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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 A61B |
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管理番号 | 1339173 |
異議申立番号 | 異議2016-701213 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-12-28 |
確定日 | 2018-03-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5947245号発明「運動情報の収集および表示の方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5947245号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔6-7〕,〔8,11〕,〔9-10〕,〔12-20〕について訂正することを認める。 特許第5947245号の請求項1乃至5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5947245号の請求項1乃至20に係る特許についての出願は,平成20年2月14日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2007年2月14日 米国, 2007年3月30日 米国, 2007年5月22日 米国)を出願日とする出願である特願2009-549720号の一部を,平成25年5月9日に特願2013-99502号として出願され,平成28年6月10日にその特許権の設定登録がされたものであって,これ以降の続の経緯は以下のとおりである。 平成28年12月28日 特許異議の申立て(申立人 田野岡洋介) 平成29年 2月16日 審尋 平成29年 5月19日 回答書 平成29年 6月 2日 取消理由通知 平成29年 8月 3日 意見書及び訂正請求 平成29年10月30日 取消理由通知(決定の予告) 平成30年 2月 5日 意見書及び訂正請求 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び訂正の内容 平成30年2月5日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は,本件特許5947245号(以下「本件特許」という。)の願書に添付した特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものである。 そして,その訂正内容は,以下のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項6を以下のとおりに訂正する。 「【請求項6】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって,前記データ特徴が,関連する運動データセットの一種類のデータの最小値である,前記段階 をさらに含む,前記装置。」 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8を以下のとおりに訂正する。 「【請求項8】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって,前記データ特徴が,関連する運動データセットの一種類のデータの値の平均値または中央値である,前記段階 をさらに含む,前記装置。」 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9を以下のとおりに訂正する。 「【請求項9】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階;および アイコンに関連する運動データセットを受け取った時間に対応する第2の特性値を有する,各アイコンを表示する段階 をさらに含む,装置。」 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項12を以下のとおりに訂正する。 「【請求項12】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 前記複数の運動データセットを2つまたはそれ以上の群に分割する段階; 前記各群に関して,群の各運動データセットの少なくとも1つのデータ特徴を集約する段階;および 前記各群に関して,集約した少なくとも1つのデータ特徴を表示することにより,前記各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階 をさらに含む,前記装置。」 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1乃至5を削除する。 2 当審の判断 (1) 訂正事項1について 訂正事項1について,請求人は,訂正前の請求項6が,請求項2を介して請求項1を引用するという他の請求項の記載を引用する,いわゆる引用形式の請求項であったものを,当該他の請求項の記載を引用しない独立形式の請求項にするもの,つまり特許法第120条の5第2項ただし書第4号のみを目的とするものであると主張しているところ,前記ただし書第4号に当てはまらない訂正箇所が散見されるため,当審において,以下のとおり訂正前の請求項6が単純に請求項2を介して請求項1を引用したものを,他の請求項の記載を引用しない独立形式の請求項とした訂正前の請求項6(以下,「当審の請求項6」という。)として認定した上で検討することとする。 訂正事項1全体をみた場合,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定される,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を,当該他の請求項の記載を引用しないものとしていることは明らかである。 「【当審の請求項6】 下記段階(a)?(f)を含む運動データを表示する方法に使用するための装置: (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関する,前記段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)同定したユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)表示して比較するためのデータ特徴の選択を受け取る段階;ならびに (f)前記同定したユーザーに関連する各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記各運動データセットの少なくとも一部が,前記選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階であって, 前記方法が,関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階をさらに含み, 前記データ特徴が,関連する運動データセットの一種類のデータの最小値である装置。」 