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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1336810
審判番号 不服2017-2819  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-27 
確定日 2018-01-24 
事件の表示 特願2015-504833「確実な通信を保証する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日国際公開、WO2013/152479、平成27年 5月18日国内公表、特表2015-514275〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年4月11日を国際出願日とする出願であって、平成28年3月22日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月29日付けで手続補正がされ、平成28年10月19日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成29年2月27日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。


第2 平成29年2月27日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成29年2月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「 【請求項1】
確実な通信を保証する方法であって、異なるレベルの電子スタンプを発行すること、及び、前記電子スタンプが添付された電子メールが、前記電子スタンプのレベルに応じたサービスを受けることができるようにすることを含む方法において、
前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答することを含み、
前記電子メールが危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、メールサーバーに保存され、前記電子メールの受取人が、受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して前記電子メールにアクセスする方法。」
と補正された。(審決注:下線は当審付与。以下同様。)

本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「電子スタンプのレベルに応じたサービス」について、補正前に「前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールに返信する、または前記電子メールの内容に応答することを含み」との択一的記載の要素を削除することによって、「前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答することを含み」と限定することを含むものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例・引用発明について
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2002-244978号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。

(1) 段落【0003】-【0007】
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インターネットメールは、 テキストベースを中心とした技術を使用しているため、初心者や高齢者にとっては使用しにくいものであった。また、これらメールの横書きメールフォーマットは高齢者にとって馴染みにくく、パーソナルコンピュータの設定変更は、初心者や高齢者にとって困難なものであった。
【0004】また、インターネットメールは、インターネットサービスプロバイダ間での仕様の相違や個人が有するパーソナルコンピュータ端末のフォーマット設定の相違、等々の理由で、ある個人が作成したメールが、フォーマットを変更されることなく受信者に届くという保証はなかった。
【0005】特に、インターネットメールシステムにおいて、SMTPをベースとした電子メールである場合には、着信、既読等の確認をとることが困難であり、 着信、 既読等の確認をする場合、 特定の相手に対応する特殊な機器もしくはソフトウェアを必要としていた。即ち、 相手毎にパーソナルコンピュータ端末、メールサーバ等に装置またはソフトウェアを追加する方法であり、利用者は、送信者、受信者双方に同一の装置またはソフトウェアを具備しなければならないという不便さがあった。
【0006】一方、 Webページで電子メールを送受信することで、 着信、 既読等の確認するものもあるが、この場合でも、 電子メール(電子郵便)の世界に馴染みのない初心者や高齢者にとっては、 実生活上での通常郵便との違和感があり、 その操作は複雑で困難と感じる場合が往々にしてあった。
【0007】本発明は、実際の郵便と同じイメージの封筒、便箋、切手というユーザインターフェースを提供することにより、利用者に特定の機器、ソフトウェアに依存させることなく、電子メールの着信、既読等の通知ができる電子メールシステム及びその方法を提供することを目的とする。」

(2) 段落【0008】-【0017】
「【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、メールサーバと、少なくとも第1のクライアント及び第2のクライアントと、が通信回線を介して接続されて成る電子メールシステムであって、第1のクライアントからメールサーバを介して第2のクライアントに電子メールを送信する際に、第1のクライアントにおいて、封筒の表面と裏面とを表示し、送信先となる住所、宛名、差出人の住所、氏名が入力され、便箋画面を表示し、送信する文書データが入力され、文書データの送信に対する課金額を表示した切手のアイコンを封筒の表面の所定の位置に表示し、送信指示の入力により文書データを送信することを特徴とする。
【0009】請求項1によれば、Webページ上で簡便かつ利用者にとって親和性の高い、実際の郵便と同じ封筒、便箋、切手を模したユーザインタフェースを提供することができる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、電子メールシステムは、送信毎に発生する課金情報を切手のアイコンを用いて管理することを特徴とする。
【0011】請求項2の発明によれば、Webページ上における電子メール用の切手アイコンを使用した課金を提供することができる。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、電子メールシステムは、さらに、通信回線を介して第2のクライアント端末のユーザにより所有される移動通信端末が接続され、第1のクライアントから第2のクライアントに電子メールを送信する際に、メールサーバからの電子メールの着信を第2のクライアント及び移動通信端末に通知し、着信を受けた第2のクライアントまたは移動通信端末のいずれかによりメールサーバから電子メールを受信し、電子メールの着信を第1のクライアントに対して通知すると共に、該電子メールの開封状況や既読または未読の状況を通知することを特徴とする。
【0013】請求項3によれば、送信者より作成された電子メールがインターネットサービスプロバイダのメールサーバのWebページに書込まれる。メールサーバは、電子メール、携帯電話などを含む移動通信端末等の手段で、受信者にメールの着信を通知し、通知を受けた受信者は指定されたWebページから電子メールを受信する。受信者のWebページへのアクセス内容は着信、未読、既読、受領の確認という形で送信者に通知される。なお、請求項1のユーザインタフェースを使用しない、通常の電子メール形式であってもこの機能は使用できるものとする。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、メールサーバは、第2のクライアントが、一定期間経過してもメールサーバにて保持される該第2のクライントへの電子メールの取り出しがない場合、第1のクライアント、第2のクライアント及び移動通信端末に対して電子メールで通知することを特徴とする。
【0015】請求項4によれば、任意に設定された期間を経過して後もWebページへのアクセスのない時、送信者及び受信者に対し、電子メール、または、携帯電話などを含む移動通信端末により通知することができる。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、メールサーバは、第1のクライアント及び第2のクライアント間における電子メールの送受信記録を一定期間保持し、送受信記録の閲覧要求に基づいて該送受信記録を開示することを特徴とする。
【0017】請求項5によれば、クライアント毎に、Webページアクセス日時、未読、既読、受領確認等の送受信記録を一定期間保持することで、送受信に関するトラブルに速やかに対応することができる。」

