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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1338102
異議申立番号 異議2017-700397  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-20 
確定日 2018-01-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6012565号発明「光電気複合型コネクタ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6012565号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6012565号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6012565号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成25年8月29日の出願であって、平成28年9月30日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1ないし3に係る特許について、特許異議申立人小宮山一樹により特許異議の申立てがされたものである。
以後の手続の経緯は、以下のとおりである。

平成29年 6月13日:取消理由通知(6月15日発送)
同年 8月 4日:意見書(特許権者)
同年 8月30日:決定の予告(9月1日発送)
同年10月31日:訂正請求書・意見書
同年11月13日:通知書(11月16日発送)
同年12月15日:意見書(特許異議申立人)

第2 訂正の適否
1 訂正の趣旨
平成29年10月31日付けの訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。また、本件訂正請求書による訂正を、以下「本件訂正」という。)は、特許第6012565号の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを求めるものである。

2 訂正の内容
(1)訂正事項1(なお、下線は、当審で付した。)
特許請求の範囲の請求項1に「仕切部材」とあるのを、「基板」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、」とあるのを、
「前記光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ且つ前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「……を備えることを特徴とする光電気複合型コネクタ。」とあるのを、
「……を備え、前記コネクタは、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングと、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され前記光電変換モジュールと前記接続コネクタが嵌合された際に前記光電変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有することを特徴とする光電気複合型コネクタ。」に訂正する。

(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0007】に「本発明は、光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る仕切部材を有し、前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、前記仕切部材によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記仕切部材によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記仕切部材の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、前記光電気複合型コネクタは更に、前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、前記仕切部材の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、仕切部材を利用して、ハウジングの内部を一のスペースと他のスペースとに明確に区分し、配線設計と光ファイバの収容部分とを明確に区別することにより、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができる。また、光電気変換モジュールと電気コネクタを介して、光ファイバと光電気複合型コネクタを接続することにより、それらを直に接続する場合に比べて、接続作業或いは組立作業を容易にすることができる。」とあるのを、
「本発明は、光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、前記光電気複合型コネクタは更に、前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、前記基板の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ且つ前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、を備え、前記コネクタは、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングと、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され前記光電変換モジュールと前記接続コネクタが嵌合された際に前記光電変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有することを特徴とする。
この構成によれば、基板を利用して、ハウジングの内部を一のスペースと他のスペースとに明確に区分し、配線設計と光ファイバの収容部分とを明確に区別することにより、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができる。また、光電気変換モジュールと電気コネクタを介して、光ファイバと光電気複合型コネクタを接続することにより、それらを直に接続する場合に比べて、接続作業或いは組立作業を容易にすることができる。」に訂正する。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0008】に「上記光電気複合型コネクタにおいて、前記仕切部材は、前記光ファイバの前記湾曲部が形成する面と並列に前記ハウジング内のスペースを仕切るのが好ましい。」とあるのを、
「上記光電気複合型コネクタにおいて、前記基板は、前記光ファイバの前記湾曲部が形成する面と並列に前記ハウジング内のスペースを仕切るのが好ましい。」に訂正する。

(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0010】に「前記隙間は、前記仕切部材の仕切り方向において、前記光電気複合型コネクタと相手コネクタとの嵌合側以外の側に設けられているのが好ましい。」とあるのを、
「前記隙間は、前記基板の仕切り方向において、前記光電気複合型コネクタと相手コネクタとの嵌合側以外の側に設けられているのが好ましい。」に訂正する。

3 訂正の適否
訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項及び明細書の訂正

(1)訂正事項1
ア 訂正事項1は、訂正前の「仕切部材」を、具体的に「基板」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ また、願書に添付した明細書の【0018】には「ハウジング20内のスペースは、その内部に設置された基板50によって、上段スペース33と下段スペース34に仕切られている。」と記載されているから、上記訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正事項2は、訂正前の「接続コネクタ」が、光電気変換モジュールとどのような状態で接続されるかを具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ また、願書に添付した明細書の【0027】には「電気接続させるため、光電気変換モジュール14は、接続コネクタ54の凹状の嵌合部64に嵌め込まれる。嵌合部64に嵌め込まれても、固定されるわけではなく、その後も自由に着脱させることができる。」と記載されているから、上記訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正事項3は、訂正前の「接続コネクタ」が、レセプタクルハウジングとレセプタクル端子を有する構造であると限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ また、願書に添付した明細書の【0029】には「接続コネクタ54は、主に、枠状のレセプタクルハウジング61と、これに設置される複数の端子62、更に、ハウジング61の外部を覆うシェル63を有する。レセプタクルハウジング61は枠状に形成されており、光電気変換モジュール14を嵌め込む嵌合部64(図9参照)を形成している。レセプタクルハウジング61に圧入固定されたレセプタクル端子62は、各々、それらの一部において嵌合部64に突出し、光電気変換モジュール14が嵌合部64に嵌め込まれた際に、光電気変換モジュール14側の対応端子74と電気的に接続され得る。」と記載されているから、上記訂正事項3は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正事項4は、訂正事項1ないし訂正事項3により訂正された特許請求の範囲の記載との整合を図るために、願書に添付した明細書の【0007】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 上記訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0018】、【0027】及び【0029】の記載からして、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正事項5は、訂正事項1ないし訂正事項3により訂正された特許請求の範囲の記載との整合を図るために、願書に添付した明細書の【0008】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 上記訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0010】の記載からして、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正事項6は、訂正事項1ないし訂正事項3により訂正された特許請求の範囲の記載との整合を図るために、願書に添付した明細書の【0010】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 上記訂正事項6は、願書に添付した明細書の【0018】の記載からして、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)一群の請求項及び明細書の訂正
訂正前の請求項1ないし3は、訂正前の請求項2及び請求項3が、請求項1の記載を引用し、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前において「一群の請求項」に該当するものであるから、本件訂正は、一群の請求項ごとになされたものであって、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
また、訂正事項4ないし訂正事項6は、願書に添付した明細書を訂正するものであって、該訂正事項4ないし訂正事項6に係る訂正の請求は、当該明細書の訂正に係る、訂正前の請求項1ないし3のすべてについて行われたものである。
よって、訂正事項4ないし訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

(8)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。

4 訂正の適否のまとめ
本件訂正請求は適法であることから、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-3]について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし3に係る発明(以下「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである(訂正箇所に、下線を付した。)。