また,訂正事項1には,複数の訂正箇所が認められるため,以下のとおり訂正箇所(以下,「訂正箇所ア」,「訂正箇所イ」などという。)毎に分けて検討することとする。 訂正箇所ア 当審の請求項6の段階(a)の記載の前にある「下記段階(a)?(f)を含む運動データを表示する方法に使用するための装置」を「下記段階(a)?(f)」と訂正する。 訂正箇所イ 当審の請求項6の段階(a)において「複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関する,前記段階」を「複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階」と訂正をする。 訂正箇所ウ 当審の請求項6の段階(d)において「同定したユーザーに関連する複数の運動データセット」を「前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセット」と訂正する。 訂正箇所エ 当審の請求項6の段階(e)において「表示して比較するためのデータ特徴の選択を受け取る段階」を「前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階」と訂正する。 訂正箇所オ 当審の請求項6の段階(f)において「前記同定したユーザーに関連する各運動データセット」を「前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセット」と訂正する。 訂正箇所カ 当審の請求項6の段階(f)において「前記各運動データセットの少なくとも一部が」を「前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し」と訂正する。 訂正箇所キ 当審の請求項6の段階(f)において「前記選択されたデータ特徴」を「かつ前記(e)で選択されたデータ特徴」と訂正する。 訂正箇所ク 当審の請求項6の段階(f)の記載の次に「を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって」を追加する訂正をする。 訂正箇所ア及びクについて 訂正箇所アと訂正箇所クは,関連しているので,併せて検討する。 当審の請求項6の段階(a)の記載の前にある「下記段階(a)?(f)を含む運動データを表示する方法に使用するための装置」は,訂正前の請求項6が請求項2を介して引用していた請求項1に記載されていた発明特定事項であって,訂正前の請求項2に記載された「段階」は,該「下記段階(a)?(f)」には含まれないものである。 しかしながら,訂正前の請求項6を他の請求項の記載を引用しない独立形式の請求項にするにあたり「下記段階(a)?(f)を含む運動データを表示する方法に使用するための装置」を,当審の請求項6のように段階(a)の記載の前に記載すると,訂正前の請求項2に記載された「段階」が,訂正前の「段階(a)?(f)」に含まれることになって不明瞭な記載となるところ,訂正後の請求項6のように当審の請求項6の段階(f)の記載の次におくことで,明瞭な記載とするものである。 したがって,訂正箇所ア及びクは,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,訂正箇所ア及びクの実質的な内容は,請求項内で発明特定事項の順序を入れ替えただけの明瞭でない記載の釈明であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所イについて 訂正箇所イの実質的な内容は,当審の請求項6の段階(a)における,複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に対して,「異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む」ことを限定したものである。 したがって,訂正箇所イは,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,訂正箇所イによって限定された事項は,訂正前の請求項1の段階(d)において「運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む」と記載されているとおりであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所ウについて 訂正箇所ウの実質的な内容は,当審の請求項6の段階(d)における,「同定したユーザー」を「前記身元が確認されたユーザー」とするものである。 ここで,「同定」に関して,「同一であることを見きわめること」という一般的な語句の意味で解釈すると,「同定したユーザー」がどのようなユーザーであるのか,つまり何と同一のユーザーであるのかが不明瞭な記載である。 そして,平成29年2月3日付け(審尋)回答書において,「(同定とは)身元が確定されたことを意味する用語」である旨の釈明がなされ(第8頁第1?2行),「同定したユーザー」が修飾する「複数の運動データセット」は,訂正前の請求項1の段階(a)において「複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関する」と記載されているとおりである。 したがって,訂正箇所ウは,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,訂正箇所ウによって訂正された事項は,上述したとおり,訂正前の請求項1の段階(a)において記載されている事項であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所エについて(下線は,当審で付した。以下も同じ。) 訂正箇所エの実質的な内容は,当審の請求項6の段階(e)における,「表示して比較するためのデータ特徴の選択を受け取る段階」に「前記身元が確認されたユーザーによる」と「運動データ表示モジュールを通じて」を限定するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 さらに,「表示して比較するためのデータ特徴の選択」の主体が何であるか,つまり誰が選択をしているかについて当審の請求項6の段階(e)において,不明瞭であるため検討する。 訂正前の請求項1の段階(c)における「運動情報を概観したいというユーザー」は,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0053】の「運動データ表示モジュール509を通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取ることに応答して,運動データ表示構成モジュール605はユーザーの身元を確定する。」との記載のとおりであって,運動情報を概観したいという要求をしたユーザーは,身元が確定されることになる。 また,「(運動情報の)概観」とは,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0054】の「図8Aは,本発明の各種実施に従ってユーザーに提供可能な最初のユーザーインターフェースの例を示す。