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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1338608
審判番号 不服2017-7128  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-17 
確定日 2018-04-03 
事件の表示 特願2013-270443「ツール画面制御装置、携帯端末装置、ツール画面制御方法およびコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 6日出願公開、特開2015-125649、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成25年12月26日の出願であって,平成28年11月24日付けで拒絶理由通知がされ,平成29年1月18日付けで手続補正され,平成29年2月24日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成29年5月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,平成29年11月29日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,平成30年1月12日付けで手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要

原査定(平成29年2月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は,以下の引用文献A-Cに基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2003-99172号公報
B.国際公開第2012/114764号
C.国際公開第2011/074638号


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-6に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。

2.本願請求項1-6に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.国際公開第2011/074638号(拒絶査定時の引用文献C)


第4 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は,平成30年1月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-6は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
表示装置の表示画面上に表示されるツール画面の制御を行うツール画面制御装置であり,
前記ツール画面の表示開始イベントおよび表示終了イベントを入力する表示制御イベント入力部と,
前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させ,
前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させる,ツール画面表示制御部と,
前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決めるツール画面構成部と,
を備え,
前記表示開始イベントは前記原画面の画面スクロールの終了であり,前記表示終了イベントは前記原画面の画面スクロールの開始であり,
前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであることを特徴とするツール画面制御装置。
【請求項2】
表示画面を有する表示部と,
ツール画面の表示開始イベントおよび表示終了イベントを入力する表示制御イベント入力部と,
前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させ,
前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させる,ツール画面表示制御部と,
前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決めるツール画面構成部と,
を備え,
前記表示開始イベントは前記原画面の画面スクロールの終了であり,前記表示終了イベントは前記原画面の画面スクロールの開始であり,
前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
前記ツール画面構成部は,前記表示情報に基づいて当該表示情報を表示する領域の形を決めることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記ツール画面構成部は,前記表示情報に基づいて当該表示情報を表示する領域の大きさを決めることを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
表示装置の表示画面上に表示されるツール画面の制御を行うツール画面制御装置のツール画面制御方法であり,
前記ツール画面制御装置が,前記ツール画面の表示開始イベントを入力する表示開始イベント入力ステップと,
前記ツール画面制御装置が,前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決めるツール画面構成ステップと,
前記ツール画面制御装置が,前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させるツール画面表示ステップと,
前記ツール画面制御装置が,前記ツール画面の表示終了イベントを入力する表示終了イベント入力ステップと,
前記ツール画面制御装置が,前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させるツール画面表示終了ステップと,
を含み,
前記表示開始イベントは前記原画面の画面スクロールの終了であり,前記表示終了イベントは前記原画面の画面スクロールの開始であり,
前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであることを特徴とするツール画面制御方法。
【請求項6】
表示装置の表示画面上に表示されるツール画面の制御を行うツール画面制御処理を行うためのコンピュータプログラムであって,
前記ツール画面の表示開始イベントを入力する表示開始イベント入力ステップと,
前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決めるツール画面構成ステップと,
前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させるツール画面表示ステップと,
前記ツール画面の表示終了イベントを入力する表示終了イベント入力ステップと,
前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させるツール画面表示終了ステップと,
をコンピュータに実行させ,
前記表示開始イベントは前記原画面の画面スクロールの終了であり,前記表示終了イベントは前記原画面の画面スクロールの開始であり,
前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであるコンピュータプログラム。」


第5 引用文献,引用発明等

1.引用文献1について

平成29年11月29日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(なお,下線は重要箇所に対して当審が付した。以下,同様。)。

