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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1336806
審判番号 不服2017-395  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-11 
確定日 2018-01-22 
事件の表示 特願2014-152399「画像処理システム及びその画像処理方法とプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月13日出願公開、特開2014-212575〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成13年3月29日(優先権主張平成12年3月29日、平成12年4月11日、平成12年4月19日)に出願した特願2001-97033号の一部を平成22年10月12日に新たな特許出願とした特願2010-230092号の一部を、更に平成23年10月31日に新たに特許出願した特願2011-239477号の一部を、更に平成24年4月26日に新たに特許出願した特願2012-101679号の一部を、更に平成26年7月25日に新たに特許出願したものであって、その手続きの経緯は、以下のとおりである。

平成27年10月21日:拒絶理由の通知
平成27年12月21日:手続補正(1)
平成28年 3月 3日:拒絶理由の通知(最後)
平成28年 5月 9日:手続補正(2)
平成28年10月 6日:補正の却下の決定(手続補正(2))
平成28年10月 6日:拒絶査定
平成28年10月11日:拒絶査定の謄本の送達
平成29年 1月11日:拒絶査定不服審判の請求
平成29年 1月11日:手続補正(3)

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開平10-155052号公報
引用文献2:特開2000-36885号公報
引用文献3:特開平11-53277号公報
引用文献4:特開平11-8693号公報
引用文献5:特開平10-322530号公報

(請求項1、4、10、11については、引用文献1、2)

第2 補正却下の決定
平成29年1月11日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成29年1月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年1月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものである。

補正前の請求項1?11
「 【請求項1】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理手段は、前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行し、前記宛先変更指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは、画像処理装置とホストコンピュータがネットワークを介して接続されるシステムであり、
前記画像処理装置は、前記送信処理手段および前記記憶手段を備え、
前記ホストコンピュータは、前記表示手段および前記入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記記憶手段に記憶した画像を含むHTMLファイルを前記ホストコンピュータに転送し、該転送されたHTMLファイルを前記ホストコンピュータ上のウェブブラウザで解析することにより、前記画像を前記ユーザに確認させることを可能とすることを特徴とする請求項2記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記送信処理手段は、電子メール、ファックス、またはファイル転送により前記送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記履歴は、送信処理を識別するための情報、送信処理の結果を示す情報、及び、送信処理を開始した時間を示す情報もしくは送信処理を終了した時間を示す情報を少なくとも含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記履歴は、送信宛先を示す情報を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記履歴は、Fコードを指定して送信した場合はそのFコード、送信ページ数、および送信の際の通信モードを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
原稿を読み取って画像を生成する画像読取手段を更に有し、
前記送信処理手段は、前記画像読取手段により生成された画像の送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記記憶手段は、画像を蓄積するためのボックス記憶領域を持ち、
前記送信処理手段は、前記ボックス記憶領域に記憶された画像の送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理工程と、
前記送信処理工程により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶工程と、
前記履歴を表示するための表示工程と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力工程と、を有し、
前記送信処理工程では、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶工程により記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力工程では、さらに、前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理工程では、前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行し、前記宛先変更指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理手段は、前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行し、前記宛先変更指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とするプログラム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?11に補正するものである(下線は補正箇所である。)。

「 【請求項1】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理手段は、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行し、前記宛先追加指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは、画像処理装置とホストコンピュータがネットワークを介して接続されるシステムであり、
前記画像処理装置は、前記送信処理手段および前記記憶手段を備え、
前記ホストコンピュータは、前記表示手段および前記入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記記憶手段に記憶した画像を含むHTMLファイルを前記ホストコンピュータに転送し、該転送されたHTMLファイルを前記ホストコンピュータ上のウェブブラウザで解析することにより、前記画像を前記ユーザに確認させることを可能とすることを特徴とする請求項2記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記送信処理手段は、電子メール、ファックス、またはファイル転送により前記送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記履歴は、送信処理を識別するための情報、送信処理の結果を示す情報、及び、送信処理を開始した時間を示す情報もしくは送信処理を終了した時間を示す情報を少なくとも含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記履歴は、送信宛先を示す情報を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記履歴は、Fコードを指定して送信した場合はそのFコード、送信ページ数、および送信の際の通信モードを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
原稿を読み取って画像を生成する画像読取手段を更に有し、
前記送信処理手段は、前記画像読取手段により生成された画像の送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記記憶手段は、画像を蓄積するためのボックス記憶領域を持ち、
前記送信処理手段は、前記ボックス記憶領域に記憶された画像の送信処理を実行することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理工程と、
前記送信処理工程により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶工程と、
前記履歴を表示するための表示工程と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力工程と、を有し、
前記送信処理工程では、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶工程により記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力工程では、さらに、前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理工程では、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶工程で記憶された前記画像を送信する送信処理を実行し、前記宛先追加指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶工程で記憶された前記画像を送信する送信処理を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能とし、
前記送信処理手段は、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行し、前記宛先追加指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行することを特徴とするプログラム。」

