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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E21D
審判 全部申し立て 特174条1項  E21D
審判 全部申し立て 2項進歩性  E21D
管理番号 1338160
異議申立番号 異議2018-700004  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-05 
確定日 2018-03-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第6159057号発明「合成系コンクリート中詰鋼製セグメント」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6159057号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6159057号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし13に係る特許についての出願は、平成24年4月11日(優先権主張平成23年4月12日)に特許出願され、平成29年6月16日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成30年1月5日に特許異議申立人小園祐子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
本件特許の請求項1ないし13に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」などいい、まとめて「本件発明」という。)。

「【請求項1】
少なくとも一対の主桁と、
前記主桁を結合する縦リブと、
前記主桁の上外周面側に設けられるスキンプレートと、
を具備し、
両端に形成される前記主桁の下内周面側端部近傍には、前記主桁の対向面方向にそれぞれ主桁下フランジが形成され、前記主桁下フランジは、主桁の対向面方向の長さDが、厚さtより長い形状であり、
前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合されるとともに、前記主桁下フランジとの接合部を除く部位には切欠き部が形成され、
前記縦リブは、両端部がそれぞれ前記主桁の対向面に接合され、
前記縦リブの下内周面側端部は、前記主桁下フランジの外周面側上面に接合され、前記切欠き部が、前記主桁下フランジの外周面側上面より外周面側に形成されており、
前記縦リブは、前記主桁の対向面と同方向に溶接又は、ボルト・ナットで固定された接合面が形成されてなく前記主桁に対向する方向に連続した板状部材であって、
前記主桁間にコンクリートが充填され、前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており、
前記主桁下フランジの前記縦リブとの接合部からの突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2であることを特徴とするセグメント。
【請求項2】
前記主桁は、トンネル軸方向に配置されるセグメント同士を接続する継手部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のセグメント。
【請求項3】
前記切欠き部には、前記セグメントの周方向に延びるひび割れ防止筋が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセグメント。
【請求項4】
前記主桁下フランジの長さDは、前記セグメントの全幅Gに対して、D≦G/10であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセグメント。
【請求項5】
前記切欠き部の両端部はテーパ状に形成され、前記切欠き部の中央部には直線部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のセグメント。
【請求項6】
前記切欠き部の前記主桁下フランジとの接合部と前記直線部までの軸方向の距離Aが、前記切欠き部の深さB以上であることを特徴とする請求項5に記載のセグメント。
【請求項7】
両端に形成される前記主桁の上外周面側端部には、前記主桁の対向面方向にそれぞれ主桁上フランジがさらに形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のセグメント。
【請求項8】
少なくとも前記切欠き部を除く部位の前記縦リブには、防食処理が施されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のセグメント。
【請求項9】
前記主桁下フランジの内周面側に防食処理部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のセグメント。
【請求項10】
前記防食処理部の内面と、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面とが連続して平滑に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のセグメント。
【請求項11】
前記切欠き部の深さは、前記主桁下フランジの厚さをtとすると、前記コンクリートによるセグメントの鋼製部の防食と、前記コンクリートの劣化によるすり減りを考慮して、(25-t)mm以上となるように設定されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のセグメント。
【請求項12】
前記切欠き部には、前記セグメントの周方向および軸方向に格子状にひび割れ防止筋が配置され、前記ひび割れ防止筋の径をそれぞれd1、d2とすると、前記切欠き部の深さは、(25-t+d1+d2)mm以上であることを特徴とする請求項11記載のセグメント。
【請求項13】
少なくとも一対の主桁と、
前記主桁を結合する縦リブと、
前記主桁の上外周面側に設けられるスキンプレートと、
を具備し、
両端に形成される前記主桁の下内周面側端部近傍には、前記主桁の対向面方向にそれぞれ主桁下フランジが形成され、
前記縦リブの下内周面側端部は、少なくとも一方の端部が前記主桁下フランジと接合されるとともに、前記主桁下フランジとの接合部を除く部位には切欠き部が形成され、
前記縦リブは、両端部がそれぞれ前記主桁の対向面に接合され、
前記縦リブの下内周面側端部は、前記主桁下フランジの外周面側上面に接合され、前記切欠き部が、前記主桁下フランジの外周面側上面より外周面側に形成されており、
前記縦リブは、前記主桁の対向面と同方向に溶接又は、ボルト・ナットで固定された接合面が形成されてなく前記主桁に対向する方向に連続した板状部材であって、
前記主桁間にコンクリートが充填され、
前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており、
前記主桁は前記主桁下フランジから下端部が延長されていて、前記主桁の前記下端部は、前記コンクリートの内周面と一致、または、主桁の下端部よりも前記コンクリートの内面が内周側に形成されていることを特徴とするセグメント。」

3 取消理由の概要
申立人が主張する取消理由の概要は以下のとおりである。
(1)取消理由1(明確性要件違反)
本件発明1ないし12に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件(明確性要件)を満たしていないから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2(サポート要件違反)
本件発明1ないし13に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たしていないから、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(3)取消理由3(補正要件違反)
本件特許に係る平成29年3月6日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本件発明1ないし13に係る特許は、同法第113条第1号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
(4)取消理由4(進歩性欠如)
本件発明1ないし12は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証:特開2011-47267号公報
甲第2号証:特開平8-277698号公報
甲第3号証:特開2011-12495号公報
甲第4号証:特開2007-297906号公報
甲第5号証:特開2003-307100号公報
甲第6号証:土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)、「合成セグメント(鋼殼十RCセグメント)の開発」(山田晃司、小林一博、橋本博英)、VI-229(457-458)頁

4 刊行物の記載
(1)甲第1号証
本件特許の優先権主張日前(以下「出願日前」という。)に頒布された甲第1号証には、以下の記載がある(下線は当決定で付した。以下同様。)。

