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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1337981
審判番号 不服2016-17239  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-18 
確定日 2018-03-07 
事件の表示 特願2015-521870「コンテンツ転送および配信におけるコンテンツ暗号化および権利管理のシグナリングおよびハンドリング」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月16日国際公開,WO2014/012073,平成27年 8月13日国内公表,特表2015-523816〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2013年7月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年7月13日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,
平成27年2月27日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,同日付けで審査請求がなされると共に手続補正がなされ,平成28年2月22日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成28年5月30日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成28年7月12日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;平成28年7月19日),これに対して平成28年11月18日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成28年12月21日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされたものである。

第2.平成28年11月18日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成28年11月18日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成28年11月18日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成28年5月30日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
プロセッサと,を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって,前記保護記述は,暗号鍵毎に,暗号鍵ロケーションおよび初期化ベクトルサイズを識別するデータをさらに含む
装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって,前記少なくとも2つのコンテンツ項目は,共通暗号アルゴリズムを使用して暗号化される,
装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって,前記保護記述は,ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)上の動的適応型ストリーミング(DASH)または動画像専門家グループ(MPEG)メディア転送(MMT)プロトコルを使用して取得される,
装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置であって,前記データは,前記少なくとも2つのコンテンツ項目を処理するために必要とされる少なくとも1つのシステムを識別し,前記システムは,デジタル権利管理(DRM)システム,コンテンツ保護システム,および鍵管理システムからなるグループから選択される,
装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置であって,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の第1の部分は第1のソースから発生し,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の第2の部分は第2のソースから発生する,
装置。
【請求項7】
コンピュータ実行可能な命令を備えるコンピュータプログラムであって,該命令は,非一時的なコンピュータ可読媒体に格納され,プロセッサによって実行されるとき,ネットワーク要素(NE)に,
メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得させ,ここで,前記メディアコンテンツは複数の暗号化されたコンテンツ項目を含み,前記保護記述は,メディア記述の中に記述された少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵をシグナリングするデータを含み,前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,
前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記データから前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定させ,
前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理させる,
コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムであって,前記保護記述は,暗号アルゴリズム,暗号鍵ロケーション,初期化ベクトル,初期化ベクトルロケーション,デジタル権利ライセンス,およびデジタル権利ライセンスロケーションからなるグループから選択される保護メカニズムをシグナリングするデータをさらに含む,
コンピュータプログラム。
【請求項9】
方法であって,
少なくとも2つのコンテンツ項目を含むメディアコンテンツであり,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっている,メディアコンテンツを取得するステップと,
前記メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを作成するステップであり,前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含む,作成するステップと,
前記マニフェストファイルおよび前記メディアコンテンツをクライアントに送信するステップと,を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって,前記保護記述は,前記少なくとも2つの暗号鍵に関連付けられた,暗号化システムと,鍵管理システムと,単一の期間に対する初期化ベクトル(IV)情報と,いくつかの固定長期間に対するIV情報とのうちの少なくとも1つを前記クライアントに示すために十分なデータを含む,
方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって,前記保護記述は,期間に関連付けられた鍵ユニフォーム・リソース識別子(URI)をシグナリングするために十分なデータを含み,前記鍵URIは鍵リソースを取り出すために使用可能である,
方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法であって,前記保護記述は,メディアプレゼンテーションのための全期間で使用される保護メカニズムのグローバルプロパティを記述するデータを含み,または,前記保護記述は,メディアプレゼンテーションのための全期間で使用される鍵システムの前記グローバルプロパティを記述するデータを含む,
方法。
【請求項13】
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであって,
少なくとも2つのコンテンツ項目を含むメディアコンテンツであり,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっている,メディアコンテンツを取得し,
前記メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを作成し,ここで,前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含み,
前記マニフェストファイルおよび前記メディアコンテンツをクライアントに送信するように構成された,
プロセッサと,を備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって,前記コンテンツ項目の少なくとも一部分は第1のソースから取得され,前記コンテンツ項目の少なくとも一部分は第2のソースから取得される,
装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の装置であって,前記保護記述は,ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)上の動的適応型ストリーミング(DASH)または動画像専門家グループ(MPEG)メディア転送(MMT)プロトコルを使用して送信される,
装置。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
プロセッサと,を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって,前記保護記述は,暗号鍵毎に,暗号鍵ロケーションおよび初期化ベクトルサイズを識別するデータをさらに含む
装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって,前記少なくとも2つのコンテンツ項目は,共通暗号アルゴリズムを使用して暗号化される,
装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって,前記保護記述は,ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)上の動的適応型ストリーミング(DASH)または動画像専門家グループ(MPEG)メディア転送(MMT)プロトコルを使用して取得される,
装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置であって,前記データは,前記少なくとも2つのコンテンツ項目を処理するために必要とされる少なくとも1つのシステムを識別し,前記システムは,デジタル権利管理(DRM)システム,コンテンツ保護システム,および鍵管理システムからなるグループから選択される,
装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置であって,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の第1の部分は第1のソースから発生し,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の第2の部分は第2のソースから発生する,
装置。
【請求項7】
コンピュータ実行可能な命令を備えるコンピュータプログラムであって,該命令は,非一時的なコンピュータ可読媒体に格納され,プロセッサによって実行されるとき,ネットワーク要素(NE)に,
メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得させ,ここで,前記メディアコンテンツは複数の暗号化されたコンテンツ項目を含み,前記保護記述は,メディア記述の中に記述された少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵をシグナリングするデータを含み,前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み,
前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記データから前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定させ,
前記少なくとも2つの暗号化されたコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理させる,
コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムであって,前記保護記述は,暗号アルゴリズム,暗号鍵ロケーション,初期化ベクトル,初期化ベクトルロケーション,デジタル権利ライセンス,およびデジタル権利ライセンスロケーションからなるグループから選択される保護メカニズムをシグナリングするデータをさらに含む,
コンピュータプログラム。
【請求項9】
方法であって,
少なくとも2つのコンテンツ項目を含むメディアコンテンツであり,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない,メディアコンテンツを取得するステップと,
前記メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを作成するステップであり,前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含み,前記データは,複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含む,作成するステップと,
前記マニフェストファイルおよび前記メディアコンテンツをクライアントに送信するステップと,を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって,前記保護記述は,前記少なくとも2つの暗号鍵に関連付けられた,暗号化システムと,鍵管理システムと,単一の期間に対する初期化ベクトル(IV)情報と,いくつかの固定長期間に対するIV情報とのうちの少なくとも1つを前記クライアントに示すために十分なデータを含む,
方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって,前記保護記述は,期間に関連付けられた鍵ユニフォーム・リソース識別子(URI)をシグナリングするために十分なデータを含み,前記鍵URIは鍵リソースを取り出すために使用可能である,
方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法であって,前記保護記述は,メディアプレゼンテーションのための全期間で使用される保護メカニズムのグローバルプロパティを記述するデータを含み,または,前記保護記述は,メディアプレゼンテーションのための全期間で使用される鍵システムの前記グローバルプロパティを記述するデータを含む,
方法。
【請求項13】
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであって,
少なくとも2つのコンテンツ項目を含むメディアコンテンツであり,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない,メディアコンテンツを取得し,
前記メディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを作成し,ここで,前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含み,前記データは,複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み,
前記マニフェストファイルおよび前記メディアコンテンツをクライアントに送信するように構成された,
プロセッサと,を備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって,前記コンテンツ項目の少なくとも一部分は第1のソースから取得され,前記コンテンツ項目の少なくとも一部分は第2のソースから取得される,
装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の装置であって,前記保護記述は,ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)上の動的適応型ストリーミング(DASH)または動画像専門家グループ(MPEG)メディア転送(MMT)プロトコルを使用して送信される,
装置。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
(1)新規事項,及び,目的要件について
本件手続補正は,補正前の請求項1,及び,補正前の請求項7に,
「異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず、前記データは、前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み」,
という記載を加え,補正後の請求項1,及び,補正後の請求項7とし,
補正前の請求項9の,
「前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっている,メディアコンテンツを取得するステップ」,
という記載を,
「前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない,メディアコンテンツを取得するステップ」,
と補正し,同じく,補正前の請求項9の,
「前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含む,作成するステップ」,
という記載を,
「前記保護記述は前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵をシグナリングするために十分なデータを含み,前記データは,複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含む,作成するステップ」,
と補正して,補正後の請求項9とし,
補正前の請求項13の,
「前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっている、メディアコンテンツを取得し」,
という記載を,
「前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない,メディアコンテンツを取得し」,
と補正し,加えて,補正前の請求項13に,
「前記データは,複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み」,
という記載を付加して,補正後の請求項13とするものである。
上記指摘の本件手続補正における,補正前の請求項1,補正前の請求項7,補正前の請求項9,及び,補正前の請求項13に対する補正事項は,各請求項における発明特定事項である,「コンテンツ項目」,及び,「メディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータ」を限定するものであるといえる。
そして,当該補正事項は,平成27年2月27日付けで提出された明細書,請求の範囲の日本語による翻訳文,及び,国際出願の願書に添付した図面(以下,これを「当初明細書等」という)の段落【0007】の,
「少なくとも2つのコンテンツ項目の各々が少なくとも2つの保護メカニズムのうちの1つ以上によって保護され,少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための保護メカニズムが異なっている」(下線は,当審にて,説明の都合上,付加したものである。以下,同じ。),
という記載,同じく,段落【0025】の,
「DASHは,様々な形式のコンテンツ保護をさらにサポートし得る。たとえば,セグメント(群)は,暗号化され得,MPDは,ユーザへのプレゼンテーション前に各セグメントを解読および/または認証するためにクライアントによって使用され得る情報を含み得る」,
という記載,同じく,段落【0027】の,
「コンテンツ保護記述子は,零個以上の暗号期間要素および/または暗号タイムライン要素を含み得る。各メディアセグメントは,零または1個の暗号期間に関連付けられ得,暗号期間が関連付けられていないセグメントは,暗号化されないことがあり得る。暗号期間において,セグメントは,同じ鍵/IVペアを用いて暗号化され得る。暗号期間のプロパティは,鍵,IV,最初のセグメント番号,および最後のセグメント番号を含み得る」,
という記載,同じく,段落【0029】の,
「関連するセグメントを解読するために必要とされる鍵を識別し得る一意の鍵識別子を識別するフィールド,を追加することにより,既存のシグナリングメカニズムを拡張し得る実施形態を含む」,
という記載,及び,同じく,段落【0029】の,
「開示された実施形態のうちの1つ以上を使用することは,たとえば,CENCによって暗号化され,そして,たとえば,DASH MPD,および/または,MMT複合情報および転送特性の範囲内で関係するメタデータを指定するための内部フォーマットおよび構造を考慮することなしに完全に暗号化されることはないコンテンツ項目(たとえば,DASHセグメント,MPEGメディア転送(MMT)パッケージ,MMTアセット,MMTフラグメントなど)をシグナリングすることをさらにサポートし得る」,
という記載から,
補正前の請求項1,補正前の請求項7,補正前の請求項9,及び,補正前の請求項13に加えられた,
「少なくとも2つのコンテンツ項目の各々のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない」,
という記載内容と,
「データは,複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含」むという記載内容を読み取ることが,一応,可能であるので,
本件手続補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものであるので,
特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満たし,
上述のとおり,特許請求の範囲の補正前の請求項1,補正前の請求項7,補正前の請求項9,及び,補正前の請求項13の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)を目的とするものであるといえるので,
特許法特許法第17条の2第5項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

