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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1339052
審判番号 不服2017-1710  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-06 
確定日 2018-04-05 
事件の表示 特願2014-518323「撮像装置、半導体装置および撮像ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日国際公開、WO2013/179766〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月4日(国内優先権主張 平成24年5月30日(以下、「優先権主張日」という。))を国際出願日とする出願であって、平成26年10月8日付で審査請求がなされ、平成27年6月22日付で拒絶理由が通知され、同年8月7日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされ、平成28年3月17日付で最後の拒絶理由が通知され、同年5月19日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、同年10月28日付で補正却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定がなされたものである。
これに対して、平成29年2月6日付で審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年2月6日付の手続補正についての却下の決定
[補正却下の結論]
平成29年2月6日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年2月6日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1乃至13を、補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至13に補正するとともに明細書を補正するものであり、そのうち補正前後の請求項1は、以下のとおりである。(なお、下線は、補正の箇所を示すものとして審判請求人が付加したものである。)
(1)本件補正前の請求項1
「受光部および前記受光部の周囲に形成された電極パッドを第1の主面に有し、前記電極パッドと貫通配線を介して接続された外部接続端子を第2の主面に有する撮像チップと、
前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部と、
前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な接着層と、
前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材と、を具備し、
前記封止部材は、遮光材料が混合されていることを特徴とする撮像装置。」
(2)本件補正後の請求項1
「受光部および前記受光部の周囲に形成された電極パッドを第1の主面に有し、前記電極パッドと貫通配線を介して接続された外部接続端子を第2の主面に有する撮像チップと、
前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部と、
前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な樹脂からなる接着層と、
前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材と、を具備し、
前記封止部材は、前記接着層と同じ樹脂に遮光材料が混合されていることを特徴とする撮像装置。」
2 補正の適否について
(1)補正の目的について
本件補正では、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)は、本件補正前の請求項1に記載された発明に対応し、本件補正前の請求項1と本件補正後の請求項1を比較すると、本件補正後の請求項1に係る本件補正には、以下の補正事項が含まれる。
ア 補正前の請求項1の「透明な接着層」について「透明な樹脂からなる接着層」とする補正。(以下、「補正事項ア」という。)
補正事項アにより加えられた部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、補正事項アは当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、補正事項アは、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項アは、補正前の請求項1の「透明な接着層」について、「透明な樹脂からなる接着層」と補正することにより「透明な接着層」が「樹脂からなる」ものであるとの限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そうすると、補正事項アは、特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。
イ 補正前の請求項1の「前記封止部材は、遮光材料が混合されていること」について「前記封止部材は、前記接着層と同じ樹脂に遮光材料が混合されていること」とする補正。(以下、「補正事項イ」という。)
