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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C03C 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C03C 審判 訂正 1項3号刊行物記載 訂正する C03C 審判 訂正 2項進歩性 訂正する C03C 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C03C 審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正する C03C |
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管理番号 | 1339387 |
審判番号 | 訂正2017-390100 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-09-28 |
確定日 | 2018-04-05 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6014573号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6014573号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1?9〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許第6014573号(以下、「本件特許」という。)は、平成25年11月21日(優先権主張平成25年 4月 5日)を出願日とする特願2013-241228号の請求項1?9に係る発明について、平成28年 9月30日に特許権の設定登録がされたものである。 そして、本件審判は、本件特許の特許請求の範囲の訂正を求め、平成29年 9月28日に請求され、平成29年10月16日付けで手続補正指令書(方式)が通知され、これに対し、平成29年10月26日付けで審判請求書に対する手続補正書が提出されたものである。 第2.請求の要旨 1.本件訂正審判請求の趣旨は、「特許第6014573号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について訂正することを認める、との審決を求める」というものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1?17である(下線部が訂正箇所である)。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「B_(2)O_(3)成分を20.0%以上50.0%以下」とあるのを、「B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下」に訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「ZnO成分を0%超35.0%以下」とあるのを、「ZnO成分を0%超27.459%以下」に訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「Gd_(2)O_(3)の含有量が1.0%未満」とあるのを、「Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満」に訂正する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に「WO_(3)成分の含有量が0?13.0%」とあるのを、「WO_(3)成分の含有量が0?6.917%」に訂正する。 オ.訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1について、Nb_(2)O_(5)成分の含有量をさらに特定し、その数値範囲について「0?6.0%」に訂正する。 カ.訂正事項6 特許請求の範囲の請求項1について、SiO_(2)成分の含有量をさらに特定し、その数値範囲について「0?15.0%」に訂正する。 キ.訂正事項7 特許請求の範囲の請求項1に「モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?25.0%」とあるのを、「モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%」に訂正する。 ク.訂正事項8 特許請求の範囲の請求項1について、ガラス転移点についてさらに特定し、その数値範囲について「600℃超」に訂正する。 ケ.訂正事項9 特許請求の範囲の請求項1について、光学ガラスの用途についてさらに特定し、その用途について「リヒートプレス成形用光学ガラス」に訂正する。 コ.訂正事項10 特許請求の範囲の請求項3に「TiO_(2)成分 0?20.0%」とあるのを、「TiO_(2)成分 0?10.0%」に訂正する。 サ.訂正事項11 特許請求の範囲の請求項3に「Nb_(2)O_(5)成分 0?10.0%」とある記載を削除する。 シ.訂正事項12 特許請求の範囲の請求項3に「SiO_(2)成分 0?15.0%」とある記載を削除する。 ス.訂正事項13 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 セ.訂正事項14 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 ソ.訂正事項15 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から3、又は5のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 タ.訂正事項16 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 チ.訂正事項17 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス」とあるのを、「請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラス」に訂正する。 第3.当審の判断 1.訂正の目的、新規事項の追加、及び、特許請求の範囲の拡張/変更の有無について ア.訂正事項1 訂正事項1は、請求項1の「B_(2)O_(3)成分を20.0%以上50.0%以下」を「B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下」へと訂正するものであり、要するに、B_(2)O_(3)成分の含有量について「20.0%以上50.0%以下」を「32.099%以上45.0%以下」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項1は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、訂正前のB_(2)O_(3)成分の含有量の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項2 訂正事項2は、請求項1の「ZnO成分を0%超35.0%以下」を「ZnO成分を0%超27.459%以下」へと訂正するものであり、要するに、ZnO成分の含有量について「0%超35.0%以下」を「0%超27.459%以下」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項2は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、訂正前のZnO成分の含有量の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.訂正事項3 訂正事項3は、請求項1の「Gd_(2)O_(3)の含有量が1.0%未満」を「Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満」へと訂正するものであり、要するに、Gd_(2)O_(3)成分の含有量について「1.0%未満」を「0.1%未満」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項3は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3は、訂正前のGd_(2)O_(3)成分の含有量の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、請求項1の「WO_(3)成分の含有量が0?13.0%」を「WO_(3)成分の含有量が0?6.917%」へと訂正するものであり、要するに、WO_(3)成分の含有量について「0?13.0%」を「0?6.917%」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項4は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、訂正前のWO_(3)成分の含有量の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 オ.訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項1で特定されていないNb_(2)O_(5)成分の含有量をさらに特定し、その数値範囲を「0?6.0%」とするものである。 したがって、当該訂正事項5は、訂正前の請求項に記載のない発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書には、段落【0051】に「従って、Nb_(2)O_(5)成分の含有量は・・・さらに好ましくは6.0%・・・を上限とする」と記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 カ.訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の請求項1で特定されていないSiO_(2)成分の含有量をさらに特定し、その数値範囲を「0?15.0%」とするものである。 したがって、当該訂正事項6は、訂正前の請求項に記載のない発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書には、段落【0056】に「従って、SiO_(2)成分の含有量は、好ましくは15.0%・・・を上限とする」と記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 キ.