• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1337603
審判番号 不服2017-5911  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-25 
確定日 2018-03-06 
事件の表示 特願2013-272955「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 9日出願公開、特開2015-128005、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月27日の出願であって、平成28年9月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年2月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。発送日:同年2月7日)され、これに対し、平成29年4月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1ないし3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項4、5、7及び8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1ないし4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1 特開2012-104448号公報
2 特開平11-233203号公報
3 実願昭56-48879号(実開昭57-161874号)のマイクロフィルム
4 特開2012-64505号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、平成29年4月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
他のコネクタと接続されるコネクタにおいて、
他のコネクタに設けられた他の接続端子と接続する接続端子と、
固定接点と、
可動板部に設けられた可動接点と、
前記他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部と、
スライドする前記スライド部によって押下されるボタンと、
前記ボタンの押下により動作し、前記可動板部を動作させるカードと、
を有し、
前記他のコネクタと前記コネクタとが接続される際、前記他のコネクタにより前記スライド部が押されてスライドして前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して前記固定接点と前記可動接点とが接触することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
他のコネクタと接続されるコネクタにおいて、
他のコネクタに設けられた他の接続端子と接続する接続端子と、
固定接点と、
可動板部に設けられた可動接点と、
前記他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部と、
スライドする前記スライド部によって押下されるボタンと、
前記ボタンの押下により動作し、前記可動板部を動作させるカードと、
を有し、
前記他のコネクタと前記コネクタとが接続される際、前記他のコネクタにより前記スライド部が押されてスライドして前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して前記固定接点と前記可動接点とが接触するものであって、
前記スライド部を付勢するバネを更に有し、
前記他のコネクタが前記コネクタから取り外された際、前記スライド部は前記バネの付勢力によって元の位置に復帰することを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
他のコネクタと接続されるコネクタにおいて、
他のコネクタに設けられた他の接続端子と接続する接続端子と、
固定接点と、
可動板部に設けられた可動接点と、
前記他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部と、
スライドする前記スライド部によって押下されるボタンと、
前記ボタンの押下により動作し、前記可動板部を動作させるカードと、
を有し、
前記他のコネクタと前記コネクタとが接続される際、前記他のコネクタにより前記スライド部が押されてスライドして前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して前記固定接点と前記可動接点とが接触するものであって、
前記ボタンを上方に付勢する第2のバネを更に有し、
前記スライド部と前記ボタンとの接触状態が解除された際、前記ボタンが前記第2のバネの付勢力によって上方に付勢され、前記カードが移動して前記可動接点が前記固定接点から離れることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
前記スライド部は、前記他のコネクタと接触する傾斜部を有し、
前記他のコネクタが前記コネクタに接続される際、前記他のコネクタにより前記傾斜部が押され前記スライド部がスライドすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記スライド部は、突起部を有し、
前記ボタンは、前記突起部と接触する第2の傾斜部を有し、
前記第2の傾斜部が前記突起部により押されることにより、前記ボタンが押下されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
他のコネクタと接続されるコネクタにおいて、
他のコネクタに設けられた他の接続端子と接続する接続端子と、
固定接点と、
可動板部に設けられた可動接点と、
前記他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部と、
スライドする前記スライド部によって押下されるボタンと、
前記ボタンの押下により動作し、前記可動板部を動作させるカードと、
を有し、
前記他のコネクタと前記コネクタとが接続される際、前記他のコネクタにより前記スライド部が押されてスライドして前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して前記固定接点と前記可動接点とが接触するものであって、
前記スライド部は、突起部を有し、
前記ボタンは、前記突起部と接触する第2の傾斜部を有し、
前記第2の傾斜部が前記突起部により押されることにより、前記ボタンが押下されるものであって、
前記スライド部は、前記突起部から前記他のコネクタにより押された際のスライド方向に延びる張出部を更に有し、
前記ボタンは、前記張出部に対応する位置に設けられ、前記第2の傾斜部よりも傾斜の急な第3の傾斜部を更に有することを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
前記コネクタは、ジャックコネクタであって、
前記接続端子は、ジャック端子であって、
前記他のコネクタは、プラグコネクタであって、
前記他の接続端子は、プラグ端子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のコネクタと、
前記他のコネクタと、
を有することを特徴とするコネクタ。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-104448号公報)には、「コネクタ及びスイッチ」に関し、図面(特に、図9、図12?15、図25、26等参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
他のコネクタにおける他の接続端子と接続される接続端子と、
固定接点と、
可動板部の一方の端部に設けられた可動接点と、
絶縁体により形成されており、前記可動板部と接触するカードと、
前記カードと接触するボタンと、
前記ボタンに接続された開離バネと、
前記固定接点と前記可動接点との接触を制御するためのスライド操作部と、
を有し、
前記固定接点または前記可動接点のうち、いずれか一方は前記接続端子と接続されているものであって、
前記スライド操作部を一方の方向に移動させることにより、前記ボタンが押下され、前記カードを介して前記可動板部が動き、前記固定接点と前記可動接点とが接触することによりオン状態となり、
前記開離バネは、前記オン状態より前記固定接点と前記可動接点との接触を離す方向に復元力が働くものであって、
前記スライド操作部を前記一方の方向とは反対方向である他方の方向に移動させることによって、前記開離バネの復元力により前記固定接点と前記可動接点との接触が離れ、オフ状態となることを特徴とするコネクタ。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