ア 「[0008]
図1を参照して,本発明の一実施形態によるナビゲーション装置1の構成を示す。このナビゲーション装置1は,地図が表示された表示モニタ16の画面を押圧することにより,地図をスクロールさせることができる。ナビゲーション装置1は,制御回路11,ROM12,RAM13,現在地検出装置14,画像メモリ15,表示モニタ16,スピーカ17,入力装置18,タッチパネル19およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には,地図データを記憶したDVD-ROM112が装填されている。
[0009]
制御回路11は,マイクロプロセッサ(コンピュータ)およびその周辺回路からなるナビゲーション装置1の制御装置である。この制御回路11は,RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は,DVD-ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行い,その処理結果を経路として表示モニタ16に表示させる。
[0010]
なお,制御プログラムは,DVD-ROM112と同様なDVD-ROMなどの記録媒体でナビゲーション装置1へ提供し,ナビゲーション装置1内のRAM13や書き換え可能な不揮発性メモリ(不図示)に格納して使用するようにしてもよい。また,センター(不図示)から携帯電話(不図示)などを介してデータ信号によりナビゲーション装置1へ提供するようにしてもよい。このように,ナビゲーション装置1で実行する制御プログラムは,記録媒体やデータ信号などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品(computer program product)として供給することもできる。
[0011]
現在地検出装置14は,車両の現在地を検出する装置である。現在地装置14は,振動ジャイロ14a,車速センサ14b,GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは,車両の進行方向を検出し,車速センサ14bは車速を検出する。GPSセンサ14cは,GPS衛星から送信されるGPS信号に基づいて現在地を検出する。現在地検出装置14は,これらの装置14a?14cが検出した情報を使用して車両の現在地を検出する。ナビゲーション装置1は,現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて,地図の表示範囲などを決定する。また,ナビゲーション装置1は地図上の現在地に自車位置マークを表示する。」

イ 「[0019]
図2を参照して,地図のスクロール操作を説明する。図2(a)に示すように,ユーザが地図20が表示されている表示モニタ16の画面の位置21を押圧すると,図2(b)に示すように,押圧された位置21が地図の中心に移動するように地図20がスクロールされる。また,地図20のスクロールが開始すると,地図の中心付近にカーソル22が表示される。表示モニタ上の押圧を続けると,地図20のスクロールを継続して行うことができる。
[0020]
図3を参照して,サークルメニューを説明する。ユーザが表示モニタ上の押圧を止め,地図のスクロールが停止すると,図3(a)に示すように,カーソル22の周囲にサークルメニュー23a?23hが表示される。サークルメニューとは,メニューの項目指定ボタンがカーソルを囲うように配置されたメニューである。サークルメニュー23a?23hは,サークルメニュー23a?23hの中の1つの項目指定ボタンがユーザによって押圧されると,押圧されたボタンに対応した機能が実行される。」

