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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1337871 |
審判番号 | 不服2017-925 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-01-23 |
確定日 | 2018-03-20 |
事件の表示 | 特願2015- 24219「決済システム、決済方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日出願公開、特開2016-148913、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成27年2月10日を出願日とする出願であって,平成28年5月10日付けで審査官により拒絶理由通知(同年同月17日発送)がされ,同年7月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,同年11月2日付けで拒絶査定(同年同月8日謄本送達,以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,平成29年1月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,同年3月1日付けで前置報告がなされ,同年4月26日付けで上申書の提出がされ,同年12月1日付けで前記平成29年1月23日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定がなされるとともに,同年12月1日付けで拒絶理由通知(同年同月5日発送。以下,「当審拒絶理由」という。)がされ,平成30年2月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 原査定の理由の概要 原査定(平成28年11月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 ●理由2(特許法第29条第2項)について 請求項1-8に係る発明は,以下の引用文献1-7の記載に基づいて,当業者であれば容易になし得たものであるから,依然として,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2006-293499号公報 2.特開2005-208874号公報(周知技術を示す文献) 3.特開平3-196394号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2004-94708号公報(周知技術を示す文献) 5.特開平11-143977号公報 6.特開2011-248838号公報 7.特開2013-210741号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 請求項1-8に係る発明は,引用文献1-6の記載基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2006-293499号公報 2.特開平3-196394号公報 3.特開2004-94708号公報 4.特開平11-143977号公報 5.特開2011-248838号公報 6.特開2013-210741号公報 第4 本願発明 本願請求項1-8に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は,平成30年2月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 電子ショッピングモールを介して,第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員による商品購入の申請を受信する受信手段と, 前記第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに,前記商品購入の申請内容を通知する申請内容通知手段であって,前記第2のクレジットカードは,前記第1のクレジットカードとは別に契約されたものである,申請内容通知手段と, 前記第2のクレジットカード会員によって,前記申請内容が承認されたかどうかを判定する判定手段と, 前記申請内容が承認された場合に,前記第2のクレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なう決済処理手段と を備えたことを特徴とする決済システム。 【請求項2】 前記電子ショッピングモールはクレジットカード会員のみが利用でき, 前記申請内容通知手段は,前記第1のクレジットカード会員が利用する第1のコンピュータからのメッセージを受信し,前記電子ショッピングモールが提供する内容確認画面のURLを記述した電子メールを送信することにより,前記第2のコンピュータに前記申請内容を通知し, 前記第2のクレジットカード会員は,前記内容確認画面に対して前記申請内容を承認するか否かを入力することを特徴とする請求項1に記載の決済システム。 【請求項3】 前記電子ショッピングモールはクレジットカード会員のみが利用でき, 前記決済処理が完了した後に,クレジットカードの加盟店が利用する第3のコンピュータへ注文情報を送信する注文情報送信手段と, 前記第3のコンピュータから受信した発送情報を,前記電子ショッピングモールを介して前記第2のコンピュータへ通知する発送情報通知手段と をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の決済システム。 【請求項4】 前記電子ショッピングモールはクレジットカード会員のみが利用でき, 前記判定手段は,前記申請内容が不承認だった場合に,前記第1のクレジットカード会員が利用する第1のコンピュータに承認結果を,前記電子ショッピングモールを介して通知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の決済システム。 【請求項5】 前記第1のクレジットカードのクレジットカード番号と,前記第2のクレジットカードのクレジットカード番号を紐付けて記憶する記憶手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の決済システム。 【請求項6】 前記判定手段は,前記第2のクレジットカード会員による承認結果に基づいて,前記申請のステータスを更新することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の決済システム。 【請求項7】 コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の決済システムとして機能させるためのプログラム。 