(3) 段落【0019】-【0046】
「【0019】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態である電子メールシステムを詳細に説明する。図1から図9には、本発明に係る電子メールシステムの実施の形態を示すが、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】図1は、本発明の実施形態である電子メールシステムの概略を示すシステム構成図である。図1において、本発明の実施形態である電子メールシステムは、メールサーバ1と、送信側クライアント2と、受信側クライアント3と、移動通信端末4と、がインターネットまたはイントラネットなどを介して接続されて構成される。
【0021】メールサーバ1は、インターネットサービスプロバイダのメールサーバであり、メールをWebページに変換したり、受信側への通知を行う。このメールサーバ1は、Webページ上での私文書の機密性を保持するため、以下に述べる指定された受信者に限り、そのWebページにアクセスできるようセキュリティが確保されている。また、以下に述べる送信者がそのメールの原本性を損なわないよう希望する場合、PDF化するなどの方法によりテキストのイメージ化処理も可能なものとする。
【0022】送信側クライアント2は、メールの送信の他に、ソフトウェアによりメールサーバ1と必要な情報を送受信する。
【0023】受信側クライアント3は、通常のブラウザによりメールの受信の他に、Webページヘアクセスができる。
【0024】移動通信端末4は、携帯電話などを含むものであり、メール着信の通知を受けるためのものである。
【0025】図1に基づいて、本発明の実施形態である電子メールシステムの動作例を以下に説明する。まず、送信側クライアント2にインストールされているWebを使用してメールサーバ1のメール用Webページにアクセスする。
【0026】メールサーバ1のメール用Webページの実施例を図2及び図3に示すように、本発明では、実際の郵便を模した仮想の封筒、切手及び便箋を使う。
【0027】図2は、切手5と封筒6がWeb画面に表示される実施例を示したもので、メール・サービスを選択すると、そのサービスに応じた料金の切手アイコンが封筒6に貼られる。また、宛先情報7及び送信者情報8は、入力またはシステムに登録されたものの中から選択する。
【0028】Web画面に表示される封筒は市販品と同じ(縦x横)サイズを持ち、発信者は、縦書きか横書きかの形式を選択できる。なお、封筒及び切手は、実際の郵便に模して、以下のような特徴を備えるものとする。
(イ)封筒は表面と裏面を備えている。
(ロ)封筒の表面には受信者の住所、氏名を書く部位が用意されている。
(ハ)封筒の裏面には送信者の住所、氏名を書く部位が用意されている。また、葉書形式を好む利用者のために、送信者の住所、氏名を封筒の表面に書くオプションも用意されている。
(ニ)封筒の裏面には糊代が用意されている。メール送信者は、メールを書き終えた時点で、密封状態を表す”〆”印、あるいは、”緘”の文字を選択でき、糊代とその他の部分にまたがって表示される。この表示は受信者がメールを開くまで表示され、一度メールが開かれた後は表示が消え、メール受信者による再度の表示はできないようになっている。
(ホ)表面には、メールの種類によって料金表示付きアイコン(切手アイコン)を貼る/置く部分が用意されている。
【0029】図3は、電子メールの文書画面の実施例を示す平面図である。図3に示すように、キーボードなどの入力装置から入力された文書は、直接、便箋9の文章10の位置に書き込まれる。なお、便箋9は、実際の郵便に模して、以下のような特徴を備えるものとする。
(イ)便箋は、縦書きか横書き、線有りか線無し、筆、ペン等の自体の種類、また、絵柄が選択できる。この絵柄は、例として、花鳥風月などが選択可能である。
(ロ)送信者が”拝啓”という言葉でメールを書き始めた場合、末尾は”敬具”で終わるなど、冒頭辞に照応する末尾辞が自動選択される。
