ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01R |
---|---|
管理番号 | 1337652 |
審判番号 | 不服2017-7226 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-19 |
確定日 | 2018-03-13 |
事件の表示 | 特願2015-128827「プローブカードの位置決め装置およびプローブホルダー」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月21日出願公開、特開2016- 11956、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許出願: 平成27年6月26日 (パリ条約による優先権主張2014年6月27日、台湾) 拒絶査定: 平成29年1月25日(送達日:同年同月31日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成29年5月19日 手続補正: 平成29年5月19日 第2 原査定の概要 原査定(平成29年1月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 理由1(特許法第36条第6項第2号)について ・請求項 6 請求項6では、「偏倚距離」に関して、例えば「前記第一の直線と前記第四の直線との間に偏倚距離が存在」すると記載しているが、偏倚(へん‐い かたよること [株式会社岩波書店 広辞苑第六版])した距離とはどのような意味なのか明確ではないため、各副開口の構成が明確ではない。 理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1?5 ・引用文献等 1,2 主開口(引用文献1の図13におけるガイド穴1841)の形状を、ほぼ円形な形状(例えば引用文献2)とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。 ・請求項 6 ・引用文献等 1 偏倚距離の意味は明確ではなく、各副開口の配置、形状も明確ではないが(理由1を参照)、例えば本願明細書(段落0017等)に記載されるような、主開口に繋がる各副開口の形状が略直線状であって、副開口の両端が直線上に位置し、別の副開口の両端が前記直線状に揃って位置していないものは、引用文献1(例えば図13における図面左下側の切れ目1842と、図面左上側の切れ目又は図面右下側の切れ目)に記載または示唆されているから、「前記第一副開口は第一の直線を有し、前記第二副開口は第二の直線を有し、前記第三副開口は第三の直線を有し、前記第四副開口は第四の直線を有し、前記第一の直線と前記第四の直線との間に偏倚距離が存在し、または前記第一の直線と前記第二の直線との間に偏倚距離が存在する」構成とすることは、当業者ならば容易になし得たものである。 また、剛性についても、引用文献1では、図13における穴等の形状又は寸法(段落0015の「弾性」、「変形」等も参照)からみて、ガイド穴1841(主開口に対応)と繋がる図面左下側の切れ目と図面右下側の切れ目との間に位置付けられた部位の剛性と、前記図面右下側の切れ目と図面右上側の切れ目との間に位置付けられた部位の剛性とは異なるものが記載又は示唆されているといえるから、「前記第一弾性部位は前記第一副開口と前記第二副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位は前記第二副開口と前記第三副開口との間に位置付けられ、前記第二弾性部位は前記第三副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第二位置決め部位は前記第一副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位の剛性は前記第一弾性部位および前記第二弾性部位の剛性より大きく、前記第一位置決め部位と前記第二位置決め部位とは向かい合うように配置され、前記第一弾性部位と前記第二弾性部位とは向かい合うように配置され」る構成とすることは、当業者ならば容易になし得たものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2002-296297号公報 2.特開2002-357207号公報 第3 本願発明 本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成29年5月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 プローブを位置決めする、プローブカードの位置決め装置であって、 主開口、第一副開口、第二副開口、第三副開口、第四副開口、第一位置決め部位、第二位置決め部位、第一弾性部位および第二弾性部位を備え、 前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は前記主開口に繋がるように前記主開口の周りに順に配列され、 前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し、 前記第一弾性部位は前記第一副開口と前記第二副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位は前記第二副開口と前記第三副開口との間に位置付けられ、前記第二弾性部位は前記第三副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第二位置決め部位は前記第一副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、 プローブが前記主開口を通過する時に、前記第一弾性部位および前記第二弾性部位が、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位より大きく湾曲するように、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位の剛性は前記第一弾性部位および前記第二弾性部位の剛性より大きく、 前記主開口は、円形を呈し、幾何学中心を有し、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口が前記主開口の前記幾何学中心を囲んで180度回転すると、前記第一副開口が前記第三副開口に重なり、前記第二副開口が前記第四副開口に重なるようになされ、 前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位および前記第一弾性部位および前記第二弾性部位は前記主開口の周りに位置することを特徴とする、 プローブカードの位置決め装置。 