• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
管理番号 1338744
審判番号 不服2016-8660  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-09 
確定日 2018-03-22 
事件の表示 特願2014-142420「マルチストリーム伝送におけるパイロット信号をマッピングする方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日出願公開,特開2014-239453〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,2010年3月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年3月17日 米国,2010年2月19日 米国)を国際出願日とする出願である特願2012-500710号の一部を,平成26年7月10日に新たな特許出願としたものであって,平成28年2月2日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年6月9日に拒絶査定不服審判が請求され,その後,当審において平成29年4月7日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年7月11日付けで手続補正がされたものである。

その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年7月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7に記載された次のとおりのものと認める。
「基準信号を送信する方法であって,
少なくとも一つのリソース要素のセットに少なくとも一つのアンテナポートに対応する少なくとも一つの直交カバーコードを適用するステップと,
一つのサブフレームで8個の基準信号まで送信するステップと,を含み,
前記基準信号の各々は各アンテナポートに対応し,
各サブフレームは二つのスロットを含み,
前記スロットの各々は複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを含み,
前記複数のOFDMシンボルの各々は複数のリソース要素を含み,
全体アンテナポートの個数は階層の個数に基づいており,
前記リソース要素の2個のセットが前記一つのサブフレームで使用可能であり,
前記リソース要素のセットの各々は4個の基準信号まで含み,
前記各アンテナポートは前記一つの直交カバーコードに割り当てられることを特徴とする送信方法。」


2 引用発明等
当審拒絶理由に引用されたSamsung, DL RS Designs for Higher Order MIMO([当審仮訳]:高次MIMO用のDL RS設計),3GPP TSG RAN WG1 #56 R1-090619,2009年2月3日(利用可能日),URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_56/Docs/R1-090619.zip(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「1 Introduction
Since higher order MIMO up to 8x8 multi-antenna configuration is necessary to achieve the peak spectrum efficiency target [11], a new reference signal (RS) design supporting up to 8 layer transmissions has to be defined in LTE-A..」(1葉目)
([当審仮訳]:
1 はじめに
ピークスペクトル効率目標[11]を達成するためには,最大8×8マルチアンテナ構成の高次MIMOが必要であるため,LTE-Aでは最大8つのレイヤ伝送をサポートする新しい基準信号(RS)設計を定義する必要がある。)

(2)「2 CQI-RS and DM RS in PDSCH region
This design is in line with the first bullet in the way-forward. In this approach, for LTE-A UEs, CQI-RS is provided for the CQI/PMI/RI measurement, and DM RS is provided for demodulation. In some scenarios, CQI-RS can be used for demodulation as well.
In this contribution, cell-specific antenna ports 0, 1, ..., 7 are the 8 reference antenna ports used for CQI/PMI/RI measurement in all the LTE-A UEs in a cell, where the cell-specific antenna ports 0, 1, 2, 3 correspond to antenna ports 0, 1, 2, 3 in LTE. 」(1葉目)
([当審仮訳]:
2 PDSCH領域におけるCQI-RSとDM RS
このデザインは上記箇条書きの最初のものに沿っている。LTE-A UEのための本アプローチでは,CQI/PMI/RI測定のためにCQI-RSが提供され,復調のためにDM RSが提供される。あるシナリオでは,CQI-RSを復調にも使用することができる。
この寄書では,セル固有アンテナポート0,1,・・・,7は,セル内の全てのLTE-A UEにおけるCQI/PMI/RI測定に使用される8個の基準アンテナポートであり,セル固有アンテナポート0,1,2,3はLTEのアンテナポート0,1,2,3に対応する。)