補正事項イにより加えられた部分は、当初明細書等に記載されているものと認められるから、補正事項イは当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。したがって、補正事項イは、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項イは、補正前の請求項1の「封止部材」について、「前記封止部材は、前記接着層と同じ樹脂に遮光材料が混合されていること」と補正することにより「封止部材」が「前記接着層と同じ樹脂」であるとの限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そうすると、補正事項イは、特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。
ウ 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項、第4項、及び、第5項に規定する要件を満たす。

そこで、本件補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)進歩性について
ア 引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-158873号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は、当審において付与した。以下、同じ。)
(ア)「【0107】
本実施の形態の場合にも第5の実施の形態と同様に固体撮像素子14の撮像領域15に対して搭載する透明部材11の相対的な位置ずれ量はレンジで40μm以下とすることができる。
(第7の実施の形態)
図10は、本発明の第7の実施の形態にかかる固体撮像装置2の構成を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA1-A1線に沿った断面図、(c)は支柱の側面図である。
【0108】
以下、図10を参照して本実施の形態の固体撮像装置2の構成を説明する。なお、図10(a)では、固体撮像装置2の構成をわかりやすくするために低屈折率材12、接着剤13および透明部材11の一部を除去した状態を示している。
【0109】
本実施の形態の固体撮像装置2は、固体撮像素子14の主面上に複数の画素を縦横に整列させた撮像領域15と、撮像領域15の外周部の周辺回路領域16と、周辺回路領域16の外周部の配線終端を配置する端子領域17と、撮像領域15上を覆って配置する透明部材11と、固体撮像素子14の裏面上に複数のランド21を配置してなる裏面電極領域と、各ランド21上に接合する導電性電極20とを備えている。
【0110】
なお、固体撮像素子14は裏面のランド21上を除いて両面を絶縁膜33で覆っている。撮像領域15では各画素上にマイクロレンズ22を形成しており、マイクロレンズ22上にはマイクロレンズ22より屈折率の小さい透明樹脂の低屈折率材12を形成している。さらに、撮像領域15上には、撮像領域15を覆う透明部材11が低屈折率材12の層の上に透明の接着剤13で接着してある。
【0111】
固体撮像素子14の主面上の端子領域17に配置した配線終端の各端子18は、裏面上のランド21に繋がる裏面配線19の終端と、固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続している。」
(イ)図10(a)

(ウ)図10(b)

(エ)図10(a)および(b)に示されているように、撮像領域15を覆う透明部材11は、固体撮像素子14よりも平面視寸法が大きいと認められる。
(オ)上記(ア)ないし(エ)から、引用例1には次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。
「固体撮像素子14の主面上に複数の画素を縦横に整列させた撮像領域15と、撮像領域15の外周部の周辺回路領域16と、周辺回路領域16の外周部の配線終端を配置する端子領域17と、
撮像領域15上を覆って配置する固体撮像素子14よりも平面視寸法が大きい透明部材11と、
固体撮像素子14の裏面上に複数のランド21を配置してなる裏面電極領域と、各ランド21上に接合する導電性電極20と、
撮像領域15では各画素上にマイクロレンズ22を形成しており、マイクロレンズ22上にはマイクロレンズ22より屈折率の小さい透明樹脂の低屈折率材12を形成し、撮像領域15上に、撮像領域15を覆う透明部材11が低屈折率材12の層の上に透明の接着剤13で接着し、
固体撮像素子14の主面上の端子領域17に配置した配線終端の各端子18は、裏面上のランド21に繋がる裏面配線19の終端と、固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続していることを特徴とする固体撮像装置2。」

イ 引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-166692号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的の達成を図るため、この発明の半導体装置の製造方法によれば、下記のような構成上の特徴を有する。
【0015】
すなわち、この発明の半導体装置の製造方法は、チップ搭載面を有する搭載基板を準備する工程と、互いに平行な複数の目標線をチップ搭載面に形成する工程と、目標線間の間隔よりも短い辺を有し、電極パッドが形成された第1の主表面と当該第1の主表面と対向する第2の主表面とを有する複数の半導体チップを準備する工程と、チップ搭載面上の目標線間に、第2の主表面が対面するよう複数の半導体チップをチップ搭載面上に搭載する工程であって、隣り合う2本の目標線の一方の目標線に沿って互いに離間させて搭載する工程と、チップ搭載面上に、複数の半導体チップを覆うように封止層を形成する工程と、電極パッドと電気的に接続されるとともに、封止層の表面領域のうち半導体チップ上方に位置する第1の領域上から半導体チップ間に位置する第2の領域上にわたって延在する配線パターンを形成する工程と、第2の領域上に位置する配線パターンの表面上に、外部端子を形成する工程と、第2の領域において封止層及び搭載基板を切断して半導体チップを個片化する工程とを含んでいる。」
