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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項3号及び6項 請求の範囲の記載形式不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1337987
審判番号 不服2015-15615  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-21 
確定日 2018-03-07 
事件の表示 特願2012-208520「コンビニエンス・ゲーム用のシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月14日出願公開、特開2013- 48907〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成18年2月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年2月21日、米国)に国際出願した特願2007-556420号の一部を、平成22年08月23日に新たな特許出願(分割出願)とした特願2010-186542号の一部を、平成24年9月21日に新たな特許出願(分割出願)したもので、平成26年8月11日付けで手続補正がなされ、平成27年3月10日付けで拒絶査定がなされ、この査定に対し、同年8月21日に拒絶査定に対する審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、当審において、平成28年5月31日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年12月6日に手続補正がなされ、平成29年3月16日付けで最後の拒絶の理由を通知したところ、同年6月14日に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年6月14日になされた補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1.補正後の本願の発明

本件補正は、下記(1)に示す本件補正前の請求項1を下記(2)に示す本件補正後の請求項1へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の請求項1
「【請求項1】
装置であって、
少なくとも1つのプロセッサに電気結合された少なくとも1つのメモリ・デバイスを備え、前記メモリ・デバイスは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
デバイスが接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記デバイスが存在することを判定させ、
前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記デバイスは、前記デバイスが第1の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して少なくとも1つの活動にユーザが関与することを許可され、
前記デバイスは、前記デバイスが第2の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可されず、
前記デバイスは、前記デバイスが前記第1の期間中及び前記第2の期間中に前記第2の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可され、
前記デバイスが前記第1の地域内にいること、及び、前記現在の時間が前記第2の期間中であることの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上での前記少なくとも1つの活動を停止させ、前記デバイスは、前記停止の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可せず、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことを判定し、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可するよう指示する命令を記憶する装置。」

(2)本件補正後の請求項1
「【請求項1】
メモリ装置と、少なくとも1つのプロセッサとを有する装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、
前記装置が接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記装置が存在することを判定し、前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記装置が前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、少なくとも1つの活動を許可し、
前記装置の前記第1の地域から前記第2の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第1の地域から前記第2の地域に移動したという判定に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの活動を停止させ、
前記装置の前記第2の地域から前記第1の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第2の地域から前記第1の地域に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記装置上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させる装置。」

2.判断

(1)特許法第17条の2第4項の規定によれば、特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明、のいずれかを目的とするものに限られる。そこで以下検討する。

ア.本件補正前の請求項1において、第1の地域内に存在すると判定された場合、活動を許可することに関して、「前記デバイスは、前記デバイスが第1の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して少なくとも1つの活動にユーザが関与することを許可され、
前記デバイスは、前記デバイスが第2の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可されず」と特定していたものを、本件補正後の請求項1では、「前記装置が前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、少なくとも1つの活動を許可し」と特定された。
本件補正前の請求項1において、上記のとおり、「第1の地域内」に存在し、「第1の期間中」または「第2の期間中」であるか、の条件によって活動を許可するか否かを定めていたものを、本件補正後の請求項1では、上記条件のうち「第1の期間中」、「第2の期間中」を削除して、「第1の地域内に存在することが判定された場合」に活動を許可すると特定されているから、特許法第17条の2第4項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。

イ.本件補正前の請求項1において、第2の地域内に存在すると判定された場合、活動を許可することに関して、「前記デバイスは、前記デバイスが前記第1の期間中及び前記第2の期間中に前記第2の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可され」と特定されていたものを、本件補正後の請求項1では、削除したから、特許法第17条の2第4項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。

ウ.本件補正前の請求項1において、「第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ」と特定していたものを、本件補正後の請求項1では、「前記装置が前記第1の地域から前記第2の地域に移動したという判定に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの活動を停止させ」ると特定することは、上記「第2の期間中」を削除し、前者の「活動を起動させ」を後者の「活動を停止させ」と変更しているので、特許法第17条の2第4項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。

エ.また、本件補正は、特許法第17条の2第4項ただし書き第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項ただし書きのいずれにも該当しない。

(2)仮に本件補正が、特許法第17条の2第4項ただし書きの規定に適合するとしても、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

ア.引用例

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された「特表2004-536638号公報 」(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「本発明のさらなる他の局面によると、モバイルゲームユニットは、位置標定システム(例えば、グローバルポジショニングシステム、無線補助グローバルポジショニングシステム等)によって、追跡される。モバイルゲームユニットは、地域のギャンブル規制に従って、さらにアクティブまたは非アクティブにされる得る。例えば、モバイルゲームユニットが、ギャンブルを禁止している地域で動作している場合、モバイルゲームユニットの動作は、準じて規制され得る。すなわち、管轄規制に基づいて、あるゲームはギャンブル参加者に提供されるか、提供されない。」(段落【0013】)(下線は、審判で付した。以下同じ。)