ア 特許請求の範囲
「【請求項1】
1枚のウェブ部材と少なくとも1枚のフランジ部材とを有する少なくとも一対の主桁と、地山側または内空側のいずれか一方あるいは両方にスキンプレートとを備えるセグメントにおいて、
上記ウェブ部材と上記フランジ部材とは、互いに溶接により固着され、
上記ウェブ部材と上記フランジ部材間、又は互いに上下に対向する上記フランジ部材間、又は互いに上下に対向するフランジ部材とスキンプレート間、を接続する接続部材が設けられていること
を特徴とするセグメント。」
イ 技術分野
「【0001】
本発明は、シールドトンネル内における覆工体等として用いられるセグメントに関し、特に主桁のウェブ部材とフランジ部材とを溶着させることにより構成するセグメントに関する。」
ウ 発明が解決しようとする課題
「【0010】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、主桁のウェブ部材とフランジ部材とを溶着させることにより構成するセグメントにおいて、かかるフランジ部材とウェブ部材とを溶接により接合する際に発生する溶接熱に基づくフランジ部材の面外変形をより安価な構成で抑制するとともに、特に中詰めコンクリートを充填する際には、フランジ部材間の荷重伝達性能を向上させ、フランジ部材のトンネル法線方向への面外変形によるコンクリートのひび割れ、あるいはフランジ部材とコンクリートとの剥離を防止し、ひいては所要の構造性能および耐久性能を発揮させることが可能なセグメントを提供することにある。」
エ 発明の効果
「【0024】
本発明に係るセグメントは、ウェブ部材とフランジ部材とを互いに溶接により固着した主桁におけるウェブ部材とフランジ部材間、又は互いに上下に対向するフランジ部材間を接続部材により接続したセグメントである。
【0025】
このため、本発明を適用したセグメントでは、上述した接続部材を取り付けることにより、地山側からの荷重によってフランジ部材に発生するせん断応力の伝達経路を増やすことが可能となり、主桁における応力伝達性能を向上させ、セグメントの部材性能の向上が期待できる。加えて、上述の接続部材を設けることで、フランジ部材のトンネル法線方向への面外変形が抑制され、特にトンネル周方向に円弧状に配置される内空側フランジ部材を備えたセグメントでは、腹圧力による内空側フランジ部材のトンネル内空側への面外変形が抑制され、セグメントの部材性能が格段に向上する。特に、コンクリートが中詰めされている場合には、上述の接続部材を設けることにより、フランジ部材のトンネル法線方向への面外変形が抑制されるので、コンクリートのひびわれ、あるいはフランジ部材とコンクリートとの剥離を防止することができ、耐久性能が格段に向上する。」
オ 発明を実施するための形態
「【0037】
本発明を適用したセグメント1は、例えば図1に示すように、コンクリートが中詰めされた鉄鋼製セグメント100であり、一対の主桁5が平行に配設され、左右の主桁5の両端部間が継手板6で連結されており、主桁5と継手板6で組まれた矩形のセグメント枠の外端面にスキンプレート7が溶接されて、さらに左右の主桁5の間には、トンネル周方向に所定の間隔をあけて複数の補強用縦リブ16が配設され、その両端が溶接で固定されて鋼殻が形成されている。また、左右の主桁5それぞれについて、後述する接続部材3が設けられている。そして、この鉄鋼製セグメント100の内部には中詰めコンクリート4が充填される。」
「【0039】
主桁5は、セグメントリングをトンネル軸方向に向けて接合するためのボルト孔59が開削されている。即ち、このボルト孔59には、トンネル軸方向に隣接する他のセグメントリングとの間で連結を行うための図示しないリング間継手が設けられる。また、この主桁5は、トンネル周方向に向けて円弧状に構成されている。図2は、セグメント1におけるトンネル周方向断面を示している。主桁5は、少なくともウェブ部材51とフランジ部材52とを有する。ちなみに、この図2の例では、ウェブ部材51の上端においてフランジ部材52aが、また下端においてフランジ部材52bが取り付けられて断面コ字状に構成した例を示している。このウェブ部材51とフランジ部材52とは、互いに溶接により固着されている。より詳細には、このウェブ部材51の内面51aにおいてフランジ部材52の端部が当接された上で、当該内面51aとフランジ部材52の端部とが溶接55により固着されることになる。」
「【0080】
図17?図22は、間隔をおいて対向するように隣り合う各主桁5相互を、曲げ剛性の高い鋼板等よりなるトンネル周方向に間隔をおいて配置された接続部材3又は接続体3bにより連結一体化してもよいことを示した実施形態を示したものである。これら実施形態においては、主桁5において、ウェブ部材51とフランジ部材52a又はフランジ部材52b間、もしくは互いに上下に対向するフランジ部材52間、もしくは互いに上下に対向するフランジ部材7とスキンプレート間を、接続部材3で連結させた上で、各主桁5間で相対する接続部材3を同一の接続部材3あるいは接続体3bで連結させている。これらの実施形態のように、主桁5相互が一体成形された1枚ものの接続部材3又は複数の鋼材の組み立て体からなる接続体3bにより連結一体化されていることで、接続体3bと主桁からなる全体構造の曲げ剛性を高めることができ、前記の腹圧力による内空側のフランジ部材52bの変形抑制効果を向上させることができる。
【0081】
図26(a)に示すように、内空側フランジ部材52bと地山側フランジ部材52a(又は地山側スキンプレート7あるいはウェブ部材51等)を接続部材3で連結一体化した場合には、点線で示す、トンネル内空側のフランジ部材52bの鉛直変位に対して矢印で示す吊上げ力Dにより抵抗可能になるが、さらに主桁5相互を曲げ剛性の高い接続部材3あるいは接続体3bにより連結すると、図26(b)に矢印で示す抵抗曲げモーメントEによって、トンネル内空側のフランジ部材52bを含む主桁5のトンネル内空側への回転変位に対して、抵抗可能な構造になるので望ましい。
【0082】
また、本実施形態は、基本的に接続部材3が主桁5を構成する部材間を連結しているので、主桁5の溶接による変形を抑制することができ、コンクリートが中詰めされている場合には鋼殻とコンクリートとの一体化が図られて合成構造としての構造性能を発揮でき、接続体3bによりトンネル軸方向圧縮力および引張力の伝達性能が向上する。
以下、図17?図22に示す形態を簡単に説明する。
【0083】
図17に示す形態では、内空側のフランジ部材52bに寄せて、幅狭の鋼製板からなる接続部材3を、ウェブ部材51とトンネル内空側のフランジ部材52bに渡って配置して、溶接により、主桁5相互を連結一体化した形態である。なお、接続部材3は、中詰めコンクリート4を設けてこれに埋め込み配置する形態では、防食性能としての所要のコンクリート被りを確保できない場合は接続部材3の防錆を図るようにする。接続部材3としては鋼板等の鋼製部材を用いると安価な部材を用いて補剛することができる。接続部材3と補強用縦リブ16とは、トンネル周方向に位置をずらして設けるようにした形態である。なお、中詰めコンクリート5を設ける形態では、補強用縦リブ16の代わりに接続部材3を用いて、全て接続部材3により主桁2相互を連結一体化しても良い。
【0084】
図18に示す実施形態では、トンネル内空側のフランジ部材52bと地山側のフランジ部材52a間の幅寸法の鋼板製の接続部材3を、主桁5間に渡って配置して、トンネル内空側のフランジ部材52bと地山側のフランジ部材52aとウェブ部材51に溶接により固定して、主桁5相互を接続部材3により連結一体化した形態である。この形態では、接続部材3の剛性が前記形態より格段に大きくなるから、フランジ部材52a、52b等の面外変形および回転変形を格段に防止することができる。本形態では、接続部材3が前記形態の補強用縦リブ16の機能を兼ねるので、補強用縦リブ16は全て接続部材3に置き換えることが可能である。」
カ 図18から、内空側のフランジ部材52bは、ウェブ部材51の対向面方向の長さが厚さより長い形状であること、内空側のフランジ部材52bは、接続部材3との溶接部から突出した部分を有しないことが看て取れる。
キ 上記アないしカからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「一対のウェブ部材51と、前記一対のウェブ部材51を連結一体化する接続部材3と、前記ウェブ部材51の地山側に設けられるスキンプレート7と、を具備し、
両端に形成される前記ウェブ部材51の下端(内空側端部)には、前記ウェブ部材51の対向面方向にそれぞれ内空側のフランジ部材52bが形成され、前記内空側のフランジ部材52bは、ウェブ部材51の対向面方向の長さが厚さより長い形状であり、
前記接続部材3の内空側端部が前記内空側のフランジ部材52bの地山側面に溶接されるとともに、
前記接続部材3は、両端部がそれぞれ前記ウェブ部材51の対向面に溶接され、
前記接続部材3は、1枚ものの鋼板であって、
前記ウェブ部材51間にコンクリート4が充填され、
前記フランジ部材52bは前記接続部材3との溶接部から突出した部分を有しないセグメント。」