(3)「3 Example DL RS Patterns
(中略)
3.2 Example CQI RS Patterns
Figure 2 shows examples of CQI RS RE mapping in one RB in a subframe. The following considerations have been made for the design:
・CQI RS RE density is kept minimum, one RS RE per antenna port in a time slot.
・In each OFDM symbol where CQI RS REs are allocated, two closest RS REs for one antenna port have three RS REs for three antenna ports, so that we may power-boost each RS by up to 4 times (in the case of Figure 2(a)).
・Two adjacent RS REs are spaced apart by 2 REs in between, just as for Rel-8 RS, to facilitate the interference management by cell-specific frequency shifting.
・To avoid any scheduling restrictions, the CQI RS REs are allocated avoiding the RS REs for Rel-8 RS ports 0, 1, 2, 3 and 5.
On the CQI RS REs in Figure 2(a)(b), either RS for four additional cell-specific antenna ports or CDM-ed cell-specific RS can be mapped. One example of applying CDM in the pilot pattern of Figure 2(b) is described below:
Walsh-Hadamard (WH) codes apply to the RS in two consecutive OFDM symbols and in two consecutive sub-carriers having RS transmission. The WH codes are:
・RS4: {1, 1} in the time domain and {1, 1} in the frequency domain.
・RS5: {1, 1} in the time domain and {1, -1} in the frequency domain.
・RS6: {1, -1} in the time domain and {1, 1} in the frequency domain.
・RS7: {1, -1} in the time domain and {1, -1} in the frequency domain.
As a result, on Rel-10 port 4 in Figure 2(b), RS4+RS5+RS6+RS7 is mapped; on Rel-10 port 5, RS4-RS5+RS6-RS7 is mapped; on Rel-10 port 6, RS4+RS5-RS6-RS7 is mapped; and on Rel-10 port 7, RS4-RS5-RS6+RS7 is mapped, where RS4, RS5, RS6 and RS7 implies the RS for cell-specific antenna ports 4, 5, 6 and 7.

」(3?4葉目)
([当審仮訳]:
3 DL RSパターンの例
(中略)
3.2 CQI RSパターンの例
図2は,1サブフレームの1RBにおけるCQI RS REマッピングの例を示す。当該設計のために以下の事項が検討されている。
・CQI RS RE密度は最小に保たれ,1タイムスロット内で1アンテナポート当たり1RS RE。
・CQI RS REが割り当てられている各OFDMシンボルでは,2つの最も近い1アンテナポート用のRS REが,3つのアンテナポートのために3つのRS REを持つため,各RSを最大4倍パワーブーストすることができる(図2(a))。
・Rel-8 RSの場合と同様に,2つの近傍のRS REは,セル固有の周波数シフトによる干渉管理を容易にするために,2REの間隔が開けられる。
・スケジューリング制限を避けるために,CQI RS REはRel-8 RSポート0,1,2,3及び5のRS REを回避するように割り当てられる。
図2(a)(b)のCQI RS REでは,4つの追加のセル固有アンテナポートのためのRS又はCDMされたセル固有RSのいずれかがマッピングされ得る。図2(b)のパイロットパターンにCDMを適用する一例を以下に説明する。
ウォルシュ-アダマール(WH)符号は,RS送信をする2つの連続するOFDMシンボル及び2つの連続するサブキャリアにおけるRSに適用される。WH符号は次のとおりである。
・RS4:時間領域で{1,1},周波数領域で{1,1}。
・RS5:時間領域では{1,1},周波数領域では{1,-1}。
・RS6:時間領域で{1,-1},周波数領域で{1,1}。
・RS7:時間領域では{1,-1},周波数領域では{1,-1}。
その結果,図2(b)のRel-10 ポート4には,RS4+RS5+RS6+RS7がマップされ,Rel-10 ポート5には,RS4-RS5+RS6-RS7がマップされ,Rel-10 ポート6には,RS4+RS5-RS6-RS7がマップされ,Rel-10 ポート7には,RS4-RS5-RS6+RS7がマップされる。ここで,RS4,RS5,RS6及びRS7は,セル固有アンテナポート4,5,6及び7のRSを意味する。
(図2は省略。) )

上記(1)?(3)の各記載及び図面並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると,
引用例には,最大8×8マルチアンテナ構成の高次MIMOにおけるCQI RS送信に関して,最大8個のアンテナポートに係る基準信号(RS)であるCQI RSをREにマッピングするパターンの例が示されているから,「基準信号を送信する方法」が記載されているといえる。