訂正事項7 訂正事項7は、請求項1の「モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?25.0%」を「モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%」へと訂正するものであり、要するに、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))について「2.5%?25.0%」を「2.5%?10.025%」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項7は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7は、訂正前のモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ク.訂正事項8 訂正事項8は、訂正前の請求項1で特定されていないガラス転移点をさらに特定し、その数値範囲を「600℃超」とするものである。 したがって、当該訂正事項8は、訂正前の請求項に記載のない発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書には、段落【0080】に「従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は・・・さらに好ましくは600℃超とする」と記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ケ.訂正事項9 訂正事項9は、訂正前の請求項1で特定されていない光学ガラスの用途についてさらに特定し、その用途について「リヒートプレス成形用光学ガラス」とするものである。 したがって、当該訂正事項9は、訂正前の請求項に記載のない発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許明細書には、段落【0082】に「作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形・・・等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる」と記載されていたから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 コ.訂正事項10 訂正事項10は、請求項3の「TiO_(2)成分 0?20.0%」を「TiO_(2)成分 0?10.0%」へと訂正するものであり、要するに、TiO_(2)成分の含有量について「0?20.0%」を「0?10.0%」に減縮するものである。 したがって、当該訂正事項10は、訂正前の請求項に記載された発明特定事項の限定であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項10は、訂正前のTiO_(2)成分の含有量の数値範囲内で限定するものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、この訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 サ.訂正事項11 訂正事項11は、請求項3において「Nb_(2)O_(5)成分 0?10.0%」とある記載を削除するものである。 そして、請求項3が引用する請求項1には、「Nb_(2)O_(5)成分の含有量が0?6.0%」であることが特定されており、訂正事項11は、請求項1の記載との整合を図るために上記事項を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項11は、新規事項を追加するものではなく、特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 シ.訂正事項12 訂正事項12は、請求項3において「SiO_(2)成分 0?15.0%」とある記載を削除するものである。 そして、請求項3が引用する請求項1には、「SiO_(2)成分の含有量が0?15.0%」であることが特定されており、訂正事項12は、請求項1の記載との整合を図るために上記事項を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項12は、新規事項を追加するものではなく、特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 ス.訂正事項13 訂正事項13は、請求項4を削除するというものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項13は、請求項4を削除するものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 セ.訂正事項14?17 訂正事項14?17は、選択的に引用する請求項の数を減少するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 そして、新規事項を追加するものではなく、特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。 2.一群の請求項について 訂正前の請求項2?9は、訂正事項1?9に係る訂正前の請求項1の記載をそれぞれ直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1?9によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、当該請求項1?9は、特許法126条第3項に規定する一群の請求項である。 3.独立特許要件について (1)本件訂正発明 特許請求の範囲の減縮を目的とする下記訂正後の請求項1?3、5?9に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」?「本件訂正発明3」、「本件訂正発明5」?「本件訂正発明9」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。(下線部が訂正箇所である) 【請求項1】 モル%で、 B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下、 La_(2)O_(3)成分を13.0%以上25.0%以下、 Y_(2)O_(3)成分を1.0%以上10.0%以下、 ZnO成分を0%超27.459%以下 含有し、 Li_(2)Oの含有量が1.0%未満、 Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満、 WO_(3)成分の含有量が0?6.917%、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が0?6.0%、 SiO_(2)成分の含有量が0?15.0%、 Ta_(2)O_(5)成分が0.1%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が18.0%以上30.0%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%であり、 1.82以上1.92以下の屈折率(n_(d))を有し、33以上45以下のアッベ数(ν_(d))を有し、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ_(70))が450nm以下であり、600℃超のガラス転移点を有する リヒートプレス成形用光学ガラス(但し、F成分を含有するものを除く)。 【請求項2】 モル%で、 ZrO_(2)成分 0?10.0% である請求項1に記載の光学ガラス。 【請求項3】 モル%で、 Yb_(2)O_(3)成分 0?10.0% Lu_(2)O_(3)成分 0?10.0% TiO_(2)成分 0?10.0% Na_(2)O成分 0?15.0% K_(2)O成分 0?10.0% Cs_(2)O成分 0?10.0% MgO成分 0?10.0% CaO成分 0?10.0% SrO成分 0?10.0% BaO成分 0?10.0% GeO_(2)成分 0?10.0% P_(2)O_(5)成分 0?10.0% Bi_(2)O_(3)成分 0?15.0% TeO_(2)成分 0?15.0% Al_(2)O_(3)成分 0?15.0% Ga_(2)O_(3)成分 0?15.0% Sb_(2)O_(3)成分 0?1.0% である請求項1又は2に記載の光学ガラス。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 モル和(Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3)+Ta_(2)O_(5))が10.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項6】 Rn_(2)O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)のモル和が20.0%以下であり、 RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)のモル和が11.0%以下である請求項1から3、又は5のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項7】 請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。 【請求項8】 請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。 【請求項9】 請求項8に記載の光学素子を備える光学機器。 以下、本件訂正発明1?3、5?9についての独立特許要件について検討する。 (2)東京地裁平成28年(ワ)第40817号特許権侵害差止等請求事件(以下、「特許権侵害差止等請求事件」という。)における特許無効の抗弁 特許権侵害差止等請求事件において、本件特許に対し、以下に示す乙第16号証?乙第22号証が提出され、特許無効の抗弁が行われた。 