2 補正の適合性
本件補正は、請求項1、10、11において、以下のとおりにする補正である。
(a)「前記送信処理手段(工程)により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段(工程)」を「前記送信処理手段(工程)により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段(工程)」とする。
(b)「前記入力手段(工程で)は、さらに、前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能とし、」を「前記入力手段(工程で)は、さらに、前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能とし、」とする。
(c)「前記送信処理手段(工程で)は、前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行し、前記宛先変更指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行する」を「前記送信処理手段(工程で)は、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に(工程で)記憶された前記画像を送信する送信処理を実行し、前記宛先追加指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に(工程で)記憶された前記画像を送信する送信処理を実行する」とする。
(下線は補正箇所である。)

上記(a)、(c)の「少なくとも」を付加する補正、上記(c)の「選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に(工程で)記憶された前記画像を」を付加する補正は、特許請求の範囲を減縮する補正と認められる。
次に上記(b)及び上記(c)における「宛先変更」を「宛先追加」にする補正について検討する。
「宛先変更」は、宛先を変えることであり、宛先を追加することを含む概念として解されるから、「宛先変更」を「宛先追加」にする補正は、特許請求の範囲を減縮する補正と認められる。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

そこで、特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か以下検討する。

3 独立特許要件
(1)補正発明
補正後の請求項1?11に係る発明のうち請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、次のとおりのものである。

(補正発明)
「(A)入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
(B)前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
(C)前記履歴を表示するための表示手段と、
(D)表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
(A-1)前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
(D-1)前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能とし、
(A-2)前記送信処理手段は、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行し、前記宛先追加指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を送信する送信処理を実行する
(E)ことを特徴とする画像処理システム。」

((A)?(E)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(2)引用文献の記載及び引用文献に記載された発明
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-155052号公報(上記引用文献1)には、「マルチファンクションシステム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチファンクションシステムに関し、詳細には、ファクシミリ装置に接続されたコンピュータからファクシミリ装置の通信管理情報を参照して各種動作処理を行うマルチファンクションシステムに関する。」

