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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G |
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管理番号 | 1337559 |
審判番号 | 不服2017-8258 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-07 |
確定日 | 2018-03-06 |
事件の表示 | 特願2014-247096「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-109864、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年12月5日の出願であって、平成28年12月27日付けで手続補正がされ、平成29年3月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年3月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 請求項 :1?8 引用文献1:特開2006-243657号公報 引用文献2:特開2005-99153号公報 引用文献3:特開2013-195559号公報(周知技術) 第3 本願発明 本願請求項1乃至8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明8」という。)は、平成28年12月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「像担持体と、 前記像担持体上の潜像を現像するための現像剤を該像担持体に供給する現像装置と、 現像された潜像を前記像担持体から転写媒体に転写する転写手段と、 転写後に前記像担持体上に残った現像剤を該像担持体から取り除くブレードと、 前記転写手段の下流側であって前記ブレードの上流側に位置し、転写後に前記像担持体上に残った現像剤の一部を一時的に蓄える貯留手段と、 各部を制御する制御手段と、 を備え、 前記制御手段は、印刷媒体の単位面積当たりに形成される画像の面積の比率である画像密度が所定値よりも低くなった時から所定時間経過後に、前記貯留手段に一時的に蓄えられた現像剤を該貯留手段から前記像担持体上に放出させること、 を特徴する画像形成装置。」 なお、本願発明2乃至12の概要は以下のとおりである。 本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明3は、本願発明1または2を減縮した発明である。 本願発明4は、本願発明1乃至3のいずれかを減縮した発明である。 本願発明5は、本願発明1乃至4のいずれかを減縮した発明である。 本願発明6は、本願発明1乃至4のいずれかを減縮した発明である。 本願発明7は、本願発明1乃至6のいずれかを減縮した発明である。 本願発明8は、本願発明1乃至7のいずれかを減縮した発明である。 第4 引用文献等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前である平成18年9月14日に頒布された刊行物である特開2006-243657号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 2つ以上の画像形成ユニットと、前記2つ以上の画像形成ユニットを、回転方向に沿って外周面側に配置した中間転写体と、を含み、 前記画像形成ユニットが、前記中間転写体外周面と当接して1次転写部を形成する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、 前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットと、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面に、前記トナー像を記録媒体に転写する2次転写部が設けられた画像形成装置を用いて単色画像を形成する画像形成方法において、 前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、 前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、潤滑用トナーを供給することを特徴とする画像形成方法。 … 【請求項3】 前記単色画像の形成を、請求項1または2に記載の画像形成方法を利用して行う画像形成装置であって、 前記単色画像の形成に際して、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、前記中間転写体外周面を介して前記潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 … 【請求項5】 前記2次転写部と、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面側に、2次転写後の前記中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニングし、回収・蓄積するクリーニング装置を備えた請求項3または4に記載の画像形成装置であって、 前記潤滑用トナーが、前記クリーニング装置から供給されることを特徴とする画像形成装置。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子写真法を利用して画像を形成する画像形成方法およびこれを用いた画像形成装置に関するものである。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0016】 しかしながら、単色画像作成時に中間転写ベルトと感光体とを物理的に離間させるリトラクト機構は、構成が複雑である。このため、タンデム機の大型化やコスト高を招く。さらに、中間転写ベルトと感光体とを物理的に離間させるという動作は、色ずれ補正や、転写パラメータの設定が難しくなるという問題点を有している。 また、画像形成に寄与していない画像形成ユニットにおいても強制的に感光体にトナー像を形成する技術は、画像形成以外の目的でトナーを浪費してしまうという問題もある。