この図でわかるように,ユーザーインターフェース801は複数のアイコン803を含む。各アイコン803は,特定の期間にわたってユーザーが行う運動活動に対応する運動データ値を表す。より詳しくは,各アイコン803は,ユーザーが行う運動活動に対応する距離値を表す。図8に示すように,各アイコン803に関連する暦日付フィールド805が,各アイコン803の底部に,対応する運動活動を行った日付を知らせるために示される。」,【図8A】の複数の日付に対応した棒グラフ状のアイコン803に記載されているとおり,特定の期間にわたってユーザーが行う運動活動に対応する複数の運動データ値をグラフ化して表示することであって,段階(e)における「表示して比較する」に対応することは自明である。 また,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0055】の「図8Aに示すように,ユーザーは,「Distance」ボタン809および「Run」ボタン813を作動させた。これに応答して,ディスプレイ801は,ユーザーに対応するサーバが収集した運動データの一番最近の例えば12セットのそれぞれについてアイコン803を最初に示す。」,同段落【0056】の「続いてユーザーが「Time」ボタン811を選択する場合,運動データ表示構成モジュール605は,ユーザーインターフェース801を新しいアイコン827を表示するように再構成し,それにより,各アイコン827は,データセットのそれぞれについて全時間値を表す。」と記載されるように,ユーザーが「表示して比較するためのデータ特徴の選択」していることも自明である。 以上を踏まえると,「表示して比較するためのデータ特徴の選択」の主体は,「前記身元が確認されたユーザー」であることは明らかである。 次に,データ特徴の選択がどのように受け取られるかについても当審の請求項6の段階(e)では不明瞭であるため検討する。 本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0053】に「運動データ表示モジュール509を通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る」と記載されているとおり,データ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取ることが記載されている。 したがって,訂正箇所エは,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもある。 そして,訂正箇所エによって限定された事項は,上述したとおり,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0053】?【0056】及び【図8A】などに記載されているとおりであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所オについて 訂正箇所ウで検討したように「同定したユーザー」は,不明瞭な記載であるから,当審の請求項6の段階(f)における「同定したユーザー」も,同様に「身元が確認されたユーザー」に訂正されるべきものである。 したがって,訂正箇所オは,訂正箇所ウの訂正に伴い特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 次に「運動データセット」について検討する。 当審の請求項6の段階(f)における「各運動データセット」は,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0056】に「例えば,図8Bに示すように,各アイコン827の高さは,表される各データセットの全時間値に対応する。例えば,10月22日のユーザーの走行時間が54分2秒であったのに対して,12月23日のユーザーの1回目の走行時間が18分11秒しかなかった場合,10月22日の運動データセットに対応するアイコン827Aは,12月23日のユーザーの走行について収集した運動データセットを表すアイコン827Bよりも比例的に高い。」に記載されるとおり,少なくとも一部が同時に表示されるためのデータセットである。 そして,少なくとも一部が同時に表示される「運動データセット」とは,段階(c)の「運動情報を概観したいというユーザーからの要求」によるものであって,段階(d)の 「異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む」ものであって,「身元が確認されたユーザーに関連する」ものであることは自明である。 したがって,「運動データセット」に対して,実質的に段階(d)に記載された発明特定事項を限定しているといえるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 そして,訂正箇所オによって訂正された事項は,上述したとおり,訂正前の請求項1の段階(a)において記載されている事項であり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所カについて 訂正箇所オによる訂正によって,段階(f)の「運動データセット」は,「段階(d)で受け取られた複数の運動データセット」であることが限定された。 そして,訂正後の請求項6の段階(d)には「運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し」とも記載されているから,訂正箇所カは,訂正箇所オの訂正に伴い,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,訂正箇所カによって訂正された事項は,上述したとおり,訂正前の請求項1の段階(d)において記載されている事項であり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 訂正箇所キについて 当審の請求項6の段階(f)における「前記選択されたデータ特徴」とは,訂正箇所エで検討したように,「運動情報を概観したいというユーザー」であって,「身元が確認されたユーザー」によって選択されたものであることは自明である。 したがって,訂正箇所キは「選択されたデータ特徴」に対して,実質的に段階(e)に記載された発明特定事項を限定しているといえるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 そして,訂正箇所キによって訂正された事項は,上述したとおり,訂正前の請求項1の段階(e)において記載されている事項であり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 また,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項2乃至4について 訂正事項2は,請求人は訂正前の請求項8が,請求項2を介して請求項1を引用するという他の請求項の記載を引用する,いわゆる引用形式の請求項であったものを,当該他の請求項の記載を引用しない独立形式の請求項にするもの,つまり特許法第120条の5第2項ただし書第4号のみを目的とするものであると主張しているところ,前記ただし書第4号に当てはまらない訂正箇所が散見されるため,訂正事項1で検討したように当審において,訂正前の請求項8が単純に請求項2を介して請求項1を引用したものを,訂正前の請求項8(以下,「当審の請求項8」という。)