「【0029】図1において、マルチファンクションシステム1は、ファクシミリ装置10とパーソナルコンピュータ(コンピュータ)30とを備えており、ファクシミリ装置10とパーソナルコンピュータ30とは、ケーブル40、例えば、セントロニクスのパラレルケーブルにより接続されている。
【0030】ファクシミリ装置10は、システム制御部11、メモリ12、操作表示部13、スキャナ14、プロッタ15、データ記憶メモリ16、画像メモリ17、符号化・復号化部18、通信制御部19、網制御部20及びホストI/F部21等を備えており、上記各部は、バス22により接続されている。
【0031】メモリ12には、ファクシミリ装置10の基本処理プログラムが格納されているとともに、後述するパーソナルコンピュータ30との間でデータやコマンドの授受を行ってパーソナルコンピュータ30からの動作命令に応じて各種動作処理を行うマルチファンクション制御処理プログラム及び基本処理プログラムとマルチファンクション制御処理プログラムを実行するのに必要な各種データやシステムデータ等が格納されている。
【0032】システム制御部(制御手段)11は、メモリ12内のプログラムに基づいてファクシミリ装置10の各部を制御し、ファクシミリ装置10としての送信動作や受信動作等の各種基本動作処理を実行するとともに、マルチファンクション制御処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータ30との間でデータ(特に、通信管理情報)やコマンドの授受を行って、パーソナルコンピュータ30からの動作命令に応じて、各種動作処理を行う。
【0033】操作表示部13は、テンキー、スタートキー、ストップキー及びその他の機能を利用するためのファンクションキー及びワンタッチキーや短縮キー等の各種操作キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を備えており、操作表示部13は、各操作キーにより各種命令が入力され、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容やファクシミリ装置10からオペレータに通知する各種情報が表示される。
【0034】スキャナ14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、読取対象の複数枚の原稿のセットされるADF(自動原稿送り装置)を備えている。ADFは、セットされた原稿を1枚ずつスキャナ14の読取部に送給する。スキャナ14は、ADFから搬送されてきた原稿を走査して、原稿の画像データを所定の解像度で読み取る。
【0035】スキャナ14の読み取った画像データは、システム制御部11の制御下で符号化・復号化部18で符号化されて画像メモリ17に一時蓄積され、あるいは、プロッタ15に転送されてプロッタ15で記録紙に記録出力される。
【0036】プロッタ15は、例えば、サーマル素子を利用したサーマル記録装置あるいは電子写真式記録装置等が使用され、プロッタ15は、受信画像データやスキャナ14で読み取った画像データを記録紙に記録出力する。
【0037】データ記憶メモリ(通信管理情報記憶手段)16は、RAM(Random Access Memory)等で形成され、送信結果、受信結果、待機ファイルの送信結果等の各種通信管理情報やその他の必要なデータが格納されている。この通信管理情報は、例えば、ファイルナンバー、通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号、通信時間、交信ページ、交信モード、状態及びイメージファイルの状態等からなる。
【0038】画像メモリ(ファイル記憶手段)17は、例えば、大容量のハードディスク装置、あるいは、RAM等で構成され、主に画像データを蓄積する。画像メモリ17には、送信用の画像データ、受信した画像データ及び送信待機の画像データ等を送信ファイル、受信ファイル及び待機ファイル等の通信ファイルとして蓄積するとともに、これらの通信ファイルを管理するのに必要なファイル管理情報を記憶し、システム制御部11の制御下で書き込み及び読み取りが行われる。
【0039】符号化・復号化部18は、画像データの画像メモリ17への蓄積の効率化及び伝送時間の短縮化を図るためのものであり、所定の符号化方式に従って画像データを符号化し、また、符号化された画像データを復号化する。
【0040】通信制御部19は、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ制御信号を交換し、ファクシミリ通信手順を実行する。
【0041】網制御部20には、回線、例えば、公衆電話回線あるいは専用回線が接続され、網制御部20は、回線からの発呼に対して自動着呼し、また、回線への自動発呼処理を行う。また、網制御部20は、モデムを内蔵しており、モデムは、送信信号の変調及び受信信号の復調を行う。
【0042】ホストI/F部20には、ケーブル40を介してパーソナルコンピュータ30が接続され、各種データ、特に、通信管理情報、画像データ及びコマンドの授受を行う。ホストI/F部20としては、例えば、パラレルポートが使用され、このパラレルポートのホストI/F部20へのアクセスは、セントロニクス規格(IEEE P1284参照)が適用される。なお、ホストI/F部20としては、上記セントロニクスのパラレルポートに限るものではなく、例えば、SCSI-2、SCSI-3等を用いてもよく、これらを用いると、データの送受を高速で行うことができる。
【0043】パーソナルコンピュータ30は、パーソナルコンピュータ本体31、ディスプレイ(表示手段)32、キーボード33及びマウス34等を備えており、パーソナルコンピュータ本体31には、通信管理情報アプリケーションソフト(通信管理ソフト)がインストールされている。この通信管理情報アプリケーションソフトは、ファクシミリ装置10からデータ記憶メモリ16内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイ32に表示し、当該ディスプレイ32に表示した通信管理情報に基づいて、キーボード33やマウス34からの選択・命令操作に応じて、必要なコマンドやデータをファクシミリ装置10に出力する。すなわち、パーソナルコンピュータ30は、通信管理情報アプリケーションソフトが立ち上がっている状態で、図2の上部に示すようなComm Logのタイトル表示34aをディスプレイ32に行い、このタイトル表示部分がマウスでクリックあるいはダブルクリックされると、通信管理情報アプリケーションソフトが稼動状態となり、図2の下部に示すような内容表示を行う。なお、図2の下部には、Transmission(送信ログ表示)がマウスでクリックされた場合の送信ログ表示の状態を示しており、通信管理情報アプリケーションソフトは、その画面表示内容として、図2の下部に示すように、「Transmission」、「Receive」、「Stanby」及び「Help」の各メニューからなるメニュー欄34b、送信、受信等の各種通信管理情報を表示する管理情報表示欄34c、管理情報表示欄34cに表示されている通信ファイルのうち選択された通信ファイルのファイルナンバー、通信日時、処理結果等の通信管理項目を表示する通信管理項目表示欄34d、管理情報表示欄34cに表示されている通信ファイルのうち選択された通信ファイルの画像データの内容を表示するデータ表示欄34e及び管理情報表示欄34cに表示された通信管理情報や選択された通信ファイルの処理内容を選択するための各種処理内容表示欄34f、34g、34h、34i等を有している。上記キーボード33及びマウス34は、動作指示手段として機能している。
【0044】そして、パーソナルコンピュータ30は、各種ログの選択と当該ログに対応する通信ファイルの選択及び動作処理内容の選択操作が行われると、ファクシミリ装置10との間でデータ及びコマンドの授受を行って、ファクシミリ装置10に通信管理情報の要求、通信ファイルの要求、送信命令、更新命令、削除命令及び再送信命令等の各種動作命令や当該各種動作命令と当該動作命令に対応する通信ファイルの選択を通信管理情報に基づいて操作可能とする画面表示等の各種動作処理を行う。図2では、ハッチングの入っている欄が選択されている状態を示している。
【0045】なお、図2において、メニュー欄34bの「Transmission」は、送信ログ表示項目を示しており、パーソナルコンピュータ30は、この「Transmission」がクリックされると、ファクシミリ装置10に送信ログが選択された旨の送信ログ選択情報(送信ログ要求コマンド)を通知する。ファクシミリ装置10は、送信ログ選択情報がパーソナルコンピュータ30から送信されてくると、システム制御部11がメモリ12内のマルチファンクション制御処理プログラムに基づいてデータ記憶メモリ16の通信管理情報の中から送信に関する通信管理情報(送信ログ情報)を検索して、パーソナルコンピュータ30に送信する。パーソナルコンピュータ30は、ファクシミリ装置10から送信に関する通信管理情報を受け取ると、図2に示すように、送信ファイルの通信管理情報及び選択されている送信ファイルの画像データを必要に応じてディスプレイ32に表示出力する。・・・」