(2)独立特許要件について
ア.補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
プロセッサと,を備える装置。」

イ.引用刊行物に記載の事項
原審が,平成28年2月22日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用した,本願の第1国出願前に既に公知である,米国特許出願公開第2012/0017282号明細書(2012年1月19日公開,以下,これを「引用刊行物」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「[0047] FIGS.10 and 11 are diagrams illustrating MPD information for supporting multiple DRM systems on a representation basis, according to an embodiment of the present invention;」
(図10,及び,図11は,本発明の実施例に従って,表示基準における,複合DRMシステムをサポートするための,MPD情報を説明する図である;<当審にて訳出。以下,同じ。>)

B.「[0085] Also, in accordance with an embodiment of the present invention, when an adaptive streaming service is provided, a license corresponding to each of multiple DRM systems may be generated for each period of the content. Specifically, the entire length of specific content may be divided into multiple periods, and a license corresponding to each of the periods may be generated depending on the scheme of each of the multiple DRM systems. Although the encryption key and the access rights to content, included in each of multiple licenses corresponding to a specific period, are the same, information included in the licenses corresponding to each period may be either the same or different.」
([0085] また,本発明の実施例に従って,適応ストリーミング・サービスが提供されると,複合DRMシステムの,それぞれに対応するライセンスが,コンテンツのそれぞれの期間毎に,生成され得る。具体的には,個々のコンテンツの全体の長さが,複数の期間に分割され得,それら期間のそれぞれに対応するライセンスが,複合DRMシステムの,それぞれのスキームに従って,生成され得る。特定の期間に対応する複合ライセンスに含まれる,暗号鍵,及び,コンテンツのアクセス権が,同一ではあるが,それぞれの期間に対応するライセンスに含まれる情報は,同じであるか,異なっているかである。)