イ 「【0038】
次に、図6から図8に基づき本実施の形態におけるコネクタについて説明する。尚、図6は、本実施の形態におけるコネクタの斜視図であり、図7は正面図であり、図8は側面図である。本実施の形態におけるコネクタは、全体が筐体50に覆われており、プラグコネクタ200におけるプラグ端子221、222、223が挿入されるジャック開口部21、22、23と、プラグコネクタ200における保護部211が挿入される溝部31と、プラグコネクタ200と本実施の形態におけるコネクタとが接続されている状態で、電力を供給するか否かの制御を行なうためのスライド操作部40が設けられている。スライド操作部40は、「ON」の位置または「OFF」の位置となるように、スライドさせることが可能であり、スライド操作部40をスライドさせることにより、コネクタを介し、電力を供給するか否かの制御を行なうことができる。
【0039】
より詳細に図9に基づき本実施の形態におけるコネクタの内部構造について説明する。図9は、本実施の形態におけるコネクタの内部構造を示す断面図である。本実施の形態におけるコネクタは、スライド操作部40におけるスライド操作上部40aが筐体50に設けられた開口より外側に飛び出た形状となっており、筐体50の外側よりスライド操作上部40aを矢印Aで示されるスライド方向に移動させることにより、筐体50の内部におけるスイッチ部100において、電気的な接続を行なうか否かの操作を行なうことができる。
【0040】
スライド操作部40は筐体50にスライド操作本体部40bを有しており、スライド操作本体部40bは、スライドリンク部41と接続されている。スライドリンク部41は、矢印Aで示されるスライド方向と略平行に動作するものであって、L字状の形成されており、L字状の一方の端は、コンタクトスライド部42のコンタクトスライド開口部42a内に入り込んだ構造となっている。このコンタクトスライド開口部42aは、スライドリンク部41の移動方向、即ち、矢印Aで示されるスライド方向に沿った細長い形状で形成されている。また、後述するように、コンタクトスライド部42には、矢印Aで示されるスライド方向に対し略垂直方向に伸びるコンタクトスライド接触部が設けられており、コンタクトスライド接触部の先端は、スイッチ部100におけるボタン160の上面に接触している。
【0041】
(スイッチ部)
次に、スイッチ部100について説明する。本実施の形態におけるコネクタのスイッチ部100は、電力の供給の制御を行なうためのスイッチであって、電源スイッチとも称される。図10にスイッチ部100の斜視図を示し、図11にスイッチ部100の内部構造図を示す。図11に示されるように、スイッチ部100は、固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121とが接触するか否かにより、電源の供給のオン、オフの制御を行なうことができるものである。」(【0038】ないし【0041】)

ウ 「【0046】
スイッチ部ケース150の外部には、回転軸143を中心にカード140を回転させるために、押下されるボタン160が設けられており、カード140は、カード140における突起部144の上部に設けられた接触部144aにおいて、ボタン160の内壁部161と接触している。尚、接触部144aは、内壁部161の表面を摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために内壁部161の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。また、スイッチ部ケース150の外部には、一方の端部がスイッチ部ケース150に接続され、他方の端部がボタン160に接続された開離バネ170が設けられている。
【0047】
(スイッチ部におけるオン、オフ動作)
スイッチ部100において、スイッチをオンにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、ボタン160を押下し、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転する。これにより、上部接触部141を介し可動部120における可動板部122に下方向に力が加えられ、可動接点121と固定接点111とが接触する。この状態を図12に示す。尚、後述するように、スイッチ部100において、この状態はコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部により維持されるため、可動接点121と固定接点111との接触が維持され、電源から電力が供給される。」(【0046】及び【0047】)