ウ 「[0024]
キースイッチ等により,車両が起動されると同時にナビゲーション装置1の電源もONとなり,ナビゲーション装置1の動作がスタートする。この際通常は,表示モニター16には前回の電源OFF時に表示されていた状態の地図が自動的に表示される(ステップ100)。以下図4のフローチャートの各ステップでの動作は,ナビゲーション装置1の電源ONと同時にスタートするプログラムにより,制御回路11において実行される。なお,図4のフローチャートの各ステップにおいては,地図表示の動作は常に行われている。
[0025]
ステップS101では,表示モニタ16の画面の中心の地図座標を検出する。ステップS102では,タッチパネルコントロール部110によって算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて,表示モニタ16の画面が押圧されたか否かを判定する。画面が押圧された場合はステップS102が肯定判定され,ステップS103へ進む。画面が押圧されていない場合はステップS102を繰り返す。ステップS103では,画面の中心にカーソルを表示する。ステップS104では,押圧された位置を画面の中心とするように画面に表示されている地図をスクロールさせる。
なお,以降のステップでもスクロール後に画面中心の地図座標を検出しているが,この説明は省略している。
[0026]
ステップS105では,画面が押圧されたか否かを判定する。画面が押圧された場合はステップS105が肯定判定され,ステップS104に戻る。画面が押圧されていない場合はステップS105が否定判定され,ステップS106へ進む。
[0027]
ステップS106では,カーソル周辺の地図の表示状況を検出する。たとえば,カーソルが表示されている位置に施設があるか否か,カーソルが表示されている位置はたとえば海のような,施設あるいは道路の無い場所であるか否か,カーソルが表示されている位置に渋滞している道路があるか否か,カーソルが表示されている位置は市街地であるか否か,カーソルが表示されている位置は郊外であるか否か,カーソルが表示されている位置に高速道路があるか否か,カーソルが表示されている地図は広域地図か,あるいは詳細地図かなどを検出する。
[0028]
ステップS107では,ステップS106で検出したカーソル周辺の地図の表示状況に基づいて,サークルメニューとして表示する項目を選択する。まず,「座標」および「現在地」を基本的に表示するサークルメニュー項目とする。
[0029]
次に,カーソルが表示されている位置に施設がある場合は,「施設情報」をサークルメニューの項目として選択する。カーソルが表示されている位置に施設がない場合は,「施設情報」はサークルメニューの項目として選択しない。カーソルが表示されている位置が海である場合は,画面中心が自車位置となるように地図をスクロールする「現在地」をメニュー項目として選択するが,「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地」をサークルメニューの項目として選択しない。一方,カーソルが表示されている位置が海でない場合は,「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地をサークルメニューの項目として選択する。
[0030]
カーソルが表示されている位置に渋滞している道路である場合は,「交通情報表示」をサークルメニューの項目とし,カーソルが表示されている位置に渋滞している道路がない場合は,「交通情報表示」をサークルメニューの項目に含めない。カーソル上の道路の地点に渋滞が発生している必要はなく,カーソルが重なっている道路上のいずれかの地点に渋滞が発生している場合,あるいは,カーソルの周囲の道路に渋滞が発生している場合にも,「交通情報表示」をメニュー項目とする。カーソルが表示されている位置が市街地である場合は,「詳細地図表示」と「鳥瞰図表示」とをサークルメニュー項目とし,カーソルが表示されている位置が市街地でない場合は,「詳細地図表示」と「鳥瞰図表示」とをサークルメニューの項目に含めない。なお,「鳥瞰図表示」に代えて,「3D表示」の項目を用いてもよい。
[0031]
カーソルが表示されている位置が郊外である場合は,「詳細地図表示」をサークルメニューの項目から除去し,カーソルが表示されている位置が郊外でない場合は,「詳細地図表示」をサークルメニューの項目から除外しない。カーソルが表示されている位置が高速道路である場合は,「高速道路誘導」をサークルメニューの項目とし,カーソルが表示されている位置が高速道路でない場合は,「高速道路誘導」をサークルメニューの項目に含めない。カーソルが表示されている地図が広域地図である場合は,「詳細地図表示」をサークルメニューの項目とし,カーソルが表示されている地図が詳細地図である場合は「広域地図表示」をサークルメニューの項目に含める。
[0032]
ステップS108では,ステップS107で決定されたメニュー項目を表す複数のボタンから成るサークルメニューをカーソルの周りに表示する。
[0033]
ステップS109では,画面が押圧されか否かを判定する。画面が押圧された場合はステップS109が肯定判定され,ステップS110へ進む。画面が押圧されていない場合はステップS109を繰り返す。ステップS110では,タッチパネルコントロール部110によって算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて,項目指定ボタンが押圧されたか否かを判定する。項目指定ボタンが押圧された場合はステップS110が肯定判定され,ステップS111へ進む。項目指定ボタンが押圧されていない場合はステップS110が否定判定され,ステップS113へ進む。
[0034]
ステップS111では,サークルメニューを消去する。ステップS112は,押圧された項目指定ボタンに対応する機能を実行する。たとえば,「座標」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが表示されている位置の緯度経度の座標(すなわち画面中央の座標)を表示させる。「現在地」の項目指定ボタンが押圧されると,現在地を中心とした地図を表示させる。「施設情報」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが表示されている位置の施設の情報を表示させる。
[0035]
「目的地」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが表示されている位置に目的地を設定する。「地点登録」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが表示されている位置を登録地点として登録する。「追加目的地」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが表示されている位置に次の目的地を設定する。「新規目的地」の項目指定ボタンが押圧されると,設定された目的地を取り消して,カーソルが表示されている位置に新たな目的地を設定する。
[0036]
「交通情報表示」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルが重なる道路の渋滞情報を道路に沿って表示する矢印などによって表示させる。渋滞は赤色,混雑は橙色,順調は緑色の矢印で表示し,矢印の長さで混み具合を表示する。「詳細地図表示」の項目指定ボタンが押圧されると,表示されている地図に比べて縮尺を詳細側に一段階変更された地図を表示させる。「鳥瞰図表示」の項目指定ボタンが押圧されると,平面地図から鳥瞰図表示の地図に,地図の表示を切り替える。
[0037]
「高速道路誘導」の項目指定ボタンが押圧されると,カーソルの位置に対応する地図上の地点に最も近い高速道路の入口を検索し,現在地から検索された高速道路の位置口までの経路を探索し,探索された経路の経路誘導を開始する。「広域地図表示」の項目指定ボタンが押圧されると,表示されている地図に比べて縮尺を広域側に一段階変更された地図を表示させる。
[0038]
ステップS113では,サークルメニューを消去する。そして,ステップS104に戻る。
[0039] 以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)表示モニタ16上の地図のスクロールが終了したとき,地図の中心付近の表示状況を検出し,検出された地図の中心付近の表示状況に基づいて,複数のメニュー項目を選択し,選択されたメニュー項目を表すボタンを地図の中心付近を囲うように地図に重ねて表示するようにした。これにより,地図をスクロールさせた後に適切な機能を素早く実行させることができる。」