として認定した上で検討すること,訂正後の請求項8は,訂正後の請求項6と,冒頭の「下記段階(a)?(f):」?「運動データを表示する方法に使用するための装置であって」までは,同じ文言であるから,訂正事項1で検討したとおり,訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は3号及び4号を目的とするものであり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項3は,請求人は訂正前の請求項9が,請求項2を介して請求項1を引用するものであって,訂正事項1で検討したように当審において,訂正前の請求項9が単純に請求項2を介して請求項1を引用したものを,訂正前の請求項9(以下,「当審の請求項9」という。)として認定した上で検討すること,訂正後の請求項9は,訂正後の請求項6と,冒頭の「下記段階(a)?(f):」?「運動データを表示する方法に使用するための装置であって」までは,同じ文言であるから,訂正事項1で検討したとおり,訂正事項3は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は3号及び4号を目的とするものであり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項4は,請求人は訂正前の請求項12が,請求項1を引用するものであって,訂正事項1で検討したように当審において,訂正前の請求項12が単純に請求項1を引用したものを,訂正前の請求項12(以下,「当審の請求項12」という。)として認定した上で検討すること,訂正後の請求項12は,訂正後の請求項6と,冒頭の「下記段階(a)?(f):」?「運動データを表示する方法に使用するための装置であって」までは,同じ文言であるから,訂正事項1で検討したとおり,訂正事項4は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は3号及び4号を目的とするものであり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3) 訂正事項5について 訂正事項5は,訂正前の請求項1乃至5を削除するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 そして,請求項の削除であるから,当然に特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4) 訂正事項1乃至4について 訂正後の請求項6,8,9及び12に記載された事項により特定される発明は,特許異議申立がなされていない訂正前の請求項6,8,9及び12に係る訂正であり,いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とする訂正箇所を含むものであるから,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の規定について検討する。 訂正後の請求項6,8,9及び12に記載された事項により特定される発明において,特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとの理由は発見し得ない。 よって,訂正後の請求項6,8,9及び12に記載された事項により特定される発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができる発明である。 3 一群の請求項等について 訂正前の請求項1乃至20について,請求項6乃至20は,それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって,訂正事項5によって記載が訂正される請求項1及び2に連動して訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項1乃至20に対応する訂正後の請求項1乃至20は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 4 小括 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第第1号又は3号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項1乃至5,請求項6,8,9及び12について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項6乃至20係る発明(以下,「本件特許発明6」,「本件特許発明7」などという。)は,その特許請求の範囲の請求項6乃至20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項6】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって,前記データ特徴が,関連する運動データセットの一種類のデータの最小値である,前記段階 をさらに含む,前記装置。 【請求項7】 データの種類が,速度データ,時間データ,距離データ,およびカロリーデータからなる群より選択される,請求項6記載の装置。 【請求項8】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって,前記データ特徴が,関連する運動データセットの一種類のデータの値の平均値または中央値である,前記段階 をさらに含む,前記装置。 【請求項9】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 関連するアイコンが,関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように,各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより,各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階;および アイコンに関連する運動データセットを受け取った時間に対応する第2の特性値を有する,各アイコンを表示する段階 をさらに含む,装置。 【請求項10】 前記特性が色であり,かつ 前記アイコンが特定の時間に受け取った運動データセットに関連している場合に,該アイコンが第1の色で表示され,かつ 前記アイコンが特定の時間の前に受け取った運動データセットに関連している場合に,該アイコンが第1の色とは異なる第2の色で表示される, 請求項9記載の装置。 【請求項11】 データの種類が,速度データ,時間データ,距離データ,およびカロリーデータからなる群より選択される,請求項8記載の装置。 