エ 「【0053】
(コネクタにおけるオン、オフ動作)
次に、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフ動作について説明する。本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200とが接続されている状態において、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフの制御を行なうことにより、スイッチ部100のオン、オフを行なうことができ、電源等からの電力の供給の制御を行なうことができる。
【0054】
最初に、図13に示されるように本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200とが接続されていない状態から、図14に示されるように、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200とを接続する。この状態では、本実施の形態におけるコネクタのスライド操作部40のスライド操作上部40aが「OFF」の位置のままでありオフ状態にあるため、電気的には接続はされておらず、コネクタを介し電力等が供給されることはない。次に、図15に示されるように、本実施の形態におけるコネクタのスライド操作部40のスライド操作上部40aを「ON」の位置までスライドさせてON状態にする。これにより本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200とが電気的に接続されコネクタを介し電力等が供給される。以下、本実施の形態におけるコネクタにおいて、図14に示すオフ状態から図15に示すオン状態になるまでの状況をより詳しく説明する。
【0055】
次に、図14に示されるオフ状態について、図16から図20に基づき説明する。図16は、オフ状態における本実施の形態におけるコネクタの側面側から見た内部構造図であり、図17は、正面側から見た内部構造図であり、図18は、内部構造の要部の斜視図であり、図19は、機構部分の要部の斜視図であり、図20は、内部構造の要部の側面図である。オフ状態においては、スライド操作上部40aが「OFF」の位置にあるため、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド開口部42aの左側に、L字状に形成されたスライドリンク部41の一方が接触している状態となっている。また、トーションバネ43の一方は筐体50の一部に接続されており、他方はスライド操作部40に接続されている。また、図21に示されるように、コンタクトスライド部42には、矢印Aに示されるスライド方向に対し略垂直方向に伸びるコンタクトスライド接触部42b設けられており、スイッチ部160の上面に設けられた溝の下段部163において、コンタクトスライド接触部42bの先端が接触している。
【0056】
尚、本実施の形態におけるコネクタのジャック開口部21、22、23の内部には、プラグ端子221、222、223と電気的に接続されるジャック端子61、62、63が設けられており、前述したスイッチ部100には、固定部110及び可動部120はジャック端子62及び63に対応して2対設けられている。即ち、ジャック端子62は、一方の1対の固定部110または可動部120のいずれか一方に接続されており、他方は不図示の電源供給源に接続されている。また、ジャック端子63は、他方の1対の固定部110または可動部120のいずれか一方に接続されており、他方は不図示の電源供給源に接続されている。更に、図22に示されるフック70は、スライド操作部40の側面の幅狭部40cと接しており、この状態においては、フック70はプラグコネクタ200におけるコネクタ接続開口部212に入ってはいないため、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200との脱着は可能な状態にある。」(【0053】ないし【0056】)