【請求項8】 コンピュータによって実行される決済方法であって, 電子ショッピングモールを介して,第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員による商品購入の申請を受信するステップと, 前記第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに,前記商品購入の申請内容を通知するステップであって,前記第2のクレジットカードは,前記第1のクレジットカードとは別に契約されたものである,ステップと, 前記第2のクレジットカード会員によって,前記申請内容が承認されたかどうかを判定するステップと, 前記申請内容が承認された場合に,前記第2のクレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なうステップと を含むことを特徴とする決済方法。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 当審拒絶理由に引用された,特開2006-293499号公報(以下,「引用文献1」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同じ。) ア.「【0001】 本発明は,クレジットカード等の決済手段の所有者による決済実行の可否を第三者に承認/確認させることを可能にした決済サービスサーバおよび決済承認方法に関する。 【背景技術】 【0002】 昨今,インターネット上のショップからの商品購入が盛んに行われるようになってきており,利用者の範囲も拡大している。商品購入の際の決済方法としては種々のものがあるが,振り込みや代金引替等に比べクレジットカードは利便性の点で優れているため,クレジットカードが用いられることが多い。 【0003】 ところで,クレジットカードは手持ちの現金がなくても容易に決済が行えることから,つい使い過ぎてしまう傾向がある。 【0004】 このようなクレジットカードの使い過ぎの防止策としては,例えば夫が妻に「今しか手に入らない限定品を購入してよいか?」といった内容の電話やメールによって事前確認を行い,あるいは事後了承を得ることによって,計画的な利用を実現しているのが現状である。 【0005】 また,クレジットカードにおいては,家族カード等の発行によってクレジットカードの主契約者と主契約者に従属する副契約者(家族)によるクレジット利用が可能となっている。この時,副契約者によるクレジット利用の請求は主契約者にされることとなる。このような家族カード等に対してクレジット会社より提供されるサービスとして,主契約者と副契約者のそれぞれのカードに利用上限額を設定し,あるいは家族カード全体での利用額合計に上限を設けることによって使い過ぎを防止する方法がある。」 イ.「【0012】 本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり,その目的とするところは,利用対象や利用金額あるいは利用目的を第三者に承認/確認し,使い過ぎをチェックすることのできる決済サービスサーバおよび決済承認方法を提供することにある。」 ウ.「【0020】 図1は本発明の一実施形態にかかる決済システムの全体構成図である。図1において,ユーザ2Bに対する承認者となるユーザ2Aはモバイル端末3Aを有しており,クレジットカード等の決済手段1を所有するユーザ2Bはモバイル端末3Bを有している。なお,家族カードの場合,主契約者がユーザ2A,副契約者がユーザ2Bとなるのが一般的である。 【0021】 また,モバイル端末3A,3Bのアクセス可能な通信網4には,決済認証にかかる主要な処理を行う決済サービスサーバ5と,商品購入を行うショップサーバ6とが接続されており,更に決済サービスサーバ5は決済手段1の認証確認(有効性の認証)を行う決済認証サーバ7と接続されている。」 エ.「【0027】 図6はデータベース51に格納される注文データの例を示す図であり,「注文No.」,「注文日時」,「会員ユーザ」,「商品」,「金額」,「送付先」,「ステータス」を含んでいる。」 オ.「【0028】 図7は上記の実施形態の処理例を示すシーケンス図である。 【0029】 図7において,決済サービスサーバ5には予め決済手段1を所有するユーザ2Bの決済手段1についての情報が決済手段データとして登録されているものとすると,ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bから決済サービスサーバ5にアクセスし,ユーザ2Aのモバイル端末3Aをモバイル端末3Bによる商品購入の承認端末として登録するよう要求する(ステップS101)。この承認端末設定と併せて利用金額の設定を要求することもできる。この際,決済サービスサーバ5では認証部52によってモバイル端末3Bが正当なものであるか否かを認証し,正当である場合には登録部53によりデータベース51にユーザ2Aおよびモバイル端末3Aを承認ユーザデータとして登録する。 【0030】 その後,ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bよりショップサーバ6にアクセスし,購入希望の商品を選択した上で,自身の所持する決済手段1を用いての決済を選択する(ステップS102)。 【0031】 この際,ユーザ2Bのモバイル端末3Bから決済サービスサーバ5に対して決済手段1の利用認証の要求を行う(ステップS103)。決済サービスサーバ5はアクセスしてきた端末が登録されているモバイル端末3Bであるか認証した後,商品購入承認者であるユーザ2Aの情報とユーザ2Bの利用履歴および利用設定額を呼び出す。 【0032】 次いで,決済サービスサーバ5はショップサーバ6に対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得する(ステップS104)。 【0033】 決済サービスサーバ5は,利用履歴および利用設定額と選択された商品の金額を照会し,モバイル端末3Bに対して注文確認し(ステップS105),ユーザ2Bはこれを確認した上で注文を要求する(ステップS106)。これに応じて決済サービスサーバ5はショップサーバ6に対し注文予約を行い(ステップS107),決済サービスサーバ5はモバイル端末3Bに対して注文予約完了通知を行う(ステップS108)。 【0034】 その後,決済サービスサーバ5は購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3Aに対してユーザ2Bの選択した商品の購入承認確認を通知する(ステップS109)。モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可する(ステップS110)。 【0035】 決済サービスサーバ5は,決済認証サーバ7に対しユーザ2Bの所有する決済手段1のオーソリを要求し(ステップS111),決済認証サーバ7からオーソリの応答を受けると(ステップS112),モバイル端末3Bに対して決済結果を通知し(ステップS113),ショップサーバ6に対して決済結果を通知する(ステップS114)。また,決済サービスサーバ5はモバイル端末3Aに対してユーザ2Bが注文予約した商品の決済結果を通知する(ステップS115)。そして,ショップサーバ6はモバイル端末3Bに対し,注文した商品情報およびステータスを通知する(ステップS116)。」 