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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02F
管理番号 1338123
異議申立番号 異議2016-700510  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-02 
確定日 2018-02-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5824855号発明「白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタおよびそれを用いた液晶表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5824855号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-6〕について訂正することを認める。 特許第5824855号の請求項1、3ないし6に係る特許を維持する。 特許第5824855号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5824855号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成23年4月28日の出願であって、平成27年10月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人遠藤晃により特許異議の申立てがされ、平成28年9月30日付けで取消理由が通知され、同年11月28日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成29年2月24日付けで特許異議申立人遠藤晃から意見書が提出され、同年7月26日付けで取消理由が通知され、同年9月29日付けで意見書が提出され、同年11月27日付けで特許異議申立人遠藤晃から上申書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容(下線は、特許権者が付与したとおりであって、訂正箇所を示すものである。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「レーキ顔料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」と記載されているのを、「レーキ顔料であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する。)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「C.I. Acid Blue 83であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」と記載されているのを、「C.I. Acid Blue 83であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する。)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」と記載されているのを、「含有することを特徴とする請求項1、請求項3、および、請求項4のいずれかに記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「カラーフィルタは請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタ」と記載されているのを、「カラーフィルタは請求項1、請求項3、請求項4、および、請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタ」に訂正する。

(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0006】に「本発明の他の態様として、前記青色パターンは、色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有するような構成とした。本発明の他の態様として、前記トリアリールメタン化合物は、レーキ顔料、あるいは、C.I. Acid Blue 83であるような構成とした。」と記載されているのを、「本発明の他の態様として、前記トリアリールメタン化合物は、レーキ顔料、あるいは、C.I. Acid Blue 83であるような構成とした。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無及び一群の請求項
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項の削除であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項1は、請求項の削除であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(2)訂正事項2?5
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2?5は、訂正前の請求項3?6が請求項2を引用することを含む記載であるところ、請求項2を引用しないものとすることにより、「色材としてトリアリールメタン化合物」「を含有する」態様のうち、「色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有する」態様を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2?5は、「色材としてトリアリールメタン化合物」「を含有する」態様のうち、「色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有する」態様を削除する訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項2?5は、「色材としてトリアリールメタン化合物」「を含有する」態様のうち、「色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有する」態様を削除する訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(3)訂正事項6
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、願書に添付した明細書の段落【0006】から、「本発明の他の態様として、」「前記青色パターンは、色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有するような構成とした。」との記載を削除する訂正であり、複数の態様のうちの一つを削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項6は、上記イのとおり、複数の態様のうちの一つを削除するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(4)一群の請求項
訂正事項1ないし5よる訂正は、訂正後の請求項2ないし6についての訂正であるが、訂正前の請求項3ないし6は、訂正前の請求項2の記載をそれぞれ引用しているものであるから、訂正前の請求項2ないし6は、一群の請求項である。したがって、訂正事項1ないし5は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項に適合する。
また、訂正事項6は、請求項2ないし6に対応する課題を解決する手段が記載された明細書の段落【0006】の記載を削除する訂正であるから、一群の請求項である請求項2ないし6の全てが訂正事項6の対象であり、それ以外の請求項については対象とならない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合する。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求の訂正事項1ないし6による訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第4項、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、本件訂正請求による訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
白色発光ダイオードを光源とする液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおいて、
透明基板と、該透明基板上に位置する着色層と、を備え、該着色層は赤色パターン、緑色パターン、青色パターンを少なくとも有し、
白色発光ダイオード光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と前記青色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と前記緑色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有することを特徴とする白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項2】削除
【請求項3】
前記トリアリールメタン化合物は、レーキ顔料であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記トリアリールメタン化合物は、C.I. Acid Blue 83であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記緑色パターンは、色材としてピグメントグリーン58とピグメントイエロー138を含有することを特徴とする請求項1、請求項3、および、請求項4のいずれかに記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項6】
カラーフィルタが液晶層を介して対向基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各色パターンが画素をなすような液晶表示装置において、
カラーフィルタは請求項1、請求項3、請求項4、および、請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタであり、
対向基板の前記カラーフィルタと対向する面と反対側に白色発光ダイオード光源を備えることを特徴とする液晶表示装置。 」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし6に係る特許に対して平成28年9月30日付け及び平成29年7月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由(1)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記
甲1:特開2009-192664号公報
甲2:Willy Herbst, Klaus Hunger, "Industrial Organic Pigments", Second, Completely Revised Edition, A Wiley company (1997年発行)
甲3:特開2004-101705号公報
甲4:特開2010-249869号公報
甲5:特開2010-83912号公報
甲6:特開2011-6602号公報(公開日:平成23年1月13日)
甲7:特開2011-22502号公報(公開日:平成23年2月3日)
甲8:特開2008-203684号公報

ア 請求項1
(ア)本件請求項1に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明及び周知技術(甲3、甲8)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(イ)本件請求項1に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明及び周知技術(甲3、甲8)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(ウ)本件請求項1に係る発明は、甲1(主引例)の発明及び周知技術(甲6、甲7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 請求項2
本件請求項2に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明及び周知技術(甲3、甲8)又は甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明、甲5の発明(副引例)及び周知技術(甲3、甲8)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 請求項3
本件請求項3に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明及び周知技術(甲3、甲8)、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明、甲5の発明(副引例)及び周知技術(甲3、甲8)又は甲1(主引例)の発明及び周知技術(甲6、甲7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 請求項5
本件請求項5に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明及び周知技術(甲3、甲8)、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明、甲5の発明(副引例)及び周知技術(甲3、甲8)又は甲1(主引例)の発明及び周知技術(甲6、甲7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 請求項6
本件請求項6に係る発明は、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明及び周知技術(甲3、甲8)、甲1(主引例)の発明、甲2の発明、甲4(副引例)の発明、甲5の発明(副引例)及び周知技術(甲3、甲8)又は甲1(主引例)の発明及び周知技術(甲6、甲7)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

理由(2)
本件請求項1、2及び4に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。したがって、請求項1、2及び4に係る発明の特許は取り消すべきものである。

ア 本件請求項1には、「・・・前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有することを特徴とする白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」との記載がある一方、請求項2には、「前記青色パターンは、色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有することを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」と記載されている(なお、下線は当審で付与したものである。以下、同様。)。
請求項2に係る発明は、その字句どおりに読めば、トリアリールメタン化合物のみを含有する場合は、包含されないから、「請求項1に記載の」との表現を用いた従属請求項としての記載は、発明を不明確なものとしている。
したがって、本件請求項2に係る発明は、日本語として不適切な表現がある結果、発明が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

イ 本件請求項1に係る発明に対応する実施例は、「試料1」として記載されたものである。発明の詳細な説明において、たった一つの実施例である「試料1」のみの結果をもって、どのようなトリアリールメタン化合物でも「試料1」と同様な技術的効果が奏されるとはいえない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、出願時の技術的常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

ウ 本件請求項2に係る発明は、「色材として前記トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有する」ものであるが、発明の詳細な説明において、「トリアリールメタン化合物とともにピグメントブルー15:6を含有する」場合は記載されていない。
したがって、本件請求項2に係る発明は、出願時の技術的常識に照らしても、請求項2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

エ 本件請求項4に係る発明は、トリアリールメタン化合物として「C.I. Acid Blue 83」であることを特定しているが、発明の詳細な説明において、「C.I. Acid Blue 83」のみを用いる場合は記載されていない。
したがって、本件請求項4に係る発明は、出願時の技術的常識に照らしても、請求項4に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 甲各号証の記載
(1)甲1
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付したものである。以下同様。
「【0007】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、バックライトに青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いた場合に、液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度を向上させることのできるカラーフィルタ、および、これを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。」

