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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47C
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47C
管理番号 1339206
異議申立番号 異議2018-700086  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-31 
確定日 2018-04-23 
異議申立件数
事件の表示 特許第6175254号発明「クッションシート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6175254号の請求項1ないし5、7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6175254号の請求項1乃至10に係る特許についての出願は、平成25年3月13日(優先権主張平成24年10月17日)に出願したものであって、平成29年7月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人畑山千里により特許異議の申立てがされたものである。


第2 本件発明
特許第6175254号の請求項1乃至10に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明10」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
簀子になるクッションシートであって、
樹脂製シートと、
前記樹脂製シートの上に設けられ、特定の機能を持たせた、前記樹脂製シートよりも硬質の機能性シートとを備え、
前記樹脂製シート及び前記機能性シートには、前記シートの幅方向又は長さ方向に引っ張り広げることで簀子穴に可逆的に変形する、これらを厚み方向に貫通する複数個の切り込みが設けられており、
前記簀子穴に変形した時にできる、前記機能性シートの厚み分の空気層は、少なくとも3mmの厚みを有する、クッションシート。
【請求項2】
前記複数個の切り込みは、平面視で、互いに逆方向に向いた2種類の、深皿の断面形状を有している第1及び第2の切り込みを含み、
前記第1の切り込みが、複数個、シートの幅方向及び長さ方向に並んでおり、かつその間を割り込むように、平面視で逆方向を向いた前記第2の切り込みが、複数個、ピッチをずらせて、シートの幅方向及び長さ方向に並んでいる、請求項1に記載のクッションシート。
【請求項3】
前記機能性シートは、吸湿性、消臭性、防ダニ性、吸水性、抗菌防臭性、吸湿発熱性及
び吸水速乾性からなる群より選ばれる特定の機能を有する請求項1又は2に記載のクッションシート。
【請求項4】
前記樹脂製シートは、発泡ポリエチレン又はEVAフォームで形成される、請求項1?3のいずれか1項に記載のクッションシート。
【請求項5】
前記樹脂製シートの表面及び/又は裏面に、前記シートの幅方向又は長さ方向に窪みの通路が設けられている、請求項1?4のいずれか1項に記載のクッションシート。
【請求項6】
前記樹脂製シートの厚み部分には、前記シートの幅方向又は長さ方向に貫通する貫通路が設けられている、請求項1?4のいずれか1項に記載のクッションシート。
【請求項7】
当該クッションシートの端縁の一方に凸部を設け、他方の端縁に凸部を受け入れる凹部を設け、複数個連結され得るようにした、請求項1?6のいずれか1項に記載のクッションシート。
【請求項8】
前記樹脂製シート及び/又は前記機能性シートには難燃・防炎加工が施されている、請求項1?7のいずれか1項に記載のクッションシート。
【請求項9】
簀子になるクッションシートであって、
樹脂製シートと、
前記樹脂製シートの上に設けられ、特定の機能を持たせた機能性シートとを備え、
前記樹脂製シート及び前記機能性シートには、前記シートの幅方向又は長さ方向に引っ張り広げることで簀子穴に可逆的に変形する、これらを厚み方向に貫通する複数個の切り込みが設けられており、
前記樹脂性シートの下面に補強材層が設けられ、
前記切り込みは、前記補強材層をも貫通している、クッションシート。
【請求項10】
前記補強材層は、かえしのある針を突き刺して機械的に繊維を結合させたニードルパンチ不織布で形成されている請求項9に記載のクッションシート。」


第3 申立理由の概要
特許異議申立人畑山千里は、請求項1乃至5、及び7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるから、請求項1乃至5、及び7に係る特許を取り消すべきものである(以下「申立理由1」という。)旨主張し、また、証拠として特開2002-119389号公報(以下「甲第1号証」という。)、実願昭51-080360号(実開昭53-804号)のマイクロフィルム(以下「甲第2号証」という。)、特開2009-226088号公報(以下「甲第3号証」という。)、欧州特許出願公開第2016868号明細書(抄訳付き)(以下「甲第4号証」という。)、実公昭56-16136号公報(以下「甲第5号証」という。)、特開2005-52578号公報(以下「甲第6号証」という。)、実用新案登録第3142141号公報(以下「甲第7号証」という。)、特開2000-262358号公報(以下「甲第8号証」という。)、特開平10-243843号公報(以下「甲第9号証」という。)、特開平5-344935号公報(以下「甲第10号証」という。)、及び特開2002-112853号公報(以下「甲第11号証」という。)、を提出し、請求項1乃至5、及び7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1乃至5、及び7に係る特許を取り消すべきものである(以下「申立理由2」という。)旨主張している。


