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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
管理番号 1337056
異議申立番号 異議2017-700539  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-29 
確定日 2018-01-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6034463号発明「強化ポリアミド樹脂ペレット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6034463号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし3〕、〔4ないし9〕について訂正することを認める。 特許第6034463号の請求項1、3ないし7、9に係る特許を維持する。 特許第6034463号の請求項2、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6034463号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成24年5月23日(優先権主張 平成23年5月27日、特願2011-118723号)を国際出願日とする特願2013-517999号の一部を平成27年10月9日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月4日にその特許権の設定登録(設定登録時の請求項数9)がされ、その後、その特許に対し、平成29年5月29日付け(受理日:同年5月31日)で特許異議申立人 東レ株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし9)がされ、同年8月4日付けで取消理由が通知され、同年10月6日付け(受理日:同年10月6日)で意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年11月2日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされたが、特許異議申立人から応答がされなかったものである。

第2 本件訂正請求の適否
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、次の訂正事項1ないし10のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂」と記載されているのを「ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」に訂正する。
また、当該請求項1を引用する請求項3も併せて訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載の」と記載されているのを「請求項1に記載の」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂」と記載されているのを「ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」に訂正する。
また、当該請求項4を引用する請求項5ないし7、9も併せて訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に「請求項4乃至8のいずれか一項に記載の」と記載されているのを「請求項4乃至7のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0010】に、
「〔1〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂と、
・・・(略)・・・
〔2〕
前記(A)ポリアミド樹脂がポリアミド66/6Iである、前記〔1〕に記載の成形品の外観安定性を改善する方法。
〔3〕
前記〔1〕又は〔2〕に記載の成形品の外観安定性を改善する方法(但し、前記強化ポリアミド樹脂ペレットが滑剤ペレットを含むものを除く。)。
〔4〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂と、
・・・(略)・・・
〔8〕
前記(A)ポリアミド樹脂がポリアミド66/6Iである、前記〔4〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
〔9〕
前記〔4〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット(但し、滑剤ペレットを含むペレットブレンド物を除く。)。」
と記載されているのを、
「〔1〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
・・・(略)・・・
〔2〕
(削除)
〔3〕
前記〔1〕に記載の成形品の外観安定性を改善する方法(但し、前記強化ポリアミド樹脂ペレットが滑剤ペレットを含むものを除く。)。
〔4〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
・・・(略)・・・
〔8〕
(削除)
〔9〕
前記〔4〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット(但し、滑剤ペレットを含むペレットブレンド物を除く。)。」
に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落【0071】に「<実施例15>」と記載されているのを「<参考例15>」に訂正する。

(9)訂正事項9
明細書の段落【0077】の【表1】に「実施例15」と記載されているのを「参考例15」に訂正する。

(10)訂正事項10
明細書の段落【0078】に「実施例3?5、7、9?15」と記載されているのを「実施例3?5、7、9?14、参考例15」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
(1)訂正事項1、4について
訂正事項1、4は、それぞれ、訂正前の請求項1、4の「ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂」を、ポリアミド66/6I/6という選択肢を削除して「ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項1、4は、願書に添付した明細書の段落【0014】、【0015】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2、5について
訂正事項2、5は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項2、8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項2、5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3、6について
訂正事項3、6は、それぞれ、訂正前の特許請求の範囲の請求項3、9が引用する請求項から、訂正事項2、5で削除された請求項2、8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項3、6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項7ないし10について
訂正事項7ないし10は、訂正事項1ないし6により特許請求の範囲を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項7ないし10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。さらに、訂正事項7ないし10は、願書に添付した明細書の訂正であるが、本件訂正請求は、請求項1ないし9について行うものであり、当該明細書の訂正に係る請求項の全てについて行われている。

(5)一群の請求項
本件訂正請求による訂正は、訂正後の請求項1ないし3及び請求項4ないし9、並びにそれらに関係する明細書についての訂正であるが、訂正前の請求項2、3は訂正前の請求項1を引用するものであり、訂正前の請求項5ないし9は訂正前の請求項4を引用するものであるので、訂正前の請求項1ないし3及び請求項4ないし9は、それぞれ一群の請求項である。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第4項、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし3〕、〔4ないし9〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明9」といい、削除されていない請求項に係る発明を総称して「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物を成形する際に、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレットを使用することにより、成形品の外観安定性を改善する方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
請求項1に記載の成形品の外観安定性を改善する方法(但し、前記強化ポリアミド樹脂ペレットが滑剤ペレットを含むものを除く。)。
【請求項4】
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有し、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項5】
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?300質量部を含有する、請求項4に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項6】
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?100質量部を含有する、請求項4又は5に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項7】
前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.76?2.3である、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
請求項4乃至7のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット(但し、滑剤ペレットを含むペレットブレンド物を除く。)。」

第4 特許異議申立人が主張する取消理由
特許異議申立人が特許異議申立書において主張する取消理由の概要は、次のとおりである。

・本件特許の請求項1、2、4ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、請求項1、2、4ないし8に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・本件の請求項1ないし9に係る発明についての特許は、明細書の発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消すべきものである。
・本件の請求項1、3ないし7、9に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消すべきものである。
なお、甲第1、2号証、及び添付された甲第3号証は、次のとおりである。
甲第1号証:特開2008-133465号公報
甲第2号証:特開平11-129246号公報
甲第3号証:平成29年5月19日付けの 東レ株式会社 樹脂技術部 樹脂開発室長 高村元 による実験報告書

第5 当審が通知した取消理由
当審が通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

「1)本件の請求項1ないし9に係る発明についての特許は、明細書の発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
2)本件の請求項1、3ないし7、9に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。



第1 特許法第36条第4項第1号について
・・・(略)・・・
してみると、ストランドの水浸漬長さ及びペレタイザーの引き取りロール圧の調節のみしか記載がなく、その他のストランドの冷却度合いに影響する条件について開示されていない発明の詳細な説明の開示に基づいて、当業者が、請求項1、4に係る発明を実施するための条件を決定するためには、過度の試行錯誤が必要になるものと認められる。
したがって、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、請求項1、4、及び、請求項1又は4を引用する請求項2、3、5ないし9に係る発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