(イ)「モバイルゲームユニット102は、ギャンブル参加者がネットワーク106上で通信することを可能にするように設定された、ハードウエアおよびソフトウエアコンポーネントのいずれの便利な組み合わせを含み得る。例えば、モバイルゲームユニット102は、CPU、モニター、メモリ、キーボード、マウス、無線モデムおよび所定のデータリンク104(例えば、V.90モデム、ネットワークカード、ケーブルモデム等)に適した通信ハードウエアを含む標準的なパーソナルコンピューター(PC)を含み得る。代替の実施形態において、モバイルゲームユニット102は、携帯情報端末機器(PDA)または画像操作およびサーバー110との通信が可能な携帯電話機器であり得る。モバイルゲームユニット102は、典型的には、オペレーションシステム(例えば、Windows(登録商標)95/98/2000、Linux、Solaris、MacOS等)、ならびに典型的にはコンピューターと関連付けられた様々な従来のサポートソフトウエアモジュールおよびドライバを含み得る。モバイルケーム102は、サーバー110によってネットワーク106上で通信するように設定されたアプリケーションソフトウエア、例えばワールドワイドウェブ(WWW)ブラウザまたは他のいずれの通信ソフトウエアを含み得る。例示的な実施形態において、モバイルゲームユニット102は、Netscape Navigator(カリフォルニア州マウンテンビューのNetscape Corporationから入手可能)またはMicrosoft Internet Explorer(ワシントン州レッドモンドのMicrosoft Corporationから入手可能)のような、HTMLおよびHTTPプロトコルに従って従来のインターネットブラウザアプリケーションを含む。」(段落【0021】)

これらの記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「位置標定システムによって追跡され、地域のギャンブル規制に従ってアクティブまたは非アクティブにされ、ギャンブル参加者がネットワーク106上で通信することを可能にするように設定され、CPU、メモリ、を含むモバイルゲームユニット。」

イ.対比

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明と引用発明とを対比すると、

後者における「アクティブ」にされることは、その機能、作用等からみて、前者における「少なくとも1つの活動を許可」に相当し、以下同様に「非アクティブにされ」ることは「少なくとも1つの活動を停止」に、「ネットワーク106」は、「通信ネットワーク」に、「CPU」は「少なくとも1つのプロセッサ」に、「メモリ」は「メモリ装置」に、「モバイルゲームユニット」は「装置」にそれぞれ相当する。

また、後者は、「位置標定システムによって、追跡され、地域のギャンブル規制に従って、さらにアクティブまたは非アクティブにされ」るから、アクティブにされる地域と非アクティブにされる地域があると解され、前記両地域は、それぞれ前者の「第1の地域」、「第2の地域」に相当し、前者の「前記装置が前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、少なくとも1つの活動を許可し、
前記装置の前記第1の地域から前記第2の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第1の地域から前記第2の地域に移動したという判定に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの活動を停止させ、
前記装置の前記第2の地域から前記第1の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第2の地域から前記第1の地域に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記装置上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させる」ことと同様の処理がされていることは明らかである。

また、技術常識的にみて、通常の「ネットワーク」は、地域によらず通信可能なものであることに鑑みれば、後者は、アクティブにされる地域と非アクティブにされる地域のどちらにあっても、「ネットワーク106上で通信することを可能」にしていると解されるので、前者の「通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバー」する事項を備えているといえる。

したがって、両者は、

「メモリ装置と、少なくとも1つのプロセッサとを有する装置であって、
前記装置が接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記装置が存在することを判定し、前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記装置が前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、少なくとも1つの活動を許可し、
前記装置の前記第1の地域から前記第2の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第1の地域から前記第2の地域に移動したという判定に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの活動を停止させ、
前記装置の前記第2の地域から前記第1の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第2の地域から前記第1の地域に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記装置上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させる装置。」

の点で一致し、以下の点で相違(以下「相違点」という。)している。

[相違点]

本件補正後の請求項1に係る発明は、「前記装置が接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記装置が存在することを判定し、前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記装置が前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、少なくとも1つの活動を許可し、
前記装置の前記第1の地域から前記第2の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第1の地域から前記第2の地域に移動したという判定に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの活動を停止させ、
前記装置の前記第2の地域から前記第1の地域への移動を検出し、
前記装置が前記第2の地域から前記第1の地域に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記装置上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させる」の処理が、「少なくとも1つのプロセッサによって」おこなうのに対して、引用発明は、上記処理をおこなう主体が、定かではない点で相違する。