「【0015】
以下に本発明のカラーフィルタおよび液晶表示装置について、その実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトとして青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いる。この白色LEDの一例は図1に示すような発光特性を有しており、図2に示す従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)の一例の発光スペクトル特性とは異なる。
【0016】
図2のような発光特性をもつCCFLは、青色・緑色の境界490nm付近および赤色・緑色の境界580nm付近にサブピークが存在するため色純度を低下させており、高色再現化のためには、純度の高い蛍光体を変更、もしくは組み合わせるカラーフィルタの分光特性の半値幅を狭める必要があるが、どちらの方法でも大きく輝度を低下させなければ実現できないといった問題があった。
これに対し、図1のような発光特性を持つ青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDの発光ピークは、サブピークのない3波長光源となるため色再現性を向上させることが可能であった。
【0017】
そこで本発明は、液晶表示装置において、バックライトに青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用い、緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58を含有するカラーフィルタを備えることで、色再現性を高く保ちながら輝度を向上させることを実現した。
また、緑色画素には、調色用としてC.I.ピグメントイエロー150またはC.I.ピグメントイエロー138が含有されていることを特徴としている。
図4に示すように、C.I.ピグメントグリーン58は、490nm?630nmの透過率がC.I.ピグメントグリーン36より高く、色相が黄味であることから、調色に用いる黄色顔料の配合比率を少なくすることができる。これにより、C.I.ピグメントグリーン36を用いた場合に比べ濁りの少ない、色純度に優れ、且つ明るいカラーフィルタとすることができる。
【0018】
本実施形態に係る液晶表示装置に具備するカラーフィルタは、少なくとも透明基板上に赤色画素、緑色画素、青色画素を備えるカラーフィルタであって、これらの各色画素は、有機顔料と透明樹脂を主成分としたものである。また各色画素には、更にイエロー、マゼンタ、シアン、オレンジなどを同一に配列したものでも適応可能である。
【0019】
以下に、本発明によるカラーフィルタを得るための方法を詳述する。
カラーフィルタの基板に用いられる透明基板は可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合はあらかじめ該透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂による格子状パターンを公知の方法で付けたものを用いればよい。
【0020】
透明基板上への各色画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び色再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた感光性着色組成物を透明基板上に塗膜として形成し、塗膜へのパターン露光、現像をすることで一色の画素を形成する工程を各色毎に繰り返し行ってカラーフィルタを作製するフォトレジスト法が好ましい。」

「【0022】
各色画素の形成に用いる感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色顔料としては、C.I. Pigment Red 254、・・・(途中省略)・・・等が挙げられる。
【0023】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 150、PY138の他に、PY1、・・・(途中省略)・・・等が挙げられる。
【0024】
橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
緑色顔料としては、C.I. Pigment Green58の他にPG7、10、36、37等が挙げられる。
青色顔料としては、C.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
紫顔料としては、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料があげられる。
【0025】
上記顔料は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。・・・(後略)。」

「【0040】
バックライトとしてLED、およびカラーフィルタを備えた液晶表示装置の構成の一例について説明する。
図3は本発明の液晶表示装置の概略断面図である。図3の液晶表示装置はTFT駆動型液晶表示装置の典型例であり、対向して配置された透明基板11、21を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。本発明の液晶表示装置には、TN (Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Planes Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)、強誘電性液晶等の液晶が適用できる。
【0041】
第1の透明基板11の内面には、TFT(Thin Film Transistor)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0042】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色画素は、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、本発明のバックライトユニット30が設けられる。」

「【0049】
【表6】(省略)
また、緑色画素の形成に用いる緑色感光性着色組成物は、表7、8のような顔料比率(重量百分率)の緑色感光性着色組成物G-1?G-20である。
【0050】
【表7】(省略)
【0051】
【表8】(省略)
また、青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物は、表9ような顔料比率(重量百分率)の青色感光性着色組成物である。
【0052】
【表9】

上記顔料比率の感光性着色組成物について、赤色画素はx=0.640、緑色画素はy=0.600、青色画素はy=0.600になるよう調整し、下記実施例および比較例で示す組み合わせで3色カラーフィルタを作製した。調整色度値は放送規格であるEBU規格値に基づいたものであるが、この範囲に限定されるものではない。」

「【0055】
〔評価項目〕
(明度)
緑色画素の明度(G-Y)、およびカラーフィルタとしての白表示における明度(W-Y)を、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)とC.I.ピグメントグリーン36(PG36)を用いた場合で比較し、明度の高い方を〇、低い方を×とした。
【0056】
〔評価結果〕
実施例1?10の評価結果を表10に、比較例11?20 の結果を表11に示す。表10、11中の色度値は、CIE1931 XYZ表色系におけるxy色度およびY(明度)である。
【0057】
【表10】(省略)
【0058】
【表11】(省略)
表10、11の結果から、以下のことが明らかである。即ち、緑色画素の明度(G-Y)、およびカラーフィルタとしての白表示における明度(W-Y)を、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)とC.I.ピグメントグリーン36(PG36)を用いた場合で比較した結果、何れの色度値においても(G-Y)および(W-Y)は、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)を用いた場合に高くなり、高輝度を実現していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDの一例の発光特性を示す特性図である。
【図2】冷陰極蛍光管(CCFL)の一例の発光特性を示す特性図である。
【図3】液晶表示装置の構造例の概略の断面図である。
【図4】C.I.ピグメントグリーン58の分光透過率曲線である。」

「【図1】


「【図4】


上記図1と図4の各X軸(波長)スケールを一致させて比べると、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と前記緑色パターンの光透過率ピーク波長との差が小さいことは分かるが、その差が5nm以下であるか否かは不明である。

表9には、青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物は、PB15:6(96重量%)とPV23(4重量%)を含有していることが記載されている。

よって、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「バックライトに青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いる液晶表示装置に具備するカラーフィルタであって、
液晶表示装置は、対向して配置された透明基板11、21を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入され、透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成され、カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色画素は、ブラックマトリックスにより分離され、透明基板21の外面には、偏光板25が形成され、透明基板11の外面には、偏光板15が形成され、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられており、
カラーフィルタは、少なくとも透明基板上に赤色画素、緑色画素、青色画素を備え、
緑色画素にC.I.ピグメントグリーン58及びC.I.ピグメントイエロー138を含有し、
青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物は、PB15:6(96重量%)とPV23(4重量%)を含有している、
カラーフィルタ。」

また、甲1には、下記技術事項が記載されていると認められる。
「各色画素の形成に用いる感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料において、
紫色顔料としてC.I. Pigment Violet 27があげられる。」

(2)甲2
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲2には、以下の事項が記載されている。


甲2の上記構造式から、P.V.27は、トリアリールメタン化合物であるといえる。

(3)甲3
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0004】
しかしながら、技術進歩による液晶ディスプレイの多色表示の可能化に伴い、カラーテレビを始め、写真画像や動画映像の表示デバイスとして利用されるようになり、赤、緑、青の色純度が高く、肌色のような中間調表示を含む高い色再現が要求されている。そこで、例えば、カラー液晶ディスプレイの光源として、狭い帯域の分光特性を有する光源を使用し、この光源の相対輝度の極大値とカラーフィルタの各色要素の透過波長領域の透過率が最大となる波長とをほぼ一致させることにより、カラー液晶ディスプレイの色純度を高め、優れた色再現性を得ることが行なわれている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。」

上記記載から、甲3には、「光源の相対輝度の極大値とカラーフィルタの各色要素の透過波長領域の透過率が最大となる波長とをほぼ一致させることにより、カラー液晶ディスプレイの色純度を高め、優れた色再現性を得ることが行なわれている」との技術事項が記載されていると認められる。

(4)甲4
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲4には、以下の事項が記載されている。

「【0014】本発明者らは、前記諸問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタ用青色着色組成物の着色剤として、トリアリールメタン系色素とジオキサジン系顔料とを組み合わせて使用することにより、有機EL発光装置をバックライトとして用いる場合において、高い明度と広い色再現領域が可能となりまた耐性においても優れていること見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。」

上記記載から、甲4には、「カラーフィルタ用青色着色組成物の着色剤として、トリアリールメタン系色素だけでなくジオキサジン系顔料とを組み合わせる」技術事項が開示されている。

(5)甲5
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲5には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、特定の構造を有する色材を含む着色組成物および該着色組成物により形成されてなるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置のさらなる高精細化、バックライトの省電力化により、カラーフィルタのさらなる高透過率化および高色純度化が望まれている。これらの実現のために、カラーフィルタの材料および製造方法に関し、種々の研究が行われてきた。
【0003】
特に、カラーフィルタの材料である色材については、カラーフィルタの光学特性を左右するため、現在までに多くの研究がなされてきた。液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、製造工程において230℃程度の高温工程を経るため、色材として用いられる顔料および染料の選択には耐熱性が問題となることがある。顔料は、染料に比べて耐熱性および耐光性に優れるものであるが、透過率の点では染料に劣ることが多く、望ましい透過率を得ることが困難であった。対して、染料は、顔料に比べて透過率の点では優れるものの、耐熱性および耐光性が低く、製造工程中に230℃程度の高温工程を経る場合には、実用化が困難であった。そのため、高透過率を実現しながら、耐熱性にも優れる色材の開発が要望されている。」