よって、請求項1ないし9に係る発明についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

第2 特許法第36条第6項第1号について
・・・(略)・・・
してみると、ポリアミド樹脂がポリアミド66/6Iでない場合や、ポリアミド樹脂がポリアミド66/6I/6であっても、無機充填材がチョップドストランドガラス繊維であり、ペレットの長さが2.9mmであり、かつペレット断面の長径/短径の比が1.92である特定のペレットでない場合においてまでも、上記課題を解決することができるとはいえない。
したがって、請求項1、4、及び、請求項1又は4を引用し、ポリアミド樹脂がポリアミド66/6Iであることが特定されない請求項3、5ないし7、9に係る発明は、発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものではなく、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。

よって、請求項1、3ないし7、9に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。」

第6 当審の判断
1.特許法第36条第4項第1号について
特許権者は、平成29年10月6日付け(受理日:同年10月6日)意見書において、当該意見書に添付された参考文献1(村上健吉編、「押出成形」、改訂第7版、株式会社プラスチックス・エージ、1985年12月10日、210?213頁)に基づき、概略、以下のとおり主張している。

本件特許明細書の段落【0049】に開示した方法は、所謂ストランドカット方式において、ストランドを冷却する際の水浸漬長さを通常より短くするなどして冷却を控えめにし、ペレタイザーのカッターローラーであえて押しつぶすことによって、断面の長径/短径比が1.3?2.3であるやや扁平なペレットを製造するというものである。
このような製造原理はシンプルなものであって、円形樹脂ペレットの一般的な製造方法の一つであるストランドカット方式(例えば、参考文献1参照)を知る当業者であれば、本件特許明細書の段落【0049】の記載から当然に理解する。
本来円形断面を有するペレットを製造するためのストランドカット方式を利用して、やや扁平、すなわち、わずかに円形をつぶした形状である断面形状を有するペレットを製造するには、冷却度合いに影響する各種条件は円形ペレットを製造する通常の場合から大きく変える必要がないことは明らかである。
本件特許明細書の段落【0049】には、ダイノズルから押し出されたストランドの温度(230?350℃)や水浸漬長さ(90cm以下)といった、ストランドの冷却度合いに影響する主要条件の目安を具体的に記載している。
前述の製造原理に照らせば、ストランドの冷却度合いが低ければ、ストランドは柔らかく押しつぶされやすいので、得られるペレットの扁平度合い(長径/短径比)が大きくなり、逆に冷却度合いが高ければ、ストランドは固くつぶされにくいので、円(長径/短径比が1)に近づくという傾向があることは明らかであり、このような傾向が分かっていれば、得られるペレットの断面の長径/短径比が所望の値となるよう冷却条件を微調整することは当業者にとって難しいことではない。

また、参考文献1は、以下の事項が記載されている。
ストランドカット方式はいずれの場合でも、ダイ(ノズル)から円形断面のストランドを押出して冷却後切断を行うので、コールドカット方式とも呼ばれる(211頁右欄下から1行?212頁左欄3行)。
ストランドカット方式において、ペレット径は通常2.5?3.2φ程度で、これに対して4?4.8φくらいのノズル穴が用いられる(212頁右欄10、11行)。
通常のストランドカット方式では、水槽の中のガイドロールによって冷却長を調整して、もろい材料では過度の冷却となる前に切断を行ったり、融点の高い材料では自熱により付着水分を乾燥させるなどの操作を行う。この水槽中のストランド掛けなどはすべて人力で行うのでストランド本数200?240本、引取速度50?60m/minが操作限界で、能力に対応する(213頁左欄1?9行)。

本件特許明細書には、強化ポリアミド樹脂をダイノズルから押し出した後のストランドの温度、水浸漬長さ、ペレタイザーのロール引き取り圧力、ペレタイザーのカッターの回転速度を調整することが記載されているが、実施例において、その具体的な条件、数値等は記載されず、その他の必要な条件、数値等についても記載されていない。
しかしながら、上記意見書及び参考文献1によれば、ストランドの冷却を控えめにし、ペレタイザーのカッターローラーであえて押しつぶすことが製造原理であること、ストランドの冷却度合いと長径/短径比とが相関関係を有すること、ストランドカット方式は、通常ダイ(ノズル)から円形断面のストランドを押出すものであって、ペレット径は通常2.5?3.2φ程度で、これに対して4?4.8φくらいのノズル穴が用いられること、材料によって水槽における冷却長を調整すること、引取速度には操作限界があること等が、当業者の技術常識であること、また、本件発明は、円形樹脂ペレットの一般的な製造方法の一つであるストランドカット方式による樹脂ペレットの製造において、通常の条件から大きく変える必要がないことが理解できる。
また、本件特許明細書の段落【0014】にポリアミド樹脂の融点が200?270℃であること、段落【0049】にストランドの温度が230?350℃であること、さらに、実施例3?5、7、9?14に水浸漬長さを60cm以下とし、ロール引き取り圧力を調節することが記載されている。
そうすると、当業者の技術常識及び本件特許明細書の記載から、当業者であれば、ストランドを冷却し、ローラーで押しつぶすという製造原理、ストランドの冷却度合いと長径/短径比との相関関係、通常のストランドカット方式におけるペレット径、水槽における冷却長調整の必要性、引取速度、ポリアミド樹脂の融点とストランドの温度範囲等を理解した上で、ストランドの温度、水浸漬長さ、ロール引き取り圧力、ペレタイザーのカッターの回転速度、及び、その他の必要な条件、数値等を具体的に設定し、得られたペレットの長さ、長径/短径比を計測し、その上で、長径/短径比が1.3を下廻っている場合には、水浸漬長さを短くするか、ロール引き取り圧力を上げることにより、長径/短径比を1.3以上とし、逆に長径/短径比が2.3を上廻っている場合には、水浸漬長さを長くするか、ロール引き取り圧力を下げることにより、長径/短径比を2.3以下とすることができるといえるし、ペレットの長さについても1mmを下廻っている場合には、ペレタイザーのカッターの回転速度を小さくすることにより、ペレットの長さを1mm以上とし、逆にペレットの長さが4mmを上廻っている場合には、ペレタイザーのカッターの回転速度を大きくすることにより、ペレットの長さを4mm以下とすることができるといえ、これらの条件、数値等の設定を変えることは、当業者であれば、数度程度の変更により達成できるものであるといえ、過度の試行錯誤を要するものであるとまではいえない。そうすると、当業者であれば、ペレットの長さ、長径/短径比を、過度の試行錯誤をすることなく、本件発明の範囲内とすることができるといえるので、本件発明を実施することができるものである。

