• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1337354
審判番号 不服2017-7296  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-22 
確定日 2018-02-08 
事件の表示 特願2014- 26247号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-150198号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月14日に特許出願したものであって、平成27年11月30日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年2月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年5月24日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年8月5日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年2月16日付け(発送日:平成29年2月21日)で拒絶査定がなされ、これに対して平成29年5月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成29年7月28日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成29年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成29年5月22日付けの手続補正(以下、本件補正という)を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、
補正前(平成28年8月5日付け手続補正)の
「【請求項1】
遊技球が入球可能な第1始動手段と、
第1の態様と前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な第2始動手段と、
前記第1始動手段への入球に基づいて第1当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球に基づいて第2当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定を実行することに基づいて所定結果になると、前記第2始動手段を前記第2の態様にする第2始動手段態様制御手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行する第1特定遊技実行手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になること、若しくは、前記第1特定遊技の実行中に特定条件が成立することに基づいて、第2特定遊技を実行する第2特定遊技実行手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が異なる遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記遊技状態として、前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が最低となる第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態と、を有し、
前記遊技状態設定手段は、前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり、
前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く、
前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す複数種類の第2図柄のうちのいずれかが、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際にて停止表示された第2図柄の種類に応じて、前記第1遊技状態となるか前記第2遊技状態となるかが異なるよう構成されている
ことを特徴とする遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成29年5月22日付け手続補正)の
「【請求項1】 遊技球が入球可能な第1始動手段と、
第1の態様と前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な第2始動手段と、
前記第1始動手段への入球に基づいて第1当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球に基づいて第2当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定を実行することに基づいて所定結果になると、前記第2始動手段を前記第2の態様にする第2始動手段態様制御手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行する第1特定遊技実行手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になること、若しくは、前記第1特定遊技の実行中に特定条件が成立することに基づいて、第2特定遊技を実行する第2特定遊技実行手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が異なる遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記遊技状態として、前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が最低となる第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態と、を有し、
前記遊技状態設定手段は、前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり、
前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く、
前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す複数種類の第2図柄のうちのいずれかが、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際にて停止表示された第2図柄の種類に応じて、前記第1遊技状態となるか前記第2遊技状態となるかが異なるよう構成されており、
前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第2特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も、前記第1遊技状態である状況下よりも前記第2遊技状態である状況下の方が相対的に短時間となるものが選択され易い
ことを特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線は補正箇所を示す)。

2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1において
「前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第2特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も、前記第1遊技状態である状況下よりも前記第2遊技状態である状況下の方が相対的に短時間となるものが選択され易い」という事項を追加することにより、「第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になる場合」と、「第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になる場合」において、変動表示される時間がどのようなものが選択されやすいかについての限定を行うものである。
また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物

(1-1)刊行物1
原査定の拒絶の理由において提示された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2011-10741号公報(以下、刊行物1という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ)

(ア) 「【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関わり、特に1種2種混合機と呼ばれるパチンコ遊技機に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、周知のように、1種タイプ、2種タイプ、及び1種タイプと2種タイプを組み合わせた1種2種混合タイプ等がある。
1種タイプのパチンコ遊技機は、遊技盤に始動口、図柄変動表示器、大入賞装置等が設けられ、遊技球が始動口に入賞したときに乱数を取得し、取得した乱数に基づいて図柄変動表示器の特別図柄を変動表示する。そして特別図柄が予め定められた所定図柄で停止したときに遊技者に有利な大当たり(以下、「1種大当たり」と表記することがある)遊技に移行するように構成されている。
2種タイプのパチンコ遊技機は、「ヒコーキ」或いは「羽根物」等と称されているパチンコ遊技機であり、一対の羽根(可動片)からなる大入賞装置(変動入賞装置)が遊技盤に設けられ、所定の始動口に遊技球が入賞するとソレノイドが作動して大入賞装置の羽根が1回ないし2回開閉作動する。大入賞装置の羽根は、遊技盤面を流下する遊技球を捕捉して、その内部に導くように構成されている。大入賞装置の内部には、Vゾーンと称される特定領域が設けられており、入賞した遊技球が特定領域を通過すると大当たりが発生する。大当たり状態においては、当選した大当たりの内容に応じて、所定ラウンド数(最高16ラウンド)の大当たり(以下、「2種大当たり」と表記することがある)遊技を実行する。このとき、1ラウンド遊技として、大入賞装置の羽根を、所定の期間或いは規定数の遊技球の入賞を検出するまで継続的に開閉するか、もしくは所定回数(例えば18回)継続的に開閉する遊技を行う。以下同様のラウンド遊技が所定ラウンド数まで繰り返される。これにより、1回の大当たりで多数の遊技球を獲得できるように構成されている。
1種2種混合タイプのパチンコ遊技機は、上記した1種タイプと2種タイプの機能を備えたパチンコ遊技機である。」

(イ) 「【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図、図2は、本実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤の一例を示した正面図である。
図1に示す本実施形態に係るパチンコ遊技機200は、矩形形状の枠201を有し、この枠201の窓孔に対して遊技盤1が着脱可能に取り付けられている。
枠201の下部には遊技球を貯留する受け皿部210と、この受け皿部210の遊技球を発射する発射レバー211が設けられている。
受け皿部210の上面には、例えば遊技者自身に操作を行わせて遊技に対する参加感を演出する演出ボタン212が設けられている。
また受け皿部210の上面には遊技球の購入ボタン213、返却ボタン214、受け皿部210内の遊技球を下方から外部に抜くための球抜きボタン215が設けられている。
【0012】
図2に示す遊技盤1の遊技領域1aの略中央には、上大入賞装置2が配置されている。この上大入賞装置2の上部両側には、遊技球を装置内へ導入する導入部として、遊技球が入賞し難い閉状態と遊技球が入賞し易い開状態に変化可能な一対の可動片3L、3Rを備えている。なお、本実施形態では可動片3L、3Rの形状を羽根形状としているが、これはあくまでも一例であり、必ずしも羽根形状ではなくてもよい。
上大入賞装置2の内部には、図示しない特定領域(Vゾーン)が設けられている。このVゾーン内には、後述する特定領域スイッチ(SW)4aが配置されており、この特定領域SW4aにより遊技球の通過を検知するようにしている。
また、上大入賞装置2の内部には、入賞した遊技球を検知する第2大入賞口SW2aや、入賞した遊技球をVゾーンに入賞し易いルートとVゾーンに入賞し難いルートに振り分ける振分役物5、各種演出画像や図柄画像を表示する画像表示器6等が設けられている。」

(ウ) 「【0014】
一方、上大入賞装置2の右側領域には、普通図柄表示器12に表示される普通図柄を作動させるためのゲート22が配置されている。ゲート22の内部には、後述するゲートスイッチ(SW)22aが設けられている。
ゲート22の下方には、第2特別図柄表示器11に表示される特別図柄を作動させる第2始動口として機能する電動式チューリップ(以下、「電チュー」と称する)23が配置されている。電チュー23の内部には、後述する第2始動口スイッチ(SW)23aが設けられている。電チュー23は、普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した場合に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い開状態になる。
【0015】
遊技盤1の右側下方の遊技領域1aの外には、第1特別図柄表示器10、第2特別図柄表示器11、及び普通図柄表示器12が設けられている。
第1特別図柄表示器10及び第2特別図柄表示器11は、特別図柄を変動表示させ、所定時間経過後に当該変動表示を静止させることにより大当たり又は小当たりに当選した否か表示するようにしている。
本実施形態に係るパチンコ遊技機では、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11の特別図柄が変動中に第1始動口SW21aにおいて遊技球の入球が検知された場合、当該入球によって得られる特別図柄の変動表示を開始させる権利を最大4個、保留球として記憶する、この保留球の保留数は、第1特別図柄保留ランプ13によって表示される。
同様に、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11の特別図柄が変動中に第2始動口SW23aにおいて遊技球の入球が検知された場合も、当該入球によって得られる特別図柄の変動表示を開始させる権利も最大4個、保留球として記憶する。この保留球の留保数は、第2特別図柄保留ランプ14によって表示される。
また普通図柄表示器12の普通図柄が変動中に遊技球がゲート22のゲートSW22aを通過した場合も、ゲートSW22aの通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利を最大4個保留可能とされる。この権利は普通図柄保留ランプ15によって表示される。
【0016】
図3は、本実施形態に係るパチンコ遊技機全体の遊技制御を行う遊技制御装置の構成を示したブロック図である。
図4に示す遊技制御装置には、主(メイン)制御基板として、遊技の進行を制御する遊技制御基板111が設けられている。また副(サブ)制御基板として、演出制御基板121、画像制御基板131、ランプ制御基板141、払出制御基板151等が設けられている。
遊技制御基板111は、CPU112、ROM113、RAM114を有し、当該パチンコ遊技機の主たる制御を行う。
遊技制御基板111には、第1始動口21に設けられた第1始動口SW21a、電チュー23内に設けられた第2始動口SW23a、電チュー23を開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)23b、ゲート22内に設けられたゲートSW22a、下大入賞装置30に入賞した遊技球を検出する第1大入賞口SW30a、上大入賞装置2に入賞した遊技球を検出する第2大入賞口SW2aが接続されている。」