第4 各甲号証の記載
1.甲第1号証
本件特許の優先日前の平成14年4月23日に頒布された特開2002-119389号公報(甲第1号証)には、以下の記載がある。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 低密度層及び高密度層からなる敷寝具であって、20℃×65%RH下での前記低密度層の水分率M_(L)(%)と前記高密度層の水分率M_(H)(%)との差が下記式(1)を満足することを特徴とする敷寝具。
M_(H)-M_(L)≧3% (1)
【請求項2】 高密度層が人体側に面し、高密度層と低密度層とが密接して接合されていることを特徴とする請求項1記載の敷寝具。
【請求項3】 前記高密度層の水分率M_(H)が4%以上、前記低密度層の水分率M_(L)が1%未満であることを特徴とする請求項1記載の敷寝具。
【請求項4】 前記高密度層の目付が200?900g/m^(2)であることを特徴とする請求項1記載の敷寝具。
【請求項5】 前記の高密度層及び低密度層の厚みがそれぞれ、1?15mm及び20?80mmであり、キルティング以外の方法で成型されてなることを特徴とする請求項1記載の敷寝具。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用時の寝心地を改善するための敷寝具に関するものである。更には、使用時の温熱特性、汗の処理機能を有し、清潔な繊維構造体及びそれを用いた敷寝具、家具、ベッド、車両用クッション材、生活資材等の製品の提供に関する。」
(3)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技術における、使用時の汗などによる水分が敷寝具内に滞留するという欠点を改良し、同時に形態保持性、クッション性も併せ持つ吸湿性に優れた繊維集合体を含む敷寝具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために次の手段をとるものである。すなわち、低密度層及び高密度層からなる敷寝具であって、20℃×65%RH下での前記低密度層の水分率M_(L)(%)と前記高密度層の水分率
M_(H)(%)との差が、下記式(1)を満足することを特徴とする敷寝具。
M_(H)-M_(L)≧3% (1)
さらに、高密度層が人体側に面し、高密度層と低密度層とが密接して接合されている前記記載の敷寝具、高密度層の水分率M_(H)が4%以上で低密度層の水分率M_(L)が1%未満である前記記載の敷寝具及び高密度層の目付が200?900g/m^(2)であって、高密度層及び低密度層の厚みがそれぞれ、1?15mm及び20?80mmであり、キルティング以外の方法で成型されてなることを特徴とする前記記載の敷寝具である。」
(4)「【0009】高密度層としては、従来のポリエステル短繊維と低融点接着繊維を混綿し、熱圧縮成形して厚みと圧縮特性を調整したシート状の綿や、ポリエステル短繊維と吸湿性を有する他の繊維とを混合またはシート状態で積層して使用することができるが、より望ましくは、ポリエステル繊維にアクリル酸、メタクリル酸などのビニル基を含有した酸および/またはそのアルカリ金属塩を重合率5%以上でグラフト重合させ末端酸性基をアルカリ金属塩としたものを用いることができるが、その詳しい内容については、特開2000-45181号公報に記載されている。

【0012】さらに、吸湿性を有する繊維としては、上述の吸湿性ポリエステルの他に、吸湿性を有するアクリレート系繊維を混綿あるいは積層混合したシート状綿として使用してもよいし、該アクリレート系繊維だけからなるのシート状綿とその他のシート状綿とを積層しても差し支えない。
【0013】本発明における高密度層の20℃×65%RHにおける水分率M_(H)(%)は4%以上であることが望ましい。即ち、敷布団の使用時に発生した水分(汗)を吸収するためには高密度層の吸湿能力が必要である。さらに、吸湿した水分を敷布団に長く滞留させないために、高密度層と低密度層の20℃×65%RHにおける水分率の差が3%以上であることが必要である。

【0015】また、高密度層の厚みは1mm未満では厚みが不足し、通気性が損なわれたり、床つき感を生じたりするため好ましくない。また、15mmを超えると、重厚で硬いものになり、使用時の不快感が増すことがあるので好ましくない。高密度層の厚みの好ましい範囲としては2?5mmである。