上記(3)には,「4つの追加のセル固有アンテナポートのためのRS」のマッピングの例と,「CDMされたセル固有RS」のマッピングの例とが記載されており,後者は図2(b)に対応するものである。
そして,上記(3)における図2(b)のパイロットパターンにCDMを適用する一例についての説明によると,
「Rel-10 ポート4」には,「RS4+RS5+RS6+RS7」がマップされ,
「Rel-10 ポート5」には,「RS4-RS5+RS6-RS7」がマップされ,
「Rel-10 ポート6」には,「RS4+RS5-RS6-RS7」がマップされ,
「Rel-10 ポート7」には,「RS4-RS5-RS6+RS7」がマップされるものである。ここで,上記RS4,RS5,RS6及びRS7は,セル固有アンテナポート4,5,6及び7のRSである。
そして,図2は,CQI RS REマッピング,すなわち,CQI RSをREにマッピングする態様を示したものであるから,図2の右側の図に照らせば,上記「Rel-10 ポート●」(「●」は4?7のいずれかを示す。以下,同様。)は,図2の右側の図において「Rel-10 port●」に対応する記号(数字「4」?「7」が記載された濃い塗り潰しの四角)により特定されるREを意味すると解するのが自然である。
ここで,図2自体には(a)(b)の区別がされていないが,図2の左側の図を図2(a),同右側の図を図2(b)と解することは不自然ではない。すなわち,左側の図が「4つの追加のセル固有アンテナポートのためのRS」がマッピングされる例であり,右側の図が「CDMされたセル固有RS」がマッピングされる例と解することができ,そのように解した場合に上記(3)の記載と不整合が生じることはない。そして「4つの追加のセル固有アンテナポートのためのRS」のマッピングの例では,図2の左側の図の「Rel-10 port●」に対応する記号により特定されるREにはアンテナポート●のRSのみがマップされ,「CDMされたセル固有RS」のマッピングの例では,図2の右側の図の「Rel-10 port●」に対応する記号により特定される各REにはCDMを用いてWH符号によりカバーされたアンテナポート4?7の各RSが多重化されたものがマップされると解するのが自然である。
してみると,上記のマッピングはREからみたもの(あるREに各RSがどのようにマッピングされるかを表すもの)といえるところ,これをRSからみる(あるRSが各REにどのようにマッピングされるかを表す)と,
「アンテナポート4のRS4」は,図2の右側の図において「Rel-10 ポート4」,「Rel-10 ポート5」,「Rel-10 ポート6」,「Rel-10 ポート7」として特定される各REからなる集合に対して,それぞれ{1,1,1,1}なるWH符号によりカバーされてマップされ,
「アンテナポート5のRS5」は,上記各REからなる集合に対して,それぞれ{1,-1,1,-1}なるWH符号によりカバーされてマップされ,
「アンテナポート6のRS6」は,上記各REからなる集合に対して,それぞれ{1,1,-1,-1}なるWH符号によりカバーされてマップされ,
「アンテナポート7のRS7」は,上記各REからなる集合に対して,それぞれ{1,-1,-1,1}なるWH符号によりカバーされてマップされるといえる。
ここで,図2にはRS4?RS7の4個のRSが記載されているが,上記(1)のとおり,Rel-10(LTE-A)ではRel-8(LTE)の4個のアンテナポートの基準信号(RS)に加えて最大8個のアンテナポートの基準信号(RS)を送信するものであるから,図2の右側の図は,上記各REからなる集合に対して最大4個のアンテナポートの基準信号(RS)に対応する最大4個のWH符号を適用することを意図しているといえる。
そして,図2の右側の図によれば,「Rel-10 ポート4」と「Rel-10 ポート5」として特定されるRE同士,「Rel-10 ポート6」と「Rel-10 ポート7」として特定されるRE同士が,それぞれ同じ時間領域にあり,「Rel-10 ポート4」と「Rel-10 ポート6」として特定されるRE同士,「Rel-10 ポート5」と「Rel-10 ポート7」として特定されるRE同士が,それぞれ同じ周波数にあることが見て取れるところ,上述の各RSに係る4つのREとWH符号の各要素との対応関係は,上記(3)の
「・RS4:時間領域で{1,1},周波数領域で{1,1}。
・RS5:時間領域では{1,1},周波数領域では{1,-1}。
・RS6:時間領域で{1,-1},周波数領域で{1,1}。
・RS7:時間領域では{1,-1},周波数領域では{1,-1}。」
との記載に整合するものである。
また,図2の右側の図によれば,LTEのアンテナポート0,1,2,3に対応する各基準信号(RS)が,それぞれ「Rel-8 ポート0」,「Rel-8 ポート1」,「Rel-8 ポート2」,「Rel-8 ポート3」として特定されるREにマップされていることは,当業者に明らかである。
したがって,上記(1)?(3)の記載及び図2によれば,「一つのサブフレームで最大8個の基準信号(RS)を送信する」といえる。また,RS4,RS5,RS6及びRS7は,セル固有アンテナポート4,5,6及び7のRSであるから,「基準信号(RS)の各々は各アンテナポートに対応する」といえる。また,「REの集合に最大4個のアンテナポートの基準信号(RS)に対応する最大4個のWH符号を適用する」といえ,「REの集合が一つのサブフレームで使用可能である」といえ,「REの集合は最大4個の基準信号(RS)を含む」といえ,「各アンテナポートの基準信号(RS)は一つのWH符号に割り当てられる」といえる。