このため、結果として、トナーの補給/トナーカートリッジの交換が早期に必要になる。 【0017】 本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費も抑制できる画像形成方法を提供することを課題とする。 また、本発明は、タンデム型の画像形成装置において単色画像を形成する場合に、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力の増大に起因する騒音や、感光体の寿命の短命化を防止できると共に、画像形成に用いるトナーの浪費の抑制およびリトラクト機構を備えた従来のタンデム型の画像形成装置よりも構成が簡易な画像形成装置を提供することを課題とする。」 (4)「【0054】 画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、トナー像を担持させる像担持体としての感光体12、感光体12を帯電させる帯電ロール(帯電器)13、帯電ロール13によって帯電され、ROS30(図2中、不図示)からのレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)によって感光体12上に形成された静電潜像を現像ロール14aによって現像する現像器14、中間転写ベルト21を挟んで感光体12に対向して設けられ、感光体12上に現像されたトナー像を中間転写ベルト21上に転写する一次転写ロール15、転写後に感光体12上に残った残留トナーを除去するために、感光体と当接するように配置されたクリーニングブレードを備えたクリーニング装置16を備えている。」 (5)「【0063】 次に、クリーニング装置25から中間転写ベルト21外周面に供給された廃トナーを画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12表面へと転写(逆転写)させる。この逆転写は、1次転写時に対して感光体12と中間転写ベルト21外周面との間に逆極性の電圧を印加したり、印加電圧の大きさを変えて感光体12と一次転写部材間の電位勾配の傾きを逆にすることにより行うことができる。 このようなクリーニング装置25から中間転写ベルト21を介して感光体12表面へと廃トナーを潤滑用トナーとして供給する一連の動作は、単色画像形成時に、常時実施する方式であってもよいが、間欠的に実施する方式(以下、「間欠供給方式」と称す場合がある)であってもよい。 後者の場合、例えば、3つの画像形成ユニット11Y,11M,11Cの感光体12表面とクリーニング装置16のクリーニングブレードとの間の摩擦力が、単色画像形成開始時から所定のレベル以上に増大するまでの時間を画像形成パターンや単色画像の連続プリント枚数、温度湿度環境などから推算し、これに基づいて、潤滑用トナーの供給を自動的に行うように制御してもよい。 なお、騒音(鳴き)が聞こえ始めたら、潤滑用トナーの供給動作を行うためのボタンを押して手動で供給できるような手動モードを設けてもよい。」 (6)「【実施例】 【0066】 (実施例1) -画像形成装置- 図1に示す画像形成装置と同様の構成を有するタンデム型の画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Center a450)を用い、現像剤に含まれるトナーは負帯電トナーを用いた。但し、この装置は、白黒画像形成時に、クリーニング装置25からイエロー、マゼンタ、シアンの各画像形成ユニットへの潤滑用トナーの供給が行えるように改造したものである。 ここで、潤滑用トナー(廃トナー)の供給は、積算プリント枚数が所定枚毎に実施される間欠供給方式であり、3つの画像形成ユニットに対する潤滑用トナー(廃トナー)の供給は時間差供給方式であり、間欠供給のタイミングや、時間差供給のタイミングは、所望条件で実施できるように設定可能である。 なお、クリーニング装置25は、潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時は、クリーニングブレード25bの先端部が、中間転写ベルト21外周面から離間する退避機構が設けられている。 また、潤滑用トナー(廃トナー)の供給モード時の、クリーニング装置25の稼働条件、および、1次転写部における逆転写条件は以下のように設定した。」 (7)上記(1)及び(4)より、中間転写体は中間転写ベルト21を指し、静電潜像担持体は感光体12を指すものである。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「2つ以上の画像形成ユニットと、前記2つ以上の画像形成ユニットを、回転方向に沿って外周面側に配置した中間転写体と、を含み、 前記画像形成ユニットが、前記中間転写体外周面と当接して1次転写部を形成する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、中間転写体を挟んで静電潜像担持体に対向して設けられ、静電潜像担持体上に現像されたトナー像を中間転写体上に転写する一次転写ロールと、前記トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードを少なくとも備えたクリーニング手段とを含み、 前記中間転写体の回転方向最下流側に配置された画像形成ユニットと、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面に、前記トナー像を記録媒体に転写する2次転写部が設けられた画像形成装置を用いて単色画像を形成する画像形成方法を利用して行う画像形成装置において、 前記単色画像の形成が、前記2つ以上の画像形成ユニットのうち、いずれか1つの画像形成ユニットのみによりトナー像を形成するプロセスを少なくとも経て行われる際に、 前記単色画像の形成に際して、前記いずれか1つの画像形成ユニット以外の全ての画像形成ユニットの静電潜像担持体表面に、前記中間転写体外周面を介して前記潤滑用トナーを供給するトナー供給手段を備え、 前記2次転写部と、前記中間転写体の回転方向最上流側に配置された画像形成ユニットとの間の前記中間転写体外周面側に、2次転写後の前記中間転写体外周面に残留するトナーをクリーニングし、回収・蓄積するクリーニング装置を備え、 前記潤滑用トナーが、前記クリーニング装置から供給される画像形成装置。