したがって、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、本件発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

2.特許法第36条第6項第1号について
請求項1、4において、「ポリアミド66/6I、及びポリアミド66/6I/6より選ばれる少なくとも1種であるポリアミド樹脂」が「ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」に訂正されたことにより、本件発明は、発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものとなり、発明の詳細な説明に記載したものであるといえるから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

3.取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立理由について
(1)特許法第29条第1項第3号について
甲第1号証には、本件発明1、4の発明特定事項である、強化ポリアミド樹脂ペレットが、「融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」を含有すること、及び「断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である」ことについて記載も示唆もない。
したがって、本件発明1、4、及び本件発明5ないし7は、甲第1号証に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。

(2)特許法第29条第2項について
甲第1号証には、本件発明1、4の発明特定事項である、強化ポリアミド樹脂ペレットが、「融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」を含有すること、及び「断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である」ことについて記載も示唆もない。
一方、甲第2号証には、樹脂ペレットが記載されているが、「融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂」を含有する強化ポリアミド樹脂ペレットについては記載も示唆もなく、甲第1号証に記載された発明においてそのような特定のポリアミド樹脂を含有させる動機付けとなる記載はない。また、甲第2号証には、「断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である」樹脂ペレットは記載されているが、長径と短径との比をそのように特定することにより、「連続成形時の可塑化時間安定性、外観安定性に優れる強化ポリアミド樹脂ペレットとすることができる。」という効果(本件特許明細書の段落【0045】)を奏することについては記載も示唆もなく、当該効果はたとえ当業者であっても予測し得るものではない。
そうすると、本件発明1、4、及び本件発明3、5ないし7、9は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(3)特許法第36条第4項第1号(特許異議申立書の3 (4)エ(ア))について
特許異議申立人は、明細書の発明の詳細な説明が、樹脂としてポリアミド66/6Iを用いた場合以外の、訂正前の請求項1、3ないし7、9に係る発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない旨を主張しているが、訂正後の本件発明においては、ポリアミド樹脂がポリアミド66/6Iであると特定されており、かかる主張は理由がない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由、並びに特許異議申立書に記載した特許異議の申立理由及び証拠によっては、請求項1、3ないし7、9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3ないし7、9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項2、8は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2、8に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
強化ポリアミド樹脂ペレット
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ポリアミド樹脂ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、成形加工性、機械物性、耐薬品性に優れていることから、従来から、衣料用、産業資材用、自動車、電気・電子用又は工業用等の様々な部品材料として広く用いられている。
【0003】
近年、ポリアミド樹脂を用いた成形品においては、生産性を向上させるために、成形サイクルを短縮させた成形条件で、長期的に連続成形する場合がある。
このようなポリアミド樹脂の長期連続成形においては、成形時の可塑化時間安定性が高いことが重要であり、この可塑化時間がばらつくと、成形品の寸法、外観性のばらつきが増え、生産性に大きく影響することがある。
特に無機充填材等で強化された、強化ポリアミド樹脂を成形する場合には、可塑化安定性が成形品外観の安定性に大きく影響する。
よって、特に、上述したような長期連続成形を行う際の可塑化時間安定性に優れ、更には成形品外観の安定性に優れたポリアミド樹脂が要求されているのが現状である。
【0004】
このような長期連続成形を行う際の樹脂の可塑化時間安定性の向上の要求に応えるため、可塑化時間短縮を図り、かつ製品質量のばらつきを少なくさせることができる材料として、ペレット形状を規定したポリオレフィン樹脂からなるガラス強化長繊維材料(例えば、特許文献1参照。)、ペレット形状を規定した融点が280℃以上330℃未満であるポリアミド樹脂からなるガラス強化材料(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-129246号公報
【特許文献2】特開2002-249568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1、及び2に開示されている材料は、短時間での成形条件下での成形品の可塑化時間安定性には効果が見られるものの、長期連続成形における成形条件下においては、可塑化時間安定性が不十分であり、成形品の生産性や、成形外観性の安定性に関しては、未だ改良の余地があるという問題を有している。
【0007】
上述したように、従来技術では、長期連続成形における成形条件下においては、可塑化時間安定化に優れ、かつ成形外観安定性に優れた、生産性が安定したポリアミド樹脂は未だ知られていないのが実情である。このようなポリアミド樹脂が市場で要求されている。
【0008】
そこで、本発明においては、上記事情に鑑み、長期連続成形における成形条件下において成形時の可塑化時間安定性に優れ、かつ成形外観安定性に優れた強化ポリアミド樹脂ペレットを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(A)所定の融点を有するポリアミド樹脂と、(B)所定の無機充填材を含有し、所定の長さを有する強化ポリアミド樹脂ペレットであって、当該ペレットの断面の長径と短径の比が所定の数値範囲に特定されている強化ポリアミド樹脂ペレットにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物を成形する際に、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレットを使用することにより、成形品の外観安定性を改善する方法。
〔2〕
(削除)
〔3〕
前記〔1〕に記載の成形品の外観安定性を改善する方法(但し、前記強化ポリアミド樹脂ペレットが滑剤ペレットを含むものを除く。)。
〔4〕
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有し、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレット。
〔5〕
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?300質量部を含有する、前記〔4〕に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
〔6〕
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?100質量部を含有する、前記〔4〕又は〔5〕請求項4又は5に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
〔7〕
前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.76?2.3である、前記〔4〕乃至〔6〕のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
〔8〕
(削除)
〔9〕