オ 「【0058】
次に、図15に示されるオン状態について、図26から図30に基づき説明する。図26は、この状態における本実施の形態におけるコネクタの側面側から見た内部構造図であり、図27は、正面側から見た内部構造図であり、図28は、内部構造の要部の斜視図であり、図29は、機構部分の要部の斜視図であり、図30は、内部構造の要部の側面図である。オン状態においては、スライド操作上部40aは、「ON」の位置にあり、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド開口部42aの右側をL字状に形成されたスライドリンク部41の一方が更に押されることにより、コンタクトスライド部42を更に移動させることができる。これによりコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部42bの先端は、スイッチ部160に設けられた上段部165において接触する。この状態においては、スイッチ部100におけるボタン160がコンタクトスライド接触部42bにより押されるため、2対の固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121とが各々接触する。このオン状態は、スイッチ部160に設けられた上段部165にコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部42bの先端が接触していることにより維持される。
【0059】
また、オフ状態からオン状態に変化する際には、図22に示されるフック70におけるスライド操作部40の側面との接触位置は、スライド操作部40の側面の幅狭部40cから、傾斜部40dを経て、幅広部40eに移動するため、矢印A1で示されるスライド操作上部40aのスライド方向にスライドさせることにより、スライド方向に対し略垂直方向である矢印B1に示される方向に移動する。移動したフック70は、プラグコネクタ200に設けられたコネクタ接続開口部212内に入り込み嵌合するため、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタとの接続が維持される。
【0060】
尚、オン状態からオフ状態に移行する場合には、本実施の形態におけるコネクタのスライド操作上部40aの位置を「ON」の位置から「OFF」の位置にスライドさせることにより行なう。このようにスライド操作上部40aの位置をスライドさせることにより、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部42bの先端が接触している位置が、スイッチ部160に設けられた上段部165から傾斜部164を経て下段部163に移動する。これにより、スイッチ部160が開離バネ170により持ち上げられ、2対の固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121との接触が離れオフ状態となる。この際、図22に示されるフック70におけるスライド操作部40の側面との接触位置は、スライド操作部40の側面の幅広部40eから、傾斜部40dを経て、幅狭部40cに移動する。これにより、プラグコネクタ200におけるコネクタ接続開口部212内よりフック70が外に出るため、本実施の形態におけるコネクタよりプラグコネクタ200をはずすことが可能となる。」(【0058】ないし【0060】)

カ 上記イの段落【0039】の「スライド操作部40におけるスライド操作上部40aが筐体50に設けられた開口より外側に飛び出た形状となっており、筐体50の外側よりスライド操作上部40aを矢印Aで示されるスライド方向に移動させる」並びに図7及び図9の記載から、引用文献1に記載されたコネクタにおいて、「スライド操作部40」の移動方向が、プラグコネクタ200の挿入方向と交差する方向であり、また、上記イの段落【0038】の「スライド操作部40は、「ON」の位置または「OFF」の位置となるように、スライドさせることが可能であり」及び図14、15等の記載からみて、スライド操作部40が手動で操作するものであることは明らかである。

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願の請求項1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「プラグコネクタ200における接続端子221,222,223と接続される接続端子と、
固定接点111と、
可動板部122の一方の端部に設けられた可動接点121と、
前記可動板部122と接触するカード140と、
前記カード140と接触するボタン160と、
前記固定接点111と前記可動接点121との接触を制御するためのスライド操作部40と、
を有し、
前記スライド操作部40には、スライドリンク部41とコンタクトスライド部42が接続され、コンタクトスライド部42にはボタン160の上面と接触するコンタクトスライド接触部42bが設けられており、
手動で前記スライド操作部40を一方の方向に移動させることにより、スライドリンク部41とコンタクトスライド部42とがプラグコネクタ200の挿入方向と交差する方向にスライド移動し、コンタクトスライド部42に設けられたコンタクトスライド接触部42bにより、前記ボタン160が押下され、前記カード140を介して前記可動板部122が動き、前記固定接点111と前記可動接点121とが接触する、コネクタ。」

2 引用文献2
本願の出願前に頒布され、原審査定で引用された引用文献2(特開平11-233203号公報)には、「コンセント装置」に関し、図面(特に、図4?7参照)とともに次の事項が記載されている。

キ 「【0020】(19)(19)、(19)(19)は前記端子室(14)、(14)のそれぞれに絶縁して固定した異極の固定端子で、それぞれの端子に端子板(20)(20)、(20)(20)を取り付け、この端子板に前記電源コード(8)を接続している。
【0021】(21)、(21)は前記隔室(12)、(12)内に移動自在に配設した接点板で、先端と後端を前記貫通孔(16)(16)、(17)(17)に挿通し両側に突出した取付片(22)(22)、(22)(22)を有する絶縁体により摺動杆(23)、(23)を構成しており、先端には貫通孔(16)、(16)より僅かに外側に突出するガイド部(24)とストッパー(25)(25)を有し、後端には貫通孔(17)(17)を貫通して端子室(14)、(14)内を出没するガイド部(26)を設けている。(27)、(27)は前記取付壁(13)、(13)と摺動杆(23)、(23)の間に介挿し、前記ガイド部(24)が側壁(5)より突出するように附勢したスプリングである。
【0022】(28)(28)、(28)(28)は前記取付片(22)(22)、(22)(22)に固定した可動接点板で、後側には可動端子(29)(29)、(29)(29)を設けると共に前側には弾性により常に接近する如く附勢された2つの接触片(30)(30)、(30)(30)、(30)(30)、(30)(30)を有する刃受け(31)、(31)を有している。」(【0020】ないし【0022】)