ウ.判断

上記相違点について以下検討する。

引用発明と本件補正後の請求項1に係る発明は、「メモリ装置と、少なくとも1つのプロセッサとを有する装置」の発明特定事項を備えることは共通しており、前記「プロセッサ」は、様々な処理をおこなうためのものであることは、自明であるから、引用発明の「CPU」(少なくとも1つのプロセッサ)によって本件補正後の請求項1に係る発明と同様の処理をおこなうようにすることは、当業者が所望により適宜容易になし得る程度のものである。

したがって、引用発明において、相違点に係る本件補正後の請求項1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件補正後の請求項1に係る発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明に記載された事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本件補正後の請求項1に係る発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)小括
上記(1)、(2)のとおり、本件補正は却下すべきものである。

第3 本願の発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明(以下それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成28年12月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
装置であって、
少なくとも1つのプロセッサに電気結合された少なくとも1つのメモリ・デバイスを備え、前記メモリ・デバイスは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
デバイスが接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記デバイスが存在することを判定させ、
前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記デバイスは、前記デバイスが第1の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して少なくとも1つの活動にユーザが関与することを許可され、
前記デバイスは、前記デバイスが第2の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可されず、
前記デバイスは、前記デバイスが前記第1の期間中及び前記第2の期間中に前記第2の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可され、
前記デバイスが前記第1の地域内にいること、及び、前記現在の時間が前記第2の期間中であることの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上での前記少なくとも1つの活動を停止させ、前記デバイスは、前記停止の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可せず、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことを判定し、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可するよう指示する命令を記憶する装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、更に、
前記デバイスが前記第1の地域内に存在すること、及び、前記現在の時間が前記第1の期間中であることを判定し、
前記デバイスが前記第1の地域内に存在すること、及び前記現在の時間が前記第1の期間中であることの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可するよう指示する装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置であって、
前記デバイスは、前記デバイスが第3の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可され、
前記第2の期間は前記第1の期間が終了する際に開始し、前記第3の期間は前記第2の期間が終了する際に開始し、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、更に、
前記デバイスが前記第1の地域内に存在し、更に、現在の時間が前記第3の期間中であることを判定し、
前記デバイスが前記第1の地域内に存在すること、及び前記現在の時間が前記第3の期間中であることに少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可するよう指示する装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって、
前記第1の領域は、娯楽イベントが生起する領域を含み、
前記第1の期間は、前記娯楽イベントの開始前に終了し、
前記第3の期間は、前記娯楽イベントの終了後に開始し、
前記第2の期間は、前記第1の期間が終了する際に開始し、前記第2の期間は、前記第3の期間が開始する際に終了する装置。」

1.当審において、平成29年3月16日付の拒絶理由通知で通知した特許法第17条の2第3項違反(新規事項)の拒絶理由について検討する。

本願発明1に対する特許法第17条の2第3項違反の拒絶理由の内容は、本願発明1の「デバイスが接続される通信ネットワークの第1の地域内に前記デバイスが存在することを判定させ、
前記通信ネットワークは、少なくとも前記第1の地域及び第2の地域をカバーし、
前記デバイスは、前記デバイスが第1の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して少なくとも1つの活動にユーザが関与することを許可され、
前記デバイスは、前記デバイスが第2の期間中に前記第1の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可されず、
前記デバイスは、前記デバイスが前記第1の期間中及び前記第2の期間中に前記第2の地域内に存在することが判定された場合に、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可され、
前記デバイスが前記第1の地域内にいること、及び、前記現在の時間が前記第2の期間中であることの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上での前記少なくとも1つの活動を停止させ、前記デバイスは、前記停止の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可せず、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことを判定し、
前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可するよう指示する命令」(以下「補正事項1」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求項の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内ではないというものである。

判断
本願発明1の発明特定事項である、「デバイス」が、「地域」や「期間」によって、「起動」または「停止」されることや、デバイスを介して少なくとも1つの活動にユーザが関与することを「許可」されるか否かについてまとめると、第1の地域内では第1の期間中に許可されるが第2の期間中には許可されず、第2の地域内では第1、2の期間中とも許可され、第2の期間中に第1の地域から第2の地域に移動すると許可されること(以下「地域、期間の事項1」という。)が特定されているといえる。
例えば、当初明細書等の請求項1には「前記第1の地域内から前記ゲーム装置を介した少なくとも1つの活動に関与することを許可され、前記第2の地域内から前記ゲーム装置を介した前記少なくとも1つの活動に関与することを許可されず、前記継続時間が前記所定の時間量未満であるという決定と、前記ユーザが前記第1の地域内にいるという決定とに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザが前記ゲーム装置を介した前記少なくとも1つの活動に関与することを許可する」、同請求項2には「前記第1の地域内から前記ゲーム装置を介した少なくとも1つの活動に関与することを許可され、前記第2の地域内から前記ゲーム装置を介した前記少なくとも1つの活動に関与することを許可されず、 現在の時間が第1の期間中であることを決定し、前記ゲーム装置は、少なくとも前記第1の期間中に起動することを許可され、少なくとも第2の期間中に起動することを許可されず」と示され、まとめると、上記地域と期間の事項1の「第2の地域内では第1、2の期間中とも許可され」ることと真逆の事項が示されているのであって、同「第2の期間中に第1の地域から第2の地域に移動すると許可される」との事項は示されていない。
また当初明細書等の明細書及び図面をみても、地域と期間の事項1は記載されていない。
したがって、上記補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。