前記〔4〕乃至〔7〕のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット(但し、滑剤ペレットを含むペレットブレンド物を除く。)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期連続成形時の可塑化時間安定性に優れ、成形品の外観安定性にも優れた強化ポリアミド樹脂ペレットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
〔強化ポリアミド樹脂ペレット〕
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットは、
(A)融点が200?270℃であるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有し、
長さが1?5mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.5である強化ポリアミド樹脂ペレットである。
以下、本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットの構成要素について説明する。
【0014】
((A)ポリアミド樹脂)
前記融点が200?270℃である(A)ポリアミド樹脂(以下、(A)ポリアミド樹脂、ポリアミド、(A)成分と記載する場合がある。)としては、公知のポリアミド樹脂を使用できる。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミドMXD6、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを重合してなるポリアミド(以下ポリアミド6T)、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸を重合してなるポリアミド(以下ポリアミド6I)等のホモポリマーの単独、又はこれらのブレンド物等が挙げられる。
また、前記ポリアミドを成分とした共重合体単独、又は当該共重合体同士のブレンド物、当該共重合体とホモポリマーとのブレンド物等が挙げられる。
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットに含まれる(A)ポリアミド樹脂としては、モノマー構造単位に芳香環を含む半芳香族ポリアミド樹脂を含むものが成形性の観点から好ましい。
【0015】
前記半芳香族ポリアミド樹脂としては、結晶性ポリアミド又は非晶性ポリアミドを用いることができる。
前記結晶性半芳香族ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下6T成分と記す)、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンイソフタラミド単位(以下6I成分と記す)、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるメタキシリレンアジパミド単位(以下MXD6成分と記す)、からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む半芳香族ポリアミド、前記6T成分、6I成分、及びMXD6成分からなる群より選ばれる少なくとも1つと、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンアジパミド単位(以下66成分と記す。)との共重合体であり、各単位の単独重合体及び/又は共重合体とのブレンド等が挙げられる。
また、前記非晶性半芳香族ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド;ビス(4-アミノ-メチルヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸、カプロラクタムから得られるポリアミド;ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-メチル-5-エチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸、カプロラクタムから得られる非晶性ポリアミド等が挙げられる。
これらの半芳香族ポリアミド樹脂の内、可塑化時間安定性、及び外観安定性の観点からポリアミド66/6Iが好ましい。
【0016】
前記(A)ポリアミド樹脂の原料としては、特に限定されるものではないが、例えば、公知のアミノ酸(アミノカルボン酸)、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸とからなる塩、及びそのオリゴマー等が挙げられる。
【0017】
<末端封止剤>
前記(A)ポリアミド樹脂の原料として、分子量調節や耐熱水性向上のためにさらに末端封止剤を添加することができる。
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられ、生産安定性の観点から、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
本発明では、1種類の末端封止剤を用いてもよいし、2種類以上の末端封止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
前記末端封止剤として用いられるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するモノカルボン酸であれば特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
これらのモノカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
前記末端封止剤として用いられるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するモノアミンであれば特に限定されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。
これらのモノアミンは、1種類を単独で用いてもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
<融点>
前記(A)ポリアミド樹脂の融点は200?270℃であり、好ましくは210?270℃であり、より好ましくは210?265℃である。
融点の測定は、JIS K7121に準じて行うことができ、例えば、PERKIN-ELMER社製、「DSC-7」を用いて測定することができる。
具体的には、サンプル10mgを用いて、昇温速度20℃/minの条件下、400℃まで昇温して、得られた融解曲線のピーク温度を融点とする。
融点が200℃以上の場合には、耐薬品性や耐熱性の低下を一層抑制できる傾向があり、270℃以下の場合には連続成形時の可塑化時間、外観性が安定する傾向がある。
【0021】
<分子量>
(A)ポリアミド樹脂の分子量は、安定成形性及び機械物性向上の観点から、98%硫酸相対粘度ηr(1g/100mL)で表した場合、好ましくは1.5?3.5、より好ましくは1.8?3.2である。
【0022】
((B)無機充填材)
前記(B)無機充填材(以下、無機充填材、(B)成分と記載する場合がある。)は、チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
これらの中でも、物性、安全性、及び経済性の観点から、チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、アパタイトが好ましく、チョップドストランドガラス繊維がより好ましい。
【0023】
前記チョップドストランドガラス繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、異型断面タイプ(例えば、まゆ型、長円型)等の任意の形状のチョップドストランドガラス繊維が使用可能である。
【0024】
前記チョップドストランドガラス繊維や前記炭素繊維の中でも、高い特性を発現できる観点から、数平均繊維径が3?30μmであるものが好ましく、重量平均繊維長が100?750μmであるものが好ましく、重量平均繊維長数と平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10?100であるものが好ましい。
特に、数平均繊維径が3?30μm、重量平均繊維長が100?750μm、重量平均繊維長と平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10?100であるものがより好ましい。
【0025】
前記ウォラストナイトは、高い特性を発現できる観点から、数平均繊維径が3?30μmであるものが好ましく、重量平均繊維長が10?500μmであるものが好ましく、前記アスペクト比(L/D)が3?100であるものが好ましい。
特に、数平均繊維径が3?30μm、重量平均繊維長が10?500μm、前記アスペクト比(L/D)が3?100であるものがより好ましい。
【0026】
前記タルク、マイカ、カオリン、窒化珪素、チタン酸カリウムとしては、高い特性を発揮できる観点から、数平均粒径が0.1?3μmであるものが好ましい。
【0027】