「【請求項1】
光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、
前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、
前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、
前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、
前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、
前記光電気複合型コネクタは更に、
前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、
前記基板の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ且つ前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、
を備え、前記コネクタは、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングと、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され前記光電変換モジュールと前記接続コネクタが嵌合された際に前記光電変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有することを特徴とする光電気複合型コネクタ。
【請求項2】
前記光ファイバの少なくとも一部が、前記一のスペースに設けられた巻付け部に巻き付けられている請求項1に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項3】
前記接続コネクタは、前記光ファイバの他の少なくとも一部よりも、前記一の側に近い側に配置されている請求項1又は2に記載の光電気複合型コネクタ。」

第4 特許異議の申立てについて
1 取消理由の概要
当審において、訂正前の請求項1ないし3に係る発明の特許に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

「【理由1】
本件の請求項1及び請求項3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(甲第1号証)に記載された発明であるから、本件の請求項1及び請求項3に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである。

【理由2】
本件の請求項1ないし請求項3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(甲第1、4ないし9号証)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1ないし請求項3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2013-73100号公報
甲第4号証:特開2013-101408号公報
甲第5号証:特開2006-30868号公報
甲第6号証:特開平4-230978号公報
甲第7号証:特開2000-198603号公報
甲第8号証:米国特許出願公開2011/0211798号明細書
甲第9号証:特開2004-63909号公報

なお、甲第2号証(特開2001-244003号公報)及び甲第3号証(特開2001-229999号公報)は、「ピンヘッダ」が、基板を他の部材と電気的に接続するためのコネクタであることを示すための文献である。

2 甲各号証の記載
(1)甲第1号証には、以下の記載がある(なお、下線は、当審で付したものである。以下同じ。)。

ア 「【請求項1】
光信号を伝送するための光ファイバを有するケーブルと、
前記光ファイバの端面と光学的に結合された光電変換部を搭載した基板を収容するコネクタと、を備えるコネクタ付きケーブルであって、
前記コネクタから延び出る前記ケーブルの方向を前後方向とし、前記コネクタから見て前記ケーブルの側を後とし、逆側を前とするとともに、前記基板から見て前記光電変換部の側を上とし、逆側を下としたとき、
前記コネクタの内部において、前記光ファイバの前記前後方向の向きを変えて前記光ファイバをU字状に湾曲させた湾曲部が少なくとも3つ形成されているとともに、前側の2つの湾曲部の一方が前記基板の下側に位置し、他方が前記基板の上側に位置するように、前記光ファイバが配線されている
ことを特徴とするコネクタ付きケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付きケーブルであって、
前記基板の縁に凹所が形成されており、
前記コネクタの内面と前記凹所との間の隙間を前記光ファイバが通過することによって、前記基板の下側と上側の配線を連絡させている
ことを特徴とするコネクタ付きケーブル。」

イ 「【0021】
===全体構成===
図1は、本実施形態のコネクタ付きケーブル1の全体斜視図である。図2は、本実施形態のコネクタ付きケーブル1の平面図及び側面図である。
【0022】
コネクタ付きケーブル1は、複合ケーブル2と、複合ケーブル2の両端に設けられた2つのコネクタから構成されている。本実施形態のコネクタ付きケーブル1は、カメラリンクインターフェースに適合する構成になっており、一方のコネクタはカメラ側コネクタ10(送信側コネクタ)となり、他方のコネクタはグラバ側コネクタ110(受信側コネクタ)となる。カメラ側コネクタ10及びグラバ側コネクタ110は、それぞれ26ピンコネクタ端子を有する。
【0023】
……
【0025】
複合ケーブル2は、1本の光ファイバ3と、7本の差動信号線4と、2本の電源線6とを備えている。…
【0026】
……
【0027】
カメラ側コネクタ10は、発光部41と、駆動部42と、LVDSシリアライザ21と、カメラ側MCU22とを備えている。
発光部41は、LD(Laser Diode:レーザダイオード)である。本実施形態では、発光部41として、基板に垂直な光を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザ)が採用されている。発光部41は、駆動部42から出力されたバイアス電流と変調電流との和である電流信号によって駆動され、光信号を光ファイバ3に出力する。
【0028】
……
【0030】
ところで、カメラ側コネクタ10及びグラバ側コネクタ110が図4に示した機能を果たすためには、コネクタ内部の基板に光ファイバ3とメタルケーブル(差動信号線4、電源線6)の両方を接続する必要がある。本実施形態では、光ファイバ3とメタルケーブルのそれぞれの接続作業を容易にするため、メタルケーブルが接続される親基板とは別に、光ファイバ3を接続するための子基板を用意している。そして、光ファイバ3の接続後の子基板を、メタルケーブルの接続後の親基板に搭載(接続)している。
なお、カメラ側コネクタ10の子基板には、光電変換部として発光部41が実装されている。また、グラバ側コネクタ110の子基板には、光電変換部として受光部141が実装されている。」