【0030】メール・サービスとして課金された料金は、課金サーバに図7に示すようなファイル形式で蓄積され、送信者または受信者に課金される。
【0031】通知を受けた受信者は、メール用のWeb画面を呼び出す。このWeb画面は、図4に示すように、通常の郵便で行われている方法と同じ封筒、切手及び便箋で表示される。開封チェックエリア11で開封を選択すると送信者に開封情報を電子メールで送るとともに、図5のように電子メールの文章が便箋上に表示される。
【0032】サーバ上に蓄積されたままで開封されない電子メールについては、サーバ上の図6に示すような未開封電子メールテーブルに蓄積され、開封期限フィールド13及び既読期限フィールド14をチェックし、送信者の指定する期限の経過後に送信者に電子メールで通知される。
【0033】また、利用者は、随時、Webより図7に示すようにメールの送信、受信記録と個々のメールの着信、既読、受領等を随時確認することができる。
【0034】また、メール/サービスとして課金された料金は、図8に示すようなファイル形式で蓄積され、送信者側または受信者側に課金される。
【0035】さらに、既読チェックエリア12で既読確認あるいは返信が選択されると、送信者側に既読確認情報を電子メールを送信する。図9には、既読確認情報の送信処理のフローチャートを示す。
【0036】図9において、受信者側で電子メールを受信した際には、そのメールが開封されたか否かを判定する(ステップS1)。ここで受信メールが開封されていない場合には(ステップS1/No)、未開封、未読である旨を送信者側に通知する(ステップS5)。
【0037】ステップS1において、受信メールの着信拒否を行う場合には(ステップS1/送り返し)、送り返し処理を行う(ステップS6)。
【0038】ステップS1において、受信メールの開封されていると判定した場合には(ステップS/Yes)、当該受信メールが既読であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0039】ステップS2において、既読であると判定された場合には(ステップS2/Yes)、開封、既読である旨を送信者側に通知し(ステップS3)、未読であると判定された場合には(ステップS2/No)、開封、未読である旨を送信者側に通知する(ステップS4)。
【0040】なお、上述される実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。
【0041】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、利用者の負担を軽減しながら、通常郵便と同じユーザインタフェースで、容易な電子メールの送信及び受信ができると同時に、電子メールの着信、既読等の確認ができる。
【0042】請求項1記載の発明によれば、利用者は古くから慣れ親しんだ郵便と同じ方法で送受信ができ、初心者や高齢者にとっても違和感の無い簡単な電子メール操作が可能となり、また、送信者の意図した様式を変えることなく電子メールが送受信される。
【0043】請求項2記載の発明によれば、利用者は一回毎の利用料金が切手のアイコンにより表示されるので、いくら課金されたかを送信時に容易に把握することができる。
【0044】請求項3記載の発明によれば、利用者は特定の装置またはソフトウェアを購入する必要がなく大きな負担軽減となる。また、本システムのソフトウェアの追加、バージョンアップ等は、インターネットサービスプロバイダの機器の追加、変更だけで完了でき、この点でも、利用者の負担軽減が図れると同時に、利用者全員が常に最新のサービスを受けることができる。さらに、電子メールの送受信ステータスが明確となり、着信、既読等の確認の困難さも解消される。
【0045】請求項4記載の発明によれば、メール受信の督促ができ、メールをより確実に受信者に届けることが可能となると共に、読ませることができる。
【0046】請求項5記載の発明によれば、メールの送信、あるいは受信に対して疑義が生じた場合、解決手段を提供することができる。」