「【0046】また、図2の通信管理項目表示欄34dの「File No. 」は、管理情報表示欄34cに表示される通信ファイルのファイル番号を示しており、上述のように、この通信ファイルの通信管理情報は、ファクシミリ装置10のデータ記憶メモリ16に、画像データは、画像メモリ17に、それぞれ格納されている。このファイル番号の通信ファイルが選択された状態で、削除や再送信が指示されると、パーソナルコンピュータ30は、このファイル番号と削除や再送信等の動作命令をファクシミリ装置10に通知する。通信管理項目表示欄34dの「Date」は、通信の開始日付を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信開始日付である。通信管理項目表示欄34dの「Time」は、通信の開始時間を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信開始時間である。通信管理項目表示欄34dの「Address」は、通信の相手先の名称を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信相手先名称である。通信管理項目表示欄34dの「Fax No. 」は、通信の相手先のファクシミリ番号(電話番号)を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信相手先のファクシミリ番号である。通信管理項目表示欄34dの「CommTM」は、通信の時間を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信に要した時間(通信時間)である。通信管理項目表示欄34dの「Page」は、通信ファイルのページを示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信ページである。通信管理項目表示欄34dの「Mode」は、通信のモードを示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信モードで、例えば、#は、BATCHを、Cは、CONFIDENTIALを、Sは、TRANSFERを、Pは、POLINGを、Mは、MEMORYを、Lは、SEND LATERを、@は、FORWARDINGを、Eは、ECMを、Sは、STANDARDを、Dは、DETAILを、Fは、FINEを、>は、REDUCATIONを、それぞれ示している。通信管理項目表示欄34dの「Status」は、通信ファイルの状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの状態で、例えば、OKは、通信が正常完了したことを、Eは、ERROR(通信に失敗したこと)を、Sは、STANBY(待機状態)を、それぞれ示している。通信管理項目表示欄34dの「Image」は、イメージファイルの有無状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルが画像メモリ17に有るか否かを示し、通信ファイルの画像データが画像メモリ17に有ると、ファイル名が表示される。」