【0017】本発明における低密度層としては、ポリエステル短繊維と低融点接着繊維とを混綿し、熱圧縮成形して厚みと圧縮特性を調整した硬綿(ファイバークッション)、発泡ウレタンマット等を使用することができる。さらに、ダブルラッセルなどの編成によって厚み方向の構造を有するものでも良い。例えば、ゴム弾性を持つ熱可塑性エラストマー100%からなる連続線条のランダムループを3次元スプリング構造化したポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体を用いることができる。その詳しい構造および製法については、特開平7-238456号公報に記載されている。
【0018】該網状構造体は、連続線条からなるランダムループの3次元スプリング構造を有するため、その上面と下面との間に大きな空隙を有する。従って、該網状構造体を敷寝具の詰め物として使用した場合、敷布団の使用者の体と敷寝具の底面との間で、空気や熱・水分の移動が可能となり、むれ感の発生を抑制することができる。
【0019】また、低密度層として使用できる構造体としては、他に、ダブルラッセル編地やポリウレタンフォームなどのクッション材などを挙げることができる。これらの構造体においても、上記の網状構造体と同様の効果を得ることができる。」
(5)「(実施例3)
【0030】低密度層としてウレタンフォーム(50mm)を使用し、高密度層には実施例1と同じモイスケアを50%、レギュラーESS50%を混綿して目付500g/m^(2)のシート状綿を作製した。これらを木綿100%の側地を使用して敷布団に構成した。作製した布団を用いて実施例1と同様に被験者を寝かせて寝心地を評価した。結果は、床つき感、ゆれ感は感じられず、1時間以上経過してもむれ感を感じない敷寝具であるという回答であった。」

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲第1号証発明」という。)が記載されていると認められる。
「低密度層及び高密度層からなる敷寝具であって、20℃×65%RH下での前記低密度層の水分率M_(L)(%)と前記高密度層の水分率M_(H)(%)との差が下記式(1)を満足し、
M_(H)-M_(L)≧3% (1)
高密度層が人体側に面し、高密度層と低密度層とが密接して接合され、
クッション性も併せ持つ吸湿性に優れた繊維集合体を含み、
低密度層としてポリウレタンフォーム(50mm)を使用し、
高密度層には吸湿能力が必要であって、
高密度層にはモイスケアを50%、レギュラーESS50%を混綿して目付500g/m^(2)のシート状綿とし、
高密度層の厚みの好ましい範囲としては2?5mmである、
敷寝具。」

2.甲第2号証
本件特許の優先日前の昭和53年1月7日に頒布された実願昭51-080360号(実開昭53-804号)のマイクロフィルム(甲第2号証)には、以下の記載がある。
(1)「2.実用新案登録請求の範囲
1 荷重-変位曲線が変則曲線を描く弾性体(2)と荷重-変位曲線がタンジエント曲線を描く弾性体(1)とを積層させた複合材に、該複合材面に屋根形に且つ、複合材を貫通する切込み(4)を多数配列してなるマツトレス用複合芯材。」(1頁4?9行)
(2)「本考案は、第1図に示すように、荷重-変位曲線が変則曲線を描く弾性体2と荷重-変位曲線がタンジエント曲線を描く弾性体1とを積層させた複合材に、複合材面に屋根形に且つ、複合材厚さ方向に貫通する切込み4、4Aを多数個配列したマツトレス用複合芯材である。
第2図は、本考案複合芯材を平面方向に芯材に切込まれた切込み4,4Aの形状、長さ、切込み相互の間隔に適応させて拡大し、複合芯材が多数のX字状に相互に連結するように形成するとともに、ハニカム状の厚さ方向に貫通した空隙孔3を多数配列形成させたマツトレスの状態図であり、本考案はこのようなマツトレスを形成し得る複合芯材を提供することを目的とする。」(2頁16行?3頁9行)
(3)「また平滑で、全体に亘つて厚さ方向に貫通するハニカム状空隙孔を有しているため、全体的に姿勢を正しく保つことができ、また放湿効果が高い等の特長を有する。
本考案は、図面に示した構成に限定することなく、タンジエント曲線弾性体と変則曲線弾性体を幾重に積層しても良く、必要に応じ他の素材を積層しても良い。」(5頁14行?6頁2行)

3.甲第3号証
本件特許の優先日前の平成21年10月8日に頒布された特開2009-226088号公報(甲第3号証)には、以下の記載がある。
(1)「【技術分野】
【0001】
この発明は、クッション材に関するもので、例えば、マットレス、ベッド用芯材、敷布団用芯材、座布団用芯材、椅子のクッション用芯材などに好適に使用可能なクッション材に係るものである。
【背景技術】
【0002】
上記のようなクッション材において、耐圧分散効果、通気性確保、軽量化を図るため、軟質発泡ポリウレタンの長方形シート状素材に貫通孔部を形成することは公知である(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2005-052578号公報
【特許文献2】特開2002-369733号公報
【特許文献3】特開2007-144100号公報」
(2)「【0012】
次に、この発明のクッション材の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この発明の実施形態に係るクッション材は、図1に示すように、軟質発泡ポリウレタンよりなる平面視で長方形状のシート状素材1に、図1に示すように、複数のスリット2を形成し、このシート状素材1を、図2に示すように、特定の一方向(矢線E方向)に伸長することでスリット2を拡開して平面視で概略菱形の貫通孔部10を形成している。」
(3)「【0023】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記においては、貫通孔部10を概略菱形形状としているが、貫通孔部10の形状はこれに限らず、種々変更して実施することが可能である。また、上記においては、弾性体として軟質発泡ポリウレタンを例示しているが、他の材質のシート状素材、あるいは軟質発泡ポリウレタンと他の材質のシートとの積層体を使用してもよい。軟質発泡ポリウレタンを用いる場合には、密度20?30kg/m^(3)、硬度60?130N程度のものを用いるのが好ましいが、特にこれに限られるこのではない。」

4.甲第4号証
本件特許の優先日前の2009年1月21日に頒布された欧州特許出願公開第2016868号明細書(甲第4号証)には、以下の記載がある。(当審注:エーウムラウト等の○ウムラウトは“○e”と、エスツェットは“ss”で代用表記する。また、なお、括弧内の訳文は、当審が作成した。)
(1)「[0002] Bei Matratzen und Moeoebelpolstern werden haeufig Kerne aus einem Schaumkunststoffmaterial oder auf der Basis von vulkanisiertem Latex eingesetzt. Der Kern wird meist mit Vertiefungen oder Durchbrechungen versehen, um eine gute Luftzirkulation zu gewaehrleisten. Dazu sind bei der Herstellung entweder aufwaendige Formen notwendig, oder die Durchbrechungen werden nachtraeglich ausgeschnitten oder ausgestanzt, wobei Abfall anfaellt.」
(マットレスおよび家具用詰め物には、発泡樹脂材料または加硫ラテックスベースの芯が用いられることが多い。芯は、大抵の場合、良好な空気の流通を保証するために凹部または貫通部を備えている。そのため、製造のために費用のかかる型が必要であり、または貫通部が後から切り抜かれるか打抜かれ、その際にくずが発生する。)
(2)「[0007] Der erfindungsgemaesse Kern ist aus einem elastischen Material, vorzugsweise einem Schaumstoffmaterial wie z.B. elastischem Polyurethanschaum oder einem Schaumstoff auf Naturlatexbasis, gefertigt. Er weist eine Mehrzahl von Einschnitten auf, die ihn in seiner Dickenausdehnung durchsetzen. Der Kern ist in einer Zugrichtung zumindest bereichsweise auseinanderziehbar, wobei sich die Einschnitte in Durchbrechungen des Kerns aufweiten. Dabei verformt sich das elastische Material des Kerns in der Umgebung der Einschnitte in entsprechender Weise. Der Erfindung liegt die Erkenntnis zu Grunde, dass die Einschnitte so ausgebildet und angeordnet werden koennen, dass es mindestens einen auseinandergezogenen Zustand gibt, in dem der Matratzenkern auch ohne Anwendung einer Zugkraft in der Zugrichtung stabil ist. Der Kern ist also sozusagen bistabil, d.h., es gibt mindestens zwei stabile Zustaende, in denen der Kern bezueglich der Zugrichtung eine unterschiedliche Ausdehnung aufweist.」
(本発明に係る芯は、弾性材料、好ましくは発泡樹脂材料、例えば弾性ポリウレタンフォーム、または天然ラテックスベースの発泡材から製造されている。この芯は、その厚さ方向に貫通する複数の切込みを有している。芯は、引張方向に少なくとも部分的に引き伸ばし可能であり、切込みは芯の貫通部をなす。その際、芯の弾性材料は、切込みの周辺において相応に変形する。本発明を基礎付けるのは、マットレス芯が引張力を利用しなくても引張方向に安定である少なくとも1つの引き延ばし状態が存在するように切込みを形成および配置できるという知見である。すなわち芯はいわゆる双安定であり、それはすなわち、芯が引張方向に対して異なった伸長を示す少なくとも2つの安定状態があるということである。)
(3)「[0019] Wie man insbesondere in der Fig. 2 gut erkennt, ist der Kern von einer Vielzahl halbkreisfoermiger Einschnitte 3, 4 durch seine gesamte Dicke hindurch durchsetzt. Die Einschnitte werden z.B. durch Stanzen mit einer Rollenstanze oder einer Brueckenstanze in einfacher Weise erzeugt, vorzugsweise nach der Konfektionierung des Ausgangsmaterials.」
(特に図2に良好に見て取れるように、芯の厚さの全体を多数の半円形状の切込み3、4が貫通する。これらの切込みは、好ましくは出発材料を生産加工した後に、例えば、ローラ抜きまたはブリッジ打抜きによる打抜加工によって簡単に作製される。)
(4)「[0029] Durch die Bewegung der Zwischenbereiche 7, 8, 9 usw. vergroessern sich die urspruenglich halbkreisfoermigen Einschnitte 3, 4 zu Durchbrechungen 3', 4'. Diese Durchbrechungen weisen zum jeweils naechsten Reihenpaar hin nach wie vor eine halbkreisfoermige Begrenzung 21 auf (da ja die Materialbereiche zwischen den Reihenpaaren ihre Form nicht wesentlich veraendern). Zur Kette der Bereiche 7, 8, 9 usw. hin entspricht die Grundform der Begrenzung 22, 23 der Durchbrechungen dagegen zwei aneinandergereihten Teilkreisen oder Boegen gleicher Laenge und unterschiedlicher Orientierung.」
(中間領域7,8,9等が移動することによって、当初半円形状であった切込み3、4が貫通部3’、4’へ拡大する。これらの貫通部は、それぞれ最寄りの列対の方へ依然として半円形状の境界21を有している(なぜなら、列対間の材料領域がその形状をほとんど変えないからである)。これに対して、領域7,8,9等のチェーンに向かって、貫通部の境界22、23の基本形状は、同じ長さで異なる向きの2つの並列の部分円または円弧に相当する。)

5.甲第5号証
本件特許の優先日前の昭和56年4月15日に頒布された実公昭56-16136号公報(甲第5号証)には、以下の記載がある。
(1)「本考案は敷布団に係り、その目的とするところは、厚みや硬さ、並びに保温性、通気性を自由に調整し得るようにして、個人の好みや体質に応じて好適な使用状態が得られるようにした敷布団を提供するにある。」(1頁1欄28?32行)
(2)「中シート1は独立気泡のポリエチレンフオームを板状に成形したものであって、腰があり、全体に通気孔4が形成されている。
通気孔4は板状中シート1に穿設したものであつてもよく、あるいは第6図に示す如く、幅方向に並列する略コ字形の切込み5を長さ方向に並列して設け、該シート1を長さ方向に引張つて切込み5を開放したのち、シート1の両側に接着する帯状の縁板6でもつて切込み5を開放状態で保持するようにしたものであつてもよい。
図示例のように切込み5を形成し、この切込み5を通気孔4とすることによつて、材料の無駄がなくなると共に、表面積の増大を計ることができるため、材料を有効に使用することができる。」(1頁2欄5?18行)

6.甲第6号証
本件特許の優先日前の平成17年3月3日に頒布された特開2005-52578号公報(甲第6号証)には、以下の記載がある。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス及びその製造方法に関し、特に介護用、病院用に適したマットレス及びその製造方法に関する。」
(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の積層マットレスは、複数の層を接着剤で相互に固定し、得られた積層体を必要に応じてカバーに収納するのが一般的であった。
【0004】
しかし、接着剤を接着面全体に塗布して接着すると通気性等で問題が生じる。そのため、通常は部分的に接着するが、その場合、後述する人体への影響を考慮して接着剤量を減らすと接着強度が不十分となるという問題があった。また、カバーは積層体と接着するのは困難であるため、通常は接着されていなかった。そのため、使用中にずれたり、よれたりし易いという問題があった。従って、従来の接着剤を用いて積層一体化したマットレスは、全体をそのままクリーニング(丸洗い)することはできなかった。
【0005】
また、接着剤は従来より人体に悪影響を与えることが懸念されていたが、近年安全性への関心がより高まり、その使用が厳しく規制されるようになってきており、接着剤を使用しない製品が望まれている。
【0006】
さらに、上記のような接着剤を用いた製造は、発泡樹脂や固綿の素材毎に接着剤の種類や量を決定する必要がある上、接着作業自体にも手間と時間がかかり、従ってコストもかかるという問題があった。」
(3)「【0016】
本発明のマットレスに使用する樹脂発泡体は特に限定されず、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の、従来寝装品や家具に用いられてきた各種樹脂発泡体を目的に応じた厚さに形成したものが特に制限なく使用できる。」

7.甲第7号証
本件特許の優先日前の平成20年6月5日に頒布された実用新案登録第3142141号公報(甲第7号証)には、以下の記載がある。
(1)「【技術分野】
【0001】
本考案は、寝具としてベッドなどに敷いて使用するマットの改良、更に詳しくは、保温性が高く、かつ、通気性も良好であり、しかも、使用による身体への負担も少ない寝具用マットに関するものである。」
(2)「【考案が解決しようとする課題】
【0007】
本考案は、従来のマットに、上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、保温性が高く、かつ、通気性も良好であり、しかも、使用による身体への負担も少ない寝具用マットを提供することにある。」
(3)「【0039】
本考案は、概ね上記のように構成されるが、本考案は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、板本体1の使用材料は発泡ポリエチレンに限らず、ポリスチレンやポリウレタン、ポリプロピレンなどのプラスチック製連続気泡体でもよいし、その他の高断熱性材料を採用することができる。」