ク 「【0025】次に動作について説明する。プラグ(34)の差し込み刃(35)(35)を差し込んでいない状態は図1の右側、図4、図5に示すとおりであり、この状態ではスプリング(27)により摺動杆(23)のガイド部(24)が側壁(5)より突出すると共に、可動端子(29)(29)と固定端子(19)(19)が離間し可動端子(29)、(29)のそれぞれは非充電部となる。摺動杆(23)はストッパー(25)により必要以上に突出しない。
【0026】プラグ(34)をコンセント(6)に差し込む場合は、差し込み刃(35)(35)を刃受け(31)(31)に向けて押し込むと、摺動杆(23)がスプリング(27)に抗して押し下げられ可動端子(29)(29)が固定端子(19)(19)に接触すると共に摺動杆(23)の後端のガイド部(26)が絶縁ケース(10)の壁面に当たり、差し込み刃(35)(35)と刃受け(31)(31)が十分な状態で接触することになる。」(【0025】及び【0026】)

上記記載から、引用文献2には、「プラグ34をコンセント6に差し込んだときに、プラグ34の差し込み刃35により押し下げられた摺動杆23が可動端子29を固定端子19に接触させることで導通状態にするコンセント装置に係る技術」(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認める。

3 引用文献3
本願の出願前に頒布され、原審査定で引用された引用文献3(実願昭56-48879号(実開昭57-161874号)のマイクロフィルム)には、「スイッチ付安全コンセント」に関し、図面(特に、図1、2参照)とともに次の事項が記載されている。

ケ 「次に本装置の内部構造を第二図に示すと、符号1はコンセント表面板であって、このものには一対の刃受穴2、2を穿設する。 刃受穴2、2の内側には夫々金属製の刃受3、3を装着し、更にこのものと一定の距離はなれた位置に各刃受3、3に対応して金属製のコード端子4、4を装着する。 因みに刃受3とコード端子4とは従来は一体的に形成され、いわゆる充電金属部と称され、常に通電状態とされるものであったが、本考案においてはコード端子4、4に外部電線5、5を接続してここまでは常時通電状態とするものである。 符号6はコンセント表面板1の内側に設けた押圧片であって、プラグPの差込方向に没入自在で、常時はコンセント前面1’側へ偏寄させるものである。 図示の実施例は一対の刃受3、3の間に柱状の押圧片6をプラグPの差込方向に移動自在に装着すると共に縮設した弾性体7(一例としてコイルスプリング)をこのものの後背面に当接させてコンセント前面1’側に偏寄させたものである。
ここにおいて押圧片6にはその没入時に刃受を通電状態とする接点8を形成する。 図示の実施例は一例として押圧片6と一体となって移動する略L字状の導電板9を利用したものであって、その一辺9aを押圧片6の没入方向と平行に装着して刃受3に摺接し、また、他の一辺9bはその没入方向前方にコード端子4を位置させ、没入時に接触するように構成する。」(明細書第3頁第3行ないし第4頁第10行)


コ 「次に符号Sで示すものは押圧片6の押込操作を担う押込凸部であって、プラグP端面とコンセント表面板1との接触により押圧片6を押込むように構成する。 第一、二図の実施例は一例として押圧片6の先端面に柱状の押込突起13を突設し、このものをコンセント表面板1に穿設した穴14からコンセント表面1’上に突出させるものである。」(明細書第5頁第6ないし13行)

上記記載から、引用文献3には、「コンセント表面板1にプラグPを差し込んだときに、押し込まれた押圧片6によって導通状態とするスイッチ付安全コンセントに係る技術」(以下、「引用文献3記載技術」という。)が記載されていると認める。

4 引用文献4
本願の出願前に頒布され、原審査定で引用された引用文献4(特開2012-64505公報)には、「給電プラグのロック装置」に関し、図面(特に、図4ないし10参照)とともに次の事項が記載されている。