C.「[0096] FIG.5 is a diagram illustrating a structure of the content service server 300, according to an embodiment of the present invention. The content service server 300 may include an MPD information generator 310 having content protection information, and a communication unit 320 for exchanging various data with the user terminal 100 and/or the first and second DRM service servers 200 and 250. The MPD information generator 310 changes the content protection information received from the first and second DRM service servers 200 and 250 into the format that user terminals may handle, and includes the resulting information in the MPD information described in greater detail below.
[0097] FIG.6 illustrates a structure of the user terminal 100, according to an embodiment of the present invention.
[0098] Referring to FIG.6, the user terminal 100 includes a content handler 110, an MPD parser module 120, a bandwidth monitor 130, a representation selector 140, a DRM selector 150, a DRM installer 160, a DRM agent 170, a decryptor 180, a transceiver 190, and a memory 195.
[0099] The content handler 110 performs the functions of the user terminal 100 by controlling the following components.
[0100] The transceiver 190 exchanges messages and/or data with the network or other devices. The transceiver 190 delivers the received messages and/or data to the content handler 110, and transmits the data and/or messages provided from the content handler 110 to the network entities or devices.
[0101] The memory 195 stores programs, reference data, various updatable archival data, etc., used to handle and control the user terminal 100.
[0102] The MPD parser module 120, under control of the content handler 110, generates a DRM object for content protection information by parsing an MPD node of the MPD information that is received from the content service server 300 through the transceiver 190. The MPD parser module 120 delivers the parsed MPD information to the content handler 110. The content handler 110 delivers the MPD information to the representation selector 140.
[0103] The bandwidth monitor 130 checks a network bandwidth by monitoring the network state, and delivers it to the representation selector 140, thereby providing the criteria for representation selection.
[0104] The DRM selector 150 selects a proper DRM system to be used to play the content to which multiple DRM systems are applied, based on the information about the installation of the DRM system of the user terminal 100, the performance of the user terminal 100, and the DRM selection criteria. The DRM selection criteria may be set in various different ways. For example, the DRM selection criteria may include at least one of the DRM system presently installed in the user terminal 100, the DRM system preferred by the service provider providing content, and the DRM system preferred by the user.
[0105] The representation selector 140 selects a representation of a proper level by referring to and comparing the network bandwidths, the DRM selection criteria, and information about one or more representations included in the MPD information.
[0106] The information about the DRM system determined by the DRM selector 150, and the information about the representation selected by the representation selector 140 are delivered to the content handler 110.
[0107] The DRM installer 160, under control of the content handler 110, downloads and installs a DRM system module, if a DRM agent corresponding to the DRM system selected by the DRM selector 150 is not installed in the user terminal 100. The DRM installer 160 may proceed with a procedure for authenticating the first and second DRM service servers 200 and 250 by generating performance information and security verification information of the user terminal 100. The DRM agent 170, under control of the content handler 110, performs a protocol for acquiring a license, and allows the content to be played according to the acquired license. Specifically, the DRM agent 170 acquires a license by its license manager 171 and manages the acquired license. Based on the access rights included in the license, the DRM agent 170 allows the content to be played by the user terminal 100, and delivers the encryption key included in the license to the decryptor 180.
[0108] The DRM agent 170 is distinguishable according to the type of the DRM system, and other DRM agents may be added by the DRM installer 160.
[0109] The decryptor 180, under control of the content handler 110, decrypts the encrypted content data based on the encryption key information in the license, and the encryption information (e.g., an initial vector and an encryption algorithm) described in the MPD information. The decrypted content data is played by a multimedia player under control of the content handler 110.」
([0096] 図5は,本発明の実施例に従う,コンテンツ・サービス・サーバ300の構造を示す,略図である。コンテンツ・サービス・サーバ300は,コンテンツ保護情報を有する,MPD情報生成器310と,ユーザ端末100,及び/または,第1,第2のDRMサービス・サーバ200,250との,種々のデータ交換のための通信ユニット320とを有し得る。MPD情報生成器310は,ユーザ端末で扱い得るフォーマットで,第1,第2DRMサービス・サーバ200,250から受信した,コンテンツ保護情報を変換し,以下に詳述する生成器において記述された,MPD情報における,結果である情報を含む。
[0097] 図6は,本発明の実施例に従う,ユーザ端末100の構造が示されている。
[0098] 図6を参照すると,ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を含む。
[0099] コンテンツ・ハンドラ110は,以下のコンポーネントを制御するための,ユーザ端末の機能を実行する。
[0100] 通信器190は,ネットワーク,或いは,他のデバイスと,メッセージ,及び/または,データを交換する。通信器190は,コンテンツ・ハンドラ110へ送信されるメッセージ,及び/または,データを供給し,コンテンツ・ハンドラ110から供給されるデータ,及び/または,メッセージを,ネットワーク・エンティティ,或いは,デバイスへ,転送する。
[0101] メモリ195は,ユーザ端末100を操作,及び,制御するために用いられる,プログラム,参照データ,種々の更新可能な,アーカイバル・データを格納する。
[0102] MPDパーサ・モジュール120は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下で,通信器190を介して,コンテンツ・サービス・サーバ300から受信される,MPD情報のMPDノードを解析することで,コンテンツ保護情報のためのDRMオブジェクトを生成する。コンテンツ・ハンドラ110は,表示選択器140に,MPD情報を供給する。
[0103] 帯域幅モニタ130は,ネットワークの状態を監視することで,ネットワークの帯域幅を検査し,それによって,表示選択のための基準を備えることになる,ネットワークの帯域幅を,表示選択器140に供給する。
[0104] DRM選択器150は,ユーザ端末100のDRMシステムの設定,ユーザ端末の性能,及び,DRMの選択基準に基づいて,複合DRMシステムが適用された,コンテンツを再生するために用いられる,適切なDRMシステムを選択する。DRMの選択基準は,種々の異なる手法において設定される得る。例えば,DRMの選択基準は,ユーザ端末に現在インストールされている,そのDRMシステムが,サービス・プロバイダが用意するコンテンツにとって望ましく,そして,ユーザにとって望ましいような,DRMシステムの一つを,少なくとも含む。
[0105] 表示選択器140は,ネットワークの帯域幅,DRMの選択基準,及び,MPD情報に含まれる,1以上の表示についての情報を,参照,及び,比較することで,適切なレベルの表示を選択する。
[0106] DRM選択器150によって決定される,DRMシステムについての情報,及び表示選択器140によって選択された表示についての情報は,コンテンツ・ハンドラ110に送信される。
[0107] DRMインストーラ160は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,もし,DRM選択器150によって選択されたDRMシステムに関連するDRMエージェントが,インストールされていなければ,DRMシステムモジュールを,ダウンロードして,インストールする。DRMインストーラ160は,ユーザ端末100の生成能力情報,及び,セキュリティ検証情報により,第1,第2DRMサービス・サーバ200,250を認証することのための手続を開始する。DRMエージェント170は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,ライセンス取得のプロトコルを実行し,取得したライセンスに従って,コンテンツが再生されることを許可する。特に,DRMエージェント170は,ライセンス・マネージャ171によって,ライセンスを取得し,取得したライセンスを管理する。ライセンスに含まれるアクセス権に基づいて,DRMエージェント170は,ユーザ端末において,コンテンツが再生されることを許可し,復号器180に,ライセンスに含まれている暗号鍵を供給する。
[0108] DRMエージェント170は,DRMシステムのタイプの違いに従って区別することができ,そして,他のDRMエージェントが,DRMインストーラ160によって,加えられ得る。
[0109] 復号器180は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,ライセンス内の暗号鍵情報と,MPD情報に記述された暗号情報(例えば,初期ベクタ,及び,暗号アルゴリズム)に基づいて,暗号化されたコンテンツ情報を復号する。復号されたコンテンツ情報は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下で,マルチメディア・プレーヤによって,再生される。)