(エ) 「【0018】
図4は、第1の実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御基板の機能ブロックを示した図である。
この図4に示す遊技制御基板111のROM113には、遊技データ取得手段51、特別図柄表示制御手段52、開閉ゲーム実行手段53、時短遊技発生手段54、遊技状態設定手段55等を備えている。
遊技データ取得手段51は、遊技球が第1始動口21の第1始動口SW21aや電チュー23の第2始動口SW23aに入球したときに遊技データを取得する。遊技データ取得手段51で取得された遊技データは、遊技制御基板111のRAM114の遊技データを記憶する所定領域に一時的に記憶される。なお、遊技データ取得手段51において取得される遊技データについては後述する。
特別図柄表示制御手段52は、遊技データ取得手段51で取得された遊技データに基づいて、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11に表示する特別図柄の変動停止等を制御する。
開閉ゲーム実行手段53は、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11に所定の特別図柄が停止表示されたときに、上大入賞装置2の可動片3L、3Rを遊技球が入賞し難い閉状態から遊技球が入賞し易い開状態に開閉する開閉ゲームとして、遊技者の利益度が高い第1大当たりゲーム(第1開閉ゲーム)と、この第1大当たりゲームより利益度の低い第2大当たりゲーム(第2開閉ゲーム)を実行可能とされる。
このため、本実施形態の開閉ゲーム実行手段53は、第1大当たりゲーム実行手段56、小当たりゲーム実行手段57、第2大当たりゲーム実行手段58を備えている。
第1大当たりゲーム実行手段56は、例えば第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたときに、下大入賞装置30を利用して第1大当たりゲームを実行する。第1大当たりゲームは、例えば下大入賞装置30の大入賞口扉31の開閉回数が15回(例えば、15ラウンド)で、大入賞口扉31の一回あたりの最大開成時間が例えば30秒と長い第1長当たりゲームとされる。
【0019】
小当たりゲーム実行手段57は、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、上大入賞装置2を1回又は2回開閉する小当たりゲームを実行する。
第2大当たりゲーム実行手段58は、上大入賞装置2の可動片3L、3Rを1回又は2回開閉する小当たりゲーム中に、遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、上大入賞装置2を利用して第2大当たりゲームを実行する。第2大当たりゲームは、例えば上大入賞装置2の可動片3L、3Rを、所定の期間に規定数の遊技球の入賞が検出されるまで継続的に開閉するか、もしくは、所定回数(例えば18回)継続的に開閉するラウンド動作を、例えば8ラウンド繰り返す第2長当たりゲーム、或いは16ラウンド繰り返す第3長当たりゲームとされる。
【0020】
時短遊技発生手段54は、電チュー23への遊技球の入賞確率を高めた時短遊技を発生する。時短遊技とは、通常遊技に比べて電チュー23の開放時間を長くしたり、或いは普通図柄の抽選間隔を短期間にして電チュー23に遊技球が入賞し易くしたりして、第2特別図柄表示器11に変動表示される特別図柄の変動停止回数を通常遊技状態より大幅に増やして、結果的に大当たりまでの時間短縮を図るようにした遊技である。なお、本実施形態では時短遊技回数の上限を100回とする。
遊技状態設定手段55は、当該パチンコ遊技機の遊技状態を、通常遊技状態(第1遊技状態)、又は通常遊技状態より遊技者に有利な時短遊技状態(第2遊技状態)の何れかに設定する。」

(オ) 「【0021】
図5は、第1の実施形態のパチンコ遊技機における遊技状態の遷移を示した図である。
この図5に示すように、第1の実施形態では、遊技機の遊技状態が通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合(矢印A、B)、遊技状態設定手段55は、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を通常遊技状態より有利な時短遊技状態62に設定する。また、遊技状態が通常遊技状態61のときに第3長当たりに当選した場合(矢印C)、遊技状態設定手段55は、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定する。
一方、時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合(矢印B)、遊技状態設定手段55は、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定する。また、時短遊技状態62のときに第1長当たり又は第3長当たりに当選した場合(矢印A、C)、或いは時短遊技状態62のときに時短回数が規定の上限回数に達した場合(矢印D)、遊技状態設定手段55は、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態、或いは時短遊技を規定回数消化度の遊技状態を、時短遊技状態62より不利な通常遊技状態61に設定する。」

(カ) 「【0023】
図6(b)に示す図柄乱数テーブルでは、始動口入賞時、例えば「0」?「249」までの250個の乱数の中から一つの乱数値が取得される。
図柄乱数テーブルでは、大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは、第1長当たりの割合が250/250に設定されており、大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択される。
一方、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択される。
図6(c)に示すゲート用当たり乱数テーブルでは、遊技球がゲート22通過時、例えば「0」?「9」までの10個の乱数の中から一つの乱数値が取得される。当たり乱数テーブルでは、当たりの割合が例えば9/10に設定されており、取得した乱数値が「0」?「8」のときに当たりと判定される。」

(キ) 「【0026】
以下、これまで説明した第1の実施形態に係るパチンコ遊技機200の動作を実現するために遊技制御装置が実行する処理について説明する。
なお、以下に説明する処理は、遊技制御基板111のCPU112がROM113に格納されているプログラムを実行することにより実現することができる。
[タイマ割込処理]
図7は、遊技制御基板のCPUが実行するタイマ割込処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、タイマ割込処理として、乱数更新処理(S10)、スイッチ処理(S20)、図柄処理(S30)、電動役物処理(S40)、賞球処理(S50)、出力処理(S60)を実行する。
【0027】
以下、上記タイマ割込処理として実行される各種処理について説明する。
先ず、図8?図10を用いて乱数更新処理と各種スイッチ処理について説明する。
[始動口SW処理]
図8は、遊技制御基板のCPUが実行する始動口SW処理の一例を示したフローチャートである。なお、この処理により図4に示した遊技データ取得手段51の機能が実現される。
この場合、CPU112は、第1始動口21の第1始動口SW21aがオンであるか否かの判別を行い(S201)、第1始動口SW21aがオンであると判別した場合は、第1始動口SW21aの保留個数U1が「4」より少ないか否かの判別を行う(S202)。ここで、保留個数U1が「4」より少ないと判別した場合は、保留個数U1に「1」を加算する(S203)。この後、遊技データとして、大当たり乱数、図柄乱数、変動パターン乱数等を取得してRAM114に格納する(S204)。次いで、第1特別図柄保留ランプ13の保留数を増加するために第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。なお、ステップS202において、否定結果が得られた場合、つまり保留個数U1が最大保留可能個数である「4」と判別した場合は、ステップS203?S205の処理をスキップしてステップS206に進む。
【0028】
次に、CPU112は、第2始動口23の第2始動口SW23aがオンであるか否かの判別を行い(S206)、第2始動口SW23aがオンであると判別した場合は、第2始動口SW23aの保留個数U2が「4」より少ないか否かの判別を行う(S207)。ここで、保留個数U2が「4」より少ないと判別した場合は、保留個数U2に「1」を加算する(S208)。この後、遊技データとして、大当たり乱数、図柄乱数、変動パターン乱数等を取得してRAM114に格納する(S209)。次いで、第2特別図柄保留ランプ14の保留数を増加するために第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終了する。」