(イ)引用例2に記載された「半導体装置」は、「チップ搭載面を有する搭載基板を準備」し、「互いに平行な複数の目標線をチップ搭載面に形成」し、「目標線間の間隔よりも短い辺を有し、電極パッドが形成された第1の主表面と当該第1の主表面と対向する第2の主表面とを有する複数の半導体チップ」を「チップ搭載面上の目標線間に、第2の主表面が対面するよう複数の半導体チップをチップ搭載面上に搭載」し、「チップ搭載面上に、複数の半導体チップを覆うように封止層を形成」し、「第2の領域において封止層及び搭載基板を切断して半導体チップを個片化」しているから、引用例2の「半導体装置」は、半導体チップの側面を覆い、搭載基板と同じ外周平面視寸法からなる封止層を有していると認められる。
(ウ)また、引用例2に記載された「封止層」は、「電極パッドが形成された第1の主表面」を有する「半導体チップ」の「電極パッドと電気的に接続されるとともに、封止層の表面領域のうち半導体チップ上方に位置する第1の領域上から半導体チップ間に位置する第2の領域上にわたって延在する配線パターンを形成」しているから、「封止層」は絶縁性を有していると認められる。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)から、引用例2には次の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「半導体装置において、半導体チップの側面を覆い、搭載基板と同じ外周平面視寸法からなる絶縁性を有する封止層を備えること。」

ウ 引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-100998号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0009】図1は、本発明の実施の形態による固体撮像装置を示す断面図であり、図2は、図1に示す固体撮像装置の平面図である。なお、図1は図2のA-A線断面図である。本例の固体撮像装置は、CCDチップをTAB技術を用いてチップサイズパッケージ化したものである。CCDチップ110は、上面中央にフォトセンサをマトリクス状に配置した方形状の受光部114を有し、その両側部に電極パッド111が配置されている。各電極パッド111の上部には、バンプ112が設けられており、このバンプ112にTABテープ120のインナリード部121が接続されている。なお、バンプ112は、予め電極パッド111側でなくTABテープ120のインナリード部121側に設けられていてもよい。また、受光部114の上面には、受光感度を向上するためのオンチップマイクロレンズ113が設けられている。なお、マイクロレンズ113は、屈折率が1.5から1.6の有機材料より形成されている。
【0010】また、このようなCCDチップ110の上面には、接着剤141を介して透明キャップ140が設けられている。この透明キャップ140は、CCDチップ110よりやや大きいサイズの方形状のガラス板より形成されている。また、接着剤141は、マイクロレンズ113と透明キャップ140との間に充填状態で設けられている。この接着剤141は、マイクロレンズ113よりも低屈折率である1.3から1.4の透明接着樹脂よりなる。このようにマイクロレンズ113よりも低屈折率の接着剤141により、受光部114の感度を低下させることなく、CCDチップ110と透明キャップ140とを充填状態で接合している。
【0011】また、CCDチップ110と透明キャップ140の外周部にはシール材130が設けられ、CCDチップ110と透明キャップ140の間を封止している。このシール材130は、耐湿性の高いエポキシ系樹脂よりなり、透明キャップ140の裏面からCCDチップ110の外周縁部にかけて充填状態で設けられている。なお、本例において、接着剤141およびシール材130は、UV硬化型、あるいは熱硬化型、あるいはUV熱併用硬化型のものが用いられており、硬化前はペースト状または半硬化状で、UV照射や熱加熱によって硬化を行うものとなっている。
【0012】次に、このような固体撮像装置のパッケージング工程について説明する。図3は、以上のような本例の固体撮像装置のパッケージング工程を示す断面図である。まず、図3(A)において、インナリードボンディングによってCCDチップ110の電極パッド111とTABテープ120のインナリード部121とをバンプ112を介して接続する。次に、図3(B)において、CCDチップ110のマイクロレンズ113の上面に接着剤141となる低屈折率透明接着樹脂141Aを塗布する。
【0013】次に、図3(C)において、加圧ピン150等を用いて低屈折率透明接着樹脂141Aを透明キャップ140側に圧接し、接着剤141として所定の充填状態に保持する。そして、この状態で、UV光源によるUV照射、または熱源による加熱、またはUV照射と加熱とを行い、接着剤141を硬化する。次に、図3(D)において、透明キャップ140の裏面からCCDチップ110および接着剤141の外周部にかけて、シール材130となる高耐湿性エポキシ系接着樹脂130Aを塗布し、これをUV光源によるUV照射、または熱源による加熱、またはUV照射と加熱とを行い、シール材130を硬化する。このようにして図3(E)に示すような強度や耐湿性に優れた小型チップサイズパッケージを完成する。」
(イ)図1