D.「[0134] Referring to FIG.9, although streaming data of specific content is applied the OMA DRM system and the Marlin DRM system in a specific period regardless of the network bandwidths R1, R2 and R3, encryption keys key_a, key_b, and key_c included in licenses corresponding to the network bandwidths R1, R2 and R3 are different from one another. Specifically, an encryption key corresponding to the first network bandwidth R1 is key_a, an encryption key corresponding to the second network bandwidth R2 is key_b, and an encryption key corresponding to the third network bandwidth R3 is key_c.
[0135] If a subscription level is “mid”, a license, from which key_b can be calculated as illustrated in FIG.9, may not be acquired. If a server device provides encryption keys by managing keys using a hash chain as in Equation(1) below and 610 of FIG.9, a subscription level of “mid” may make it possible to decrypt even the encrypted streaming data corresponding to representations whose bitrates are lower than that of the subscription level of “mid”.

Key_a,

Key_b=Hash(Key_a),

Key_c=Hash(Key_b)=Hash(Hash(Key_a)) (1) 」
([0134] 図9を参照すると,個別のコンテンツのストリーミング・データが,ネットワーク帯域幅,R1,R2,及び,R3に関わらず,個々の期間において,OMA DRMシステム,及び,マーリンDRMシステムが適用されているとしても,ネットワーク帯域幅,R1,R2,及び,R3に関連するライセンスに含まれる暗号鍵,鍵a,鍵b,及び,鍵cは,互いに異なっている。具体的には,第1のネットワークの帯域幅R1に関連する暗号鍵は,鍵aであり,第2のネットワークの帯域幅R2に関連する暗号鍵は,鍵bであり,そして,第3のネットワークの帯域幅R3に関連する暗号鍵は,鍵cである。
[0135] もし,承諾レベルが,“中”であるとすれば,図9に示すように,鍵bが計算され得る,ライセンスが取得されることはないであろう。もし,サーバ・デバイスが,以下,及び,図9の610の式(1)にあるような,ハッシュ・チェーンを用いて,鍵を管理することで,暗号鍵を備えるのあれば,“中”の承諾レベルは,ビットレートが,“中”の承諾レベルより低い描写に関連する,一定の暗号化されたストリーミング・データを,復号することが可能となる。

Key_a,
Key_b=Hash(Key_a),
Key_c=Hash(Key_b)=Hash(Hash(Key_a)) (1))