乙第16号証:中国特許出願公開公報CN101367611A 乙第17号証:実験報告書、副題:中国特許出願公開公報CN101367611Aに記載の光学ガラスのλ_(70)の確認(乙第16号証の実施例1、4、6、7、10、12の光学ガラスの測定用サンプルの作製、屈折率n_(d)、アッベ数v_(d)、λ_(70)の測定) 乙第18号証の1:平成27年8月7日付け拒絶理由通知書 乙第18号証の2:平成28年8月15日付け面接記録 乙第19号証:平成28年8月22日付け意見書 乙第20号証:実験報告書、副題:オハラ意見書の実験例1?4のTgの確認 乙第21号証:実験報告書、副題:特許第6014573号の実施例組成をベースとしたLn_(2)O_(3)量増量実験 乙第22号証:実験報告書、副題:特許第6014573号の実施例組成をベースとしたモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))の減量実験 (以下、それぞれ、「乙16」?「乙22」とする。) なお、特許権侵害差止等請求事件の特許無効の抗弁において提出された乙17、乙20?乙22は、特許権侵害差止等請求事件の被告であるHOYA株式会社の従業員が作製した実験報告書である。 特許無効の抗弁における無効理由1?4の概略は以下の通りである。 無効理由1:訂正前の請求項1に係る発明について、乙16に基づく新規性欠如(特許法第29条第1項第3号) 無効理由2:訂正前の請求項1に記載された成分組成についてのサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号) 無効理由3:訂正前の請求項1に係る発明のプレス成形性(ガラス転移点)についてのサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号) 無効理由4:訂正前の請求項1に係る発明の耐失透性についてのサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号) 以下、本件訂正発明1について、上記無効理由1?4に関する独立特許要件について検討するとともに、乙16に基づく進歩性欠如(特許法第29条第2項)に関する独立特許要件についても検討する。 さらに、本件訂正発明2?3、5?9についても同様に独立特許要件について検討する。 (3)独立特許要件についての検討 ア.乙16に基づく、特許法第29条第1項第3号(新規性)(無効理由1)、及び、同法第29条第2項(進歩性)について (ア)乙16の記載事項及び引用発明 乙16には、以下の事項が記載されている。(括弧内は抄訳である。) (【請求項1】重量比組成が、 SiO_(2):1?10%、B_(2)O_(3):10?35%、La_(2)O_(3):25?40%、Nb_(2)O_(5):4?20%、ZrO_(2):2?8%、Y_(2)O_(3):2?15%、ZnO:0?12%、TiO_(2):0?8%、WO_(3):0?7%、Na_(2)O、K_(2)OおよびLiO_(2)は全量の合計が2%未満、CaO、BaOおよびSrOは全量の合計が4%未満であることを特徴とする高屈折率の環境保全型重ランタンフリントガラス。) (本発明で解決する技術課題は、屈折率が1.80?1.90の環境保全型重ランタンフリントガラスを提供することであり、当該光学ガラスは耐失透性が良好である。) (本発明の有益な効果として、本発明は有害物質のPbOを含まず、コストの高いTa_(2)O_(5)およびGd_(2)O_(3)を含まず、易揮発性のフッ素を含まず、屈折率が1.80?1.90の環境保全型重ランタンフリントガラスが得られ、当該フリントガラスは耐失透性が良好である。) (表1?2は、本発明の12の実施例を示しており、各実施例に対応する屈折率nd、アッベ数vd、失透上限温度および化学的安定性を表に列記した。) (上記実施例からわかるように、本発明の光学ガラスは、屈折率ndが1.84?1.86、アッベ数vdが36?37、失透上限温度が約1140℃、化学的安定性が耐湿性Aランク、耐酸性3類であり、このように、本発明の光学ガラスは屈折率が高く、化学的安定性に優れ、耐失透性が良好な高屈折率の環境保全型重ランタンフリントガラスである。) ここで、上記表1?2は各組成が重量%で記載されており、実施例1?12のうち、実施例1、4、6、7、10、12について、重量%をモル%に変更すると、以下の表のようになる。 よって、乙16の実施例1、4、6、7、10、12には、本件訂正発明1の記載に則して、以下の引用発明1-1?1-6が記載されていると認められる。 引用発明1-1:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を43.45%、La_(2)O_(3)成分を13.88%、Y_(2)O_(3)成分を6.04%、ZnO成分を12.44%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が3.73%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が5.13%、SiO_(2)成分の含有量が5.62%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が5.48%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が19.92%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が13.09%であり、 1.8516の屈折率(n_(d))を有し、36.3のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1143℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 引用発明1-2:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を43.87%、La_(2)O_(3)成分を14.22%、Y_(2)O_(3)成分を6.40%、ZnO成分を12.56%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が3.17%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が5.44%、SiO_(2)成分の含有量が4.54%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が5.53%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が20.62%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が12.88%であり、 1.8553の屈折率(n_(d))を有し、36.6のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1140℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 引用発明1-3:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を43.23%、La_(2)O_(3)成分を15.21%、Y_(2)O_(3)成分を4.56%、ZnO成分を10.13%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が3.02%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が6.31%、SiO_(2)成分の含有量が6.86%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が5.58%、BaO成分が0.27%、SrO成分が0.53%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が19.77%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が13.63%であり、 1.8551の屈折率(n_(d))を有し、36.6のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1140℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 引用発明1-4:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を42.97%、La_(2)O_(3)成分を14.18%、Y_(2)O_(3)成分を6.38%、ZnO成分を12.52%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が3.11%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が5.42%、SiO_(2)成分の含有量が5.65%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が5.52%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が20.56%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が12.78%であり、 1.8576の屈折率(n_(d))を有し、36.3のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1140℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 引用発明1-5:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を39.65%、La_(2)O_(3)成分を14.58%、Y_(2)O_(3)成分を5.03%、ZnO成分を11.35%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が1.71%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が5.26%、SiO_(2)成分の含有量が11.86%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が6.43%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が19.61%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が11.10%であり、 1.8488の屈折率(n_(d))を有し、37.1のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1148℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 引用発明1-6:「モル%で、B_(2)O_(3)成分を39.04%、La_(2)O_(3)成分を13.31%、Y_(2)O_(3)成分を6.78%、ZnO成分を12.10%含有し、 Li_(2)Oの含有量が0%、Gd_(2)O_(3)の含有量が0%、WO_(3)成分の含有量が3.44%、Nb_(2)O_(5)成分の含有量が5.31%、SiO_(2)成分の含有量が11.96%、Ta_(2)O_(5)成分が0%、ZrO_(2)成分が3.89%であり、Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が20.09%であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が12.92%であり、 1.8438の屈折率(n_(d))を有し、36.6のアッベ数(ν_(d))を有し、失透上限温度が1140℃である光学ガラス(但し、F成分を含有しない)。」 (イ)本件訂正発明1と引用発明1-1について 本件訂正発明1と引用発明1-1を対比すると、 「モル%で、 B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下、 La_(2)O_(3)成分を13.0%以上25.0%以下、 Y_(2)O_(3)成分を1.0%以上10.0%以下、 ZnO成分を0%超27.459%以下 含有し、 Li_(2)Oの含有量が1.0%未満、 Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満、 WO_(3)成分の含有量が0?6.917%、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が0?6.0%、 SiO_(2)成分の含有量が0?15.0%、 Ta_(2)O_(5)成分が0.1%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が18.0%以上30.0%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 1.82以上1.92以下の屈折率(n_(d))を有し、33以上45以下のアッベ数(ν_(d))を有する成形用光学ガラス(但し、F成分を含有するものを除く)。」 の点で両者は一致し、以下の4点で相違する。 ・相違点1:本件訂正発明1は、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%であるのに対し、引用発明1-1は、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が13.09%である点。 ・相違点2:本件訂正発明1は、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ_(70))が450nm以下であるのに対し、引用発明1-1は、上記事項について記載されていない点。 ・相違点3:本件訂正発明1は、600℃超のガラス転移点を有するのに対し、引用発明1-1は、上記事項について記載されていない点。 ・相違点4:本件訂正発明1は、リヒートプレス成形用の光学ガラスであるのに対し、引用発明1-1はリヒートプレス成形用であるかどうか不明である点。 相違点1について検討すると、引用発明1-1のモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))は13.09%であり、明らかに本件訂正発明1で特定されている範囲内ではない。 よって、相違点1は実質的な相違点である。 したがって、本件訂正発明1は、乙16に記載された引用発明1-1ではない。 相違点1についてさらに検討する。 乙16には、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を調製することの記載も示唆もなく、引用発明1-1のモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を変更する動機付けがない。 さらに、技術常識からみて、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を変更した際に、耐失透性がどうなるかについての予測性もない。 したがって、引用発明1-1において相違点1を解消することは容易であるとはいえない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、乙16に記載された引用発明1-1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)本件訂正発明1と引用発明1-2?1-6について 引用発明1-2?1-6は、引用発明1-1に対して、各成分組成の含有量、屈折率、アッベ数、失透上限温度の点においてのみ相違するものである。 そして、引用発明1-2?1-6のモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))は、全て2.5%?10.025%の範囲外(具体的には、引用発明1-2は12.88%、引用発明1-3は13.63%、引用発明1-4は、12.78%、引用発明1-5は、11.10%、引用発明1-6は、12.92%である)であるから、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))について、本件訂正発明1と、引用発明1-2?1-6との間には、それぞれ相違点1と同様の相違点が存在する。 したがって、本件訂正発明1は、乙16に記載された引用発明1-2?1-6のいずれの発明でもない。 そして、上記(イ)で検討したように、乙16には、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を調製することの記載も示唆もないから、引用発明1-2?1-6についてもモル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を変更する動機付けがない。 さらに、技術常識からみて、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を変更した際に、耐失透性がどうなるかについての予測性もない。 したがって、引用発明1-2?1-6においても、この相違点を解消することは容易であるとはいえない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、乙16に記載された引用発明1-2?1-6のいずれかに基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 (エ)本件訂正発明1についてのまとめ 上記(イ)、(ウ)より、本件訂正発明1は、乙16に記載された発明ではない。 また、本件訂正発明1は、乙16に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (オ)本件訂正発明2?3、5?9について 本件訂正発明2?3、5?9は本件訂正発明1を直接または間接的に引用するものであるから、上記(イ)、(ウ)で検討したように、乙16に記載の引用発明1-1?1-6と対比すると、少なくとも相違点1と同じ相違点が存在する。そして、それらの相違点については、上記(イ)、(ウ)で検討したとおりであるから、本件訂正発明2?3、5?9は乙16に記載された発明ではなく、乙16に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 イ.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について(無効理由2?4)(下線は当審で付加したものである。) 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討することにより行うとされている。 (知的財産高等裁判所特別部判決平成17年(行ケ)第10042号参照) 上記観点に基づいて、本件特許の特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かについて検討する。 (ア)本件訂正発明の発明特定事項について 「本件訂正発明1」に係る「光学ガラス」は以下の「組成要件」と「物性要件」と「用途限定」に係る発明特定事項を有する。 「モル%で、 B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下、 La_(2)O_(3)成分を13.0%以上25.0%以下、 Y_(2)O_(3)成分を1.0%以上10.0%以下、 ZnO成分を0%超27.459%以下 含有し、 Li_(2)Oの含有量が1.0%未満、 Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満、 WO_(3)成分の含有量が0?6.917%、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が0?6.0%、 SiO_(2)成分の含有量が0?15.0%、 Ta_(2)O_(5)成分が0.1%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が18.0%以上30.0%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%であり」、及び、「但し、F成分を含有するものを除く」からなる「組成要件」と、 「1.82以上1.92以下の屈折率(n_(d))を有し、33以上45以下のアッベ数(ν_(d))を有し、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ_(70))が450nm以下であり、600℃超のガラス転移点を有する」からなる「物性要件」と、「リヒートプレス成形用光学ガラス」という用途限定。 (イ)本件発明が解決しようとする課題について 本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。) 摘記1-1:「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 光学系で用いられるレンズには球面レンズと非球面レンズがあり、非球面レンズを利用すれば光学素子の枚数を削減することができる。