(2)甲第2号証
本件特許の出願日前に頒布された甲第2号証には、以下の記載がある。
ア 産業上の利用分野
「【0001】
本発明は、トンネルの周方向及び軸方向に多数並べて互いに連結することによりトンネル内壁を形成可能で、内周側に凹部を有する筐状の鉄(鋳鉄や鋼を含む。以下同じ)製セグメント本体に、そのセグメント本体の内周側で前記凹部内に立設されて前記軸方向に延在する複数枚の板状縦リブと、前記内周側に立設されて前記周方向に延在する桁部とがあるトンネル用セグメントに関する。」
イ 発明が解決しようとする課題
「【0003】
・・・本発明は、・・・前記セグメント本体の腐食の問題やトンネル内の通流体の摩擦損失の問題を一挙に解消し得る手段を提供することを目的としている。」
ウ 実施例
「【0008】
図1?図4には、本発明セグメントの第1実施例が示されている。尚、図1及び図2にはコンクリート打設前の状態が示されており、図3及び図4にはコンクリート打設後の状態が示されている。図中、1は、トンネルの周方向及び軸方向に多数並べて互いに連結することによりトンネル内壁を形成可能で、内側に凹部を有する円弧筐状で鉄製(具体的には、ダクタイル鋳鉄製)のセグメント本体である。尚、前記連結の方式としては、例えば、隣り合うセグメントを、その両者に跨がるように挿入される楔(くさび)を用いて止める楔止め方式(図外)や、隣り合うセグメントを、その両者に跨がるように通されるボルトを介して連結するボルト連結方式(図外)等が採用されている。前記セグメント本体1には、そのセグメント本体1の内周側で前記凹部内に立設されて前記軸方向に延在する複数枚(本実施例では、3枚)の板状縦リブ2が設けられている(図1参照)。また、前記セグメント本体1には、前記内周側に立設されて前記周方向に延在する桁部3がある。その桁部3は、前記周方向に平行配置される3枚のものからなり、それらのうちの両端側2枚は、前記セグメント本体1の筐部の一部を構成し、残りの1枚は、前記凹部内の中央に前記板状縦リブ2と直交する状態で立設されている(図1参照)。前記セグメント本体1は、前記板状縦リブ2の内周側端面2aを前記セグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状に形成されている(図2参照)。尚、本実施例においては、前記凹部内の中央に設けられた桁部3の内周側端面も、前記セグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状に形成されている。そして、その板状縦リブ2(及び前記中央部の桁部3)の内周側には、補強用の線状鋼材6(具体的には、鉄筋)が複数本(具体的には、4本)配置され、更にその線状鋼材6は、その内側からのコンクリート4の打設によって埋没されるようになっている(図3、図4参照)。尚、前記線状鋼材6の前記板状縦リブ2の内周側への配置を容易にするため、前記板状縦リブ2の内周側端部には、前記線状鋼材6を位置決め自在な窪み2bが形成されている。
【0009】
図5及び図6には、本発明セグメントの第2実施例が示されている。尚、図5にはコンクリート打設前の状態が示されており、図6にはコンクリート打設後の状態が示されている。尚、この第2実施例を示す図面において第1実施例と同一の符号で表示した部分は同一又は相当の部分を示している。図中、1は、第1実施例と同様、トンネルの周方向及び軸方向に多数並べて互いに連結することによりトンネル内壁を形成可能で、内側に凹部を有する円弧筐状で鉄製(具体的には、ダクタイル鋳鉄製)のセグメント本体である。前記セグメント本体1には、そのセグメント本体1の内周側で前記凹部内に立設されて前記軸方向に延在する複数枚の板状縦リブ2が設けられている。また、前記セグメント本体1には、前記内周側に立設されて前記周方向に延在する桁部3がある。その桁部3は、前記周方向に平行配置される2枚のものからなり、それら2枚の桁部3は、前記セグメント本体1の筐部の一部を構成している。前記セグメント本体1は、前記板状縦リブ2の内周側端面2aを前記セグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状に形成されている(図5参照)。そして、その板状縦リブ2の内周側には、補強用の線状鋼材6(具体的には、鉄筋)が複数本(具体的には、3本)配置され、更にその線状鋼材6は、その内側からのコンクリート4の打設によって埋没されるようになっている(図6参照)。尚、前記線状鋼材6の前記板状縦リブ2の内周側への配置を容易にするため、前記板状縦リブ2の内周側端部には、前記線状鋼材6を位置決め自在な窪み2bが形成されている。」
エ 上記アないしウからみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。