E.「[0137] FIGS.10 and 11 illustrate examples of MPD information for supporting multiple DRM systems on a representation basis, according to an embodiment of the present invention. FIG.12 illustrates an example of supporting multiple DRM systems on a representation basis and a period basis, according to the embodiment of the present invention shown in FIGS.10 and 11.
[0138] For decryption of encrypted segments, information about an applied algorithm, an initial vector, etc. should be provided together. In FIGS.10 and 11, period identification information corresponding to a representation, to which its representation information is applied, is represented by “periodlD” 710, and network bandwidth identification information is represented by “bandwidthT” 720.
[0139] Content protection information 730 includes DRM identification information “schemeldUri”, DRM download information “downloadableDRMURI”, and license acquisition information “licenseUri”.
[0140] Representation information in FIGS.10 and 11 include encryption information “Encryption Info type” 740 and 750, respectively. For decryption of encrypted segments, the encryption information includes information about an applied algorithm, an initial vector, etc.
[0141] In FIG.10, an initial vector is provided as segment-by-segment encryption information “Encryption Info” 730. (当審注;750の誤記と解される)Encrypting only the data classified as samples, except for the meta information, in segments with a segment-by-segment algorithm and an initial vector application method is used as an implicit rule. An initial value except for the initial vector of a first segment means a ciphertext value for the final block of the last sample of the previous segment. This performs a function of providing information so as to make it possible to quickly perform random access on a segment basis.
[0142] In FIG.11, sample-by-sample encryption information “Encryption Info” 750 is provided, in which a link for acquiring an initial vector bundle is specified. This method of applying initial vectors in units of sample data in segments is a specific method of acquiring information corresponding to an initial vector bundle based on a URI when the number of samples is large or unspecified. The embodiments of the present invention enable sample-by-sample random access even for the encrypted streaming data because it calculates initial vectors on a sample basis. By specifying an initial vector in “SampleEncryptionInfo” instead of URI as an attribute, a method may be provided in which a client performs segment-level decryption by parsing MPD information without access to additional URIs.
[0143] Embodiments of the present invention may be applied to technologies such as recording (storing and converting) of streaming data, because it is consistent with the existing file format (PIFF by MS company) supporting multiple DRM systems.
[0144] Additional elements and attributes of the embodiments of the present invention are described in greater detail below.
[0145] “LicenseUri” represents a URI where a client may acquire a license for obtaining a content encryption key.
[0146] “EmbeddedLicense” indicates that DRM-specific license information is included or embedded in MPD information, unlike “LicenseUri” that causes the client to acquire a license using an external URI.
[0147] The pair of “segRef” and “refNum” provide a link indicating to which segment the initial vector and the “SampleEncryptionInfo” correspond.」
([0137] 図10,及び,図11は,本発明の実施例に従う,表示基準において,複合DRMシステムをサポートするためのMPD情報の例を示している。図12は,図10,及び,図11に示される,本発明の実施例に従う,表示基準,及び,期間基準において,複合DRMシステムをサポートするための例が示されている。
[0138] 暗号化されたセグメントの復号のため,適用されたアルゴリズム,初期ベクタなどの情報が,共に,準備されなければならない。図10,及び,図11において,表示情報に適用された,表示に関連する,期間識別情報“期間ID”710によって,表現され,ネットワークの帯域幅識別情報が,“帯域幅T”720によって,表現される。
[0139] コンテンツ保護情報730は,DRM識別情報“スキームldUri”,DRMダウンロード情報“ダウンローダブルDRMURI”,及び,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含む。
[0140] 図10,及び,図11における,表示情報は,暗号情報“暗号Infoタイプ”740,及び,750を,それぞれ有する。暗号化されたセグメントの復号のために,暗号情報は,適応されたアルゴリズム,初期ベクタなどの情報を含む。
[0141] 図10において,初期ベクタは,セグメント毎の,暗号情報“暗号Info”730に備えられている。セグメント毎のアルゴリズムと,初期ベクタ・アプリケーション・メソッドにより,セグメントにおいて,メタ情報を除いて,サンプルとして分類されたデータのみを暗号化することは,暗黙のルールとして用いられる。初期値は,最初のセグメントの初期ベクタを除けば,前のセグメントの最後のサンプルの最終ブロックのための暗号テキスト値を意味する。これは,セグメント・ベースで,高速にランダムアクセスを行うことが可能となるように,情報が有している関数を実行する。
[0142] 11図において,サンプル毎の,暗号情報“暗号Info”750は,初期ベクタの束を取得するためのリンクが特定されるように,与えられる。セグメントにおける,サンプル・データ単位において,初期ベクタを適用する方法は,サンプルが,大きいか,取得されていないときに,URIに基づいて,初期ベクタの束に対応する情報を取得する,具体的な方法である。本発明の実施例においては,サンプル基礎で,初期ベクタを計算するので,暗号化されたストリーミング・データであっても,サンプル毎に,ランダム・アクセスすることができる。特性として,URIの代わりに“サンプル暗号Info”において,初期ベクタを規定しているので,方法は,クライアントが,附加的なURIにアクセスすることなく,MPD情報を解析することで,セグメント・レベルの復号をするを,備え得る。
[0143] 本発明の実施例は,複合DRMシステムをサポートする,既存のファイル・フォーマット(マイクロソフト社のPIFF)と合致するので,ストリーミング・データの記録(格納,変換)といった技術を,適用され得る。
[0144] 本発明の実施例の追加の要素,及び,特性は,以下に,今まで以上に,説明される。
[0145] “ライセンスUri”は,クライアントが,コンテンツ暗号鍵を得ることのために,ライセンスを取得し得る場所である,URIを表している。
[0146] “埋め込まれたライセンス”は,クライアントに,外部のURIを用いて,ライセンスを取得させる,“ライセンスUri”とは異なる,MPD情報に含まれている,或いは,埋め込まれているDRM-固有ライセンス情報を示している。
[0147] “segRef”,及び,“refNum”の組は,初期ベクタを分割し,“サンプル暗号Info”に対応するものであることを示すリンクを備える。)

F.「



G.「



H.「



ウ.引用刊行物に記載の発明
(ア)上記Cの「[0097] FIG.6 illustrates a structure of the user terminal 100, according to an embodiment of the present invention.
[0098] Referring to FIG.6, the user terminal 100 includes a content handler 110, an MPD parser module 120, a bandwidth monitor 130, a representation selector 140, a DRM selector 150, a DRM installer 160, a DRM agent 170, a decryptor 180, a transceiver 190, and a memory 195.
([0097] 図6は,本発明の実施例に従う,ユーザ端末100の構造が示されている。
[0098] 図6を参照すると,ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を含む。)」という記載から,引用刊行物においては,
“ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を有する”
ことが読み取れる。

(イ)上記Cの「[0099] The content handler 110 performs the functions of the user terminal 100 by controlling the following components.([0099] コンテンツ・ハンドラ110は,以下のコンポーネントを制御するための,ユーザ端末の機能を実行する。)」という記載,同じく,上記Cの「[0100] The transceiver 190 exchanges messages and/or data with the network or other devices. The transceiver 190 delivers the received messages and/or data to the content handler 110, and transmits the data and/or messages provided from the content handler 110 to the network entities or devices.([0100] 通信器190は,ネットワーク,或いは,他のデバイスと,メッセージ,及び/または,データを交換する。通信器190は,コンテンツ・ハンドラ110へ送信されるメッセージ,及び/または,データを供給し,コンテンツ・ハンドラ110から供給されるデータ,及び/または,メッセージを,ネットワーク・エンティティ,或いは,デバイスへ,転送する。)」という記載,及び,同じく,上記Cの「[0102] The MPD parser module 120, under control of the content handler 110, generates a DRM object for content protection information by parsing an MPD node of the MPD information that is received from the content service server 300 through the transceiver 190. The MPD parser module 120 delivers the parsed MPD information to the content handler 110. The content handler 110 delivers the MPD information to the representation selector 140.([0102] MPDパーサ・モジュール120は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下で,通信器190を介して,コンテンツ・サービス・サーバ300から受信される,MPD情報のMPDノードを解析することで,コンテンツ保護情報のためのDRMオブジェクトを生成する。コンテンツ・ハンドラ110は,表示選択器140に,MPD情報を供給する。)」という記載から,引用刊行物においては,
“コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,通信器190が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,MPD情報を受信し,MPDパーサ・モジュール120が,前記MPD情報のMPDノードを解析することで,コンテンツ保護情報のためのDRMオブジェクトを生成する”ことが読み取れ,同じく,上記Cの「[0101] The memory 195 stores programs, reference data, various updatable archival data, etc., used to handle and control the user terminal 100.([0101] メモリ195は,ユーザ端末100を操作,及び,制御するために用いられる,プログラム,参照データ,種々の更新可能な,アーカイバル・データを格納する。)」という記載と,上記において引用した,上記Cの他の記載内容から,引用刊行物においては,
“コンテンツ・ハンドラ110が制御するための,プログラム等は,メモリ195が格納している”ことが読み取れるので,このことから,引用刊行物においては,
“コンテンツ・ハンドラ110は,メモリ195に結合されている”
ことが読み取れる。

