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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B02C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B02C |
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管理番号 | 1336795 |
審判番号 | 不服2016-14160 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-09-21 |
確定日 | 2018-01-23 |
事件の表示 | 特願2014-509770「流動性の材料内の粒子を粉砕する装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日国際公開、WO2012/152951、平成26年 5月29日国内公表、特表2014-512958〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2012年5月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年5月12日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成25年11月12日に国内書面が提出され、平成26年1月10日に明細書、特許請求の範囲及び要約書の翻訳文が提出され、平成27年9月3日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年12月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年5月17日付けで拒絶査定がされ、平成28年9月21日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに、平成29年3月2日に上申書が提出されたものである。 第2 平成28年9月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年9月21日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正 (1)本件補正の内容 平成28年9月21日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の(すなわち、平成27年12月14日提出の手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項2の下記アの記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記イの記載へと補正するものを含むものである。 ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項2 「【請求項2】 流動性の材料内の粒子を粉砕する装置であって、 該装置が、少なくとも1つのロール対(220;320,321;420,421)を有しており、該ロール対(220;320,321;420,421)に対して少なくとも1つのロール(2,3;102;202,203,216;302,303,316;402,403,416)のロール押付け圧および/または回転速度が調整可能であり、 前記装置が、ロールギャップ(14;114;214,217;314;414)内のまたは1つのロール対(220;320,321;420,421)に前置されたロールトラフ(4;204)内の流動性の材料の充填レベル高さ(5)を測定するための充填レベルメータ(11)を有している、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置において、 該装置が、ロールギャップ(14;114;214,217;314;414)またはロールトラフ(4)内の流動性の材料の測定された充填レベル高さ(5;105;205;305;405)に関連して、少なくとも1つのロール(2,3;102;202,203,216;302,303,316;402,403,416)のロール押付け圧、ロール回転速度またはこれらの組合せを変更する調整ユニット(10)を有しており、充填レベルメータ(11)が、光学式のまたは音響式のセンサを有していることを特徴とする、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置。」 イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 流動性の材料内の粒子を粉砕する装置であって、 該装置が、少なくとも1つのロール対(220;320,321;420,421)を有しており、該ロール対(220;320,321;420,421)に対して少なくとも1つのロール(2,3;102;202,203,216;302,303,316;402,403,416)の回転速度が調整可能であり、 前記装置が、ロールギャップ(14;114;214,217;314;414)内のまたは1つのロール対(220;320,321;420,421)に前置されたロールトラフ(4;204)内の流動性の材料の充填レベル高さ(5)を測定するための充填レベルメータ(11)を有している、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置において、 該装置が、ロールギャップ(14;114;214,217;314;414)またはロールトラフ(4)内の流動性の材料の測定された充填レベル高さ(5;105;205;305;405)に関連して、少なくとも1つのロール(2,3;102;202,203,216;302,303,316;402,403,416)のロール回転速度を変更する調整ユニット(10)を有しており、充填レベルメータ(11)が、光学式のまたは音響式のセンサを有していることを特徴とする、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置。」 (なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) (2)本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2における発明特定事項である「ロール押付け圧および/または回転速度が調整可能であり」を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「回転速度が調整可能であり」と限定し、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2における発明特定事項である「ロール押付け圧、ロール回転速度またはこれらの組合せを変更する調整ユニット(10)」を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「ロール回転速度を変更する調整ユニット(10)」と限定することにより、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された発明を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明に減縮するものであって、本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2(本件補正後の特許請求の範囲の請求項1)に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2 独立特許要件についての判断 本件補正における本件補正前の特許請求の範囲の請求項2(本件補正後の特許請求の範囲の請求項1)に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2-1 引用文献 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である仏国特許発明第1378556号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、「Installation de mesure et de commande pour dispositifs d'alimentation.(供給装置のための計量と制御の設備)」に関し、図面とともに、次のような記載がある。(なお、原文中のアクサン等の表記は省略した。)下線は、理解の一助のため当審で付したものである。 (ア)「L'invention concerne un ・・・ dernier soit commande.」(第1ページ左欄第31行ないし右欄第6行) (当審仮訳):「本発明は、供給スロットのある供給設備において、材料の高さに応じて調節する装置に関するものであり、この装置は、次の事実によって特徴づけられ、それは推進翼のあるゾーンから成り、制御され、製粉する材料の表面に常に上がろうとし、調整装置と制御部品を結合している検出用部品を備えているということである。 本発明の概念を発展させると、検出用部品は、ほとんど平衡を保ったレバーに固定されている。 本発明の概念をまた別な風に発展させると、それは検出用部品を作動させるための制御能力を備えている。 他方では、それは、この後者が制御されるような方法で、検出用部品を供給装置と連結するための手段を備えている。」 (イ)「Dans un moulin ・・・ il est supporte.」(第2ページ左欄第5行ないし第3ページ左欄第7行) (当審仮訳):「図1と2で非常に単純化された形で表され、供給のための上部にある配管10を含むロール9のついた製粉機の中で、2つのロール11と12が支えられている。この2つの粉砕ロールに供給スロット14と共に供給ロール13が結びつけられている。供給ロール13と供給スロット14の間で、供給間隔を制御するために、この供給装置の上にあるレベル検出用部品15を備えている。この部品15は、回転軸16の周りを回転することのできるアーム17の先端に備えられている。レベル検出用部品15は、粉砕ロール12によって制御され、滑車20を介して、ロール12のアーム、エンドレスベルト21と滑車22の上に固定され、フック継ぎ手24を介して検出器のアーム25と連結されている。カバー26はプロペラのアーム28を含むトルク27を取り囲んでいる。プロペラのアーム28は、上部にプロペラ29を持っている。回転軸16と比べてレバー17から最も離れた側で、ほとんど釣り合っている位置で、レベル検出用部品15を備えたレバーを支えている平衡錘30を備えている。プロペラは、回転することで、粉砕する材料の円錐の表面31に再び上昇しようとする。円錐の高さ31の変形は、プロペラ29の位置の変形、そして結果として、回転軸16の周りで角変化を生み出す。この角変化は、回転する軸で支えられている玉継手のついた継ぎ手35のそれぞれの先端に、回転軸に支えられたL字レバー36に備わった一本の棒34を介して駆動される。角変形は、駆動装置29のレバーによって駆動され、正確な調整レバー41に、駆動に応じた調整のために調節可能な合わせピン40を備え、この駆動装置は、適切な比率で行われる。レバー41は、ねじ切りされた棒43の上で移動出来るナット42を持っている。このねじ切りされた棒43は、スロット棒44を介してピボット45を使って回転することができるように支えられている供給スロット14に結合されている。それは、例えばL字レバー36と結びつけられ、レベル検出用部品15の最も低い位置と一致する最終工程のスイッチ50を備えている。図示された装置の機能は、次のようである。製粉する材料は、配管10を通ることで、供給ロール13の上に供給スロット14を備えるロールのついた製粉機9に達し、円錐31を形づくる。製粉する材料の円錐31の高さに従い、レベル検出用部品15がある位置に場所を構え、それは、カバー26かベルベルギア27の上に、プロペラ29によって形づくられている。粉砕ロール11と12が作動している間、プロペラ29は、棒23、自在接手24のポイントと、棒23を介して、ベルトによる駆動装置20,21、22によって当該のロールと結合していて、円錐の表面に常に上がろうとする。プロペラ29が上がった時、アーム33は下への動きが行われ、それは、前方へのL字レバーの動きを生み出し、したがって供給スロットが、いっそう開き、円錐31がもう少し早く平らにされることができる。このように、粉砕あるいは製粉する届いた材料の量と、粉砕あるいは製粉する流出する材料の量に、供給スロットは常に正確に適応することができる。それで、供給スロットの大きさいっぱいに、したがって同様に製粉の大きさいっぱいに分配される材料が常にあるので、それは、最適な利用と材料の規則的な製粉を生み出す。