上述した(B)無機充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維径は、顕微鏡法により測定することができる。例えば、(B)無機充填材としてガラス繊維が含有されている場合、強化ポリアミド樹脂の分解温度以上で加熱し、残ったガラス繊維を、顕微鏡を用いて写真撮影し、ガラス繊維の径を計測する方法により測定することができる。
顕微鏡法によって得られた測定値から、数平均繊維径及び重量平均繊維径を計算する方法としては、下記式(1)及び式(2)が挙げられる。
数平均繊維径=ガラス繊維径の合計/ガラス繊維の数 ・・・(1)
重量平均繊維長=ガラス繊維長さの2乗和/ガラス繊維長さの合計 ・・・(2)
【0028】
前記(B)無機充填材は、機械強度向上の観点から、表面処理を施すことが好ましい。
表面処理剤としては、特に限定されず、例えば、カップリング剤やフィルム形成剤を用いることができる。
【0029】
前記カップリング剤としては、特に限定されず、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられる。
【0030】
前記シラン系カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(1,1-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピル-トリス(2-メトキシ-エトキシ)シラン、N-メチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O-(ビストリメチルシリル)アミド、N,N-ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
これらの中でも、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(1,1-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシラン及びエポキシシランが、経済性と取り扱い性に優れるという観点から、好ましい。
【0031】
前記チタン系カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートイソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0032】
前記フィルム形成剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α-メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3ジクロロブタジエン、1,3-ペンタジエン、シクロオクタジエン等の不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー等の重合体が挙げられる。
これらの中でも、経済性と性能とが優れるという観点から、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物が好ましい。
【0033】
上述したカップリング剤及びフィルム形成剤を用いて、無機充填材(B)の表面処理を行う方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、カップリング剤及びフィルム形成剤の有機溶媒溶液又は懸濁液を、いわゆるサイジング剤として表面に塗布するサイジング処理;ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レーディミキサー、V型ブレンダー等を用いて塗布する乾式混合を行う方法;スプレーにより塗布するスプレー法;インテグラルブレンド法;ドライコンセントレート法等が挙げられる。また、これらの方法を組合せた方法(例えば、カップリング剤とフィルム形成剤の一部をサイジング処理により塗布した後、残りのフィルム形成剤をスプレーする方法等)も挙げられる。これらの中でも、経済性に優れるという観点から、サイジング処理、乾式混合、スプレー法、及びこれらを組合せた方法が好ましい。
【0034】
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対する前記(B)無機充填材の配合量は、特に限定されないが、好ましくは1?300質量部であり、より好ましくは1?200質量部であり、さらに好ましくは1?180質量部であり、よりさらに好ましくは5?150質量部である。
無機充填材(B)の配合量を上記範囲内にすることにより、機械特性に優れ、かつ押出性及び成形性が良好なものとなる。これらの(B)無機充填材は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
(その他の材料)
<劣化抑制剤>
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、熱劣化、熱時の変色防止、耐熱エージング性、及び耐候性の向上を目的として、後述する劣化抑制剤を添加してもよい。
劣化抑制剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅及びヨウ化銅等の銅化合物;ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤;ホスファイト系安定剤;ヒンダードアミン系安定剤;トリアジン系安定剤;及びイオウ系安定剤等が挙げられる。
これらの、劣化抑制剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
【0036】
<成形性改良剤>
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、成形性改良剤を配合してもよい。
成形性改良剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0037】
前記高級脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、及びモンタン酸等の炭素数8?40の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、離型性の観点から、ステアリン酸及びモンタン酸が好ましい。
【0038】
前記高級脂肪酸金属塩とは、前記高級脂肪酸の金属塩である。
金属塩の金属元素としては、高級脂肪酸金属塩安定性の観点から、元素周期律表の第1,2,3族元素、亜鉛、及びアルミニウム等が好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウム等の、第1,2族元素、並びにアルミニウム等がより好ましい。
高級脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、及びモンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中でも、離型性の観点から、モンタン酸の金属塩及びステアリン酸の金属塩が好ましい。
【0039】
前記高級脂肪酸エステルとは、前記高級脂肪酸とアルコールとのエステル化物である。
前記高級脂肪酸エステルとしては、離型性の観点から、炭素数8?40の脂肪族カルボン酸と炭素数8?40の脂肪族アルコールとのエステルが好ましい。
脂肪族アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
【0040】
前記高級脂肪酸アミドとは、前記高級脂肪酸のアミド化合物である。
前記高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N-ステアリルステアリルアミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとしては、離型性の観点から、好ましくは、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN-ステアリルエルカ酸アミドであり、より好ましくはエチレンビスステアリルアミド及びN-ステアリルエルカ酸アミドである。
これらの高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミドは、それぞれ1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
【0041】
<着色剤>
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤を添加してもよい。
着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ニグロシン等の染料、酸化チタン及びカーボンブラック等の顔料;アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、及びチタン等の金属粒子;マイカ製パール顔料;カラーグラファイト、カラーガラス繊維、及びカラーガラスフレーク等のメタリック顔料等が挙げられる。
【0042】
<その他の樹脂>
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂を配合してもよい。
このようなその他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、後述する熱可塑性樹脂やゴム成分等が挙げられる。
【0043】