「【0013】
色材
本発明の好ましい態様によれば、上記式(1)または(2)の構造を有する色材は、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー61、およびC.I.ピグメントブルー62からなる群から選択される少なくとも一種である。より好ましくは、該色材は、C.I.ピグメントブルー1である。これらの色材を用いることで、透過率ならびに耐熱性および耐光性を向上させることができる。本発明においては、市販の顔料を用いることもでき、例えば例えば、FANAL BLUE D6340(C.I.ピグメントブルー1、BASF製)および718 Fast Blue conc.SF(大日精化工業製)等が好ましい。また、上記式(1)または(2)の構造を有する色材の含有量は、全色材の合計質量に対して、好ましくは30?70質量%であり、より好ましくは40?60質量%である。上記含有量であれば、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上することができる。」

「【0015】
本発明の好ましい態様によれば、色材の配合量(質量比)は、C.I.ピグメンブルー1:C.I.ピグメントブルー15:6=30:70?70:30であり、より好ましくは、40:60?60:40である。上記配合量であれば、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上することができる。 」

「【0044】
光学特性試験
上記の実施例および比較例で製造した青色フィルタの透過スペクトルを、顕微分光装置OSP-SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。次に、上記で求めた透過スペクトルτ(λ)、C光源の分光スペクトルP(λ)、およびXYZ表色系における等色関数を用いて、下記数式1より色度座標(x、y)および輝度Yを算出した。結果は表1に示されるとおりであった。
【数1】(略)
【0045】
また、実施例および比較例で用いた色材の透過スペクトルを顕微分光装置OSP-SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定し、波長420nm?480nmの平均透過率および波長550nm?600nmの平均透過率を求めた。結果は表2に示されるとおりであった。なお、測定した色材C.I.ピグメントブルー1およびC.I.ピグメントブルー15:6の透過スペクトルデータを図2に示す。
【0046】
耐熱性試験
次に上記の実施例および比較例で製造した青色フィルタの耐熱性試験を以下の方法で行った。まず、表1に示される各設定温度(実施例1?9および比較例1?3は200℃)において、上記の実施例および比較例で製造した青色フィルタを30分加熱後、上記と同様にして透過スペクトルを測定した。次に、下記数式2より色差ΔE*abを算出した。Xn=98.071、Yn=100.000、Zn=118.226である。なお、色差ΔE*abは、数値が小さいほど耐熱性が高いことを示すものである。
【数2】(略)
【0047】
色差評価の結果は表1に示されるとおりであり、本発明の組成を満たすカラーフィルタでは、試験前後での色差の値が小さく耐熱性に優れるものであり、さらに輝度Yも優れている。また、実施例1の耐熱性試験前後の透過スペクトルは図1に示されるとおりであり、本発明の組成を満たすカラーフィルタでは、試験前後の透過スペクトルの変化が小さく、試験後であっても高い色純度および高透過率を維持していることがわかる。
【表1】



上記段落【0013】の「FANAL BLUE D6340(C.I.ピグメントブルー1、BASF製)との記載から、「FANAL BLUE D6340」は、「C.I.ピグメントブルー1」(以下「PB1」という。)であるといえる。
表1のPB1とPB15:6の顔料質量比率と輝度Yとの関係を見ると、PB1の割合が大きい方が、Yの値が大きいことから、PB1の含有量を増やすほど、輝度は高くなる傾向があるといえる。
また、色度図ではほぼ中央が白色(無彩色)に対応し、周辺に行くほど鮮やかさが増して、色度図周囲の境界で単色光(純色)になることを踏まえて、表1のPB1とPB15:6の顔料質量比率とx、yの座標値との関係を見ると、PB1の割合が増えると色度図周辺の境界から離れる方向に座標値が移動することから、PB1の割合を増やすほど、純色から色ズレが大きくなる傾向があるといえる。
また、表1のPB1とPB15:6の顔料質量比率と色差との関係を見ると、PB1の割合が大きい方が、色差の値が大きいことから、PB1の含有量を増やすほど、色差は大きくなる傾向があり、色差は小さい方が耐熱性に優れる(段落【0047】参照。)ことを踏まえると、表1から、PB1とPB15:6の顔料質量比率においてPB1の割合を増やすほど、耐熱性は悪くなる傾向があるといえる。
よって、表1から、PB1とPB15:6の顔料質量比率においてPB1の割合を増やすほど、輝度は高くなるが、純色から色ズレが大きくなり、耐熱性が悪くなる傾向があることが読み取れる。

上記段落【0002】【0003】には、液晶表示装置のカラーフィルタの色材として用いられる顔料および染料の選択には耐熱性が問題となることがあるため、高透過率を実現しながら、耐熱性にも優れる色材の開発が要望されていることが記載されている。
そして、上記段落【0015】には、「 本発明の好ましい態様によれば、色材の配合量(質量比)は、C.I.ピグメンブルー1:C.I.ピグメントブルー15:6=30:70?70:30であり、より好ましくは、40:60?60:40である。上記配合量であれば、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上することができる。 」と記載されている。
このことから、甲5には、「液晶表示装置のカラーフィルタの色材において、色材の配合量(質量比)を、C.I.ピグメンブルー1(PB1):C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)=30:70?70:30とすることで、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上させる」との技術事項が記載され、C.I.ピグメンブルー1(PB1)を100%の配合量で使うことは記載されていない。

また、甲5の表1には、全ての実施例及び比較例においてPB15:6が含まれ、トリアリールメタン化合物であるPB1のみの例は記載されていない。

(6)甲6
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲6には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
近年、次世代型のディスプレイとして、エレクトロルミネッセンス(以下、ELということがある)素子で構成されたELディスプレイが期待されている。EL素子には無機EL素子と有機EL素子とがあり、いずれのEL素子も自己発光性であるために視認性が高く、また完全固体素子であるために耐衝撃性に優れるとともに取り扱いが容易であるという利点がある。このため、グラフィックディスプレイの画素やテレビ画像表示装置の画素、あるいは面光源等としての研究開発および実用化が進められている。特に、画像表示装置のさらなる高精細化により、カラーフィルタのさらなる高透過率化および高色純度化が望まれており、カラーフィルタの材料および製造方法に関し、種々の研究が行われてきた。
【0003】
カラーフィルタの材料である色材を含む樹脂組成物については、カラーフィルタの光学特性を左右するため、現在までに多くの研究がなされてきた。液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、製造工程において230℃程度の高温工程を経るため、色材として用いられる顔料および染料の選択には耐熱性が問題となることがある。対して、有機EL用カラーフィルタは、このような高温工程を経ないため、180℃程度での耐熱性があれば実用化可能である。つまり、有機EL用カラーフィルタは、耐熱性への要求が低く、耐熱性の低い材料でも用いることが可能となる。しかし、耐光性に関しては、有機EL用途であっても更なる向上が望まれている。
【0004】
そのため、現在まで、カラーフィルタの耐光性を向上させるために種々の提案がなされ
てきた。例えば、色材自体の耐光性を向上させるために、染料をレーキ化したレーキ顔料を用いることは提案されているが、耐光性試験の条件設定・評価が不十分であり、実用可能な耐光性が得られているとは言い難い(例えば、特許文献1)。
【0005】
したがって、今尚、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性向上をも実現できる樹脂組成物の開発が切望されている。」

「【0010】
本発明の樹脂組成物によれば、高い色純度を確保しつつ高透過率化を可能とし、さらに顔料の退色を効果的に防止することができる。また、本発明の表示用カラーフィルタによれば、カラーフィルタの透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができ、青色画素に関して十分な性能を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
樹脂組成物
本発明において、樹脂組成物は、レーキ顔料と、該レーキ顔料に対して特定量の、ウレタン結合を有する分散剤とを含むものである。レーキ顔料と、ウレタン結合を有する分散剤とを併用することで、レーキ顔料を溶媒中に効果的に分散させることができ、透過率を向上させることができる。
【0012】
レーキ顔料
本発明の好ましい態様によれば、レーキ顔料は、トリアリールメタン系染料をレーキ化した顔料であることが好ましい。トリアリールメタン系染料の具体的な構造としては、例えば、以下のものを挙げることができる。」

「【0022】
カラーフィルタ
本発明の好ましい態様によれば、カラーフィルタは、上記の樹脂組成物または感光性樹脂組成物により形成した着色層を含む表示装置用カラーフィルタであり、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いるものである。上記の樹脂組成物または感光性樹脂組成物を用いることで、高色純度および高透明性を保ちながら、耐光性が向上したカラーフィルタを得ることができる。特に、有機EL用途であれば、OLED光源の青色発光ピーク波長での透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができる。」

「【0027】
続いて、下記の材料を、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製、ビーズ径:0.3mm)を用いて混合し、各色の色材を含む樹脂組成物(着色樹脂組成物)を得た。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1
(タングステン/モリブデン=85/15): 3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161
(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系) 0.99質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.68質量部
・溶剤:3-メトキシブチルアセテート
(ダイセル化学工業株式会社製) 74.1質量部
【0028】
青色フィルタの製造
0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製 AN材)にスピンコーターを用いて、青色樹脂組成物を塗布して、80℃で3分間プリベークし、塗膜を乾燥させた。次に、乾燥塗膜に所定のマスクを用いて高圧水銀ランプにて200mJ/cm2で露光後、200℃で30分間ポストベークして青色フィルタを製造した。」

上記の記載から、甲6には、「有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、青色着色樹脂組成物としてC.I.ピグメントブルー1を用いる」との技術事項が記載されていると認められる。

また、上記段落【0003】の記載から、甲6には、「液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、有機EL用カラーフィルタよりも耐熱性への要求が高い」との技術事項が読み取れる。

(7)甲7
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲7には、以下の事項が記載されている。
「【0053】
<カラーフィルタの評価方法>
(耐熱性)
耐熱性試験前に、青色フィルタの青色着色層の透過スペクトルを、顕微分光装置OSP-SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。この青色フィルタを200℃に昇温したオーブン内に静置し、1時間保持した。その後、透過スペクトルを測定した。耐熱性試験前後の分光スペクトルより色差ΔE*abを算出した。比較例4の色差を基準(1.00)とし、これに対する色差の比率にて耐熱性を評価した。なお、光源には標準の光Cを用いた。
【0054】
(耐光性)
耐光性試験前に、青色フィルタの青色着色層の透過スペクトルを、顕微分光装置OSP-SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。次に、この青色フィルタに対して、ガラス面側からキセノンアークランプを用いたキセノンフェードメーター(東洋精機社製 商品名:サンテストXLS+)により、300Wの出力で100時間照射した。その後、透過スペクトルを測定した。耐光性試験前後の分光スペクトルより色差ΔE*abを算出した。比較例4の色差を基準(1.00)とし、これに対する色差の比率にて耐光性を評価した。なお、光源には標準の光Cを用いた。
【0055】
(信頼性評価)
上記耐熱性及び耐光性試験結果における色差が何れも2.5未満のものを◎、何れかが2.5以上3.0未満のものを○、何れかが3以上のものを×とした。
【0056】
(輝度評価)
実施例1から5、比較例1から4の青色フィルタの分光波長に合うように、適宜青色発光材料を選択した。0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製、AN材)に蒸着により透明電極層を作製した。次に、有機EL用の青色発光材料を蒸着し、その後背面電極層、及び電極を作製した。次に、封止樹脂と対面ガラスとにより封止して、青色有機EL素子を作製した。
【0057】
この青色有機EL素子の上に、実施例1?5および比較例1?4の青色フィルタを置き、分光放射計SR?3(TOPCON製)にて輝度測定を行なった。
【0058】
実施例1?5および比較例1?3で製造した青色フィルタの輝度を用いて、下記の式(1)を用いて比較例4の輝度に対する増加率を算出した。なお、実施例1?5、比較例1?4の青色フィルタの色濃度は各青色有機EL素子を光源に用いた際に色度座標(x、y)のyが同一となるようにした。比較例4の輝度に対する増加率が0%以下のものを×、0%から15%未満のものを○、15%以上ものを◎とした。
・・・(途中省略)・・・
【0061】
【表4】



【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のトリアリールメタン系及びローダミン系顔料を用いた感光性樹脂組成物を使用すれば、優れた光学特性を有し、且つ、優れた耐熱性及び耐光性を有するカラーフィルタが得られるので、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等の分野で利用可能である。」

上記甲7の表4の実施例1には、「青色フィルタの顔料にPB1(100%)を用いる」との技術事項が記載されていると認められる。

上記段落【0053】及び段落【0054】に、比較例4の色差を基準(1.00)とし、これに対する色差の比率にて耐熱性及び耐光性を評価することが記載され、表4には、有機EL用の実施例の試験及び評価の結果が示され、実施例1の耐熱性が2.50、耐光性が2.60と記載されているから、甲7には、「比較例4に比べ実施例1は、耐熱性及び耐光性の観点で色差が大きくなる(劣る)傾向がある」との技術事項が記載されていると認められる。

上記甲7の表4には、PB15:6(100%)の比較例4に対し、青色顔料分散体-I、PB1(100%)の実施例1を採用することで輝度評価が15%以上(段落0058の、15%以上のものを二重丸とする記載参照。)になると記載されているから、甲7には、「PB15:6(100%)に対し、PB1(100%)を採用することで輝度が向上する」との技術事項が記載されていると認められる。

上記段落【0062】の記載から、甲7には、「甲7に記載のカラーフィルタは、液晶表示装置にも利用可能である。」との技術事項が記載されていると認められる。

(8)甲8
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲8には、以下の事項が記載されている。
「【0120】
図18(A)に示すように、青色フィルタ82Gに、分光透過率が最大となる波長、つまり、分光透過率が最も高い波長と、光源12のLED40から射出される光の発光スペクトルの強度が最大となる波長との差が5nmとなる透過率特性を有するフィルタを用いることで、図18(B)に示すように、青色フィルタ82Gに、分光透過率が最大となる波長と、LED40から射出される光の発光スペクトルの強度が最大となる波長とが異なる波長となる。これにより、互いのピークの波長がずれている、つまり差が20nmの透過率特性を有するフィルタを用いた場合よりも光利用効率を高くすることができ、色再現性を高くすることができる。また、互いのピークの波長の差が20nmとした場合でも一定以上の光利用効率とすることでき、色再現性も一定以上とすることができる。
具体的には、図18(B)に示す液晶表示装置では、NTSC比が64%であったが、フィルタ82Gとして、ピークが一致するフィルタを用いたこと以外は同様の構成の図18(A)に示す液晶表示装置では、NTSC比が68.4%であった。このように、分光透過率が最も高い波長と、光源12のLED40から射出される光の発光スペクトルの強度が最大となる波長との差を20nm以下、より好ましくは両者を同一波長とすることで、色再現性を高くすることができ、また、光の利用効率も高くすることができる。」
上記記載から、甲8には、「分光透過率が最も高い波長と、光源12のLED40から射出される光の発光スペクトルの強度が最大となる波長との差が5nmとなる透過率特性を有するフィルタを用いることで、光利用効率を高くすることができ、色再現性を高くすることができる。」との技術事項が記載されていると認められる。



4 取消理由通知に記載した取消理由についての当審の判断
(1)特許法第29条第2項
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
甲1発明の「バックライトに青色LEDと赤・緑発光蛍光体を組み合わせて混色させた白色LEDを用いる液晶表示装置」は、本件特許発明1の「白色発光ダイオードを光源とする液晶表示装置」に相当する。

甲1発明の「液晶表示装置に具備するカラーフィルタ」は、本件特許発明1の「液晶表示装置に使用するカラーフィルタ」に相当する。

甲1発明の「透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成され、カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色画素は、ブラックマトリックスにより分離され」ていることは、本件特許発明1の「透明基板と、該透明基板上に位置する着色層と、を備え、該着色層は赤色パターン、緑色パターン、青色パターンを少なくとも有」することに相当する。

してみると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「白色発光ダイオードを光源とする液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおいて、
透明基板と、該透明基板上に位置する着色層と、を備え、該着色層は赤色パターン、緑色パターン、青色パターンを少なくとも有する、
白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。」である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件特許発明1は、「白色発光ダイオード光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と前記青色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と前記緑色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であ」るのに対し、甲1発明は、青色及び緑色における光源の発光ピーク波長と色パターンの光透過率ピーク波長との差が不明である点。

(相違点2)
本件特許発明1の液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおける「前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有する」のに対し、甲1発明における「青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物は、PB15:6(96重量%)とPV23(4重量%)を含有している」点。

(イ)判断
a 事案に鑑み、相違点2について先に検討する。
(a)甲1、甲2
甲1には、「各色画素の形成に用いる感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料において、紫色顔料としてC.I. Pigment Violet 27があげられる。」との技術事項が記載されている。そして、「C.I. Pigment Violet 27」(以下「PV27」という。)は、甲2の記載から、トリアリールメタン化合物であるといえる。
ここで、甲1の段落【0025】には、「上記顔料は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。」と記載されてはいるものの、青色画素の形成に用いる顔料として紫色の顔料のみを用いることは、青色の再現性が低下することに鑑みるに合理的な選択とはいえない。また、甲1には、紫色顔料を青色画素の形成に用いるとしても大量の青色顔料と少量の紫色顔料を組合わせること(青色画素の形成に用いる青色感光性着色組成物B-1として、青色顔料であるPB15:6(96重量%)と紫色顔料であるPV23(4重量%)の組合わせが【表9】に記載されている。)が記載されていることからも、紫色顔料を青色顔料として単独で用いることは、甲1の記載から導かれるものではない。
したがって、PV27は、紫色顔料であって、青色顔料として単独で用いられるものとはいえないから、本件特許発明1における「前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有する」との構成において、「トリアリールメタン化合物のみ」の材料としてPV27が選択されるとはいえない。

(b)甲3、甲8
甲3には、「光源の相対輝度の極大値とカラーフィルタの各色要素の透過波長領域の透過率が最大となる波長とをほぼ一致させることにより、カラー液晶ディスプレイの色純度を高め、優れた色再現性を得ることが行なわれている」ことが記載され、甲8には、「分光透過率が最も高い波長と、光源12のLED40から射出される光の発光スペクトルの強度が最大となる波長との差が5nmとなる透過率特性を有するフィルタを用いることで、光利用効率を高くすることができ、色再現性を高くすることができる。」と記載されている。
しかしながら、甲3及び甲8には、相違点2に係る本件特許発明1の構成については、記載も示唆もない。

(c)甲4
甲4には、「【0014】本発明者らは、前記諸問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタ用青色着色組成物の着色剤として、トリアリールメタン系色素とジオキサジン系顔料とを組み合わせて使用することにより、有機EL発光装置をバックライトとして用いる場合において、高い明度と広い色再現領域が可能となりまた耐性においても優れていること見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。」ことが記載され、カラーフィルタ用青色着色組成物の着色剤として、トリアリールメタン系色素だけでなくジオキサジン系顔料とを組み合わせる技術事項が開示されている。

(d)甲5
甲5には、液晶表示装置のカラーフィルタの色材において、色材の配合量(質量比)を、C.I.ピグメンブルー1(PB1):C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)=30:70?70:30とすることで、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上させることが記載され、C.I.ピグメンブルー1(PB1)を100%の配合量で使うことは記載されていない。
また、甲5の表1には、全ての実施例及び比較例においてPB15:6が含まれ、トリアリールメタン化合物であるPB1のみの例は記載されていない。

(e)甲6
甲6には、「有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、青色着色樹脂組成物としてC.I.ピグメントブルー1を用いること。」が記載されている。
しかしながら、C.I.ピグメントブルー1を、液晶表示装置に用いるカラーフィルタにおいて、青色着色樹脂組成物として使用することまでは記載されていない。

(f)甲7
甲7には、実施例1の青色フィルタに用いられる顔料としてPB1(100%)が記載されており、これは「トリアリールメタン化合物」である。
そして、甲7には、実施例としてカラーフィルタを有機EL素子に適用した場合について記載されているものの、段落【0062】に「本発明のトリアリールメタン系及びローダミン系顔料を用いた感光性樹脂組成物を使用すれば、優れた光学特性を有し、且つ、優れた耐熱性及び耐光性を有するカラーフィルタが得られるので、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等の分野で利用可能である。」と記載されているので、PB1(100%)を液晶表示装置についての甲1発明の青色感光性着色組成物に適用できる可能性があるとも解される。
しかしながら、液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、有機EL用カラーフィルタよりも耐熱性への要求が高いことは技術常識であり(甲6の段落【0003】の記載参照。)、また、甲5に、「液晶表示装置のカラーフィルタの色材において、色材の配合量(質量比)を、C.I.ピグメンブルー1(PB1):C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)=30:70?70:30とすることで、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性および耐熱性もより向上させる」ことが記載されているように、液晶表示装置のカラーフィルタの色材において、C.I.ピグメンブルー1(PB1)を100%の配合量で使うことは、高透過率、高色純度、耐光性および耐熱性の観点から採用しうるものではないというのが、本件出願時の技術水準であったといえる。
そして、甲7の実施例の試験及び評価の結果は、有機EL素子に適用される青色フィルタを想定したものであるところ(段落【0056】ないし【0058】参照。)、表4に、実施例1(PB1(100%))の耐熱性の評価に2.50と評価「○」に相当する値が示され、耐熱性試験における温度は200℃であり(段落【0053】参照。なお、有機EL用カラーフィルタに要求される耐熱性の温度は180℃である(甲6の段落【0003】の記載参照。)。)、製造工程において230℃程度の高温工程を経る液晶表示装置用のカラーフィルタ(甲5の段落【0003】、甲6の段落【0003】の記載参照。)を想定した耐熱性試験をした場合にも、同様の評価「○」が得られるかは不明である。
以上のことから、甲7の記載から、PB1(100%)を、液晶表示装置のカラーフィルタの色材として適用可能であるとまで、読み取ることはできない。

さらに、甲7の表4には、PB15:6(100%)の比較例4に対し、青色顔料分散体-I、PB1(100%)の実施例1を採用した場合、耐熱性及び耐光性は劣る傾向があることが記載されているから、仮に、甲1発明における、PB15:6を主成分(96重量%)とする青色感光性着色組成物に代えて、甲7に記載のトリアリールメタン系顔料であるPB1(100%)を採用することは、耐熱性の劣る材料に代えることになってしまう。
一般に、当業者は、耐熱性が悪くなるように変更する動機を有しているとはいえないから、甲1発明において、PB15:6を主成分(96重量%)とする青色感光性着色組成物に代えて、甲7に記載のトリアリールメタン系顔料であるPB1(100%)を採用することは、当業者が容易に想到することができるものであるとはいえない。

また、甲7に「PB15:6(100%)に対し、PB1(100%)を採用することで輝度が向上する」との技術事項が記載されているとに鑑み、さらに検討する。

甲1の段落【0007】に「液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度を向上させることのできるカラーフィルタ、および、これを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。」と記載されているように、甲1発明は、「液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度を向上させること」を課題とするものである。
ここで、「輝度を向上させる」観点から、仮に、当業者が、甲7に記載のトリアリールメタン系顔料であるPB1(100%)を、甲1発明の青色感光性着色組成物に採用することを検討するとしても、「PB1とPB15:6の顔料質量比率においてPB1の割合を増やすほど、輝度は高くなるが、純色から色ズレが大きくなる傾向がある」(甲5の記載参照。)ことを踏まえると、PB1(100%)を採用することで「色再現性を高く保つ」ことになるかは不明である。

してみると、甲1発明は、「液晶表示装置の色再現性を高く保ちながら輝度を向上させる」課題を有するところ、色材として色ズレが大きくなる傾向がある材料に代える動機、言い換えると、その課題に反することになるような動機があるとはいえない。また、色材を代えたとして、「輝度」は向上するとしても「色再現性を高く保つ」ことになるかは不明である。
よって、「耐熱性」の観点だけでなく、「色再現性を高く保つ」観点で検討しても、甲1発明において、PB15:6を主成分(96重量%)とする青色感光性着色組成物に代えて、甲7に記載のトリアリールメタン系顔料であるPB1(100%)を採用することは、当業者が容易に想到することができるものであるとはいえない。

(g)相違点2についての判断のまとめ
以上のとおり、相違点2に係る本件特許発明1の構成については、甲1発明及び甲1ないし甲8に記載された技術事項に基づいて容易に想到し得るものであるとはいえない。

b 本件特許発明1についての判断のまとめ
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明及び甲1ないし甲8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件特許発明2について
本件特許発明2は、訂正により削除された。

ウ 本件特許発明3、5ないし6について
本件特許発明3、5ないし6は、本件特許発明1の液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおける「前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有する」と同一の構成を備えるものであるから、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲1ないし甲8に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1、3、5ないし6は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものであるとはいえない。
また、本件特許発明2は、訂正により削除されたため、本件特許発明2に対する特許法第29条第2項に関する取消理由の対象となる請求項が存在しない。

(2)特許法第36条第1号及び2号
ア 特許法第36条の取消理由は、概略以下のとおりである。
本件特許の特許請求の範囲の請求項2の発明には、日本語として不適切な表現がある結果、発明が不明確となる場合に該当するから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しない。
また、本件特許の特許請求の範囲の請求項1,2及び4の各発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示されている内容を拡張ないし一般化できないから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合しない。

イ 特許法36条の取消理由についての当審の判断
(ア)本件特許発明2について
本件特許発明2は、訂正により削除されたため、特許法第36条第6項第1号及び2号に関する取消理由の対象となる請求項が存在しない。

(イ)本件特許発明4について
特許異議申立人遠藤晃は、特許異議申立書において、本件特許発明4に対して、概略以下のとおり主張している。
「本件特許発明4は、トリアリールメタン化合物として「C.I. Acid Blue 83」であることを特定しているが、発明の詳細な説明において、「C.I. Acid Blue 83」のみを用いる場合は記載されていない。
したがって、本件特許発明4は、出願時の技術的常識に照らしても、本件特許発明4の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない」
以下、検討する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【0013】・・・トリアリールメタン化合物としては、例えば、C.I. Acid Blue 1、3、5、7、9 、11、13 、15 、17、22、24、26、34、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、99、100、103、104、108、109、110、119、123、147、206、213、269等を挙げることができる。青色パターン4Bが含有する色材に占めるトリアリールメタン化合物の量は、白色LED光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長との差が5nm以下となるように適宜設定することができ、例えば、50?100質量%の範囲で設定することができる。」(なお、下線は当審で付与したものである。)
「【0024】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[参考例1]
・・・(途中省略)・・・
【0030】
(青色パターン用感光性塗料B1)
・C.I.Pigment Violet 23 … 10質量部
(DIC(株)製 Violet RE)
・トリアリールメタン化合物 … 90質量部
(日本化薬(株)製 Acid Biue 83)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部」

「【0033】
[実施例]
青色パターン用感光性塗料として、下記組成の青色パターン用感光性塗料B2を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(青色パターン用感光性塗料B2)
・トリアリールメタン化合物(レーキ化合物) … 10質量部
(BASF(株)製 FANAL Biue D6340)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部」

以上の記載によれば、本発明におけるトリアリールメタン化合物として用いられる材料として「Acid Blue 83」を含む複数の材料が例示されており、参考例1には、他の化合物(C.I.Pigment Violet 23)とともに用いられることが、また、実施例には単独で用いられることが記載されているから、トリアリールメタン化合物として選定し得る材料であることが記載されている「Acid Blue 83」を単独で用いることができないとまではいえない。
また、参考例1として他の化合物とともに用いられるトリアリールメタン化合物として「Acid Blue 83」が記載されており、参考例1(参考試料1)及び実施例(試料1)も【表1】に示された輝度値(Y)は、それぞれは9.87、9.35と比較試料1?3に比べて高いものであることに鑑みると、「Acid Blue 83」を実施例(試料1)と同様に単独で用いた場合に、輝度に関して同様の効果が奏されるものと読み取れる。
したがって、発明の詳細な説明の記載から、トリアリールメタン化合物として「C.I. Acid Blue 83」のみを用いることが読み取れないとまではいえないから、本件特許発明4は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

(ウ)本件特許発明1について
発明の詳細な説明の段落【0033】には、「BASF(株)製FANAL Biue D6340」(PB1)のトリアリールメタン化合物のみの色材を用いることが実施例として記載されている。なお、前記「Biue」は「Blue]の誤記であることは明らかである。
また、上記(イ)のとおり、発明の詳細な説明の記載から、トリアリールメタン化合物として「C.I. Acid Blue 83」のみを用いることが読み取れないとまではいえない。
してみると、発明の詳細な説明には、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有する複数の事例が記載されているといえるから、「色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有する」ことを特定している本件特許発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示されている内容を拡張ないし一般化できないとまではいえない。
よって、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1、3ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、3ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタおよびそれを用いた液晶表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルタ、特に光源として白色発光ダイオードを使用する場合に最適なカラーフィルタと、このようなカラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置として、一般に駆動素子が形成された対向基板とカラーフィルタとを対向配置して周囲を封止し、その間隙に液晶層を充填し、対向基板の背面に光源(バックライト)を備えた構造のものがあり、カラーフィルタは、透明基板上に配列された赤色パターン、緑色パターン、青色パターンからなる着色層を備えたものであった。このような構造の液晶表示装置において、近年、光源として冷陰極蛍光管に代えて白色発光ダイオード(以下、発光ダイオードをLED(Light Emitting Diode)とも記す)の使用が急速に拡大している。
白色LEDは、例えば、青色LEDに黄色発光蛍光体を設けた構造、あるいは、青色LEDに赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を設けた構造であり、長寿命で、消費電力が低く、また、水銀フリーで環境性の点でも優れるという利点がある。しかし、白色LEDの発光波長分布は、冷陰極蛍光管のそれと比べて異なり、光源として白色LEDを使用する場合に適したカラーフィルタの開発が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-47975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の白色LED光源用のカラーフィルタを使用した液晶表示装置は、赤および緑の再現性は良好であるが、輝度が不十分であるという問題があった。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、白色発光ダイオード光源を使用し色再現性や輝度に優れた液晶表示装置と、これに用いるカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明は、白色発光ダイオードを光源とする液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおいて、透明基板と、該透明基板上に位置する着色層と、を備え、該着色層は赤色パターン、緑色パターン、青色パターンを少なくとも有し、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と前記青色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と前記緑色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有するような構成とした。
【0006】
本発明の他の態様として、前記トリアリールメタン化合物は、レーキ顔料、あるいは、C.I.Acid Blue 83であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記緑色パターンは、色材としてピグメントグリーン58とピグメントイエロー138を含有するような構成とした。
【0007】
また、本発明は、カラーフィルタが液晶層を介して対向基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各色パターンが画素をなすような液晶表示装置であって、カラーフィルタは上述のいずれかのカラーフィルタであり、対向基板の前記カラーフィルタと対向する面と反対側に白色発光ダイオード光源を備えるような構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカラーフィルタは、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と、着色層を構成する青色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であるので、白色発光ダイオード光源から発せられた光のカラーフィルタにおける透過量が増大し、輝度が向上する。そして、このような本発明のカラーフィルタを使用した本発明の液晶表示装置は、色再現性と輝度が共に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のカラーフィルタの一実施形態を示す部分断面図である。
【図2】白色LED光源の発光波長分布と本発明のカラーフィルタの青色パターンおよび緑色パターンの光透過率分布の例を示す図である。
【図3】白色LED光源の発光波長分布と従来のカラーフィルタの青色パターンおよび緑色パターンの光透過率分布の例を示す図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、白色発光ダイオード(LED)を光源とする液晶表示装置に使用するカラーフィルタである。図1は、本発明のカラーフィルタの一実施形態を示す部分断面図である。図1において、本発明のカラーフィルタ1は、透明基板2と、この透明基板2の一方の面2aに配設された遮光層3と着色層4と、を備えている。
着色層4は、透明基板2の一方の面2aの所定部位を被覆するように位置する赤色パターン4R、緑色パターン4Gおよび青色パターン4Bで構成されている。そして、本発明のカラーフィルタ1では、白色LED光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長との差が5nm以下である。また、本発明のカラーフィルタ1では、白色LED光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と緑色パターン4Gの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であることが好ましい。尚、本発明では、白色LED光源の発光波長分布の測定は、輝度計((株)トプコン製 SR-3AR)を用いて行い、各色パターンの光透過率の測定は、顕微分光装置(オリンパス(株)製 OSP-SP2000)を用いて行うものとする。
【0011】
図2は、上述のように、白色LED光源の発光波長分布(実線で示している)の青色発光ピーク波長P_(B)と青色パターン4Bの光透過率分布(鎖線で示している)のピーク波長P′_(B)との差が5nm以下であり、白色LED光源の発光波長分布(実線で示している)の緑色発光ピーク波長P_(G)と緑色パターン4Gの光透過率分布(一点鎖線で示している)のピーク波長P′_(G)との差が5nm以下である状態を示す図である。これに対して、図3は、白色LED光源の発光波長分布(実線で示している)の青色発光ピーク波長P_(B)と青色パターン4Bの光透過率分布(鎖線で示している)のピーク波長P′_(B)との差が5nmを超え、白色LED光源の発光波長分布(実線で示している)の緑色発光ピーク波長P_(G)と緑色パターン4Gの光透過率分布(一点鎖線で示している)のピーク波長P′_(G)との差が5nmを超える状態を示す図である。
図2に示されるように、青色発光ピーク波長P_(B)と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長P′_(B)との差が5nm以下であることにより、白色LED光源から発せられた光のカラーフィルタ1の青色パターン4Bにおける透過量が増大し、輝度が向上する。上記の青色発光ピーク波長P_(B)と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長P′_(B)との差が5nmを超えると、本発明の効果が十分に奏されないことがあり好ましくない。
また、緑色発光ピーク波長P_(G)と緑色パターン4Gの光透過率分布(一点鎖線で示している)のピーク波長P′_(G)との差が5nm以下であることにより、輝度の更なる向上が可能となる。
【0012】
上記のカラーフィルタ1を構成する透明基板2は、無アルカリガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。このような透明基材2の厚みは、例えば、200?1500μmの範囲で適宜設定することができる。
また、遮光層3は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000?2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングしたもの、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングしたもの、あるいは、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングしたもの等であってよい。遮光層のパターン形状は、平行に配設された複数のストライプからなる形状、格子形状等、いずれであってもよい。
着色層4を構成する赤色パターン4R、緑色パターン4G、および、青色パターン4Bは、所望の色材を含有した感光性樹脂を使用しフォトリソグラフィー法でパターニングして形成することができ、さらに、印刷法、電着法、転写法、インクジェット法等の公知の方法により形成することができる。このような着色層4の厚みは、例えば、1?10μmの範囲で適宜設定することがでる。
【0013】
着色層4を構成する青色パターン4Bは、色材としてトリアリールメタン化合物を含有することが好ましく、また、トリアリールメタン化合物とともに、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 80等のカラーインデックス番号である青色顔料および亜鉛フタロシアニン系青色顔料の1種または2種以上を含有するものであってもよい。また、青色パターン4Bの色材として、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等のカラーインデックス番号である紫色顔料を併用することができる。上記の色材の中では、特に、トリアリールメタン化合物とC.I.Pigment Blue 15:6との組み合わせが好適である。トリアリールメタン化合物としては、例えば、C.I.Acid Blue 1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、26、34、48、75、83、84、86、88、90、90:1、91、93、99、100、103、104、108、109、110、119、123、147、206、213、269等を挙げることができる。青色パターン4Bが含有する色材に占めるトリアリールメタン化合物の量は、白色LED光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長との差が5nm以下となるように適宜設定することができ、例えば、50?100質量%の範囲で設定することができる。
【0014】
着色層4を構成する緑色パターン4Gが含有する色材としては、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等、および、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等を挙げることができ、これらの1種、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。この中で、特に、C.I.Pigment Green 58とC.I.Pigment Yellow 138との組み合わせが好適であり、両顔料の含有割合は、白色LED光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と緑色パターン4Gの光透過率ピーク波長との差が5nm以下となるように適宜設定することが好ましく、例えば、色材中にC.I.Pigment Yellow 138を20?50質量%の範囲で含有するように設定することができる。
【0015】
また、着色層4を構成する赤色パターン4Rが含有する色材としては、特に制限はなく、従来のカラーフィルタに使用されている有機顔料、染料を使用することができる。
このようなカラーフィルタ1では、白色LED光源から発せられた光の透過量が増大し、これにより輝度が向上して、色再現性と輝度が共に優れた液晶表示装置を可能とする。
上述の実施形態は例示であり、本発明のカラーフィルタはこれに限定されるものではなく、例えば、遮光層3を備えていないものであってもよい。また、着色層4を被覆するように透明保護層を備えるものであってもよく、共通透明電極を備えたものであってもよい。
また、本発明のカラーフィルタでは、着色層4を形成するための各色の着色樹脂組成物に、上記の色材以外に、必要に応じて、溶剤、分散剤、モノマー、ポリマー、および重合開始剤等を含有させてもよい。
【0016】
上記の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、および3-メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。本発明においては、市販の溶剤を用いることもでき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業株式会社製)、および3-メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、溶剤の含有量は、着色樹脂組成物の合計質量に対して10?90質量%である。溶剤の含有量が上記範囲程度であれば、着色樹脂組成物の粘度を所望の範囲に調整し、顔料分散性や顔料分散経時安定性を向上させることができる。また、顔料濃度を一定範囲内にすることができるため、着色樹脂組成物を調製後、目標とする色度座標を達成することができる。
【0017】
上記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できるが、これらの中でも高分子界面活性剤(高分子分散剤)を用いることが好ましい。高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、および3級アミン変性ポリウレタン類などが挙げられる。本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、および28000等の各種ソルスパース分散剤(ゼネカ株式会社製)、ならびにDisperbyk111(ビックケミー・ジャパン株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、分散剤の含有量は、色材の合計質量に対して10?80質量%である。
【0018】
上記のモノマーとしては、例えば、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールアクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2-ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10-デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1-ビニル-2-ピロリドン、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール-エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール-プロピレンオキサイド変性アクリレート、N-ビニル-2-ピロリドン、ビスフェノールA-エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、ならびにメタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー社製)、アロニックスM-400(東亞合成株式会社製)、およびアロニックスM-450(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、モノマーの含有量は、色材の合計質量に対して5?80質量%である。
【0019】
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ペンチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-デシルアクリレート、n-デシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニル-2-ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、ならびにこれらの酸無水物等が挙げられる。本発明においては、市販のポリマーを用いることもでき、例えば、アロニックスM-5600(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-6200(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-7100(東亞合成株式会社製)、およびアロニックスM-9050(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、ポリマーの含有量は、色材の合計質量に対して5?80質量%である。
【0020】
上記の重合開始剤としては、熱重合開始剤および光重合開始剤等を用いることができ、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、および1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の重合開始剤を用いることもでき、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)等のケトン系化合物、および2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’-テトラフェニル-1,2’ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。好ましい態様では、重合開始剤の含有量は、色材の合計質量に対して1?40質量%である。
【0021】
[液晶表示装置]