「内側に凹部を有する円弧筐状で鉄製のセグメント本体1と、その内側から打設されるコンクリート4とからなるトンネル用セグメントにおいて、
セグメント本体1は、内周側に立設されて周方向に平行配置される2枚の桁部3が筐部の一部として構成されるものであり、
セグメント本体1には、その内周側で凹部内に立設されて軸方向に延在する複数枚の板状縦リブ2が設けられており、該板状縦リブ2は、その内周側端面2aをセグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状に形成されており、
板状縦リブ2の内周側には、補強用の線状鋼材6が複数本配置され、その線状鋼材6は、コンクリート4によって埋没されている、
セグメント。」

(3)甲第3号証
本件特許の出願日前に頒布された甲第3号証には、以下の記載がある。
ア 技術分野
「【0001】
本発明は、シールドトンネルの覆工(外殻)に使用されるセグメント、及びトンネル周方向のセグメントの端部に設けられるセグメント継手部に関するものである。」
イ 発明が解決しようとする課題
「【0008】
そこで、本発明は、セグメント継手部を大型化させなくても定着性能を確保することが可能なセグメント及びセグメント継手部を提供することを目的としている。」
ウ 課題を解決するための手段
「【0009】
前記目的を達成するために、本発明のセグメントは、複数を組み合わせることによってトンネルの外殻を形成するセグメントであって、トンネルの外周面を形成するスキンプレートと、前記トンネルの軸方向に間隔を置いて前記スキンプレートの両側縁に立設される主桁部と、前記トンネルの周方向に間隔を置いて前記スキンプレートの両端縁に立設される継手面部と、前記継手面部に並行に前記スキンプレートの面上で前記主桁部間に延設されるリブ部と、前記周方向のセグメント間の連結を行うために前記継手面部に設けられるセグメント継手部と、前記軸方向のセグメント間の連結を行うために前記主桁部に設けられるリング継手部と、少なくとも前記スキンプレートと前記主桁部と前記継手面部とに囲まれた空間に充填されてトンネルの内周面を形成するコンクリート部とを備え、前記セグメント継手部は、前記継手面部に近接して立設された前記リブ部に形成された切欠部と前記継手面部とに架け渡されて前記コンクリート部に埋設される定着部を有することを特徴とする。」
エ 発明を実施するための形態
「【0023】
このセグメント1は、トンネルの外周面の一部を形成するスキンプレート2と、スキンプレート2の両側縁に立設される主桁部3,3と、スキンプレート2の両端縁に立設される継手面部としての継手板4,4と、スキンプレート2の面上で主桁部3,3間に延設されるリブ部5,5Aと、内空に充填されるコンクリート部6とを主に備えた合成セグメントである。」
「【0036】
また、継手板4に近接するリブ部5には、図4,5に示すように、挿入金具71及び受け金具72の定着板部71a,72aが架け渡される位置に、溝状の切欠部51,51がそれぞれ形成されている。」

(4)甲第4号証
本件特許の出願日前に頒布された甲第4号証には、以下の記載がある。
ア 技術分野
「【0001】
本発明は、シールドトンネル内における覆工体として用いられる鋼とコンクリートからなる合成セグメント構造に関し、特に耐火性に優れた合成セグメント構造に関するものである。」
イ 発明が解決しようとする課題
「【0014】
そこで、本発明は、上述した問題点を鑑みて案出されたものであり、耐火対策をきわめて短い工期でしかも低コストで施すことが可能な鋼とコンクリートからなる合成セグメント構造を提供することを目的とする。」
ウ 課題を解決するための手段
「【0015】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋼殻セグメント本体枠の内側空間部に、火災時の熱で溶融、消失するポリプロピレン繊維又はビニロン繊維等の合成繊維を混入させた耐火コンクリートを充填させ、さらにこの耐火コンクリートを鋼製内側フランジのトンネル内空側まで被覆させた鋼とコンクリートからなる合成セグメント構造を発明した。
【0016】
本願請求項1に係る鋼とコンクリートからなる合成セグメント構造は、ウエブを介して結合された鋼製外側フランジと鋼製内側フランジからなる鋼殻側枠を2辺或いは4辺に所定の間隔をあけて平行に配設し、上記鋼殻外側フランジ間をスキンプレートで連結した鋼殻セグメント本体枠と、上記鋼殻セグメント本体枠の内側空間部に充填された、火災時に熱で溶融、消失するポリプロピレンやビニロン等の合成繊維を混入させた耐火コンクリートとを備え、上記耐火コンクリートは、さらに上記鋼製内側フランジのトンネル内空側を被覆してなることを特徴とする。
エ 発明の効果
「【0021】
これにより、従来技術のように大量の耐火パネルが不要となり、単に耐火コンクリートを鋼製内側フランジのトンネル内空側まで被覆すればよいため、耐火コストを削減しつつ耐火対策を施すことが可能となる。」
オ 発明を実施するための最良の形態
「【0027】
鋼殻セグメント本体枠31は、ウエブ41を介して結合された鋼製外側フランジ42と鋼製内側フランジ43からなる鋼殻側枠44をトンネル軸方向に、或いは2辺或いは4辺に所定の間隔をあけて平行に配設してなる。鋼殻側枠44は、セグメント間にも配置されることもある。また、この鋼殻側枠44における鋼製外側フランジ42間にはスキンプレート45が固定されている。地山側のみに配設されるスキンプレート45は、トンネル周方向に向けて湾曲された薄板状の鋼板で構成される。このスキンプレート45は、鋼製外側フランジ42の上面において溶接等の固着手段によって水密的に固定される。
【0028】
この鋼殻セグメント本体枠31においては、トンネル内空側32´に、耐火コンクリート32を直接露出させる構成を採用している。耐火コンクリート32は、さらに鋼製内側フランジ43のトンネル内空側43´をも被覆している構成としている。」
「【0031】
因みに、図4(a)は、鋼製内側フランジ43のトンネル内空側を被覆する耐火コンクリート32の厚みを薄く構成した例であり、図4(b)は、係る耐火コンクリート32の厚みを厚く構成した例を示している。この図4(a)の例では、鋼製内側フランジ43のトンネル内空側を被覆するコンクリート32の厚さを例えば30mmで構成している。また、図4(b)の例では、鋼製内側フランジ43のトンネル内空側を被覆するコンクリート32の厚さを例えば60mmで構成している。」