(ク)「【0030】
[ゲートSW処理]
図10は、遊技制御基板のCPUが実行するゲートSW処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、ゲート22のゲートSW22aがオンであるか否かの判別を行い(S231)、ゲートSW22aがオンであると判別した場合は、ゲートSW22aのゲート通過回数Gが「4」より少ないか否かの判別を行う(S232)。ゲート通過回数Gが「4」より少ないと判別した場合は、ゲート通過回数Gに「1」を加算し(S233)、ゲート用の当たり乱数を取得してRAM114に格納して(S234)ゲートSW処理を終了する。」

(ケ) 「【0034】
[大当たり判定処理]
図12は、遊技制御基板のCPUが実行する大当たり判定処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる大当たり乱数の判定を行い(S331)、続くステップS332において、大当たりであるか否かの判別を行う。ここで、大当たりと判別した場合は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる図柄乱数の判定を行い(S333)、その判定結果に基づいて、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定して(S334)、大当たり判定処理を終了する。
一方、ステップS332において、大当たりでないと判別した場合は、次に大当たり乱数により小当たりであるか否かの判別を行う(S335)。ここで、小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い(S336)、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定して(S337)、大当たり判定処理を終了する。また、ステップS335において、小当たりでない判別した場合は、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11にセットするハズレ図柄を設定して(S338)、大当たり判定処理を終了する。」

(コ) 「【0036】
[停止中処理]
図14は、遊技制御基板のCPUが実行する停止中処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、時短フラグがONであるか否かの判別を行い(S351)、時短フラグがONであると判別した場合は、RAM114に記憶されている時短ゲームの残ゲーム回数Jから「1」を減算する(S352)。 次に、CPU112は、残ゲーム回数Jが「0」であるか否かの判別を行い(S353)、残ゲーム回数Jが「0」であれば、時短ゲームにおいて特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行われたことを意味するので時短フラグをOFFにする(S354)。なお、ステップS351において時短フラグがONでないと判別した場合、或いはステップS353において、残ゲーム回数Jが「0」でないと判別した場合は、ステップS355に移行する。
【0037】
次に、CPU112は、第1特別図柄表示器10又は第2特別図柄表示器11にセットされた特別図柄により大当たりであるか否かの判別を行い(S355)、大当たりでないと判別した場合は、次にセットされている特別図柄が「小当たり」であるか否かの判別を行う(S356)、ここで、小当たりであると判別した場合は、小当たり遊技フラグをONにして(S357)、停止中処理を終了する。
一方、ステップS356において、小当たりでないと判別した場合は、小当たり遊技フラグをONにすることなく変動停止中処理を終了する。
また、ステップ355において、大当たりであると判別した場合は、時短ゲームの残ゲーム回数Jに「0」をセットして、残ゲーム回数Jをリセットすると共に、時短フラグをOFFにする(S358、S359)。この後、大当たりのオープニングを開始すると共に、大当たりオープニングコマンドをセットして(S360、S361)、停止中処理を終了する。」

(サ) 「【0039】
[普通図柄処理]
図16は、遊技制御基板のCPUが実行する普通図柄変動処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、電チュー23が作動中であることを示す補助遊技フラグがONであるか否の判別を行い(S381)、補助遊技フラグがONであると判別した場合は、速やかに普通図柄処理を終了する。
一方、ステップS381において、補助遊技フラグがONでないと判別した場合は、普通図柄が変動中であるか否かの判別を行う(S382)。ここで、普通図柄が変動中でないと判別した場合は、ゲートSW22aのゲート通過回数Gが「1」より多いか否かの判別を行い(S383)、カウント通過回数Gが「1」より多い場合は、ゲート通過回数Gを「1」減算し(S384)、ゲート通過回数Gが「1」より多くないと判別した場合、つまり「0」の場合は、普通図柄処理を終了する。
次に、CPU112は、普通図柄の当たり乱数の判定を行い(S385)、普通図柄表示器12に停止表示する停止図柄と変動時間を設定する(S386、S387)。ここで、設定する変動時間は、RAM114に記憶されている時短フラグの状態によって異なる。例えば、時短フラグがOFFの場合、変動時間は比較的長い4.0秒に設定される。一方、時短フラグがONの場合は、比較的短い1.5秒に設定される。この後、普通図柄表示器12の変動を開始する。
【0040】
次に、CPU112は、普通図柄の変動時間が所定時間経過したか否かの判別を行い(S389)、所定の変動時間を経過したと判別した場合は変動を停止し(S390)、普通図柄の変動時間が所定時間経過していないと判別した場合は、普通図柄処理を終了する。
次に、普通図柄が当たり図柄であるか否かの判別を行い(S391)、普通図柄が当たり図柄である場合は、補助遊技フラグをONにして(S392)、普通図柄処理を終了する。なお、ステップS391において、停止図柄が当たり図柄でない場合は、補助遊技フラグをONにすることなく、普通図柄処理を終了する。」

(シ) 「【0041】
次に、図17?図22を用いて電動役物処理について説明する。
[大入賞口処理]
図17は、遊技制御基板のCPUが実行する大入賞口処理の一例を示したフローチャートである。なお、この処理により図4に示した開閉ゲーム実行手段53の機能が実現される。
CPU112は、大当たり遊技フラグがONであるか否かの判別を行い(S411)、大当たり遊技フラグがONであると判別した場合は、下大入賞装置30を用いた第1大入賞口遊技処理を実行する(S412)。
一方、ステップS411において、大当たり遊技フラグがONでないと判別した場合は、小当たり遊技フラグがONであるか否かの判別を行い(S413)、小当たり遊技フラグがONであると判別した場合は、上大入賞装置2を利用した第2大入賞口遊技処理を実行する(S514)。」

(ス) 「【0051】
[電チュー処理]
図22は、遊技制御基板のCPUが実行する電チュー処理の一例を示したフローチャートである。
CPU112は、補助遊技フラグがONであるか否かの判別を行い(S511)、補助遊技フラグがONであると判別した場合は、次に電チュー23が作動中であるか否かの判定を行う(S512)。ここで、電チュー23が作動中でなければ、電チュー23の作動パターンを設定し(S513)、電チューの作動を開始する(S514)。」

(セ) 上記(ア)の【0001】の「本発明は・・・1種2種混合機と呼ばれるパチンコ機」、【0002】の「1種タイプのパチンコ遊技機・・・遊技球が始動口に入賞したときに乱数を取得し、取得した乱数に基づいて図柄変動表示器の特別図柄を変動表示・・・特別図柄が予め定められた所定図柄で停止したときに・・・1種大当たり・・・遊技に移行するように構成され」「2種タイプのパチンコ遊技機・・・一対の羽根(可動片)からなる大入賞装置・・・が遊技盤に設けられ、所定の始動口に遊技球が入賞するとソレノイドが作動して大入賞装置の羽根が1回ないし2回開閉作動する。大入賞装置の羽根は、遊技盤面を流下する遊技球を捕捉して、その内部に導くように構成され・・・入賞した遊技球が特定領域を通過すると大当たりが発生・・・2種大当たり・・・遊技を実行する。」「1種2種混合タイプのパチンコ遊技機は、上記した1種タイプと2種タイプの機能を備えたパチンコ遊技機」との記載から、
刊行物1には「遊技球が始動口に入賞した時に乱数を取得し、取得した乱数に基づいて図柄変動表示器の特別図柄を変動表示し、特別図柄が予め定められた所定図柄で停止した時に1種大当たり遊技に移行するよう構成された1種タイプのパチンコ遊技機と、一対の羽根(可動片)からなる大入賞装置が遊技盤に設けられ、所定の始動口に遊技球が入賞すると大入賞装置の羽根が開閉作動し、大入賞装置の羽根は遊技球を捕捉してその内部に導くように構成され、入賞した遊技球が特定領域を通過すると大当たりが発生し、2種大当たり遊技を実行する2種タイプの機能を備えた1種2種混合タイプのパチンコ遊技機」について記載されているものといえる。