また、レンズ以外の各種光学素子にも複雑な形状をした面を備えたものが知られている。しかしながら、従来の研削、研磨工程で非球面や複雑な形状をした面を得ようとすると、高コストで且つ複雑な作業工程が必要であった。そこで、ゴブ又はガラスブロックから得られたプリフォーム材を、超精密加工された金型で直接プレス成形して光学素子の形状を得る方法、すなわち精密モールドプレス成形する方法が現在主流である。 ・・・ 【0007】 こうした精密モールドプレス成形やリヒートプレス成形に用いられるプリフォーム材の製造方法としては、滴下法によって熔融ガラスから直接製造する方法や、ガラスブロックをリヒートプレスし、或いはボール形状に研削加工して得られた加工品を研削研磨する方法がある。いずれの方法であっても、熔融ガラスを所望の形状に成形して光学素子を得るためには、精密モールドプレス成形を行い易いことと、形成されるガラスに失透が起こり難いことが求められる。 【0008】 また、光学ガラスの材料コストを低減するために、光学ガラスを構成する諸成分の原料費は、なるべく安価であることが望まれる。また、光学ガラスの製造コストを低減するために、原料の熔解性が高いこと、すなわちより低い温度で熔解することが望まれる。ところが、特許文献1?4に記載されたガラス組成物は、これらの諸要求に十分応えるものとは言い難い。 【0009】 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n_(d))及びアッベ数(ν_(d))が所望の範囲内にありながら、精密モールドプレス成形を行い易く、且つ耐失透性が高いプリフォーム材を、より安価に得ることにある。」 摘記1-2:「【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、B_(2)O_(3)成分及びLa_(2)O_(3)成分を含有するガラスにおいて、屈折率(n_(d))及びアッベ数(ν_(d))が所望の範囲内にあり、且つ、高屈折率高分散(当審注:高屈折率低分散の誤記と思われる。【0077】等参照)に寄与する成分の中でも材料コストの安いY_(2)O_(3)成分を含有させながら、精密モールドプレス成形を行い易い光学ガラスを得ることが可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。・・・」 よって、本件発明が解決しようとする課題は、屈折率(n_(d))及びアッベ数(ν_(d))が所望の範囲内にありながら、精密モールドプレス成形を行い易く、且つ耐失透性が高い高屈折率低分散光学ガラスを安価に提供することであるといえる。 そして、本件訂正発明1は、屈折率及びアッベ数を特定することで高屈折率低分散光学ガラスであること、組成要件においてB_(2)O_(3)、La_(2)O_(3)、Y_(2)O_(3)の含有量を特定することで安価な光学ガラスであること、(エ)で後述するように、用途限定することでプレス成形性を有する光学ガラスであること、及び、(オ)で後述するように、ガラス転移点を特定することで耐失透性の高い光学ガラスであることを特定するものとなっている。 (ウ)無効理由2について 特許請求の範囲の記載において、組成要件と共に、課題とする物性が物性要件を用いて特定されているガラスの発明に対し、上述したサポート要件の判断基準を適用すると、組成要件により特定される各成分の含有量の数値範囲は、「当該物性」が得られる複数の配合組成(具体的な成分と含有量の組み合わせ)が存在する範囲を画定するものである以上、発明の詳細な説明の記載により、少なくとも組成要件として特定されている各成分の含有量の数値範囲において、物性要件を満たす配合組成が存在することを当業者が認識できるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし、そのことが認識できるか否かという観点からの検討が必要である。 ここで、特許権侵害差止等請求事件の無効の抗弁の無効理由2は、要するに、「本件訂正発明1が規定する各成分の含有量は実施例で採用された各成分の含有量に比べて極めて広範囲であり、本件訂正発明1で規定する含有量のすべてにわたって課題を解決できるか理解できない。」というものである。 以下、本件訂正発明の実施例に記載の各成分組成の最大値又は最小値と、組成要件1で特定される各成分組成の上限値又は下限値が離れている成分について検討する。 a.本件特許明細書の記載 本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである) 摘記1-3:「【0040】 <必須成分、任意成分について> B_(2)O_(3)成分は、希土類酸化物を多く含む本発明の光学ガラスでは、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、B_(2)O_(3)成分の含有量を10.0%以上にすることで、ガラスの耐失透性を高め、且つガラスのアッベ数を高められる。従って、B_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%を下限とする。 一方、B_(2)O_(3)成分の含有量を50.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%を上限とする。・・・」 摘記1-4:「【0041】 La_(2)O_(3)成分は、ガラスの屈折率を高め、且つガラスのアッベ数を高める必須成分である。従って、La_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは13.0%を下限とする。 一方、La_(2)O_(3)成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLa_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%を上限とする。・・・」 摘記1-5:「【0042】 Y_(2)O_(3)成分は、0%超含有することで、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、ガラスの材料コストを抑えられ、且つ、他の希土類成分よりもガラスの比重を低減できる必須成分である。従って、Y_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは2.0%、さらに好ましくは3.0%を下限とする。 一方で、Y_(2)O_(3)成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、Y_(2)O_(3)成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは6.0%を上限とする。・・・」 摘記1-6:「【0043】 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(モル和)は、10.0%以上40.0%以下が好ましい。 特に、この和を10.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数がいずれも高められるため、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得易くすることができる。従って、Ln_(2)O_(3)成分のモル和は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは16.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは18.0%を下限とする。 一方で、この和を40.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。従って、Ln_(2)O_(3)成分のモル和は、好ましくは40.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは22.0%を上限とする。」 摘記1-7:「【0044】 Gd_(2)O_(3)成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つアッベ数を高められる任意成分である。 一方で、希土類元素の中でも特に高価なGd_(2)O_(3)成分を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これによりガラスのアッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Gd_(2)O_(3)成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。・・・」 摘記1-8:「【0046】 本発明の光学ガラスは、上述のLn_(2)O_(3)成分のうち2種以上の成分を含有することが好ましい。これにより、ガラスの液相温度がより低くなるため、より耐失透性の高いガラスを得られる。特に、Ln_(2)O_(3)成分として、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上の成分を含有することが、ガラスの液相温度を低くし易くできる点と、安価な光学ガラスを作製できる点で好ましい。」 摘記1-9:「【0047】 TiO_(2)成分、WO_(3)成分及びNb_(2)O_(5)成分のモル和は、1.0%以上30.0%以下が好ましい。 特に、このモル和を1.0%以上にすることで、Ta_(2)O_(5)成分等を低減しても所望の光学恒数が得られるため、所望の光学特性を有する光学ガラスをより安価に作製できる。従って、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))は、好ましくは1.0%、より好ましくは2.5%、さらに好ましくは5.0%を下限とする。 一方で、このモル和を30.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による液相温度の上昇が抑えられるため、光学ガラスの失透を低減できる。従って、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%を上限とする。」 摘記1-10:「【0048】 ZrO_(2)成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。従って、ZrO_(2)成分の含有量を、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは0.8%超としてもよい。 