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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08L
管理番号 1337494
審判番号 不服2017-407  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-12 
確定日 2018-02-13 
事件の表示 特願2016-26546「熱可塑性樹脂組成物製成形品」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月19日出願公開、特開2016-84482〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年2月19日に出願された特許出願である特願2010-34304号(以下、「原出願1」という。)の一部を新たな特許出願として平成26年7月3日に出願された特許出願である特願2014-137637号(以下、「原出願2」という。)の一部をさらに新たな特許出願として平成28年2月16日に出願された特許出願であって、同年8月3日付けで拒絶理由が通知され、同年9月28日に意見書が提出されたが、同年10月13日付けで拒絶査定がされ、平成29年1月12日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年2月3日付けで前置報告がされたものである。

第2 平成29年1月12日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年1月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.手続補正の内容
平成29年1月12日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、審判請求と同時にされた補正であり、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、出願当初の)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものを含むものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂10?55質量%、
(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂15?70質量%、
(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体85?30質量%、(上記(A1)成分および(A2)成分の合計が100質量%)
(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体10?40質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂10?55質量%、
(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂15?70質量%、
(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体85?30質量%、(上記(A1)成分および(A2)成分の合計が100質量%)
(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体10?40質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなり、他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用されることを特徴とする成形品。」
(下線は補正箇所を示すものである。)

2.本件補正の適否
(1)補正の目的について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、出願当初の特許請求の範囲の請求項5の記載を根拠にして、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」という記載を追加するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「成形品」をさらに限定するものであり、しかも、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、さらに検討する。

ア 本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、平成29年1月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂10?55質量%、
(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂15?70質量%、
(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体85?30質量%、(上記(A1)成分および(A2)成分の合計が100質量%)
(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体10?40質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなり、他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用されることを特徴とする成形品。」

イ 原出願1の記載事項
原出願1の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、自動車内装部品、他の部材と接触し擦れ合うこと、試験片、及び成形品に関して、以下の記載がある。なお、下線は当審において付した。

(ア)「【請求項1】
(A)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A1)、および/または、該ビニル系単量体(b)のスチレン系(共)重合体(A2)からなるスチレン系樹脂8?93質量%、
(B)オレフィン系樹脂5?90質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体2?50質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品。
【請求項2】
(B)成分のオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、またはポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物からなる請求項1記載の自動車内装部品。
【請求項3】
(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して、(D)成分として、低分子量酸化ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンから選ばれた少なくとも1種のポリエチレン系樹脂を0.1?30質量部配合してなる請求項1および2記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品。
【請求項4】
(A) 成分、(B)成分および(C)成分の合計100質量部に対して、(E)成分としてシリコーンオイルを0.1?8質量部配合してなる請求項1?3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品。
【請求項5】
自動車用ベンチレーターに使用されることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の自動車内装部品。
【請求項6】
自動車用エアコンに使用されることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の自動車内装部品。」

(イ)「【0001】
本発明は自動車内装部品に関し、更に詳しくは、他の部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させた熱可塑性樹脂組成物製自動車内装部品に関する。
【0002】
ABS樹脂は、その優れた機械的性質、耐熱性、成形性等により自動車内装部品の製造に広範囲に使用されている。
【0003】
しかし、自動車走行時の振動に伴い、ABS樹脂製自動車内装部品が該部品同士や該部品とクロロプレンゴム、ポリウレタン、天然ゴム、ポリエステルまたはポリエチレン製の内張りシート、フォームなどの他の部品と接触して擦れ合うような場合において、軋み音(擦れ音)を発生することがある。また、例えばABS樹脂製のベンチレーターには、風量を調整するためにクロロプレンゴム製フォーム等をシール材として使用したバルブシャッターが内部に装着されており、風量調整のためにバルブシャッターを回転させるとシール材とベンチレーターのケースとが互いに擦れ合う。このようにABS樹脂製自動車内装部品が他の部品と擦れ合う使用状況下でも軋み音が発生する場合がある。
【0004】
また、ABS樹脂、ASA樹脂は非晶性樹脂であるため、結晶性樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂と比較すると摩擦係数が高く、自動車内のエアコン吹き出し口やカーステレオのボタン等のように、他樹脂からなる部品と嵌合する場合に、スティックスリップ現象(非特許文献1)が発生し、異音(軋み音)が発生することもよく知られている。これらの軋み音は乗車時の快適性、静粛性を損ねる大きな原因となっており、軋み音の低減が強く望まれていた。」