図4は、本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す部分断面図であり、上述の本発明のカラーフィルタ1を使用した例である。図4において、液晶表示装置11は、カラーフィルタ1と対向基板21を所望の設定間隔で対向させ、周辺部をシール部材(図示せず)により封止し、間隙部分に液晶層31が位置するものである。また、カラーフィルタ1の液晶層31と反対側、および、対向基板21の液晶層31と反対側には、それぞれ偏光膜12,13が配設されており、対向基板21の背面側には白色LED光源41が配設されている。そして、使用するカラーフィルタ1は、白色LED光源41の発光波長分布の青色発光ピーク波長と青色パターン4Bの光透過率ピーク波長との差が5nm以下とされている。
カラーフィルタ1は、遮光層3および着色層4を被覆するように透明保護層5を備え、この透明保護層5上に共通透明電極6を備えている。また、対向基板21の液晶層31側には対向電極22が配設され、この対向電極22は、対向基板21に設けられた駆動素子(図示せず)に接続されている。
【0022】
偏光膜12,13としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムに2色性を有するヨウ素錯体等の異方性材料を吸着配向させたもの等、公知の偏光材料を使用することができる。
共通透明電極6、対向電極22は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、および、その合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成されたものである。
対向基板21は、上述のカラーフィルタ用の透明基板2として挙げたものを使用することができる。
液晶層31の駆動方式は、TN方式、STN方式、IPS方式、OCB方式、MVA方式等の駆動方式を用いることができ、駆動方式によっては、上記の共通透明電極6が不要であり、さらに、対向基板21の対向電極22が駆動方式に適合するような形態をとることができる。また、液晶層31に用いる液晶化合物は、駆動方式に応じて特定の結晶配列が可能な液晶化合物を適宜選択して使用することができる。
液晶層31の配向に使用する配向膜(図示せず)は、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリウレタン系およびポリ尿素系等の有機化合物により形成することができ、厚みは0.01?1μm程度とすることができる。
【0023】
白色LED光源41は、例えば、青色LEDと、この青色LEDから発光された光によって励起され、上記青色LEDから発光された光と混色することにより白色光とすることができる蛍光を発する蛍光体とを備えるものを使用することができる。青色LEDは、公知の青色LEDを使用することができ、発光波長が440?450nm、好ましくは442?448nmの範囲であるものを適宜使用することができる。また、蛍光体は、上記の発光波長の光により励起され、より長波長の蛍光を発するものであり、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」)、赤色・緑色蛍光体(以下、「RG蛍光体」)等の公知の蛍光体を使用することができる。
このような液晶表示装置11は、白色LED光源41の発光波長分布の青色発光ピーク波長と、着色層4を構成する青色パターン4Bの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であるので、カラーフィルタ1を透過する白色LED光源41からの光の光量低下が抑制され、色再現性と輝度が共に優れたものである。
上述の実施形態は例示であり、本発明の液晶表示装置は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[参考例1]
(遮光層の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
(黒色顔料分散液の組成)
・黒色顔料 … 23質量部
・高分子分散剤 … 2質量部
(ビックケミー・ジャパン(株)Disperbyk111)
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) … 75質量部
【0025】
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光層用組成物を得た。
(遮光層用組成物の組成)
・上記黒色顔料分散液 … 61質量部
・硬化性樹脂組成物 … 20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル … 30質量部
【0026】
そして、透明基板として厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製 AN材)を定法にしたがって洗浄した後、遮光層用組成物をスピンコート法により塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光層形成用の塗布層を形成した。この遮光層形成用の塗布層を、超高圧水銀ランプで所望の遮光層形状パターンに露光した後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、透明基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光層を形成した。
【0027】
(各色パターンの形成)
上記のように遮光層を形成した透明基板上に、下記組成の赤色パターン用感光性塗料Rをスピンコート法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥して赤色パターン形成用層を形成した。次いで、この赤色パターン形成用層から100μmの距離にスリットマスク(凹凸形成用遮光部幅10μm)を配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて赤色パターンの形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05質量%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色パターン形成用層の未硬化部分のみを除去した。その後、透明基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して赤色パターンを形成した。
次に、下記組成の緑色パターン用感光性塗料G1を用いて、赤色パターンと同様の工程で、緑色パターンを形成した。
さらに、下記組成の青色パターン用感光性塗料B1を用いて、赤色パターンと同様の工程で、青色パターンを形成した。
これにより赤色パターン、緑色パターンおよび青色パターンからなる着色層(厚み2μm)を有するカラーフィルタを得た。
【0028】
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率を顕微分光装置(オリンパス(株)製 OSP-SP2000)を用いて測定し、光透過率のピーク波長を下記の表1に示した。
(赤色パターン用感光性塗料R)
・C.I.Pigment Red 177 … 5.9質量部
(大日精化工業(株)製 Chromofine Red 6605)
・C.I.Pigment Red 254 … 3.3質量部
(CSC(株)製 BT-CF)
・C.I.Pigment Yellow 150 … 2.8質量部
(Lanxess(株)製 Y-5688)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0029】
(緑色パターン用感光性塗料G1)
・C.I.Pigment Green 58 … 5質量部
(DIC(株)製)
・C.I.Pigment Yellow 138 … 5質量部
(BASF(株)製 K0961 HD)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0030】
(青色パターン用感光性塗料B1)
・C.I.Pigment Violet 23 … 10質量部
(DIC(株)製 Violet RE)
・トリアリールメタン化合物 … 90質量部
(日本化薬(株)製 Acid Biue 83)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0031】
尚、上記の硬化性樹脂組成物Iは、以下のように調製した。
まず、重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、撹拌し溶解させた後、2,2′-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間撹拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、およびハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間撹拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0032】
次に、上記の共重合樹脂溶液を用いて、下記の各材料を室温で撹拌、混合して硬化性樹脂組成物Iを調製した。
(硬化性樹脂組成物Iの組成)
・上記の共重合樹脂溶液(固形分50%) … 16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート … 24質量部
(サートマー社製 SR399)
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂 … 4質量部
(油化シェルエポキシ社製 エピコート180S70)
・2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モノフォリノ
プロパン-1-オン … 4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル … 52質量部
【0033】
[実施例]
青色パターン用感光性塗料として、下記組成の青色パターン用感光性塗料B2を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(青色パターン用感光性塗料B2)
・トリアリールメタン化合物(レーキ化合物) … 10質量部
(BASF(株)製 FANAL Biue D6340)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0034】
[参考例2]
緑色パターン用感光性塗料として、下記組成の緑色パターン用感光性塗料G2を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(緑色パターン用感光性塗料G2)
・C.I.Pigment Green 58 … 6.5質量部
(DIC(株)製)
・C.I.Pigment Yellow 150 … 3.5質量部
(Lanxess(株)製 Y-5688)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0035】
[参考例3]
緑色パターン用感光性塗料として、下記組成の緑色パターン用感光性塗料G3を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(緑色パターン用感光性塗料G3)
・C.I.Pigment Green 58 … 5.5質量部
(DIC(株)製)
・C.I.Pigment Yellow 138 … 4.5質量部
(DIC(株)製)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0036】
[比較例1]
緑色パターン用感光性塗料として、下記組成の緑色パターン用感光性塗料G4を用い、青色パターン用感光性塗料として、下記組成の青色パターン用感光性塗料B3を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(緑色パターン用感光性塗料G4)
・C.I.Pigment Green 36 … 5.4質量部
(DIC(株)製)
・C.I.Pigment Yellow 150 … 4.6質量部
(Lanxess(株)製 Y-5688)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0037】
(青色パターン用感光性塗料B3)
・C.I.Pigment Blue 15:6 … 9質量部
(DIC(株)製 Fastogen Blue EP-7)
・C.I.Pigment Violet 23 … 1質量部
(DIC(株)製 Violet RE)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0038】
[比較例2]
緑色パターン用感光性塗料として、上記の組成の緑色パターン用感光性塗料G2を用いた他は、比較例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
【0039】
[比較例3]
青色パターン用感光性塗料として、下記組成の青色パターン用感光性塗料B4を用いた他は、参考例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
このカラーフィルタの緑色パターンおよび青色パターンにおける光透過率のピーク波長を参考例1と同様に測定し、結果を下記の表1に示した。
(青色パターン用感光性塗料B4)
・C.I.Pigment Blue 15:6 … 7質量部
(DIC(株)製 Fastogen Blue EP-7)
・C.I.Pigment Violet 23 … 3質量部
(DIC(株)製 Violet RE)
・ポリスルホン酸型高分子分散剤 … 3質量部
・硬化性樹脂組成物I … 5質量部
・酢酸-3-メトキシブチル … 82質量部
【0040】
[液晶表示装置の作製]
上記の各カラーフィルタ(参考例1、実施例、参考例2、参考例3、比較例1?3)上に酸化インジウムスズ(ITO)からなる共通透明電極(厚み0.15μm)を形成した。
また、対向基板を定法にしたがって洗浄した後、対向基板上の所定の複数の個所に駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、各TFTのドレイン電極に接続するように対向電極(厚み0.15μm)を酸化インジウムスズ(ITO)により形成した。
次に、上記のカラーフィルタの共通透明電極を覆うように、また、対向基板上の対向電極を覆うようにポリイミド樹脂塗料(JSR(株)製 JALS-204)を塗布、乾燥して配向層(厚み0.5μm)を設け、配向処理を施した。
【0041】
次いで、これらのカラーフィルタと対向基板を対向させ、間隙に液晶(メルク社製MLC-2038)を封入してセルを構成し、このセルのカラーフィルタと対向基板の外側にそれぞれ偏光膜を貼設し、さらに、対向基板の外側に白色LED光源(色温度18000K)を配設して、液晶表示装置を得た。使用した白色LED光源の発光波長分布を、輝度計((株)トプコン製 SR-3AR)で測定した結果、青色発光ピーク波長は445nmであり、緑色発光ピーク波長は540nmであった。
【0042】
[評 価]
作製した7種の液晶表示装置(参考試料1、試料1、参考試料2、参考試料3、比較試料1?3)について、輝度計((株)トプコン製 SR-3AR)を用いて、カラーフィルタ側で観測される緑、青の各色光のxy色度とY値(明度)を測定し、結果を下記の表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示されるように、試料1は、比較試料1?3に比べて青色パターンのY値および白表示のY値が高く、高輝度であることが確認された。また、試料1と比較試料1の対比から、白色LED光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と緑色パターンの光透過率ピーク波長との差を5nm以下とすることにより、輝度が更に向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0045】
白色発光ダイオード光源を使用する液晶表示装置に用いるカラーフィルタの製造と、液晶表示装置の製造において有用である。
【符号の説明】
【0046】
1…カラーフィルタ
2…透明基板
3…遮光層
4…着色層
4R…赤色パターン
4G…緑色パターン
4B…青色パターン
11…液晶表示装置
21…対向基板
31…液晶層
41…白色発光ダイオード光源
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光ダイオードを光源とする液晶表示装置に使用するカラーフィルタにおいて、
透明基板と、該透明基板上に位置する着色層と、を備え、該着色層は赤色パターン、緑色パターン、青色パターンを少なくとも有し、
白色発光ダイオード光源の発光波長分布の青色発光ピーク波長と前記青色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、白色発光ダイオード光源の発光波長分布の緑色発光ピーク波長と前記緑色パターンの光透過率ピーク波長との差が5nm以下であり、前記青色パターンは、色材としてトリアリールメタン化合物のみを含有することを特徴とする白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項2】削除
【請求項3】
前記トリアリールメタン化合物は、レーキ顔料であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記トリアリールメタン化合物は、C.I.Acid Blue 83であることを特徴とする請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記緑色パターンは、色材としてピグメントグリーン58とピグメントイエロー138を含有することを特徴とする請求項1、請求項3、および、請求項4のいずれかに記載の白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタ。
【請求項6】
カラーフィルタが液晶層を介して対向基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各色パターンが画素をなすような液晶表示装置において、
カラーフィルタは請求項1、請求項3、請求項4、および、請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタであり、
対向基板の前記カラーフィルタと対向する面と反対側に白色発光ダイオード光源を備えることを特徴とする液晶表示装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-25 
出願番号 特願2011-100854(P2011-100854)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G02F)
P 1 651・ 121- YAA (G02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福村 拓小林 俊久  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 森 竜介
近藤 幸浩
登録日 2015-10-23 
登録番号 特許第5824855号(P5824855)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 白色発光ダイオード光源用のカラーフィルタおよびそれを用いた液晶表示装置  
代理人 太田 昌孝  
代理人 太田 昌孝  
代理人 米田 潤三  
代理人 米田 潤三  
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