(ウ)図1に示されているように、引用例3の「シール材130」は、「CCDチップ110」の側面および「接着剤141」の側面を覆っており、また、「透明キャップ140」の外周と略同一であることがわかる。
(エ)また、引用例3の「シール材130」は、「高耐湿性エポキシ系接着樹脂」からなっているから、絶縁性材料からなっていると認められる。
(オ)上記(ア)ないし(エ)から、引用例3には次の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「固体撮像装置において、CCDチップ110の側面および接着剤141の側面を覆い、透明キャップ140の外周と略同一である、耐湿性の高い絶縁性材料からなるシール材130を設けること。」

エ 引用例4について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-35972号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0003】また、上述した特許第2800806号公報においては、切断分離された半導体チップとパッケージベースに対し樹脂モールドを施し、各半導体チップを封止して、半導体チップの耐湿性を向上させている。」
(イ)「【0036】一体化された半導体基板10及びパッケージ基板20に切溝40が形成されると、図1(e)及び図7に示されるように、各種印刷技術あるいはポッティング技術を用いて、切溝40に樹脂50を充填する。切溝40に充填される樹脂50は、受光部15が受光する波長の光を遮光する特性を有し、例えば、黒色に着色されたエポキシ樹脂からなる。切溝40に充填された樹脂50が硬化した後に、図1(f)に示されるように、パッケージ基板20の他方の面20bに形成された第2配線電極24に、外部基板(図示せず)との接続用に、Auあるいは半田等によるバンプ27を設ける。」
(ウ)「【0038】上述したようにして製造された半導体装置A1は、図1(g)及び図8に示されるように、半導体基板10から分割された平面視矩形の半導体チップ1と、パッケージ基板20から分割された平面視矩形のパッケージベース2とを有することになる。半導体チップ1の一方の面を1a、他方の面を1b、パッケージベース2の一方の面を2a、他方の面を2bとする。半導体チップ1の一方の面1a(パッケージベース2と対向する面)には受光部15が設けられており、この受光部15がパッケージベース2を透過した所定波長の光を受光することにより生成される信号は、受光部15からボンディングパッド11、バンプ13、第1配線電極21、スルーホール26内部の配線電極(図示せず)、第2配線電極24及びバンプ27を介して、外部基板の電極(図示せず)に送られる。半導体チップ1の他方の面1b(パッケージベース2に対向する面の裏面)にはポリイミド樹脂膜14からなる保護部3a、及び、半導体チップ1、アンダーフィル樹脂31及びパッケージベース2の一部の側面には充填された樹脂50からなる保護部3bが形成されており、保護部3a,3bにより、半導体チップ1の他方の面1b(パッケージベース2に対向する面の裏面)及び側面、アンダーフィル樹脂31の側面、及び、パッケージベース2の一部の側面が封止されている。半導体装置A1は一体化された半導体基板10及びパッケージ基板20が一体的に切断されて個々に分離されるために、保護部3bは、パッケージベース2と同一平面外側形状及び外側寸法を有している。半導体チップ1は、パッケージベース2と略相似形状で且つパッケージベース2より小さい平面寸法を有している。」
(エ)「【0041】また、半導体基板10をパッケージ基板20に搭載する際に、半導体基板10とパッケージ基板20との間に所定幅の間隙30を形成し、この間隙30にアンダーフィル樹脂31を充填するので、アンダーフィル樹脂31によりパッケージ基板20に形成された第1配線電極21と半導体基板10に形成されたバンプ13との接続部位、及び、バンプ13とボンディングパッド11との接続部位を確実に保護することができると共に、半導体基板10とパッケージ基板20とがアンダーフィル樹脂31により接着され、機械的強度を増大させることができる。」
(オ)図1

(カ)上記(エ)の記載から、引用例4の「アンダーフィル樹脂31」は、「半導体基板10」と「パッケージ基板20」とを接着する接着層を形成していることがわかる。
(キ)上記(ウ)の記載から、「半導体チップ1」及び「アンダーフィル樹脂31」の側面は「保護部3b」により封止され、また、「樹脂50からなる保護部3b」は、「パッケージベース2」と同一平面外側形状及び外側寸法を有していることがわかる。
(ク)上記(ア),(エ)ないし(キ)から、引用例4には、次の事項(以下、「引用例4記載事項1」という。)が記載されていると認められる。
「耐湿性の向上を目的として半導体装置A1の、半導体チップ1の側面および接着層を形成するアンダーフィル樹脂31の側面は、樹脂50からなる保護部3bにより封止され、保護部3bはパッケージベース2と同一平面外側形状及び外側寸法を有していること。」
(ケ)また、上記(ア),(イ)から、引用例4には、次の事項(以下、「引用例4記載事項2」という。)が記載されていると認められる。
「半導体装置A1の保護部3bを形成する樹脂50は、受光部15が受光する波長の光を遮光する特性を有するために、黒色に着色されたエポキシ樹脂からなること。」

オ 引用例5について
本願の優先権主張日前に公開された特開2010-263199号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を、図11(A)?(E)に基づいて説明する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法の特徴は、上記第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における複数の半導体チップ20を樹脂封止する上記工程(5)の前に、複数の半導体チップ20とインターポーザ10の基材12とを接着するための接着剤層50を形成する工程を備えている点にある。その他の工程は、上記第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同じである。
