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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B28D 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B28D 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B28D 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B28D 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する B28D |
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管理番号 | 1337261 |
審判番号 | 訂正2017-390123 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-11-20 |
確定日 | 2018-02-01 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3670267号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3670267号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7-12〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第3670267号(以下、「本件特許」という。)は、平成15年3月12日(優先権主張平成14年3月12日)に出願され、平成17年4月22日に特許権の設定登録がなされたものであって、その後、平成29年11月20日付けで本件訂正審判が請求されたものである。 第2.請求の趣旨 本件審判の請求は、本件特許の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7-12〕について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3.訂正事項 本件訂正の内容は次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項7に、 「基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記改質領域を形成した前記加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と」 とあるのを、 「基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射することにより多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記改質領域を形成した前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と」 に訂正する(請求項7を直接的に、または、間接的に引用する請求項9ないし12も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8に、 「半導体基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより溶融処理領域を形成し、この溶融処理領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記溶融処理領域を形成した前記加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と」 とあるのを、 「半導体基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射することにより溶融処理領域を形成し、この溶融処理領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記溶融処理領域を形成した前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と」 に訂正する(請求項8を直接的に、または、間接的に引用する請求項9ないし12も同様に訂正する。)。 第4.当審の判断 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的について 訂正事項1のうち、「前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射する」とあるのを「前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射する」とすることは、請求項7において「レーザ光入射面」に関し、加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射してレーザ光入射面とする場合と、加工対象物の他方の面側からレーザ光を照射してレーザ光入射面とする場合とが包含されていたものを、「加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射する」場合に限定するものである。 また、訂正事項1のうち、「前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する」を「前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する」とすること、及び、訂正事項1のうち、「前記加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着する」を「前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する」とすることは、いずれも、「レーザ光入射面」に関し、上記「加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射する」場合に限定することに伴うものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.新規事項の追加の有無について 上記ア.のとおり、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。この場合、当該訂正事項1は、願書に添付された明細書又は図面に記載した範囲内のものでなければならない。 訂正事項1は、願書に添付された明細書の段落【0081】における「本変形例に示したように、本実施形態によるレーザ加工方法においては、ウェハ1aの裏面21をレーザ光入射面として切断起点領域を形成することも可能である。」との記載を根拠とするものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、上記ア.で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ.独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項7に係る発明、及び請求項7を直接的に、または、間接的に引用する請求項9ないし12に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 オ.小活 よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的について 訂正事項2のうち、「前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射する」とあるのを「前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射する」とすることは、請求項8において「レーザ光入射面」に関し、加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射してレーザ光入射面とする場合と、加工対象物の他方の面側からレーザ光を照射してレーザ光入射面とする場合とが包含されていたものを、「加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射する」場合に限定するものである。 