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前である平成17年4月14日に頒布された刊行物である特開2005-99153号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を転写材表面に転写する転写手段と転写後の像担持体の表面を清掃するクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、 前記画像形成装置は、入力された画像信号を数値処理して、予め設定された主走査方向(感光体長手方向)のブロック毎の画像面積率を検知する画像面積検知手段を設けた ことを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 請求項1に記載の画像形成装置において、 前記画像形成装置は、画像面積検知手段によるブロック毎の画像面積率の検知結果と予め定められる基準面積との比較結果に基づいて、 前記像担持体表面に所定量のトナーを付着させるよう制御する制御手段とを設けた ことを特徴とする画像形成装置。 … 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、 像担持体と、少なくとも現像手段、帯電手段、クリーニング手段の中から選択される1以上の手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジを備える ことを特徴とする画像形成装置。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式による画像形成装置に関する。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、感光体表面を効率的に研摩して感光体寿命を低下させることなく、感光体表面に付着した帯電生成物及び添加物を除去し、しかも構成も簡単で安価な画像形成装置を提供することを課題とする。 」 (4)「【0016】 ここでは、画像形成装置100全体の制御をつかさどる制御部には、CPUが設けられている。CPU内部には画素数カウンタが配されており、例えば、図3に示すように、主走査方向に6分割されたA?Fブロック毎に感光体1上に書き込まれるドット数をカウントする。また、CPU内部には感光体1回転時間カウンタも配されており、感光体1の回転時間をカウントすることができる。画像形成動作が開始すると、感光体回転時間カウンタが動作し感光体回転時間をカウントする。同時に、画素数カウントを開始し画素数をカウントする。画像形成終了時にこれらのカウント数を基にA?Fのブロック毎の画像面積率を計算する。所定の画像面積率以下であったブロックでは、トナー消費パターンの静電潜像を感光体上に形成し、現像装置4によりトナーを付着させ、クリーニング装置8に強制的にトナーを入力させる。これによって、クリーニング8装置に配置されているクリーニングブレード8aと感光体1との間に供給されたトナーが、クリーニングブレード8aで感光体1に押圧され、感光体1を研摩する。これにより、感光体1表面に付着した帯電生成物および感光体上に埋め込まれたトナーの添加剤を除去することができる。 また、本発明は転写ベルト方式の転写手段を用いているが、このように感光体1と接触する転写手段では、トナー消費パターンを付着させるタイミングでは転写手段を回避させるようにする。」 したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を転写材表面に転写する転写手段と転写後の像担持体の表面を清掃するクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、 前記画像形成装置は、入力された画像信号を数値処理して、予め設定された主走査方向(感光体長手方向)のブロック毎の画像面積率を検知する画像面積検知手段を設け、 前記画像形成装置は、画像面積検知手段によるブロック毎の画像面積率の検知結果と予め定められる基準面積との比較結果に基づいて、 前記像担持体表面に所定量のトナーを付着させるよう制御する制御手段とを設け、 像担持体と、少なくとも現像手段、帯電手段、クリーニング手段の中から選択される1以上の手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジを備える 画像形成装置。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前である平成25年9月30日に頒布された刊行物である特開2013-195559号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 所定の極性に帯電したトナーにより回転する転写体の外周面に形成されたトナー像を、前記転写体に回転接触することで被転写媒体に転写する転写手段と、 前記転写手段に転写されたトナーを除去するために、前記所定の極性及び前記所定の極性と逆の極性の電圧が印加される複数のクリーニング部を有するクリーニング手段と、 前記クリーニング手段から前記転写手段の回転方向下流側に配置され、前記転写手段に残留するトナーを、前記所定の極性に帯電する帯電手段と、 を備えることを特徴とする転写装置。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、転写装置および画像形成装置に関する。」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、画像安定化制御等のためにトナーを大量に感光体ドラムに供給する時、クリーニング装置によって、完全に残留トナーを除去することができない場合がある。このような場合、クリーニング装置によって除去しきれなかった残留トナーについて、上記特許文献1に記載の技術は、全く考慮していない。したがって、上記特許文献1に記載の技術では、クリーニング装置をすり抜けて除去されなかった残留トナーが像担持体上に残る場合、その後の画像形成処理時に用紙の裏面に付着して、クリーニング不良の汚れとして用紙上に現れてしまう。」 (4)「【0031】 クリーニング用帯電装置45は、クリーニング装置40のクリーニングブラシによって除去されずにすり抜けた残留トナーを帯電する。