もし、円錐31の高さが、特定の値、例えば図2に従って値31'よりも下になるなら、スイッチ50は、動作に入り、製粉設備全体は、停止し、それは、製粉ロールを大切に使うことに役立つ。L字レバー36に向き合った伝動装置レバー39の上に設置された合わせピン40によって、伝動装置のギア比を単純な方法で調節することが出来、一方ねじ切りされた棒43の上にあるナット42によって非常に正確な調節が得られる。この装置によってレベル検出用部品と、従ってすべての制御と調整装置が、粉砕するどんな材料にも適応させることができる。 図示された装置は、単純で素早く作動に入る調整装置の機械的な間を満たす。装置は、単純な構成と動作開始の正確さによって特徴づけられる。同時に、装置によって必要な出費が最小限に削減される。 図3を使って、本発明に従って、水力ロールのついた製粉機の制御のための水準検出用装置が示され、この装置は、発明の概念の発展を表している。同時に、この装置は、レベル検出用部品の制御のための別の可能性を示している。また、製粉ロール11と12は、継続的に制御され、ロールのついた製粉機の中で支えられている。ロール12の軸51の上に、制御滑車52が支えられ、それは、アーム53'の上に支えられている滑車53に、ベルト54で結ばれている。導滑車53のアーム53'は、柔軟なカバー55の中に設置された柔軟なアーム55の周りに結合されている。プロペラのアーム28とプロペラ29は、柔軟なアーム55とプロペラのアーム28の間の連結を確実にするカバー57で支えられている。カバー57は、支えられているアーム60の上に結合されているレバー59に固定されている。」 (ウ)「Tandis que le ・・・ mentionnes au debut.」(第3ページ左欄第8行ないし右欄第27行) (当審仮訳):「供給スロットの調節が、もっと前に説明したように行われることが出来る一方で、スイッチ50の代わりに粉砕する水力装置が設置される。軸60の上に作用する操縦アーム61が、導管66によって供給される制御弁65の上にレベル検出用部品15の決まった最も低い位置で、結びつけられている。この制御弁65は、導管69によって加圧流動システムに連結させられている流量調整弁68に、導管67によって結びつけられている。この流量調整弁68は、加圧流動の導管70を介して、ロールのついた製粉機の定点72に支えられる加工ロール71に作用する。製粉ロール11は、こちら側で、ピボット74の周りを回転できる側板75の中で支えられている固定軸73が現れる。側板75はピストン棒77の先端で支えられている。製粉ロール11は、類似の方法でもう一方の先端で支えられている。 このように実現された装置の作用方法は、次のようである。プロペラ29が低い位置にある時、制御弁65がアーム61によって作動される。しかし、流量調整弁68は、同様に開き、ロール71の中にあるピストンが、下への動作を行い、したがってピストン軸77が、側板75によって下に向かって駆動し、ロール11がロール12から離れる。この方法で、材料不足の場合に製粉ロールの破損が不可能となる。 この装置の形で、製粉ロールの適用システムに、ロールのついた製粉の供給のための制御と調整システムを搭載することが可能である。粉砕あるいは製粉する材料が、不足した時、製粉ロールは、お互いに素早く離れ、それは装置全体の作用をより確実に保証する。 図1を使って、本発明の別の特徴に従って、材料の分配装置と同時に設置することが示される。供給の全範囲にわたって一様な分配と加工する材料の利用が保証されるように、材料のために回転式配分機が利用される。図1に関して、回転式十字菅継ぎ手80の形となるこのような分配器が示される。この回転式十字管継ぎ手は、同様に、プロペラアーム28の上でカバー26の下面の下に搭載されている。 今述べたばかりの装置は、手動操作式の部品が計量だけでなく、供給装置の全ての範囲にわたって、加工する材料の一様な分配にも役立つ利点を提示する。 だからといって発明の概念からそれることなく、様々な点で、描かれた分配と調節装置が修正されることができる。例えば、供給ロールと供給スロットの間に、供給スロットの機械的修正のために、ねじ切りされた棒の組み合わせの代わりに、供給ロールの角速度を変えることが出来る手段で、電位差測定の組み立てを用意することが可能である。 結局、計量と制御の装置は、ロールのついた製粉機において供給装置への応用に限定されず、流体材料を加工しなければならないどんな別の機械にも結合することができる。したがって、本発明による装置は、単純な方法で最初に述べた不都合を取り除くことができる。」 イ 引用文献1の記載から分かること 上記(1)及び図面のFig.1ないしFig.3の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。 (カ)上記(1)(特に(イ)を参照。)並びに図面のFig.1ないしFig.3の記載から、引用文献1には、製粉する材料を粉砕する装置が記載されていることが分かる。 (キ)上記(1)(特に(イ)を参照。)並びに図面のFig.1ないしFig.3の記載から、引用文献1に記載された、製粉する材料を粉砕する装置が、少なくとも1つのロール対11,12と、少なくとも1つの供給ロール13を有していることが分かる。 (ク)上記(1)(特に(イ)を参照。)並びに図面のFig.1ないしFig.3の記載から、引用文献1に記載された、製粉する材料を粉砕する装置は、製粉する材料の円錐31の高さを検出するための検出器を有し、該検出器は、検出用部品15を有するものであることが分かる。 (ケ)上記(1)(特に(ウ)を参照。)の「・・・発明の概念からそれることなく、様々な点で、描かれた分配と調節装置が修正されることができる。例えば、供給ロールと供給スロットの間に、供給スロットの機械的修正のために、ねじ切りされた棒の組み合わせの代わりに、供給ロールの角速度を変えることが出来る手段で、電位差測定の組み立てを用意することが可能である。」という記載から、引用文献1に記載された、製粉する材料を粉砕する装置において、分配と調節装置のために、ねじ切りされた棒の組み合わせの代わりに、電位差測定の組み立てを用いて、供給ロールの角速度を変更可能にすることができることが分かる。また、(1)(ア)の「本発明は、供給スロットのある供給設備において、材料の高さに応じて調節する装置に関するものであり」、「他方では、それは、この後者が制御されるような方法で、検出用部品を供給装置と連結するための手段を備えている」等の記載を参酌すると、供給ロールの角速度(すなわち、製粉する材料を供給する速度)を変更可能にすることは、製粉する材料の円錐31の高さに関連しているといえる。 