(4) 【図2】から認定できる事項
封筒入力画面の実施例を示す平面図である(【図面の簡単な説明】を参照。)図2には、図の上側に、切手5としては、1「1円」、2「5円」、3「10円」、4「10円」、5「20円」、6「50円」、7「30円」が表示されており、図の下側に、メールサービス選択としては、1「通常メール」、2「通知機能付きメール」、3「画像イメージ付メール」、4「秘密保護付メール」、5「往復はがき」、6「懸賞付はがき」、7「原本保証」が表示されていることの記載があると認定できる。

(5) 【図5】から認定できる事項
既読確認画面の実施例を示す平面図である(【図面の簡単な説明】を参照。)図5には、図の上側の「既読チェックエリア12」に、「既読確認 読み終わりましたか?」、「はい」、「いいえ」、「返信」が表示されており、図の下側に、前略、で書き始めて、敬具で終わる文章が表示されることが記載されていると認定できる。

(6) 【図7】から認定できる事項
開封、既読確認リストの実施例を示す平面図である(【図面の簡単な説明】を参照。)図7には、「送受信、既読確認リスト」が表示され、リストの1-2番目の項目として、「日時:2000年8月15日09:00PM、送受信:送信、宛先/発信者:〇〇太郎、タイトル:督促状、着信:はい、既読:はい、受領確認:有り」、「日時:2000年8月18日11:00AM、送受信:受信、宛先/発信者:〇×花子、タイトル:請求書、着信:はい、既読:はい、受領確認:有り」が表示されることが記載されていると認定できる。

これらの記載から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「電子メールシステムは、メールサーバ1と、送信側クライアント2と、受信側クライアント3と、移動通信端末4と、がインターネットまたはイントラネットなどを介して接続されて構成され、
メールサーバ1は、インターネットサービスプロバイダのメールサーバであり、メールをWebページに変換したり、受信側への通知を行い、このメールサーバ1は、Webページ上での私文書の機密性を保持するため、指定された受信者に限り、そのWebページにアクセスできるようセキュリティが確保され、
受信側クライアント3は、通常のブラウザによりメールの受信の他に、Webページヘアクセスができ、
移動通信端末4は、携帯電話などを含むものであり、メール着信の通知を受けるためのものであり、

電子メールシステムの動作例において、
まず、送信側クライアント2にインストールされているWebを使用してメールサーバ1のメール用Webページにアクセスし、
メールサーバ1のメール用Webページでは、実際の郵便を模した仮想の封筒、切手及び便箋を使い、
切手5と封筒6がWeb画面に表示され、
切手5としては、1「1円」、2「5円」、3「10円」、4「10円」、5「20円」、6「50円」、7「30円」が表示されており、メールサービス選択としては、1「通常メール」、2「通知機能付きメール」、3「画像イメージ付メール」、4「秘密保護付メール」、5「往復はがき」、6「懸賞付はがき」、7「原本保証」が表示されており、
メール・サービスを選択すると、そのサービスに応じた料金の切手アイコンが封筒6に貼られ、
封筒及び切手は、実際の郵便に模して、葉書形式を好む利用者のために、送信者の住所、氏名を封筒の表面に書くオプションも用意されており、表面には、メールの種類によって料金表示付きアイコン(切手アイコン)を貼る/置く部分が用意され、
キーボードなどの入力装置から入力された文書は、直接、便箋9の文章10の位置に書き込まれ、
通知を受けた受信者は、メール用のWeb画面を呼び出し、このWeb画面は、通常の郵便で行われている方法と同じ封筒、切手及び便箋で表示され、開封チェックエリア11で開封を選択すると送信者に開封情報を電子メールで送るとともに、電子メールの文章が便箋上に表示され、
サーバ上に蓄積されたままで開封されない電子メールについては、サーバ上の未開封電子メールテーブルに蓄積され、開封期限フィールド13及び既読期限フィールド14をチェックし、送信者の指定する期限の経過後に送信者に電子メールで通知され、
また、利用者は、随時、Webより、メールの送信、受信記録と個々のメールの着信、既読、受領等を随時確認することができ、
さらに、既読チェックエリア12で既読確認あるいは返信が選択されると、送信者側に既読確認情報を電子メールを送信する、
方法であって、