【請求項12】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって,前記複数の運動データセットのそれぞれが,関連するユーザーの身元に関し,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して,前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを,運動データストレージから受け取る段階であって,前記運動データセットのそれぞれが,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む,段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる,表示して比較するためのデータ特徴の選択を,運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を,運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって,前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が,異なる期間にわたって行う運動活動に対応し,かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む,段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって, 前記方法が, 前記複数の運動データセットを2つまたはそれ以上の群に分割する段階; 前記各群に関して,群の各運動データセットの少なくとも1つのデータ特徴を集約する段階;および 前記各群に関して,集約した少なくとも1つのデータ特徴を表示することにより,前記各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階 をさらに含む,前記装置。 【請求項13】 前記少なくとも1つのデータ特徴が,一種類のデータの最大値である,請求項12記載の装置。 【請求項14】 データの種類が,速度データ,時間データ,距離データ,およびカロリーデータからなる群より選択される,請求項13記載の装置。 【請求項15】 前記データ特徴が,一種類のデータの最小値である,請求項12記載の装置。 【請求項16】 データの種類が,速度データ,時間データ,距離データ,およびカロリーデータからなる群より選択される,請求項15記載の装置。 【請求項17】 前記データ特徴が,一種類のデータの値の平均値または中間値である,請求項12記載の装置。 【請求項18】 データの種類が,速度データ,時間データ,距離データ,およびカロリーデータからなる群より選択される,請求項17記載の装置。 【請求項19】 前記方法が,運動データセットに対応する運動活動を行った期間に関する暦分類に基づいて,前記複数の運動データセットのそれぞれを,2つまたはそれ以上の群のうちの1つに分割する段階をさらに含む,請求項12記載の装置。 【請求項20】 前記暦分類が,日,週,隔週,月,四半期,および年からなる群より選択される,請求項19記載の装置。 2 判断 請求項1乃至5に係る特許は,平成30年2月5日付け訂正請求によって削除され,申立てがされた請求項の全てが削除されたため,特許異議の申立ての対象が存在しない。 第4.むすび 請求項1乃至5に係る特許は,訂正により削除されたため,本件特許の請求項1乃至5に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在せず,特許異議の申立ては,不法な申立てであって,特許法第120条の8が準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって、前記複数の運動データセットのそれぞれが、関連するユーザーの身元に関し、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して、前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを、運動データストレージから受け取る段階であって、前記運動データセットのそれぞれが、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる、表示して比較するためのデータ特徴の選択を、運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を、運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって、前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む、段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって、 前記方法が、 関連するアイコンが、関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように、各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより、各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって、前記データ特徴が、関連する運動データセットの一種類のデータの最小値である前記段階 をさらに含む、前記装置。 【請求項7】 データの種類が、速度データ、時間データ、距離データ、およびカロリーデータからなる群より選択される、請求項6記載の装置。 【請求項8】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって、前記複数の運動データセットのそれぞれが、関連するユーザーの身元に関し、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して、前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを、運動データストレージから受け取る段階であって、前記運動データセットのそれぞれが、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる、表示して比較するためのデータ特徴の選択を、運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を、運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって、前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む、段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって、 前記方法が、 関連するアイコンが、関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように、各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより、各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階であって、前記データ特徴が、関連する運動データセットの一種類のデータの値の平均値または中央値である、前記段階 をさらに含む、前記装置。 