前記熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン等の縮合系樹脂;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲンビニル化合物系樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
【0044】
前記ゴム成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン-イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-ブタジエンランダム共重合体、水素添加スチレン-ブタジエンランダム共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンランダム共重合体、スチレン-エチレン-ブチレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)や、ブタジエン-アクリロニトリル-スチレン-コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-スチレン-コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート-ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート-ブタジエン-アクリロニトリル-スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン-スチレン-コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレートシロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプのゴム材料等が挙げられる。
これらのゴム成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
【0045】
〔強化ポリアミド樹脂ペレット〕
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットは、長さが1?5mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.5である。
ペレットの断面とは、前記ペレットの長さ方向に対して略垂直の面で切断したときの断面である。
ペレットの長さは、好ましくは1?4mmであり、より好ましくは1.5?4mmである。ペレット長さを1mm以上とすることにより、押出機のスクリューへの噛み込み性に優れる強化ポリアミド樹脂ペレットとすることができる。一方、ペレット長さを5mm以下とすることで、連続成形時の可塑化時間安定性、外観安定性に優れる強化ポリアミド樹脂ペレットとすることができる。
次に、ペレット断面の長径と短径の比(長径/短径)は、好ましくは1.3?2.4であり、より好ましくは1.3?2.3である。ペレット断面の長径と短径との長さの比(長径/短径)を1.3?2.5の範囲とすることにより、連続成形時の可塑化時間安定性、外観安定性に優れる強化ポリアミド樹脂ペレットとすることができる。
【0046】
ペレット平均長さは、例えば、強化ポリアミド樹脂ペレットを100個取り出し、各ペレットの長さを計測する方法により測定することができる。ペレット平均長さの計算方法としては、下記式(3)が挙げられる。
ペレット平均長さ=ペレット長さの合計/ペレットの個数 ・・・(3)
ペレット断面の長径と短径との比(長径/短径)は、例えば、強化ポリアミド樹脂ペレットを100個取り出し、各ペレットの断面の最大径と最小径の長さを計測する方法により測定することができる。ペレット断面の長径と短径の比の計算方法としては、下記式(4)が挙げられる。
ペレット断面の長径と短径との比=(ペレットの最大径の合計/ペレット最小径の合計)/ペレットの個数・・・(4)
【0047】
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットの製造方法としては、前記(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機充填材、及び、必要に応じて、上述した劣化抑制剤、成形性改良剤、着色剤、その他の樹脂を、混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
例えば、(A)ポリアミド樹脂と(B)無機充填材と、必要に応じてその他の材料とをヘンシェルミキサー等を用いて混合し、溶融混練機に供給し、混練する方法や、減圧装置を備えた単軸又は2軸押出機で溶融状態にした(A)ポリアミド樹脂に、サイドフィダーから(B)無機充填材、必要に応じてその他の材料を配合する方法等が挙げられる。
強化ポリアミド樹脂ペレットを構成する成分を溶融混練機に供給して混合する工程においては、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
【0048】
溶融混練温度は、(A)ポリアミド樹脂の融点に対して50℃以上であることが好ましい。溶融混練時間は、0.25?5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置については特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
【0049】
前記溶融混練機において溶融混練を行った後、ダイノズルからストランドを押出す。
ストランドは、230?350℃の高温状態であり、このままではペレタイザーのカッターローラーで押しつぶされてカッティングできないため、(A)ポリアミド樹脂の融点以下に冷却する。通常この冷却には水が用いられ、ダイノズルから押出されたストランドを水中で冷却する。
水中にて冷却する場合は、通常、水槽を用いてストランドを通過させる。水中でのストランドの水浸漬長さは、吸水抑制の観点から90cm以下が好ましい。より好ましくは80cm以下であり、さらに好ましくは60cm以下である。
次に冷却されたストランドは、ペレタイザーでカッティングされることによりペレットとなるが、ペレタイザーのロール引き取り圧力、カッターの回転速度を調整すること、及び上述の水中でのストランドの水浸漬長さを90cm以下とすることで、本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットを得ることができる。
具体的には、例えば、ペレット長さは、カッターの回転速度を変えることにより変更することができ、カッターの回転数を速くすることでペレット長さを短くすることができ、回転数を遅くすることでペレット長さを長く調節することができる。
また、ペレット断面の長径と短径との比は、ストランドの水浸漬長さを90cm以下とし、ペレタイザーのロール引き取り圧力を強く設定することでペレットの断面の長径と短径の比が1.3?2.5である強化ポリアミド樹脂ペレットを得ることができるが、その方法については特に限定されない。
【0050】
〔成形品〕
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットを用い、これを成形することにより、所望の成形品が得られる。
成形方法としては、特に限定されず、公知の成形方法を用いることができる。
例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法が挙げられる。
【0051】
〔用途〕
本実施形態の強化ポリアミド樹脂ペレットは、連続成形時の可塑化時間安定性、外観安定性に優れるため、様々な用途に用いることができる。
例えば、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野において、好適に用いることができる。
【実施例】
【0052】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
〔材料の構造、物性の測定方法〕
<分子量の測定(25℃での相対粘度ηr)>
ポリアミド樹脂の分子量を、JIS-K6810に準じて実施し、25℃での相対粘度ηrとして測定した。
具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液({ポリアミド樹脂1g/98%硫酸100mL}の割合)を調製し、25℃で測定した。
<ポリアミド樹脂の融点(℃)>
融点は、JIS K7121に準じて、PERKIN-ELMER社製、「DSC-7」を用いて測定した。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、Tm1+40℃の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温、2分間保持した後、昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)のピーク温度を融点(Tm2(℃))とした。
【0054】
<可塑化時間安定性の評価>
測定用装置は、日精樹脂(株)製、「FN3000」を用いた。
シリンダー温度を、使用したポリアミド樹脂の融点+30℃に設定し、金型温度を80℃に設定し、射出10秒、冷却20秒の射出成形条件で、1000ショットまで成形し、ISO試験片を得た。
可塑化時間安定性(標準偏差)は、下記式により求めた。
【0055】
【数1】