メールサーバは、電子メール、携帯電話などを含む移動通信端末等の手段で、受信者にメールの着信を通知し、通知を受けた受信者は指定されたWebページから電子メールを受信し、受信者のWebページへのアクセス内容は着信、未読、既読、受領の確認という形で送信者に通知されることによって、電子メールの送受信ステータスが明確となり、着信、既読等の確認の困難さも解消され、
メールサーバは、第2のクライアントが、一定期間経過してもメールサーバにて保持される該第2のクライントへの電子メールの取り出しがない場合、第1のクライアント、第2のクライアント及び移動通信端末に対して電子メールで通知することによって、メール受信の督促ができ、メールをより確実に受信者に届けることが可能となると共に、読ませることができ、
メールサーバは、第1のクライアント及び第2のクライアント間における電子メールの送受信記録を一定期間保持し、送受信記録の閲覧要求に基づいて該送受信記録を開示することによって、メールの送信、あるいは受信に対して疑義が生じた場合、解決手段を提供することができる、方法。」

3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「方法」は、本願補正発明の「確実な通信を保証する方法」と「方法」である点で共通する。
引用発明の「Web画面に表示され」る、「1円」、「5円」、「20円」などの「仮想の」「切手5」は、本願補正発明の「異なるレベルの電子スタンプ」に相当する。
引用発明の「電子メール」(「メール」)は、本願補正発明の「電子メール」に相当する。
引用発明の「通常メール」、「通知機能付きメール」、「往復はがき」などの「メール・サービス」は、本願補正発明の「前記電子スタンプのレベルに応じたサービス」に相当する。
よって、引用発明において、「切手5としては、1「1円」、2「5円」、3「10円」、4「10円」、5「20円」、6「50円」、7「30円」が表示されており、メールサービス選択としては、1「通常メール」、2「通知機能付きメール」、3「画像イメージ付メール」、4「秘密保護付メール」、5「往復はがき」、6「懸賞付はがき」、7「原本保証」が表示されており、メール・サービスを選択すると、そのサービスに応じた料金の切手アイコンが封筒6に貼られ」ることは、「異なるレベルの電子スタンプを発行すること、及び、前記電子スタンプが添付された電子メールが、前記電子スタンプのレベルに応じたサービスを受けることができるようにすること」に相当する。

(2) 引用発明の「メールサーバ1」(「サーバ」)は、本願補正発明の「メールサーバー」に相当し、引用発明において、「電子メール」が「サーバ上に蓄積され」ることは、本願補正発明の「前記電子メールが危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、メールサーバーに保存され」ることと、「前記電子メールが、メールサーバーに保存され」る点で共通するといえる。

(3) 引用発明の「受信者」は、本願補正発明の「前記電子メールの受取人」に相当し、引用発明において、「通知を受けた受信者は、メール用のWeb画面を呼び出し、このWeb画面は、通常の郵便で行われている方法と同じ封筒、切手及び便箋で表示され、開封チェックエリア11で開封を選択すると送信者に開封情報を電子メールで送るとともに、電子メールの文章が便箋上に表示され」ることは、本願補正発明の「前記電子メールの受取人が、受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して前記電子メールにアクセスする」ことと、「前記電子メールの受取人が、前記電子メールにアクセスする」点で共通するといえる。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「方法であって、異なるレベルの電子スタンプを発行すること、及び、前記電子スタンプが添付された電子メールが、前記電子スタンプのレベルに応じたサービスを受けることができるようにすることを含む方法において、
前記電子メールが、メールサーバーに保存され、前記電子メールの受取人が、前記電子メールにアクセスする方法。」

[相違点1]
本願補正発明は、「確実な通信を保証する方法」に係るのに対し、引用発明の方法は、「メールをより確実に受信者に届けることが可能となる」ものであるが、「確実な通信を保証する」ことは特定されていない点。

[相違点2]
本願補正発明の「電子スタンプのレベルに応じたサービス」は、「前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答することを含」むのに対して、引用発明の「メールサービス」は、「往復はがき」を含むものであるが、「前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答することを含」むことは特定されていない点。

[相違点3]
本願補正発明では、電子メールが「危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、」メールサーバーに保存されるのに対して、引用発明では、「このメールサーバ1は、Webページ上での私文書の機密性を保持するため、指定された受信者に限り、そのWebページにアクセスできるようセキュリティが確保され」るものであるが、電子メールが「危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、」メールサーバーに保存されることは特定されていない点。

[相違点4]
本願補正発明では、前記電子メールの受取人が、「受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して」前記電子メールにアクセスするのに対して、引用発明では、「通知を受けた受信者は指定されたWebページから電子メールを受信」するものであるが、「受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して」前記電子メールにアクセスすることは特定されていない点