【0058】
図11(A)は、複数の半導体チップ20とインターポーザ10との間に両者を接着するための接着剤層50が形成された状態を示している。接着剤層50の形成方法には限定はないが、例えば、この接着剤層50は、NCF(Non Conductive Film)などの接着フィルムをインターポーザ10の半導体チップ20を接合する側の面に貼り付けて形成することができる。NCFに代えてNCP(Non Conductive Paste)を塗布してもよい。このようにインターポーザ10上に接着剤層50を形成した後、各半導体チップ20のAuスタッドバンプ21とインターポーザ10の基材12上のはんだバンプ16をフリップチップ接続する。
或いは、接着剤層50は、フリップチップ接続した後に、半導体チップ20とインターポーザ10との間に、アンダーフィル剤やNCP(Non Conductive Paste)などを、その毛管現象を利用して形成してもよい。
【0059】
接着剤層50は、インターポーザ10の配線パターン13の上面、および配線パターン13の銅等が除去されて基材12が露出した部分に配置される。また、接着剤層50の表面は、配線パターン13の表面と略平行となるようにする。接着剤層50に使用する合成樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の合成ゴムなどがあげられ、特に好ましいものとしては、ポリウレタン系樹脂(例えば、東洋紡社製:バイロンUR(商品名)、日本ポリウレタン社製:ニッポラン(商品名))があげられる。これらの合成樹脂は、2種以上混合して用いてもよい。
【0060】
図11(B)は、インターポーザ10にフリップチップ接続された複数の半導体チップ20上にフィルム状の封止樹脂22を搭載する工程を示している。この工程は、上記工程(4)と同じである。
フィルム状の封止樹脂22は、接着剤層50と同じ材料であるのが好ましい。
上記工程(5)において、フィルム状の封止樹脂22を、半導体チップ20間の隙間26に入り込まずフィルム状態が維持できる程度に加熱して軟化した状態にして、かつ、雰囲気を減圧状態にして、半導体チップ20間の隙間26に封止樹脂22が流れ込む圧力でプレスすると、上述したように封止樹脂22を半導体チップ20間の隙間26に完全に埋め込むことができ、封止樹脂22が図11(C)に示すように接着剤層50に達する。尚、図11(C)は、封止樹脂22と接着剤層50とが同じ材料である場合を示し、封止樹脂22と接着剤層50との界面の密着力が増して、界面が無くなってしまった状態を示している。
【0061】
図11(D)は、図7(A)と同様に、インターポーザ10を封止樹脂22及び接着剤層50と共にチップ単位でダイシングブレード27により切断する工程を示している。図11(E)は、半導体チップ20、インターポーザ10、封止樹脂22、及び接着剤層50がチップ単位で切断されて個片化された状態を示している。この後、図12に示すように、チップ単位に個片化されたインターポーザ10の各配線パターン14に、はんだボール28を形成する。これにより、図12に示すように、半導体チップ20とインターポーザ10の基材12とが接着剤層50で接着されると共に、半導体チップ20の周囲全体が封止樹脂22と接着剤層50で樹脂封止された半導体パッケージ40Aが完成する。尚、インターポーザ10、封止樹脂22及び接着剤層50の各側面は、同一平面で形成されている。
【0062】
第2実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
半導体チップ20とインターポーザ10の基材12との接合強度が高く、かつ、半導体チップ20の周囲全体が封止樹脂22と接着剤層50で樹脂封止されるので、信頼性の高い半導体パッケージ40Aを製造することができる。
【0063】
また、フィルム状の封止樹脂22に接着剤層50と同じ材料を用いることで、封止樹脂22と接着剤層50との間に、物性が異なることによる応力や歪みが生じないため、機械的強度の弱い部分がなくなり、熱サイクルによって亀裂が発生するのを抑制することができる。」
(イ)上記(ア)から、引用例5には、次の事項(以下、「引用例5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「機械的強度を強め、熱サイクルによって亀裂が発生するのを抑制するために、半導体チップ20とインターポーザ10とを接着するための接着剤層50と封止樹脂22を同じ材料とすること。」

カ 対比・判断
(ア)本件補正発明と引用例1発明とを対比する。
a 引用例1発明の「撮像領域15」,「主面」,「導電性電極20」,「裏面」,「固体撮像素子14」,「固体撮像素子14よりも平面視寸法が大きい透明部材11」および「固体撮像装置2」は、それぞれ、本件補正発明の「受光部」,「第1の主面」,「外部接続端子」,「第2の主面」,「撮像チップ」,「前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部」および「撮像装置」に相当する。
b 引用例1発明の「配線終端の各端子18」は、「撮像領域15の外周部の周辺回路領域16」「の外周部の配線終端を配置する端子領域17」に配置されているから、「撮像領域15」の外周部に配置されていると言え、また、「主面」にあると言える。そうすると、引用例1発明の「配線終端の各端子18」は、本件補正発明の「第1の主面」に形成されている、「前記受光部の周囲に形成された電極パッド」に相当する。
c 引用例1発明は、「主面上の端子領域17に配置した配線終端の各端子18」を「裏面上のランド21に繋がる裏面配線19の終端と、固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続して」おり、また、「導電性電極20」は「各ランド21上に接合」しているから、「配線終端の各端子18」と「導電性電極20」は、「固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続して」いると言える。そうすると、引用例1発明の「貫通導体23」は、本件補正発明の「前記電極パッド」と「外部接続端子」を接続する「貫通配線」に相当する。
d 引用例1発明の「接着剤13」は、「透明」であり、「撮像領域15上に、」「透明部材1」を「接着」しているから、引用例1発明の「接着剤13」と、本件補正発明の「前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な樹脂からなる接着層」とは、「前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な」「接着層」である点で共通する。
e そうすると、引用例1発明と本件補正発明は、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「受光部および前記受光部の周囲に形成された電極パッドを第1の主面に有し、前記電極パッドと貫通配線を介して接続された外部接続端子を第2の主面に有する撮像チップと、
前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部と、
前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な接着層と、
を具備することを特徴とする撮像装置。」
[相違点1]
本件補正発明の「接着層」は、「透明」であり、「樹脂からなる」のに対して、引用例1発明の「接着剤13」は「透明」であるものの、「樹脂からなる」のか不明である点。
[相違点2]
本件補正発明は、「前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材」を具備しているのに対して、引用例1発明はそうでない点。
[相違点3]
本件補正発明は、「前記封止部材は、前記接着層と同じ樹脂に遮光材料が混合されている」のに対して、引用例1発明はそうでない点。
(イ)以下、上記相違点について検討する。
a [相違点1]ないし[相違点3]について
引用例2記載事項、引用例3記載事項、引用例4記載事項1にあるように、耐湿性の向上等を目的として、チップの側面および接着層の側面を覆い、支持基板部と同じもしくは略同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材を具備することは、周知の技術である。
引用例1発明においても、耐湿性の向上等を考慮することは、当然行うことであるから、引用例1発明において、「前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材」を具備するようにすることは、当業者が容易に想到することである。
また、その際、引用例4記載事項2にあるように、封止部材を透過する光を遮光するために、封止部材を黒色に着色されたエポキシ樹脂等の、遮光部材が混合された樹脂により構成することも、当業者が適宜為し得る事項である。
加えて、引用例5記載事項にあるように、「機械的強度を強め、熱サイクルによって亀裂が発生するのを抑制するために、半導体チップ20とインターポーザ10とを接着するための接着剤層50と封止樹脂22を同じ材料とすること。」は公知の技術であるから、引用例1発明に、「前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材」を具備した際に、機械的強度を強め、熱サイクルによって亀裂が発生するのを抑制することを考慮し、「封止部材」と「接着層」を同じ樹脂とすることも、当業者が容易に為し得る事項である。

進歩性についての結論
そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用例1発明及び引用例2ないし5に記載された事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本件補正発明は、引用例1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
「2 補正の適否について」で検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 補正却下の決定を踏まえた検討
1 本願発明
平成29年2月6日付の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成27年8月7日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至13に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に記載した発明(以下、「本願発明」とう。)は、上記第2の1(1)の「本件補正前の請求項1」の箇所に記載したとおりのものであり、再掲すると次のとおりである。
「受光部および前記受光部の周囲に形成された電極パッドを第1の主面に有し、前記電極パッドと貫通配線を介して接続された外部接続端子を第2の主面に有する撮像チップと、