ウ 引用発明 上記(1)及び(2)並びに図面のFig.1ないしFig.3の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「製粉する材料を粉砕する装置であって、 該装置が、少なくとも1つのロール対11,12を有しており、該ロール対11,12に対して少なくとも1つの供給ロール13の角速度が変更可能であり、 前記装置が、製粉する材料の円錐31の高さを測定するための検出器を有している、製粉する材料を粉砕する装置において、 該装置が、製粉する材料の円錐31の高さに関連して、少なくとも1つの供給ロール13の角速度を変更する電位差測定の組み立てを有しており、検出器が、レベル検出用部品15を有している、製粉する材料を粉砕する装置。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2の記載 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-169198号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「穀物・種子・固形樹脂等の製粉機」に関し、図面とともに、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。 (ア)「【0001】 本発明は穀物製粉、種子粉砕、固形樹脂製粉等に用いる穀物・種子・固形樹脂等の製粉機に関するものであり、更に詳細には、ストックホッパーに流入された穀物、種子、固形樹脂等の粗粉体又は粒体であるストックのストックレベルを調整して粉砕ロールの巾一杯に均等に供給するための穀物・種子・固形樹脂等の製粉機に関するものである。」(段落【0001】) (イ)「【0002】 従来、この種の穀物等の製粉機の一般的なストックレベルを調整する手段は、ストックホッパー内のストックに接触状態でストックの流下により上下動する浮子センサをレバー機構に係合してストックホッパーの中心部に内装し、該レバー機構の上下動を油圧又は空圧の制御機構に伝え、制御機構を作動させてストックフィードロールをON又はOFFに制御し、粉砕ロールの間隙の開閉を連動制御するものであった。 【0003】 又、例えば、給送調整のために流入経路で構造的に簡単な生産物検出を可能とするもので、シリンダミルの給送シリンダに供給されるべき生産物の重量を検出し、その結果を信号変換器を介して制御信号が給送装置に入力され得るもの(特許文献1参照)や、相対する側壁にそれぞれ設けたロール出入用切欠の開口側に固定軸受を、閉口側に移動軸受を各々固着するとともに、固定軸受には高速用ロールを、移動軸受には低速用ロールを各々軸着して異速対向回転する一対のロールを少なくとも一組以上横架してなる製粉用ロール機において、前記各移動軸受を2分割して一方を固定軸受側へ着脱自在となし、他方の一端部を、ロール開閉用偏心輪駆動手段を備えたロール開閉用偏心輪を介して前記側壁に枢着するとともに、他端部をロール微調整軸に係合させ、このロール微調整軸は、移動軸受の反固定軸側に設けたロール微調整用偏心輪駆動手段を有するロール微調整用偏心輪に皿ばねを介して連絡したもの(特許文献2参照)や、機械式センサと製品供給装置とを具備し、この製品供給装置が供給隙間を調整するための供給ローラまたは供給セグメント用の調整可能な駆動手段と、粉砕ローラを相互接近および離隔させるための手段とを備えている、4本ローラ型または8本ローラ型製粉用ローラミルのための製品自動供給装置において、デジタル信号のための第1の機械的な信号発信発信器と、アナログ信号のための第2の機械的な信号発信発信器を備え、供給ローラの回転数または供給セグメントの位置がアナログ信号を介して調整可能であり、ローラの相互接近および離隔がデジタル信号を介して制御可能であるもの(特許文献3参照)が開示されている。 【特許文献1】特表2002-504854号公報(第1頁、図1) 【特許文献2】特許第2788059号公報(第1頁、第1図) 【特許文献3】特告平8-32309号公報(第1頁、第1図) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 然し乍ら、一般的なストックレベルを調整する手段では、ストックホッパーの中心部に垂直に配置し常時浮子を埋まる状態にして浮子にかかるストックの静圧とストックの流下による動圧により浮子の上下変位でストックレベルを間接的に検出する方法であるが、浮子の動きがストックの変化に伴う嵩比重、スパチュラ角等の変化に大きく影響を受けるので粉体又は粒体により形状の異なる浮子と交換を要すると共に、ストックホッパーの中心部にあるため堆積ストックのストックフィードロールの軸端方向のストックレベル低下によるストックフィードロール全巾にわたる不均一供給の恐れを検知しにくい欠点があり、そのため、ストックの上下限設定は安全側とすべく下限値を上げざるを得ず、自ずと上下限値は狭まり、粉砕機の作動範囲が少なく成る恐れがあり、加えて、ストック中心に埋没するためメンテナンス面でも課題があり、又、油圧制御機構は高価、大型にも拘わらず単純な制御のみとなり効率運転に限界があるものであった。 【0005】 更に、給送調整のために流入経路で構造的に簡単な生産物検出を可能とするもので、シリンダミルの給送シリンダに供給されるべき生産物の重量を検出し、その結果を信号変換器を介して制御信号が給送装置に入力され得るものでは、つまり、ストレーンゲージをセンサとし、ストレーンゲージにロッドを固着し、このロッドをストックホッパー内の上部中心線上のストックの流下する箇所にストックに埋設するように装着し、ロッドに作用するストックの圧力からストックレベルを間接的に推定し、フィードロールの加減速、粉砕ロールの離合を制御するものであるが、前述と同様に、ストックの変化に伴う嵩比重、スパチュラ角等の変化に大きく影響を受けると共に、ストックホッパーの中心線上での検出のためロール巾全般の不均一供給の恐れを検知しにくく、前述と同様に粉砕機の作動範囲が少なくなる恐れが有り、メンテナンス上にも課題があるものである。 