4.相違点についての判断
(1) [相違点1]について
引用発明は、従来の「インターネットメールは、……ある個人が作成したメールが、フォーマットを変更されることなく受信者に届くという保証はなかった。特に、インターネットメールシステムにおいて、SMTPをベースとした電子メールである場合には、着信、既読等の確認をとることが困難であ」ったとの課題に対処するものである。
そのために、引用発明は、「通知を受けた受信者は指定されたWebページから電子メールを受信し、受信者のWebページへのアクセス内容は着信、未読、既読、受領の確認という形で送信者に通知されることによって、電子メールの送受信ステータスが明確となり、着信、既読等の確認の困難さも解消され」、「メールサーバは、第2のクライアントが、一定期間経過してもメールサーバにて保持される該第2のクライントへの電子メールの取り出しがない場合、第1のクライアント、第2のクライアント及び移動通信端末に対して電子メールで通知することによって、メール受信の督促ができ、メールをより確実に受信者に届けることが可能となると共に、読ませることができ」、「メールサーバは、第1のクライアント及び第2のクライアント間における電子メールの送受信記録を一定期間保持し、送受信記録の閲覧要求に基づいて該送受信記録を開示することによって、メールの送信、あるいは受信に対して疑義が生じた場合、解決手段を提供することができる、方法」であるから、引用発明の方法は、「確実な通信を保証する方法」にほかならない。
よって、上記[相違点1]は、実質的な相違点ではない。

念のため、「確実な通信を保証する」ことに関連する、本願の発明の詳細な説明の記載を参照すると、段落【0004】、【0019】、【0022】-【0023】に、以下の各記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の郵便物にしても電子メールにしても、人々の比較的基本的な通信需要、つまり、ユーザーによって送られた内容を、対象の相手先がその内容を受け取る領域に配送するという需要を満たすことができるだけである。ところが、このような通信の確実性は依然として低い。特に、相手先が通信内容を読むかどうかについては保証できない。更に重要なこととして、通信目的、例えばメールに反映された要求に応えてもらえるかどうかについても保証することはできない。」
「【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態によると、電子スタンプの発行者は、対象者に特定の組織に加入して会員になるよう勧誘し、電子スタンプを発行する(図1、ステップS101)。特定の組織の会員は電子スタンプの権利を尊重し、その組織が発行する電子スタンプが付された電子メールを受け取ると、電子スタンプのレベルに応じて、異なる応答をすることに同意する。応答が行われると、特定の組織は会員に見返りを与える。」
「 【0022】
会員は電子スタンプのサービス約定を遵守しなければならない。例えば、映画俳優のA氏が勧誘されて会員になるとする。映画ファンであるXがレッドゴールド電子スタンプを購入して(図2、ステップS201)、A氏宛ての電子メールにそのレッドゴールド電子スタンプを添付すると(図2、ステップS202)、Aは、レターにおいて、そのメールに応答して電子ポスターの画像をプレゼントすることを要求される。もし、電子スタンプのサービス約定で、レッドゴールドスタンプが添付されたレターに対してはこのような要求に応えなければならないということが規定されているなら、Aはメールをダウンロードし、メールに応答して電子ポスターを添付しなければならない(図1、ステップS102)。その代わり、電子スタンプの発行者は、映画ファンXがレッドゴールドスタンプの購入に支払った金額の一部をA氏の個人アカウントへ振り替える。
【0023】
別の例として、企業家であるB氏が勧誘されて会員になるとする。B氏が、ブラックゴールド電子スタンプが添付された、企業家Yから送信されたレターを受け取ると、B氏は、そのレターの中で、メールに応答してYのレターに添付された事業提案に対して助言をするよう要求される。もし、電子スタンプのサービス約定で、ブラックゴールドスタンプが添付されたレターに対してはこのような要求に応えなければならないということが規定されているなら、Bはメールに応答して、添付された内容についてコメントしなければならない。その代わりに、電子スタンプの発行者は、企業家Yがブラックゴールドスタンプの購入に支払った金額の一部を企業家B氏の個人アカウントに振り替えるか、あるいは、B氏の要求に応じて、慈善団体にB氏の名前で寄付をする。」
これらの記載から、本願補正発明の「確実な通信を保証すること」には、本願補正発明の実施例では、「サービス約定」を定めたり、「見返り」を与えることによって、相手先が通信内容を読むことを保証したり、メールに反映された要求などの通信目的に答えることを保証することが含まれると一応理解できる。
一方、引用発明も、メール受信の督促などのための技術的な手段を設けることによって、「メールをより確実に受信者に届けることが可能となると共に、読ませることができ」るものであるから、たとえ本願補正発明の実施例の記載を参照しても、上記[相違点1]は、実質的な相違点ではない。