(ソ) 上記(イ)の【0011】の「本実施形態に係るパチンコ機200は、・・・遊技盤1が取り付けられ」、【0012】の「遊技盤1の遊技領域1aの略中央には、上大入賞装置2が配置され」、【0014】の「上大入賞装置2の右側領域には、普通図柄表示器12に表示される普通図柄を作動させるためのゲート22が配置され」、「ゲート22の内部に・・・ゲートスイッチ(SW)22aが設けられ」、「ゲート22の下方には、第2特別図柄表示器11に表示される特別図柄を作動させる第2始動口として機能する電動式チューリップ(以下、「電チュー」と称する)23が配置され」「電チュー23の内部に・・・第2始動口スイッチ(SW)23aが設けられ」「電チュー23は、普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した場合に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い開状態になる」との記載から、
刊行物1には、
「遊技盤1が取り付けられ、遊技盤1の遊技領域1aの略中央に配置された上大入賞装置2の右側領域に配置された普通図柄表示器12に表示される普通図柄を作動させるためのゲート22の内部に設けられたゲートスイッチ(SW)22aと、
ゲート22の下方に配置され第2特別図柄表示器11に表示される特別図柄を作動させる第2始動口として機能する電チューであって普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した際に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い開状態になる電チューと、
電チューの内部に設けられた第2始動口スイッチ(SW)23aと、
を有するパチンコ機200」を本実施形態としていることが記載されているものといえる。

(タ) 上記(ウ)の【0015】の「遊技球がゲート22のゲートSW22a・・・の通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利」、上記(ク)の【0030】の「CPU112は、ゲート22のゲートSW22aがオンであるか否かの判別を行い、・・・ゲートSW22aがオンであると判別した場合は、・・・ゲート用の当たり乱数を取得してRAM114に格納し」との記載、上記(サ)の【0039】の「CPU112は、普通図柄の当たり乱数の判定を行い・・・、普通図柄表示器12に停止表示する停止図柄・・・を設定」、【0040】の「CPU112は・・・普通図柄が当たり図柄であるか否かの判別を行い・・・普通図柄が当たり図柄である場合は、補助遊技フラグをONにし」との記載、上記(ス)の【0051】の「CPU112は、補助遊技フラグがONであるか否かの判別を行い・・・補助遊技フラグがONであると判別した場合は、次に電チュー23が作動中であるか否かの判定を行」、「電チュー23が作動中でなければ、電チュー23の作動パターンを設定し・・・電チューの作動を開始」との記載から、
刊行物1には
「ゲート22のゲートSW22aがオンであるか否かの判別を行い、ゲートSW22aがオンであるとした場合は、遊技球がゲート22のゲートSW22aの通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利であるゲート用の当たり乱数を取得してRAM114に格納し、
普通図柄の当たり乱数の判定を行い、普通図柄表示器12に停止表示する停止図柄を設定し、
普通図柄が当たり図柄であるか否かの判別を行い普通図柄が当たり図柄である場合は、補助遊技フラグをONにし、
補助遊技フラグがONであるか否かの判別を行い補助遊技フラグがONであると判別した場合は、次に電チューが作動中であるか否かの判定を行い、電チューが作動中でなければ、電チューの作動パターンを設定し電チューの作動を開始する、CPU112」
が記載されているものといえる。

(チ) 上記(キ)の【0028】の「CPU112は、第2始動口23の第2始動口SW23aがオンであるか否かの判別を行い・・・、第2始動口SW23aがオンであると判別した場合は、・・・遊技データとして、大当たり乱数・・・を取得してRAM114に格納し」との記載、上記(i)の【0034】の「CPU112は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる大当たり乱数の判定を行い・・・大当たりであるか否かの判別を行い・・・その判定結果に基づいて・・・大当たりでないと判別した場合は、次に大当たり乱数により小当たりであるか否かの判別を行い」「大当たりと判別した場合は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる図柄乱数の判定を行い・・・、その判定結果に基づいて、・・・第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定し」「小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い・・・第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定」との記載、
上記(ウ)の【0016】の「本実施形態に係るパチンコ遊技機全体の遊技制御を行う遊技制御装置」「遊技制御装置には・・・遊技制御基板111が設けられ」「遊技制御基板111は、CPU112、ROM113、・・・を有し」「遊技制御基板111には、・・・電チュー23を開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)23b・・・が接続され」との記載、
上記(エ)の【0018】の「遊技制御基板111のROM113には、・・・特別図柄表示制御手段52、開閉ゲーム実行手段53、・・・遊技状態設定手段55等を備え」「特別図柄表示制御手段52は、・・・第2特別図柄表示器11に表示する特別図柄の変動停止等を制御」「開閉ゲーム実行手段53は、・・・第2特別図柄表示器11に所定の特別図柄が停止表示されたときに、・・・開閉ゲームとして、・・・遊技者の利益度が高い第1大当たりゲーム(第1開閉ゲーム)と、・・・第2大当たりゲーム(第2開閉ゲーム)を実行可能とされ」「開閉ゲーム実行手段53は、第1大当たりゲーム実行手段56、小当たりゲーム実行手段57、第2大当たりゲーム実行手段58を備え」との記載、
上記(エ)の【0018】の「第1大当たりゲーム実行手段56は、・・・第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、・・・第1大当たりゲームを実行」との記載、【0019】の「小当たりゲーム実行手段57は、・・・第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、・・・小当たりゲームを実行」、「第2大当たりゲーム実行手段58は、・・・小当たりゲーム中に、遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、・・・第2大当たりゲームを実行」、上記(カ)の【0023】の「大当たり時に実行される第1大当たりゲーム」、「小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲーム」との記載から、
刊行物1には、「本実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技制御装置に設けられた遊技制御基板111」に関して、
「電チューを開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)23bが接続され、
第2始動口23の第2始動口SW23aがオンであるか否かの判別を行い、第2始動口SW23aがオンであると判別した場合は、遊技データとして、大当たり乱数を取得してRAM114に格納し、
RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる大当たり乱数の判定を行い、大当たりであるか否かの判別を行い、その判定結果に基づいて大当たりでないと判別した場合は、次に大当たり乱数により小当たりであるか否かの判別を行い、
大当たりと判別した場合は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる図柄乱数の判定を行い、その判定結果に基づいて、第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定し、小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い、第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定するCPU112と、
第2特別図柄表示器11に表示する特別図柄の変動停止等を制御する特別図柄表示制御手段52と、
第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、大当たり時に実行される第1大当たりゲームを実行する第1大当たりゲーム実行手段56と、第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57と、小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、Vゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58と、を備えた開閉ゲーム実行手段53と、
を備えたROM113を有する遊技制御基板111」について記載されているといえる。

(ツ) 上記(ウ)の【0020】の「時短遊技とは、通常遊技に比べて電チュー23の開放時間を長くし・・・電チュー23に遊技球が入賞し易くしたりして、・・・した遊技である」、「遊技状態設定手段55は、当該パチンコ遊技機の遊技状態を、通常遊技状態・・・、又は・・・時短遊技状態・・・の何れかに設定する。」との記載から、
刊行物1には「当該パチンコ遊技機の遊技状態を通常遊技状態、又は通常遊技に比べて電チューの開放時間を長くし、電チューに遊技球が入賞し易くした遊技である、時短遊技状態のいずれかに設定する遊技状態設定手段55」について記載されているといえる。
さらに、上記(オ)の【0021】「通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合・・・遊技状態設定手段55は、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を・・・時短遊技状態62に設定」、「通常遊技状態61のときに第3長当たりに当選した場合・・・遊技状態設定手段55は、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定」、「時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合・・・遊技状態設定手段55は、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定」、「時短遊技状態62のときに第1長当たり又は第3長当たりに当選した場合、・・・遊技状態設定手段55は、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態を、・・・通常遊技状態61に設定する」との記載から、
刊行物1には、「遊技状態設定手段55は、通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第3長当たりに当選した場合、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定」し、「遊技状態設定手段55は、時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態を通常遊技状態61に設定する」ことが記載されているものといえる。
加えて、上記(カ)の【0023】の「大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは、第1長当たりの割合が250/250に設定されており、大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され・・・小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択され」との記載から、
刊行物1には「大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され」、「小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択され」ることが記載されているものといえる。