【0006】 更には、相対する側壁にそれぞれ設けたロール出入用切欠の開口側に固定軸受を、閉口側に移動軸受を各々固着するとともに、固定軸受には高速用ロールを、移動軸受には低速用ロールを各々軸着して異速対向回転する一対のロールを少なくとも一組以上横架してなる製粉用ロール機において、前記各移動軸受を2分割して一方を固定軸受側へ着脱自在となし、他方の一端部を、ロール開閉用偏心輪駆動手段を備えたロール開閉用偏心輪を介して前記側壁に枢着するとともに、他端部をロール微調整軸に係合させ、このロール微調整軸は、移動軸受の反固定軸側に設けたロール微調整用偏心輪駆動手段を有するロール微調整用偏心輪に皿ばねを介して連絡したものでは、つまり、浮子の代りにストックホッパーの入口筒の外壁面に反射光電式或いは静電気容量式センサを入口筒の中心線に沿って縦列に適当間隔をもって6個設け、ストックと非接触でホッパー内のストックレベルが個々のセンサに近づく毎に個々に検出し、その信号をマイコンに集合的に連結し、マイコンの出力信号でストックフィードロールの加減速、粉砕ロールの離合を制御する構成であるが、ストックホッパーの外壁を通してストックレベルの変化に伴う静電気容量変化を検知する方法のため外壁が障壁となり高感度、高価なセンサ及びアンプの採用が必要となり、又、6個のセンサとパソコンとの結合とデータ処理にも手数を要し高価な方式となるものであり、また、入口筒の中心線に沿い装着するセンサヘッドの配置範囲しか検知できない上にストックが入口筒の壁面に対し、下り傾斜する場合は入口筒の内部にストックが充分有っても少ないと検知する恐れがあり前述と同様にロール全般の不均一供給の恐れを検知しにくいものであり、更には、入口筒の高さと容積内でのストックレベルの計測による運転制御であり、粉砕機の発停が多く非効率運転の恐れを来すものである。 【0007】 加えて、機械式センサと製品供給装置とを具備し、この製品供給装置が供給隙間を調整するための供給ローラまたは供給セグメント用の調整可能な駆動手段と、粉砕ローラを相互接近および離隔させるための手段とを備えている、4本ローラ型または8本ローラ型製粉用ローラミルのための製品自動供給装置において、デジタル信号のための第1の機械的な信号発信発信器と、アナログ信号のための第2の機械的な信号発信発信器を備え、供給ローラの回転数または供給セグメントの位置がアナログ信号を介して調整可能であり、ローラの相互接近および離隔がデジタル信号を介して制御可能であるものでは、つまり、前述の浮子のレバー機構の作動量を油圧制御機構に代えて電気的に検出、フィードロール機構の加減速制御、粉砕ロールの離合制御を行うものであるが、前述の浮子の課題は解決されないものである。」(段落【0002】ないし【0007】) (ウ)「【0008】 本発明は、前述の課題に鑑み、特に流動性の悪いストックもロール巾全般に均一にフィードして効率運転し、通常のストックではより高効率粉砕させることを目的に、鋭意研鑽の結果、請求項1に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、入口筒付きストックホッパーと、ストックホッパーのストックを移送するストックフィードロールと、ストックフィードロールで移送されるストックの流れを調整するフィーダーゲートの開閉をするフィーダーゲート開閉手段と、フィーダーゲートを通過したストックを粉砕する一対の粉砕ロールとを備えた穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、ストックホッパーのストックのストックレベルを計測する2つのレベルセンサを装着すると共に、ストックホッパーのフィーダーゲートの上方近傍にストックに接触させて計測するロードセルを装着し、ロードセルとレベルセンサでの計測値をアンプを介装した制御手段に入力し、制御手段により設定された回転数制御プログラムによりストックフィードロールの回転数とフィーダーゲート開閉手段によりフィーダーゲートの間隔と一対の粉砕ロールの離合とを制御させるものである。 【0009】 更に、請求項2に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、レベルセンサは反射型超音波レベルセンサを用いるものである。 (中略) 【0011】 更には、請求項4に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1乃至請求項3に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、レベルセンサ又はロードセルでストックを計測し、計測した計測値をアンプを介して制御手段で演算し段階的回転数制御出力信号に変換し、変換された出力信号をストックフィードロール用ギアドモータの速度制御器に入力し、ストックレベルに応じたストックフィードロールの回転を制御するものである。 (中略) 【0014】 更には、請求項7に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1乃至請求項3に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、制御手段は予め設定する上下限値の間でレベルセンサ又はロードセルでの計測値が上下に変動するときストックレベルに応じ予め段階的に設定された回転数制御信号によりストックフィードロールの回転数を増減速させるものである。 (中略) 【0023】 本発明の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、粉砕ロールに流入させるストックホッパー内のストックレベルを直接且つ常時正確に非接触のレベルセンサとロードセルの双方、又は、ロードセル単独で正確に検知させ、ストックフィードロールの回転数、フィーダーゲートの間隔、粉砕ロールの離合の制御を行うことにより、絶えず粉砕ロールに幅一杯にストックを供給でき、且つ、予め設定するストックの上下限値の間、特に下限値の設定を低くできるので粉砕機の作動範囲増による稼働率向上とストックの均一供給が可能で、良質の製粉の歩留まり向上に繋がるものであり、極めて実用性の高い発明である。」