なお、この点が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、社会において広く行われている、契約を定めたり、対価を与える構成を付加することによって、「確実な通信を保証する」、上記[相違点1]に係る構成とすることは、必要に応じて当業者が適宜選択すべき設計的事項にすぎない。

(2) [相違点2]について
引用発明は、メールサービスとして、「往復はがき」を含むものである。
ここで、通常郵便における「往復はがき」とは、発信者からの往信と受信者からの返信用が一続きになった郵便はがきであって、発信者からの往信には、例えば会合の案内状などの文章を書いて送り、受信者からの返信には、例えば会合の出欠などの往信に対する返事を書いて送るものである。
引用発明は、「実際の郵便を模して」、「通常郵便と同じユーザインタフェースで、容易な電子メールの送信及び受信ができる」から、引用発明の電子メールによる「往復はがき」サービスについても、通常郵便と同様に、返信には、往信に対する返事を書いて送ることは明らかである。そして、このことは、本願補正発明の「前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答すること」に相当する。
よって、上記[相違点2]は、実質的な相違点ではない。

念のため、電子メールの内容に応答することに関連する、本願の発明の詳細な説明の記載を参照すると、以下の各記載がある。
「 【0003】
情報化時代においては、インターネットを介した通信形態が十分に発達してきており、特に電子メールの利用は徐々に普及してきている。電子メールは、電子手段を利用して情報交換を行う通信形態であり、最も一般的に利用されているのはインターネットサービスである。ユーザーは、ネットワークの電子メールシステムを介して非常に廉価に、かつ非常に迅速に世界中のどこのネットワークユーザーとも交信することができる。これらの電子メールには、テキスト、画像、音声など種々の内容が含まれることもある。」
「 【0020】
・・・例えば、電子スタンプを、プラチナ電子スタンプ、レッドゴールド電子スタンプ、ブラックゴールド電子スタンプに分けて、その額面価格を、それぞれ80元、800元、8000元としてもよい。額面価格が異なる電子スタンプはサービス内容が異なる。例えば、プラチナスタンプは、これらの電子スタンプが電子メールを送信する際に使われると、受取人は必ず応答して電子メールを開封するであろうことを意味し、レッドゴールドスタンプは、これらの電子スタンプが電子メールを送信する際に使われると、受取人は必ず応答して電子メールをダウンロードするであろうことを意味し、ブラックゴールドスタンプは、これらの電子スタンプが電子メールを送信する際に使われると、受取人は必ず注意深く応答して電子メールに返信するであろうことを意味する。異なる電子スタンプにより提供されるサービス内容は、電子スタンプの発行者が定めた電子スタンプのサービス約定によって規定される。」
「 【0023】
別の例として、企業家であるB氏が勧誘されて会員になるとする。B氏が、ブラックゴールド電子スタンプが添付された、企業家Yから送信されたレターを受け取ると、B氏は、そのレターの中で、メールに応答してYのレターに添付された事業提案に対して助言をするよう要求される。もし、電子スタンプのサービス約定で、ブラックゴールドスタンプが添付されたレターに対してはこのような要求に応えなければならないということが規定されているなら、Bはメールに応答して、添付された内容についてコメントしなければならない。その代わりに、電子スタンプの発行者は、企業家Yがブラックゴールドスタンプの購入に支払った金額の一部を企業家B氏の個人アカウントに振り替えるか、あるいは、B氏の要求に応じて、慈善団体にB氏の名前で寄付をする。」
これらの記載から、本願補正発明の「前記電子メールの内容に応答すること」には、本願補正発明の実施例では、受信した電子メールの文章に「応答して電子メールに返信する」ことが含まれると一応理解できる。
一方、上記のとおり、引用発明の電子メールによる「往復はがき」サービスは、返信には、往信に対する返事を書いて送ることは明らかであるから、たとえ本願補正発明の実施例の記載を参照しても、上記[相違点2]は、実質的な相違点ではない。

なお、この点が実質的な相違点であるとしても、引用発明の電子メールに記載する文章の具体的な内容は、個別の要件に応じて任意に選択すべき事項と認められること(なお、引用発明の電子メールは、より具体的には例えば「督促状」、「請求書」などであって(上記2.(6)を参照)、これは、通常、所定の契約に基づく「応答」を受信者に強制するものである。)を考慮すると、引用発明において、電子メールに記載する文章の内容を適宜選択することで、社会において広く行われている、電子メールの内容に応答を求めるものとすることにより、「前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答する」、上記[相違点2]に係る構成とすることは、必要に応じて当業者が適宜選択すべき設計的事項にすぎない。