8.甲第8号証
本件特許の優先日前の平成12年9月26日に頒布された特開2000-262358号公報(甲第8号証)には、以下の記載がある。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は就寝時に人体から発する湿気を吸収するマットレスに関する。」
(2)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した課題を解決するものであり、マットレス基材に湿気を吸収・放出する素材を組み合わせてマットレスとしたものであり、更に他の機能をも付加して実用性を高めたマットレスを提供するものである。」
(3)「【0022】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明のマットレスの一部切欠傾斜図である。図中、符号1はマットレス基材としての軟質ポリウレタンフォ-ムであり、見掛け密度・21kg/m3、硬さ18・kgf、伸び率・100%、引張り強度・0.9kg/cm2の性状をもつ高硬度・高弾性ポリウレタンフォ-ムであり、厚さ40mm、床側の面には乳頭状のプロファイル2が深さ10mmにて形成され逃湿通路2aを形成したものである。」

9.甲第9号証
本件特許の優先日前の平成10年9月14日に頒布された特開平10-243843号公報(甲第9号証)には、以下の記載がある。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は病院用ベッドに用いるのに特に適したマットレス芯材に関するものである。」
(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の如き従来公知のマットレス芯材は、難燃性、体圧分布による寝心地性、へたり等の耐久性、リサクル性等の面で未だ満足できるものではなく、特に病院内で使用する場合には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等の院内感染問題の対策として、滅菌性や、洗浄性についても更なる検討が強く望まれているといように、従来品には改善すべき多くの問題が残されていた。
【0006】即ち、難燃性については、昭和62年の特別養護老人ホームの火災事故を契機に、防災機能を持つ難燃性寝具類の使用通達が厚生省より出され、その要求が高まっているが、難燃剤の処方による対応ではコスト高につながる等の問題があった。また、寝心地性やへたり等の耐久性の問題においては、クッション材の厚みを厚くしたり、他の部材と複合すること等により、かなり良好なものが提案されてはいるものの、軽量性の悪化、構造の複雑化、厚みの増大、屈曲性の悪化等の問題があった。
【0007】更に、リサイクル性については、廃棄されたマットレス芯材を回収して再生利用する場合、通常、中芯材とクッション材は材質が異なるため同時に処理することができないので、両者を別々に回収して再生しなければならないが、従来品は中芯材とクッション材との積層界面が接着剤で強固に接着されていため、中芯材とクッション材とを分離する作業は非常に煩わしく分別回収が容易でないという問題があった。
【0008】また、滅菌性の問題では、通常はガス状殺菌剤による滅菌処理を行なうが、その際に該殺菌剤に対するマットレス芯材のガス抜けの良さが要求さており、洗浄性については、洗浄後の水切れの悪さが問題となっていた。」
(3)「【0011】本発明マットレス芯材1を構成する中芯材2は、ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂に用いて発泡成形された発泡板からなり、該中芯材2はその上面及び/又は下面に、縦横に形成された多数の溝2a、2a、・・・によって区画される多数の突起状支持体2b、2b、・・・を有している。尚、図示する一例において、中芯材2の長手方向の長さは1950mm、幅方向の長さは850mm、厚みは26mmであり、溝2aの幅は8mm、深さは8mmである。」
(4)「【0014】本発明において、マットレス芯材1の屈曲性、クッション性、通気性を考慮すると、中芯材2に形成される溝2aの幅wは0.5?2.5cmであるのが好ましく、深さdは0.5?3cmであるのが好ましい。更に、通気性を高めるために中芯材2には、図2に示すように該中芯材2の上下両面に貫通する孔4、4、・・・を多数設けるのが好ましい。」