(段落【0008】ないし【0023】) (エ)「【0024】 本発明は穀物製粉、種子粉砕、固形樹脂製粉等に用いる穀物・種子・固形樹脂等の製粉機に関するものであり、更に詳細には、ストックホッパーに流入された穀物製粉、種子粉砕、固形樹脂製粉等の粉体又は粒体であるストックのストックレベルを調整して粉砕ロールの巾一杯に均等に供給するための穀物・種子・固形樹脂等の製粉機に関するものであり、請求項1に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、入口筒1a付き上方に配設した粉体又は粒体であるストックAを貯留するストックホッパー1と、該ストックホッパー1のストックAを下方に移送するストックフィードロール2と、該ストックフィードロール2で移送されるストックAの流れを調整するフィーダーゲート3の開閉をするフィーダーゲート開閉手段4と、該フィーダーゲート3を通過したストックAを粉砕する一対の粉砕ロール5とを備えた穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、前記ストックホッパー1の入口筒1aの頂部にストックAのストックレベルAaを非接触で計測するレベルセンサ6を装着すると共に、前記ストックホッパー1のフィーダーゲート3の上方のストックAに接触させて計測するロードセル7を水平方向に相当な間隔を有して2つ装着し、該夫々のロードセル7とレベルセンサ6との計測値をアンプ8を介装した制御手段9に入力し、該制御手段9により予め段階的に設定する回転数制御プログラムによりストックフィードロール2の回転数と前記フィーダーゲート開閉手段4によりストックAが通過するフィーダーゲート3の間隔と前記一対の粉砕ロール5の離合とを制御させるものである。 【0025】 更に、請求項2に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、前記レベルセンサ6は反射型超音波レベルセンサを用いるものである。 (中略) 【0027】 更には、請求項4に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1乃至請求項3に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、前記レベルセンサ6又はロードセル7でストックAを計測し、該計測した計測値をアンプ8を介して制御手段9で演算し段階的回転数制御出力信号に変換し、該変換された出力信号をストックフィードロール用ギアドモータ2aの速度制御器2bに入力し、前記ストックレベルAaに応じたストックフィードロールの回転を制御するものである。 (中略) 【0030】 更には、請求項7に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、請求項1乃至請求項3に記載の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機において、前記制御手段9は予め設定する上下限値の間でレベルセンサ6又はロードセル7での計測値が上下に変動するときストックレベルAaに応じ予め段階的に設定された回転数制御信号によりストックフィードロール2の回転数を増減速させるものである。」(段落【0024】ないし【0030】) (オ)「【0040】 即ち、本発明の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、図1図示する如く、対称的に2組の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機が隔壁によって隔てられ夫々本体ケーシングで囲まれたもので、夫々本体ケーシングは上方に入口筒1aを設けたストックホッパー1を備え、下方に製品排出用ホッパーを備え、中央辺には後述するストックフィードロール2、フィーダーゲート開閉手段4、一対の粉砕ロール5等を夫々備えているものであり、以後の詳述は片側の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機のみで述べるが対の構造を有するものである。 【0041】 そして、図2に図示する如く、ストックホッパー1は穀物・種子・固形樹脂等の製粉機の上方に配設されているもので、原材料の穀物製粉、種子粉砕、固形樹脂製粉等の粉体又は粒体であるストックAを貯留するものであり、上方には入口筒1aを備えストックAを原材料の供給源から供給する配管等の供給系1cを接続しており、下方には後述するストックフィードロール2やフィーダーゲート開閉手段4を備えており、ストックフィードロール2やフィーダーゲート開閉手段4の上方は下方に窄まる傾斜板1bを備えておりストックAは総てフィーダーゲート3を通過するようにしており、上方辺には外からストックレベルAaを目視できる透明窓を備えているものである。 【0042】 次に、ストックフィードロール2は実施例では2本のロールを斜め方向に高さを違えてストックホッパー1の下方の開口に横設しており、同一方向に回転することによりストックホッパー1内のストックAを後述するフィーダーゲート3に流入させ下方に移送するものであり、夫々のストックフィードロール2は可変速のストックフィードロール用ギアドモータ2aに機械的に接続されており、ストックフィードロール用ギアドモータ2aには速度制御器2bが付設されており、速度制御器2bに後述する制御手段9から信号を送られ駆動するものである。 【0043】 次いで、フィーダーゲート開閉手段4はストックフィードロール2で移送されるストックAの流れを調整するものであり、枢動ピン4aにより枢着されたフィーダーゲート用開閉レバー4bをフィーダーゲート用開閉アクチュエーター4cに機械的に接続しており、フィーダーゲート用開閉アクチュエーター4cを進退させることによりフィーダーゲート用開閉レバー4bを枢動させ、フィーダーゲート用開閉レバー4bとストックフィードロール2との間のフィーダーゲート3の間隔を開閉及び調整するものである。 【0044】 更に、一対の粉砕ロール5は水平方向に離合可能に横設されており、つまり、少なくとも片方の粉砕ロール5は離合させるために粉砕ロール離合用アクチュエーター5aに機械的に接続して水平方向に移動可能とすると共に、一対の粉砕ロール5の隙間を調整する粉砕ロール隙間調整手段5bを備えており、一対の粉砕ロール5が相対的に中方向に夫々回転することにより、フィーダーゲート3を通過して流下したストックAを粉砕するものである。 【0045】 更には、レベルセンサ6は非接触で入口筒1a及びストックホッパー1のストックAのストックレベルAaを計測するものであり、ストックホッパー1の入口筒1aの頂面に装着用孔を穿設し、装着用孔にセンサヘッドを下方にして装着しているもので、後述するアンプ8を介装して制御手段9に接続されているものである。 