一方で、ZrO_(2)成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO_(2)成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO_(2)成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。・・・」 摘記1-11:「【0049】 WO_(3)成分は、0%超含有する場合に、他の高屈折率成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、ガラス転移点を低くでき、且つガラスの耐失透性を高められる任意成分である。従って、WO_(3)成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.3%超、さらに好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。 一方で、WO_(3)成分の含有量を20.0%以下にすることで、WO_(3)成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO_(3)成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは17.0%以下、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは13.0%以下を上限とする。・・・」 摘記1-12:「【0051】 Nb_(2)O_(5)成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高めてアッベ数を小さくでき、且つガラスの液相温度を低くすることで耐失透性を高められる任意成分である。 一方で、Nb_(2)O_(5)成分の含有量を10.0%以下にすることで、Nb_(2)O_(5)成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、Nb_(2)O_(5)成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは6.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。・・・」 摘記1-13:「【0052】 ZnO成分は、0%超含有する場合に、ガラス転移点を低くでき、且つ化学的耐久性を改善できる任意成分である。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは12.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは24.0%を下限としてもよい。 一方で、ZnO成分の含有量を38.0%以下にすることで、液相温度を低くでき、且つ、ガラス転移点の必要以上の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは38.0%、より好ましくは36.0%、さらに好ましくは35.0%を上限とする。・・・」 摘記1-14:「【0053】 Ta_(2)O_(5)成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。 一方で、高価なTa_(2)O_(5)成分を10.0%未満にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価に光学ガラスを作製できる。また、これにより原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta_(2)O_(5)成分の含有量は、好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下とする。・・・」 摘記1-15:「【0056】 SiO_(2)成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減でき、且つ耐失透性を高められる任意成分である。従って、SiO_(2)成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは4.0%を下限としてもよい。 一方で、SiO_(2)成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO_(2)成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは12.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは9.0%を上限とする。・・・」 摘記1-16:「【0057】 Li_(2)O成分は、0%超含有する場合に、ガラス転移点を低くできる任意成分である。 一方で、Li_(2)O成分の含有量を8.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて失透を低減でき、化学的耐久性を高められる。従って、Li_(2)O成分の含有量は、好ましくは8.0%以下、より好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。・・・」 摘記1-17:「【0070】 F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高めつつ、ガラス転移点を低くし、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。 しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が15.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。 従って、F成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。・・・」 b.本件訂正発明1について 組成要件と実施例の記載との関係(成分組成の数値範囲)について検討する。 本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載の実施例1?71のうち、本件訂正発明1で特定される事項を満たす実施例は、実施例2?5、7?10、12?17、21?23、26?44、47?54、66?68(以下、まとめて「本件訂正発明1実施例」ということがある。)である。 実施例に記載の各成分組成の最大値、最小値と、組成要件で特定される各成分組成の上限値、下限値とが離れている成分についてのサポート要件について検討する。 本件訂正発明1実施例に記載されている各成分含有量(モル%)の最小値及び最大値は以下の通りである。 B_(2)O_(3)成分:最小値32.099モル%、最大値40.940モル% La_(2)O_(3)成分:最小値14.412モル%、最大値17.844モル% Y_(2)O_(3)成分:最小値1.759モル%、最大値5.390モル% ZnO成分:最小値20.153モル%、最大値27.459モル% Li_(2)O成分:最小値0モル%、最大値0.790モル% Gd_(2)O_(3)成分:最小値0モル%、最大値0モル% WO_(3)成分:最小値1.269モル%、最大値6.917モル% Ta_(2)O_(5)成分:最小値0モル%、最大値0モル% Nb_(2)O_(5)成分:最小値1.729モル%、最大値4.964モル% SiO_(2)成分:最小値0モル%、最大値14.148モル% Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和:最小値18.639%、最大値21.637% モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5)):最小値6.028%、最大値10.025% (a)ZnO成分について 実施例16には、ZnO成分の含有量を27.459モル%とした光学ガラスが記載されており、上限値を満たす実施例が存在している。 また、実施例53には、B_(2)O_(3)成分を40.728モル%、La_(2)O_(3)成分を17.729モル%、Y_(2)O_(3)成分を1.885モル%、WO_(3)成分を3.428モル%、ZrO_(2)成分を3.016モル%、Nb_(2)O_(5)成分を4.398モル%、ZnO成分を20.153モル%、SiO_(2)成分を8.052モル%、Li_(2)O成分を0.611モル%とした光学ガラスが記載されている。 摘記1-13に記載されているように、ZnO成分はガラス転移点を低くでき、且つ化学的耐久性を改善できる任意成分であるため、ZnO成分の含有量を減少させた場合はガラス転移点が上昇するといえるが、(エ)で後述するように、リヒートプレス成形用に特定することで、この点においては、発明の課題を解決できる光学ガラスになるということができるが、ZnO成分を減少させた分、他の成分の含有量が増え、それに伴い各物性も変化するものといえる。 そこで、ZnO成分を20.153モル%から0.1モル%まで減少(20.053モル%分減少)させた場合の他の成分について検討する。 ガラス形成成分であるSiO_(2)成分とB_(2)O_(3)成分をそれぞれ8.052モル%から15.0モル%(6.948モル%分増加)、40.728モル%から45.0モル%(4.272モル%増加)に変更することでガラスの安定性及び耐失透性を高めることができるが、SiO_(2)成分とB_(2)O_(3)成分を増やすと屈折率が低下するため(摘記1-3、1-15)、屈折率の低下を防ぐために、残りの8.833モル%分を屈折率とアッベ数を増大させる成分であるLa_(2)O_(3)成分(摘記1-4)とY_(2)O_(3)成分(摘記1-5)を増加させる(例えば、La_(2)O_(3)成分を17.729モル%から20.0モル%(2.271モル%分増加)、Y_(2)O_(3)成分を1.885モル%から8.447モル%(6.562モル%分増加)に変更する)ことで発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、ZnO成分の下限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (b)B_(2)O_(3)成分について 実施例27には、B_(2)O_(3)の含有量を32.099モル%とした光学ガラスが記載されており、下限値を満たす実施例が存在している。 