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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G04G
管理番号 1338490
審判番号 不服2017-7075  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-17 
確定日 2018-04-03 
事件の表示 特願2015-547007「温度補償したクロノメータ回路」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月26日国際公開、WO2014/095538、平成27年12月24日国内公表、特表2015-537226、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年12月11日(パリ条約による優先権主張2012年12月21日、2013年3月27日、いずれも欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年4月20日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月26日付けで手続補正がされ、同年12月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年5月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月26日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2009-210267号公報
2.特開2011-127982号公報
3.特開2002-090480号公報
4.特表2010-500583号公報
5.米国特許出願公開第2009/0160569号明細書

第3 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年5月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本件発明8は、それぞれ、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
アナログ表示手段を駆動するための少なくとも1つの電気モータ(M1)と、分周回路(16)に接続したクロック信号(Sh)を配信するタイムベース(14)を備えるクロックモジュール(12)とを備える電子腕時計であって、前記分周回路が、前記電気モータを制御するように配置された制御回路(18)に送信された基準信号を配信する電子腕時計において、前記クロックモジュール(12)がさらに、前記タイムベースと前記分周回路との間に配置され、前記クロック信号に作用し、中間補償信号(Si)を前記分周回路に配信する測定・修正回路(26)を備え、前記タイムベース、前記測定・修正回路、前記分周回路および前記制御回路が、同じケース(13)内に配置されて前記クロックモジュールを形成し、前記腕時計がさらに、前記クロックモジュール(12)に接続したクロノグラフモジュール(30)を備え、前記クロノグラフモジュールが、前記分周回路を介さずに前記中間補償信号(Si)によって前記クロックモジュールからクロックを送られることとを特徴とする、電子腕時計。」
「【請求項8】
分周回路(16)に接続したクロック信号(Sh)を配信するタイムベース(14)を備える少なくとも1つのクロックモジュールであって、前記分周回路が、電気モータを制御するように配置された制御回路(18)に送信される基準信号を配信するクロックモジュールにおいて、前記タイムベースと前記分周回路との間に配置され、前記クロック信号に作用し、中間補償信号(Si)を前記分周回路に配信し、かつ、前記中間補償信号(Si)を前記分周回路を介さずにクロノグラフモジュール(30)に配信する測定・修正回路(26)をさらに備えることを特徴とするクロックモジュール(12)をキャリブレーションする方法であって、
- 前記タイムベース、前記分周回路、前記制御回路および前記測定・修正回路(26)をケース(13)内に組み立てるステップ;
- 前記ケース(13)を閉鎖するステップ;
- 温度に応じて前記タイムベース(14)の特徴を測定するステップ;
- 修正パラメータを算出するステップ;
- 前記修正パラメータを前記測定・修正回路(26)に格納するステップ
を含むことを特徴とする、
方法。」

なお、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明9-11は、本願発明8を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図とともに次の事項が記載されている(下線は、当審による。)。