(5)甲第5号証
本件特許の出願日前に頒布された甲第5号証には、以下の記載がある。
ア 発明の属する技術分野
「【0001】
本発明は、トンネル周方向及びトンネル軸方向に多数並べて互いに連結することでトンネル壁を形成するためのトンネル用セグメントに関するものである。」
イ 発明が解決しようとする課題
「【0008】
本発明の目的は、セグメントの厚みを増やすことなく強度アップできるとか、強度や機能を損なうことなく厚みが減らせるといった具合に、比強度の向上するセグメントを提供する点にある。」
ウ 課題を解決するための手段
「【0009】
請求項1の構成は、図1?図3に例示する如く、トンネル周方向及びトンネル軸方向に多数並べて互いに連結することでトンネル壁Wを形成するためのトンネル用セグメントにおいて、トンネル周方向で隣合うセグメントSに対面すべくトンネル軸方向に沿った一対の軸方向壁1,2と、トンネル周方向に沿う略扇形で一対以上の周方向壁aと、トンネル壁W(図10参照)を構成すべくトンネル周方向に沿った周壁bとの少なくとも5壁から成る箱形を呈するとともに、周方向壁aにおいて、トンネル径方向に関して周壁bが配置される部分とは反対側となる部分に、周方向壁aのトンネル周方向長さの全域又はほぼ全域に亘ってトンネル軸方向に突出するフランジ部Fを形成してあることを特徴とする。
【0010】
請求項1の構成によれば、トンネル軸方向に沿った一対の軸方向壁と、トンネル周方向に沿う略扇形で一対以上の周方向壁と、トンネル壁を構成すべくトンネル周方向に沿った周壁との少なくとも5壁から成る箱形のセグメントにおいて、周方向壁において、トンネル径方向に関して周壁が配置される部分とは反対側となる部分に、周方向壁のトンネル周方向長さの全域又はほぼ全域に亘ってトンネル軸方向に突出するフランジ部を形成してあるから、セグメントの厚み(トンネル径方向長さ)を増すことなく、周方向壁における周壁の無い開放側となる側の強度が向上するようになる。特に、セグメントとしてのトンネル周方向の耐曲げモーメントが向上する作用が得られるようになる。」
エ 発明の実施の形態
「【0019】
セグメント本体shには、一対の軸方向壁1,2に亘る状態で外周壁5の内面側に配置された2箇所の略扇形の縦リブ(周方向壁aの一例)6,6と、軸端面壁3,4及び縦リブ6,6に跨って配置される複数の横リブ7とが一体形成されている。そして、軸端面壁3,4と縦リブ6,6における内径側端(「トンネル径方向に関して周壁が配置される部分とは反対側となる部分」の一例)に、セグメントSとしてのトンネル周方向長さの全域に亘ってトンネル軸方向に突出するフランジ部3f,4f,6fが一体形成されている。」

5 判断
(1)取消理由1(明確性要件違反)について
申立人は、請求項1において「突出代E」の技術的意味が不明であるから、本件発明1、及び本件発明1と従属関係にある本件発明2ないし12は明確でない旨主張するので、「突出代E」が明確であるか否かについて検討する。

ア 「突出代E」が明確であるか否かについて
請求項1には「前記主桁下フランジの前記縦リブとの接合部からの突出代E」と記載されており、また、「突出(とっしゅつ)」は「高く鋭く突き出ること」、「代(しろ)」は「何かのために取っておく部分」をそれぞれ意味するから(広辞苑第六版)、「突出代E」は、「主桁下フランジ」における「縦リブとの接合部」から突き出ている部分、言い換えると、「主桁下フランジ」における「縦リブ」と接合されていない部分であることが理解できる。
このように理解できることは、本件特許明細書の段落【0058】の「主桁下フランジ7aは、縦リブ17との接合部よりも延長することもできる。縦リブ17との接合部からの主桁下フランジ7aの突出代EはE≦D/2であることが望ましい。」、及び段落【0060】の「主桁下フランジ7aの長さDは80mmとし、縦リブ17に対する非接合部長さEを、20mm、40mm、60mmとして評価した。」との記載からも明らかである。
また、「突出代E」は、請求項1に「突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2であること」と記載されているから、その長さが特定されている。
以上のとおりであるから、「突出代E」は明確であるといえる。

イ 申立人の主張について
申立人は、「突出代E」の技術的意味が不明であることについて、突出代E>D/2であると外周面側からの応力が縦リブを介して主桁下フランジに伝達できなくなる理由は、明細書および図面には何ら記載されておらず、これらを参酌しても理解できず、また、本件発明の効果の実証は、本件発明(「前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されて」いる点)を満足しない図12に基づくものであり、さらには、本件発明が解決しようとする課題は、「十分な応力伝達を行うこと」及び「コンクリートのかぶり代を確保すること」である(段落【0009】)が、課題解決のためには、「E=0であることが最も望ましい」のであって、「突出代」を設けることはこの課題の解決に何ら寄与しないばかりか、このような数値範囲に限定することにより本件発明の課題を達成したことが理解できず、その技術的意義が不明である旨主張する。