前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部と、
前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な接着層と、
前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材と、を具備し、
前記封止部材は、遮光材料が混合されていることを特徴とする撮像装置。」
2 引用例と引用例発明および公知技術
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1ないし4には、上記第2の2(2)のアないしエで検討したとおりの発明および事項が記載されている。
3 対比・判断
(1)本願発明と引用例1発明とを対比する。
ア 引用例1発明の「撮像領域15」,「主面」,「導電性電極20」,「裏面」,「固体撮像素子14」,「固体撮像素子14よりも平面視寸法が大きい透明部材11」および「固体撮像装置2」は、それぞれ、本願発明の「受光部」,「第1の主面」,「外部接続端子」,「第2の主面」,「撮像チップ」,「前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部」および「撮像装置」に相当する。
イ 引用例1発明の「配線終端の各端子18」は、「撮像領域15の外周部の周辺回路領域16」「の外周部の配線終端を配置する端子領域17」に配置されているから、「撮像領域15」の外周部に配置されていると言え、また、「主面」にあると言える。そうすると、引用例1発明の「配線終端の各端子18」は、本願発明の「第1の主面」に形成されている、「前記受光部の周囲に形成された電極パッド」に相当する。
ウ 引用例1発明は、「主面上の端子領域17に配置した配線終端の各端子18」を「裏面上のランド21に繋がる裏面配線19の終端と、固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続して」おり、また、「導電性電極20」は「各ランド21上に接合」しているから、「配線終端の各端子18」と「導電性電極20」は、「固体撮像素子14を貫通して導体を充填してなる貫通導体23を介して接続して」いると言える。そうすると、引用例1発明の「貫通導体23」は、本願発明の「前記電極パッド」と「外部接続端子」を接続する「貫通配線」に相当する。
エ 引用例1発明の「接着剤13」は、「透明」であり、「撮像領域15上に、」「透明部材1」を「接着」しているから、引用例1発明の「接着剤13」は、本願発明の「前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な接着層」に相当する。
オ そうすると、引用例1発明と本願発明は、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「受光部および前記受光部の周囲に形成された電極パッドを第1の主面に有し、前記電極パッドと貫通配線を介して接続された外部接続端子を第2の主面に有する撮像チップと、
前記撮像チップよりも平面視寸法が大きい透明な支持基板部と、
前記撮像チップの前記第1の主面と前記支持基板部とを接着する透明な接着層と、
を具備することを特徴とする撮像装置。」
[相違点4]
本願発明は、「前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材」を具備しているのに対して、引用例1発明はそうでない点。
[相違点5]
本願発明は、「前記封止部材は、遮光材料が混合されている」のに対して、引用例1発明はそうでない点。
(2)以下、上記相違点について検討する。
ア [相違点4]および[相違点5]について
引用例2記載事項、引用例3記載事項、引用例4記載事項1にあるように、耐湿性の向上等を目的として、チップの側面および接着層の側面を覆い、支持基板部と同じもしくは略同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材を具備することは、周知の技術である。
引用例1発明においても、耐湿性の向上等を考慮することは、当然行うことであるから、引用例1発明において、「前記撮像チップの側面および前記接着層の側面を覆う、前記支持基板部と同じ外周平面視寸法の絶縁材料からなる封止部材」を具備するようにすることは、当業者が容易に想到することである。
また、その際、引用例4記載事項2にあるように、封止部材を透過する光を遮光するために、封止部材を黒色に着色されたエポキシ樹脂等の、遮光部材が混合された樹脂により構成することも、当業者が適宜為し得る事項である。
(3)そうすると、本願発明は、引用例1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 結語
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用例1ないし4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-01-31 
結審通知日 2018-02-06 
審決日 2018-02-19 
出願番号 特願2014-518323(P2014-518323)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 聖和田邊 顕人小山 満  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 須藤 竜也
小田 浩
発明の名称 撮像装置、半導体装置および撮像ユニット  
代理人 長谷川 靖  
代理人 伊藤 進  
代理人 篠浦 治  
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