(ウ)上記Bの「the entire length of specific content may be divided into multiple periods, and a license corresponding to each of the periods may be generated depending on the scheme of each of the multiple DRM systems.(個々のコンテンツの全体の長さが,複数の期間に分割され得,それら期間のそれぞれに対応するライセンスが,複合DRMシステムの,それぞれのスキームに従って,生成され得る。)」という記載,同じく,上記Bの「information included in the licenses corresponding to each period may be either the same or different.(それぞれの期間に対応するライセンスに含まれる情報は,同じであるか,異なっているかである。)」という記載から,引用刊行物においては,
“コンテンツは,複数の期間に分割され,それらの期間のそれぞれには,ライセンスの異なる情報が対応する”
という態様を含むものであることが読み取れる。

(エ)上記Aの「FIGS.10 and 11 are diagrams illustrating MPD information for supporting multiple DRM systems on a representation basis, according to an embodiment of the present invention;(図10,及び,図11は,本発明の実施例に従って,表示基準における,複合DRMシステムをサポートするための,MPD情報を説明する図である;)」という記載,上記Eの「FIGS.10 and 11 illustrate examples of MPD information for supporting multiple DRM systems on a representation basis, according to an embodiment of the present invention. FIG.12 illustrates an example of supporting multiple DRM systems on a representation basis and a period basis, according to the embodiment of the present invention shown in FIGS.10 and 11.(図10,及び,図11は,本発明の実施例に従う,表示基準において,複合DRMシステムをサポートするためのMPD情報の例を示している。図12は,図10,及び,図11に示される,本発明の実施例に従う,表示基準,及び,期間基準において,複合DRMシステムをサポートするための例が示されている。)」という記載,同じく,上記Eの「For decryption of encrypted segments, information about an applied algorithm, an initial vector, etc. should be provided together. In FIGS.10 and 11, period identification information corresponding to a representation, to which its representation information is applied, is represented by “periodlD” 710(暗号化されたセグメントの復号のため,適用されたアルゴリズム,初期ベクタなどの情報が,共に,準備されなければならない。図10,及び,図11において,表示情報に適用された,表示に関連する,期間識別情報“期間ID”710によって,表現され)」という記載と,上記Hに引用した,図12に開示された事項,及び,上記(ウ)において検討した事項から,引用刊行物における「コンテンツ」は,複数の「期間」に分割され,各「期間」は,上記に引用した,Eの記載内容から,「期間ID」によって識別されるものであることが読み取れ,更に,上記で引用したEの記載内容と,上記Eの「Representation information in FIGS.10 and 11 include encryption information “Encryption Info type” 740 and 750, respectively. For decryption of encrypted segments, the encryption information includes information about an applied algorithm, an initial vector, etc.(図10,及び,図11における,表示情報は,暗号情報“暗号Infoタイプ”740,及び,750を,それぞれ有する。暗号化されたセグメントの復号のために,暗号情報は,適応されたアルゴリズム,初期ベクタなどの情報を含む。)」という記載,同じく,上記Eの「In FIG.10, an initial vector is provided as segment-by-segment encryption information “Encryption Info” 730. (図10において,初期ベクタは,セグメント毎の,暗号情報“暗号Info”730に備えられている。)」という記載と,上記Gに引用した,図11に開示の事項とから,引用刊行物においては,
“MPD情報は,コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有する”
ものであることが読み取れる。

(オ)上記(イ)にも引用した,上記Cの「[0102] The MPD parser module 120, under control of the content handler 110, generates a DRM object for content protection information by parsing an MPD node of the MPD information that is received from the content service server 300 through the transceiver 190. The MPD parser module 120 delivers the parsed MPD information to the content handler 110. The content handler 110 delivers the MPD information to the representation selector 140.([0102] MPDパーサ・モジュール120は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下で,通信器190を介して,コンテンツ・サービス・サーバ300から受信される,MPD情報のMPDノードを解析することで,コンテンツ保護情報のためのDRMオブジェクトを生成する。コンテンツ・ハンドラ110は,表示選択器140に,MPD情報を供給する。)」という記載から,引用刊行物においては,
“コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,通信器190を介して,MPD情報を受信する”
ことが読み取れ,このことと,上記(エ)において検討した事項から,引用刊行物においては,
“コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,通信器190を介して,コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有するMPD情報を受信する”
ものであることが読み取れる。

(カ)上記Hに引用した,図12に開示されている事項において,帯域「R2」を参照すると,「期間」の「P1」,「P2」,及び,「P3」で一部重複する部分があるものの,異なる「DRM」を用いることが開示されており,また,上記Dの「Referring to FIG.9, although streaming data of specific content is applied the OMA DRM system and the Marlin DRM system in a specific period regardless of the network bandwidths R1, R2 and R3, encryption keys key_a, key_b, and key_c included in licenses corresponding to the network bandwidths R1, R2 and R3 are different from one another.(図9を参照すると,個別のコンテンツのストリーミング・データが,ネットワーク帯域幅,R1,R2,及び,R3に関わらず,個々の期間において,OMA DRMシステム,及び,マーリンDRMシステムが適用されているとしても,ネットワーク帯域幅,R1,R2,及び,R3に関連するライセンスに含まれる暗号鍵,鍵a,鍵b,及び,鍵cは,互いに異なっている。)」という記載と,上記Fに引用した,図9に開示されている事項から,同一の期間における,異なる帯域の「コンテンツ」に対して,異なる「暗号鍵」を採用する点が開示されている。
そして,「DRM」が異なり,異なる「DRM」において採用されている「アルゴリズム」が異なれば,通常,「暗号鍵」が異なることは,本願の第1国出願前に,当業者に広く知られた技術常識である。
このことから,上記において指摘したとおり,図12に開示の「R2」においては,各「期間」で重複する「DRM」を採用し,上記Dの記載内容から,それぞれの「期間」に関連する「ライセンス」には,異なる「暗号鍵」が含まれているから,引用刊行物において,
“コンテンツの各期間の暗号鍵は異なっている”
という態様を含むことは明らかである。その場合は,引用刊行物において,
“コンテンツの各期間は,少なくとも1の暗号鍵によって,保護されている”
と言えるものである。
更に,上記(エ)において引用した,上記Eの記載内容,同じく,上記Eの「Content protection information 730 includes DRM identification information “schemeldUri”, DRM download information “downloadableDRMURI”, and license acquisition information “licenseUri”.(コンテンツ保護情報730は,DRM識別情報“スキームldUri”,DRMダウンロード情報“ダウンローダブルDRMURI”,及び,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含む。)」という記載,及び,同じく,上記Eの「“LicenseUri” represents a URI where a client may acquire a license for obtaining a content encryption key.(“ライセンスUri”は,クライアントが,コンテンツ暗号鍵を得ることのために,ライセンスを取得し得る場所である,URIを表している。)」という記載から,引用刊行物においては,
“MPD情報は,各期間に関連し,各期間の暗号鍵を含むライセンスの取得先である,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含む”
ものであることが読み取れる。