(ウ)「【0006】
また、自動車内装部品に用いられる材料自体を改質する方法として、例えば、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂からなる樹脂に有機ケイ素化合物を配合する技術(特許文献1)が、またABS樹脂に難燃剤、難燃助剤およびシリコーンオイルを配合する技術( 特許文献2) が、またABS樹脂、MBS樹脂およびHIPS( ハイインパクトポリスチレン) 樹脂にシリコーンオイルを配合する技術(特許文献3)が、またABS樹脂にアルカンスルホネート系界面活性剤を配合する技術( 特許文献4) が、さらにABS樹脂にエポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる少なくとも1 種の反応基を有する変性ポリオルガノシロキサンを配合し、撥水性を高め浴室内やトイレ内の水廻り部品に使用する技術( 特許文献5) が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの方法による軋み音の低減効果は十分とはいえず、成形直後にはある程度の軋み音防止効果を示しても効果の持続性に乏しく、特に、高温下に長時間置かれた場合にはその効果が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭63-56267号公報
【特許文献2】特許第2798396号公報
【特許文献3】特許第2688619号公報
【特許文献4】特許第2659467号公報
【特許文献5】特開平10-316833号公報」

(エ)「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑み、部品が擦れ合うときに発生する軋み音が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せず維持され、さらには耐衝撃性および成形品表面外観性に優れた熱可塑性樹脂組成物からなる自動車内装部品の提供を目的とする。」

(オ)「【0015】
本発明の(A)成分であるスチレン系樹脂は、共役ジエン系ゴム質重合体(a?1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A1)、および/または、該ビニル系単量体(b)のスチレン系(共)重合体(A2)からなるスチレン系樹脂である。
本発明の(A)成分は、耐衝撃性および軋み音低減性から、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b)をグラフト重合させた重合体の少なくとも1種であるゴム強化スチレン系樹脂(A1)を含むものが好ましい。ゴム質重合体(a)の含有量は、(A)成分を100質量%として、好ましくは3?80質量%、更に好ましくは5?70質量%、特に好ましくは10?60質量%である。
本発明の(A)成分として、ゴム強化スチレン系樹脂(A1)とスチレン系(共)重合体(A2)とを併用する場合、基本的には上記ゴム質重合体(a)の含有量となるように配合すればよいが、必要に応じ、(A1)成分のゴム質重合体(a)の量を上記より高くすることができる。(A1)成分と(A2)成分との好ましい配合割合は、(A1)成分と(A2)成分とを100質量%としたとき、(A1)成分は好ましくは10?80質量%、更に好ましくは15?70質量%、(A2)成分は好ましくは90?20質量%、更に好ましくは85?30質量%である。」

(カ)「【0095】
本発明の自動車内装用部品は、他材からなる部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることが可能で、ドアトリム、ドアライニング、ピラーガーニッシュ、コンソール、ドアポケット、ベンチレータ、ダクト、エアコン、メーターバイザー、インパネアッパーガーニッシュ、インパネロアガーニッシュ、A/T インジケーター、オンオフスイッチ類(スライド部、スライドプレート)、グリルフロントデフロスター、グリルサイドデフロスター、リッドクラスター、カバーインストロアー、マスク類(マスクスイッチ、マスクラジオなど)、グローブボックス、ポケット類(ポケットデッキ、ポケットカードなど)、ステアリングホイールホーンパッド等に使用することができる。その中でも、自動車用ベンチレータおよび自動車用エアコンとして好適に用いることができ、自動車用ベンチレータの板状羽根、バルクシャッター、ルーバー等として特に好適に用いることができる。このような他の部材との嵌合部を有する部品に好適である。」

(キ)「【0096】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、実施例中において部および%は、特に断らない限り質量基準である。
【0097】
(1)評価方法:
実施例、比較例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
【0098】
(1-1)軋み音評価-1
株式会社日本製鋼所製の射出成形機「 J-100E」 (型式名)を用い、表1に記載の熱可塑性樹脂組成物およびテクノポリマー株式会社製のPC/ABS樹脂「 CK43」 (商品名)からなる、ISOダンベル試験片を230℃で射出成形した。次に、表1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるISOダンベル試験片5枚と、「 CK43」 からなるISOダンベル試験片5枚を交互に重ね合わせ、この両端を手でひねって軋み音の発生の状況を評価した。評価は5回行い、下記評価基準に基づき判定を行った。
◎:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生はなかった。
〇:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生は僅かであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
(1-2)軋み音評価-2:
上記で得た試験片を80℃のギアオーブンに400時間放置した。その試験片を用い、上記(1-1)軋み音評価-1と同じ方法で軋み音の発生状況を評価した。
【0099】
(1-3)耐衝撃性:
日精樹脂工業株式会社製の電動射出成形機「 エルジェクトNEX30」 (型式)を用い、表1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、ISO179に準拠した規定の成形品を230℃で成形し、シャルピー衝撃強さ(KJ/m^(2) )を測定した。
【0100】
(1-4)成形品表面外観性:
日精樹脂工業株式会社製の電動射出成形機「 エルジェクトNEX30」 (型式)を用い80mm×55mm×1.6mmの平板形の試験片を230℃で射出成形した。
試験片の表面を目視観察し、下記判断基準で評価した。
〇:フローマーク等の外観不良がなく良好である。
△:フローマーク等の外観不良が少しある。
×:フローマーク等の外観不良が顕著であり外観性が劣る。」