しかしながら、申立人の上記主張は、以下のとおり採用できない。
本件発明1は、「前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合される」ことが特定されているから、当該構成を前提とするものであり、このような構成を採用することにより、「これに対し、本発明のセグメント1では、縦リブ17が主桁下フランジ7aに接合されているため、セグメントの外周面からの荷重に対して鋼殻とコンクリート15との一体性が保持できるとともに、主桁下フランジ7aの変形を抑制することができる。このため、主桁下フランジ7aとコンクリート15との部分的な剥離を低減することができる。このように、本発明のセグメント1は、セグメントの変形時の主桁下フランジ7aと鋼殻内部のコンクリート15との相対的な変形を抑制し、主桁下フランジ7aとコンクリート15とが剥離することを防止することができる。例えば、繰り返し荷重が作用するような条件下であっても、品質を維持することができる。」(本件特許明細書の段落【0042】)との作用効果を奏するものである。
そして、「図12に示すセグメントに対して、荷重に対するコンクリート15と主桁下フランジ7aとの剥離の有無をシミュレーションにより評価した。荷重Nは、セグメントの長さ(図の奥行方向)1mに対して、20tとして、セグメントの幅方向の中心に付加した。セグメントの幅Gは1000mmとした。セグメントの高さFは240mmとした。主桁下フランジ7aの長さDは80mmとし、縦リブ17に対する非接合部長さEを、20mm、40mm、60mmとして評価した。」(同【0060】)、「E=20mm(=D/4)、40mm(=D/2)では、剥離は見られなかった。しかし、E=60mm(=3D/4)では、コンクリート15と主桁下フランジ7aとの間に剥離が生じた。したがって、E≦D/2であることが望ましい。」(同【0061】)と記載されているように、縦リブ17の接合部が相対的に長く、非接合部長さ(突出代)Eが相対的に短いほど、奏する作用効果が良好であることが理解できる。
そうすると、本件発明1の「突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2であること」は、「前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合される」ことを前提として、その接合部の長さを相対的に長くすることにより、縦リブと主桁下フランジとの接合部を上記の作用効果が得られる程度に確保できることを意図するものであると理解できる。
また、図12の実施例は、主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていない点で本件発明1と異なるとしても、本件発明1の「前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合される」構成を具備するものであるから、本件発明1も図12の実施例で実証された効果が得られるものと推認できる。
以上のとおりであるから、「突出代E」に係る発明特定事項に技術的意味がないとはいえない。

ウ まとめ
以上のとおり、明確性要件に関して、申立人が主張する理由によって、本件発明1ないし12に係る特許を取り消すことはできない。

(2)取消理由2(サポート要件違反)について
申立人は、本件特許明細書中には、請求項1に係る構成に対応した実施例が記載されておらず、請求項1に係る発明特定事項は、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができないから、本件発明1、及び本件発明1と従属関係にある本件発明2ないし12、本件発明1と同様の構成を有する本件発明13は、発明の詳細な説明に記載されたものではない(サポート要件を満たさない)旨主張するので、サポート要件を満たすか否かについて検討する。

ア サポート要件の適否について
(ア)本件発明1の「少なくとも一対の主桁と、前記主桁を結合する縦リブと、前記主桁の上外周面側に設けられるスキンプレートと、を具備し、」及び「セグメント」との発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0022】?【0025】に記載されている。
(イ)本件発明1の「両端に形成される前記主桁の下内周面側端部近傍には、前記主桁の対向面方向にそれぞれ主桁下フランジが形成され、前記主桁下フランジは、主桁の対向面方向の長さDが、厚さtより長い形状であり、」との発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0023】及び図3?5,9?12に記載されている。
(ウ)本件発明1の「前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合されるとともに、前記主桁下フランジとの接合部を除く部位には切欠き部が形成され、前記縦リブは、両端部がそれぞれ前記主桁の対向面に接合され、前記縦リブの下内周面側端部は、前記主桁下フランジの外周面側上面に接合され、前記切欠き部が、前記主桁下フランジの外周面側上面より外周面側に形成されており、前記縦リブは、前記主桁の対向面と同方向に溶接又は、ボルト・ナットで固定された接合面が形成されてなく前記主桁に対向する方向に連続した板状部材であって、」との発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0023】,【0025】,【0042】及び図3?5,9?12に記載されている。
(エ)本件発明1の「前記主桁間にコンクリートが充填され、前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており、」との発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0022】,【0027】,【0034】(特に「主桁下フランジ7aの内面から、当該すり減り量である10mm程度内周面側に盛り上がるようにコンクリートを形成しても良い。」),【0054】(特に「図9(b)に示すセグメント60aのように、防食処理部61に代えてコンクリート15によって主桁下フランジ7aを被覆してもよい。」)及び図9?11に記載されている。
(オ)本件発明1の「前記主桁下フランジの前記縦リブとの接合部からの突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2であること」との発明特定事項は、本件特許明細書の段落【0058】(なお、主桁下フランジ7aは、縦リブ17との接合部よりも延長することもできる。縦リブ17との接合部からの主桁下フランジ7aの突出代EはE≦D/2であることが望ましい。E>D/2であると、外周面側からの荷重(図5の荷重N)に対して、その応力を、縦リブ17を介して確実に主桁下フランジ7aに伝達することができなくなるためである。また、主桁下フランジ7aとコンクリート15の一体性が保持できなくなるため、主桁下フランジ7aの周辺において、主桁下フランジ7aとコンクリート15とが部分的に剥離する恐れがあるためである。なお、E=0であることが最も望ましい。」)及び図11,12に記載されている。
(カ)以上のとおりであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、サポート要件を満たしている。
(キ)また、本件発明1と従属関係にある本件発明2ないし12において限定された事項、及び、本件発明13における本件発明1と異なる事項も、本件特許明細書及び図面に記載されているから、本件発明2ないし13も、発明の詳細な説明に記載されたものであり、サポート要件を満たしている。

イ 申立人の主張について
(ア)申立人は、本件発明1は、本件特許明細書の図9(b)のとおり「主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成され」つつ、同図11に示された事項のうち、主桁下フランジの長さD、突出代Eを限定したものであるが、突出代Eに関する発明特定事項の効果を示す実施例は、主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていない図12に基づくものであるから、本件特許明細書中には、本件発明1に対応した実施例が存在せず、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。

しかしながら、申立人の上記主張は、以下のとおり採用できない。
図11の実施形態は、主桁下フランジ7aに、縦リブ17との接合部よりも延長してできた突出代Eを有することを特長とするものであり、図9(b)など突出代Eの無い他の実施形態に当該特長である突出代Eを有することを適用した形態も当業者であれば容易に想定できるといえる。
また、上記(1)イで述べたように、図12の実施例で示される効果は、本件発明1でも奏するといえる。