上記(ア)?(ス)の記載事項及び上記(セ)?(ツ)の認定事項から、刊行物1には、

「遊技球が始動口に入賞した時に乱数を取得し、取得した乱数に基づいて図柄変動表示器の特別図柄を変動表示し、特別図柄が予め定められた所定図柄で停止した時に1種大当たり遊技に移行するよう構成された1種タイプのパチンコ遊技機と、一対の羽根(可動片)からなる大入賞装置が遊技盤に設けられ、所定の始動口に遊技球が入賞すると大入賞装置の羽根が開閉作動し、大入賞装置の羽根は遊技球を捕捉してその内部に導くように構成され、入賞した遊技球が特定領域を通過すると大当たりが発生し、2種大当たり遊技を実行する2種タイプの機能を備えた1種2種混合タイプのパチンコ遊技機であって、(認定事項(セ))
遊技盤1が取り付けられ、遊技盤1の遊技領域1aの略中央に配置された上大入賞装置2の右側領域に配置された普通図柄表示器12に表示される普通図柄を作動させるためのゲート22の内部に設けられたゲートスイッチ(SW)22aと、
ゲート22の下方に配置され第2特別図柄表示器11に表示される特別図柄を作動させる第2始動口として機能する電チューであって普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した際に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い開状態になる電チューと、
電チューの内部に設けられた第2始動口スイッチ(SW)23aを有するパチンコ機200において、(認定事項(ソ))
ゲート22のゲートSW22aがオンであるか否かの判別を行い、ゲートSW22aがオンであるとした場合は、遊技球がゲート22のゲートSW22aの通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利であるゲート用の当たり乱数を取得してRAM114に格納し、
普通図柄の当たり乱数の判定を行い、普通図柄表示器12に停止表示する停止図柄を設定し、
普通図柄が当たり図柄であるか否かの判別を行い普通図柄が当たり図柄である場合は、補助遊技フラグをONにし、
補助遊技フラグがONであるか否かの判別を行い補助遊技フラグがONであると判別した場合は、次に電チューが作動中であるか否かの判定を行い、電チューが作動中でなければ、電チューの作動パターンを設定し電チューの作動を開始するCPU112と、(認定事項(タ))
電チューを開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)23bが接続され、(認定事項(チ))
第2始動口23の第2始動口SW23aがオンであるか否かの判別を行い、第2始動口SW23aがオンであると判別した場合は、遊技データとして、大当たり乱数を取得してRAM114に格納し、
RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる大当たり乱数の判定を行い、大当たりであるか否かの判別を行い、その判定結果に基づいて大当たりでないと判別した場合は、次に大当たり乱数により小当たりであるか否かの判別を行い、
大当たりと判別した場合は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる図柄乱数の判定を行い、その判定結果に基づいて、第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定し、小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い、第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定するCPU112と、(認定事項(チ))
第2特別図柄表示器11に表示する特別図柄の変動停止等を制御する特別図柄表示制御手段52と、
第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、大当たり時に実行される第1大当たりゲームを実行する第1大当たりゲーム実行手段56と、第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57と、小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、Vゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58と、を備えた開閉ゲーム実行手段53と、(認定事項(チ))
当該パチンコ機の遊技状態を通常遊技状態、又は通常遊技に比べて電チューの開放時間を長くし、電チューに遊技球が入賞し易くした遊技である、時短遊技状態のいずれかに設定する遊技状態設定手段55、(認定事項(ツ))
を備えたROM113、(認定事項(チ))
を有する遊技制御基板111が設けられたパチンコ遊技機200であって、(認定事項(チ))
遊技状態設定手段55は、通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第3長当たりに当選した場合、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定し、遊技状態設定手段55は、時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態を通常遊技状態61に設定するものであり、
大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択される、(認定事項(ツ))
パチンコ遊技機200。」

という発明(以下、刊行物1記載の発明という)が開示されていると認める。

(1-2) 刊行物2-5
(1-2-1) 刊行物2
拒絶査定時に周知文献として引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2014-18687号公報(以下、刊行物2という)には以下の事項が記載されている。

(ア) 「【0016】
[パチンコ遊技機1の概略構成例]
まず、図1を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。ここで、図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。パチンコ遊技機1は、本実施形態では、1種2種混合タイプと呼ばれるパチンコ遊技機である。」

(イ) 「【0082】
第1特別図柄判定、又は第2特別図柄判定において、1種大当たりとなった場合、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に1種大当たりを示す大当たり図柄が表示される。このときに表示された大当たり図柄の種類に応じて、異なる大当たり遊技が行われる。また、第2特別図柄表示器42において小当たり図柄が停止表示された後、V入賞口92に遊技球が入賞した場合、2種大当たりとなる。このときに表示されている小当たり図柄の種類に応じて、異なる大当たり遊技が行われる。
【0083】
具体的には、図6に示すように、大当たり図柄Aが停止表示された場合、実質16ラウンド(「R」と表記)大当たり遊技が行われ、大当たり図柄Bが停止表示された場合、実質8R大当たり遊技が行われ、大当たり図柄Cが停止表示された場合、実質4R大当たり遊技が行われる(1種大当たり)。また、大当たり遊技後の遊技状態は、大当たり図柄Aが停止表示された場合は時短遊技状態となり、大当たり図柄Bが停止表示された場合は通常遊技状態となり、大当たり図柄Cが停止表示された場合は時短遊技状態となる。さらに、図6に示すように、大当たり図柄Dが停止表示された場合、大当たり遊技後に時短遊技状態となる実質0R大当たり遊技(突然時短)が行われる。
【0084】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1には、大当たり図柄の種類として図6に示す以外の複数の図柄が用意されてもよい。
【0085】
また、小当たり図柄Aが停止表示されて2種大当たりとなった場合、小当たり遊技を含む実質15R大当たり遊技が行われる。また、小当たり図柄Bが停止表示されて2種大当たりとなった場合、小当たり遊技を含む実質8R大当たり遊技が行われる。また、小当たり図柄Cが停止表示されて2種大当たりとなった場合、小当たり遊技を含む実質4R大当たり遊技が行われる。また、大当たり遊技後の遊技状態は、小当たり図柄Aが停止表示された場合は時短遊技状態となり、小当たり図柄Bが停止表示された場合は通常遊技状態となり、小当たり図柄Cが停止表示された場合は時短遊技状態となる。」

上記(ア)?(イ)の記載事項から、刊行物2には、
「1種2種混合タイプと呼ばれるパチンコ遊技機において、第2特別図柄表示器42において、1種大当たりとなった場合、第2特別図柄表示器42に1種大当たりを示す大当たり図柄が表示され大当たり遊技が行われ、小当たり図柄が停止表示されたときに表示されている小当たり図柄の種類に応じて異なる大当たり遊技が行われ、大当たり遊技後の遊技状態は、小当たり図柄Aが停止表示された場合は時短遊技状態となり、小当たり図柄Bが停止表示された場合は通常遊技状態となる」ことが記載されている(以下、刊行物2記載の事項という)ものと認められる。

(1-2-2)
また、拒絶査定時に周知技術として引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2013-233375号公報(以下、刊行物3という)には以下の事項が記載されている。
(ア) 「【0001】
本発明は、いわゆる1種2種混合タイプと呼ばれる遊技機に関する。」

(イ) 「【0048】
本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、主に、第1特別遊技又は第2特別遊技が行われた後に、遊技状態が変更される。すなわち、特別図柄判定の結果が大当たりとなって第1特別遊技が行われた場合、その特別図柄判定の結果を示す大当たり図柄の種類に応じて、その第1特別遊技終了後の遊技状態が変更される。また、特別図柄判定の結果が小当たりとなって小当たり遊技が行われた場合、その小当たり遊技後に直接的に遊技状態が変更されることはないものの、小当たり遊技中にV入賞口92に遊技球が入賞して2種大当たりが発生すると、今回の小当たり遊技の契機となった特別図柄判定の結果を示す小当たり図柄の種類に応じて、第2特別遊技が終了した後の遊技状態が変更される。これらの遊技状態の変更については、図6に基づいてより詳細に説明する。」

上記(ア)?(イ)の記載から、刊行物3には、
「1種2種混合タイプと呼ばれる遊技機において、特別図柄判定の結果が大当たりとなって第1特別遊技が行われた場合、その特別図柄判定の結果を示す大当たり図柄の種類に応じて、その第1特別遊技終了後の遊技状態が変更され、特別図柄判定の結果が小当たりとなって小当たり遊技が行われた場合、小当たり遊技中にV入賞口92に遊技球が入賞して2種大当たりが発生すると、今回の小当たり遊技の契機となった特別図柄判定の結果を示す小当たり図柄の種類に応じて、第2特別遊技が終了した後の遊技状態が変更される。」ことが記載されている(以下、刊行物3記載の事項という)ものと認められる。

(1-2-3)
また、前置審査において周知技術として引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2013-240609号公報(以下、刊行物4という)には以下の事項が記載されている。

