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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C07K
管理番号 1338421
審判番号 訂正2017-390136  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-11-30 
確定日 2018-02-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5766954号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5766954号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5766954号は、平成21年3月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年3月14日 米国)を国際出願日として出願され、その請求項1?9に係る発明について平成27年6月26日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成29年11月30日に本件の訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨および訂正の内容

本件審判の請求の趣旨は、特許第5766954号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1、2のとおりである。

1.訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「該細胞は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」と記載されているのを、「該確立された細胞株は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?6、8及び9も同様に訂正する)。

2.訂正事項2

特許請求の範囲の請求項7に「該細胞は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」と記載されているのを、「該確立された細胞株は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8及び9も同様に訂正する)。

第3 当審の判断

1.一群の請求項について

訂正事項1を含む請求項1の記載を請求項2?6,8及び9が引用している。また、訂正事項2を含む請求項7の記載を請求項8及び9が引用している。請求項8及び9が両者に共通しているから、請求項1?9からなる「一群の請求項」に訂正を請求することは、特許法第126条第3項の規定に適合する。

2.訂正の目的について

本件特許請求の範囲の請求項1には、「該細胞は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」と記載されている。請求項7についても同様である。
そして、上記記載からみて「該細胞」は「SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)」から選択されるものである。
しかしながら、特許明細書の「例えば以下の確立された細胞株は内因性SNAP-25を発現する:BE(2)-M17、Kelly、LA1-55n、N1E-115、N4TG3、N18、Neuro-2a、NG108-15、PC12、SH-SY5Y、SiMaおよびSK-N-BE(2)-C。」(【0090】)、「例えば以下の確立された細胞株は少なくとも1つの内因性BoNT/A受容体を発現する:BE(2)-M17、Kelly、LA1-55n、N1E-115、N4TG3、N18、Neuro-2a、NG108-15、PC12、SH-SY5Y、SiMaおよびSK-N-BE(2)-C。内因性BoNT/A受容体は天然発生BoNT/A受容体またはその天然発生バリアントのみでよい。」(【0103】)、「表2は1nM BoNT/Aで処理したときにSNAP-25切断生成物が検出された細胞株を示す。以下の細胞株は1nM BoNT/Aの取り込みおよび基質表面への適切な付着の双方を呈した:BE(2)-M17、IMR-32、Kelly、LA1-55n、N1E-115、N4TG3、N18、Neuro-2a、NG108-15、PC12、SH-SY5Y、SiMaおよびSK-N-BE(2)-C。」(【0185】)、「表3は0.1nM BoNT/Aで処理したときにSNAP-25切断生成物を呈した細胞株を示す。試験された細胞株のうち、SiMaおよびNeuro-2a細胞株のみが未分化状態で0.1nM BoNT/Aの取り込みを呈した。しかしながら、SiMaおよびNeuro-2aに加えて、細胞株N18、LA1-55n、PC12およびSH-SY5Y全てが分化した状態で0.1nM BoNT/Aの取り込みを呈した。」(【0188】)及び表2(【0186】)、表3(【0189】)に記載されるように、「SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)」は、いずれも「細胞株」である。
したがって、「該細胞は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」との記載は、細胞を細胞株から選択するということを意味することになり、「該細胞」なる記載内容は他の記載との関係において不合理を生じているといえる。

そして、上記摘示した特許明細書の各段落の記載からみて、「該細胞」との記載は、「該確立された細胞株」を意味するものであることを示していると認められ、また、そのように解することにより、上記の不合理が解消される。

したがって、「該細胞は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」という記載を、「該確立された細胞株は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される」と訂正する訂正事項1、2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

3.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項1、2は、特許明細書の【0090】、【0103】、【0185】-【0186】、【0188】-【0189】、【0055】の記載に基づくものであるから、訂正事項1、2は、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。

4.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

上記2.の理由から明らかなように、訂正事項1、2は、明瞭でない記載を訂正するためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合する。