また、上記(a)で検討したように、上限値である45.0モル%は、SiO_(2)成分、Y_(2)O_(3)成分及びZnO成分の含有量を変更することで、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、B_(2)O_(3)成分の上限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (c)La_(2)O_(3)成分について 実施例30には、B_(2)O_(3)成分を40.940モル%、La_(2)O_(3)成分を16.561モル%、Y_(2)O_(3)成分を5.077モル%、WO_(3)成分を3.464モル%、Nb_(2)O_(5)成分を4.964モル%、ZnO成分を22.185モル%、SiO_(2)成分を6.809モル%とした光学ガラスが記載されており、La_(2)O_(3)成分を上限値の25.0モル%に変更(8.439モル%増量)する際の他の成分の調整について検討する。 摘記1-4に記載されているように、La_(2)O_(3)成分はガラスの屈折率を高め、且つガラスのアッベ数を高める成分であるが、含有量が多くなると安定性が低下する懸念があるため、La_(2)O_(3)成分を増加させるとともに、安定性を確保するために、SiO_(2)成分を6.809モル%から15.0モル%に変更(8.191モル%増量)し、La_(2)O_(3)成分とSiO_(2)成分の増加分(16.630モル%)に対して、含有量を減らしても屈折率、アッベ数に大きな影響のないZnO成分で調製(22.185モル%から5.632モル%へ16.553モル%分減少)し、さらに、Y_(2)O_(3)成分を特性に影響のない程度減少させること(5.077モル%から5.0モル%に変更)で、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、La_(2)O_(3)成分の上限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (d)Y_(2)O_(3)成分について Y_(2)O_(3)成分はLa_(2)O_(3)成分とともに、高屈折率、高アッベ数を得ることができるガラス成分であるから、実施例50のY_(2)O_(3)成分を1.759モルから0モル%に減少させる代わりに、La_(2)O_(3)成分を17.624モル%から19.383モル%に増加させれば、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、Y_(2)O_(3)成分の下限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 また、ZrO_(2)成分も高屈折率、高アッベ数を得ることができるガラス成分であるから(摘記1-10)、実施例22のY_(2)O_(3)成分を4.132モル%から10.0モル%に変更(5.868モル%分増加)する代わりに、La_(2)O_(3)成分を15.086モル%から最小値の13.0%に変更(2.086モル%減少)するとともに、ZrO_(2)成分を4.045モル%から0.263モル%に変更(3.782モル%減少)することで、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、Y_(2)O_(3)成分の上限値も発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (e)Ln_(2)O_(3)成分について 上記(c)で検討したように、実施例30において、La_(2)O_(3)成分を25.0モル%、Y_(2)O_(3)成分を5.0モル%に変更した場合、Ln_(2)O_(3)成分のモル和は30.0モル%となり、Ln_(2)O_(3)成分の上限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 また、Ln_(2)O_(3)成分のモル和の最小値は実施例8の18.639%であり、SiO_(2)成分、B_(2)O_(3)成分等を調製してLn_(2)O_(3)成分のモル和を18.0モル%に変更しても、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、Ln_(2)O_(3)成分の下限値も発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (f)SiO_(2)成分について SiO_(2)成分の含有量は、実施例16に0モル%とすることが記載されており、下限値を満たす実施例が存在している。 また、実施例27に14.148モル%とすることが記載されており、実施例27について、B_(2)O_(3)成分等を調製してSiO_(2)成分の含有量15.0モル%に変更しても、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、SiO_(2)成分の上限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (g)Nb_(2)O_(5)成分について Nb_(2)O_(5)成分は、TiO_(2)成分とともに、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高めることができ、且つガラスの液相温度を低くすることで耐失透性を高められる任意成分である(摘記1-9、1-12)。 ここで、実施例7には、Nb_(2)O_(5)成分の含有量を1.729モル%、TiO_(2)成分を0モル%とすることが記載されており、Nb_(2)O_(5)成分を全てTiO_(2)成分に置き換えたとしても発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、Nb_(2)O_(5)成分の下限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 また、実施例10には、Nb_(2)O_(5)成分を1.814モル%、TiO_(2)成分を4.702モル%とすることが記載されており、TiO_(2)成分の一部(4.186モル%)をNb_(2)O_(5)成分に置き換えて、Nb_(2)O_(5)成分を6.0モル%とすることで、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、Nb_(2)O_(5)成分の上限値も発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 (h)WO_(3)成分について WO_(3)成分は、0%超含有する場合に、他の高屈折率成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、ガラス転移点を低くでき、且つガラスの耐失透性を高められる任意成分であるが(摘記1-11)、SiO_(2)成分も、0%超含有する場合に、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減でき、且つ耐失透性を高められる任意成分であり、また、屈折率を高めるガラス成分として、La_(2)O_(3)成分、Y_(2)O_(3)成分等があるから、実施例10において、WO_(3)成分を1.269モル%から0モル%に減少させ、代わりに、SiO_(2)成分、La_(2)O_(3)成分、Y_(2)O_(3)成分を増加させても、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、WO_(3)成分の下限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 また、実施例17には、WO_(3)成分の含有量を6.917モル%とした光学ガラスが記載されており、上限値を満たす実施例が存在している。 (i)モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))について 上記(h)に記載したように、WO_(3)成分を減少させる代わりに、SiO_(2)成分、La_(2)O_(3)成分、Y_(2)O_(3)成分を増加させても発明の課題を解決するような光学ガラスを形成できないとまではいえず、例えば、実施例7において、WO_(3)成分を5.861モル%から0.772モル%まで5.089モル%分減少させることで、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))を7.589モル%から2.5モル%へ調製し、代わりに減少分の5.089モル%をSiO_(2)成分、La_(2)O_(3)成分、Y_(2)O_(3)成分の量を調製して形成した場合、発明の課題を解決できる光学ガラスを形成できると当業者が認識できることから、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))の下限値は発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 また、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))の上限値である10.025%は実施例17に記載されている。 (j)小括 本件訂正発明1で特定されている組成要件の各成分について、各上限値及び下限値は、発明の詳細な説明の記載から、発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 そして、上記組成要件は、高屈折率低分散光学ガラスを安価に提供するという課題についても、解決できると当業者が認識できる範囲のものであるといえる。 したがって、成分組成についてのサポート要件適合性に係る無効理由2には理由がない。 本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2?3、5?9についても本件訂正発明1と同様であって、無効理由2には理由がない。 (エ)無効理由3について 特許権侵害差止等請求事件の無効の抗弁の無効理由3は、要するに、「本件特許明細書の記載によれば、精密モールドプレス成形を行い易くするためには、ガラス転移点(Tg)が630℃以下であること、最大でもガラス転移点(Tg)が651℃未満(比較例よりも低いこと)とすることと理解できるが、本件訂正発明1は、数多くの成分についてその含有量を広範囲に規定するものであるが、なかでもZnO成分については、0%超35.0%以下と幅広く規定しており、これに対し、本件特許明細書の実施例において、ZnO成分の含有量は20.153%?34.672%であり、20%以下の実施例は存在しないが、どのような組成であればガラス転移点(Tg)を651℃未満とすることができるかについて何ら具体的に開示しておらず、乙20において、ZnO成分が20%以下である光学ガラスのガラス転移点(Tg)を調べたところ、651℃を優に上回ることが確認されたため、当業者は、ZnO成分の含有量が20%以下の場合に、どのような組成であれば、精密モールドプレス成形の容易性に関する本件発明の課題を解決するのかを理解することができないのであるから、サポート要件に適合していない。」