2.当審において、平成29年3月16日付の拒絶理由通知で通知した特許法第36条第6項第1号違反の拒絶理由について検討する。

(1)本願発明1について、検討する。
本願明細書は、平成28年12月6日付け手続補正書により、補正されているが、その内容は、当初明細書の内容と実質的な変更はないから、本願発明1の上記補正事項1は、上記「1.(1)」と同様の理由で、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(2)本願発明3について、検討する。
本願明細書は、平成28年12月6日付け手続補正書により、補正されているが、その内容は、当初明細書の内容と実質的な変更はないから、本願発明3の上記補正事項2は、上記「1.(2)」と同様の理由で、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

3.当審において、平成29年3月16日付の拒絶理由通知で通知した特許法第36条第6項第2号および同法第36条第4項第1号違反の拒絶理由について。

上記特許法第36条第6項第2号および同法第36条第4項第1号違反ので通知した「少なくとも部分的に基づいて」の意味が不明であるとの拒絶理由について検討する。

(1)本願発明1の「前記デバイスが前記第1の地域内にいること、及び、前記現在の時間が前記第2の期間中であることの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上での前記少なくとも1つの活動を停止させ、前記デバイスは、前記停止の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可せず」との発明特定事項は、「少なくとも部分的に基づいて」と特定されたことにより、上記「判定」について、下記ア、イの2通りの解釈が成り立つことになり、本願発明1がどのようなものなのか、不明である。

ア.「少なくとも部分的に基づいて」の特定事項により、「前記デバイスが前記第1の地域内にいること」、「前記現在の時間が前記第2の期間中であること」のいずれかの判定がされれば、デバイス上での少なくとも1つの活動を停止させるとの解釈。

イ.「少なくとも部分的に基づいて」の特定事項により、「前記デバイスが前記第1の地域内にいること」、「前記現在の時間が前記第2の期間中であること」の判定の他の判定が存在し、いずれかの判定がされれば、デバイス上での少なくとも1つの活動を停止させるとの解釈。

(2)本願発明1の「前記第2の期間中に前記デバイスが前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したことの判定に少なくとも部分的に基づいて、前記デバイス上で使用される前記少なくとも1つの活動を起動させ、前記デバイスは、前記起動の結果として、前記デバイスを介して前記少なくとも1つの活動に前記ユーザが関与することを許可する」との発明特定事項は、は、「少なくとも部分的に基づいて」(24行)と特定されたことにより、上記「判定」について、下記ア、イの2通りの解釈が成り立つことになり、本願発明1がどのようなものなのか、不明である。

ア.「少なくとも部分的に基づいて」の特定事項により、「前記第2の期間中」、「前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したこと」のいずれかの判定がされれば、デバイス上での少なくとも1つの活動を起動させるとの解釈。

イ.「少なくとも部分的に基づいて」の特定事項により、「前記第2の期間中」、「前記第1の地域内から前記第2の地域内に移動したこと」の判定の他の判定が存在し、いずれかの判定がされれば、デバイス上での少なくとも1つの活動を起動させるとの解釈。

なお、平成29年6月14日付意見書において、「移動したことの判定に基づくことだけでなく、移動したことの判定に加えてさらに他の判定も加味し得ることを意味する。」と主張されているが、上記(1)、(2)のとおり、他の判定も加味した上で判断しても、本願発明1は不明であると判断されるので、前記主張によって釈明されたとはいえない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明2ないし4においても、上記と同様のことがいえる。

4.むすび
上記「1、2、3」のとおり、本願は、第17条の2第3項、同法第36条第6項第1号、同法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第2号の規定に違反しているから、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-03 
結審通知日 2017-10-10 
審決日 2017-10-24 
出願番号 特願2012-208520(P2012-208520)
審決分類 P 1 8・ 574- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 535- WZ (A63F)
P 1 8・ 536- WZ (A63F)
P 1 8・ 561- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植田 泰輝  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 コンビニエンス・ゲーム用のシステム及び方法  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

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