【0056】
Ai=1000ショットそれぞれの可塑化時間
X1=1000ショットの相加平均
n=ショット数(1000ショット)
上記の標準偏差(σ)が小さいほど、可塑化時間安定性に優れるものと判断した。
【0057】
<外観安定性の評価>
上記成形性安定試験で用いたISO試験片のグロス値を測定し、下記式により求めた。
外観安定性は、堀場(株)製、ハンディ光沢度計「IG320」を用いてグロス値を測定し、下記方法により求めた。
【0058】
【数2】

【0059】
Bi=1000ショットそれぞれのグロス値
X2=1000ショットの相加平均
n=ショット数(1000ショット)
上記の標準偏差(σ)が小さいほど、外観安定性に優れるものと判断した。
【0060】
<成形機ホッパーブリッジ発生状況>
測定装置は、日精樹脂(株)製、「FN3000」を用いた。
シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+30℃に設定し、金型温度を80℃に設定し、射出10秒、冷却20秒の射出成形条件で、1000ショットまで成形し、ホッパー内のブリッジ発生状況を評価した。
評価指標を下記に示す。
○:ブリッジ発生無し、△:ブリッジ発生有り、×:ブリッジ発生、及び毛玉発生有り
【0061】
<加工性(切粉発生量)>
後述する実施例及び比較例で得られた強化ポリアミド樹脂ペレット1kgを、40メッシュの篩い(目開き:0.425mm)を用いて1分間篩って落下した切粉の量を測定し、下記方法により求めた。
切粉発生量(質量%)=切粉の量(kg)/強化ポリアミド樹脂1kg×100
切粉の量が少ない方が、加工性が良好であると判断した。
【0062】
〔(A)ポリアミド樹脂〕
(材料)
後述する実施例及び比較例における強化ポリアミド樹脂ペレットに含有される、下記<製造例1>?<製造例4>のポリアミド樹脂は、下記化合物を用いて製造した。
(1)アジピン酸 和光純薬工業(株)製 商品名:アジピン酸
(2)イソフタル酸 和光純薬工業(株)製 商品名:イソフタル酸(3)テレフタル酸 和光純薬工業(株)製 商品名:テレフタル酸
(4)ヘキサメチレンジアミン 和光純薬工業(株)製 商品名:ヘキサメチレンジアミン
(5)ε-カプロラクタム 和光純薬工業(株)製 商品名:ε-カプロラクタム
ポリアミド樹脂を製造し、上記記載の方法により測定及び評価を行った。
【0063】
<製造例1:ポリアミド樹脂(A1)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500g、全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110?150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。
その後、内部温度を220℃に昇温した。
このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。
そのまま1時間、内部温度が260℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけて圧力を1MPaまで下げ、その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。
このとき、重合の最終内部温度は290℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂(A1)を得た。得られたポリアミド樹脂(A1)の25℃での相対粘度ηrは2.8であった。
【0064】
<製造例2:ポリアミド樹脂(A2)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1044g、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩456g、及び全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110?150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。
その後、内部温度を220℃に昇温した。
このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。
そのまま1時間、内部温度が260℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけて圧力を1MPaまで下げ、その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。
このとき、重合の最終内部温度は290℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂(A2)を得た。得られたポリアミド樹脂(A2)の25℃での相対粘度ηrは2.5であった。
【0065】
<製造例3:ポリアミド樹脂(A3)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1109g、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩368g、εカプロラクタム5g、及び全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110?150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。
その後、内部温度を220℃に昇温した。
このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。
そのまま1時間、内部温度が260℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけて圧力を1MPaまで下げ、その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。
このとき、重合の最終内部温度は290℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂(A3)を得た。得られたポリアミド樹脂(A3)の25℃での相対粘度ηrは2.4であった。
【0066】
<製造例4:ポリアミド樹脂(A4)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩675g、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩825g、及び全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110?150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。
その後、内部温度を220℃に昇温した。
このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。
そのまま1時間、内部温度が300℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけて圧力を1MPaまで下げ、その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。
このとき、重合の最終内部温度は330℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミド樹脂(A4)を得た。得られたポリアミド樹脂(A4)の25℃での相対粘度ηrは2.5であった。
【0067】
〔(B)無機充填材〕
後述する実施例及び比較例における強化ポリアミド樹脂ペレットに含有される、無機充填材としては、下記材料を用いた。
(B1)ガラス繊維 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H
平均繊維径(平均粒径)10μm(真円状)、カット長3mm
(B2)ウォラストナイト NYCO製 商品名 NYAD400
平均繊維径(平均粒径)7.0μm 平均繊維長35μm
(B3)ウォラストナイト NYCO製 商品名 NYAD5000
平均繊維径(平均粒径)2.2μm 平均繊維長7.2μm
(B4)タルク 富士タルク工業(株)製 商品名 PKP-80
平均粒径14μm
(B5)マイカ 山口雲母工業所(株)製 商品名 A-21
平均粒径22μm
(B6)カオリン 林化成(株)製 商品名 TRANSLINK445 平均粒径1.5μm(B7)ガラス繊維ロービング 重慶国際複合材料有限公司製 商品名:ER4301H
平均繊維径(平均粒径)17μm、ロービングTEX数:1200TEX、比重2.54
【0068】
〔強化ポリアミド樹脂ペレット〕
<参考例1、2>
上述した製造例1のポリアミド樹脂(A1)100質量部を、コペリオン製、ZSK40mm2軸押出機(設定温度:前記融点測定法に準じて求めたポリアミド樹脂(A1)の融点より約30℃高い温度、スクリュー回転数300rpm)にトップフィード口より供給した。
さらに、サイドフィード口より、無機充填材(B1)を下記表1に示す質量部に従って供給した。
ダイス出口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズし強化ポリアミド樹脂ペレットを得た。
ペレットの断面の長径と短径との比は、ダイス出口から押出された溶融混練物をストランド状で冷却する際に水浸漬長さを60cm以下とし、ストランドを引き取る時のペレタイザーの引き取りロール圧を変更することにより調節した。
ペレット長さは、ペレタイザーのロール引き取り速度と、カッターの回転速度をすることにより調整した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0069】
<実施例3?13>
製造例1のポリアミド樹脂(A1)に代えて、上述した製造例2のポリアミド樹脂(A2)を用いた。さらには、ポリアミド樹脂100質量部に対して供給する(B)無機充填材を、下記表1に示す種類及び質量部に変更した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0070】
<実施例14>
製造例2のポリアミド樹脂(A2)100質量部を、東芝機械社製、コペリオン製、ZSK40mm2軸押出機(設定温度:前記融点測定法に準じて求めたポリアミド樹脂(A2)の融点より約30℃高い温度、スクリュー回転数300rpm)にトップフィード口より供給した。
さらに、サイドフィード口を2箇所設け、押出機上流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口1より、無機充填材(B1)を、下記表1に示す質量部に従って供給した。
押出機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口2より、前記無機充填材(B2)を、下記表1に示す質量部に従って供給した。
ペレットの断面の長径と短径の比は、ダイス出口から押出された溶融混練物をストランド状で冷却する際に水浸漬長さを60cm以下とし、ストランドを引き取る時のペレタイザーの引き取りロール圧を変更することにより調節した。
ペレット長さは、ペレタイザーのロール引き取り速度と、カッターの回転速度をすることにより調整した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0071】
<参考例15>
製造例1のポリアミド樹脂(A1)に代えて、上述した製造例3のポリアミド樹脂(A3)を用いた。さらには、ポリアミド樹脂100質量部に対して供給する(B)無機充填材の種類及び供給量を、下記表1に示す種類及び質量部に変更した以外は、参考例1と同様に実施した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0072】
<比較例1?4>
上述した製造例1のポリアミド樹脂(A1)100質量部を、コペリオン製、ZSK40mm2軸押出機(設定温度:前記融点測定法に準じて求めたポリアミド樹脂(A1)の融点より約30℃高い温度、スクリュー回転数300rpm)にトップフィード口より供給した。
さらに、サイドフィード口より、無機充填材(B1)を下記表1に示す質量部に従って供給した。
ダイス出口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズし強化ポリアミド樹脂ペレットを得た。
ペレットの断面の長径と短径の比は、ダイス出口から押出された溶融混練物をストランド状で冷却する際に水浸漬長さを100cm以上とし、ストランドを引き取る時のペレタイザーの引き取りロール圧を変更することにより調節した。
ペレット長さは、ペレタイザーのロール引き取り速度と、カッターの回転速度をすることにより調整した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0073】
<比較例5、6>
2軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、トップフィード口よりポリアミド樹脂(A1)を供給した。
シリンダー設定温度をポリアミド樹脂(A1)の融点Tm+50℃である310℃、スクリュー回転数を300rpmにそれぞれ設定して、押出機内で溶融混練した。
次いで、溶融混練されたポリアミド樹脂を、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP-212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。
一方、3本のガラス繊維ロービング(B7)の束(1200×3=3600TEX)を、ロービング台から、ポリアミド樹脂の溶融混練物が充填された含浸ダイクロスヘッドに導入した。
含浸ダイ内でポリアミド樹脂の溶融混練物を含浸したガラス繊維ロービング束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。
続いて、そのストランドを水冷バス中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して、表1に示す組成となる樹脂ペレットを得た。
なお、ストランドの引き取り速度はポリアミド樹脂の溶融混練物の含浸状態が十分である範囲で熱滞留時間を少なくするために、最速の条件とした。その速度は30m/分であった。
樹脂ペレットの断面の長径と短径との比は、含侵ダイのノズル形状、及び含侵ダイのノズル出口から連続的に引き抜いた1本のストランドを冷却する際に水浸漬長さを100cm以上とし、ストランドを引き取る時のペレタイザーの引き取りロール圧を変更することにより調節した。樹脂ペレット長さは、ペレタイザーのロール引き取り速度と、カッターの回転速度をすることにより調整した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0074】
<比較例7?10>
製造例1のポリアミド樹脂(A1)に代えて、上述した製造例2のポリアミド樹脂(A2)を用いた以外は、比較例1と同様に実施した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0075】
<比較例11、12>
製造例1のポリアミド樹脂(A1)に代えて、上述した製造例2のポリアミド樹脂(A2)を用いた以外は、比較例5と同様に実施した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0076】
<比較例13>
上述した製造例4のポリアミド樹脂(A4)100質量部を、コペリオン製、ZSK40mm2軸押出機(設定温度:前記融点測定法に準じて求めたポリアミド共重合体の融点より約30℃高い温度、スクリュー回転数300rpm)にトップフィード口より供給した。
さらに、サイドフィード口より、無機充填材(B1)を供給した。
ダイス出口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズし強化ポリアミド樹脂ペレットを得た。
ペレットの断面の長径と短径の比は、ダイス出口から押出された溶融混練物をストランド状で冷却する際に水浸漬長さを60cm以下とし、ストランドを引き取る時のペレタイザーの引き取りロール圧を変更することにより調節した。
ペレット長さは、ペレタイザーのロール引き取り速度と、カッターの回転速度をすることにより調整した。
上記記載の方法により、上述した可塑化時間安定性、外観安定性、及びホッパーブリッジ発生状況の評価を行った。併せて切粉発生量を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
前記表1に示すように、実施例3?5、7、9?14、参考例15の強化ポリアミド樹脂ペレットは、長期連続成形時にいずれも極めて優れた可塑化時間安定性、外観安定性を有することが確認された。
さらに切粉発生量が少ないことを確認した。
一方、ペレット断面の長径/短径の比(長径/短径)、ペレット長さ、(B)無機充填材、(A)ポリアミド樹脂の融点の少なくともいずれかにおいて、本発明の要件を満たさない比較例1?13の強化ポリアミド樹脂ペレットは、長期連続成形時の可塑化時間安定性、外観安定性が大きく低下したことが確認された。
【0079】
本出願は、2011年5月27日に日本国特許庁へ出願された、特願2011-118723に基づくものであり、その内容は、ここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の強化ポリアミド樹脂ペレットは、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野等において、産業上の利用可能性がある。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物を成形する際に、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレットを使用することにより、成形品の外観安定性を改善する方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
請求項1に記載の成形品の外観安定性を改善する方法(但し、前記強化ポリアミド樹脂ペレットが滑剤ペレットを含むものを除く。)。
【請求項4】
(A)融点が200?270℃であり、ポリアミド66/6Iであるポリアミド樹脂と、
(B)チョップドストランドガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材と、
を、含有し、
長さが1?4mmであり、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.3?2.3である強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項5】
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?300質量部を含有する、請求項4に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項6】
前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、前記(B)無機充填材1?100質量部を含有する、請求項4又は5に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項7】
前記断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.76?2.3である、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
請求項4乃至7のいずれか一項に記載の強化ポリアミド樹脂ペレット(但し、滑剤ペレットを含むペレットブレンド物を除く。)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-27 
出願番号 特願2015-201367(P2015-201367)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C08L)
P 1 651・ 536- YAA (C08L)
P 1 651・ 121- YAA (C08L)
P 1 651・ 537- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安田 周史松浦 裕介  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 西山 義之
橋本 栄和
登録日 2016-11-04 
登録番号 特許第6034463号(P6034463)
権利者 旭化成株式会社
発明の名称 強化ポリアミド樹脂ペレット  
代理人 秋山 祐子  
代理人 内藤 和彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 秋山 祐子  
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