(3) [相違点3]、[相違点4]について
引用発明の「メールサーバ1は、Webページ上での私文書の機密性を保持するため、指定された受信者に限り、そのWebページにアクセスできるようセキュリティが確保され」るものであるから、セキュリティを確保するものである。
また、引用発明は、「通知を受けた受信者は指定されたWebページから電子メールを受信」するものであるから、電子メールの受信者は、電子メールを受信すべきWebページを「指定」されるものである。

一般に、電子データのセキュリティを確保するために、ウィルスチェックや暗号化などのセキュリティ機能を付加する点は、必要ならば、例えば、原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献2(特開2006-74198号公報)の段落【0019】「…電子メールサーバ14自体が、ウィルスチェックや暗号化などのメールシステムとしてのセキュリティ機能も備えている。…」に記載されるように、周知技術である。
なお、この点について、さらに必要ならば、原査定の拒絶の理由における「引用文献5」である、特開2012-69145号公報の段落【0040】「…・受信者14は、電子レターが電子郵便局の処理中に技術的な危険(ウイルス及びワーム)及び内容上の危険(不快な内容)に対してスクリーニングされていることを知ることができる。それゆえ、受信者は電子レターを開封するときに、彼が通常の電子メールを開くときに抱くような不安や不快さを抱かなくてすむ。 …(中略)… ・暗号化された電子レターの場合、受信者14は特別なコンピューターの知識がなくても、電子郵便システムを介して処理された、暗号化された電子レターを容易に受信、解読、及び閲覧することができる。…」の記載も参照されたい。

また、原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献3(特開2002-251575号公報)の段落【0048】「…次に、サーバ12は、メッセージの送信先に指定されたユーザに対して、メールが届いていることを知らせる通知メールを送付する(ステップS8005)。このとき、通知メールには、メッセージに添付されている電子切手のIDと送信されたメッセージ本文の管理用IDもしくは当該メッセージの格納されているネットワークアドレスをインデックスもしくはURL等のリンクの形式でメールに記述しておく。 …(中略)… メッセージ受信者CM-Rは、通知メールを受信すると、この通知メールに記述されているインデックスもしくはURL等のリンクを選択(クリック)することにより、サーバ12に接続する(ステップS10001)。…」に記載されるように、例えば「Webページ」などの、ネットワーク上のサーバに置かれた電子データを指定する場合に、個別の電子データを特定する識別情報と、サーバなどを特定するためのURL等のリンク形式のアドレス情報を用いる点は、周知技術である。

してみれば、引用発明において、電子データのセキュリティを確保するための手段として、ウィルスチェックや暗号化などのセキュリティ機能を付加する周知技術を採用するとともに、メールサーバ1上にある、サービスに応じた料金の切手アイコンが貼られた電子メールを指定するための手段として、個別の電子データを特定する識別情報と、サーバなどを特定するためのURL等のリンク形式のアドレス情報を用いる周知技術を採用することによって、電子メールが「危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、」メールサーバーに保存されるとともに、前記電子メールの受取人が、「受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して」前記電子メールにアクセスする、上記[相違点3]、[相違点4]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成29年2月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年9月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
確実な通信を保証する方法であって、異なるレベルの電子スタンプを発行すること、及び、前記電子スタンプが添付された電子メールが、前記電子スタンプのレベルに応じたサービスを受けることができるようにすることを含む方法において、
前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールに返信する、または前記電子メールの内容に応答することを含み、
前記電子メールが危険なものを含んでいないように自動検出及び暗号化を経た後、メールサーバーに保存され、前記電子メールの受取人が、受信した電子メールの個別コード及び前記電子メールに保存されたアドレスリンクを介して前記電子メールにアクセスする方法。」

2.引用例
引用例の記載については、上記「第2」の「2.引用例・引用発明について」で述べたとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」の「1.本願補正発明」で検討した本願補正発明の「前記サービスは、前記電子メールの受取人が前記電子メールの内容に応答することを含み」という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件における択一的記載の要素の削除によって、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「4.相違点についての判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-18 
結審通知日 2017-08-22 
審決日 2017-09-11 
出願番号 特願2015-504833(P2015-504833)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 雅也  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 稲葉 和生
土谷 慎吾
発明の名称 確実な通信を保証する方法  
代理人 特許業務法人R&C  

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