(ク)「【0106】
実施例1?18、比較例1?4
表1記載の配合割合で各構成成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX44、バレル設定温度230℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、このペレットを用いて前記方法で試験片を成形し、そして得られた試験片を用いて、前記方法で評価した。評価結果を表1に示した。
表1から明らかなように、実施例1?18で代表される本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的とする軋み音が低減され、更に、耐衝撃性と成形品表面外観性をバランスよく備えた成形品を提供する。
これに対して比較例1は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり耐衝撃性が劣る。比較例2は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、また、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、軋み音低減性(軋み音評価-1、軋み音評価-2とも)が劣り、成形品表面外観性もやや劣る。比較例3は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性が劣り、成形品表面外観性もやや劣る。比較例4は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、軋み音低減性(軋み音評価-2)、耐衝撃性および成形品表面外観性が劣る。」

(ケ)「【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の自動車内装部品は、部品が擦れ合うときに発生する軋み音が著しく低減され、且つ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せずに維持され、さらには、耐衝撃性および成形品表面外観性に優れた熱可塑性樹脂組成物からなる自動車内装部品を提供することができ、自動車用ベンチレータや自動車用エアコン等に好適に使用することができる。特に、他の部材との嵌合部を有する部品に好適に使用することができる。」

ウ 本願の出願日
原出願1の当初明細書等の摘示(ア)ないし(エ)、(カ)、(ケ)には、特許請求の範囲、技術分野、従来技術、発明が解決しようとする課題、産業上の利用可能性において、一貫して、「自動車内装部品」が記載されている。そして、原出願1の当初明細書等の摘示(イ)及び(カ)には、一貫して、他の部材と接触し擦れ合うのは「自動車内装部品」であることが記載されている。
確かに、原出願1の当初明細書等の摘示(キ)及び(ク)には、実施例において、得られた「試験片」を用いて評価試験が行われ、また、「本発明の目的とする軋み音が低減され、更に、耐衝撃性と成形品表面外観性をバランスよく備えた成形品を提供する」という記載はある。
しかしながら、上記のとおり、原出願1の当初明細書等には、一貫して、「自動車内装部品」の発明のみが記載されていること、及び、前記「試験片」及び「成形品」は、ISOに準拠した形状等を満たすものにとどまり、用途については何ら含意するものではないことに照らせば、前記「試験片」及び「成形品」は、「自動車内装部品」という用途に供されることを前提に、評価試験を行うための「試験片」及び「成形品」に過ぎないものと解するのが自然である。したがって、自動車内装部品に限定されない任意の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」「成形品」の発明は、原出願1の当初明細書等に記載されているとはいえず、また、当該「成形品」の発明は、原出願1の当初明細書等の記載から自明な事項であるということもできない。
さらに、原出願1の当初明細書等の摘示(エ)には、発明が解決しようとする課題として、「部品が擦れ合うときに発生する軋み音が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せず維持され」た「熱可塑性樹脂組成物からなる自動車内装部品の提供を目的とする」と記載され、自動車内装部品という、擦れ合うだけでなく「高温下に長時間置かれ」る部品の課題を解決することを前提としているから、使用される箇所について、「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」とのみ特定され、高温下に長時間置かれることが特定されない箇所に使用されることは、原出願1の当初明細書等に記載されておらず、また、そのような箇所に使用されることは、原出願1の当初明細書等の記載から自明な事項でもない。
そうすると、本願補正発明の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」「成形品」は、原出願1の当初明細書等に記載された、他の部材と接触し擦れ合う「自動車内装部品」には含まれず、さらに、擦れ合うだけでなく「高温下に長時間置かれ」る自動車内装部品には含まれない、任意の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」「成形品」までも含むものと解される。
よって、本願補正発明の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」「成形品」は、原出願1の当初明細書等に開示された、他の部材と接触し擦れ合い、擦れ合うだけでなく「高温下に長時間置かれ」る「自動車内装部品」という限定された技術的事項を、これらに限定されない任意の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」「成形品」へ上位概念化するものであって、新たな技術的事項を導入するものであり、原出願1の当初明細書等に実質的に記載されているとすることができない。