10.甲第10号証
本件特許の優先日前の平成5年12月27日に頒布された特開平5-344935号公報(甲第10号証)には、以下の記載がある。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、浴室の床面等に敷かれる樹脂製スノコ,特にポリエチレン樹脂あるいはEVA樹脂(エチレン・酢酸ビニール樹脂)等の、金型内で加熱・加圧して発泡成形させる独立気泡発泡体 (内部に独立気泡体を有する発泡体をいう) を使用したスノコ用板材の製造方法に関する。」
(2)「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ポリエチレン,EVA等のマット状の独立気泡発泡体からなる板材は、金型から取り出した状態においては、図1,図2(a) に図示するように、必ず平面の各部分の厚みが異なり、一般にマット厚が30mm程度の厚さのもので、1?5mm程度の厚み方向の誤差が生ずるのが常識とされている。具体的には、周辺部で厚みが薄く、中央部位で厚みが厚くなる傾向がある。
【0008】このため、上述のように、マット状の独立気泡発泡体からなる板材を所定寸法に裁断してバスマット片をつなぎ合わせて所望の形状及び大きさのバスマットをつくろうとすると、つなぎ部分で段差が生じて、使用に際し支障が生じてバスマットとして使用できない。
【0009】本発明は、上述のような現状に鑑みおこなわれたもので、マット状の独立気泡発泡体を使用した、各部の厚みが均一なスノコ用板材の製造方法を提供することを目的とする。」
(3)「【0021】従って、さらに、このように製造されたマット状の独立気泡発泡体からなる板材を、そのままバスマットとして使用することもできるが、図3(a) ?(e) に図示するように、一定の規格化された大きさで接続のための係合手段(凹凸部)1bが一端面あるいは二つの端面若しくは三つの端面又は四つの端面にあるバスマット片を、裁断機で二次加工を施すことによって製造すれば、これらをつなぎ合わせることにより、図4?図9に図示するような、あるいは他の形状をした任意の形状の且つ大きさのバスマットとなる。」

11.甲第11号証
本件特許の優先日前の平成14年4月16日に頒布された特開2002-112853号公報(甲第11号証)には、以下の記載がある。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマット状寝具にかかり、更に詳しくは、マット状寝具本体を洗濯機で洗濯できるようにし、洗濯後の乾燥も早いマット状寝具に関する。」
(2)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなマット状寝具本体は、単層もので厚みも厚い。そのため、マット状寝具本体は、折り畳んだ場合、嵩高となる。従って、マット状寝具本体をマット状寝具カバーから出して洗濯するときに、洗濯槽や脱水槽に入らず、洗濯機では洗濯できなかった。また、手洗いで洗濯した場合は、マット状寝具本体が単層で厚いため、表面が乾いたとしても、内部までは乾きにくいという課題もあった。特に、乳幼児は発汗が激しく、時にはおしっこ等をするため頻繁に洗濯する必要があり、上記二つの課題は乳幼児に使用するマット状寝具においては、特に顕著であった。
【0004】本発明の目的は、マット状寝具本体を洗濯機でも洗濯できるようにすることにある。また、本発明の他の目的は、洗濯機で洗濯する場合に、洗濯しやすく、しかもマット状寝具本体が痛まないようにすることにある。更に本発明の他の目的は、寝心地に違和感のないようにすることにある。更にまた本発明の他の目的は、短時間でマット状寝具本体の内部までは乾すことができるようにすることにある。」
(3)「【0035】図7は、上部構成体の他の実施の形態を示した平面図である。上部構成体5は、構成片51、構成片52、構成片53、及び構成片54と、4枚の構成片を全体で長方形になるように組み合わせたものである。上部構成体5には多数の通気孔55が形成されている。」


第5 判断
1.申立理由1について
特許異議申立人は、発明の詳細な説明において、機能性シートの製法や、機能性シート及び樹脂製シートの硬さの測定方法ないし測定結果等が何ら記載されていないため、本件特許出願の出願時の技術常識を考慮したとしても、請求項1に係る発明の「樹脂製シートよりも硬質」の意味内容を当業者が明確に把握することができない、と主張する。(特許異議申立書3頁「理由の要点」まる1参照。)
しかし、本件特許発明1には、「樹脂製シートよりも硬質の機能性シート」と記載されており、当該記載から、「機能性シート」が「樹脂製シート」よりも「硬質」であることが明確に把握できる。
そもそも、「硬質」とは、「質のかたいこと。かたい性質」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])を意味する用語であって、複数のものを比較した場合に用いる用語であるから、絶対的な硬度を要する用語ではない。
また、本件特許明細書に「機能性シートは樹脂製シートより硬質であり、樹脂製シートが柔らかい材料で形成されても、簀子穴は、支えを必要とせず、そのままの形状を保持し、自立する。」(【0012】参照。)、及び「機能性シート6は樹脂製シート5に比べて硬質であるので、樹脂製シート5の厚み分の空気層が人15の体重により厚み方向に潰れても、機能性シート6の厚み分の空気層は人15の体重程度では潰れずに残る。」(【0032】参照。)と記載されているように、樹脂製シートよりも硬質の機能性シートは、機能性シートの厚み分の空気層は人の体重程度では潰れずに残ることが示されていること、及び技術常識を踏まえれば、当業者は、本件特許発明1の「樹脂製シート」と「機能性シート」の「硬さ」について理解できるものである。
また、本件特許明細書に「上記機能性シートは、帝人製ベルオアシス(登録商標)、東洋紡製モイスファン(登録商標)、B型シリカゲル、エクオス(登録商標)などの吸湿吸水繊維や、その他防ダニ及び消臭、抗菌防臭・吸湿発熱・吸水速乾機能などのすべての機能性素材の使用が可能である。」(【0023】参照。)、及び「上記機能性素材層は、帝人製ベルオアシス(登録商標)、東洋紡製モイスファン(登録商標)、B型シリカゲル、エクオス(登録商標)などの吸湿吸水繊維や、その他防ダニ及び抗菌防臭・吸湿発熱・吸水速乾機能などのすべての機能性素材の使用が可能である。」(【0046】参照。)と記載されているように、帝人製ベルオアシス(登録商標)、東洋紡製モイスファン(登録商標)、B型シリカゲル、エクオス(登録商標)などの吸湿吸水繊維を、機能性シートに用いる際に、特殊な製法を採用しているが示されているものではないから、帝人製ベルオアシス(登録商標)、東洋紡製モイスファン(登録商標)、B型シリカゲル、エクオス(登録商標)などの吸湿吸水繊維から機能性シートを形成することは、当業者であれば、当然、実現できるものであるといえる。
以上のことを踏まえると、本件特許発明1の「樹脂製シートよりも硬質の機能性シート」は、本件特許明細書の記載を見ても、「明確」であるといえる。
したがって、本件特許発明1(本件特許発明1の「樹脂製シートよりも硬質の機能性シート」)は明確である。