エ 「[0052]
(7)車両の現在地と,スクロール後の画面中心付近の位置との関係に基づいて,サークルメニューの項目を決定するようにしてもよい。たとえば,車両の現在地と,スクロール後の画面中心付近の位置との間の距離が所定以上になったとき,上述の「現在地」のメニュー項目をサークルメニューの項目として選択するようにしてもよい。スクロール後に表示されている地図が現在地に近い場合は,現在地まで地図をスクロールさせることは容易であるので,「現在地」の項目を設ける必要がなく,却って表示されない方が他の項目を選ぶとき迷わず,都合がよい。一方,スクロールされた地図が現在地から遠い場合は,現在地まで地図をスクロールさせることは困難であるので,「現在地」の項目を設けると便利である。
[0053]
(8)上記のナビゲーション装置1の制御プログラムをパーソナルコンピュータに搭載し,パーソナルコンピュータ上でナビゲーション装置を実現することもできる。この場合,ナビゲーション装置1を実現する制御プログラムは,DVDやCD-ROMなどの記録媒体やインターネットなどのデータ信号を通じて提供することができる。このように,上記の特徴を有するナビゲーション装置1を実現する制御プログラムは,記録媒体やデータ信号(搬送波)などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。図5はその様子を示す図である。なお,この場合パーソナルコンピュータの表示画面には,タッチパネルが設けられている必要がある。
[0054]
本発明は,地図表示装置であれば,ナビゲーション装置に限定されない。たとえば,ナビゲーション機能付きのゲーム機や携帯電話でもよい。」

したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「制御回路11,ROM12,RAM13,現在地検出装置14,画像メモリ15,表示モニタ16,スピーカ17,入力装置18,タッチパネル19およびディスクドライブ111を有しているナビゲーション装置1であって,
制御回路11は,ROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行い,且つ,DVD-ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行い,その処理結果を経路として表示モニタ16に表示させ,
現在地検出装置14は,車両の現在地を検出する装置であり,
ユーザが地図20が表示されている表示モニタ16の画面の位置21を押圧すると,押圧された位置21が地図の中心に移動するように地図20がスクロールされ,また,地図20のスクロールが開始すると,地図の中心付近にカーソル22が表示され,表示モニタ上の押圧を続けると,地図20のスクロールを継続して行うことができ,ユーザが表示モニタ上の押圧を止め,地図のスクロールが停止すると,カーソル22の周囲にサークルメニュー23a?23hが表示され,サークルメニューとは,メニューの項目指定ボタンがカーソルを囲うように配置されたメニューであり,サークルメニュー23a?23hの中の1つの項目指定ボタンがユーザによって押圧されると,押圧されたボタンに対応した機能が実行され,
以下の各ステップでの動作は,ナビゲーション装置1の電源ONと同時にスタートするプログラムにより,制御回路11において実行され,各ステップにおいては,地図表示の動作は常に行われており,
ステップS101では,表示モニタ16の画面の中心の地図座標を検出し,ステップS102では,タッチパネルコントロール部110によって算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて,表示モニタ16の画面が押圧されたか否かを判定し,画面が押圧された場合,ステップS103では,画面の中心にカーソルを表示し,ステップS104では,押圧された位置を画面の中心とするように画面に表示されている地図をスクロールさせ,ステップS105では,画面が押圧されたか否かを判定し,画面が押圧されていない場合,ステップS106では,カーソル周辺の地図の表示状況を検出し,ステップS107では,ステップS106で検出したカーソル周辺の地図の表示状況に基づいて,サークルメニューとして表示する項目を選択し,例えば,カーソルが表示されている位置が海である場合は,画面中心が自車位置となるように地図をスクロールする「現在地」をメニュー項目として選択するが,「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地」をサークルメニューの項目として選択せず,カーソルが表示されている位置が海でない場合は,「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地をサークルメニューの項目として選択し,ステップS108では,ステップS107で決定されたメニュー項目を表す複数のボタンから成るサークルメニューをカーソルの周りに表示し,ステップS109では,画面が押圧されか否かを判定し,画面が押圧された場合,ステップS110では,タッチパネルコントロール部110によって算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて,項目指定ボタンが押圧されたか否かを判定し,項目指定ボタンが押圧されていない場合,ステップS113では,サークルメニューを消去し,そして,ステップS104に戻り,
複数のメニュー項目を表すボタンを地図の中心付近を囲うように地図に重ねて表示し,
車両の現在地と,スクロール後の画面中心付近の位置との関係に基づいて,サークルメニューの項目を決定するようにしてもよく,
地図表示装置であれば,ナビゲーション装置に限定されず,たとえば,ナビゲーション機能付きのゲーム機や携帯電話でもよい,ナビゲーション装置1。」


第6 対比・判断

1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「表示モニタ16」,「表示モニタ16の画面」は,それぞれ本願発明1の「表示装置」,「表示画面」に相当する。
ここで,本願明細書の段落【0035】の「ツール画面200には,利用者によって操作されるボタンや,情報表示欄などが設けられている。」との記載より,本願発明1の「ツール画面」は,「利用者によって操作されるボタン」や,「情報表示欄」などが設けられた画面であると解釈される。一方,引用発明における「サークルメニュー」に表示される「メニューの項目指定ボタン」は,「押圧」により「対応した機能が実行される」ものであるから,「利用者によって操作されるボタン」であるといえる。
そうすると,引用発明の「サークルメニュー」は「利用者によって操作されるボタン」を備える点で本願発明1の「ツール画面」と共通し,引用発明の「サークルメニューとして表示する項目を選択」し,また,「サークルメニューを消去」する「制御回路11」は「ツール画面の制御を行うツール画面制御装置」に相当するといえる。

イ 引用発明では,「ユーザが表示モニタ上の押圧を止め,地図のスクロールが停止すると,カーソル22の周囲にサークルメニュー23a?23hが表示され」るから,この「地図のスクロールが停止する」ことが本願発明1の「表示開始イベント」に相当するといえる。
また,引用発明は,「サークルメニューをカーソルの周りに表示し」た後に「画面が押圧された場合」であって「項目指定ボタンが押圧されていない場合」,即ち,項目指定ボタン以外の箇所が押圧された場合,「サークルメニューを消去」して「ステップS104」に戻る,即ち,「押圧された位置を画面の中心とするように画面に表示されている地図をスクロールさせ」るから,この「地図をスクロールさせ」ることが本願発明1の「表示終了イベント」に相当するといえる。
そうすると,引用発明において,このようなステップを実行する「制御回路11」は,本願発明1の「表示制御イベント入力部」に相当する構成であるといえる。