【請求項9】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって、前記複数の運動データセットのそれぞれが、関連するユーザーの身元に関し、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して、前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを、運動データストレージから受け取る段階であって、前記運動データセットのそれぞれが、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる、表示して比較するためのデータ特徴の選択を、運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を、運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって、前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む、段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって、 前記方法が、 関連するアイコンが、関連する運動データセットのデータ特徴に対応する特性値を有するように、各運動データセットについて前記関連するアイコンを表示することにより、各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階;および アイコンに関連する運動データセットを受け取った時間に対応する第2の特性値を有する、各アイコンを表示する段階 をさらに含む、前記装置。 【請求項10】 前記特性が色であり、かつ 前記アイコンが特定の時間に受け取った運動データセットに関連している場合に、該アイコンが第1の色で表示され、かつ 前記アイコンが特定の時間の前に受け取った運動データセットに関連している場合に、該アイコンが第1の色とは異なる第2の色で表示される、 請求項9記載の装置。 【請求項11】 データの種類が、速度データ、時間データ、距離データ、およびカロリーデータからなる群より選択される、請求項8記載の装置。 【請求項12】 下記段階(a)?(f): (a)複数の異なるユーザーから複数の運動データセットを受け取る段階であって、前記複数の運動データセットのそれぞれが、関連するユーザーの身元に関し、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (b)運動データ表示モジュールを通じて運動情報を概観したいというユーザーからの要求を受け取る段階; (c)運動情報を概観したいというユーザーからの前記要求を受け取ることに応答して、前記運動データ表示構成モジュールにより前記ユーザーの身元を確定する段階; (d)前記身元が確認されたユーザーに関連する複数の運動データセットを、運動データストレージから受け取る段階であって、前記運動データセットのそれぞれが、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記運動活動に関連する複数のデータ特徴についての運動データ値を含む、段階; (e)前記身元が確認されたユーザーによる、表示して比較するためのデータ特徴の選択を、運動データ表示モジュールを通じて受け取る段階;ならびに (f)前記(d)で受け取られた複数の運動データセットにおける各運動データセットの少なくとも一部を、運動データ表示モジュールにより同時に表示する段階であって、前記同時に表示される各運動データセットの少なくとも一部が、異なる期間にわたって行う運動活動に対応し、かつ前記(e)で選択されたデータ特徴についての運動データ値を含む、段階 を含む運動データを表示する方法に使用するための装置であって、 前記方法が、 前記複数の運動データセットを2つまたはそれ以上の群に分割する段階; 前記各群に関して、群の各運動データセットの少なくとも1つのデータ特徴を集約する段階;および 前記各群に関して、集約した少なくとも1つのデータ特徴を表示することにより、前記各運動データセットの少なくとも一部を同時に表示する段階 をさらに含む、前記装置。 【請求項13】 前記少なくとも1つのデータ特徴が、一種類のデータの最大値である、請求項12記載の装置。 【請求項14】 データの種類が、速度データ、時間データ、距離データ、およびカロリーデータからなる群より選択される、請求項13記載の装置。 【請求項15】 前記データ特徴が、一種類のデータの最小値である、請求項12記載の装置。 【請求項16】 データの種類が、速度データ、時間データ、距離データ、およびカロリーデータからなる群より選択される、請求項15記載の装置。 【請求項17】 前記データ特徴が、一種類のデータの値の平均値または中間値である、請求項12記載の装置。 【請求項18】 データの種類が、速度データ、時間データ、距離データ、およびカロリーデータからなる群より選択される、請求項17記載の装置。 【請求項19】 前記方法が、運動データセットに対応する運動活動を行った期間に関する暦分類に基づいて、前記複数の運動データセットのそれぞれを、2つまたはそれ以上の群のうちの1つに分割する段階をさらに含む、請求項12記載の装置。 【請求項20】 前記暦分類が、日、週、隔週、月、四半期、および年からなる群より選択される、請求項19記載の装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-02-22 |
出願番号 | 特願2013-99502(P2013-99502) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(A61B)
|
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 木村 励 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
吉村 尚 藤本 義仁 |
登録日 | 2016-06-10 |
登録番号 | 特許第5947245号(P5947245) |
権利者 | ナイキ イノベイト セー. フェー. |
発明の名称 | 運動情報の収集および表示の方法 |
代理人 | 川本 和弥 |
代理人 | 大関 雅人 |
代理人 | 春名 雅夫 |
代理人 | 小林 智彦 |
代理人 | 佐藤 利光 |
代理人 | 清水 初志 |
代理人 | 五十嵐 義弘 |
代理人 | 山口 裕孝 |
代理人 | 清水 初志 |
代理人 | 佐藤 利光 |
代理人 | 川本 和弥 |
代理人 | 山口 裕孝 |
代理人 | 井上 隆一 |
代理人 | 春名 雅夫 |
代理人 | 井上 隆一 |
代理人 | 刑部 俊 |
代理人 | 刑部 俊 |
代理人 | 五十嵐 義弘 |
代理人 | 大関 雅人 |
代理人 | 新見 浩一 |
代理人 | 小林 智彦 |
代理人 | 新見 浩一 |