(キ)上記Cの「The decryptor 180, under control of the content handler 110, decrypts the encrypted content data based on the encryption key information in the license, and the encryption information (e.g., an initial vector and an encryption algorithm) described in the MPD information. (復号器180は,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,ライセンス内の暗号鍵情報と,MPD情報に記述された暗号情報(例えば,初期ベクタ,及び,暗号アルゴリズム)に基づいて,暗号化されたコンテンツ情報を復号する。)」という記載と,上記(ア)?(カ)において検討した事項から,引用刊行物においては,
“復号器180が,コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,MPD情報に含まれる,ライセンスUriを用いて取得した,各期間に関連するライセンスに含まれる暗号鍵と,MPD情報に記述された,暗号アルゴリズムなどの,暗号情報に基づいて,暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う”
ものであることが読み取れる。

(ク)以上,上記(ア)?(キ)において検討した事項から,引用刊行物には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

「ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を有し,
前記コンテンツ・ハンドラ110は,前記メモリ195に結合され,
コンテンツは,複数の期間に分割され,それらの期間のそれぞれには,ライセンスの異なる情報が対応し,
MPD情報は,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有し,
前記コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,前記通信器190を介して,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有する前記MPD情報を受信し,
ここで,前記コンテンツの各期間の暗号鍵は異なっており,
前記コンテンツの各期間は,少なくとも1の暗号鍵によって,保護されていて,
前記MPD情報は,前記各期間に関連し,前記各期間の暗号鍵を含む前記ライセンスの取得先である,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含み,
前記復号器180が,前記コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,前記MPD情報に含まれる,前記ライセンスUriを用いて取得した,各期間に関連するライセンスに含まれる暗号鍵と,前記MPD情報に記述された,暗号アルゴリズムなどの,暗号情報に基づいて,暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う,
ユーザ端末。」

エ.本件補正発明と引用発明との対比
(ア)引用発明における「ユーザ端末100」,「メモリ195」が,
本件補正発明における「装置」,「メモリ」に相当し,
引用発明における「コンテンツ・ハンドラ110」は,「メモリ195」に接続され,種々の処理の制御を行うものであるから,
本件補正発明における「プロセッサ」と,
“処理部”である点で共通するので,
引用発明における「ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を有し,
前記コンテンツ・ハンドラ110は,前記メモリ195に結合され」と,
本件補正発明における「装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであり」とは,
“装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合された処理部である”点で共通する。

(イ)引用発明における「MPD情報」は,「コンテンツ」の,複数の「期間」に関する情報を含み得るものであるから,
引用発明における「コンテンツ」,「MPD情報」が,
本件補正発明における「コンテンツ」,或いは,「メディアコンテンツ」,「複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイル」に相当する。

(ウ)引用発明においては,「MPD情報は,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有」するものであり,複数の「期間」,当該「期間」に含まれる,複数の「セグメント」を復号するための「暗号鍵」に関する情報を有するものであり,
引用発明において,「コンテンツの各期間の暗号鍵は異なって」いて,
更に,引用発明においては,「MPD情報は,前記各期間に関連し,前記各期間の暗号鍵を含む前記ライセンスの取得先である,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含」んでいて,当該「ライセンスUri」によって,「ライセンス」が識別可能であること,その結果として,当該「ライセンス」に含まれる「暗号鍵」の識別が可能であることは,明らかであるから,
結果として,当該「MPD情報」は,“複数の暗号鍵を識別するデータを含むものである”といい得るものであり,
そして,当該「ライセンスUri」を用いるということは,“暗号鍵を指定する”ことに他ならないので,当該「MPD情報」は,“暗号鍵を指定する要素を含むもの”であるとも言える。
更に,引用発明においては,
以上の検討から,
引用発明における「コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,前記通信器190を介して,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有する前記MPD情報を受信」することが,
本件補正発明における「複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得」することに相当し,
引用発明における「前記コンテンツの各期間の暗号鍵は異なっており,
前記コンテンツの各期間は,少なくとも1の暗号鍵によって,保護されていて」が,
本件補正発明における「少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており」に相当することから,
引用発明における「コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,前記通信器190を介して,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有する前記MPD情報を受信し,
ここで,前記コンテンツの各期間の暗号鍵は異なっており,
前記コンテンツの各期間は,少なくとも1の暗号鍵によって,保護されていて,
前記MPD情報は,前記各期間に関連し,前記各期間の暗号鍵を含む前記ライセンスの取得先である,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含み」と,
本件補正発明における「複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み」とは,
“複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含む”点で共通する。

(エ)引用発明において,「復号器180が,前記コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,前記MPD情報に含まれる,前記ライセンスUriを用いて取得した,各期間に関連するライセンスに含まれる暗号鍵と,前記MPD情報に記述された,暗号アルゴリズムなどの,暗号情報に基づいて」処理を行うことは,「MPD情報」に含まれる「ライセンスUri」を用いて,取得する「ライセンス」,そして,当該「ライセンス」に含まれる「暗号鍵」を決定することに他ならないので,このことが,
本件補正発明における「データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定」することに相当する。