引用例はLTE-Aに関する提案であるところ,「各サブフレームは二つのスロットを含み」,「前記スロットの各々は複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを含み」,「前記複数のOFDMシンボルの各々は複数のリソース要素を含み」,「アンテナポートの総個数はレイヤの個数に対応する」ことは,LTE-Aにおける技術常識である。
また,上記(2)にも記載されているように,CQI RSはDM RSとして使用し得ることは,LTE-Aにおける技術常識である。

以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「基準信号を送信する方法であって,
REの集合に最大4個のアンテナポートの基準信号(RS)に対応する最大4個のWH符号を適用するステップと,
一つのサブフレームで最大8個の基準信号(RS)を送信するステップと,を含み,
前記基準信号(RS)の各々は各アンテナポートに対応し,
各サブフレームは二つのスロットを含み,
前記スロットの各々は複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを含み,
前記複数のOFDMシンボルの各々は複数のREを含み,
アンテナポートの総個数はレイヤの個数に対応し,
前記REの集合が一つのサブフレームで使用可能であり,
前記REの集合は最大4個の基準信号(RS)を含み,
前記各アンテナポートの基準信号(RS)は前記一つのWH符号に割り当てられることを特徴とする送信方法。」


同じく当審拒絶理由に引用されたETRI,CDM-based CRS structure for 8 transmit antennas([当審仮訳]:8個の送信アンテナのためのCDMベースのCRS構造),3GPP TSG RAN WG1 #55bis R1-090272,2009年1月8日(利用可能日),URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_55b/Docs/R1-090272.zip(以下,「公知例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(4)「3 Proposed CRS structure for 8 transmit antennas
We prefer to classify the subframes into different types and to have the unicast release 10 subframe treated as the MBSFN subframe by the LTE UEs. In this contribution we focus on how to support the CRSs for antenna ports 4?7 in the release 10 subframe by considering the backward compatibility and CRS overhead.
Because the release 10 subframe should be treated as the MBSFN subframe by the LTE UEs, the CRS structure for its first and second OFDM symbols should not be changed in comparison with the unicast release 8 subframe.
We expect that 8 transmit antennas will be used in some scenarios such as an indoor office. Usually, delay spread of an indoor environment is not long. For example, in the WINNER 2 indoor channel model given in Appendix, the maximum delay spread is 350 nsec for LOS case and 175 nsec for NLOS case. Therefore when we design reference signals for 8 transmit antennas, we may not consider the extended CP case.
Considering the above statements, we propose a CRS structure with CDM-based orthogonal sequences for the release 10 subframe as shown in Fig. 3-1. In the 5^(th), 8^(th), 9^(th), and 12^(th) OFDM symbols, the CRSs for the two antenna ports are simultaneously transmitted using the same resources and different orthogonal sequences. For example, in the 5^(th) OFDM symbol time, CRSs for the antenna port pairs (0 and 4) and (1 and 5) are simultaneously transmitted using the same resources.
To support UEs with a moderately high speed, the CRS density for antenna ports 4 and 5 is higher than that for antenna ports 6 and 7. Since the CRS density for antenna ports 6 and 7 is very low, those antenna ports should be used only for the low speed environment.
In our proposed CRS structure, the same CRS overhead is maintained as in the LTE Rel.8 specifications even though the CRSs for antenna ports 4?7 are supported. By choosing proper orthogonal sequences and using channel estimation schemes such as the DFT-based one, the channel impulse responses for the two antenna ports can be well distinguished in the low delay spread channel environment such as indoor channel.
Actually, a similar CRS structure has been already proposed in [5] and discussed for a long time. In [5], the CDM-based orthogonal sequences were used to distinguish the reference signals of three sectored cells. However, as explained in detail in [6], this was not accepted into the current LTE specifications due to the timing tracking, channel estimation, and noise variance estimation problems.
In the proposed scheme, however, CDM-based orthogonal sequences are used to distinguish the CRSs for two antenna ports in the same cell and moreover, the CDM-based CRS multiplexing is not used in the 1st OFDM symbol. Therefore, our proposed structure does not cause the timing tracking and noise variance estimation problem. Also, since orthogonal sequences are used for the distinction between only two antenna ports instead of three sectored cells, the channel estimation problem in our structure is not as much severe as in [5].