ウ 「【0031】
===カメラ側コネクタ10===
<構成>
図5は、カメラ側コネクタ10の分解斜視図である。カメラ側コネクタ10は、ハウジング11と、端末部12とを備える。
【0032】
……
【0035】
<親基板20の構成>
図6は、親基板20の斜視図である。
【0036】
……
【0037】
親基板20の右縁には、凹所24が形成されている。親基板20がハウジング11に収納されると、親基板20の左右の縁とハウジング11の内面との間には殆ど隙間が無い状態になるが、凹所24では、ハウジング11の内面との間に隙間が形成される。この隙間に光ファイバ3が配線されることによって、親基板20の上下両側で光ファイバ3の余長を確保することが可能になる(光ファイバ3の配線については後述する)。
【0038】
親基板20の右側には、2ピンヘッダ用の2個のスルーホール33が前後方向に並んで形成されている。この2個のスルーホールは、親基板20の右縁から所定長さだけ離れて形成されており、親基板20がハウジング11のケース11Aに収納されたときに、2ピンヘッダ61とハウジング11の内面との間に光ファイバ3を配線することを可能にしている。
【0040】
親基板20には、4ピンヘッダ用の4個のスルーホール35と、複合ケーブル2の電源線6を半田付けするための2個のスルーホール36とが形成されている。電源線用のスルーホール36は、端子部52を接続するための接続部25に最も近いスルーホールである。これは、親基板20上での電源配線パターンを極力減らすためである。電源配線パターンを減らすことにより、信号パターンとのクリアランスを考慮する箇所が減り、基板の小型化を図ることが可能になる。
【0041】
<子基板40の構成>
図7は、子基板40の周辺を斜め上から見た斜視図である。子基板40には、主に光学部品(発光部41及びその駆動部42(図7では不図示))が搭載されている。そして、子基板40に搭載された発光部41は、光ファイバ3の端面に光学的に結合されている。
【0042】
子基板40は、2ピンヘッダ61、10ピンヘッダ62及び4ピンヘッダ63を介して、親基板20の上側に搭載される。このため、子基板40にも、2ピンヘッダ用スルーホールと、10ピンヘッダ用スルーホールと、4ピンヘッダ用スルーホールとが形成されている。
【0043】
……
【0051】
<光ファイバ3の配線>
次に、光ファイバ3の配線について説明する。なお、光ファイバ3は、曲げ半径を許容曲げ半径よりも大きく設定しつつ、狭いコネクタ内(ハウジング11内)に収容する必要がある。
【0052】
……
【0056】
光ファイバ3の下側直線部3Bは、10ピンヘッダ62及び電源線6よりも外側(左側)に配線されている(図11、図12A参照)。これにより、下側直線部3Bは、ハウジング11と10ピンヘッダ62及び電源線6との間で左右方向に拘束されて、ハウジング11内での動きが制限される。
【0057】
光ファイバ3の第1上側直線部3Eは、2ピンヘッダ61よりも外側(右側)に配線されている(図7、図9、図10、図12B参照)。これにより、第1上側直線部3Eは、ハウジング11と2ピンヘッダ61との間で左右方向に拘束される。更に、第1上側直線部3Eは、親基板20と子基板40との間に配線されることによって、上下方向にも拘束される。したがって、第1上側直線部3Eは、左右方向及び上下方向の動きが制限されている。
【0058】
光ファイバ3の第2上側直線部3Gは、10ピンヘッダ62よりも外側(左側)に配線されている(図10参照)。これにより、第2上側直線部3Gは、ハウジング11と10ピンヘッダ62との間で左右方向に拘束される。更に、第2上側直線部3Gは、親基板20と子基板40との間に配線されることによって、上下方向にも拘束される。したがって、第2上側直線部3Gは、左右方向及び上下方向の動きが制限されている。
【0059】
第2上側直線部3Gは、第1上側直線部3Eと比べて、左右方向及び上下方向に拘束される部分が長いため、ハウジング11内で動き難くなる。つまり、第1上側直線部3Eよりも光ファイバ3の端の方の第2上側直線部3Gが動き難い構成になっている。これにより、ハウジング11内で光ファイバ3の端が動くことによって光結合部43が損傷することを抑制できる。
なお、光結合部43の損傷を抑制するために、光ファイバ3の端に近い第2上側直線部3Gをできるだけ長くするため(拘束される部分を長くするため)、後側湾曲部3Fを親基板20の上側(子基板40が搭載される側)に配置させている。また、後側湾曲部3Fを親基板20の上側に配置することを実現させるために、第2上側直線部3Gとは左右方向の逆側(右側)に移行部3D(及び親基板20の凹所24)を配置させている。」

エ 「【0110】
<親基板と子基板の接続(光ファイバ3の配線)>
次に、親基板20と子基板40とを接続する(親基板120と子基板140も接続する)。このとき、光ファイバ3の配線も行われる。
【0111】
……
【0112】
……親基板20と子基板40との間で光ファイバ3が挟まれることによって、光ファイバ3の上下方向の動きを拘束できる。
【0113】
本実施形態では、親基板20と子基板40とが分離しているため、上記のように光ファイバを配線することが容易である。
【0114】
……
【0115】
親基板20に子基板40を搭載した後、作業者は、2ピンヘッダ61、10ピンヘッダ62及び4ピンヘッダ63の各ピンを半田付けすることによって親基板20と子基板40とを電気的に接続し、端末部12を完成させる。このとき、子基板40には保護カバー51が取り付けられているため、半田ごてで光ファイバを損傷させずに済み、フラックス等の飛散によって光結合部43を汚さずに済む。」

オ 「【0117】
===変形例===
<第1変形例:光ファイバ3の周回数を変更した例>
前述の実施形態では、光ファイバ3がコネクタ内をおよそ2周回されて余長処理されており、コネクタ内に湾曲部が3箇所あった。但し、コネクタ内の光ファイバ3の余長処理は、これに限られるものではない。光ファイバ3がコネクタ内において3回以上巻き回されて余長処理されていても良い。
【0118】
図20は、第1変形例のカメラ側コネクタ10の端末部12を斜め下から見た斜視図である。なお、親基板20の上側の構成及び配線は、前述の実施形態と同様なので、図示を省略する。
【0119】
……
【0121】
なお、第1変形例のように、ハウジング11内において光ファイバ3を3周回以上させて余長処理する場合には、親基板20の前上側には1つの湾曲部だけが配置されることが望ましい。これにより、光結合部43のある親基板20の上側では、光ファイバ3が重ならずに済み、光ファイバ3がハウジング11内で動きにくくなり、光結合部43の損傷を抑制できる。この場合、親基板20の下側では湾曲部が上下に重なるため、光ファイバ3が比較的動きやすい状態になるが、光結合部43への影響が少ないため、許容される。」

カ 図5(カメラ側コネクタ)は、以下のものである。


キ 図6(親基板20)は、以下のものである。


ク 図7(子基板40)は、以下のものである。


ケ 図20(斜め下から見た斜視図)は、以下のものである。


(2)甲第1号証に記載された発明
ア 上記(1)ア及びイの記載からして、甲第1号証には、
「メタルケーブル及び光ファイバを有する複合ケーブルの、前記メタルケーブが接続される親基板と、前記光ファイバが接続される発光部が実装された子基板を収容するカメラ側コネクタであって、
前記コネクタから延び出る前記ケーブルの方向を前後方向とし、前記コネクタから見て前記ケーブルの側を後とし、逆側を前としたとき、
前記コネクタの内部において、前記光ファイバの前記前後方向の向きを変えて前記光ファイバをU字状に湾曲させた湾曲部が少なくとも3つ形成されているとともに、前側の2つの湾曲部の一方が前記親基板の下側に位置し、他方が前記親基板の上側に位置するように、前記光ファイバが配線されており、
前記親基板の縁に凹所が形成されており、
前記コネクタの内面と前記凹所との間の隙間を前記光ファイバが通過することによって、前記親基板の下側と上側の配線を連絡させている、カメラ側コネクタ。」が記載されているものと認められる。

イ 上記(1)ウ及びエの記載を踏まえて、図5ないし図7を見ると、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「カメラ側コネクタ」は、ハウジングを備えていること。
(イ)上記アの「子基板」には、具体的には「レーザーダイオード及びその駆動部」が搭載されていること。
(ウ)上記アの「凹所」は、基板の片側の略中央の縁に前後方向に延びる凹所として形成されていること。
(エ)上記アの「親基板」には、ピンヘッダ用の複数のスルーホールが設けられ、上記アの「子基板40」は該ピンヘッダを介して、親基板の上側に搭載され、各ピンを半田付けすることによって親基板と子基板は電気的に接続されていること。
(オ)上記アの「コネクタの内面と前記凹所との間の隙間」は、ハウジングの内面と親基板の凹所との間の隙間であること。
(カ)複数のピンヘッダは、親基板の凹所の側方領域に設けられていること。

ウ 上記(1)オの記載を踏まえて、図20を見ると、以下のことが理解できる。
上記アの「コネクタの内部において、…前記光ファイバが配線されている」とは、具体的には、
「親基板の前後の下側に湾曲部が位置し、前記親基板の前の上側に1つだけ湾曲部が位置するように、前記光ファイバが配線され、前記親基板の下側で湾曲部が上下に重なるように配線され」たものであってもよいこと。

エ 以上のことから、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「メタルケーブル及び光ファイバを有する複合ケーブルの、前記メタルケーブが接続される親基板と、前記光ファイバが接続されるレーザーダイオード及びその駆動部を搭載した子基板を収容するハウジングを備えたカメラ側コネクタであって、
前記親基板には、ピンヘッダ用の複数のスルーホールが設けられ、前記子基板は該ピンヘッダを介して、親基板の上側に搭載され、各ピンを半田付けすることによって親基板と子基板は電気的に接続されており、
前記コネクタから延び出る前記ケーブルの方向を前後方向とし、前記コネクタから見て前記ケーブルの側を後とし、逆側を前としたとき、
前記コネクタの内部において、前記光ファイバの前記前後方向の向きを変えて前記光ファイバをU字状に湾曲させた湾曲部が少なくとも3つ形成されているとともに、前記親基板の前後の下側に湾曲部が位置し、前記親基板の前の上側に1つだけ湾曲部が位置するように、前記光ファイバが配線され、前記親基板の下側で湾曲部が上下に重なるように配線されており、
前記親基板の片側の略中央の縁に前後方向に延びる凹所が形成されており、
前記複数のピンヘッダは、前記親基板の凹所の側方領域に設けられており、
前記ハウジングの内面と親基板の凹所との間の隙間を前記光ファイバが通過することによって、前記親基板の下側と上側の配線を連絡させている、カメラ側コネクタ。」

3 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
(ア)甲1発明の「光ファイバ」、「ハウジング」及び「親基板」は、それぞれ、本件訂正発明1の「光ファイバ」、「ハウジング」及び「ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板」に相当する。

(イ)甲1発明の「カメラ側コネクタ」は、「メタルケーブル及び光ファイバを有する複合ケーブル」を収容するから、本件訂正発明1の「光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタ」に相当する。

(ウ)甲1発明においては、コネクタから延び出るケーブルの方向を前後方向としたとき、コネクタから見てケーブルの側が「後」であるから、該「後」は、本件訂正発明1の「一の側」に相当する。

(エ)してみると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、
前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、
前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになって」いる点で一致する。

(オ)甲1発明の「カメラ側コネクタ」の内部において、親基板の前後の下側に「湾曲部」が位置し、親基板の前の上側に「1つだけ湾曲部」が位置することから、「親基板」は、ハウジング内を上下に仕切る部材であるといえる。
してみると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「基板によって仕切られたハウジング内の一のスペース(下側)に、前記ハウジングの前記一の側(後)に位置する光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、
前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペース(上側)に、前記一のスペース(下側)に収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペース(下側)に収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側(後)とは前記ハウジングの前後方向において反対側(前)に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されて」いる点で一致する。

(カ)甲1発明においては、「ハウジングの内面と親基板の凹所との間の隙間を光ファイバが通過することによって、親基板の下側と上側の配線を連絡させている」から、
本件訂正発明1と甲1発明とは、
「一のスペース(下側)に収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペース(上側)に収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続して」いる点で一致する。

(キ)甲1発明の「光ファイバが接続されるレーザーダイオード及びその駆動部を有する子基板」は、「レーザーダイオード」と「駆動部」とを備えることで、送信機能を有する部品(単位)として取り扱えることから、本件訂正発明1の「光電気変換モジュール」に相当する。
してみると、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「光電気複合型コネクタは更に、光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュール」を備える点で一致する。

(ク)本訂正件発明1の「接続コネクタ」とは、本件特許明細書の【0029】の「これに対し、接続コネクタ54は、形状は多少特種なものであるものの、機能は一般的な電気コネクタと全く同じである。……光電気変換モジュール14が嵌合部64に嵌め込まれた際に、光電気変換モジュール14側の対応端子74と電気的に接続され得る。」等の記載によれば、光電気変換モジュールと電気的に接続される電気コネクタであると解される。
一方、甲1発明の「子基板」は、「複数のピンヘッダ」を介して、親基板の上側に搭載されており、該「複数のピンヘッダ」が、電気コネクタであることは当業者にとって明らかである。
また、該「複数のピンヘッダ」は、「親基板の片側の略中央の縁に前後方向に延びる凹所」の側方領域に設けられていることから、ハウジングの前後方向における「略中央」、つまり、凹所の近傍に配置されているものと認められる。
そして、本件特許明細書には、「隙間に対応する位置」についての詳細な定義はなく、図3、5、9、10等からみて、「隙間の近傍」を包含するものと解される。
してみると、本件訂正発明1と甲1発明とは、「基板の他のスペース側であってハウジングの前後方向において隙間に対応する位置に設けられた、光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタ」を備える点で一致する。

(ケ)以上のことから、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、
前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、
前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、
前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、
前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、
前記光電気複合型コネクタは更に、
前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、
前記基板の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、
を備える、光電気複合型コネクタ。」

(コ)一方、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。
<相違点>
接続コネクタに関して、
本件訂正発明1は、「光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ」、「基板に固定されたレセプタクルハウジングと、基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され光電変換モジュールと接続コネクタが嵌合された際に光電変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有する」のに対して、
甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
上記<相違点>について検討する。
(ア)甲1発明においては、親基板と子基板(光電気変換モジュール)は、各ピンを半田付けすることによって電気的に接続されているから、甲1発明の「子基板(光電気変換モジュール)」は、「複数のピンヘッダ(接続コネクタ)」に対して着脱自在に接続されるものではなく、甲第1号証の他の記載を見ても、「子基板(光電気変換モジュール)」を着脱自在にすることを示唆する記載はない。

(イ)一方、甲第1号証の記載(摘記ウ及びエを参照。)によれば、甲1発明の「複数のピンヘッダ(接続コネクタ)」は、光ファイバの左右方向の動きを拘束するという効果を奏することから、特許異議申立人が主張するように、「『基板に固定されたレセプタクルハウジングと、基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され光電変換モジュールと接続コネクタが嵌合された際に光電変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有する』『接続コネクタ』」が、仮に、甲第4号証等に記載されているように、本件特許出願日時点で公知ないし周知であるとしても、甲1発明において、「複数のピンヘッダ(接続コネクタ)」に代えて、当該接続コネクタを採用する動機がない。

(ウ)以上の検討によれば、本件訂正発明1は、甲1発明であるとはいえない。また、本件訂正発明1は、当業者が甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるということもできない。

(2)本件訂正発明2及び本件訂正発明3について
本件訂正発明2及び本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、本件訂正発明2及び本件訂正発明3は、甲1発明であるとはいえない。
また、本件訂正発明2及び本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、当業者が甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるということもできない。

(3)平成29年12月15日提出の意見書(特許異議申立人)
特許異議申立人は、意見書において、以下のように主張することから、この点について検討する。

「よって、甲1発明において、『ピンヘッダ』や『子基板』を用いて上記(a)?(c)を実現することは不可欠なものではなく、甲1発明の『光ファイバが接続されるレーザーダイオード及びその駆動部を搭載した子基板』を甲第4号証の『レセプタクルコネクタ20』や甲第5号証の『レセプタクル側コネクタ40』に置き換えると共に、甲1発明の『複数のピンヘッダ』を甲第4号証の『プラグコネクタ30』や甲第5号証の『プラグ側コネクタ20』に置き換えても、甲1発明の上記課題を解決することができる。」(意見書第6頁中段)

しかしながら、甲第1号証の記載(摘記ウ及びエを参照。)によれば、甲1発明の「複数のピンヘッダ(接続コネクタ)」及び「子基板(光電気変換モジュール)」は、光ファイバの動きを拘束するという効果を奏するものであるから、あえて、甲第4号証の「レセプタクルコネクタ20」や「プラグコネクタ30」、または、甲第5号証の「レセプタクル側コネクタ40」や「プラグ側コネクタ20」に置き換える動機がない。

(4)まとめ
本件訂正発明1ないし本件訂正発明3に係る特許は、取消理由通知に記載した理由、つまり、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。

第5 むすび
本件訂正発明1ないし本件訂正発明3に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
他に本件訂正発明1ないし本件訂正発明3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光電気複合型コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気複合型コネクタ、特に、光ファイバの余長部分を収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光電気複合型コネクタのような光コネクタにおいて、光ファイバは、通常、コネクタ内で十分な余長部分をもって使用される。光ファイバはガラス繊維であることから屈曲に弱く、従って、このような余長部分を設けることにより、光ファイバと機器との間の接続の安定性が確保できるからである。しかしながら、余長部分があまりに長いと、光電気複合型コネクタの内部における配線設計が複雑になってしまうため、余長部分は切除されてしまうのが一般的である。とはいうものの、一旦切除してしまった余長部分を再び戻すことは不可能であるから、使用環境の変化に柔軟に対応可能とするといった意味では、ハウジングに余長部分を収容できるといった特別の事情が存在する場合にはむしろ、積極的に余長部分を確保しておくことが望ましい。上記の特別の事情が存在する場合として、例えば、ハウジングにある程度の大きさを確保する場合がある。光電気複合型コネクタは一般に非常に小さく、これに合わせてハウジングを小さくすると使い勝手が悪くなる。このため、ユーザからの要望等に応じて、ハウジングにある程度の大きさを確保することがあり、このような場合に、光ファイバの余長部分を収容するためのスペースが生まれることがある。
【0003】
図11に、光ファイバの余長部分を収容することができるハウジングを有した従来の光電気複合型コネクタの一例を示す。図11の(a)は、この従来のコネクタの側断面図、(b)は、その平断面図である。この光電気複合コネクタ100は、回路基板108と、この回路基板108の上に設けた副基板115上の光電変換部109や配線117、これら回路基板108やその上の各種機器を収容することができるハウジング111、更に、外部機器接続用の電気ピン105を備える。光電変換部109には、光ケーブル104から引き出されてハウジング111内に湾曲部112cを有して配線された光ファイバ102が光学的に接続されており、ハウジング111は、この光電変換部109を収容する第1の収容体119の他、第2の収容体120を有する。光ファイバ102は、第1の収容体119を経て第2の収容体120に導入され、湾曲部112cでその向きを反転させて光電変換部109に向かって配線される。更に、湾曲部112cを曲げ弾性力に抗して挟んで保持できるように、第2の収容体120は、一対の側板部120d、120eを有している。
【0004】
この従来構成では、光ファイバ102の余長部分113は、回路基板108の一方の側、特に、副基板115や各種機器が設けられた上側に設けることとされており、その一方で、回路基板108の他方の側、即ち、副基板115や各種機器が設けられた下側の、比較的大きな空間には、光ファイバ102の余長部分113は全く配置されていない。尚、回路基板108の下側に現れている線は電線103を示しているのであって、光ファイバ102を示すものではなく、回路基板108の下側に、光ファイバは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-88571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタを提供することを目的とする。また、光電気複合型コネクタの内部空間を有効活用することができる光電気複合型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、前記光電気複合型コネクタは更に、前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、前記基板の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ且つ前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、を備え、前記接続コネクタは、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングと、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され前記光電気変換モジュールと前記接続コネクタが嵌合された際に前記光電気変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有することを特徴とする。
この構成によれば、基板を利用して、ハウジングの内部を一のスペースと他のスペースとに明確に区分し、配線設計と光ファイバの収容部分とを明確に区別することにより、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができる。また、光電気変換モジュールと電気コネクタを介して、光ファイバと光電気複合型コネクタを接続することにより、それらを直に接続する場合に比べて、接続作業或いは組立作業を容易にすることができる。
【0008】
上記光電気複合型コネクタにおいて、前記基板は、前記光ファイバの前記湾曲部が形成する面と並列に前記ハウジング内のスペースを仕切るのが好ましい。
基板の向きを、光ファイバの湾曲部が形成する面と並列にすることにより、湾曲部を収容するためのスペースをより小さくすることができ、ハウジングの内部空間を有効活用することができる。
【0009】
【0010】
前記隙間は、前記基板の仕切り方向において、前記光電気複合型コネクタと相手コネクタとの嵌合側以外の側に設けられているのが好ましい。
このような側に隙間を設けることにより、光電気複合型コネクタと相手コネクタとの嵌合を妨げることなく、一のスペースと他のスペースとの間で、光ファイバを連続した状態とすることができる。
【0011】
上記光電気複合型コネクタにおいて、前記光ファイバの少なくとも一部が、前記一のスペースに設けられた巻付け部に巻き付けられていてもよい。
巻付け部を設けることにより、光ファイバを容易に収容することができる。
また、上記光電気複合型コネクタにおいて、前記接続コネクタは、前記光ファイバの他の少なくとも一部よりも、前記一の側に近い側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタが提供される。また、光電気複合型コネクタの内部空間を有効活用することができる光電気複合型コネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光ケーブルが接続された本発明による光電気複合コネクタの斜視図である。
【図2】光電気複合コネクタと相手側コネクタを示す斜視図と中心線断面図である。
【図3】図1の光電気複合コネクタから蓋を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図4】図1のA-A線断面図である。
【図5】図1の光電気複合コネクタの横断面図である。
【図6】図1のB-B線断面図である。
【図7】図3の光電気複合コネクタから更に基板を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図8】固定金具が横向きに固定された光電気複合型コネクタの斜視図である。
【図9】光電気複合コネクタの組立方法を説明する図である。
【図10】光電気複合コネクタの組立方法を説明する図である。
【図11】余長部分を収容することができるハウジングを有した従来の光電気複合型コネクタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一つの実施形態による光電気複合型コネクタについて説明する。
【0015】