というものである。 また、「精密モールドプレス成形の容易性に関する課題についての評価指標は(iii)ガラス転移点(Tg)しかあり得ない。」とも主張されている。 上記理由について検討する。 精密モールドプレス成形が再加熱(リヒート)を要するプレス成形であることは技術常識である。 すなわち、精密モールドプレス成形は、精密金型を用いるリヒートプレス成形である。 このことは、本件特許明細書の段落【0080】において、「一方で、光学ガラスが630℃以下のガラス転移点を有することで、ガラスがより低い温度で軟化するため、より低い温度でガラスをプレス成形し易くできる。また、プレス成形に用いる金型の酸化を低減して金型の長寿命化を図ることもできる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは630℃、より好ましくは625℃、さらに好ましくは620℃を上限とする。」(摘記1-18)と、好ましいガラス転移点について精密モールドプレス成形とリヒートプレス成形とを区別せずに説明していることとも整合している。 そうすると、訂正事項9により、本件訂正発明1はリヒートプレス成形用光学ガラスと用途限定されているため、リヒートプレス成形のみならず、精密モールドプレス成形に用いることのできないガラス転移点の高い光学ガラスは本件訂正発明1から排除されたといえる。 すなわち、ZnO成分が20%以下の場合についても、精密モールドプレス成形に用いることができないようなガラス転移点となるものは本件訂正発明1に含まれないといえるから、本件訂正発明1の光学ガラスは、発明の課題を解決できると当業者が認識できるものであるといえる。 したがって、プレス成形性(ガラス転移点)に関するサポート要件適合性に係る無効理由3には理由がない。 本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2?3、5?9についても本件訂正発明1と同様であって、無効理由3には理由がない。 (オ)無効理由4について 特許権侵害差止等請求事件の無効の抗弁の無効理由4は、要するに、「本件訂正発明1が規定する各成分の含有量の範囲が、本件訂正発明1実施例の各成分の含有量と比べて著しく広く、本件発明の課題である耐失透性の高い光学ガラスを提供できない場合が含まれており、特に、乙21、乙22の実験報告書を示し、Ln_(2)O_(3)成分、モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))について、サポート要件に適合していない。」というものである。 上記理由について検討する。 本件訂正発明1は、ガラス転移点の下限を600℃超とすることが特定されている。 そして、本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。 摘記1-19:「【0080】 本発明の光学ガラスは、580℃超630℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。 特に、光学ガラスが580℃超のガラス転移点を有することで、1.80以上1.95以下の屈折率(n_(d))及び30以上45以下のアッベ数(ν_(d))を有する高屈折率低分散の光学ガラスであっても、ガラスの結晶化が起こり難くなるため、ガラス作製時の失透を低減でき、これによりプレス成形を行い易いガラスを得られる。特に、屈折率が高くアッベ数の大きなガラスであるほど、ガラスの結晶化が起こり易い傾向があるため、ガラス転移点を580℃超の温度範囲にすることによる効果は顕著である。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは580℃超、より好ましくは590℃超、さらに好ましくは600℃超とする。・・・」 よって、本件訂正発明1は、「600℃超のガラス転移点を有する」ことを特定することで、耐失透性の高い光学ガラスに限定されたと理解できるものである。 したがって、耐失透性についてのサポート要件適合性に係る無効理由4には理由がない。 本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2?3、5?9についても本件訂正発明1と同様であって、無効理由4には理由がない。 (カ)サポート要件についてのまとめ 上記(ウ)?(オ)のとおり、本件訂正発明1?3、5?9は、サポート要件を満たしているものと当業者が認識できるものであって、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 ウ.訂正後の発明の独立特許要件について 上記ア.のとおり、本件訂正発明1?3、5?9に係る発明は、乙16に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 また、乙16に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。 さらに、本件訂正発明1?3、5?9に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものとはいえない。 そして、本件訂正発明1?3、5?9に係る発明について、他に、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、第5項?第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 モル%で、 B_(2)O_(3)成分を32.099%以上45.0%以下、 La_(2)O_(3)成分を13.0%以上25.0%以下、 Y_(2)O_(3)成分を1.0%以上10.0%以下、 ZnO成分を0%超27.459%以下 含有し、 Li_(2)Oの含有量が1.0%未満、 Gd_(2)O_(3)の含有量が0.1%未満、 WO_(3)成分の含有量が0?6.917%、 Nb_(2)O_(5)成分の含有量が0?6.0%、 SiO_(2)成分の含有量が0?15.0%、 Ta_(2)O_(5)成分が0.1%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Yb、Luからなる群より選択される1種以上)のモル和が18.0%以上30.0%以下であり、 Ln_(2)O_(3)成分のうち、La_(2)O_(3)成分とY_(2)O_(3)成分を含む2種以上成分を含有し、 モル和(TiO_(2)+WO_(3)+Nb_(2)O_(5))が2.5%?10.025%であり、 1.82以上1.92以下の屈折率(n_(d))を有し、33以上45以下のアッベ数(ν_(d))を有し、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ_(70))が450nm以下であり、600℃超のガラス転移点を有する リヒートプレス成形用光学ガラス(但し、F成分を含有するものを除く)。 【請求項2】 モル%で、 ZrO_(2)成分 0?10.0% である請求項1に記載の光学ガラス。 【請求項3】 モル%で、 Yb_(2)O_(3)成分 0?10.0% Lu_(2)O_(3)成分 0?10.0% TiO_(2)成分 0?10.0% Na_(2)O成分 0?15.0% K_(2)O成分 0?10.0% Cs_(2)O成分 0?10.0% MgO成分 0?10.0% CaO成分 0?10.0% SrO成分 0?10.0% BaO成分 0?10.0% GeO_(2)成分 0?10.0% P_(2)O_(5)成分 0?10.0% Bi_(2)O_(3)成分 0?15.0% TeO_(2)成分 0?15.0% Al_(2)O_(3)成分 0?15.0% Ga_(2)O_(3)成分 0?15.0% Sb_(2)O_(3)成分 0?1.0% である請求項1又は2に記載の光学ガラス。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 モル和(Gd_(2)O_(3)+Yb_(2)O_(3)+Ta_(2)O_(5))が10.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項6】 Rn_(2)O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)のモル和が20.0%以下であり、 RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)のモル和が11.0%以下である請求項1から3、又は5のいずれか記載の光学ガラス。 【請求項7】 請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。 【請求項8】 請求項1から3、5又は6のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。 【請求項9】 請求項8に記載の光学素子を備える光学機器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2018-03-05 |
結審通知日 | 2018-03-07 |
審決日 | 2018-03-27 |
出願番号 | 特願2013-241228(P2013-241228) |
審決分類 |
P
1
41・
856-
Y
(C03C)
P 1 41・ 537- Y (C03C) P 1 41・ 121- Y (C03C) P 1 41・ 853- Y (C03C) P 1 41・ 113- Y (C03C) P 1 41・ 851- Y (C03C) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 立木 林 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
山本 雄一 大橋 賢一 |
登録日 | 2016-09-30 |
登録番号 | 特許第6014573号(P6014573) |
発明の名称 | 光学ガラス、プリフォーム材及び光学素子 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 新山 雄一 |
代理人 | 新山 雄一 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 林 一好 |