ア 「【0001】
この発明は、時計回路およびその時計回路を備えた電子時計に関し、特に、発振回路と、分周回路と、時刻カウンタと、任意時間計測カウンタと、を有する時計回路およびその時計回路を備えた電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル表示の機能時計では、LCDドライバ付きの1チップマイコンがよく使用されるが、そのほかにLCD駆動ICとマイコンICの2チップ構成もよく使用される。また、LCDドライバに計時機能を持たせて、通常おこなわれる計時処理などのルーチン作業はLCDドライバで実行させ、複雑な処理が必要な場合(たとえば、日の更新タイミングなど)のみマイコンを駆動することで、低消費電力化を実現するシステムが提案されている(たとえば下記特許文献1参照)。
【0003】
図3は、従来技術にかかる電子時計の構成を示す説明図である。図3において、従来技術にかかる電子時計は、マイコン1とLCD駆動IC2とLCD3とから構成される。マイコン1において、発振回路(OSC)11から出力される32768Hzの基準信号を、分周回路(Div)12で分周し、256Hzのクロック信号とする。
【0004】
また符号13は論理周波数調整(Df調)回路であり、分周回路(Div)12の分周比を変更する、具体的には適切な周期(10秒など)で分周回路(Div)12を構成するフリップフロップをセット/リセットすることで、時計の1Hzの精度(歩度)を調整する。論理周波数調整(Df調)回路13は、公知の構成であるので(たとえば、特許文献2参照)、説明は省略する。なお、論理周波数調整を以降「Df調」と称する。このように、論理周波数調整(Df調)回路13によって、256HZのクロック信号は、完全なDf調データを含んで、マイコン1からLCD駆動IC2へ出力される。
【0005】
LCD駆動IC2は、時刻カウンタ21と、クロノカウンタ22と、LCDドライバ23とを備えている。時刻カウンタ21は、マイコン1の分周回路12から出力されたDfデータ込みの256Hzを入力し、入力された256Hzのクロック信号を、時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって1Hzに分周し、分周された1Hzに基づいて回路(TK)32によって時刻データを生成して、生成された時刻データを出力する。また時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって、入力された256Hzを100Hzのクロック信号として出力する。
【0006】
クロノカウンタ22は、クロノ許可信号を受け取ることによって、時刻カウンタ21から出力された100Hzのクロック信号を入力し、クロノカウンタ(CC)33において1/100秒桁をカウントするとともに、上記100Hzのクロック信号を10Hzに分周してもう一つのクロノカウンタ(CC)34に出力し、クロノカウンタ(CC)34において、1/10秒桁を計測する。そして2つのクロノカウンタ33および34をあわせて1/100秒桁以上のクロノデータを生成して、生成されたクロノデータを出力する。
Dfデータ込みの256Hzから作成された100Hzを使用することにより、クロノカウンタ(CC)33で作成される1Hz信号(図示を省略)も、時刻カウンタ21の1Hzと同じ精度を有することができる。
【0007】
時刻カウンタ21から出力された時刻データおよびクロノカウンタ22から出力されたクロノデータは、LCDドライバ23に入力される。LCDドライバ23は、クロノデータをデコードするデコーダを含み、デコーダによってデコードされた数値をLCDドライバ23によってLCD3を制御することで、LCD3にクロノデータにかかる数値を表示するものであった。」
イ 「【0053】
また、上記実施の形態においては、腕時計について説明したが、この時計回路および電子時計は、腕時計、懐中時計、掛け時計、置き時計などのすべての種類の時計を含む電子時計およびその電子時計に備えられた時計回路であってもよい。また、時計回路または電子時計を備えている、カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯可能な情報端末装置、さらには、家庭電化製品や自動車を含む電子機器であってもよい。」

上記イには、「腕時計」と記載されているから、上記アによれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「マイコン1とLCD駆動IC2とLCD3とから構成される電子腕時計であって、
マイコン1において、発振回路(OSC)11から出力される32768Hzの基準信号を、分周回路(Div)12で分周し、256Hzのクロック信号とし、
論理周波数調整(Df調)回路13が分周回路(Div)12の分周比を変更することで、時計の1Hzの精度(歩度)を調整し、256Hzのクロック信号は、完全なDf調データを含んで、マイコン1からLCD駆動IC2へ出力され、
LCD駆動IC2は、時刻カウンタ21と、クロノカウンタ22と、LCDドライバ23とを備え、
時刻カウンタ21は、マイコン1の分周回路12から出力されたDfデータ込みの256Hzを入力し、入力された256Hzのクロック信号を、時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって1Hzに分周し、分周された1Hzに基づいて回路(TK)32によって時刻データを生成して、生成された時刻データを出力するとともに、時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって、入力された256Hzを100Hzのクロック信号として出力し、
クロノカウンタ22は、クロノ許可信号を受け取ることによって、時刻カウンタ21から出力された100Hzのクロック信号を入力し、1/100秒桁以上のクロノデータを生成して、生成されたクロノデータを出力し、
時刻カウンタ21から出力された時刻データおよびクロノカウンタ22から出力されたクロノデータは、LCDドライバ23に入力され、LCDドライバ23によってLCD3を制御することで、LCD3にクロノデータにかかる数値を表示する電子腕時計。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、段落【0002】及び図1の記載からみて、電子時計において、複数のモータにより複数の指針を駆動して、時刻及びストップウォッチ(クロノグラフ)の表示を行うという技術事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、段落【0051】-【0061】及び図9-12の記載からみて、基準クロック発振器からの信号に、温度センサから検出される温度に応じた補正データによる周波数補正を行うことにより、装置内の温度変化に拘わらず、周波数の安定した信号が時計レジスタに供給され、時計レジスタから信頼性の高い時刻信号を出力できるという技術事項が記載されていると認められる。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、段落【0008】-【0012】及び図1-2の記載からみて、電子式時計において、タイムベースと周波数分割機と指針を回転させるモータ用の制御回路4をセラミック製材料のケース内に配置して気密シールするという技術事項が記載されていると認められる。