図1に、本発明による光電気複合コネクタ1の斜視図を示し、更に、図2に、この光電気複合コネクタ1を接続相手である電気コネクタ2とともに、斜視図(図2の(a))と中心線断面図(図2の(b))で示す。光電気複合コネクタ1は、光ケーブル10の一端に固定した状態で使用され、光信号を処理することができるが、光電気複合コネクタ1の接続相手は、光コネクタではなく電気コネクタである。電気コネクタ2は、基板3に設置した状態で使用され、コネクタ2との実際の嵌合時には、光電気複合型コネクタ1の先端側に一部突出させた状態で設けたコネクタ嵌合部46が、基板3に直立した電気コネクタ2の嵌合穴4に挿入される。光信号と電気信号の変換は、光電気複合型コネクタ1で行う。光ケーブル10を通じて光電気複合コネクタ1で受信された光信号は、光電気複合コネクタ1において電気信号に変換された後に、電気コネクタ2へ送信され、或いは、電気コネクタ2を通じて光電気複合コネクタ1で受信された電気信号は、光電気複合コネクタ1において光信号に変換された後に、光ケーブル10へ送信される。
【0016】
図3に、図1の光電気複合コネクタ1から蓋45を取り除いた状態を斜視図で示し、更に、図4に、図1のA-A線断面図を、図5に、図1の光電気複合コネクタ1の横断面図を、図6に、図1のB-B線断面図を、それぞれ示す。蓋45は、光電気複合コネクタ1と電気コネクタ2との嵌合方向(図3の矢印「ア」方向)に沿って、光電気複合コネクタ1に対してスライド移動させることによって、光電気複合コネクタ1のハウジング20に着脱自在に取り付けることができる。ハウジング20に取り付けられた際、蓋45の一部は、上述したコネクタ嵌合部46の一部を形成し得る。また、蓋45を光電気複合コネクタ1に対してスライド移動させたとき、基板50の先端部51は、コネクタ嵌合部46に挿入され、その下側に収容空間58を残した状態で、コネクタ嵌合部46の天井側内壁に位置決めされる。基板50の先端部51裏面には、複数の電気パッド57(便宜上、点線で示す)が所定ピッチで一列に配列されている。図面上明らかではないが、これらの電気パッド57は、光ケーブル10の各光ファイバ11に対応して設けられており、光ファイバ11の光信号に対応する電気信号の伝達を行う。光電気複合コネクタ1と電気コネクタ2(図2参照)との嵌合時には、光電気複合コネクタ1のコネクタ嵌合部46が、電気コネクタ2の嵌合穴4(図2の(b)参照)に挿入されるとともに、光電気複合コネクタ1のコネクタ嵌合部46に設けた収容空間58に、電気コネクタ2の基部5(図2の(b)参照)が収容される。このとき、基板50の先端部51裏面に設けた電気パッド57(接触部)が、電気コネクタ2に設けた対応する相手側端子6の接点7と電気的に接続され、光電気複合コネクタ1と電気コネクタ2(図2参照)との間の電気通信が可能となる。
【0017】
図4によく示されるように、蓋45をハウジング20に取り付けたとき、蓋45の嵌合側に設けた前側突出部48と、ハウジング20の嵌合側に設けた前側突出部23が対応し、また、蓋45の光ケーブル10側に設けた後側突出部49と、ハウジング20の嵌合側に設けた後側突出部39が対応する。これにより、蓋45をハウジング20に対して位置決めするとともにハウジング20の収容空間を閉じる。ハウジング20からの蓋45の抜け落ちを防ぐため、図5によく示されるように、蓋45の外壁にロック突部47を、ハウジング20の内壁に対応ロック突部37を、それぞれ設けて、蓋45とハウジング20をロック可能としてある。尚、光コネクタ1における信号状態を確認できるように、図6に示すように、ハウジング20の外部から一部視認可能な状態で、基板50の後端側に導光板40を設けてもよい。導光板40を通じて外部に光を発するようにして、光電気複合コネクタ1における信号の伝達状態をユーザに知らせることもできる。
【0018】
ハウジング20内のスペースは、その内部に設置された基板50によって、上段スペース33と下段スペース34に仕切られている。下段スペース34には、主に、光ケーブル10から取り出された光ファイバ11の少なくとも一部(後述する図7乃至10に示す湾曲部15)、換言すれば、光ファイバ11の余長部分が収容され、一方、上段スペース33には、主に、下段スペース34に収容された部分(湾曲部15)以外の、光ファイバ11の他の一部17や、光ファイバ11の一端に接続された光電気変換モジュール14、更に、基板50に固定された、光電気変換モジュール14と接続され得る接続コネクタ54が収容される。
【0019】
ハウジング20の内部において、基板50の中央付近は、ハウジング20のケーブル抑え部26の上面に載置され、その後端側55は、ハウジング20の基板載置部24に載置される。基板50の先端部51は、既に説明したように、コネクタ嵌合部46に挿入されて支持される。基板50の幅方向は、ハウジング20の基板位置決め突起25によって規制されるとともに、コネクタ嵌合部46に、基板50の先端部51が挿入、配置されることにより位置決めされるようになっている。
【0020】
図7は、図3の光電気複合コネクタ1から更に基板50を取り除いた状態を示す斜視図である。光ケーブル10の光ファイバ取出口は、固定金具12によってクランプされる。クランプされた固定金具12は、ハウジング20に設けた側面視略U字状の金具保持部29に上方から挿入されることによってハウジング20に容易に固定される。金具保持部29は、1つに限らず、ハウジング20の複数位置から選択可能な状態で複数設けることができる。使用環境に応じて、適当な位置の金具保持部29を選択して使用することにより、光ケーブル10や光ファイバ11の出口方向を制御し、装置内の配線設計を容易にすることができる。例えば、図7に示した中央位置に設けた金具保持部29Aに代えて、図8に示した側面位置に設けた金具保持部29B(ここでは、正面から見て右側の金具保持部29B)に、固定金具12を装着することにより、光ケーブル10や光ファイバ11をハウジング20に対して横向きに固定することもできる。
【0021】
図7、8によく示されるように、光ケーブル10から取り出した光ファイバ11は、ハウジング20の光ケーブル10側に設けた導入口38から下段スペース34へ案内される。光ファイバ11がスムーズに案内されるように、導入口38の側壁はR状としておくのが好ましい。特に、図8に示す例のように、側面位置に設けた金具保持部29Bを利用して固定金具12が装着された場合には、光ファイバ11の方向を大きく変更する必要が生じ、この結果、導入口38の側壁と衝突し易い状態となるが、この場合でも、導入口38の側壁がRを形成していれば、光ファイバ11を下段スペース34へとスムーズに案内することができる。
【0022】
光ケーブル10から取り出された光ファイバ11の少なくとも一部は、下段スペース34に湾曲された状態で収容される。光ファイバ11はガラス繊維であるため、急な曲げを形成することはできず、比較的大きな湾曲部を形成した状態で収容させる必要がある。湾曲部15を設けることにより、光ファイバ11を、より安全に、且つ、小スペースで、下段スペース34に収容することができる。
【0023】
収容作業を容易にするため、下段スペース34に円環状の巻付け部27を設けてもよい。巻付け部27の周囲には、更に、基板50を載置するためにも使用される、略L字状のケーブル抑え部26が複数、ここでは3つ設けられている。下段スペース34に案内した光ファイバ11は、接続コネクタ54に対する取付け時の作業しろを十分に確保した状態で、巻付け部27に巻き付けられ、更に、ケーブル抑え部26によって、上方から抑えられる。巻付け部27を利用することにより、湾曲部15を、よりコンパクトに、且つ、より簡単に、下段スペース34に配置することができ、更に、ケーブル抑え部26を利用することにより、湾曲部15の上段スペース33側への拡がりを防止することができる。但し、これら巻付け部27やケーブル抑え部26を使用することなく、ハウジング20の内壁22を利用して、湾曲部15を形成してもよい。尚、湾曲部15は、必ずしも、巻き付け部27に巻き付けられるような長さを必要とするものではなく、例えば、湾曲部15の弧のほんの一部と接触する程度の長さしか有しないものであっても勿論よい。
【0024】
図7、図8に加えて、図9、図10、及び図3をも参照して、光電気複合コネクタ1の組立方法を説明する。ここで図9、図10、及び図3は、図7、図8の状態とした後の、光電気複合コネクタ1の組立工程を段階的に示したものと考えてよい。
【0025】
図7、図8に示すように、光ファイバ11の湾曲部15を、ハウジング20に配置した後、図9に示すように、この湾曲部15の上部に基板50を設置する。基板50が設置されることにより、ハウジング20内のスペースは、上段スペース33と下段スペース34に仕切られ、この結果、湾曲部15は、下段スペース34に収容されることになる。このように、基板50を利用して、ハウジング20の内部を上段スペース33と下段スペース34とに区分し、配線設計と光ファイバの収容部分とを明確に区分けすることにより、配線設計を複雑にすることなく、光ファイバの余長部分を収容することができる。また、基板50の向きを、光ファイバ11の湾曲部15が形成する面16と並列にすることにより、湾曲部15を収容するためのスペースをより小さくすることができ、ハウジング20の内部空間を有効活用することができる。