「【0049】図2の処理内容表示欄34hの「Resend」は、再送信処理を示すものであり、パーソナルコンピュータ30は、処理内容表示欄34hの「Resend」がクリックされると、選択されているファイルナンバーと再送信命令(再送信コマンド)をファクシミリ装置10に通知する。ファクシミリ装置10は、ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリ16から該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリ17の当該ファイルナンバーの画像データを再送信し、再送信の結果をパーソナルコンピュータ30に通知する。」

「【図2】



(イ)引用文献1に記載された発明
引用文献1には、「ファクシミリ装置に接続されたコンピュータからファクシミリ装置の通信管理情報を参照して各種動作処理を行うマルチファンクションシステム」が記載されており、このシステムを引用文献1に記載された発明として認定する。
ファクシミリ装置は、「システム制御部11、メモリ12、・・・、スキャナ14、・・・、データ記憶メモリ16、画像メモリ17、・・・、通信制御部19、網制御部20及びホストI/F部21等を備えて」(段落【0030】)いる。
「スキャナ14」は、画像を入力するものである(段落【0035】)。
「システム制御部・・・11は、メモリ12内のプログラムに基づいてファクシミリ装置10の各部を制御し、ファクシミリ装置10としての送信動作・・・等の各種基本動作処理を実行する」(段落【0032】)から、ファクシミリ装置は『入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段』を有しているといえる。
「データ記憶メモリ・・・16は、・・・送信結果等の各種通信管理情報・・・が格納されている。この通信管理情報は、例えば、ファイルナンバー、通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号、通信時間、・・・状態及びイメージファイルの状態等からなる」(段落【0037】)。ここで、「状態」は、段落【0046】に「通信管理項目表示欄34dの「Status」は、通信ファイルの状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの状態で、例えば、OKは、通信が正常完了したことを、Eは、ERROR(通信に失敗したこと)を、Sは、STANBY(待機状態)を、それぞれ示している」と記載されていることから、「正常完了」や「ERROR」を示すものである。また、「イメージファイルの状態」は、段落【0046】に「通信管理項目表示欄34dの「Image」は、イメージファイルの有無状態を示しており、・・・通信ファイルの画像データが画像メモリ17に有ると、ファイル名が表示される」と記載されてるから、通信管理情報を画像データに関連付けて記憶しているといえる。
したがって、ファクシミリ装置は、『ファイルナンバ-、前記送信処理手段により少なくとも正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報を画像データに関連付けて記憶するデータ記憶メモリ』を有している。
ファクシミリ装置は、「ケーブル40を介してパーソナルコンピュータ30が接続され」(段落【0042】)、パーソナルコンピュータは、「ファクシミリ装置10からデータ記憶メモリ16内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイ32に表示し、当該ディスプレイ32に表示した通信管理情報に基づいて、キーボード33やマウス34からの選択・命令操作に応じて、必要なコマンドやデータをファクシミリ装置10に出力する」(段落【0043】)。そして、「このファイル番号の通信ファイルが選択された状態で、・・・再送信が指示されると、パーソナルコンピュータ30は、このファイル番号と・・・再送信・・・の動作命令をファクシミリ装置10に通知する」(段落【0046】)。
したがって、パーソナルコンピュータは、『通信管理情報を表示するディスプレイ』と『表示された通信管理情報から所望のファイルナンバーの通信ファイルを選択し、再送信を指示する入力手段』(キーボードやマウス)を有している。
ファクシミリ装置は、『ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信』(段落【0049】)するものであり、この動作は、上記の送信処理手段で行われることは明らかである。