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、段落【0005】,【0008】-【0009】,【0052】の記載からみて、クロックモジュールの状態で温度補正データを記憶回路に格納するという技術事項が記載されていると認められる。


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「LCD3」と本願発明1の「アナログ表示手段を駆動するための少なくとも1つの電気モータ(M1)」は、ともに「表示手段」である点で共通する。
また、引用発明の「回路(TK)32」及び「LCDドライバ23」を含む構成と、本願発明1の「制御回路(18)」は、ともに「表示手段を制御するように配置された制御回路」である点で共通する。
引用発明の「32768Hzの基準信号」を出力する「発振回路(OSC)11」は、本願発明1の「クロック信号(Sh)を配信するタイムベース(14)」に相当する。
また、引用発明の「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31」は、「分周回路(Div)12」を介して「発振回路(OSC)11」に接続され、「回路(TK)32」に「1Hz」を出力しているから、本願発明1の「タイムベース(14)」と接続する「分周回路(16)」に相当する。
そして、引用発明の「(時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって分周された)1Hz」は、本願発明1の「分周回路」が「制御回路」に配信する「基準信号」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明は、「表示手段と、分周回路に接続したクロック信号を配信するタイムベースを備える電子腕時計であって、前記分周回路が、前記表示手段を制御するように配置された制御回路に送信された基準信号を配信する電子腕時計」である点で共通する。
イ 引用発明において、「(発振回路(OSC)11から出力される32768Hzの基準信号を、分周回路(Div)12で分周して得られる)256Hzのクロック信号」は、「(論理周波数調整(Df調)回路13が分周回路(Div)12の分周比を変更することで、時計の1Hzの精度(歩度)を調整した)完全なDf調データを含んで、マイコン1からLCD駆動IC2へ出力され」、「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31によって1Hzに分周」されるから、引用発明の「32768Hzの基準信号」、「(完全なDf調データを含む)256Hzのクロック信号」及び「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31」がそれぞれ、本願発明1の「前記クロック信号」、「中間補償信号(Si)」及び「分周回路」に相当するところであり、引用発明の「(論理周波数調整(Df調)回路13がその分周比を変更する)分周回路(Div)12」は、本願発明1の「前記タイムベースと前記分周回路との間に配置され、前記クロック信号に作用し、中間補償信号を前記分周回路に配信する修正回路(26)」に相当するといえる。
ウ 引用発明において、「(時刻カウンタ21から出力された100Hzのクロック信号を入力し、クロノデータを出力する)クロノカウンタ22」は、本願発明1の「クロノグラフモジュール(30)」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「表示手段と、分周回路に接続したクロック信号を配信するタイムベースを備える電子腕時計であって、前記分周回路が、前記表示手段を制御するように配置された制御回路に送信された基準信号を配信する電子腕時計において、前記タイムベースと前記分周回路との間に配置され、前記クロック信号に作用し、中間補償信号を前記分周回路に配信する修正回路を備え、前記腕時計がさらに、クロノグラフモジュールを備える、電子腕時計。」

(相違点1)
本願発明1は、「アナログ表示手段を駆動するための少なくとも1つの電気モータ(M1)」を備えるものであり、「制御回路」が「前記電気モータを制御するように配置された」ものであるのに対し、引用発明は、「LCD3」を備えるものであり、「回路(TK)32」及び「LCDドライバ23」を含む構成により、数値を「LCD3」に表示するものである点。
(相違点2)
本願発明1の「測定・修正回路(26)」が、本願明細書の【0004】に記載されるように「温度を測定し、クロック回路の動作を修正する」ものと認められるのに対し、引用発明の「分周回路(Div)12」は「測定・修正回路」であるとまではいえない点。
(相違点3)
本願発明1は、「前記タイムベース、前記修正回路、前記分周回路および前記制御回路」が、「同じケース(13)内に配置されて前記クロックモジュールを形成し」ており、さらに「クロノグラフモジュール(30)」は「前記クロックモジュール(12)に接続し」ているのに対し、引用発明は、このようなものでない点。
(相違点4)
本願発明1は、「前記クロノグラフモジュールが、前記分周回路を介さずに前記中間補償信号(Si)によって前記クロックモジュールからクロックを送られる」のに対し、引用発明の「クロノカウンタ22」は、「時刻カウンタ21(内の入力された256Hzを100Hzのクロック信号として出力する分周回路(Div)31)から出力された100Hzのクロック信号を入力」するものである点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3及び4について検討するに、引用文献1に「ケース」の記載はないが、上記引用文献4には、「電子式時計において、タイムベースと周波数分割機と指針を回転させるモータ用の制御回路4をセラミック製材料のケース内に配置して気密シールする」ことが記載されていることから、引用発明においても、「(発振回路(OSC)11」、「分周回路(Div)12」、「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31」、さらに「回路(TK)32」及び「LCDドライバ23」を含む構成を同じケース内に配置することが考えられないではないが、この場合、引用発明では、「発振回路(OSC)11」及び「分周回路(Div)12」は「マイコン1」に設けられ、「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31」及び「回路(TK)32?LCDドライバ23」は「LCD駆動IC2」に設けられているから、「マイコン1」及び「LCD駆動IC2」が同じケース内に配置されることになる。
しかるところ、「LCD駆動IC2」には、本願発明1の「クロノグラフモジュール」に相当する「クロノカウンタ22」が設けられているから、「マイコン1」及び「LCD駆動IC2」を同じケース内に配置したものは、ケース内に「クロノグラフモジュール」が配置されることになり、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項のごとく、「クロノグラフモジュール(30)」は「前記クロックモジュール(12)に接続し」ているというものにならない。
また、仮に、引用発明において、「発振回路(OSC)11」、「分周回路(Div)12」、「時刻カウンタ21内の分周回路(Div)31」、さらに「回路(TK)32」及び「LCDドライバ23」を含む構成を同じケース内に配置してクロックモジュールを形成し、ケース外に「クロノカウンタ22」を設けるという構成にしたとしても、引用発明の「クロノカウンタ22」は、「時刻カウンタ21(内の入力された256Hzを100Hzのクロック信号として出力する分周回路(Div)31)から出力された100Hzのクロック信号を入力」するものであるから、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項のごとく、「前記クロノグラフモジュールが、前記分周回路を介さずに前記中間補償信号(Si)によって前記クロックモジュールからクロックを送られる」というものにならない。
また、上記引用文献2、3、5は、相違点3、4について示唆するものではない。
以上のとおりであるから、相違点1及び2について検討するまでもなく、本願発明1について、引用文献1-5に基づいて当業者が容易に発明できたということはできない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明8について
本願発明8は、「前記タイムベースと前記分周回路との間に配置され、前記クロック信号に作用し、中間補償信号(Si)を前記分周回路に配信し、かつ、前記中間補償信号(Si)を前記分周回路を介さずにクロノグラフモジュール(30)に配信する測定・修正回路(26)をさらに備えることを特徴とするクロックモジュール(12)」及び「前記タイムベース、前記分周回路、前記制御回路および前記測定・修正回路(26)をケース(13)内に組み立てるステップ」を発明特定事項に含むものであるから、上記本願発明1に関する相違点についての判断と同様の理由により、引用文献1-5に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明9-11について
本願発明9-11は、本願発明8の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明8と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-11は、「タイムベース、測定・修正回路、分周回路および制御回路」でなる「クロックモジュール」が「同じケース(13)内に配置され」、「クロノグラフモジュール」が「クロックモジュールから分周回路を介さずに中間補償信号(Si)を入力」するという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-13 
出願番号 特願2015-547007(P2015-547007)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G04G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤田 憲二  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 中塚 直樹
須原 宏光
発明の名称 温度補償したクロノメータ回路  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
代理人 小池 勇三  

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