第4 むすび

したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおりに審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞は500pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高く、該確立された細胞株は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCC カタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される;
b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP-25切断生成物を含んでなるSNAP-25構成要素を単離すること;
c)SNAP-25構成要素を固相支持体に連結されたα-SNAP-25抗体と接触させること、
ここでα-SNAP-25抗体はSNAP-25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合し、α-SNAP-25抗体はインタクトなSNAP-25に関して1×10^(1)M^(-1)s^(-1)未満の会合速度定数を有し;そしてα-SNAP-25抗体はエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する;
d)α-SNAP-25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP-25切断生成物を含んでなる抗体-抗原複合体の存在を検出すること、
ここで抗体-抗原複合体による検出はBoNT/A活性を示す;
の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
【請求項2】
SNAP-25切断生成物がSNAP-25_(197)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗体-抗原複合体の存在がサンドイッチELISAを使用して検出される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
試料が多くても100pMのBoNT/Aを含んでなる請求項1?3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
確立された細胞株からの細胞が100pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い請求項1?4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
方法がシングルプレックス様式またはマルチプレックス様式で実施される請求項1?5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
a)α-BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;
b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高く、該確立された細胞株は、SiMa細胞株(DSMZ 番号 ACC 164)、Neuro-2a細胞株(ATCCカタログ番号 CCL-131)、N18(ECACC 番号 88112301)、LA1-55n(ECACC 番号 06041203)、PC12(ATCC カタログ番号 CRL-1721)、およびSH-SY5Y(ATCC カタログ番号 CRL-2266)からなる群から選択される;
c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP-25切断生成物を含んでなるSNAP-25構成要素を単離すること;
d)SNAP-25構成要素を固相支持体に連結されたα-SNAP-25抗体に接触させること、
ここでα-SNAP-25抗体はSNAP-25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合し、α-SNAP-25抗体はインタクトなSNAP-25に関して1×10^(1)M^(-1)s^(-1)未満の会合速度定数を有し;そしてα-SNAP-25抗体はエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する;
e)α-SNAP-25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP-25切断生成物を含んでなる抗体-抗原複合体の存在を検出すること;
f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b-eを繰り返すこと、ここで陰性対照試料はBoNT/A、およびα-BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに
g)工程eで検出された抗体-抗原複合体の量を工程fで検出された抗体-抗原複合体の量と比較すること、
ここで工程fで検出された抗体-抗原複合体の量に対して工程eで検出された抗体-抗原複合体のより少ない検出量はα-BoNT/A中和抗体の存在を示す;
の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
【請求項8】
(i)α-SNAP-25抗体が、配列番号:100に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR3を含み、該抗体が、配列番号:93に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR1、配列番号:96に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR2、配列番号:105に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR1、配列番号:110に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR2、および配列番号:115に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR3を含む;
(ii)α-SNAP-25抗体が、配列番号:101に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR3を含み、該抗体が、配列番号:93に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR1、配列番号:97に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR2、配列番号:104に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR1、配列番号:109に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR2、および配列番号:114に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR3を含む;または
(iii)α-SNAP-25抗体が、配列番号:102に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR3を含み、該抗体が、配列番号:94に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR1、配列番号:98に示されるアミノ酸配列からなるV_(H)CDR2、配列番号:107に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR1、配列番号:112に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR2、および配列番号:117に示されるアミノ酸配列からなるV_(L)CDR3を含む、
請求項1?7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
α-SNAP-25抗体が、
(i)配列番号:72に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
配列番号:84に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(ii)配列番号:74に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
配列番号:86に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(iii)配列番号:76に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
配列番号:88に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(iv)配列番号:80に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
配列番号:90に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(v)配列番号:82に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
配列番号:92に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含んでなる、請求項1?7のいずれかに記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-01-19 
結審通知日 2018-01-23 
審決日 2018-02-05 
出願番号 特願2010-550881(P2010-550881)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C07K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 潤也  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 長井 啓子
山本 晋也
登録日 2015-06-26 
登録番号 特許第5766954号(P5766954)
発明の名称 免疫基盤ボツリヌス毒素血清A型活性アッセイ  
代理人 細田 芳徳  
代理人 細田 芳徳  

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