(ア) 「【0014】
[パチンコ遊技機1の概略構成例]
まず、図1を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。ここで、図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。パチンコ遊技機1は、本実施形態では、1種2種混合タイプと呼ばれるパチンコ遊技機である。」

(イ) 「【0055】
[擬似時短変動演出の概要]
以下、図5を参照しつつ、パチンコ遊技機1において行われる擬似時短変動演出について説明する。大当たり遊技終了後の遊技状態が時短遊技状態に設定された場合、電チューサポート機能が付与されると共に、特別図柄の変動時間が通常遊技状態のときに比べて短縮される。本実施形態では、時短遊技状態において、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」又は「ハズレ」である場合には、特別図柄の変動時間が13秒に設定され(図24(A)参照)、第2特別図柄判定の判定結果が「小当たり」である場合には、特別図柄の変動時間が2秒に設定される(図24(B)参照)。時短遊技状態における第2特別図柄判定の判定結果の大半が「小当たり」となるので、時短遊技状態では、特別図柄が2秒間変動表示されるのに伴って装飾図柄が変動表示される変動演出が多く発生することになる(図5(A)参照)。
【0056】
このように、時短遊技状態では特別図柄の変動時間が2秒に設定される場合が多いため、スピード感がある変動演出が展開される。ここで、変動演出は、特別図柄が変動表示されてから停止表示されるのに伴って、装飾図柄を変動表示させてから停止表示させる装飾図柄を用いた演出である。これに対して、通常遊技状態のときには、特別図柄の変動時間が相対的に長いため、時短遊技状態から通常遊技状態へと移行したときに変動演出に要する時間も併せて長くなるため、変動演出のスピード感が損なわれてしまうことになる。」

上記(ア)?(イ)から、刊行物4には、「1種2種混合タイプと呼ばれるパチンコ遊技機において、大当たり遊技終了後の状態が時短状態に設定された場合、特別図柄の変動時間が通常遊技状態の時に比べて短縮され、「大当たり」である場合には13秒に、「小当たり」である場合には2秒に設定される」ことが記載されている(以下、刊行物4記載の事項という)ものと認められる。

(1-2-4)
さらに、同じく前置審査において周知技術として引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2011-92352号公報(以下、刊行物5という)には以下の事項が記載されている。
(ア) 「【0001】
この発明は、旧第一種タイプ及び旧第二種タイプの複合タイプであり、左打ち及び右打ちによって遊技がおこなわれる、ぱちんこ遊技機に関する。」

(イ) 「【0061】
遊技状態設定プログラムは、当たり抽選の抽選結果に応じて、大当たり後に、時短遊技状態または通常遊技状態を設定するプログラムである。時短遊技状態は、電動チューリップ141を開放しやすくした電チューサポート機能が付加され、右打ちによって遊技がおこなわれる遊技状態である。電チューサポートとは、普通図柄の変動時間が短く設定され、さらに、普通図柄抽選の当選時における電動チューリップ141の開放時間が長く設定される機能である。また、時短遊技状態においては、特別図柄の変動時間も短く設定される。」

(ウ) 「【0175】
(短変動パターンテーブルの一例)
次に、図15を用いて、図13のステップS1308においてセットされ、変動パターン乱数判定処理(図13のステップS1303参照)において用いられる、短変動パターンテーブルについて説明する。図15は、時短遊技状態における特2保留球による小当たり時に用いられる短変動パターンテーブルの一例を示す説明図である。
【0176】
短変動パターンテーブル1500において、変動パターン1402の「Pb1」は、保留球数1401が2未満の場合に、選択されるものであり、変動時間1406が10秒になっている。変動パターン1402の「Pb2」は、保留球数1401が2以上の場合に、選択されるものであり、変動時間1406が1秒になっている。
【0177】
このように、時短遊技状態において小当たりに当選した場合、短変動パターンテーブル1500は、通常遊技状態に比べて変動時間1406を短くしている。」

上記(ア)?(ウ)から、刊行物5には、「旧第一種及び旧第二種の複合タイプであるパチンコ遊技機において、時短遊技状態においては、特別図柄の変動時間も短く設定され、時短遊技状態において小当たりに当選した場合、通常遊技状態に比べて変動時間を短くしている」ことが記載されているものと認められる。


(2)本件補正発明と刊行物1記載の発明との対比

本件補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。

(ア) 刊行物1記載の発明における「普通図柄表示器12に表示される普通図柄を作動させるためのゲート22の内部に設けられたゲートスイッチ(SW)22a」、「ゲートSW22aがオンであるとした場合は、遊技球がゲート22のゲートSW22aの通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利であるゲート用の当たり乱数を取得してRAM114に格納し、普通図柄の当たり乱数の判定を行」う「CPU112」について、遊技球がゲート22のゲートSW22aの通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させ、普通図柄の当たり乱数の判定を行うことから、これらはそれぞれ本件補正発明の「遊技球が入球可能な第1始動手段」、「前記第1始動手段への入球に基づいて第1当否判定を実行する第1当否判定手段」に相当する。
また、刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に表示される特別図柄を作動させる第2始動口として機能する電チューであって普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した際に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い状態になる電チュー」、「第2始動口23の第2始動口SW23aがオンであるか否かの判別を行い、第2始動口SW23aがオンであると判別した場合は、遊技データとして、大当たり乱数を取得してRAM114に格納し、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる大当たり乱数の判定を行い、大当たりであるか否かの判別を行い、その判定結果に基づいて大当たりでないと判別した場合は、次に大当たり乱数により小当たりであるか否かの判別を行い、大当たりと判別した場合は、RAM114の所定の処理領域に書き込まれた遊技データに含まれる図柄乱数の判定を行い、その判定結果に基づいて、第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定し、小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い、第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定するCPU112」が、それぞれ本件補正発明の「第1の態様と前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な第2始動手段」、「第2始動手段への遊技球の入球に基づいて第2当否判定を実行する第2当否判定手段」に相当する。
さらに、刊行物1記載の発明における「電チューを開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)23b」について、「第2始動口として機能する電チュー」は、「普通図柄表示器12が特定図柄にて停止した際に遊技球の入賞し難い閉状態から入賞し易い開状態になる」ものであることから、本件補正発明の「前記第1当否判定を実行することに基づいて所定結果になると、前記第2始動手段を前記第2の態様にする第2始動手段態様制御手段」に相当する。

(イ) 刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、大当たり時に実行される第1大当たりゲームを実行する第1大当たりゲーム実行手段56と、第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57と、小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58」について検討する。

(イ-1) 刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57」について、第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに実行される小当たりゲームとは、上記(ア)における「CPU112」が「小当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い、第2特別図柄表示器11にセットする小当たり図柄を設定」し、該「小当たり図柄が停止表示されたとき」実行されるゲームであるから、刊行物1記載の発明における「小当たり図柄が停止表示された」、「小当たりゲームを実行する」ことが本件補正発明の「第1特定結果になる」、「第1特定遊技を実行する」ことに相当するといえる。
そうすると、刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57」は、本件補正発明の「前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行する第1特定遊技実行手段」に相当する。

(イ-2) 刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、大当たり時に実行される第1大当たりゲームを実行する第1大当たりゲーム実行手段56」について、第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたときとは、上記(ア)における「CPU112」が「大当たりと判別した場合は、図柄乱数の判定を行い、第2特別図柄表示器11にセットする大当たり図柄を設定」し、該「大当たり図柄が停止表示されたとき」であり、本件補正発明の「前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になること」に相当する。

(イ-3) また、刊行物1記載の発明における「小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58」について、小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2のVゾーンを通過した場合とは、上記(イ-1)から、本件補正発明の「第1特定遊技の実行中に特定条件が成立すること」に相当する。

(イ-4) さらに、刊行物1記載の発明における「第1大当たりゲーム」と「第2大当たりゲーム」について、これらはいずれも大当たり時に実行されるゲームであり、この「大当たり時に実行されるゲーム」は、本件補正発明の「第2特定遊技」に相当する。

(イ-5) これらを総合すると、刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の大当たり図柄が停止表示されたとき、大当たり時に実行される第1大当たりゲームを実行する第1大当たりゲーム実行手段56」は、本件補正発明において「前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になることに基づいて第2特定遊技を実行」するものであり、刊行物1記載の発明における「小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58」は、本件補正発明の「前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になることに基づいて第2特定遊技を実行」するものであるから、刊行物1記載の発明における「第1大当たりゲーム実行手段56」と「第2大当たりゲーム実行手段58」を合わせたものは、本件補正発明における「第2特定遊技実行手段」に相当する。