(オ)そして,上記(ア)において検討した事項を踏まえると,引用発明における「復号器180が,前記コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,前記MPD情報に含まれる,前記ライセンスUriを用いて取得した,各期間に関連するライセンスに含まれる暗号鍵と,前記MPD情報に記述された,暗号アルゴリズムなどの,暗号情報に基づいて,暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う」ことと,
本件補正発明における「少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,プロセッサ」とは,
“少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,処理部”である点で共通する。

(カ)以上,上記(ア)?(オ)において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合された処理部であり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,
前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
処理部と,を備える装置。

[相違点1]
“処理部”に関して,
本件補正発明においては,「プロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「コンテンツ・ハンドラ110」である点。

[相違点2]
本件補正発明においては,「異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限ら」ないものであるのに対して,
引用発明においては,そのような限定がなされていない点。

[相違点3]
“少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理する”点に関して,
本件補正発明においては,「少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている」のは,「プロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う」ものは,「コンテンツ・ハンドラ110の制御の下」にある「復号器180」である点。

オ.相違点についての当審の判断
(ア)[相違点1],及び,[相違点3]について
引用発明における「コンテンツ・ハンドラ110」は,引用刊行物に,「MPDパーサ・モジュール120」,「DRMインストーラ160」,及び,「復号器180」を制御することが明記されているが,例えば,「復号器180」を,ソフトウェア実装した場合は,「プロセッサ」によって,当該“ソフトウェア復号器”の処理がなされ得ることは,当該技術分野において周知の技術事項である。また,“インストール処理”も「プロセッサ」で実行し得ることも当業者には,周知の事項である。
そうすると,引用発明における「コンテンツ・ハンドラ110」を,「プロセッサ」を用いて実現することは,当業者が適宜なし得る事項であり,その場合,“復号処理”も,当該「プロセッサ」によって実現することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1],及び,[相違点3]は,格別のものではない。

(イ)[相違点2]について
上記「ウ.引用刊行物に記載の発明」の(ウ)において検討したとおり,引用発明において,「コンテンツ」を分割した各「期間」に対しては,例えば,図12に開示されているように,複数の「DRM」を対応させ,その組合せには,全ての「期間」の「DRM」が異なっている態様も含まれている。
このような,構成を採用した場合は,「コンテンツ」の各「期間」に用いられる“暗号アルゴリズム”は,全て異なることになるので,結果として,用いられる「暗号鍵」も,全て,異なるものとなる。
したがって,引用発明においても,
“コンテンツの異なる期間が,必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らない”
という態様を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。

(ウ)以上,上記(ア),及び,(イ)において検討したとおりであるから,[相違点1]?[相違点3]はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際,独立して特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成28年11月18日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成28年5月30日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.平成28年11月18日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合されたプロセッサであり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
プロセッサと,を備える装置。」

第4.引用刊行物に記載の発明
原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,米国特許出願公開第2012/0017282号明細書(2012年1月19日公開,以下,これを「引用刊行物」という)には,上記「第2.平成28年11月18日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」における「ウ.引用刊行物に記載の発明」において検討したとおり,次の引用発明が記載されているものと認める。

「ユーザ端末100は,コンテンツ・ハンドラ110,MPDパーサ・モジュール120,帯域幅モニタ130,表示選択器140,DRM選択器150,DRMインストーラ160,DRMエージェント170,復号器180,通信器190,及び,メモリ195を有し,
前記コンテンツ・ハンドラ110は,前記メモリ195に結合され,
コンテンツは,複数の期間に分割され,それらの期間のそれぞれには,ライセンスの異なる情報が対応し,
MPD情報は,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有し,
前記コンテンツ・ハンドラ110が,コンテンツ・サービス・サーバ300から,前記通信器190を介して,前記コンテンツの期間IDで識別される期間に含まれる,複数の暗号化されたセグメントを復号するための暗号情報を有する前記MPD情報を受信し,
ここで,前記コンテンツの各期間の暗号鍵は異なっており,
前記コンテンツの各期間は,少なくとも1の暗号鍵によって,保護されていて,
前記MPD情報は,前記各期間に関連し,前記各期間の暗号鍵を含む前記ライセンスの取得先である,ライセンス取得情報“ライセンスUri”を含み,
前記復号器180が,前記コンテンツ・ハンドラ110の制御の下,前記MPD情報に含まれる,前記ライセンスUriを用いて取得した,各期間に関連するライセンスに含まれる暗号鍵と,前記MPD情報に記述された,暗号アルゴリズムなどの,暗号情報に基づいて,暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う,
ユーザ端末。」

第5.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,本件補正発明から,
「異なるコンテンツ項目は必ずしも同じ暗号鍵によって保護されているとは限らず,前記データは,前記複数のコンテンツ項目のうちの1つを保護するために使用される暗号鍵を指定する要素を含み」,
という構成を削除したものであるから,
本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
装置であって,
メモリと,
前記メモリに結合された処理部であり,
複数のコンテンツ項目を含むメディアコンテンツのための保護記述を含むマニフェストファイルを取得し,ここで,前記保護記述はメディアコンテンツの中の少なくとも2つのコンテンツ項目のための少なくとも2つの暗号鍵を識別するデータを含み,前記少なくとも2つのコンテンツ項目の各々は前記少なくとも2つの暗号鍵のうちの1つ以上によって保護され,前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵は異なっており,
前記データから前記少なくとも2つのコンテンツ項目のための前記暗号鍵を決定し,
前記少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている,
処理部と,を備える装置。

[相違点a]
“処理部”に関して,
本願発明においては,「プロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「コンテンツ・ハンドラ110」である点。

[相違点b]
“少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理する”点に関して,
本願発明においては,「少なくとも2つのコンテンツ項目を,関連する暗号鍵に従って処理するように構成されている」のは,「プロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「暗号化されたコンテンツの各期間の復号を行う」ものは,「コンテンツ・ハンドラ110の制御の下」にある「復号器180」である点。

第6.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との間の[相違点a],及び,[相違点b]は,本件補正発明と,引用発明との間の[相違点1],及び,[相違点3]と同じものであるから,上記「第2.平成28年11月18日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」における「オ.相違点についての当審の判断」において検討したとおり,[相違点a],及び,[相違点b]は,格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,引用発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。

第7.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-02 
結審通知日 2017-10-03 
審決日 2017-10-23 
出願番号 特願2015-521870(P2015-521870)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 打出 義尚脇岡 剛  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 石井 茂和
須田 勝巳
発明の名称 コンテンツ転送および配信におけるコンテンツ暗号化および権利管理のシグナリングおよびハンドリング  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  

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