行われるから、動画に対応するより速い動きは画像データが入力される「データカウント部」により検出されるといえるし、また、駆動モード信号DRTMの値は動画に対応するより速い動きに基づいて「データカウント部」により生成されているといえる。
(3)上記(1)、(2)を踏まえると、引用発明においては、駆動モード信号DRTMの値のうち「H」は、フレームのなかで動画に対応するより速い動きを含む「フレームの画像データ」の一部分を示し、動画に対応するより速い動きは「画像データが入力されるデータカウント部」により検出され、駆動モード信号値は動画に対応するより速い動きに基づいて「データカウント部」により生成されるところ、引用発明の当該事項は、本願発明における「前記動きレートの指標は、前記シーンの中でより速い動きを含むサブフレームを示し、前記より速い動きは、前記シーンを捕捉する画像捕捉装置により検出され、前記動きレートの指標は、前記より速い動きに基づいて前記画像捕捉装置により決定され」ることと、「前記動きレートの指標は、前記シーンの中でより速い動きを含むサブフレームを示し、前記より速い動きは、画像データが入力される装置により検出され、前記動きレートの指標は、前記より速い動きに基づいて前記装置により決定され」る点で共通する。

4 引用発明においては、駆動モード信号DRTMの値のうち「H」は、動画表示が行われる表示領域Bに対応する「フレームの画像データ」の一部分における動きが静止画表示が行われる表示領域A又はCに対応する「フレームの画像データ」の(前記一部分とは異なる)一部分の動きより速いことを示しているといえ、これは、本願発明における「前記動きレートの指標は、前記第一のサブフレームにおける動きが前記第二のサブフレームにおける動きより速いことを示す」ことに相当する。

以上の関係を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「第一の入力レートを有する第一のサブフレームと、前記第一の入力レートに等しい第二の入力レートを有する第二のサブフレームとを有する、あるシーンの映像を受信するステップであって、前記第一のサブフレームはディスプレイの第一の領域に対応し、前記第二のサブフレームは前記ディスプレイの第二の領域に対応し、前記の受信された映像は動きレートの指標を含む、ステップと、
前記動きレートの指標に少なくとも基づいて、第一のアップデートレート及び第二のアップデートレートを決定するステップと、
前記第一のサブフレームと前記第二のサブフレームとを前記ディスプレイにおける対応する領域に選択的に供給し、前記ディスプレイの前記第一の領域に前記第一のアップデートレートを、及び前記ディスプレイの前記第二の領域に前記第二のアップデートレートを提供するステップであって、前記第一のアップデートレートは、表示された画像が低減されたモーションブラーを有するように、前記第二のアップデートレートよりも高い、ステップと、
を含み、
前記動きレートの指標は、前記シーンの中でより速い動きを含むサブフレームを示し、前記より速い動きは、画像データが入力される装置により検出され、前記動きレートの指標は、前記より速い動きに基づいて前記装置により決定され、
前記動きレートの指標は、前記第一のサブフレームにおける動きが前記第二のサブフレームにおける動きより速いことを示す、
方法。」

(相違点)
本願発明においては、より速い動きは、「画像捕捉装置により」検出され、動きレートの指標は、より速い動きに基づいて「画像捕捉装置により」決定されるのに対し、引用発明においては、動画に対応するより速い動きは「データカウント部により」検出され、駆動モード信号値は動画に対応するより速い動きに基づいて「データカウント部により」生成される点。

第6 当審の判断
上記相違点について、検討する。
引用発明においては、「データカウント部」が、動画に対応するより速い動きを検出したり、駆動モード信号DRTMの値を動画に対応するより速い動きに基づいて決定しているが、一般に入力する画像をキャプチャ(捕捉)することは、当業者が適宜なし得ることであるから、引用発明における画像データが入力される「データカウント部」で画像をキャプチャ(捕捉)するようにして、上記相違点に係る本願発明の構成を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-24 
結審通知日 2017-08-29 
審決日 2017-09-11 
出願番号 特願2014-23021(P2014-23021)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09G)
P 1 8・ 536- WZ (G09G)
P 1 8・ 537- WZ (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 須原 宏光
関根 洋之
発明の名称 動きレートの指標に基づいてディスプレイにフレームを供給する方法、システム及び装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  

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