(ウ) 刊行物1記載の発明における「遊技状態設定手段55」について検討する。

(ウ-1) 刊行物1記載の発明における「当該パチンコ機の遊技状態を通常遊技状態、又は通常遊技に比べて電チューの開放時間を長くし、電チューに遊技球が入賞し易くした遊技である、時短遊技状態のいずれかに設定する遊技状態設定手段55」は、遊技状態を「通常遊技状態」と、通常遊技状態よりも電チューすなわち第2始動口23に遊技球が入賞し易い「時短遊技状態」のいずれかに設定するものであり、「時短遊技状態」に比べて「通常遊技状態」は第2始動口23への入球頻度が低いといえ、かつこれら遊技状態が2つの場合、第2始動口23への入球頻度が通常遊技状態より低い状態はないことから、通常遊技状態は入球頻度が最低ということができる。
そうすると、刊行物1記載の発明における「当該パチンコ機の遊技状態を通常遊技状態、又は通常遊技に比べて電チューの開放時間を長くし、電チューに遊技球が入賞し易くした遊技である、時短遊技状態のいずれかに設定する遊技状態設定手段55」は、本件補正発明における「状態設定手段」と同様に、「第2始動手段への遊技球の入球頻度が異なる遊技状態を設定可能」であり、「前記遊技状態として、前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が最低となる第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態と、を有」するといえる。

(ウ-2) 次に、刊行物1記載の発明における「遊技状態設定手段55は、通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第3長当たりに当選した場合、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定し、遊技状態設定手段55は、時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態を通常遊技状態61に設定するものであり」、「大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択される」ことについて検討する。

(ウ-2-1) 刊行物1記載の発明における「遊技状態設定手段55」は、「大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され」ることから、通常遊技状態61のときに大当たりに当選した場合、全て第1長当たりに当選し、第1大当たりゲームの終了後の遊技状態は必ず時短遊技状態に設定されることになる。
(ウ-2-2) 一方、「小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択される」ことから、通常遊技状態のときに小当たり時にVゾーン経由の大当たりに当選した場合は、大当たりゲーム後終了後の遊技状態が時短遊技状態となる第2長当たりの割合が200/250、大当たりゲーム後終了後の遊技状態が通常遊技状態となる第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択されることから、第2大当たりゲームの終了後の遊技状態は、200/250の割合で時短遊技状態となり、50/250の割合で通常遊技状態となるといえる。
(ウ-2-3) そうすると、遊技状態設定手段55は、通常遊技状態のときに大当たりに当選した場合、大当たりゲームの終了後の遊技状態は必ず時短遊技状態に設定するのに対して、通常遊技状態のときに小当たり時にVゾーン経由の大当たりに当選した場合、大当たりゲームの終了後の遊技状態は200/250の場合だけ時短遊技状態に設定することになるが、これは本件補正発明と同様に「前記遊技状態設定手段は」「前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり」、「前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く」遊技状態を設定しているといえる。

(ウ-3) (ウ-1)(ウ-2)の通りであるから、刊行物1記載の発明における「遊技状態設定手段55」について、「当該パチンコ機の遊技状態を通常遊技状態、又は通常遊技に比べて電チューの開放時間を長くし、電チューに遊技球が入賞し易くした遊技である、時短遊技状態のいずれかに設定する遊技状態設定手段55」であって、「通常遊技状態61のときに第1長当たり或いは第2長当たりに当選した場合、第1長当たり又は第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第3長当たりに当選した場合、第3長当たりゲーム終了後の遊技状態を再度通常遊技状態61に設定し、遊技状態設定手段55は、時短遊技状態62のときに第2長当たりに当選した場合、第2長当たりゲーム終了後の遊技状態を時短遊技状態62に設定し、第1長当たり又は第3長当たり終了後の遊技状態を通常遊技状態61に設定するものであり、大当たり時に実行される第1大当たりゲームでは大当たりに当選した場合は、全て第1長当たりが選択され、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームでは、第2長当たりの割合が200/250、第3長当たりの割合が50/250に設定されており、第2長当たり又は第3長当たりの何れかが選択される」「遊技状態設定手段55」は、本件補正発明の「前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり、前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く」する「遊技状態設定手段」に相当する。

(エ) 上記(イ-1)において示したように、刊行物1記載の発明における「第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されたときに、小当たりゲームを実行する小当たりゲーム実行手段57」は、第2特別図柄表示器11に小当たり図柄が停止されたとき、本件補正発明の「前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行」するが、このとき第2特別図柄表示器11に所定の小当たり図柄が停止表示されることから、本件補正発明と同様に「前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す第2図柄が、所定の第2図柄表示部にて停止表示され」るといえる。
また、上記(イ-5)において示したように、刊行物1記載の発明における「小当たりゲーム中に遊技球が上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合は、小当たり時にVゾーン経由の大当たり時に実行される第2大当たりゲームを実行する第2大当たりゲーム実行手段58」は、本件補正発明の「前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になることに基づいて第2特定遊技を実行」し、さらに、上記(ウ-2-2)において示したように、刊行物1記載の発明において、第2大当たりゲームの終了後の遊技状態は、時短遊技状態又は通常遊技状態になることから、本件補正発明と同様に「前記第2特定遊技後の遊技状態が、前記第1遊技状態または前記第2遊技状態となる」ものといえる。
そうすると、刊行物1記載の発明は、本件補正発明と「前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す第2図柄が、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され」「当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態が、前記第1遊技状態または前記第2遊技状態となるよう構成されている」点で共通する。

(オ) 刊行物1記載の発明における「パチンコ遊技機200」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と刊行物1発明は以下の点で一致する。

(一致点)
「遊技球が入球可能な第1始動手段と、
第1の態様と前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な第2始動手段と、
前記第1始動手段への入球に基づいて第1当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球に基づいて第2当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定を実行することに基づいて所定結果になると、前記第2始動手段を前記第2の態様にする第2始動手段態様制御手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行する第1特定遊技実行手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になること、若しくは、前記第1特定遊技の実行中に特定条件が成立することに基づいて、第2特定遊技を実行する第2特定遊技実行手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が異なる遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記遊技状態として、前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が最低となる第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態と、を有し、
前記遊技状態設定手段は、前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり、
前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く、
前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す第2図柄が、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、
当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態が、前記第1遊技状態または前記第2遊技状態となるよう構成されている
ことを特徴とする遊技機。」

一方、本件補正発明と刊行物1記載の発明は以下の点で相違する。

(相違点1)
本件補正発明は、第1特定結果となることを示す第2図柄は複数種類あり、複数種類ある第2図柄のうちのいずれかが、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は「或る遊技状態である状況下において第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になる際に停止表示された第2図柄の種類に応じて」第1遊技状態となるか第2遊技状態となるかが異なるのに対して、
刊行物1記載の発明は、小当たりとなることを示す第2特別図柄表示部において停止される図柄が、複数種類あるかどうかは特定されておらず、当該小当たり遊技において上大入賞装置2内のVゾーンを通過した場合に第2大当たりゲームを実行した後の遊技状態は、第2大当たりゲームで第2長当たりまたは第3長当たりに当選したかに応じて通常遊技状態となるか時短遊技状態となるかが異なる点。

(相違点2)
第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果または第2特定結果となる場合において、本件補正発明は、「前記第1特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も前記第2特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も、前記第1遊技状態である状況下よりも前記第2遊技状態である状況下の方が相対的に短時間となるものが選択され易い」のに対して、
刊行物1記載の発明は、上記の点について特定されていない点。

