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審決分類 |
審判 一部申し立て 発明者同一 B01F |
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管理番号 | 1339197 |
異議申立番号 | 異議2017-700437 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-05-01 |
確定日 | 2018-04-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6019418号発明「微細気泡生成器と微細気泡生成装置とそのシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6019418号の請求項1、2、5に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6019418号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成27年10月2日に特許出願され、平成28年10月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年5月1日に特許異議申立人小柳恵子より請求項1、2、5に対して特許異議の申立てがされ、平成29年7月7日付けで取消理由が通知され、平成29年9月8日に意見書が提出され、平成29年10月12日付けで取消理由通知(決定の予告)が通知され、平成29年12月13日に意見書が提出されたものである。 2.本件発明 特許第6019418号の請求項1ないし6に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によって特定されるとおりのものであるが、そのうち請求項1、2、5に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明5」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 気液混合流体を導入する吐出配管に接続される第1の接続部と、この第1の接続部に接続され前記第1の接続部の長手方向に対して垂直かつ平面状に流路を拡張して形成され、前記気液混合流体の流れを前記第1の接続部から旋回させずに垂直に変更させる第1のせん断室を備える本体部と、この本体部に第2の接続部を介して接続され前記第2の接続部の長手方向に対して垂直に曲折して形成される第2のせん断室とこの第2のせん断室の端部に形成されたノズル孔を備えるノズルと、を有することを特徴とする微細気泡生成器。 【請求項2】 前記第2の接続部を前記ノズルが兼ねて前記本体部と前記ノズルが接続され、前記第2のせん断室は、前記第2の接続部の長手方向に代えて、前記本体部と前記ノズルを連通する連通孔の長手方向に対して垂直に曲折する円筒状に形成され、前記ノズルの連通孔は前記本体部から前記第2のせん断室の円筒内周面の接線方向に向けて穿設されることを特徴とする請求項1記載の微細気泡生成器。」 「【請求項5】 液体貯留槽に接続された吸込配管から吸い込まれた液体と吸引配管から吸引される気体を混合させて気液混合流体を吐出するポンプと、このポンプと前記液体貯留槽を接続する吐出配管と、この吐出配管の液体貯留槽側の端部に設置される微細気泡生成器と、を有する微細気泡生成システムであって、前記微細気泡生成器は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微細気泡生成器であることを特徴とする微細気泡生成システム。」 3.取消理由の概要 当審で通知した平成29年10月12日付け取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。 特願2015-111123号(特開2016-221464号)(以下、「先の特許出願」という。)により、請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 4.先の特許出願の出願人及び発明者について 先の特許出願の出願人である株式会社プリンシプルは、平成30年2月26日に手続補正書を提出し、山下俊文と遠藤翔平の2名とされていた発明者を、辻康広1名とする補正を行い、さらに、平成30年3月2日に出願人名義変更届を提出し、出願人の名義を、株式会社プリンシプルから辻康広に変更した。 5.判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について 特許法第29条の2の規定によれば、先の特許出願の発明者が、後の特許出願の請求項に係る発明すなわち本件発明の発明者と同一である場合、当該先の特許出願に基づいて、特許法第29条の2の規定を本件特許出願に適用することができない。 ここで、「同一である場合」とは、特許・実用新案審査基準の第III部第3章3.1.1(1)に記載されているように、 (i)各々の願書に記載された発明者の全員が表示上完全に一致している場合、 (ii)各々の願書に記載された発明者の全員が表示上完全に一致していない場合であっても、実質的に判断した結果、発明者全員が完全同一である場合、 のいずれかの場合をいうものである。 そこで、先の特許出願の発明者と本件発明の発明者と同一であるか否か、すなわち、先の特許出願と本件特許出願との関係が、前記した(i)と(ii)とのいずれかに該当するか否か、検討する。 最初に(ii)について検討する。 ア 本件発明1について 平成29年12月13日提出の意見書に添付した宣誓書によると、本件発明1について、発明者は辻康広のみであることが宣誓されている。 そして、この宣誓は、本件特許出願の願書に記載された発明者全員である、辻康広及び杉森優の両名によるものだから、本件発明1についての発明者は、辻康広であると認めるのが相当である。 また、先の特許出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書、または図面に記載されていた発明(以下、「引用発明」という。)が、本件発明1と同一であることは、平成29年10月12日付け取消理由通知(決定の予告)の3.(3)アで指摘したとおりである。 そして、引用発明は、発明者を辻康広とする先の特許出願に開示されているのだから、本件特許出願の出願日時点で、辻康広が、引用発明を知っていたのは当然である。 そうすると、本件特許出願をするにあたり、辻康広が、自身を発明者とする先の特許出願に開示されていた引用発明を、本件発明1として、特許請求の範囲に記載したと解するのは十分に自然なことである。 仮に、本件発明1を発明するあたり、辻康広のみならず杉森優も関与していたならば、杉森優により導出された技術的思想が、本件発明1に包含されているはずであるが、この場合、その本件発明1はもはや引用発明1と同一とならないのは明らかであるから、本件発明1がその引用発明と同一である、という前提に反するのが明らかである。 このように、本件発明1と引用発明との関係性から検討しても、本件発明1は、辻康広のみによって発明されたと解するのが相当であり、宣誓書の宣誓内容と矛盾するところはない。 よって、本件発明1については、前記(ii)の関係に該当すると認められる。 イ 本件発明2について 上記宣誓書によると、本件発明2についても、発明者は辻康広のみであることが宣誓されており、本件発明1について上記アで述べたのと同様の理由により、本件発明2についての発明者も、辻康広であると認めるのが相当である。 また、先の特許出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書、または図面に、本件発明2と実質同一である発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていたことは、平成29年10月12日付け取消理由通知(決定の予告)の3.(4)で指摘したとおりである。 したがって、本件発明2と引用発明2との関係性から検討しても、上記アで述べたのと同様の理由により、本件発明2は、辻康広のみによって発明されたと解するのが相当であり、宣誓書の宣誓内容と矛盾するところはない。 よって、本件発明2については、前記(ii)の関係に該当すると認められる。 ウ 本件発明5について 上記宣誓書によると、本件発明5についても、発明者は辻康広のみであることが宣誓されており、本件発明1について上記アで述べたのと同様の理由により、本件発明5についての発明者も、辻康広であると認めるのが相当である。 また、先の特許出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書、または図面に、本件発明5と同一である発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていたことは、平成29年10月12日付け取消理由通知(決定の予告)の3.(5)で指摘したとおりである。 したがって、本件発明5と引用発明5との関係性から検討しても、上記アで述べたのと同様の理由により、本件発明5は、辻康広のみによって発明されたと解するのが相当であり、宣誓書の宣誓内容と矛盾するところはない。 よって、本件発明5については、前記(ii)の関係に該当すると認められる。 (2)小括 上記したように、先の特許出願と本件特許出願との関係は、上記規定(ii)に該当するから、本件発明1、2、5の発明者は上記先の特許出願における発明者と同一であると認められる。 したがって、先の特許出願に基づいて、特許法第29条の2の規定を本件特許出願に適用することはできないから、本件発明1、2、5に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものとは言えない。 6.むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1、2、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1、2、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-03-29 |
出願番号 | 特願2015-197220(P2015-197220) |
審決分類 |
P
1
652・
162-
Y
(B01F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松本 瞳 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
平岩 正一 柏原 郁昭 |
登録日 | 2016-10-14 |
登録番号 | 特許第6019418号(P6019418) |
権利者 | 合同会社クロスロード |
発明の名称 | 微細気泡生成器と微細気泡生成装置とそのシステム |
代理人 | 井上 浩 |