サ「【0042】
次に、挿入検出装置43について詳しく説明する。
図4に示すように、ケース44の下部には、挿入検出装置43を構成する検出手段としてのマイクロスイッチ111が固定されている。また、ケース44の下部のマイクロスイッチ111の外側には、直方体状の収容部44aが形成されている。収容部44aは、右に開口するとともに、左側も一部開口している。この収容部44aには、挿入検出装置43を構成するスライドピース121が収容され、このスライドピース121はスライドすることによってその一部が収容部44aの左側から外部に突出し、マイクロスイッチ111を押下する。図6に示すように、スライドピース121は、収容部44aの左側の壁部との間にコイルばね131を介在させた状態で取り付けられる。
【0043】
図4に示すように、マイクロスイッチ111の本体を構成するケース112は、締結具110(例えば、ボルト等)によって、収容部44aの車両1側の内面に取り付けられる。ケース112の車両1側の内面には、3本の端子113が設けられている(図6参照)。各端子113は、充電ECU75と電気的に接続されている。ケース112には、プッシュスイッチ114がケース112の外側に突出する態様で設けられている。プッシュスイッチ114は、ケース112内に内蔵される図示しないばねによって常時外側に付勢されている。プッシュスイッチ114の下方への変位は、同じくケース112内に設けられる図示しない係合関係によってその外側への変位が規制されている。プッシュスイッチ114は、外側から内側に押圧されると、その一部がケース112内に収容される。マイクロスイッチ111は、プッシュスイッチ114が押下された旨示す電気信号を端子113を通じて充電ECU75に出力する。同じくケース112の外側には、L字状に形成された腕部115が設けられている。腕部115は、ステンレスなどの金属により形成され、弾性変形が可能となっている。腕部115は、ケース112の外側におけるプッシュスイッチ114と反対側に取り付けられる取付部115cと、この取付部115cからプッシュスイッチ114に向かって斜め外側延びてプッシュスイッチ114の外側に延びる延出部115aとからなる。延出部115aの先端部には、外側に湾曲する半円部115bが形成されている。
【0044】
スライドピース121の本体を構成する直方体状の本体部122は、マイクロスイッチ111の外側に位置するとともに、収容部44aの左側の壁面との間にコイルばね131を介在させた態様で(図6参照)、収容部44aに収容される。このため、本体部122は、コイルばね131の付勢力により常時右側へ付勢される。
【0045】
本体部122の右側の先端部123は、上下方向から見ると半円状に形成されており、収容部44aから右側に突出した態様で設けられる。また本体部122の外側及び内側の両面には、上下方向から見たとき、L字状に形成された係止片124が設けられている。係止片124は、本体部122に対して離間した状態で左側へ延びる延出部125を備えている。係止片124は、その右端において片持ち状に本体部122に連結されている。延出部125の中央部には、内外方向に貫通する係止孔126が形成されている。収容部44aの外周面の外側及び内側の両面には、係止爪44bが形成されている。図5に示すように、本体部122が収容部44aに収容されたとき、係止爪44bが係止孔126に挿入される。コイルばね131の付勢力によるスライドピース121の右側への変位は、係止爪44bが係止孔126の左側の壁部(延出部125)に当接することにより規制される。なお、図4に示すように、本体部122の左部には、コイルばね131の内側に位置し左方に延びる押圧片127が形成されている。押圧片127は、収容部44aの左側の開口部から外部に露出している。図6に示すように、押圧片127の先端部には、先端に向かうにつれて徐々に先鋭となるように内側に傾斜する傾斜面127aが形成されている。また、押圧片127の内側の面は、スライドピース121のスライド方向と平行な平行面127bとされている。この押圧片127の先端部(傾斜面127a)は、スライドピース121が左方へスライド変位したとき、腕部115(半円部115b)と当接可能とされている。このとき、腕部115は、傾斜面127aから押圧されて内側に変位させられて、腕部115よりも内側に位置するプッシュスイッチ114を押下する。なお、スライドピース121の先端は、給電プラグ10がインレット31に挿入される際の係止爪154の挿入経路上に位置する。
【0046】
次に、インレット31に挿入する給電プラグ10の構造について説明する。
図7に示すように、給電プラグ10のプラグ本体151内には、ロックアーム152が揺動可能に取り付けられている。ロックアーム152は、給電プラグ10の挿込方向に対して直交する方向を軸153として、この軸153回りに揺動する。ロックアーム152の先端には、インレット31に接続したとき、被係止部35と係合する係止爪154が設けられている。また、ロックアーム152の先端と反対側には、操作部155が設けられている。係止爪154と操作部155とは、プラグ本体151の外部に露出されている。ロックアーム152において操作部155寄りの位置には、ロックアーム152(係止爪154)を閉じ側(図10中の下側)に常時付勢する付勢部材156が取り付けられている。このように構成された給電プラグ10では、図中2点鎖線で示すように、操作部155を付勢部材156の付勢力に抗して押し操作することで、ロックアーム152が揺動し、係止爪154が上方へ変位する。操作部155への押し操作を解除すると、付勢部材156の付勢力により図中実線で示す原位置へ復帰する。
【0047】
次に給電プラグ10とインレット31との接続態様について説明する。
給電プラグ10をインレット31に接続する際には、給電プラグ10をインレット31へ真っ直ぐ挿し込む。このとき、図7の一点鎖線で示すように、インレット31の接続部32の外周面上部に形成された被係止部35の斜面35aに対する摺接を通じて、ロックアーム152の先端部が上側へ押されて、同ロックアーム152は、付勢部材の付勢力に抗して開き側(係止爪154が上に移動する側)に揺動する。ロックアーム152の先端部、すなわち係止爪154は、給電プラグ10の挿入に伴い斜面35aを登る。そして、図8に示すように、給電プラグ10がインレット31に完全に挿入されると、係止爪154は斜面35aを登り切り、付勢部材156の付勢力によってロックアーム152が閉じ側(係止爪154が下に移動する側)に揺動する。このため、係止爪154が被係止部35に引っ掛かって、給電プラグ10のインレット31に対する抜け止めがなされる。給電プラグ10とインレット31との好適な接続状態が維持される。
【0048】
次に、給電プラグ10のインレット31への挿入の検出態様について説明する。
図7に示すように、給電プラグ10をインレット31に挿入しようとするとき、図9に示すように、係止爪154の左側面とスライドピース121の先端部123とが当接する。係止爪154は、その基端側が幅広に形成されているため、給電プラグ10をさらに挿入方向へ変位させると、図10に示すように、スライドピース121をコイルばね131の付勢力に抗して左側へ押圧する。図8に示すように、係止爪154が被係止部35に係合して給電プラグ10とインレット31との接続が完了した状態において、スライドピース121は最も左側へ変位した状態に維持される。なお、係止爪154は、給電プラグ10の挿入時に、上側に位置するロックバー45を自身の上面により上側に押し上げて被係止部35に係合される。」(【0042】ないし【0048】)