以上のとおりであるから、本願補正発明は、原出願1の当初明細書等に記載された事項の範囲内でないものを含むから、原出願1の出願日への、本願の出願日の遡及は認められない。一方、本願補正発明は、原出願2の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたものであり(原出願2の出願当初の特許請求の範囲の請求項1、請求項5)、原出願2の出願日への、本願の出願日の遡及は認められる。したがって、本願の出願日は、原出願2の出願日、すなわち平成26年7月3日である。

エ 請求人の主張
請求人は、平成29年1月12日提出の審判請求書において、以下のとおり主張している。
「物性を評価するための「試験片」として、本願の熱可塑性樹脂組成物の『成形品』を作成し、この成形品を用いて物性評価に供しており、その結果、[0106]において、本発明の目的とする軋み音が低減され、更に、耐衝撃性と『成形品』表面外観性をバランスよく備えた『成形品』を提供する。」と記載されています。
このことから、本願発明の当初明細書には、「軋み音を低減した成形品」、「耐衝撃性に優れた成形品」及び「成形品表面外観性に優れた成形品」が記載されていたことは明らかであります。
尚、引用文献2の特願2010-30304における「軋み音を低減した自動車内装部品」について付言しますと、本願の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の優れた物性のうち、特に軋み音の評価において優れている点に着目し、上記評価方法と同様の状況、即ち、走行中において他材からなる部品と接触し、擦れ合うことにより軋み音が発生しやすい自動車内装部品に特に有用であるとの観点から、自動車内装部品として特許取得を図ったものであって、「耐衝撃性に優れた成形品」や「成形品表面外観性に優れた成形品」を意図的に放棄又は排除している訳ではありません。
上記したように、原出願には、まず『成形品』を得て、次に、該成形品を「試験片」として用いて軋み音評価、耐衝撃性及び『成形品』表面外観性の評価を行っていることから、『成形品』についても記載されていることは明らかでありますので、この『成形品』について分割出願をしたのが本願であります。
従って、上記の“原出願の当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には、軋み音を低減した自動車内装部品については記載されていたが、それ以外の成形品についての記載は見当たらない”とのご指摘は失当であると思料します。
よって、本願発明は分割要件を満たすものであり、出願日の遡及は当然認められるべきものと思料します。
尚、上記のとおり、本願出願人は、本願出願の成形品を“他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される成形品”に限定しました。
即ち、本願明細書の実施例に記載され、軋み音評価-1、軋み音評価-2及び耐衝撃性、成形品表面外観性に記載されたとおりの成形品に限定しました。
この補正によって、本願発明が分割要件を満たすことは一層明確になったものと思料します。」

しかしながら、前記「第2 2.(2)ウ」で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用できない。

オ 引用文献の記載事項、及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2であり、本願出願日(平成26年7月3日)前に頒布された刊行物である特開2011-168186号公報(以下、「引用文献」という。)は、原出願1の公開公報であるから、前記「第2 2.(2)イ」の摘示(ア)ないし(ケ)のとおりの記載がある。
前記「第2 2.(2)イ」の摘示(ア)ないし(ケ)からみて、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「(A)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A1)、および/または、該ビニル系単量体(b)のスチレン系(共)重合体(A2)からなるスチレン系樹脂8?93質量%、
(B)オレフィン系樹脂5?90質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体2?50質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内装部品。」

カ 対比・判断
引用発明の「(A)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A1)、および/または、該ビニル系単量体(b)のスチレン系(共)重合体(A2)からなるスチレン系樹脂」は、本願補正発明の「(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂、(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂、(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体」に相当する。
引用発明の「(B)オレフィン系樹脂」及び「(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体」は、本願補正発明の「(B)オレフィン系樹脂」及び「(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体」に相当する。
引用発明の「(A)スチレン系樹脂8?93質量%、(B)オレフィン系樹脂5?90質量%、および(C)ブロック共重合体2?50質量%からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物」は、本願補正発明の「(A)スチレン系樹脂10?55質量%、(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および(C)ブロック共重合体10?40質量%からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物」に相当する。