以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「(a)入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
(b)ファイルナンバ-、上記送信処理手段により少なくとも正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報を画像データに関連付けて記憶するデータ記憶メモリと、
(c)上記通信管理情報を表示するディスプレイと、
(d)表示された通信管理情報から所望のファイルナンバーの通信ファイルを選択し、再送信を指示する入力手段と、を有し、
(e)上記送信処理手段は、ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信する
(f)ことを特徴とするシステム。」

((a)?(f)は、引用発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。)

イ 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-36885号公報(上記引用文献2)には、「ネットワークファクシミリ装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つ以上のワークステーション装置が接続されたローカルエリアネットワークに接続されるとともに、公衆網を介し、ファクシミリ装置との間で所定のファクシミリ伝送手順を用いてファクシミリデータをやりとりするネットワークファクシミリ装置に関する。」

「【0030】また、本実施例では、ユーザにより操作表示部7が操作され、画情報送信が指令されると、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画像データを符号化複号化部8で符号化圧縮し、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積し、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する。
【0031】そして、その画情報送信について、図3(a)に示すような履歴情報を作成する。また、蓄積した画情報を管理するために、同図(b)に示すような蓄積管理情報を作成して保存する。
【0032】履歴情報は、ワークステーション装置WS(WS1?WSn)から履歴情報を取り出す際に参照される送信履歴用パスワード、送信日時、送信時の伝送モード、宛先の電話番号をあらわす宛先番号、その送信動作の結果をあらわす送信結果、および、送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号からなる。」

「【0064】・・・ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXから1つ以上の送信履歴情報を受信し(処理604)、その受信した1つ以上の送信履歴情報の内容を一覧表示して(処理605)、ユーザに対して、宛先を変更するか否かを問い合わせて、それぞれの送信履歴情報に関して宛先を変更操作させる宛先変更操作処理(処理606)を実行する。
【0065】これにより、ユーザが1つ以上の送信履歴情報について、宛先を変更した場合には(判断607の結果がYES)、その宛先が変更されたそれぞれの送信履歴情報について、その送信履歴情報に記憶されていた送信画情報ファイル番号と、変更された宛先の内容を指定した状態で、ネットワークファクシミリ装置FXへ送信要求を発行する(処理608)。
【0066】これにより、ネットワークファクシミリ装置FXは、ワークステーション装置WSから通知された送信画情報ファイル番号の蓄積画情報を、指定された送信宛先へ送信する送信動作を行う。」

(3)対比
ア 補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)構成要件Aと構成aとを対比する。
補正発明と引用発明とは、「入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段」を有する点で一致する。

(イ)構成要件Bと構成bとを対比する。
引用発明の「ファイルナンバ-、前記送信処理手段により少なくとも正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報」は、補正発明の「前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴」に相当する。また、引用発明の「データ記憶メモリ」は、「記憶手段」といえる。
したがって、補正発明と引用発明とは、「前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段」を有する点で一致する。

(ウ)構成要件Cと構成cとを対比する。
上記(イ)のとおり、引用発明の「・・・通信管理情報」は、補正発明の「・・・履歴」に相当し、引用発明の「ディスプレイ」は、「表示手段」といえるから、補正発明と引用発明とは、「前記履歴を表示するための表示手段」を有する点で一致する。

(エ)構成要件Dと構成dとを対比する。
構成dの「表示された通信管理情報から所望のファイルナンバーの通信ファイルを選択し、再送信を指示する入力手段」は、「表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させる」ものであって、「表示された通信管理情報から所望のファイルナンバーの通信ファイルを選択し、再送信を指示する」ことは、「選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させる」ことといえるから、補正発明と引用発明とは、「表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段」を有する点で一致する。

(オ)構成要件A-1と構成eとを対比する。
構成eの「上記送信処理手段は、ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信する」ことは、「前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信」することとして、構成要件A-1と共通する。
しかしながら、「選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像」が、補正発明においては「前記記憶手段」に記憶されているのに対し、引用発明においては、「前記記憶手段」に相当する「データ記憶メモリ」と異なる「画像メモリ」に記憶されている点で相違する。