【0046】 そして、ロードセル7はストックホッパー1のフィーダーゲート3の上方近傍にストックAに接触させて計測するもので、ストックホッパー1の下方に窄まる傾斜板1cの上方に水平方向に少なくとも2つ装着しているものであり、ストックAに接触させて水平方向に複数装着することによりストックAの傾斜も計測が可能なものである。 【0047】 次に、制御手段9はシーケンサを用いているもので、アンプ8を介装してレベルセンサ6とロードセル7とに接続されており、レベルセンサ6とロードセル7とでのストックAの計測値の信号をアンプ8で増幅させて入力するものである。 【0048】 そして、制御手段9はストックフィードロール2を回転させる機械的に接続されたストックフィードロール用ギアドモータ2aの速度制御器2bに電気的に接続されており、予め段階的に設定された回転数制御プログラムによりストックフィードロール2の回転数を制御させるものである。 【0049】 更に、制御手段9はフィーダーゲート3の間隔を調整するために備えたフィーダーゲート開閉手段4のフィーダーゲート用開閉レバー4bを枢動させるフィーダーゲート用開閉アクチュエーター4cに電気的に接続されており、フィーダーゲート用開閉アクチュエーター4cを進退させてフィーダーゲート用開閉レバー4bを枢動させることによりフィーダーゲート3の間隔を開閉及び調整し、フィーダーゲート3に流入するストックAの流れを調整するものである。 【0050】 更には、制御手段9は一対の粉砕ロール5の離合を制御させるもので、一対の粉砕ロール5の片方には粉砕ロール離合用アクチュエーター5aに機械的に接続されており、粉砕ロール離合用アチュエクター5aは制御手段9と電気的に接続されておりレベルセンサ6又はロードセル7から発信される信号により可動するものである。 【0051】 そして、レベルセンサ6は反射型超音波レベルセンサを用いているもので、周知のように反射型超音波レベルセンサ6はレベルセンサヘッドから超音波を発信し、ストックAの表面により反射してくる超音波を受信して、その時間差によりストックレベルAaを正確に検知するものである。 【0052】 次に、レベルセンサ6又はロードセル7でのストックAの計測値をアンプ8で増幅してシーケンサを用いた制御手段9により段階的回転数制御出力信号に変換し、該変換された出力信号をストックフィードロール用ギアドモータ2aの速度制御器2bに入力し、前記ストックAに応じたストックフィードロール2の回転を制御させるものである。 (中略) 【0055】 更には、制御手段9はレベルセンサ6又はロードセル7でのストックAの計測値が予め設定する上下限値の間で上下に変動するとき予め段階的に設定されたストックフィードロール2の回転数を増減させるものである。 (中略) 【0065】 本発明の穀物・種子・固形樹脂等の製粉機は、広範囲な原料ストックに対応し得て効率良く良質の粉体に廉価で提供するのに好適なものである。」(段落【0040】ないし【0065】) イ 引用文献2の記載から分かること 上記(1)及び図面の図1ないし図3の記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていることが分かる。 (カ)上記(1)の段落【0008】、【0011】、【0024】、【0051】及び【0052】並びに図面の図1ないし図3の記載から、引用文献2には、回転速度が調整可能なロールを有する装置において、レベルセンサとして、反射型超音波レベルセンサ6を有している技術が記載されていることが分かる。 (キ)上記(1)の段落【0011】、【0014】、【0027】、【0030】、【0042】、【0048】、【0052】及び【0055】並びに図面の図1ないし図3の記載から、、引用文献2には、回転速度が調整可能なロールを有する装置において、ストックAに応じたストックフィードロール2の回転を制御させる技術も記載されていることが分かる。 (ク)上記(1)(イ)の段落【0006】の記載から、ストックレベルを検出するための先行技術として、反射光電式或いは静電気容量式センサが使用されていたことが分かる。 ウ 引用文献2記載の技術 上記(1)(2)及び図面の図1ないし図3の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。 「回転速度が調整可能なロールを有する装置において、レベルセンサとして、反射型超音波レベルセンサ6を有している技術。」 2-2 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「製粉する材料」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「流動性の材料内の粒子」に相当し、以下同様に、「ロール対11,12」は「ロール対」に、「供給ロール13」は「ロール」に、「供給ロール13の角速度」は「ロールの回転速度」に、「変更可能」は「調整可能」に、「検出器」は「充填レベルメータ」に、それぞれ相当する。 また、引用発明における「製粉する材料の円錐31の高さ」は、Fig.2を参照すると、供給ロール13上に充填された製粉する材料の円錐31の高さであるから、本願補正発明における「ロールギャップ内のまたは1つのロール対に前置されたロールトラフ内の流動性の材料の充填レベル高さ」に相当する。 また、引用発明における「電位差測定の組み立て」は、供給ロールの角速度(本願補正発明における「ロールの回転速度」)を変更する部材であるから、本願補正発明における「調整ユニット」に相当する。 また、引用発明における「レベル検出用部品15」は、「レベル検出用部品」という限りにおいて、本願補正発明における「光学式のまたは音響式のセンサ」に相当する。 以上から、本願補正発明と引用発明は、 「流動性の材料内の粒子を粉砕する装置であって、 該装置が、少なくとも1つのロール対を有しており、該ロール対に対して少なくとも1つのロールの回転速度が調整可能であり、 前記装置が、ロールギャップ内のまたは1つのロール対に前置されたロールトラフ内の流動性の材料の充填レベル高さを測定するための充填レベルメータを有している、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置において、 該装置が、ロールギャップまたはロールトラフ内の流動性の材料の測定された充填レベル高さに関連して、少なくとも1つのロールのロール回転速度を変更する調整ユニットを有しており、充填レベルメータが、レベル検出用部品を有している、流動性の材料内の粒子を粉砕する装置。」 