カ.「【0037】 このように,本発明では,決済手段1を持つユーザ2Bと,ユーザ2Bの希望商品の購入承認を行うユーザ2Aにおいて,ユーザ2Bはユーザ2Aの承認のもと,商品の決済(支払い)を行う形態をとる。ユーザ2Bはユーザ2Aに商品の購入承認権を与え,ユーザ2Bはユーザ2Aに許可された商品をインターネット上のショップサーバ6から購入できる。つまり,ユーザ2Aにはユーザ2Bの出費に関する管理権限(ユーザ2Bの月あたり,日あたり,あるいは買い物1件あたりの利用可能上限額の設定や,ユーザ2Aによる確認/承認の対象決済の登録)が付与されることとなる。商品購入の最終決済(確認)はユーザ2Bの持つ決済手段1を利用し,ユーザ2Bが行うこととなる。また,1ヶ月の支出がある一定額を超えた時点でユーザ2Aへ確認/承認通知が行われるように設定することも可能である。 【0038】 なお,本発明は家族カードの所有者間に適用することが先ず想定されるが,それ以外にも,例えばクレジットカード契約は主契約者のみであるが,クレジットカードの主契約者以外の口座から利用額を引き落とすような場合(夫の給与振込み口座から妻のクレジットカード利用料を引き落とす場合等)や,法人クレジットカードにおいてクレジットカードを貸与された社員の購入内容や購入金額あるいは購入目的に対して上長による承認/確認を行い,本人による無計画な利用を防止し,更に悪意ある他人による不正利用の検出・防止あるいはそれ以上の利用の停止を行うことが可能となる。」 以上の記載事項から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「決済システムであって, ユーザ2Bに対する承認者となるユーザ2Aが有するモバイル端末3Aと,クレジットカード等の決済手段を所有するユーザ2Bが有するモバイル端末3Bと,を有し,家族カードの場合,主契約者がユーザ2A,副契約者がユーザ2Bとなるものであり, モバイル端末3A,3Bのアクセス可能な通信網には,決済認証にかかる主要な処理を行う決済サービスサーバと,商品購入を行うショップサーバとが接続されており,更に決済サービスサーバは決済手段の認証確認(有効性の認証)を行う決済認証サーバと接続されており, 処理のシーケンスとして, 決済サービスサーバには予め決済手段を所有するユーザ2Bの決済手段についての情報が決済手段データとして登録されているものとすると,ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bから決済サービスサーバにアクセスし,ユーザ2Aのモバイル端末3Aをモバイル端末3Bによる商品購入の承認端末として登録するよう要求し,決済サービスサーバでは認証部によってモバイル端末3Bが正当なものであるか否かを認証し,正当である場合には登録部によりデータベースにユーザ2Aおよびモバイル端末3Aを承認ユーザデータとして登録し, その後,ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bよりショップサーバにアクセスし,購入希望の商品を選択した上で,自身の所持する決済手段を用いての決済を選択し, この際,ユーザ2Bのモバイル端末3Bから決済サービスサーバに対して決済手段の利用認証の要求を行い,決済サービスサーバはアクセスしてきた端末が登録されているモバイル端末3Bであるか認証した後,商品購入承認者であるユーザ2Aの情報とユーザ2Bの利用履歴および利用設定額を呼び出し, 次いで,決済サービスサーバはショップサーバに対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得し, 決済サービスサーバは,利用履歴および利用設定額と選択された商品の金額を照会し,モバイル端末3Bに対して注文確認し,ユーザ2Bはこれを確認した上で注文を要求し,これに応じて決済サービスサーバはショップサーバに対し注文予約を行い,決済サービスサーバはモバイル端末3Bに対して注文予約完了通知を行い, その後,決済サービスサーバは購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3Aに対してユーザ2Bの選択した商品の購入承認確認を通知し,モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可し, 決済サービスサーバは,決済認証サーバに対しユーザ2Bの所有する決済手段のオーソリを要求し,決済認証サーバからオーソリの応答を受けると,モバイル端末3Bに対して決済結果を通知し,ショップサーバに対して決済結果を通知し,また,決済サービスサーバはモバイル端末3Aに対してユーザ2Bが注文予約した商品の決済結果を通知し,そして,ショップサーバはモバイル端末3Bに対し,注文した商品情報およびステータスを通知する,ものであり, 決済手段を持つユーザ2Bと,ユーザ2Bの希望商品の購入承認を行うユーザ2Aにおいて,ユーザ2Bはユーザ2Aの承認のもと,商品の決済を行う形態をとることで,ユーザ2Bはユーザ2Aに商品の購入承認権を与え,ユーザ2Bはユーザ2Aに許可された商品をインターネット上のショップサーバから購入でき,商品購入の最終決済(確認)はユーザ2Bの持つ決済手段を利用し,ユーザ2Bが行うこととなる,決済システム。」 2.引用文献2について 当審拒絶理由に引用された,特開平3-196394号公報(以下,「引用文献2」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 キ.「【特許請求の範囲】 (1)取引信用供与機関が発行したカードで商取引するクレジットカードであって, 既に発行された上記クレジットカードを親カードに設定して,該親カードの与信データから,該親カードの使用限度額を分割して,該分割使用限度額をクレジット決済予約額として親カードでの使用を制限し,上記クレジット決済予約額を使用限度額とする与信データを子カードに付与して親カードに基づいて該子カードを発行し,この子カードの使用に際して,取引金額を親カードで決済するクレジットカード方法。 (2)上記子カードの使用限度額がその使用により減額され,その後取引金額が親カードで決済されたとき,子カードの減額された使用限度額を復元するクレジットカード方法。(3)前記子カードの使用限度額がその使用により減額され,その後取引金額が親カードで決済されたとき,その決済額分親カードの使用限度額を復元するクレジットカード方法。・・・」 ク.「(ニ)問題点を解決するための手段 この発明の第1発明は,取引信用供与機関が発行したカードで商取引するクレジットカードであって,既に発行された上記クレジットカードを親カードに設定して,該親カードの与信データから,該親カードの使用限度額を分割して,該分割使用限度額をクレジット決済予約額として親カードでの使用を制限し,上記クレジット決済予約額を使用限度額とする与信データを子カードに付与して親カードに基づいて該子カードを発行し,この子カードの使用に際して,取引金額を親カードで決済するクレジットカード方法であることを特徴とする。 この発明の第2発明は,上記第1発明の子カードの使用限度額がその使用により減額され,その後取引金額が親カードで決済されたとき,子カードの減額された使用限度額を復元するクレジットカード方法であることを特徴とする。 ・・・ (ホ)作用 この発明のクレジットカード方法は,子カードの使用限度額を,親カードの使用限度額からクレジット決済予約として差引いて付与し,親カードは残りの使用限度額に使用が制限されるので,親カードで子カードを商取引したのと等価になる。 そして,子カードが使用されると,その取引を親カードで決済し,この決済で子カードの使用限度額が復帰されると,該子カードの使用が初期に復元し,また,上述の決済で親カードの使用限度額が復帰されると,子カードは有限の使用限度額となる。 (ヘ)発明の効果 その結果,この発明によれば,子カードの発行に際しては,親カードに基づいて発行すればよく,新たにクレジットカードを申込み発行するような,面倒な手続きが不要となり,2枚目以降のカードを親カードの使用限度内で自由,かつ,即座に発行できる。 子カードの有効期限,使用限度額等を親カードの範囲内で任意に設定できるため,例えば,家族が使用する家族カードであって,主人が親カードを有し,妻は主人の使用限度額内であるが多少高額の使用限度であって,主人と同じ有効期限に設定した子カードとし,また,子供は少額であって,有効期限も短期に設定した子カードにする等,用途に応じた子カードの発行が簡単にできる。 さらに,子カードの使用限度額が決済後も使用の都度減額される有限の使用限度額とすると,ギフトカードとしての使用が可能であって,有効に便利に子カードを使用することができる。 また,上述の場合,親カードの使用限度額がその決済分復帰するので,親カードの使用制限がその分回復される。」(第2頁左上欄17行?右下欄13行) 3.引用文献3について 当審拒絶理由に引用された,特開2004-94708号公報(以下,「引用文献3」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 ケ.「【0024】 〔サービスの流れ〕 図3は,この発明の一実施例による顧客情報管理システムにおけるサービスの流れを説明するための図である。ここで,図3を用いて,このシステムの機能を概略的に説明しておく。センターAの顧客データベースADには,顧客識別情報に対応して顧客毎の顧客データが蓄積され,親カードMCの顧客データは,従属する子カードSCの顧客識別情報(子カード顧客ID)を子識別データとして含む。センターAは,教室Bや店舗Cでの子カードSCの利用(3,6)に伴い取得される子カード顧客ID(4,7?9)から,顧客データベースAD内の親カード顧客データにアクセスし,子カードSCの利用状況情報(カード利用履歴)を蓄積させる。この利用状況情報に基づいて親カードMCの顧客に対する決済処理が行われる。また,子カードSCの利用状況に対応する利用ポイント情報が親カードMCに対して発生され,親カード顧客データに蓄積される(10)。 【0025】 以下,より詳しく説明する。例えば,親カード所有者は,親カードMCを用いて顧客端末DからセンターAに対し「(1)子カードSCの発行を申請する」ことができる。センターAは,これに応じて「(2)子カードSCを発行する」ための処理を行い,教室の管理者側では,この処理に基づいて,当該親カード所有者に関係する当該教室の生徒に対して子カードSCを発行し,発行された子カードSCは当該生徒が利用することができる。 【0026】 子カードSCを所有する生徒が,教室でレッスンを受ける際に,子カードSCを教室端末BのカードリーダBRに投入すると,教室端末Bでは,当該生徒について「(3)出席を確認する」一方,センターAに対してその旨を通知すると共に「(4)利用ポイントを加算する」ことを指示する。これに対し,センターAは,カード利用履歴情報及び利用ポイント情報を更新し,カード利用履歴情報中の教室出席データ及び利用ポイント情報は顧客端末Dに通知することができる。 【0027】 このシステムでは,親カードMCを用いて,当該親カードMCに従属する子カードSCについて「(5)お小遣いチェック(小遣い小切手)を設定する」ことができる。この設定は,親カード所有者が親カードMCにより顧客端末DからセンターAに対して当該子カードSCへの“お小遣いチェック”の設定を要求することにより実現される。子カードSCに“お小遣いチェック”が設定されると,生徒は,店舗にて当該子カードSCを店舗端末Cに投入することにより「(6)商品を購入する」ことができる。 【0028】 店舗での商品購入に際して,店舗端末Cは,センターAとの間で「(7)子カードSCに設定されているチェック利用限度額の範囲内にあることを確認する」ための処理を行い,この確認が取れると,「(8)親カード(親顧客ID)に対して決済する」処理及び「(9)利用ポイントを加算する」処理ことをセンターAに指示する。そして,センターAは,これら利用限度額確認,カード決済及び利用ポイント加算に対応する処理を実行し,店舗端末Cに対してこれらの処理が完了したことを通知すると共に,これ以後に利用される親カードMCに対して「(10)利用ポイントに応じたサービス特典を付与する」処理を行う。」 4.引用文献4について 当審拒絶理由に引用された,特開平11-143977号公報(以下,「引用文献4」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 コ.「【0073】予約その32「デリバリー・支払い方法」画面(S117) 「旅程表(確認)」画面(S115)で[デリバリー・支払]をクリックすると「デリバリー・支払い方法」画面(図73?74)が表示される。 【0074】この画面では,チケット類のデリバリー及び精算方法について指定する。「デリバリー方法」では既定値として「デリバリー」が選択されており,「デリバリー希望日」には出発日の前日(休祝日を除く)が入力されている。何らかの理由でこれ以前にチケット類の受取りを希望する場合や,旅行業者等の店頭でのピックアップを希望する場合は,各々の項目を任意に書き換えることができる。「指定旅行業者へのメッセージ」欄には「外出の予定があるので〇〇時までに届けてほしい。」「不在の場合は〇〇に渡しておいてほしい。」等,旅行業者等のデリバリースタッフへの伝言を書き込むことができる。但し,指定した日時におけるデリバリーが可能か否かは契約法人と旅行業者等との契約によるものであって本発明そのものとは関わりがない。「支払い方法」では,予め契約法人の指定した請求先が選択され,バックが青色で表示されている。何らかの理由があってこのルールの例外的な処理をする場合は,各々の項目の下にある「例外処理の理由」をプルダウンメニューで選択入力する必要がある。添付事例では,交通費は実費支給のために賦課箇所(=経費管理箇所)に請求,宿泊料は打切り支給で出張者の決済口座に入金されるために同口座に請求するように指定されている。例外処理を行なう場合で各々の項目の下のプルダウンメニューの選択では言い足りない場合は「経費支出承認者へのメッセージ」欄を使って申告することができる。[旅程表(確認)]又は[戻る]をクリックすると「旅程表(確認)」画面(S115,図75?76)を表示する。 【0075】予約その33「出張届(申請)」画面(S118) 「旅程表(確認)」画面(S115)で[出張届]をクリックすると「出張届(申請)」画面(図77?78)が表示される。この画面では,契約法人の出張規定で必要な出張届を自動作成する。これまでの作業で使用したデータから「申請日」「出張者名」「旅費概算」「用務先」「用務地」「出張期間」「用務内容」及び「具体的スケジュール」等,全ての項目が転記されている。これらをチェックして不都合があれば任意に書き換えることができる。「出張承認者」は「個人プロファイル」(S104)に登録された優先順位で表示されており,申請日の出勤状況によって承認権限者を選択することができる。また出張届による申請は不要であるが,経費支出願による申請だけは必要な場合は「出張承認者」欄をブランクにしておく。出張承認者へのメッセージがある場合は「出張承認者へのメッセージ」欄に入力する。添付事例では,標準的な出張届の必要項目をカバーしているが,契約法人の出張規定によって項目を追加,変更又は削除することが可能である。[経費支出願]をクリックすると「経費支出願(申請)」画面(S119)を表示する。[戻る]をクリックすると「旅程表(確認)」画面(S115)を表示する。 【0076】予約その34「経費支出願(申請)」画面(S119) 「出張届(申請)」画面(S118)で[経費支出願]をクリックすると「経費支出願(申請)」画面(図79?80)が表示される。この画面では,契約法人の出張規定で必要な経費支出願,又は契約法人によっては旅費請求書と呼称する様式を自動作成する。これまでの作業で使用したデータから「申請日」「出張者名」「旅費概算」「所属個所」「賦課個所」「職名」「職務資格」「出張期間」及び「用務内容」等全ての項目が転記されている。これらをチェックして不都合があれば任意に書き換えることができる。 【0077】「旅費計算表」では「具体的スケジュール」「宿泊料」及び「交通費」が自動的に転記され,「出張規定(日当)」画面(S105)に登録された計算基準により「日当」が自動計算されている。「備考」には「例外処理の理由」や割引券の利用状況等が転記されている。「支払い方法」には「デリバリー・支払い方法」画面(S117)で入力した内容が転記されている。「経費支出承認者」は「個人プロファイル」(S104)に登録された優先順位で表示されているが,申請日の出勤状況によって承認権限者を選択することができる。また出張届による申請は必要だが,経費支出願による申請は不要な場合は「経費支出承認者」欄をブランクにしておく。例外処理の理由の補足等,経費支出承認者へのメッセージがある場合は「経費支出承認者へのメッセージ」欄に記入する。添付事例では,標準的な経費支出願又は旅費請求書の必要項目をカバーしているが,契約法人の出張規定によってこれらの項目を追加,変更又は削除することが可能である。[申請]をクリックすると,指定した出張承認者,経費支出承認者に向けて「旅程表(確認)」「出張届(申請)」「経費支出願(申請)」画面がファイルとして添付されて発信される。[戻る]をクリックすると「出張届(申請)」画面(S118)を表示する。」 5.引用文献5について 当審拒絶理由に引用された,特開2011-248838号公報(以下,「引用文献5」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 サ.「【0035】 ネットショッッピング受付処理手段25eの動作について,第1の店舗会員が投稿した商品とサービスを会員制Webサイト上で購入する手順について図4のネットショッピング処理フロー図を用いて説明する。 1)携帯端末2a?5a,又はパソコン2b?5bのブラウザ上に表示された商品とサービスを,会員1がネットショッピングとして選択し購入希望したとき, 2)管理サーバ20は受信データから会員IDを抽出し,そのデータを基に,データベースサーバ40を通じ,会員情報ファイル41にある電子マネー口座情報41dの中の電子マネー残高を調べ,購入可否を判定し,Webサーバ11を通じて通信ネットワーク10を介し購入者の携帯端末もしくはパソコンのブラウザ画面上に表示する。 3)決済可能であり購入者が注文を行う。 4)管理サーバ20は仮払い電子マネーとして残高から差し引くと共に,商品とサービス提供者に注文情報を通知し,同時に注文受付メールを送信する。 5)商品とサービス提供者は,商品とサービスを購入者に発送する。 6)商品とサービス提供者は,発送済みを管理サーバ20に通知する。 同時に,商品発送メールを購入者に送信する。 同時に,管理サーバ20にてショッピングモール売上報酬手段26dで決済を行うので,購入データがデータベースサーバ40の売上履歴ファイル45に記録される。 7)購入者は,商品を受け取る。」 6.引用文献6について 当審拒絶理由に引用された,特開2013-210741号公報(以下,「引用文献6」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 シ.「【0105】 決済用通知送信部414は,承認情報受信部412が受信した承認結果が,決済対象となる商品の決済を承認しない内容であった場合,識別情報受信部404が受信した識別情報の送信元となる店舗の端末装置130に対して,決済の実行を禁止する決済用通知を送信する。この場合,決済用通知は,当該決済用通知を受信した店舗の端末装置130において,決済が承認されなかったことを通知する通知動作の実行指示を含んでいてもよい。そして,この場合,決済用通知を受信した店舗の端末装置130は,当該店舗の端末装置130を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイ226に,たとえば「決済の承認がおりませんでした。」などのメッセージを表示してもよい。」 ス.「【0147】 以上説明したように,この実施の形態の買い物支援装置110は,顧客の端末装置120および店舗の端末装置130と通信可能な買い物支援装置110であって,顧客の端末装置120から,識別情報と買い物条件とを含む買い物条件通知を受信すると,受信した買い物条件通知に含まれる識別情報に当該買い物条件通知に含まれる買い物条件を関連付けて顧客情報データベース300に記憶し,店舗の端末装置130から識別情報を受信すると,顧客情報データベース300を参照して,受信した識別情報に関連付けられた買い物条件,電子メールアドレスおよびクレジットカード番号を含む買い物情報を取得する。そして,識別情報の送信元となる店舗の端末装置130から,決済対象となる商品に関する商品情報を受信すると,受信した商品情報と取得した買い物条件とに基づいて,決済対象となる商品が買い物条件に該当する商品であるか否かを判断し,買い物条件に該当する商品であると判断した場合に,決済対象となる商品の決済承認要求を,上記取得した電子メールアドレスが割り当てられた顧客の端末装置120に送信し,送信した決済承認要求の出力先となる顧客の端末装置120から受信した,当該決済承認要求に対する承認結果に基づいて,識別情報の送信元となる店舗の端末装置130に対して,決済対象となる商品の決済の是非を示す決済用通知を送信するようにしたことを特徴としている。 【0148】 この発明にかかる実施の形態の買い物支援装置110によれば,クレジットカードを所有する顧客がクレジットカードを利用する現場に同行することなく,クレジットカードを利用することにより享受できる商品やサービスの範囲を制限するとともに,クレジットカードを利用することにより商品やサービスを享受する顧客に対して,享受する商品やサービスの選択の自由度を確保することができる。 【0149】 具体的には,この発明にかかる実施の形態の買い物支援装置110によれば,たとえば,クレジットカードの所有者である顧客が同行しない状態において,クレジットカードの所有者である顧客とは異なる顧客が店舗に行き,クレジットカードの所有者である顧客が指定した買い物条件に該当する商品の中から好みの商品を選んで購入することができる。 【0150】 これにより,この発明にかかる実施の形態の買い物支援装置110によれば,具体的には,たとえば,クレジットカードを所有する親が同行せずに,かつ,子供に現金を持たせることなく,当該子供に当該子供の好みの商品を自ら選ばせて購入させることができる。 【0151】 これによって,この発明にかかる実施の形態の買い物支援装置110によれば,子供に対して「自分一人で買い物をした」という達成感を味あわせることができ,子供に自信を持たせ,子供の自立を促すことができる。また,この発明にかかる実施の形態の買い物支援装置110によれば,子供が購入する商品の条件を親が指定することができるので,子供に過剰に干渉することなく,親が想定した範囲内の買い物をさせることができ,親に安心感を与えることができる。」 7.引用文献Aについて 原査定に引用文献2として引用された,特開2005-208874号公報(以下,「引用文献A」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。 セ.「【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下,本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 図1は,本発明の実施形態に係る子カードを利用した店舗代金精算方法の概要を説明する図,図2は,本発明の実施形態に係る子カードを利用した店舗代金精算方法を適応したシステム構成のブロック図,図3は,本発明における会員情報データベースのデータ内容を模式的に示した図,図4は,本発明の実施形態に係る子カードを利用した店舗代金精算方法の処理手順を示すフローチャートである。 【0010】 本発明の実施形態に係る子カードを利用した店舗代金精算方法は,図1に示すように,親カードであるクレジットカード5及び子カード6をカード会員7に発行するクレジットカード会社1と,カード会員である従業員に子カードを社員証として導入する子カード導入企業2と,子カードでの店舗代金精算を行える加盟店3と,加盟店3において,子カードでの代金支払いが行われた場合に,それらの子カード利用情報を取りまとめる子カード情報管理センター4とにより構成される。 子カード導入企業2と,子カードでの店舗代金精算を行える加盟店3との関係は,例えば子カード導入企業2が専用の社員食堂を備えていない場合などにおいて,一般のレストランや食堂を,昼食時などに子カード導入企業2の社員食堂に近い状態で社員証を用いて気軽に利用できるようにするために,予め子カード利用可能な店舗として定めるなどした場合に適応される。 【0011】 クレジットカード会社1には,クレジットによる決済処理を行う決済サーバ8が備えられ,クレジットカード会社1から親カードであるクレジットカード5及び子カード6をカード会員7に発行する際に,予め子カード6に記憶された子カード番号を親カードであるクレジットカード5のクレジットカードと関係付けて決済サーバ8のデータベースに登録させておくことで,子カード6を用いた店舗での支払い代金の精算を最終的にクレジットカードで決済処理できるようにしてある。 【0012】 そして,クレジットカード会社1からカード会員には,親カードであるクレジットカード5と子カード6とが発行されるが,親カードであるクレジットカード5は,通常のクレジットサービスであるキャッシングや,クレジットカード会社が提携している多くの加盟店での代金支払いに用いることができるのに対して,子カード6は,キャッシングが行えないようにしてあると共に,子カード導入企業2が定めた食堂などの特定の加盟店3だけで使用できるようにしてある。 これにより,子カードを社員証として用いた場合に,仮に子カードを落としたり,盗難にあった際でも特定の加盟店に子カードの使用が制限されているので,第三者が不正使用したとしても大きな被害に合わないようにしてある。 したがって,一般的なクレジットカードと比べて,社員証として子カードを適応させた場合でも,常時気軽に持ち歩くことができるようにしてある。 【0013】 また,加盟店3には,子カード6に記憶された情報を読み取るカードリーダ9が備えられた加盟店端末10が備えられている。 カード会員は,子カード6を使用することが可能な加盟店3である食堂などでの支払いを,カードリーダ9に子カード6を挿入して,子カード6に記憶された子カードID情報を読み取ることで代金の支払い処理が行えるようにしてある。 【0014】 また,子カード情報管理センター4には,加盟店端末10からの子カード利用情報データを受信して,子カード6による決済情報を取りまとめる管理サーバ11が備えられている。 この管理サーバ11には,子カード6による決済情報を登録する子カード利用情報データベースがあり,このデータベースに子カード利用情報が蓄積される。 この管理サーバ11は,カード会員が子カード6を用いて加盟店3で代金支払いを行った場合にだけ機能するサーバであり,もしもカード会員が親カードであるクレジットカード5を用いて加盟店3での代金支払いを行った場合には,クレジットカード利用情報は直接,クレジットカード会社の決済サーバ8へと送信されるように構成される。 【0015】 カード会員が子カード6を用いて加盟店の店舗での代金精算を行った情報を,子カード情報管理センター4の管理サーバ11でベータベース化することで,各従業員が支払った食事代を調べることができるので,子カード6を導入する子カード導入企業2が従業員の食費代などの全部又は一部を後日にまとめて従業員に支払い還元することも可能にしてある。 【0016】 更に,子カード利用情報データは,子カード情報管理センター4の管理サーバ11からクレジットカード会社の決済サーバ8へと送信され,子カード6の親カードであるクレジットカード5に基づいた決算処理が行われる。 その後の処理は,通常のクレジットカードに基づいた処理と同様に,クレジットカード会社から加盟店への代金振込みが行われ,更に,カード会員のクレジット決済口座からクレジットカード会社への代金の引き落とし処理が行われる。 以上のように,本発明の子カードを利用した店舗代金精算方法では,カード会員が子カード6を用いて加盟店で支払った代金の子カード利用情報を,まず子カード情報管理センター4に送信し,その後にクレジットカード会社に送信するように構成されているので,子カード利用情報は,全て子カード情報管理センター4に蓄積されるようにしてある。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「ショップサーバ」は,商品購入を行うショップサーバであり,「ユーザ2Bはユーザ2Aに許可された商品をインターネット上のショップサーバから購入でき」ることから,引用発明の「インターネット上のショップサーバ」により商品を購入できる構成は,本願発明1の「電子ショッピングモール」に相当するといえる。 また,引用発明の「ユーザ2B」は,「ユーザ2Aに許可された商品をインターネット上のショップサーバから購入でき」,また,家族カードの副契約者であり,クレジットカード等の決済手段を所有するから,本願発明1の「第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員」に相当する。 そして,引用発明の「ユーザ2B」が,上記のとおり,「ユーザ2Aに許可された商品をインターネット上のショップサーバから購入」するために,「自己のモバイル端末3Bよりショップサーバにアクセスし,購入希望の商品を選択」することは,ショップサーバに商品の購入を申請するものであり,当該「商品を選択」し「決済サービスサーバに対して決済手段の利用認証の要求を行」うと,「決済サービスサーバ」は,「アクセスしてきた端末が登録されているモバイル端末3Bであるか認証した後,商品購入承認者であるユーザ2Aの情報とユーザ2Bの利用履歴および利用設定額を呼び出し」た後に,「ショップサーバに対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得」することから,「ユーザ2B」が上記「自己のモバイル端末3Bよりショップサーバにアクセスし,購入希望の商品を選択」した後に,「決済サービスサーバ」が,「ショップサーバに対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得」することは,本願発明1における「電子ショッピングモール」を介して「第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員による商品購入の申請」を受信することに相当するといえる。 そうすると,引用発明が,「ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bよりショップサーバにアクセスし,購入希望の商品を選択した上で,自身の所持する決済手段を用いての決済を選択し」,「決済サービスサーバに対して決済手段の利用認証の要求を行」った後に,「決済サービスサーバ」において「アクセスしてきた端末が登録されているモバイル端末3Bであるか認証した後,商品購入承認者であるユーザ2Aの情報とユーザ2Bの利用履歴および利用設定額を呼び出し」,その後,「ショップサーバに対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得」することは,本願発明1が,「電子ショッピングモールを介して,第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員による商品購入の申請を受信する受信手段」を備えることに相当するといえる。 イ.引用発明の「ユーザ2A」は,家族カードの主契約者であり,「ユーザ2Bは自己のモバイル端末3Bから決済サービスサーバにアクセスし,ユーザ2Aのモバイル端末3Aをモバイル端末3Bによる商品購入の承認端末として登録するよう要求し,決済サービスサーバでは認証部によってモバイル端末3Bが正当なものであるか否かを認証し,正当である場合には登録部によりデータベースにユーザ2Aおよびモバイル端末3Aを承認ユーザデータとして登録」されているから,本願発明1の「第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員」に相当し,また,引用発明の「ユーザ2A」が所有する「モバイル端末3A」は,本願発明1の「第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータ」に相当する。 そして,引用発明の「決済サービスサーバ」において,「ショップサーバに対してユーザ2Bの選択した商品に関する注文データを要求し,これを取得」したことを受けて,「購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3Aに対してユーザ2Bの選択した商品の購入承認確認を通知」することは,「ユーザ2B」が購入のため選択した商品の内容を通知することであるから,本願発明1における,「前記商品購入の申請内容を通知する」ことに相当する。 そうすると,後記する点で相違するものの,本願発明1が,「前記第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに,前記商品購入の申請内容を通知する申請内容通知手段であって,前記第2のクレジットカードは,前記第1のクレジットカードとは別に契約されたものである,申請内容通知手段」を備えることと,引用発明が,「購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3Aに対してユーザ2Bの選択した商品の購入承認確認を通知」することは,“前記第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに,前記商品購入の申請内容を通知する申請内容通知手段”を備える点で共通している。 ウ.引用発明の「決済サービスサーバ」は,「購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3Aに対してユーザ2Bの選択した商品の購入承認確認を通知」し,「モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可し」た場合に,「決済認証サーバに対しユーザ2Bの所有する決済手段のオーソリを要求し,決済認証サーバからオーソリの応答を受けると,モバイル端末3Bに対して決済結果を通知し,ショップサーバに対して決済結果を通知し,また,決済サービスサーバはモバイル端末3Aに対してユーザ2Bが注文予約した商品の決済結果を通知し,そして,ショップサーバはモバイル端末3Bに対し,注文した商品情報およびステータスを通知する」との決済処理を行うものであるから,「購入承認者であるユーザ2Aのモバイル端末3A」において「商品の購入承認」がなされたか否か,を当然に判定していると解される。 そうすると,引用発明が,「決済サービスサーバ」において,「モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可し」た場合に,上記決済処理を行うことは,本願発明1が,「前記第2のクレジットカード会員によって,前記申請内容が承認されたかどうかを判定する判定手段」を備えることに相当するといえる。 エ.引用発明の「決済サービスサーバ」において,上記ウ.