(カ)構成要件D-1について
引用発明の「入力手段」は、「前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能」にするものではなく、補正発明と相違する。

(キ)構成要件A-2と構成eとを対比する。
構成eは、「前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行する」点で、構成要件A-2と共通する。
しかしながら、引用発明の「送信処理手段」は、「前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行」するものでなく、それに伴い、「前記宛先追加指示なしに」再実行指示の入力がされると特定されていない点で、補正発明と相違する。
また、「選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像」が、補正発明においては、「前記記憶手段に」記憶されているのに対し、引用発明においては、「前記記憶手段」に相当する「データ記憶メモリ」と異なる「画像メモリ」に記憶されている点で相違することは、上記(オ)の相違点と同じである。

(ク)構成要件Eと構成fとを対比する。
引用発明の「システム」は、構成a?eからなり、画像を処理しているといえるから、「画像処理システム」として、補正発明と一致する。

イ 一致点、相違点
以上より、補正発明と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行する
ことを特徴とする画像処理システム。

(相違点1)
「選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像」が、
補正発明においては、「前記記憶手段」に記憶されているのに対し、
引用発明においては、「前記記憶手段」に相当する「データ記憶メモリ」と異なる「画像メモリ」に記憶されている点

(相違点2)
「入力手段」が、
補正発明においては、「前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能」にするものであるのに対し、
引用発明においては、「前記ユーザに宛先追加指示を行わせることを可能」にするものでない点

(相違点3)
「送信処理手段」が、
補正発明においては、「前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行」するものであり、それに伴い、「前記宛先追加指示なしに」再実行指示の入力がされる場合もあるのに対し、
引用発明においては、「前記送信処理手段は、前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行」するものでなく、それに伴い、「前記宛先追加指示なしに」再実行指示の入力がされると特定されていない点

(4)相違点の判断
ア 相違点1について
引用発明において、送信履歴である「通信管理情報」と送信用の「画像データ」とは密接に関連するものであるから、これらを同じ記憶手段に記憶するようにすることは当業者が容易に着想することであり、引用発明において、データ蓄積メモリと画像メモリとを1つのメモリで構成することは当業者が容易に想到し得ることである。
このように構成することにより、「選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像」が「前記記憶手段」に記憶されているものとなる。

イ 相違点3、相違点2について
送信処理についての履歴を記憶し、選択された履歴に関連付けて記憶された画像を送信する画像システムにおいて、ユーザにより宛先を変更して画像データを送信することは、上記引用文献2に記載されている。画像システムにおいて宛先を変更することには、宛先の追加も普通に想定されることであって、例えば、特開平6-284235号公報の段落【0168】に「送信画像ファイルバッファ95から再送データが選択された場合には、追加更新分の送信パラメータ(送信先FAX番号)のみが設定されれば良く、・・・」と記載されているように、画像データを再送の際に宛先を追加することは普通のことである。
引用発明も引用文献2の技術事項も共に、画像処理装置を外部装置から制御する技術であるから、引用発明に引用文献2の技術事項を適用することは当業者が容易に着想することであって、引用発明に引用文献2の技術を適用することにより、引用発明において、宛先の追加が必要な場合に、ユーザにより宛先を追加して送信するようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、引用発明において「前記宛先追加指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、少なくとも前記宛先追加指示に応じて追加された宛先へ、選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像を送信する送信処理を実行」するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、このようにすることにより、引用発明における宛先の追加変更が必要ない場合の再実行指示は、「前記宛先追加指示なしに」するものとなる。
さらに、引用発明において宛先の追加は、引用発明における「入力手段」により行わせるようにすることは、当然のことである。

ウ そして、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

エ したがって、補正発明は、引用文献1記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。

4 まとめ
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年1月11日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、平成27年12月21日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「(A)入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
(B)前記送信処理手段により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
(C)前記履歴を表示するための表示手段と、
(D)表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
(A-1)前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
(D-1’)前記入力手段は、さらに、前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能とし、
(A-2’)前記送信処理手段は、前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行し、前記宛先変更指示なしに前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行する
(E)ことを特徴とする画像処理システム。」