また、訂正事項2のうち、「前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する」を「前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する」とすること、及び、訂正事項2のうち、「前記加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着する」を「前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する」とすることは、いずれも、「レーザ光入射面」に関し、上記「加工対象物の一方の面側からレーザ光を照射する」場合に限定することに伴うものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.新規事項の追加の有無について 上記ア.のとおり、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。この場合、当該訂正事項2は、願書に添付された明細書又は図面に記載した範囲内のものでなければならない。 訂正事項2は、願書に添付された明細書の段落【0081】における「本変形例に示したように、本実施形態によるレーザ加工方法においては、ウェハ1aの裏面21をレーザ光入射面として切断起点領域を形成することも可能である。」との記載を根拠とするものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、上記ア.で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ.独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項8に係る発明、及び請求項8を直接的に、または、間接的に引用する請求項9ないし12に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 オ.小活 よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 (3)一群の請求項の適否について 訂正前の請求項7ないし12は、訂正前の請求項9ないし12が訂正前の請求項7及び8を引用する関係を有する一群の請求項であるから、訂正前の請求項7ないし12に係る訂正は、特許法第126条第4項の規定に適合する。 第5.むすび したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着し、前記加工対象物の前記他方の面をレーザ光入射面として前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成し、前記一方の面に装着された前記フィルムを伸張させて、前記切断起点領域を起点として前記基板の厚さ方向に向かって割れを発生させ、前記基板を切断すると共に前記他方の面側の前記積層部を切断することにより、前記加工対象物を複数の部分に、互いに間隔があくように切断する工程を備える、レーザ加工方法。 【請求項2】 半導体基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着し、前記加工対象物の前記他方の面をレーザ光入射面として前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより溶融処理領域を形成し、この溶融処理領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成し、前記一方の面に装着された前記フィルムを伸張させて、前記切断起点領域を起点として前記基板の厚さ方向に向かって割れを発生させ、前記基板を切断すると共に前記他方の面側の前記積層部を切断することにより、前記加工対象物を複数の部分に、互いに間隔があくように切断する工程を備える、レーザ加工方法。 【請求項3】 前記基板の厚さ方向において、少なくとも1つの前記切断起点領域の中心が前記基板の中心よりも前記一方の面側に位置するように前記切断起点領域を形成する、請求項1または2に記載のレーザ加工方法。 【請求項4】 1つの前記切断起点領域が前記基板の中心を含むように前記切断起点領域を形成する、請求項3に記載のレーザ加工方法。 【請求項5】 前記切断起点領域を形成する際に、前記切断起点領域から前記一方の面に達する亀裂を発生させる、請求項1?4のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。 【請求項6】 前記積層部の前記切断予定ラインと重なる部分が絶縁性材料からなる、請求項1?5のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。 【請求項7】 基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射することにより多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記改質領域を形成した前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と、 前記一方の面に装着された前記フィルムを伸張させて、前記切断起点領域を起点として前記基板の厚さ方向に向かって割れを発生させ、前記基板を切断すると共に前記他方の面側の前記積層部を切断することにより、前記加工対象物を複数の部分に、互いに間隔があくように切断する工程と を備える、レーザ加工方法。 【請求項8】 半導体基板を含み、他方の面側の前記基板上に前記他方の面側からみて切断予定ラインと重なる積層部を有する平板状の加工対象物の前記基板の内部に集光点を合わせて一方の面側からレーザ光を照射することにより溶融処理領域を形成し、この溶融処理領域によって、前記加工対象物の前記切断予定ラインに沿って前記一方の面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、 内部に前記溶融処理領域を形成した前記加工対象物の前記一方の面に伸張性のフィルムを装着する工程と、 前記一方の面に装着された前記フィルムを伸張させて、前記切断起点領域を起点として前記基板の厚さ方向に向かって割れを発生させ、前記基板を切断すると共に前記他方の面側の前記積層部を切断することにより、前記加工対象物を複数の部分に、互いに間隔があくように切断する工程と を備える、レーザ加工方法。 【請求項9】 前記基板の厚さ方向において、少なくとも1つの前記切断起点領域の中心が前記基板の中心よりも前記一方の面側に位置するように前記切断起点領域を形成し、前記伸張性のフィルムを前記一方の面側に装着する、請求項7または8に記載のレーザ加工方法。 【請求項10】 1つの前記切断起点領域が前記基板の中心を含むように前記切断起点領域を形成する、請求項9に記載のレーザ加工方法。 【請求項11】 前記積層部の前記切断予定ラインと重なる部分が絶縁性材料からなる、請求項7?10のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。 【請求項12】 前記切断起点領域を形成する際に前記切断起点領域から前記基板の前記一方の面に達する亀裂を発生させ、前記フィルムを前記一方の面側に装着する、請求項7?11のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-01-04 |
結審通知日 | 2018-01-09 |
審決日 | 2018-01-24 |
出願番号 | 特願2003-67281(P2003-67281) |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(B28D)
P 1 41・ 841- Y (B28D) P 1 41・ 851- Y (B28D) P 1 41・ 854- Y (B28D) P 1 41・ 856- Y (B28D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 紀本 孝 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
栗田 雅弘 中川 隆司 |
登録日 | 2005-04-22 |
登録番号 | 特許第3670267号(P3670267) |
発明の名称 | レーザ加工方法 |
代理人 | 尾関 孝彰 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 寺澤 正太郎 |
代理人 | 尾関 孝彰 |
代理人 | 寺澤 正太郎 |
代理人 | 阿部 寛 |