【0026】
図9に示すように、基板50によってハウジング20が上段スペース33と下段スペース34に仕切られた後も、下段スペース34に収容された、光ファイバ11の湾曲部15と、上段スペース33に収容された、光ファイバ11の一部17とは、ハウジング20の内壁22と基板50の縁52との間に形成された隙間53を通じて連続状態を維持する。本実施形態では、この隙間53は、仕切部材50の仕切り方向において、光電気複合コネクタ1と相手コネクタとの嵌合側(光電気複合コネクタ1の先端側)以外の側、例えば、嵌合方向に沿った側に設けられる。仮に、隙間が、光電気複合コネクタ1と相手コネクタとの嵌合側(光電気複合コネクタ1の先端側)に設けられている場合には、ハウジング20の内部における、光電気複合コネクタ1と相手コネクタとの嵌合側の領域が、光ファイバ11によって占有されてしまうため、嵌合に支障が生じ、また、これを避けるためにコネクタが大型化するおそれがある。図9に示すように、光電気複合コネクタ1と相手コネクタとの嵌合側以外の側に隙間53を設けることにより、光電気複合コネクタ1と相手コネクタとの嵌合を妨げることなく、容易に、上段スペース33と下段スペース34との間で、光ファイバ11を連続した状態とすることができる。尚、隙間を嵌合側に設けることは必ずしも許されないというわけではなく、コネクタ嵌合部46に挿入される基板50の先端部51に光ファイバ11が及ばないのであれば、嵌合側に設けてもよい。
【0027】
その後、図10に示すように、隙間53から取り出された光ファイバ11は、半弧を描くように大きく湾曲させた状態で、光ファイバ11の一端に接続された光電気変換モジュール14を利用して、基板50上の接続コネクタ54に接続される。これら光電気変換モジュール14と接続コネクタ54との間の接続は電気接続である。光信号と電気信号の変換は、光電気変換モジュール14で行われる。電気接続させるため、光電気変換モジュール14は、接続コネクタ54の凹状の嵌合部64に嵌め込まれる。嵌合部64に嵌め込まれても、固定されるわけではなく、その後も自由に着脱させることができる。
【0028】
光電気変換モジュール14は、様々な光電気交換部品を備えることによって、電気・光変換機能(送信機能と捉えることもできる)と、光・電気変換機能(受信機能と捉えることもできる)の双方を有する。例えば、接続コネクタ54と光電気変換モジュール14の嵌合時には、光電気変換モジュール14に設けた光電気変換部品の働きによって、光ケーブル10を通じて伝達された光信号を電気信号に変換して、接続コネクタ54や基板50に伝達し、或いは、基板50を通じて伝達された電気信号を光信号に変換して、光ケーブル10に伝達する。
【0029】
これに対し、接続コネクタ54は、形状は多少特種なものであるものの、機能は一般的な電気コネクタと全く同じである。接続コネクタ54は、主に、枠状のレセプタクルハウジング61と、これに設置される複数の端子62、更に、ハウジング61の外部を覆うシェル63を有する。レセプタクルハウジング61は枠状に形成されており、光電気変換モジュール14を嵌め込む嵌合部64(図9参照)を形成している。レセプタクルハウジング61に圧入固定されたレセプタクル端子62は、各々、それらの一部において嵌合部64に突出し、光電気変換モジュール14が嵌合部64に嵌め込まれた際に、光電気変換モジュール14側の対応端子74と電気的に接続され得る。
【0030】
最後に、図3に示すように、ハウジング20に、蓋45をスライド移動させて取り付けることにより、光電気複合コネクタ1の組立完了となる。
【0031】
尚、基板50に設けた電気パッド57は、相手側の電気コネクタ2と必ずしも直接接続される必要はなく、電気パッド57に実装された他の電気コネクタを嵌合部として、これを介して、相手側の電気コネクタ2と電気接続されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
光ケーブルを接続して使用するタイプの光電気複合型コネクタに幅広く応用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 光電気複合コネクタ
10 光ケーブル
11 光ファイバ
12 固定金具
14 光電気変換モジュール
15 湾曲部
16 面
20 ハウジング
22 内壁
27 巻付け部
33 上段スペース
34 下段スペース
50 基板
52 縁
53 隙間
54 接続コネクタ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを収容することができるハウジングを備えた光電気複合型コネクタであって、
前記ハウジング内のスペースを上下に仕切る基板を有し、
前記光ファイバは、前記ハウジングの前後方向における一の側において前記ハウジング内に取り込まれるようになっており、
前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の一のスペースに、前記ハウジングの前記一の側に位置する前記光ファイバの少なくとも一部が湾曲された状態で収容され、前記基板によって仕切られた前記ハウジング内の他のスペースに、前記一のスペースに収容された少なくとも一部以外の前記光ファイバの湾曲部の一部であって、前記ハウジング内の一のスペースに収容された前記光ファイバの湾曲部に対して前記ハウジングの前記一の側とは前記ハウジングの前後方向において反対側に位置する前記光ファイバの他の少なくとも一部が収容されており、
前記一のスペースに収容された、前記光ファイバの少なくとも一部と、前記他のスペースに収容された、前記光ファイバの他の少なくとも一部が、前記ハウジングの左右側の内壁と前記基板の左右側の縁との間に形成された隙間を通じて連続しており、
前記光電気複合型コネクタは更に、
前記光ファイバの一端に接続された光電気変換モジュールと、
前記基板の前記他のスペース側であって前記ハウジングの前後方向において前記隙間に対応する位置に設けられた、前記光電気変換モジュールを着脱自在に嵌合させることができ且つ前記光電気変換モジュールと電気的に接続され得る接続コネクタと、
を備え、前記接続コネクタは、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングと、前記基板に固定されたレセプタクルハウジングに設置され前記光電気変換モジュールと前記接続コネクタが嵌合された際に前記光電気変換モジュール側の対応端子と電気的に接続され得るレセプタクル端子を有することを特徴とする光電気複合型コネクタ。
【請求項2】
前記光ファイバの少なくとも一部が、前記一のスペースに設けられた巻付け部に巻き付けられている請求項1に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項3】
前記接続コネクタは、前記光ファイバの他の少なくとも一部よりも、前記一の側に近い側に配置されている請求項1又は2に記載の光電気複合型コネクタ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-19 
出願番号 特願2013-177666(P2013-177666)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G02B)
P 1 651・ 113- YAA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 奥村 政人  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 近藤 幸浩
星野 浩一
登録日 2016-09-30 
登録番号 特許第6012565号(P6012565)
権利者 ヒロセ電機株式会社
発明の名称 光電気複合型コネクタ  
代理人 上杉 浩  
代理人 弟子丸 健  
代理人 近藤 直樹  
代理人 西島 孝喜  
代理人 弟子丸 健  
代理人 須田 洋之  
代理人 大塚 文昭  
代理人 須田 洋之  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 豊島 匠二  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 近藤 直樹  
代理人 上杉 浩  
代理人 豊島 匠二  
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