上記記載から、引用文献4には、「給電プラグのロック装置において、給電プラグ10をインレット31に挿入したときに、該挿入方向にロックアーム152の係止爪154が移動し、該係止爪154の幅広の基端部によって形成された傾斜面が、挿入方向と交差する方向にスライドピース121をスライドさせ、マイクロスイッチ111を押下させて上記挿入を検出する技術」(以下、「引用文献4記載技術」という。)が記載されていると認める。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「プラグコネクタ200」は、その技術的意義、機能又は構造からみて、本願発明1における「他のコネクタ」に相当し、以下同様に、「コネクタ」は「コネクタ」に、「接続端子221,222,223」は「他の接続端子」に、「接続端子」は「接続端子」に、「固定接点111」は「固定接点」に、「可動板部122」は「可動板部」に、「可動接点121」は「可動接点」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明において、「コネクタ」が「プラグコネクタ200における接続端子221,222,223と接続される接続端子」を有するということは、「接続端子」が「プラグコネクタ200」に接続されることになるから、本願発明1において「コネクタ」が「他のコネクタと接続される」ことに相当する。
また、引用発明において「前記スライド操作部40を一方の方向に移動させることにより、スライドリンク部41とコンタクトスライド部42とが他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライド移動し、コンタクトスライド部42に設けられたコンタクトスライド接触部42bにより、前記ボタン160が押下され、前記カードを介して前記可動板部122が動」くことは、コネクタが他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライドリンク部41とコンタクトスライド部42によって、ボタン160が押下され、押下されたボタン160により可動板部122が動作するということができる。
さらに、「スライド部材」という限りにおいて、引用発明における「スライドリンク部41」と「コンタクトスライド部42」を合わせたものは、本願発明1における「スライド部」に相当する。
また、「他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部材と、スライドする前記スライド部材によって押下されるボタンと、前記ボタンの押下により動作し、可動板部を動作させるカードと、を有し、前記スライド部材のスライドにより前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して固定接点と可動接点とが接触する」という限りにおいて、
引用発明において「前記スライド操作部40を一方の方向に移動させることにより、スライドリンク部41とコンタクトスライド部42とがプラグコネクタ200の挿入方向と交差する方向にスライド移動し、コンタクトスライド部42に設けられたコンタクトスライド接触部42bにより、前記ボタン160が押下され、前記カードを介して前記可動板部122が動」くことは、
本願発明1において「他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部と、スライドする前記スライド部によって押下されるボタンと、前記ボタンの押下により動作し、可動板部を動作させるカードと、を有し、前記他のコネクタと前記コネクタとが接続される際、前記他のコネクタにより前記スライド部が押されてスライドして前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して固定接点と可動接点とが接触する」ことに一致する。