【請求項2】 前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位はそれぞれ、前記主開口の周りに位置する位置決め辺縁部を有し、前記第一弾性部位および前記第二弾性部位はそれぞれ、前記主開口の周りに位置する弾性辺縁部を有し、前記位置決め部位の前記位置決め辺縁部の長さは前記弾性部位の前記弾性辺縁部の長さに等しいかそれより大きいことを特徴とする請求項1に記載のプローブカードの位置決め装置。 【請求項3】 前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は、直線状、曲線状または折り線状のいずれかを呈することを特徴とする請求項1に記載のプローブカードの位置決め装置。 【請求項4】 前記第一位置決め部位と前記第二位置決め部位とは向かい合うように配置され、前記第一弾性部位と前記第二弾性部位とは向かい合うように配置されることを特徴とする請求項1に記載のプローブカードの位置決め装置。 【請求項5】 プローブを位置決めする、プローブカードの位置決め装置であって、 主開口、第一副開口、第二副開口、第三副開口、第四副開口、第一位置決め部位、第二位置決め部位、第一弾性部位および第二弾性部位を備え、 前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は前記主開口に繋がるように前記主開口の周りに順に配列され、 前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し、 前記第一弾性部位は前記第一副開口と前記第二副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位は前記第二副開口と前記第三副開口との間に位置付けられ、前記第二弾性部位は前記第三副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第二位置決め部位は前記第一副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、 プローブが前記主開口を通過する時に、前記第一弾性部位および前記第二弾性部位が、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位より大きく湾曲するように、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位の剛性は前記第一弾性部位および前記第二弾性部位の剛性より大きく、 前記第一副開口は第一の直線を有し、前記第二副開口は第二の直線を有し、前記第三副開口は第三の直線を有し、前記第四副開口は第四の直線を有し、 第一副開口、第二副開口、第三副開口、および第四副開口はその延長方向に垂直の幅が一定した直線状であって、第一副開口は第一の直線に位置するが、第四副開口の両端は前記第一の直線に揃って位置することがなく、第二副開口の両端は第一副開口の両端が位置する前記第一の直線に揃って位置することがないことを特徴とする、 プローブカードの位置決め装置。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2002-296297号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路チップや液晶デバイスなどの電気的特性の測定に用いる接触子組立体に関し、特にウエハ上のICの試験に使用する接触子組立体に関する。」 「【0015】このようにして配列された横方向並列接触子群121、縦方向並列接触子群122には、図11に示すように、垂直型接触子112(212)の出力部14と変形部15との間に配置され、出力部14を回路網端子に案内する出力側ガイド184と、垂直型接触子112(212)の入力部13と変形部15との間に配置され、入力部13を被試験チップの電極パッドに案内する入力側ガイド185が組み付けられる。これらのガイド184、185は一対のガイド部材により構成される。各ガイド部材は非導電性材料により、薄いフレキシブルなフィルム状又はシート状に形成されていて、図12に示すように、入力部13、出力部14を通過する部分にガイド穴1841が開けられている。このガイド穴1841は、第1、第2の垂直型接触子112、212の入力部13、出力部14を案内可能に垂直型接触子112、212の形状を配慮して略矩形状に形成されている。さらにこのガイド穴1841には、図13に示すように、その四隅に切れ目1842が設けられていて、垂直型接触子112、212の入力部13、出力部14の挿入を容易にする配慮がなされている。例えば、垂直型接触子の挿入時に垂直型接触子の入力部13、出力部14が穴1841から若干ずれた位置から挿入された場合、これらの切れ目1842により、入力側ガイド185、出力側ガイド184が接触子12と対向している部分で変形し、結果的に大きい穴の如き作用が働く。また挿入後は、入力側ガイド185、出力側ガイド184の材料の弾性特性に基づき、垂直型接触子112、212の自動調心的作用で、垂直型接触子112、212はガイド穴1841の中心位置に戻される。このようにガイド穴1841の位置精度を高めたことにより、垂直型接触子が容易に挿入可能で、垂直型接触子の高精度の組み立てを実現する。 【0016】また、入力側、出力側のガイド185、184は、図11に示すように、一対のガイド部材がスペーサ183を介して組み付けられて形成されている。スペーサ183はガイド部材と同じ外形を有し、ガイド部材のガイド穴1841の外周に沿う枠状に形成されていて、2つのガイド部材間に外周縁部を一致されて介装され、接着剤等で組み付けられている。なお、第1の実施の形態においては、入力側ガイド185、出力側ガイド184とスペーサ183の組み立てを容易にするため、これらを接着剤等で組み付けているが、接着剤等による組み付けを必ずしも必要としない。また、入力側ガイド185と出力側ガイド184を上下に1枚ずつ配置して、スペーサ183を省略してもよく、また、入力側ガイド185と出力側ガイド184を複数のガイド部材により多層化して複数のスペーサ183を挿入するようにしてもよい。また、上側、下側の各ガイド184、185はこれらガイド184、185間に各垂直型接触子112、212を挿通可能な空洞部分を有する枠186が介在され、この枠186の支持により、上下の各ガイド184、185が平行に保持される。このような上側、下側の各ガイド184、185のガイド穴1841に、図14に示すように、横方向並列接触子群121と縦方向並列接触子群122の各垂直型接触子112、212が挿入され、図15に示すように、組み立てられて接触子基本体18となる。」 引用文献1の図13から、上記「ガイド穴1841」は長方形に形成されていることが分かる。そうすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ガイド184、185間に枠186が介在され、上側、下側の各ガイド184、185のガイド穴1841に、横方向並列接触子群121と縦方向並列接触子群122の各垂直型接触子112、212が挿入され、組み立てられて接触子基本体18となる、ガイド184であって、(【0016】参照。) ガイド184は一対のガイド部材により構成され、各ガイド部材はガイド穴1841が開けられ、このガイド穴1841は長方形に形成され、さらにこのガイド穴1841には、その四隅に切れ目1842が設けられる、(【0015】参照。) 接触子基本体18のガイド184。」 2.引用文献2について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2002-357207号公報)には、以下の技術的事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、電子部品の電気的特性を測定するプローブ装置のプローブホルダにプローブ等の円柱形状体を固定する、円柱形状体の固定具及び固定方法に関する。」 「【0017】プローブ装置の固定具本体としてのプレート状のプローブホルダ11は、例えば金属材料あるいは合成樹脂材料などの剛性材料が好ましく、さらには電気的絶縁材料が好ましい。このプローブホルダ11には円柱形状体としての針状のプローブ12を挿入する挿入孔13が貫通して設けられている。この挿入孔13に隣接し、しかも略平行にねじ孔14が穿設されている。ねじ孔14はプローブホルダ11を貫通する下孔15と、この下孔15の内周面に形成された雌ねじ部16とからなり、雌ねじ部16は下孔15の全体に設けることなく、下部には不完全ねじ部17が形成されている。 【0018】前記挿入孔13とねじ孔14とはプローブホルダ11を貫通する2本の第1と第2のスリット18,19によって全部或いは一部が連通している。すなわち、第1と第2のスリット18,19は挿入孔13とねじ孔14とに略接線上で、かつ略平行に設けられている。第1のスリット18は挿入孔13とねじ孔14とを連通し、第2のスリット19は挿入孔13とは連通しているが、ねじ孔14とは撓み部20を介して分離している。そして、挿入孔13とねじ孔14及び第1と第2のスリット18,19によって囲まれるブロック21が形成されている。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 まず、引用発明における「ガイド184」は、その「ガイド穴1841に、横方向並列接触子群121と縦方向並列接触子群122の各垂直型接触子112、212が挿入され、組み立てられて接触子基本体18となる」ものであるから、「垂直型接触子112、212」を位置決めするものであるといえる。また、引用発明の「垂直型接触子112、212」及び「接触子基本体18」は、それぞれ本願発明1の「プローブ」及び「プローブカード」に相当する。したがって、引用発明の「ガイド184、185間に枠186が介在され、上側、下側の各ガイド184、185のガイド穴1841に、横方向並列接触子群121と縦方向並列接触子群122の各垂直型接触子112、212が挿入され、組み立てられて接触子基本体18となる、ガイド184」は、本願発明1の「プローブを位置決めする、プローブカードの位置決め装置」に相当するといえる。 また、引用発明の「ガイド184」を構成する「各ガイド部材」に開けられた「ガイド穴1841」が本願発明1の「主開口」に相当する。 次に、引用発明の「長方形に形成され」た「ガイド穴1841」の「四隅に」設けられた「切れ目1842」のうちのいずれか一つの一番目の切れ目、及びそれに対して長方形の短辺を挟んで位置する二番目の切れ目が、それぞれ本願発明1の「第一副開口」及び「第二副開口」に相当し、さらに該二番目の切れ目に対して長方形の長辺を挟んで位置する三番目の切れ目、及び該三番目の切れ目に対して長方形の短辺を挟んで位置する四番目の切れ目が、それぞれ本願発明1の「第三副開口」及び「第四副開口」に相当する。 また、引用発明の「ガイド穴1841」の回りに「四隅」の「切れ目1842」により形成された4つの切片のうち、長方形の短辺を形成する、一番目の切れ目と二番目の切れ目の間、及び三番目の切れ目と四番目の切れ目の間に位置する切片が、それぞれ本願発明1の「第一弾性部位」及び「第二弾性部位」に相当し、長方形の長辺を形成する、二番目の切れ目と三番目の切れ目の間、及び四番目の切れ目と一番目の切れ目の間に位置する切片が、それぞれ本願発明1の「第一位置決め部位」及び「第二位置決め部位」に相当する。 上記の構成であれば、図13に記載された切れ目の形状からみて、上記4つの切片のうち、長方形の短辺を形成するものは、長方形の長辺を形成する切片よりも、垂直型接触子を挿入する際に大きく湾曲できる、すなわち、剛性が相対的に小さいことは明らかであるし、また、引用発明の「ガイド穴1841」は「長方形に形成され」ているのであるから、幾何学中心を有し、該幾何学中心を囲んで180度回転すると、前記一番目の切れ目が前記三番目の切れ目に重なり、前記二番目の切れ目が前記四番目の切れ目に重なることも明らかである。 そうすると、引用発明において「ガイド184は一対のガイド部材により構成され、各ガイド部材はガイド穴1841が開けられ、このガイド穴1841は長方形に形成され、さらにこのガイド穴1841には、その四隅に切れ目1842が設けられる」ことは、本願発明1において「主開口、第一副開口、第二副開口、第三副開口、第四副開口、第一位置決め部位、第二位置決め部位、第一弾性部位および第二弾性部位を備え」ること、「前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は前記主開口に繋がるように前記主開口の周りに順に配列され」ること、「前記第一弾性部位は前記第一副開口と前記第二副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位は前記第二副開口と前記第三副開口との間に位置付けられ、前記第二弾性部位は前記第三副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第二位置決め部位は前記第一副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ」ること、「プローブが前記主開口を通過する時に、前記第一弾性部位および前記第二弾性部位が、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位より大きく湾曲するように、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位の剛性は前記第一弾性部位および前記第二弾性部位の剛性より大き」いこと、及び「前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位および前記第一弾性部位および前記第二弾性部位は前記主開口の周りに位置すること」に相当し、また本願発明1において「前記主開口は、円形を呈し、幾何学中心を有し、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口が前記主開口の前記幾何学中心を囲んで180度回転すると、前記第一副開口が前記第三副開口に重なり、前記第二副開口が前記第四副開口に重なるようになされ」ている点と、「前記主開口は、幾何学中心を有し、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口が前記主開口の前記幾何学中心を囲んで180度回転すると、前記第一副開口が前記第三副開口に重なり、前記第二副開口が前記第四副開口に重なるようになされ」ている点で共通する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「プローブを位置決めする、プローブカードの位置決め装置であって、 主開口、第一副開口、第二副開口、第三副開口、第四副開口、第一位置決め部位、第二位置決め部位、第一弾性部位および第二弾性部位を備え、 前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は前記主開口に繋がるように前記主開口の周りに順に配列され、 前記第一弾性部位は前記第一副開口と前記第二副開口との間に位置付けられ、前記第一位置決め部位は前記第二副開口と前記第三副開口との間に位置付けられ、前記第二弾性部位は前記第三副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、前記第二位置決め部位は前記第一副開口と前記第四副開口との間に位置付けられ、 プローブが前記主開口を通過する時に、前記第一弾性部位および前記第二弾性部位が、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位より大きく湾曲するように、前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位の剛性は前記第一弾性部位および前記第二弾性部位の剛性より大きく、 前記主開口は、幾何学中心を有し、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口は、前記第一副開口、前記第二副開口、前記第三副開口および前記第四副開口が前記主開口の前記幾何学中心を囲んで180度回転すると、前記第一副開口が前記第三副開口に重なり、前記第二副開口が前記第四副開口に重なるようになされ、 前記第一位置決め部位および前記第二位置決め部位および前記第一弾性部位および前記第二弾性部位は前記主開口の周りに位置することを特徴とする、 プローブカードの位置決め装置。」 (相違点) 相違点1:本願発明1は、「前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し」ているのに対し、引用発明においては各切れ目の長さの関係は不明である点。 相違点2:本願発明1においては、「主開口は、円形を呈し」ているのに対し、引用発明の「ガイド穴1841は長方形に形成され」ている点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し」ているという構成は、引用文献2には記載されておらず、自明でもない。 したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2-5について 本願発明2-5も、本願発明1の「前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し」ているという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 1.理由1(特許法第36条第6項第2号)について 審判請求時の補正により、「偏倚距離」という記載は削除されており、原査定の理由1を維持することはできない。 2.理由2(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-5は「前記第一副開口および前記第三副開口はそれぞれ、前記第二副開口および前記第四副開口それぞれの長さより大きい長さを有し」ているという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-02-26 |
出願番号 | 特願2015-128827(P2015-128827) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(G01R)
P 1 8・ 121- WY (G01R) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 越川 康弘 |
特許庁審判長 |
清水 稔 |
特許庁審判官 |
▲うし▼田 真悟 中塚 直樹 |
発明の名称 | プローブカードの位置決め装置およびプローブホルダー |
代理人 | 山口 朔生 |