(イ)申立人は、本件特許明細書中には、突出代Eと主桁下フランジの長さDとの関係を規定する0≦E≦D/2の効果を裏付ける実施例は記載されていないから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。

しかしながら、上記(1)イで述べたように、突出代Eを短くする(小さくする)ことは、主桁下フランジとの接合部を長くする(大きくする)ことであり、図12の実施例で示される効果は、本件発明1でも奏するといえるので、申立人の上記主張は採用できない。

(ウ)申立人は、本件発明1?13は、「縦リブが十分な応力伝達を行うために主桁及び主桁上下フランジに接合されていること」を前提とせず、甲第6号証の図2に示されるような主桁上フランジや主桁の全長とは接合されていない縦リブをも包含するから、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。

しかしながら、申立人の上記主張は、以下のとおり採用できない。
本件特許明細書には、段落【0039】に「図6(a)に示すように、従来のセグメント100は、縦リブ117と主桁下フランジ107aとが接続されていない。したがって、図6(b)に示すように、セグメント100に図5と同様の応力が付与されると、セグメントが変形する。この際、縦リブ117からの応力が主桁下フランジ107aに伝達されない。したがって、主桁下フランジ107aを設けることによる強度向上の効果を十分に得ることができない。」、段落【0042】に「これに対し、本発明のセグメント1では、縦リブ17が主桁下フランジ7aに接合されているため、セグメントの外周面からの荷重に対して鋼殻とコンクリート15との一体性が保持できるとともに、主桁下フランジ7aの変形を抑制することができる。このため、主桁下フランジ7aとコンクリート15との部分的な剥離を低減することができる。このように、本発明のセグメント1は、セグメントの変形時の主桁下フランジ7aと鋼殻内部のコンクリート15との相対的な変形を抑制し、主桁下フランジ7aとコンクリート15とが剥離することを防止することができる。」と記載されているから、本件発明は、縦リブ17が主桁下フランジ7aに接合されていることによって、「セグメントの変形時の主桁下フランジ7aと鋼殻内部のコンクリート15との相対的な変形を抑制し、主桁下フランジ7aとコンクリート15とが剥離することを防止することができる」との作用効果を奏するものであって、当該作用効果を得るためには、縦リブ17が主桁上フランジや主桁の全長と接合されていなくてもいいことが理解できる。

ウ まとめ
以上のとおり、サポート要件に関して、申立人が主張する理由によって、本件発明1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。

(3)17条の2第3項(補正要件違反)について
申立人は、請求項1においてした本件補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件(補正要件)を満たしていない旨主張するので、当該補正要件を満たすか否かについて検討する。

補正要件の適否について
(ア)本件補正は、請求項1の「前記主桁間にコンクリートが充填され、」を「前記主桁間にコンクリートが充填され、前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており、」と、コンクリートの充填について限定するものである。
(イ)本件補正により追加された「前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されて」いることは、出願当初明細書等の段落【0034】に「すり減り量を考慮して、主桁下フランジ7aの内面から、当該すり減り量である10mm程度内周面側に盛り上がるようにコンクリートを形成しても良い。」、段落【0054】に「また、図9(b)に示すセグメント60aのように、防食処理部61に代えてコンクリート15によって主桁下フランジ7aを被覆してもよい。このようにしても、主桁下フランジ7aの防食効果を得ることができるとともに、主桁下フランジ7aとコンクリート15との剥離を大きく低減することができる。なお、防食処理部に加えて、コンクリートによって主桁下フランジを被覆してもよい。」、段落【0055】に「また、図10(a)に示すセグメント60bのように、さらに、主桁3の下端を延長してもよい。すなわち、この場合には、主桁下フランジ7aは、主桁3の下内周面側の完全な端部ではなく、端部から所定距離をあけた位置に形成される。主桁下フランジ7aから突出する主桁3は、コンクリート15を保持することができる。したがって、コンクリート15の角部の欠けを防止することができる。」と記載されているとともに、図9(b)及び図10(a)の図示内容から、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

イ 申立人の主張について
(イ)申立人は、突出代Eを小さくすることにより主桁下フランジの変形を防止できることは新たな技術的事項である旨主張する。

しかしながら、上記(1)イで述べたように、突出代Eを短く(小さく)することは、主桁下フランジとの接合部を長くする(大きくする)ことであり、図12の実施例で示される効果は、本件発明1でも奏するといえるので、申立人の上記主張は採用できない。

(イ)申立人は、本件発明1?13は、「縦リブが十分な応力伝達を行うために主桁及び主桁上下フランジに接合されていること」を前提とせず、甲第6号証の図2に示されるような主桁上フランジや主桁の全長とは接合されていない縦リブをも包含するから、当初明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである旨主張する。

しかしながら、上記(2)イ(ウ)で述べたとおり、縦リブ17が主桁下フランジ7aに接合されていることよって、「セグメントの変形時の主桁下フランジ7aと鋼殻内部のコンクリート15との相対的な変形を抑制し、主桁下フランジ7aとコンクリート15とが剥離することを防止することができる。」との作用効果を奏するものであって、当該作用効果を得るためには、縦リブ17が主桁上フランジや主桁の全長と接合されていなくてもいいことが理解できるから、申立人の上記主張は採用できない。

ウ まとめ
以上のとおり、補正要件に関して、申立人が主張する理由によって、本件発明1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。