したがって、両者は、次の点で一致する。
「他のコネクタと接続されるコネクタにおいて、
他のコネクタに設けられた他の接続端子と接続する接続端子と、
固定接点と、
可動板部に設けられた可動接点と、
前記他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライドするスライド部材と、
スライドする前記スライド部材によって押下されるボタンと、
前記ボタンの押下により動作し、前記可動板部を動作させるカードと、
を有し、
前記スライド部材のスライドにより前記ボタンが押下され、前記押下されたボタンにより前記可動板部が動作して前記固定接点と前記可動接点とが接触するコネクタ。」

そして、両者は、次の点で相違する。
「スライド部材のスライドによりボタンが押下され」ることに関し、本願発明1においては、「他のコネクタとコネクタとが接続される際、前記他のコネクタによりスライド部が押されてスライドしてボタンが押下され」るのに対して、
引用発明1においては、手動でスライド操作部40を一方の方向に移動させることによりボタンが押下される点(以下、「相違点」という。)。

上記相違点について検討する。
引用文献1の段落【0039】、【0041】(上記第4の1のイ参照。)には、スライド操作部40におけるスライド操作上部40aをスライドさせることにより電源の供給のオン、オフの制御を行う旨が記載されている。
また、引用文献1の段落【0056】、【0059】及び【0060】(上記第4の1のエ及びオ参照。)には、スライド操作部40が「OFF」の位置にあるときにはコネクタよりプラグコネクタ200をはずすことが可能であるが、スライド操作部40を「ON」の位置にスライドした状態ではコネクタとプラグコネクタ200との接続が維持される、即ち、はずすことができない旨が記載されており、引用発明は、コネクタとプラグコネクタ200とを接続した状態で、スライド操作部40を操作することを前提としたものであり、コネクタとプラグコネクタ200の接続とスライド操作部40の操作を同時に行うようになっていない。
したがって、コネクタを他のコネクタに接続する際、前記他のコネクタによりスライド部材が押されてスライドして導通状態とする引用文献2記載技術及び引用文献3記載技術を、引用発明に適用することには、阻害要因がある。
また、該阻害要因が存しなかったともしても、引用文献2記載技術及び引用文献3記載技術は、いずれも他のコネクタの挿入方向とスライド部材のスライド移動の方向が一致しているから、スライドリンク部41とコンタクトスライド部42とが他のコネクタの挿入方向と交差する方向にスライド移動する引用発明に適用することが容易であるとはいえない。
さらに、引用発明と引用文献4記載技術とは技術分野が異なるから、引用発明に引用文献4記載技術を適用することにより、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を想到することが容易であったとすることもできない。

したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし4記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2ないし8について
本願発明2ないし8は、本願発明1の「他のコネクタとコネクタとが接続される際、前記他のコネクタによりスライド部が押されてスライドしてボタンが押下され」る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 原査定について
平成29年4月25日の手続補正によって補正された請求項1ないし8に係る発明(本願発明1ないし8)は、上記第5に記載したように、引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-02-19 
出願番号 特願2013-272955(P2013-272955)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 小関 峰夫
中村 達之
発明の名称 コネクタ  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