という点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 「レベル検出用部品」に関して、本願補正発明においては「光学式のまたは音響式のセンサ」を有するのに対し、引用発明においては「レベル検出用部品」を有する点(以下、「相違点」という。)。 2-3 判断 (1)相違点について 引用文献2には、「回転速度が調整可能なロールを有する装置において、レベルセンサとして、反射型超音波レベルセンサ6を有している技術。」(上記「引用文献2記載の技術」)が記載されており、ここで「反射型超音波レベルセンサ6」は、「音響式のセンサ」である。 また、流動性の材料の充填レベル高さを測定するための充填レベルメータとして、「光学式のまたは音響式のセンサ」を用いることは、周知技術(以下、「周知技術1」という。例えば、特開昭61-278363号公報(第4ページ左上欄第19行ないし右上欄第5行等の記載を参照。)、特表2010-536693号公報(段落【0015】等の記載を参照。)、引用文献2の段落【0006】の「反射光電式センサ」等を参照。)である。 してみれば、本願補正発明において、流動性の材料の充填レベル高さを測定するために、引用文献2記載の技術又は周知技術1を適用することにより、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。 (2)効果について そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできない。 (3)まとめ 本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 なお、請求人は、審判請求書において、 「引用文献1には、ロールトラフ10内の材料の高さを高さ検出器15で検出して、検出した材料の高さに応じて、制御装置により、ロール11,12の間隙を調整する、粉砕装置に関する発明が記載されております。引用文献1には、非接触式のセンサは開示されておりません。 引用文献2には、反射型超音波レベルセンサ6によって、ストックホッパ1内のストックAのストックレベルAaを検出し、それに基づいて制御手段9により、粉砕ロール5の間隙を調整する、穀物・種子・固形樹脂等の製粉機に関する発明が記載されております。引用文献2には、ロール押付け圧やロール速度を調整することは開示されておりません。」(3.(c)) と主張している。 しかしながら、引用文献1には、上記のように、ロールトラフ10内の材料の高さを高さ検出器15で検出して、検出した材料の高さに応じて、制御装置により、供給ロールの角速度を変える技術も記載されているといえる。 また、引用文献2には、「ストックAに応じたストックフィードロール2の回転を制御させるもの」(段落【0052】)、すなわち、ロール速度を制御する技術も記載されている。 したがって、請求人の上記主張は失当である。 また、請求人は、上申書において、センサを「光学式のセンサ」に限定する補正案を提示しているが、上記(1)において例示したように、流動性の材料の充填レベル高さを測定するための充填レベルメータとして、「光学式のセンサ」を用いることも、周知技術(以下、「周知技術1’」という。例えば、特表2010-536693号公報(段落【0015】等の記載を参照。)、及び、引用文献2の段落【0006】の「反射光電式センサ」等を参照。)である。 したがって、請求人が上申書において提示した補正案は、本願補正発明と同様に、引用発明及び周知技術1’に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 上記のとおり、平成28年9月21日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし17に係る発明は、平成27年12月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲、平成26年1月10日提出の翻訳文提出書により翻訳された明細書、及び国際出願時の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)アの【請求項2】のとおりのものである。 2 引用文献及び引用発明 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(仏国特許発明第1378556号明細書)及び引用発明は、前記第2[理由]2-1(1)アないしウに記載したとおりである。 また、本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2005-169198号公報)及び引用文献2記載の技術は、前記第2[理由]2-1(2)アないしウに記載したとおりである。 3 対比・判断 前記第2[理由]1(2)で検討したとおり、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2[理由]2-3に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載の技術、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載の技術、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術、又は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-08-24 |
結審通知日 | 2017-08-28 |
審決日 | 2017-09-08 |
出願番号 | 特願2014-509770(P2014-509770) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B02C)
P 1 8・ 121- Z (B02C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加藤 昌人、岡田 三恵、葛原 怜士郎、今野 聖一 |
特許庁審判長 |
冨岡 和人 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 槙原 進 |
発明の名称 | 流動性の材料内の粒子を粉砕する装置および方法 |
代理人 | 二宮 浩康 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |