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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A47J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A47J |
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管理番号 | 1338126 |
異議申立番号 | 異議2017-700351 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-04-10 |
確定日 | 2018-02-01 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6065092号発明「スープ保温用真空二重容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6065092号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6065092号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
理 由 第1 手続の経緯 本件特許第6065092号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成29年1月6日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人赤松智信より特許異議の申立てがされ、平成29年9月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年10月27日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正請求に対して特許異議申立人より同年12月7日付けで意見書の提出がされたものである。 第2 訂正の請求 1.訂正の内容 平成29年10月27日付け訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6065092号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正する」ことを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を、次のように訂正するものである(下線は、訂正箇所を示す)。 ア.請求項1に係る訂正 訂正前の請求項1に 「有底の内筒部と、 側壁部と、側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の開口端部と接合される有底の外筒部と、 前記外筒部と前記内筒部との間に形成される真空空間と を備える、スープ保温用真空二重容器。」とあるのを、 「スープをスプーンですくい出すことができるスープ保温用真空二重容器であって、 第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、 前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、 前記段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部と、 第2側壁部と、前記第2側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の先端壁部と接合される有底の外筒部と、 前記外筒部と前記内筒部との間に形成される真空空間と を備える、スープ保温用真空二重容器。」 と訂正する。 イ.訂正事項 本件訂正は、以下の訂正事項を含む。 (ア)訂正事項1 訂正前の請求項1の「有底の内筒部と、」の前に「スープ保温用真空二重容器」について、「スープをスプーンですくい出すことができるスープ保温用真空二重容器であって、」との事項を付加する(以下「訂正事項1」という。)。 (イ)訂正事項2 訂正前の請求項1の「有底の内筒部」とあるのを、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部」と訂正する(以下「訂正事項2」という。)。 (ウ)訂正事項3 訂正前の請求項1に、「前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部」を付加する(以下「訂正事項3」という。)。 (エ)訂正事項4 訂正前の請求項1に、「段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を付加する(以下「訂正事項4」という。)。 (オ)訂正事項5 訂正前の請求項1に「側壁部と、側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の開口端部と接合される有底の外筒部」とあるのを、「第2側壁部と、前記第2側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の先端壁部と接合される有底の外筒部」と訂正する(以下「訂正事項5」という。)。 2.訂正の適否 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1を「スープをスプーンですくい出すことができるスープ保温用真空二重容器」と特定することで、スープ保温用真空二重容器の機能を特定して特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、スープ保温用真空二重容器を「スープをスプーンですくい出すことができるスープ保温用真空二重容器」という機能を特定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項1は、願書に添付した明細書の「・・・また、このスープ保温用真空二重容器100では、内筒111は、開口に向かうに従って拡径する。このため、このスープ保温用真空二重容器100は、スープをスプーンSNですくい出しやすくすることができる。したがって、このスープ保温用真空二重容器100は、スープをスプーンSNですくい出すことができると共に、手が小さい女性や子供等であっても把持しやすい。」(【0016】)という記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「有底の内筒部」について、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部」と第1側壁部の構成を特定し特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア.の理由から明らかなように、訂正事項2は、「有底の内筒部」について、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部」と構成を特定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項2は、願書に添付した明細書の「内筒111は、図2に示されるように、主に、内筒側壁部111a、内筒底壁部111b、先端壁部111cおよび段部111dから形成されている。なお、この内筒111は、SUS316L、SUS316、SUS304L等の鋼材から形成されている。内筒111を形成する鋼材としては、外筒112を形成する鋼材よりも耐蝕性に優れるものが採用される。内筒側壁部111aは、逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)を呈している。」(【0011】)という記載及び図2の記載に基づくものであり、「逆切頭円錐筒形状」は全高に亘って直線的に縮径するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項に適合する。 (3)訂正事項3について ア.訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項1に、「前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部」を付加して特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア.の理由から明らかなように、訂正事項3は、「前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部」を付加して特許請求の範囲を減縮するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項3は、願書に添付した明細書の「内筒111は、図2に示されるように、主に、内筒側壁部111a、内筒底壁部111b、先端壁部111cおよび段部111dから形成されている。」(【0011】)という記載及び図2の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項に適合する。 (4)訂正事項4について ア.訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項1に、「段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を付加して特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア.の理由から明らかなように、訂正事項4は、「段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を付加して特許請求の範囲を減縮するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項4は、願書に添付した明細書の「 内筒111は、図2に示されるように、主に、内筒側壁部111a、内筒底壁部111b、先端壁部111cおよび段部111dから形成されている。・・・また、この先端壁部111cは、段部111dを介して内筒側壁部111aに接合されている。段部111dは、逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)の部位であって、上述の通り、内筒側壁部111aと先端壁部111cとの間に位置し、内筒側壁部111aと先端壁部111cとを接合している。