そうすると、引用発明と本願補正発明は、以下の点で一致し、

<一致点>
「(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂10?55質量%、
(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂、
(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体
(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体10?40質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物。」

次の点で一応相違する。

<相違点1>
本願補正発明が、(A)スチレン系樹脂において、「(A1)ゴム強化スチレン系樹脂15?70質量%、(A2)スチレン系共重合体85?30質量%、(上記(A1)成分および(A2)成分の合計が100質量%)」と特定しているのに対して、引用発明は、そのような特定が明記されていない点。

<相違点2>
本願補正発明が「熱可塑性樹脂組成物からなり、他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される成形品」と特定しているのに対して、引用発明では、「熱可塑性樹脂組成物からなる自動車内装部品」と特定している点。

相違点1について検討する。
前記「第2 2.(2)イ」の摘示(オ)には、引用文献の(A)成分において、「(A1)成分と(A2)成分との好ましい配合割合は、(A1)成分と(A2)成分とを100質量%としたとき、(A1)成分は好ましくは10?80質量%、更に好ましくは15?70質量%、(A2)成分は好ましくは90?20質量%、更に好ましくは85?30質量%である。」と記載されていることから、引用発明の(A)成分において、「(A1)成分と(A2)成分とを100質量%としたとき、(A1)成分は10?80質量%、(A2)成分は90?20質量%」であるといえるので、この点は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明の(A)成分において、前記「第2 2.(2)イ」の摘示(オ)に基づいて、(A1)成分と(A2)成分との配合割合を設定することは、当業者にとって格別困難なことではないし、また、本願補正発明の効果は、引用文献の記載事項から予測し得る範囲内のものである。

相違点2について検討する。
本願補正発明の「成形品」についてみると、本願明細書の段落【0095】には、本願補正発明の「成形品」は、「自動車用ベンチレータ」及び「自動車用エアコン」として好適に用いることができると記載されており、前記「第2 2.(2)イ」の摘示(ア)及び(カ)には、同様に、引用発明の「自動車内装部品」も、「自動車用ベンチレータ」及び「自動車用エアコン」として好適に用いることができると記載されているから、その実施の態様においてみれば、引用発明の「自動車内装部品」は、本願補正発明の「成形品」と重複していて、実質的な差異があるとすることはできない。
また、引用発明の「自動車内装部品」を上位概念化して、「成形品」とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。
次に、本願補正発明の「他の部材と接触し擦れ合う箇所に使用される」ことについては、前記「第2 2.(2)イ」の摘示(イ)には、引用文献の「自動車内装部品」が「他の部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させた」ものであることが記載されているから、引用文献の「自動車内装部品」も「他の部品と接触し、擦れ合う」箇所に使用されるものであるといえる。

よって、本願補正発明は、引用発明、すなわち引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。仮にそうでないとしても、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

キ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。仮にそうでないとしても、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(A)下記の(A1)および(A2)からなるスチレン系樹脂10?55質量%、
(A1)共役ジエン系ゴム質重合体(a-1)および/またはアクリル系ゴム質重合体(a-2)からなるゴム質重合体(a)存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂15?70質量%、
(A2)芳香族ビニル化合物および該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなるビニル系単量体(b)を重合してなるスチレン系共重合体85?30質量%、(上記(A1)成分および(A2)成分の合計が100質量%)
(B)オレフィン系樹脂30?80質量%、および
(C)芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のブロック共重合体10?40質量%、
からなり、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計が100質量%である熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(その2)
・請求項1-6
・引用文献等
2(特に、特許請求の範囲、[0001]-[0108]、実施例参照)

<引用文献等一覧>
2.特開2011-168186号公報」
というものを含むものである。

3.当審の判断
(1)引用文献の記載事項等
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2の記載事項及び引用発明は、前記「第2 2.(2)イ、オ」のとおりである。

(2)本願発明と引用発明との対比・判断
前記「第2 2.(1)」で検討したように、本願補正発明は本願発明の発明特定事項に限定を加えたものである。そして、前記「第2 2.(2)」で検討したとおり、本願発明を減縮したものである本願補正発明が、引用発明、すなわち引用文献に記載された発明であるから、減縮前の本願発明も、引用文献に記載された発明である。仮にそうでないとしても、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明、すなわち出願当初の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。仮にそうでないとしても、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-30 
結審通知日 2017-12-05 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2016-26546(P2016-26546)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C08L)
P 1 8・ 113- Z (C08L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕介安田 周史  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 小柳 健悟
西山 義之
発明の名称 熱可塑性樹脂組成物製成形品  
代理人 伊丹 健次  

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