具体的には、帯電手段としてのクリーニング用帯電装置45は、たとえば、スコロトロンタイプ等のコロナ放電極を備え、当該電極に所定電圧を印加して生成されるイオンにより、残留トナーを帯電する。また、クリーニング用帯電装置45を二次転写ベルト31に対して非接触に配置することによって、剥 離放電を回避して、効率的に残留トナーを帯電することができる。なお、クリーニング用帯電装置45に印加される、残留トナーを帯電するための帯電電圧量等については後述する。」 したがって、上記引用文献3には次の事項(以下、「引用発明3記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「所定の極性に帯電したトナーにより回転する転写体の外周面に形成されたトナー像を、前記転写体に回転接触することで被転写媒体に転写する転写手段と、 前記転写手段に転写されたトナーを除去するために、前記所定の極性及び前記所定の極性と逆の極性の電圧が印加される複数のクリーニング部を有するクリーニング手段と、 前記クリーニング手段から前記転写手段の回転方向下流側に配置され、前記転写手段に残留するトナーを、前記所定の極性に帯電する帯電手段と、 を備える転写装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、 ア 後者の「静電潜像担持体」、「静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段」、「中間転写体を挟んで静電潜像担持体に対向して設けられ、静電潜像担持体上に現像されたトナー像を中間転写体上に転写する一次転写ロール」、「トナー像を前記中間転写体外周面に1次転写した後の前記静電潜像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレード」、及び「画像形成装置」は、それぞれ、前者の「像担持体」、「前記像担持体上の潜像を現像するための現像剤を該像担持体に供給する現像装置」、「現像された潜像を前記像担持体から転写媒体に転写する転写手段」、「転写後に前記像担持体上に残った現像剤を該像担持体から取り除くブレード」、及び「画像形成装置」に相当する。 したがって、両者は、 「像担持体と、 前記像担持体上の潜像を現像するための現像剤を該像担持体に供給する現像装置と、 現像された潜像を前記像担持体から転写媒体に転写する転写手段と、 転写後に前記像担持体上に残った現像剤を該像担持体から取り除くブレードと、を備えた画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願発明1が、「前記転写手段の下流側であって前記ブレードの上流側に位置し、転写後に前記像担持体上に残った現像剤の一部を一時的に蓄える貯留手段と、各部を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、印刷媒体の単位面積当たりに形成される画像の面積の比率である画像密度が所定値よりも低くなった時から所定時間経過後に、前記貯留手段に一時的に蓄えられた現像剤を該貯留手段から前記像担持体上に放出させる」ものであるのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 引用発明2の「入力された画像信号を数値処理して、予め設定された主走査方向(感光体長手方向)のブロック毎の画像面積率」は、本願発明1の「印刷媒体の単位面積当たりに形成される画像の面積の比率である画像密度」に相当する。 しかし、上記相違点に係る本願発明の「転写手段の下流側であって前記ブレードの上流側に位置し、転写後に前記像担持体上に残った現像剤の一部を一時的に蓄える貯留手段と、各部を制御する制御手段と、を備え、制御手段は」、「(印刷媒体の単位面積当たりに形成される画像の面積の比率である画像密度が所定値よりも低くなった時から)所定時間経過後に、前記貯留手段に一時的に蓄えられた現像剤を該貯留手段から前記像担持体上に放出させる」の点は、原査定の拒絶の理由で引用された引用発明2に、記載も示唆もされていない。 また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(「引用発明3記載の技術事項」)にも、記載も示唆もされていない。 また、上記相違点に係る本願発明1における発明特定事項が設計的事項といえる理由もない。 そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の構成を採用することにより、「ブレードがめくれることを抑制することができる画像形成装置を提供することである。」(本願明細書【0006】参照。)という効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用発明2、及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2乃至8について 本願発明2乃至8も、本願発明1の「前記転写手段の下流側であって前記ブレードの上流側に位置し、転写後に前記像担持体上に残った現像剤の一部を一時的に蓄える貯留手段と、各部を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、印刷媒体の単位面積当たりに形成される画像の面積の比率である画像密度が所定値よりも低くなった時から所定時間経過後に、前記貯留手段に一時的に蓄えられた現像剤を該貯留手段から前記像担持体上に放出させる」画像形成装置、を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1乃至8は、当業者が引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-02-22 |
出願番号 | 特願2014-247096(P2014-247096) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G03G)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岡▲崎▼ 輝雄 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 吉村 尚 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所 |