」(2?3葉目)
([当審仮訳]:
3 提案された8個の送信アンテナのためのCRS構造
サブフレームを異なるタイプに分類し,ユニキャストリリース10サブフレームをLTE UEによってMBSFNサブフレームとして扱うことを好む。この寄稿では,後方互換性とCRSオーバーヘッドを考慮して,リリース10のサブフレームでアンテナポート4?7のCRSをサポートする方法に焦点を当てる。
リリース10のサブフレームは,LTEのUEによってMBSFNサブフレームとして扱われるべきであるため,第1及び第2のOFDMシンボルのCRS構造は,ユニキャストリリース8のサブフレームと比較して変更すべきではない。
私たちは屋内のオフィスのようないくつかのシナリオで8つの送信アンテナが使用されることを期待する。通常,屋内環境の遅延拡散は長くはない。例えば,付録に示すWINNER2屋内チャネルモデルでは,最大遅延スプレッドは,LOSの場合は350ナノ秒であり,NLOSの場合は175ナノ秒である。したがって,8本の送信アンテナのリファレンス信号を設計する場合,拡張CPケースは考慮しない。
上記の記述を考慮して,図3-1に示すように,リリース10サブフレームのCDMベース直交シーケンスを有するCRS構造を提案する。第5,第8,第9及び第12のOFDMシンボルでは,2つのアンテナポートのCRSは,同じリソース及び異なる直交シーケンスを使用して同時に送信される。例えば,5番目のOFDMシンボル時間において,アンテナポート対(0と4)と(1と5)のCRSは,同じリソースを用いて同時に送信される。適度に高速なUEをサポートするために,アンテナポート4及び5のCRS密度は,アンテナポート6及び7のCRS密度よりも高い。アンテナポート6及び7のCRS密度は非常に低いので,これらのアンテナポートは低速環境用にのみ使用する必要がある。
提案されたCRS構造では,アンテナポート4?7のCRSがサポートされているにもかからわず,LTE Rel 8仕様と同じCRSオーバヘッドが維持される。適切な直交シーケンスを選択し,DFTベースのものなどのチャネル推定スキームを使用することにより,2つのアンテナポートのチャネルインパルス応答を,屋内チャネルのような低遅延拡散チャネル環境ではっきりと区別することができる。
実際,同様のCRS構造は[5]ですでに提案されており,長い間議論されている。[5]において,CDMに基づく直交シーケンスは,3つのセクタ化されたセルの参照信号を区別するために使用された。しかし,[6]で詳述されているように,タイミングトラッキング,チャネル推定,雑音分散推定の問題により,現在のLTE仕様には受け入れられていない。
しかしながら,提案方式では,同一セル内の2つのアンテナポートのCRSを区別するためにCDMベースの直交シーケンスが使用され,さらに,第1OFDMシンボルではCDMベースのCRS多重化は使用されない。したがって,我々の提案した構造は,タイミングトラッキング及び雑音分散推定の問題を引き起こさない。また,3つのセクタセルの代わりに2つのアンテナポートのみを区別するために直交シーケンスが使用されるので,我々の構造におけるチャネル推定の問題は,[5]ほど深刻ではない。
(図3-1は省略。) )

上記(4)の記載及び図3-1からも明らかなように,「アンテナポート0?3の基準信号についても,アンテナポート4?7の基準信号と同様にCDMを適用し,1つのサブフレームでCDMにより8個の基準信号を送信する。」ことは公知である(以下,「公知技術」という。)。