ウ 引用発明では,「各ステップにおいては,地図表示の動作は常に行われており」,この「地図」は本願発明1の「原画像」に相当する。
さらに,引用発明では,「表示モニタ上の押圧を止め」ることによって表示される「複数のメニュー項目を表すボタン」,即ち,「サークルメニュー」を「地図の中心付近を囲うように地図に重ねて表示」しており,このことは本願発明1の「前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させ」ることに相当する。
また,上記イで示したとおり,引用発明は,項目指定ボタン以外の箇所が押圧された場合,「サークルメニューを消去」するものであり,このことは本願発明1の「前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させる」ことに相当する。
そうすると,引用発明において,このようなステップを実行する「制御回路11」は,本願発明1の「ツール画面表示制御部」に相当する構成であるといえる。

エ 引用発明では,「検出したカーソル周辺の地図の表示状況に基づいて,サークルメニューとして表示する項目を選択し」ており,この「表示」される「項目」は,本願発明1の「表示情報」に相当する。
そして,引用発明では,例えば,「カーソルが表示されている位置が海である場合は「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地」をサークルメニューの項目として選択せず,カーソルが表示されている位置が海でない場合は,「目的地」,「地点登録」,「追加目的地」および「新規目的地をサークルメニューの項目として選択」するから,選択される「項目」の数は当該表示状況に応じて変化するといえる。そして,「サークルメニュー」が表示される領域は,各「項目」が表示される領域の総和であるといえるから,表示される「項目」の数に基づいて「サークルメニュー」の領域(形,大きさを含めて)が決まるといえ,このことは本願発明1の「前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決める」ことに相当するといえる。
そうすると,引用発明において,このようなステップを実行する「制御回路11」は,本願発明1の「ツール画面構成部」に相当する構成であるといえる。

オ 引用発明では,「制御回路11」が,「ROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行」うから,「サークルメニューとして表示する項目」の情報も当該「ROM12」から取得していることは明らかである。そうすると,この「ROM12」は,本願発明1の「情報提供装置」に相当するといえる。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「表示装置の表示画面上に表示されるツール画面の制御を行うツール画面制御装置であり, 前記ツール画面の表示開始イベントおよび表示終了イベントを入力する表示制御イベント入力部と,
前記表示開始イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される原画面の上に前記ツール画面を重ねて表示させ,
前記表示終了イベントの入力に応じて,前記表示画面上に表示される前記ツール画面の表示を終了させる,ツール画面表示制御部と,
前記ツール画面に表示される表示情報に基づいて前記ツール画面の領域を決めるツール画面構成部と,
を備え,
前記表示開始イベントは前記原画面の画面スクロールの終了であり,前記表示終了イベントは前記原画面の画面スクロールの開始であり,
前記表示情報は,情報提供装置から取得されたものであることを特徴とするツール画面制御装置。」

(相違点)
一致点の「前記表示情報は,情報提供装置から取得されたものであること」に関して,本願発明1では,「前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであること」に対して,引用発明では,「項目」が「カーソル周辺の地図の表示状況に基づ」くものであって,「利用者の属性,又は端末利用履歴に基づ」くものではない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると,引用文献1には,「利用者の属性,又は利用履歴に基づ」く「項目」を表示することは記載されていない。
仮に「利用者の属性,又は利用履歴に基づ」く「項目」を表示すること自体が本願優先日前において周知技術であったとしても,「従来のナビゲーション装置では,地図をスクロールした後,地図上の所定の位置に目的地を設定するなど,地図をスクロールした後の所定の機能の実行が素早くできない」(段落[0004])という課題を解決するものである引用発明において,当該周知技術を採用する合理的理由はない。

したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-6について

本願発明2-6も,本願発明1の「前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであること」と同一の構成を有するものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定について

平成30年1月12日付けの補正により,補正後の請求項1-6は,「前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであること」という技術的事項を有するものとなった。当該「前記表示情報は,利用者の属性,又は端末利用履歴に基づいて,情報提供装置から取得されたものであること」は,原査定における引用文献A-C(なお,引用文献Cは,当審拒絶理由における引用文献1である。)には記載されておらず,本願発明1-6は,当業者であっても,原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。


第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-19 
出願番号 特願2013-270443(P2013-270443)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野村 和史  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 松田 岳士
千葉 輝久
発明の名称 ツール画面制御装置、携帯端末装置、ツール画面制御方法およびコンピュータプログラム  
代理人 佐伯 義文  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 志賀 正武  
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