2.申立理由2について
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると、
後者の高密度層はクッション性があるから、後者の「敷寝具」は、前者の「クッションシート」に相当する。
後者の「低密度層」は、ポリウレタンフォーム(50mm)を使用しているものであるから、「樹脂製シート」といえる。
後者の「高密度層」は、人体側に面し、吸湿性に優れた繊維集合体を含むものであるから、「脂製シートの上に設けられ、特定の機能を持たせた、機能性シート」といえる。

したがって、両者は、
「クッションシートであって、
樹脂製シートと、
前記樹脂製シートの上に設けられ、特定の機能を持たせた、機能性シートとを備える、クッションシート。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件特許発明1が、「簀子になる」クッションシートであって、「樹脂製シートよりも硬質の」機能性シートとを備え、「前記樹脂製シート及び前記機能性シートには、前記シートの幅方向又は長さ方向に引っ張り広げることで簀子穴に可逆的に変形する、これらを厚み方向に貫通する複数個の切り込みが設けられており、前記簀子穴に変形した時にできる、前記機能性シートの厚み分の空気層は、少なくとも3mmの厚みを有す」るものであるのに対し、甲第1号証発明は、そのようなものでない点。

イ 相違点についての判断
上記甲第2号証乃至甲第5号証に示されているように(上記「第4 2.甲第2号証」乃至「第4 5.甲第5号証」参照。)、クッションシートの技術分野において、シートの幅方向又は長さ方向に引っ張り広げることで簀子穴に変形する、これらを厚み方向に貫通する複数個の切り込みが設けられた簀子になるクッションシートは、周知の技術事項である(以下「周知の技術事項」という。)。
しかし、上記相違点に係る本件特許発明1の前記樹脂製シート及び前記機能性シートには、「前記シートの幅方向又は長さ方向に引っ張り広げることで簀子穴に可逆的に変形する」、これらを厚み方向に貫通する複数個の切り込みが設けられており、「前記簀子穴に変形した時にできる、前記機能性シートの厚み分の空気層は、少なくとも3mmの厚みを有す」る点については、上記周知の技術事項には、示されていないし、設計的事項といえる理由もない。
また、特許異議申立人が提出した甲第6号証乃至甲第11号証をみても(上記「第4 6.甲第6号証」乃至「第4 11.甲第11号証」参照。)、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないし、設計的事項とする理由もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項により、本件特許明細書に記載の「上記機能性シートを設けることにより、機能の付加に加えて、引っ張り広げたり、押し縮めたりの繰り返し動作に耐える強度を持たせることができる。」(【0026】参照。)という効果を奏するものである。

したがって、本件特許発明1は、甲第1号証発明、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本件特許発明2乃至5、及び7について
本件特許発明2乃至5、及び7は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2乃至5、及び7は、甲第1号証発明、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1乃至5、及び7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1乃至5、及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-04-13 
出願番号 特願2013-50877(P2013-50877)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A47C)
P 1 651・ 537- Y (A47C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大谷 謙仁  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
登録日 2017-07-14 
登録番号 特許第6175254号(P6175254)
権利者 辻一株式会社
発明の名称 クッションシート  
代理人 大前 要  
代理人 板東 義文  
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