((A)?(E)は当審で付与した。上記補正発明と同じ構成要件には同じ記号を付与し、上記補正発明と対応する構成要件には「’」を付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

2 引用文献の記載及び引用文献に記載された発明
(1)引用文献1
引用文献1の記載及び引用発明は、上記第2の3(2)ア(ア)及び(イ)を援用する。

(2)引用文献2の記載
引用文献2の記載は、上記第2の3(2)イを援用する。

3 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。

ア 本願発明の構成要件A?D、A-1と引用発明の構成a?d、eとの対比は、上記第2の3(3)ア(ア)?(オ)を援用する。

イ 構成要件D-1’について
引用発明の「入力手段」は、「前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能」にするものではなく、本願発明と相違する。

ウ 構成要件A-2’と構成eとを対比する。
構成eは、「前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行する」点で、構成要件A-2’と共通する。
しかしながら、引用発明の「送信処理手段」は、「前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行」するものでなく、それに伴い、「前記宛先変更指示なしに」再実行指示の入力がされると特定されていない点で、本願発明と相違する。

エ 構成要件Eと構成fとを対比する。
引用発明の「システム」は、構成a?eからなり、画像を処理しているといえるから、「画像処理システム」として、本願発明と一致する。

(2)一致点、相違点
以上より、本願発明と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
入力した画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段と、
前記送信処理手段により正常に実行された送信処理についての履歴を前記画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴を表示するための表示手段と、
表示された前記履歴から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
前記送信処理手段は、前記再実行指示に応答して、選択された前記履歴に関連づけて前記記憶手段に記憶された前記画像を前記指定の宛先へ送信し、
前記送信処理手段は、前記再実行指示の入力がされた場合、前記履歴により特定される宛先と同じ宛先へ送信する送信処理を実行する
ことを特徴とする画像処理システム。

(相違点1)
「選択された前記履歴に関連づけて記憶された前記画像」が、
本願発明においては、「前記記憶手段」に記憶されているのに対し、
引用発明においては、「前記記憶手段」に相当する「データ記憶メモリ」と異なる「画像メモリ」に記憶されている点

(相違点2)
「入力手段」が、
本願発明においては、「前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能」にするものであるのに対し、
引用発明においては、「前記ユーザに宛先変更指示を行わせることを可能」にするものでない点

(相違点3)
「送信処理手段」が、
本願発明においては、「前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行」するものであり、それに伴い、「前記宛先変更指示なしに」再実行指示の入力がされる場合もあるのに対し、
引用発明においては、「前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行」するものでなく、それに伴い、「前記宛先変更指示なしに」再実行指示の入力がされると特定されていない点

4 相違点の判断
(1)相違点1について
相違点1は、上記第2の3(3)イの相違点1と同じであるから、上記第2の3(4)アの判断を援用する。

(2)相違点3、相違点2について
ユーザにより宛先を変更して画像データを送信することは、上記引用文献2に記載されている。
引用発明も引用文献2の技術事項も共に、画像処理装置を外部装置から制御する技術であるから、引用発明に引用文献2の技術事項を適用することは当業者が容易に着想することであって、引用発明に引用文献2の技術を適用することにより、引用発明において、宛先の変更が必要な場合に、ユーザにより宛先を変更して送信するようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、引用発明において「前記宛先変更指示とともに前記再実行指示の入力がされた場合、前記宛先変更指示に応じて変更された宛先へ送信する送信処理を実行」するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、このようにすることにより、引用発明における宛先の変更が必要ない場合の再実行指示は、「前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに」するものとなる。
さらに、引用発明において宛先の変更は、引用発明における「入力手段」により行わせるようにすることは、当然のことである。

(3)そして、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)したがって、本願発明は、引用文献1記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2?11に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-29 
結審通知日 2017-12-01 
審決日 2017-12-12 
出願番号 特願2014-152399(P2014-152399)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮島 潤  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 小池 正彦
渡辺 努
発明の名称 画像処理システム及びその画像処理方法とプログラム  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 下山 治  
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