3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,

引用発明の「RE」が「リソース要素」を意味することは当業者に明らかであるから,引用発明の「REの集合」は本願発明の「リソース要素のセット」に相当する。また,引用発明の「WH符号」は「直交カバーコード」といえる。そして,引用発明の「最大4個」は「少なくとも1つ」に含まれる。したがって,本願発明の「少なくとも一つのリソース要素のセットに少なくとも一つのアンテナポートに対応する少なくとも一つの直交カバーコードを適用するステップ」と,引用発明の「REの集合に最大4個のアンテナポートの基準信号(RS)に対応する最大4個のWH符号を適用するステップ」とは,下記の相違点は別として,「リソース要素のセットに少なくとも一つのアンテナポートに対応する少なくとも一つの直交カバーコードを適用するステップ」の点で共通する。
本願発明の「一つのサブフレームで8個の基準信号まで送信する」と,引用発明の「一つのサブフレームで最大8個の基準信号(RS)を送信する」とは,同義である。
引用発明の「レイヤ」と本願発明の「階層」は同義であるから,引用発明の「アンテナポートの総個数はレイヤの個数に対応し」は,本願発明の「全体アンテナポートの個数は階層の個数に基づいており」に相当する。
本願発明の「前記リソース要素のセットの各々は4個の基準信号まで含み」と,引用発明の「前記REの集合は最大4個の基準信号(RS)を含み」とは,下記の相違点は別として,「前記リソース要素のセットは4個の基準信号まで含み」の点で共通する。
本願発明の「前記各アンテナポートは前記一つの直交カバーコードに割り当てられること」と,引用発明の「前記各アンテナポートの基準信号(RS)は前記一つのWH符号に割り当てられる」とは,それぞれ同義である。

したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「基準信号を送信する方法であって,
リソース要素のセットに少なくとも一つのアンテナポートに対応する少なくとも一つの直交カバーコードを適用するステップと,
一つのサブフレームで8個の基準信号まで送信するステップと,を含み,
前記基準信号の各々は各アンテナポートに対応し,
各サブフレームは二つのスロットを含み,
前記スロットの各々は複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを含み,
前記複数のOFDMシンボルの各々は複数のリソース要素を含み,
全体アンテナポートの個数は階層の個数に基づいており,
前記リソース要素のセットが前記一つのサブフレームで使用可能であり,
前記リソース要素のセットは4個の基準信号まで含み,
前記各アンテナポートは前記一つの直交カバーコードに割り当てられることを特徴とする送信方法。」

(相違点)
直交カバーコードを適用される「リソース要素のセット」に関し,本願発明は「少なくとも一つのリソース要素のセット」であり,「前記リソース要素の2個のセットが前記一つのサブフレームで使用可能」であり,「前記リソース要素のセットの各々は4個の基準信号まで含」むのに対し,引用発明は,WH符号が適用されるREの集合は1つ(「Rel-10 ポート4」,「Rel-10 ポート5」,「Rel-10 ポート6」,「Rel-10 ポート7」として特定されるREからなるREの集合)しか存在しない点。

上記相違点について検討する。
上記2にて述べたように,「アンテナポート0?3の基準信号についても,アンテナポート4?7の基準信号と同様にCDMを適用し,1つのサブフレームでCDMにより8個の基準信号を送信する。」ことは公知技術であるから,引用発明において,アンテナポート0,1,2,3に対応する4個の各基準信号(RS)についてもアンテナポート4,5,6及び7に対応する4個の各基準信号(RS)と同様にWH符号を適用し,引用例の図2の右側の図における「Rel-8 ポート0」,「Rel-8 ポート1」,「Rel-8 ポート2」,「Rel-8 ポート3」として特定されるREからなるREの集合に「少なくとも一つのアンテナポートに対応する少なくとも一つの直交カバーコードを適用する」ようにすることは,格別困難なことではなく,当業者が適宜なし得ることである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び公知技術に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。


4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-16 
結審通知日 2017-10-17 
審決日 2017-11-07 
出願番号 特願2014-142420(P2014-142420)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北村 智彦  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山中 実
菅原 道晴
発明の名称 マルチストリーム伝送におけるパイロット信号をマッピングする方法及びシステム  
代理人 山下 託嗣  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