(3)相違点に対する判断

ア 相違点1について

1種タイプと2種の機能を有する混合タイプと呼ばれる遊技機において、特別図柄判定の結果が小当たりとなる場合に、小当たりとなることを示す図柄のうちの何れかが図柄表示部において停止表示され、該停止表示された図柄の種類に応じて大当たり遊技後が異なることは周知技術(以下周知技術1という。例えば、上記刊行物2、3記載の事項を参照)にすぎない。
そして、刊行物1記載の発明と上記周知技術1は、いずれも「1種タイプと2種タイプの機能を有する遊技機であって、大当たりであるか否かを判定することに基づいて大当たりになると判別した場合に大当たり図柄を設定し、小当たりになる場合に小当たり図柄を設定し、大当たりゲーム後の遊技状態を大当たりの種類に応じて通常遊技状態または時短遊技状態のいずれかに設定する」点で共通するものである。
よって、刊行物1記載の発明において、大当たりゲーム後に通常遊技状態となるか時短遊技状態となるかを「第2大当たりゲームで第2長当たりまたは第3長当たりに当選したかに応じて」設定することに代えて、上記周知技術1を適用し、大当たりゲーム後に通常遊技状態となるか時短遊技状態となるかを「特別図柄判定の結果が小当たりとなる場合に、小当たりとなることを示す停止表示された図柄の種類に応じて」設定するように構成することは、当業者が適宜なし得たものである。
ここで、小当たりとなることを示す停止表示された図柄の種類に応じて、大当たりゲーム後に通常遊技状態となるか時短遊技状態となるかを設定する以上、小当たりとなることを示す停止表示された図柄は少なくとも2種類、すなわち複数種類、あることは明らかである。
以上によれば、上記周知技術1を刊行物1記載の発明に適用し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。

イ 相違点2について

1種タイプと2種タイプの機能を有する混合タイプと呼ばれる遊技機において、大当たり判定を実行することに基づいて小当たりになる場合に図柄表示部にて変動表示される時間も、大当たり判定を実行することに基づいて大当たりになる場合に図柄表示部にて変動表示される時間も、通常遊技状態よりも時短遊技状態の方が短いこともまた周知技術(以下周知技術2という。例えば刊行物4、5の上記記載を参照)にすぎない。
そして、刊行物1記載の発明と上記周知技術2は、いずれも「1種タイプと2種タイプの機能を有する遊技機であって、通常遊技状態と時短遊技状態のいずれかに設定され、特別図柄の変動停止等を制御し、大当たりであるか否かを判定することに基づいて大当たりになると判別した場合に大当たり図柄を設定し、小当たりになる場合に小当たり図柄を設定する」点で共通するものである。
よって、刊行物1記載の発明における「所定の小当たり図柄が停止表示され」る場合、及び「大当たり図柄が停止表示され」る場合について、上記周知技術2を適用し、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、刊行物1記載の発明及び周知技術1,2に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は平成29年5月22日付け審判請求書において、以下の主張を行っている。
「(4-1)本願発明と引用文献発明との対比
今回補正後の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、最初の拒絶理由時における主引用発明(同引用文献1に係る発明)と比較し、<本願構成>を備える点では共通しているが、
<相違点>「前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第2特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も、前記第1遊技状態である状況下よりも前記第2遊技状態である状況下の方が相対的に短時間となるものが選択され易い」との点、
で少なくとも相違する。
以下、これら相違点を主引用発明に組み込み本願発明とすることが本願出願時点で容易とはいえなかったと考える理由を述べる。
(4-2)本願発明の特徴
まず、本願発明では、<相違点>を採用することで、「第2遊技状態である状況下」(いわゆる電サポ状態中)においては、いわゆる小当り及び大当りの何れが発生する場合であっても、「第2始動手段への遊技球の入球」→「第2図柄の変動表示及び停止表示」→「第1特定遊技又は第2特定遊技の実行開始」という一連の遊技進行プロセスの時間短縮を図ることができる結果、「第2遊技状態である状況下」における出玉増加スピードを向上させることが可能となり、以て、遊技の興趣性を向上することができるものとなっている。
また、「第2遊技状態である状況下」において、小当り及び大当りの何れが発生する場合であっても、「第2図柄の変動表示」に関して時間短縮を行う結果、この「第2図柄の変動表示」に関する時間に基づき、その後に停止表示される「第2図柄の種類」を推測することも困難となる、という効果も期待できるものとなっている。
(4-3)引用文献発明に基づく想到困難性
他方、主引用発明である引用文献1発明においても、図柄の変動表示に関する時間を決定する手段を具備している(引用文献1の段落0035や図13に記載されている)が、<相違点>を採用することについて何ら開示も示唆もされておらず、<相違点>となる構成自体も周知技術であるとはいえないと思料する(少なくとも、拒絶査定謄本において記載頂いた周知技術を示す文献には記載されていない)。
よって、当業者であっても、主引用発明である引用文献1発明に基づき、<相違点>となる構成に想到することは困難であるといえる。
(4-4)小括
以上のように、引用文献1に係る発明に基づき、本願発明が想到容易であった旨の論理付けはできない。」

しかしながら、上記「(3)相違点に対する判断」の「イ 相違点2について」において示した通り、混合タイプと呼ばれる遊技機において大当たり判定を実行することに基づいて小当たりになる場合に図柄表示部にて変動表示される時間も、大当たり判定を実行することに基づいて大当たりになる場合に図柄表示部にて変動表示される時間も、通常遊技状態よりも時短遊技状態の方が短いことも周知技術にすぎず、そして、刊行物1記載の発明における「所定の小当たり図柄が停止表示され」る場合、及び「大当たり図柄が停止表示され」る場合について、上記周知技術2を適用し、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。

また、刊行物1記載の発明に周知技術1,2を上記(3)の相違点の判断に記載のように適用することで、本件補正発明同様の効果を奏することは当業者ならば予測し得た程度のものにすぎない。

したがって、審判請求人の主張は採用できない。

4.むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、平成28年8月5日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技球が入球可能な第1始動手段と、
第1の態様と前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な第2始動手段と、
前記第1始動手段への入球に基づいて第1当否判定を実行する第1当否判定手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球に基づいて第2当否判定を実行する第2当否判定手段と、
前記第1当否判定を実行することに基づいて所定結果になると、前記第2始動手段を前記第2の態様にする第2始動手段態様制御手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第1特定結果になると、第1特定遊技を実行する第1特定遊技実行手段と、
前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果になること、若しくは、前記第1特定遊技の実行中に特定条件が成立することに基づいて、第2特定遊技を実行する第2特定遊技実行手段と、
前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が異なる遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記遊技状態として、前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が最低となる第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記第2始動手段への遊技球の入球頻度が高い第2遊技状態と、を有し、
前記遊技状態設定手段は、前記第2特定遊技後の遊技状態を、前記第2当否判定を実行した際の遊技状態によって、所定の振分態様に基づいて設定可能であり、
前記遊技状態のうちの或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて第2特定結果となって前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態よりも前記第2遊技状態となり易く、
前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際には、前記第1特定結果となることを示す複数種類の第2図柄のうちのいずれかが、所定の第2図柄表示部にて停止表示され、或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定遊技が実行され、当該第1特定遊技において前記特定条件が成立して前記第2特定遊技が実行されることとなる場合における前記第2特定遊技後の遊技状態は、当該或る遊技状態である状況下において前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる際にて停止表示された第2図柄の種類に応じて、前記第1遊技状態となるか前記第2遊技状態となるかが異なるよう構成されている
ことを特徴とする遊技機。」

2.拒絶理由通知の概要
平成28年5月24日付け拒絶理由通知は、本願発明は、上記刊行物1である特開2011-10741号公報に基づき特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.刊行物1記載の発明、刊行物2-3記載の事項
刊行物1記載の発明、刊行物2-3記載の事項の認定は前記「第2 平成29年5月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明を特定する事項から、「前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第1特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も前記第2当否判定を実行することに基づいて前記第2特定結果になる場合において前記第2図柄が前記所定の第2図柄表示部にて変動表示される時間も、前記第1遊技状態である状況下よりも前記第2遊技状態である状況下の方が相対的に短時間となるものが選択され易い」という限定事項を削除したものである。
ここで、本願発明と刊行物1記載の発明とを対比した相違点は、上記「3.独立特許要件」の「(2)本件補正発明と刊行物1記載の発明との対比」で検討した(相違点1)と同様のものになるから、上記「3.独立特許要件」の「(3)相違点に対する判断」の「ア 相違点1について」で検討したとおり、刊行物1記載の発明及び周知技術1に基づいて本願発明とすることは、当業者ならば容易になし得たものであるといえる。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明及び周知技術1に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-30 
結審通知日 2017-12-05 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2014-26247(P2014-26247)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 川崎 優
鹿戸 俊介
発明の名称 遊技機  
代理人 伊藤 温  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