なお、この段部111dは、蓋本体120が容器本体110に装着されたときに蓋本体120の内蓋121(後述)のパッキン(図示せず)に当接するように、位置決めされている。」(【0011】)という記載及び図2の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項に適合する。 (5)訂正事項5について ア.訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項1の「側壁部と、側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の開口端部と接合される有底の外筒部」とあるのを、「第2側壁部と、前記第2側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の先端壁部と接合される有底の外筒部」と特定することで特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。 イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記ア.の理由から明らかなように、訂正事項5は、「側壁部と、側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の開口端部と接合される有底の外筒部」とあるのを、「第2側壁部と、前記第2側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の先端壁部と接合される有底の外筒部」と特定することで特許請求の範囲を減縮するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。よって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項5は、願書に添付した明細書の「内筒111は、図2に示されるように、主に、内筒側壁部111a、内筒底壁部111b、先端壁部111cおよび段部111dから形成されている。」(【0011】)という記載及び図2の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項に適合する。 3.まとめ したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法同条第9項の規定によって準用する第126条第5項及び第6項に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。 第3 本件発明 上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記「第2 1.ア.」参照。)。 第4 取消理由の概要 平成29年9月15日付け取消理由通知の概要は、以下のとおりである。 理由1 本件発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2 本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 甲第1号証:特開2011-230807 なお、上記取消理由通知は、本件特許異議の申立てにおいて申立てられたすべての申立理由を含んでいる。 第5 取消理由についての判断 1.理由1について (1)甲第1号証 ア.甲第1号証には、以下の記載がある。 (ア)「【0016】 図は実施例1を示しており、容器である金属又は樹脂製の保温容器本体1の上部開口部2に蓋3を着脱自在に設けたものである。保温容器本体1はステンレス鋼の有底な外筒4の内側に同じくステンレス鋼の有底な内筒5を設けると共に、これら外筒4と内筒5の上縁を接合して広口の上部開口部2を形成している。そして、外筒4と内筒5の間を断熱層たる真空層6とすることで断熱二重容器を形成している。また、内筒5における上部開口部2のやや下方には突起7が内側に向けて段状に設けられている。」 (イ)「【0020】 ・・・一方上部開口部2の外周面に雄螺子部21が形成される。」 (ウ)「【0023】 ・・・内筒5にスープ、味噌汁のような汁など被収容物(図示せず)を収容した後に」 (エ)図1の記載から、外筒容器の上部と雄螺子部の間には外筒容器容器の側壁よりも外側に向かって張り出す張り出し部及び張り出し部の上側且つ内側に位置する雄螺子部が看取できる。 (オ)「 【図1】 」 イ.甲第1号証に記載された発明 上記(ア)ないし(オ)の記載から甲第1号証には、以下の発明が記載されている。 「側壁と、側壁よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄螺子部とを有し、上部開口部で内筒と外筒が接合し、内筒と外筒の間で断熱層たる真空層とすることで断熱二重容器を形成する保温容器。」(以下、「甲1発明」という。)」 (3)本件発明と甲1発明との対比、判断 本件発明と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点において相違する。 ア.相違点 本件発明は、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、前記段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を備えているのに対して、甲1発明は、内筒を備えているものの、そのような構成を備えていない点(以下「相違点1」という。)。 イ.判断 上記相違点1について検討すると、本件発明は、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、前記段部の上端から上方に延び」「内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を備えることにより、「スープをスプーンSNですくい出すことができる」(【0016】)という課題を解決するものであるから、上記相違点1は、実質的な相違点である。 ウ.まとめ よって、本件発明は、甲1発明でないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許を受けることができないとすることはできない。 2.理由2について (1)甲第1号証 ア.甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、上記1.(1)イ.のとおりの甲1発明が記載されている。 イ.本件発明と甲1発明との対比 本件発明と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも上記1.(3)ア.のとおりの相違点1において相違する。 ウ.判断 上記相違点1について検討すると、本件発明は、「スープをスプーンSNですくい出すことができる」(【0016】)という課題を解決するために、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、前記段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を備えるものである。 そして、甲第1号証及び異議申立人が提出したいずれの証拠にも、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、前記段部の上端から上方に延び」「内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を備えることにより、「スープをスプーンSNですくい出すことができる」(【0016】)という課題を解決することは記載されていないし、示唆する記載も見当たらない。 したがって、甲1発明において、上記課題を解決するために、「第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、前記段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部」を備えるとする動機付けはない。 そして、本件発明は、上記相違点1に係る構成を備えることにより、「スープをスプーンSNですくい出すことができる」及び「手が小さい女性や子供等であっても把持しやすい。」(【0016】)という効果を奏するものである。 エ.まとめ よって、本件発明は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、本件発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 スープをスプーンですくい出すことができるスープ保温用真空二重容器であって、 第1底壁部と、前記第1底壁部の外縁から上側に向かって延びる第1側壁部とを有し、前記第1底壁部に向かうに従って前記第1側壁部が全高に亘って直線的に縮径する内筒部と、 前記内筒部の上端から外側に向かって延びる段部と、 前記段部の上端から上方に延び、前記内筒部の開口径よりも大きい開口径を有する先端壁部と、 第2側壁部と、前記第2側壁部よりも外側に向かって張り出す張り出し部と、前記張り出し部の上側且つ内側に位置する雄ネジ部とを有し、開口端部で前記内筒部の先端壁部と接合される有底の外筒部と、 前記外筒部と前記内筒部との間に形成される真空空間と を備える、スープ保温用真空二重容器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-01-22 |
出願番号 | 特願2015-237180(P2015-237180) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(A47J)
P 1 651・ 121- YAA (A47J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 宮崎 賢司 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 莊司 英史 |
登録日 | 2017-01-06 |
登録番号 | 特許第6065092号(P6065092) |
権利者 | タイガー魔法瓶株式会社 |
発明の名称 | スープ保温用真空二重容器 |
代理人 | 北原 宏修 |
代理人 | 北原 宏修 |