(4)取消理由4(進歩性欠如)について
ア 本件発明1について
(ア)甲1発明を主引例とした場合の検討
a 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「ウェブ部材51」は、本件発明1の「主桁」に相当し、以下同様に、「接続部材3」は「縦リブ」に、「スキンプレート7」は「スキンプレート」に、「内空側のフランジ部材52b」は「主桁下フランジ」に、「コンクリート4」は「コンクリート」に相当する。
また、甲1発明の「前記フランジ部材52b(主桁下フランジ)が前記接続部材3(縦リブ)との溶接部から突出した部分を有しない」構成は、本件発明1の「前記主桁下フランジの前記縦リブとの接合部からの突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2である」について、突出代が存在しない場合、すなわちE=0である場合に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との相違点は以下のとおりである。
(相違点1)
本件発明は、「(縦リブが)前記主桁下フランジとの接合部を除く部位には切欠き部が形成され、」「前記切欠き部が、前記主桁下フランジの外周面側上面より外周面側に形成されており、」「前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており」という構成を備えるのに対し、甲1発明はそのような特定がない点。
b 判断
甲第2号証には、上記4(2)で述べたように甲2発明、特に、セグメントにおいて、板状縦リブ2(本件発明1の「縦リブ」に相当する。)の内周側の端面2aをセグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状(本件発明1の「切欠き部」に相当する。)に形成する構成が記載されており、セグメント本体1の内周側への露出回避と腐食抑止という目的にも言及されている(上記4(2)イ参照。)。
しかしながら、甲第2号証には、桁部3(本件発明1の「主桁」に相当。)に主桁下フランジを形成することは何ら記載も示唆もされていないから、甲2発明の板状縦リブ2(縦リブ)の内周側の端面2aをセグメント本体1の内周側周縁よりも外周側へ後退させる形状(切欠き部)に形成する点にのみ着目し、甲1発明の接続部材3(縦リブ)について、内空側のフランジ部材52b(主桁下フランジ)との接合部を除く部位に切欠き部を形成することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。加えて、甲1発明の接続部材3(縦リブ)は、その内空側がコンクリート4で被覆されているから(上記4(1)オの段落【0083】、甲第1号証の図18参照。)、内空側(内周側)への露出回避と腐食抑止が既に図られているので、切欠き部を形成する必要性はないといえる。
また、甲第3号証には、上記4(3)で摘記したように、継手板4に近接するリブ部5(本件発明1の「縦リブ」に相当する。)に溝状の切欠部51を形成すること(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているが、当該切欠部51は、セグメント継手部を大型化させなくても定着性能を確保することが可能にすることを目的として(上記4(3)イ参照。)、挿入金具71及び受け金具72の定着板部71a,72aが架け渡される位置に形成されるものであるから、甲1発明に甲3技術事項を適用する動機づけはなく、適用したとしても本件発明1の切欠き部に係る構成とはならない。
さらに、甲第4号証(上記4(4)参照。)及び甲第5号証(上記4(5)参照。)に主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆され、主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されていることが開示されているとしても、甲1発明において、内空側のフランジ部材52b(主桁下フランジ)との接合部を除く部位に切欠き部を形成することに加えて、内空側のフランジ部材52b(主桁下フランジ)の内周面側にコンクリートが被覆され、ウェブ部材51(主桁)間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、甲1発明において、本件発明1の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
c まとめ
本件発明1は、当業者が甲1発明及び甲第2、3、4、5号証に記載の発明・技術事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(イ)甲2発明を主引例とした場合の検討
a 対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、本件発明1は、「両端に形成される前記主桁の下内周面側端部近傍には、前記主桁の対向面方向にそれぞれ主桁下フランジが形成され、前記主桁下フランジは、主桁の対向面方向の長さDが、厚さtより長い形状であり、」「前記縦リブの下内周面側端部が前記主桁下フランジと接合されるとともに、」「前記縦リブの下内周面側端部は、前記主桁下フランジの外周面側上面に接合され、前記切欠き部が、前記主桁下フランジの外周面側上面より外周面側に形成されており、」「前記主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆されていて、前記主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されており、」「前記主桁下フランジの前記縦リブとの接合部からの突出代Eは、主桁下フランジの長さDに対して、0≦E≦D/2である」のに対して、甲2発明は、そのような特定がない点で相違する(相違点2)。
b 判断
甲2発明は、セグメント本体の腐食の問題やトンネル内の通流体の摩擦損失の問題を一挙に解消し得る手段を提供することを目的としたものであって(上記4(2)イ参照。)、甲第2号証には、桁部3(本件発明1の「主桁」に相当。)に主桁下フランジを形成することは何ら記載も示唆もされていない。
そうすると、甲第1号証に縦リブと主桁下フランジとを接合することが開示されており、甲第4及び5号証に主桁下フランジの内周面側にコンクリートが被覆され、主桁間に充填されたコンクリートの内面が連続して平滑に形成されていることが開示されているとしても、甲2発明において、桁部3(主桁)に主桁下フランジを形成することに動機付けがあるとはいえず、当業者が容易に着想し得たものではなく、まして板状縦リブ2(本件発明1の「縦リブ」に相当する。)と主桁下フランジとを接合し、更には主桁下フランジの内周面側にコンクリートを被覆することが当業者にとって容易に想到し得たこととはいえない。なお、甲第3号証には、上記(ア)bで述べたようにリブ部5(縦リブ)に溝状の切欠部51を形成すること(甲3技術事項)が記載されているに過ぎない。
よって、甲2発明において、本件発明1の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
c まとめ
本件発明1は、当業者が甲2発明及び甲第1、3、4、5号証に記載の発明・技術事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)申立人の主張について
申立人は、甲第1号証と、甲第2号証及び甲第3号証とについては、技術分野の関連性及び課題の共通性が認められることから、甲第1号証と、甲第2号証及び甲第3号証とは、構成の組み合わせ又は置換が容易であり、また、甲第2号証と、甲第1号証、甲第4号証及び甲第5号証とについては、技術分野の関連性及び課題の共通性が認められることから、甲第2号証と、甲第1号証、甲第4号証及び甲第5号証とは、構成の組み合わせ又は置換が容易である旨主張する。
しかしながら、甲第1号証ないし甲第5号証が、トンネル用のセグメントに関する技術である点で共通しているとしても、上記(ア)b及び(イ)bで述べたように、各甲号証を組み合わせる動機づけがなく、甲1発明又は甲2発明において、本件発明1のごとく構成することは、当業者にとって容易に想到し得たことではない。

(エ)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は、当業者が甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明・技術事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2ないし12について
本件発明2ないし12は、本件発明1の構成を全て含み更に減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、当業者が甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明・技術事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。

6 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-02-28 
出願番号 特願2012-89909(P2012-89909)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (E21D)
P 1 651・ 55- Y (E21D)
P 1 651・ 121- Y (E21D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 越柴 洋哉  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 小野 忠悦
西田 秀彦
登録日 2017-06-16 
登録番号 特許第6159057号(P6159057)
権利者 鹿島建設株式会社
発明の名称 合成系コンクリート中詰鋼製セグメント  
代理人 井上 誠一  

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