の「モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可し」た場合に行われる,上記ウ.で摘記した決済処理は,「ユーザ2Bの所有する決済手段」すなわち「ユーザ2B」のクレジットカードのデータと,上記「許可」の対象である「商品の購入承認確認」の内容に基づいて行うものである。 そうすると,後記する点で相違するものの,本願発明1が,「前記申請内容が承認された場合に,前記第2のクレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なう決済処理手段」を備えることと,引用発明が,「モバイル端末3Aでは,この通知を確認した上で問題がなければ購入を許可し」た場合に,「決済サービスサーバ」において,上記ウ.で摘記した決済処理を行うことは,“前記申請内容が承認された場合に,クレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なう決済処理手段”を備える点で共通している。 オ.引用発明が,「決済システム」であることは,本願発明1が,「決済システム」であることに相当する。 カ.上記ア.ないしオ.の対比によれば,本願発明1と引用発明とは次の点で一致し,そして相違する。 [一致点] 電子ショッピングモールを介して,第1のクレジットカードの第1のクレジットカード会員による商品購入の申請を受信する受信手段と, 前記第1のクレジットカード会員にデータを介して紐付けられた,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに,前記商品購入の申請内容を通知する申請内容通知手段と, 前記第2のクレジットカード会員によって,前記申請内容が承認されたかどうかを判定する判定手段と, 前記申請内容が承認された場合に,クレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なう決済処理手段と を備えたことを特徴とする決済システム。 〈相違点1〉 「申請内容通知手段」における,第2のクレジットカードの第2のクレジットカード会員が利用する第2のコンピュータに対する通知処理に関して, 本願発明1は,「第2のクレジットカードは,前記第1のクレジットカードとは別に契約されたものである」のに対し, 引用発明は,そのような特定は行っていない点。 〈相違点2〉 「決済処理手段」における決済処理に関して, 本願発明1は,「第2のクレジットカードに係るデータ」に基づいて決済処理を行うのに対し, 引用発明は,「ユーザ2Bの所有する決済手段」,すなわち,「第1のクレジットカード会員のクレジットカード」に相当する決済手段で決済を行っている点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み,上記相違点1及び相違点2についてまとめて検討する。 上記相違点に係る本願発明1の構成によれば,「第1のクレジットカード会員」と「第2のクレジットカード会員」とは「データを介して紐付けられ」ているものの,上記「第1のクレジットカード会員」の「第1のクレジットカード」と上記「第2のクレジットカード会員」の「第2のクレジットカード」は「別に契約されたもの」であり,それを前提に,「第1のクレジットカード会員」による「商品購入」について「第2のクレジットカード会員によって」「申請内容が承認された場合」には,その決済を,「第2のクレジットカードに係るデータ」に基づいて行わせる,というものである。 それに対し,引用発明における「ユーザ2A」及び「ユーザ2B」は,「家族カードの場合,主契約者がユーザ2A,副契約者がユーザ2B」であり,この場合の「家族カード」とは「主契約者」と「副契約者」を有する契約という形態をとるものであることから,「ユーザ2B」は,「ユーザ2A」を主契約者とする「家族カード」契約の副契約者として契約されたものであるとの関係にあって,それを前提に,「ユーザ2B」による商品の購入について「ユーザ2A」が承認した場合の決済について,商品の購入者である「ユーザ2B」自身が「ユーザ2B」のクレジットカードに係るデータに基づいて行うものであり,それによって,「主契約者」と「副契約者」による「家族カード」としての効果を決済でも奏しているものと解される。そうすると,そのような引用発明において,あえて「ユーザ2A」と「ユーザ2B」とを「別に契約されたもの」とすると,上記「家族カード」としての効果を損なうことになるから,引用発明において,「ユーザ2A」と「ユーザ2B」とを「別に契約されたもの」としつつ,「ユーザ2B」による商品の購入について「ユーザ2A」が承認した場合の決済を,上記「ユーザ2A」のクレジットカードに係るデータに基づき行うように変更することには,動機付けがあるとはいえず,また,単なる設計変更によりなし得たものとすることはできない。 してみると,引用文献2ないし6に記載された事項を参酌しても,引用発明に基づいて,相違点1及び2に係る構成とすることは,当業者が容易になし得ることであるとはいえない。 したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-8について 本願発明2-6は,本願発明1を更に限定したものであるので,同様に,当業者であっても引用発明,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また,本願発明7,8は,本願発明1を別のカテゴリーで表現するものであり,同様に,当業者であっても引用発明,及び,周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成30年2月1日付けの手続補正により,本願発明1-8は「前記第2のクレジットカードは,前記第1のクレジットカードとは別に契約されたものである」,及び,「前記申請内容が承認された場合に,前記第2のクレジットカードに係るデータおよび前記申請内容に基づいて決済処理を行なう」という事項を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1?7(上記第5における,引用文献1,A,2?6)に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,本願発明1-8は,当業者が引用文献1?6,Aに記載された技術的事項,及び,周知技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 したがって,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-03-06 |
出願番号 | 特願2015-24219(P2015-24219) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 青木 重徳、行田 悦資 |
特許庁審判長 |
辻本 泰隆 |
特許庁審判官 |
仲間 晃 須田 勝巳 |
発明の名称 | 決済システム、決済方法及びプログラム |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |