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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1339411
審判番号 不服2017-9068  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-21 
確定日 2018-04-12 
事件の表示 特願2015-242025号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月15日出願公開、特開2017-104383号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年12月11日の出願であって、平成28年9月14日付け拒絶理由通知に対して、同年11月18日付けで手続補正がなされたところ、平成29年4月14日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年4月25日)、これに対して、同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について本件補正前に、
(平成28年11月18日付け手続補正)
「【請求項1】
所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
演出制御手段は、
前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
前記変動演出の実行中に前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に所定期間、表示させるとともに、前記操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を前記所定期間、前記操作手段に表示させ、
前記所定期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行し、
前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合と、
前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合とがあることを特徴とする遊技機。」
とあったものを、

(本件補正である平成29年6月21日付け手続補正)
「【請求項1】
所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
演出制御手段は、
前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
前記変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に実行させるとともに、前記操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を前記操作手段に実行させることが可能であり、
前記所定の有効期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行可能であり、
前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合と、
前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合とがあり、
前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。

2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「操作促進表示演出」に関して、「前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合」とあったものを「前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合」と限定し、
さらに、「前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合」とあったものを「前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合」と限定すると共に、
補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「操作演出」に関して、
「前記所定期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行し、」とあったものを「前記所定の有効期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行可能であり」と限定し、
「前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行可能である」ことを付加することを含むものである。
さらに、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面等の記載からみて、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Fは、分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
B 演出制御手段は、
B1 前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
B2 前記変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に実行させるとともに、前記操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を前記操作手段に実行させることが可能であり、
B3 前記所定の有効期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行可能であり、
B4 前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合と、
B5 前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合とがあり、
B6 前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-208497号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。

・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)、回胴遊技機(スロットマシン)、封入式遊技機あるいはメダルレススロットマシンに代表される遊技台に関する。」

イ (第3実施形態)
「【5790】
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC(S-ROM)416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタンセンサ426と、スピーカ120から出力される音量を調整する音量調整スイッチ161(図449では図示せず)と、設定操作部137の各ボタンの押下を検出する操作部センサ(図示せず)と、これらのセンサからの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ)434と、を接続している。 次に、パチンコ機100の第2副制御部500について説明する。第2副制御部500は、第1副制御部400が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第2副制御部500の全体を制御する基本回路502を備えている。基本回路502は、CPU504と、一時的にデータを記憶するためのRAM508と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O510と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ512とを搭載している。基本回路502のCPU504は、水晶発振器514が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。また、基本回路502には、第2副制御部500の全体を制御するための制御プログラムおよびデータ、画像表示用のデータ等が記憶されたROM506が設けられている。
・・・
【5997】
図466(b)は、チャンスボタン136の操作有効期間が開始された状態を示している。演出表示領域208dの中央には、チャンスボタン136を模した画像と、当該画像の上方には3つの矢印と、「PUSH!」という文字列とが表示され、当該画像の下方には操作有効期間を示すメーター画像が表示される。これらの表示は、操作促進報知の一例である。また、メーター画像は、当初全体が白色以外で表示され、時間の経過とともに白色部分が増加し、操作有効期間が終了すると全体が白色で表示されるようになっている。また、チャンスボタン136の操作有効期間中、チャンスボタンランプ138が発光し(図中、クロスハッチングで示す)、チャンスボタン136の操作を促している。」

ウ (第4実施形態)
「【6137】
球貯留皿付扉108は、ぱちんこ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で、且つ発射装置へと遊技球を案内する扉側球通路ユニットが設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、を備える。また、下皿128が満タンであることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。
・・・
<副制御部>
【6169】
次に、ぱちんこ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発信器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。
【6170】
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426と、設定操作部137の各ボタンの押下操作を検出する操作部センサ427と、遮蔽装置センサ430・チャンスボタン検出センサ426・操作部センサ427からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続している。
・・・
【6183】
図480(b)は装飾図柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」?「装飾10」の10種類がある。第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞したこと、すなわち、第1特図始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは第2特図始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・・「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。」

エ 「<第1副制御部400の処理>
【6271】
次に、図490を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、同図(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。同図(b)は、第1副制御部400のコマンド受信割込処理のフローチャートである。同図(c)は、第1副制御部400のタイマ割込処理のフローチャートである。同図(d)は、第1副制御部400の画像制御処理のフローチャートである。
【6272】
まず、同図(a)のステップS301では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、まずステップS301で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポートの初期設定や、RAM408内の記憶領域の初期化処理等を行う。ステップS303では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、ステップS305の処理に移行する。ステップS305では、タイマ変数に0を代入する。ステップS307では、コマンド処理を行う。第1副制御部400のCPU404は、主制御部300からコマンドを受信したか否かを判別する。
【6273】
ステップS309では、演出制御処理を行う。例えば、ステップS307で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行う。ステップS311では、チャンスボタン136や設定操作部137などの操作手段の押下を検出していた場合、ステップS309で更新した演出データを操作手段の押下に応じた演出データに変更する処理を行う。ステップS313では、ステップS309で読み出した演出データの中にVDP434への命令がある場合には、この命令をVDP434に出力する(詳細は後述)。
【6274】
ステップS315では、ステップS309で読み出した演出データの中に音源IC416への命令がある場合には、この命令を音源IC416に出力する。ステップS317では、ステップS309で読み出した演出データの中に各種ランプ418への命令がある場合には、この命令を駆動回路420に出力する。ステップS319では、ステップS309で読み出した演出データの中に遮蔽装置246への命令がある場合には、この命令を駆動回路432に出力する。ステップS321では、ステップS309で読み出した演出データの中に第2副制御部500に送信する制御コマンドがある場合には、この制御コマンドを出力する設定を行い、ステップS303へ戻る。
・・・
【6300】
ステップS1101では、主制御部300から受信したコマンド(例えば、図柄変動開始コマンド)に含まれる大当りフラグの値を参照し、大当りフラグの値がオンの場合には大当りの当選と判定してステップS1102に進み、大当りフラグの値がオフの場合には大当りの非当選と判定してステップS1103に進む。ステップS1102では、後述する予告抽選テーブルの「大当り(15R系)」、「大当り(突然確変)」、または「大当り(潜伏確変)」に対応する抽選値を用いて予告抽選を行った後にステップS1106に進む。」

オ 「<操作手段画像表示実施例7>
【6369】
次に、図503を用いて、上述の操作手段画像表示処理によって行われる操作手段画像表示の実施例7について説明する。なお、同図は、実施例7の操作手段画像表示を時系列に示した図である。本実施例では、操作手段画像表示に加えて、上述の予告抽選処理による予告演出を行うように構成している。
【6370】
同図(a)に示すタイミングでは、チャンスボタン136の操作の受付期間(この例では、6秒間)の開始タイミングが到来したことを契機として、チャンスボタン136の1回目の操作に対応する第1の操作手段画像BG1(この例では、チャンスボタンを模した画像)を装飾図柄表示装置208の中央表示領域に表示している。
【6371】
また、この第1の操作手段画像BG1の表示とほぼ同じタイミングで、チャンスボタン136の操作の受付期間の経過時間を報知するための第1の経過時間報知画像TG1-1(この例では、チャンスボタン136の操作の受付期間の経過時間に合わせてメーターの目盛り(塗り潰し部分)が徐々に少なくなっていく画像)を、第1の色(この例では、青色)で第1の操作手段画像BG1の下方に表示している。」

カ 「<操作手段画像表示の実施例9>
【6389】
次に、図505を用いて、上述の操作手段画像表示処理によって行われる操作手段画像表示の実施例9について説明する。なお、同図は、実施例9の操作手段画像表示を時系列に示した図である。本実施例では、操作手段画像表示に加えて、保留アイコンおよび変動アイコンの表示を行うように構成している。
・・・
【6400】
同図(f)は、同図(c)に示す状態、すなわち、チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間(6秒)が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われたタイミングを示している。このタイミングでは、チャンスボタン136の操作が行われたことから、第1の操作手段画像BG1と第1の経過時間報知画像TG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(この例では、「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示している。すなわち、この例では、当該特図変動の当否結果を示唆する情報の一部が変動アイコンCIによって覆われることにより、当該情報の一部が視認不能または視認困難な状態とされている。」

キ 「<操作手段画像表示の実施例19>
【6481】
次に、図518を用いて、上述の操作手段画像表示処理によって行われる操作手段画像表示の実施例19について説明する。なお、同図は、実施例19の操作手段画像表示を時系列に示した図である。
【6482】
本実施例では、同図(a)、(b)に示すように、装飾図柄表示装置208の表示領域内に、特図1第4図柄表示領域208eと特図2第4図柄表示領域208fを設けている。この特図1第4図柄表示領域208eは、特図1変動遊技の当否結果を表示し、特図2第4図柄表示領域208fは、特図2変動遊技の当否結果を表示する領域であり、例えば、特図変動遊技中(特図の変動中)は菱形の図形を点滅表示する。
【6483】
同図(c)に示すタイミングは、同図(b)に示すチャンスボタン136の操作の受付開始タイミングから所定時間が経過したタイミングを示している。このタイミングでは、遮蔽装置246の右扉246bを閉じる方向に移動し、当該右扉246bで第1の操作手段画像BG1、第1の経過時間報知画像TG1、および保留アイコンの一部と、変動表示中の装飾図柄のすべてを覆うことにより、第1の操作手段画像BG1、第1の経過時間報知画像TG1、および保留アイコンの一部と、変動中の装飾図柄のすべてが視認不能または視認困難な状態となるように構成している。」

ク 「(付記H11)
【7975】
遊技球が進入可能な複数の進入領域と、前記複数の進入領域のうち、第一の進入領域を少なくとも含む所定の進入領域に遊技球が進入した場合に、少なくとも当否判定を実行可能な当否判定手段と、前記複数の進入領域のうち、前記所定の進入領域とは異なる第二の進入領域に遊技球が進入した場合に、少なくとも補助当否判定を実行可能な補助当否判定手段と、図柄の変動表示を行った後で、前記補助当否判定の結果に対応する図柄態様を停止表示する第一の図柄変動表示を少なくとも実行可能な第一の報知手段と、図柄の変動表示を行った後で、前記補助当否判定の結果に対応する図柄態様を停止表示する第二の図柄変動表示を少なくとも実行可能な第二の報知手段と、前記第二の報知手段を少なくとも含む演出手段と、少なくとも前記演出手段を制御可能な演出制御手段と、少なくとも前記第一の進入領域に遊技球が進入しやすい時短状態と、非時短状態とに制御可能な時短制御手段と、を備えた遊技台であって、前記第一の進入領域は、前記第一の図柄変動表示が行われて前記当否判定の結果のうちの特定の補助当否判定の結果に応じた図柄態様が停止表示された後で、遊技球が進入可能とされるものであり、前記演出制御手段は、前記当否判定の結果に関する所定の演出および前記第二の図柄変動表示を前記演出手段に少なくとも実行させることが可能なものであり、前記演出制御手段は、前記第二の図柄変動表示の実行中の所定期間において、該第二の図柄変動表示の少なくとも一部が視認困難となるように、前記所定の演出を前記演出手段に少なくとも実行させることが可能なものであり、前記第一の図柄変動表示は、前記所定期間中も視認容易なものであり、前記第二の図柄変動表示は、前記時短状態よりも前記非時短状態の方が実行されやすいものである、ことを特徴とする遊技台。」

ケ 「【8012】
なお、以上説明した各実施形態や付記の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や付記に適用してもよい。」

・認定事項
ア 認定ア
第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例7(【図503】)について、【6370】に「チャンスボタン136の操作の受付期間・・・の開始タイミングが到来したことを契機として、チャンスボタン136の・・・操作に対応する第1の操作手段画像BG1(・・・チャンスボタンを模した画像)を装飾図柄表示装置208・・・に表示している。」ことが記載されている。
そして、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19について、装飾図柄表示装置208に変動中の装飾図柄の表示に加えて、【図503】と同様の操作手段画像BG1が表示されている状態が【図518】(b)に図示されている。
また、【6483】には、【図518】(b)に示すチャンスボタン136の操作の受付開始タイミングから所定時間が経過したタイミングにおいて、「第1の操作手段画像BG1」が表示されている状態が示されている。
したがって、刊行物1には、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19として、「装飾図柄の変動表示中にチャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングが到来したことを契機として、チャンスボタン136の操作に対応する第1の操作手段画像BG1(チャンスボタンを模した画像)を装飾図柄表示装置208に表示する」ことが記載されていると認められる。

イ 認定イ
第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例9(【図505】)について、【6400】に「同図(f)は、・・・チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間・・・が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われた・・・ことから、第1の操作手段画像BG1・・・を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(・・・「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示している。」ことが記載されている。
そして、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19について、装飾図柄表示装置208に変動中の装飾図柄の表示に加えて、遮蔽装置246の右扉246bの後方に【図505】(g)と同様の「リーチじゃ!」という文字情報が表示されている状態が【図518】(e)に図示されている。
したがって、刊行物1には、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19として、「チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われた場合、第1の操作手段画像BG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示する」ことが記載されていると認められる。

ウ 認定ウ
第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19について、【図518】(b)において装飾図柄表示装置208に表示されている内容は、同図(c)における「遮蔽装置246の右扉246bを閉じる方向に移動」する前である、「遮蔽装置246の右扉246bが閉じる前の開いた状態」に関する内容であるといえる。
そして、同図(b)には、装飾図柄表示装置208に「第1の操作手段画像BG1」が視認可能な状態で表示されていることが図示されている。
したがって、刊行物1には、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19として、「遮蔽装置246の右扉246bが閉じる前の開いた状態では、第1の操作手段画像BG1を視認可能である」ことが記載されていると認められる。

エ 認定エ
上記認定イと同様に、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例9(【図505】)について、【6400】に「同図(f)は、・・・チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間・・・が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われた・・・ことから、第1の操作手段画像BG1・・・を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(・・・「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示している。」ことが記載されている。
そして、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19について、装飾図柄表示装置208に、変動中の装飾図柄の表示に加えて、遮蔽装置246の右扉246bの後方に【図505】(g)と同様の「リーチじゃ!」という文字情報が表示されている状態が【図518】(e)に図示されている。
したがって、刊行物1には、第4実施形態のうち操作手段画像表示に関する実施例19として、「遮蔽装置246の右扉246bが閉じた状態において、チャンスボタン136の操作が行われた場合、第1の操作手段画像BG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示」することが記載されていると認められる。

・刊行物発明
上記ア?ケの記載事項、及び、上記ア?エの認定事項を総合すると、刊行物1には、第4実施形態(【6133】?【6531】)のうち操作手段画像表示に関する実施例19(【6481】?【6486】)を中心に次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?b6は、本願補正発明の記号A?B6に対応させて付した。)。

「a 所定の進入領域に遊技球が進入した場合に、当否判定を実行可能な当否判定手段を備えた遊技台であって(【7975】)、

b 第1副制御部400は、
b1 VDP434により、第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、装飾図柄の変動表示を行い(【6170】、【6183】)、
主制御部300から受信した大当りフラグの値を含むコマンドの中に遮蔽装置246への命令がある場合には、この命令を遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432に出力し(【6300】、【6170】、【6272】、【6274】)、
主制御部300が送信したコマンド等に基づいて、駆動回路420によりチャンスボタンランプ138の制御を行い(【6137】、【6170】)、

b2 装飾図柄の変動表示中にチャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングが到来したことを契機として、チャンスボタン136の操作に対応する第1の操作手段画像BG1(チャンスボタンを模した画像)を装飾図柄表示装置208に表示し(認定ア)、

b3 チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われた場合、第1の操作手段画像BG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示し(認定イ)、

b4 遮蔽装置246の右扉246bを閉じる方向に移動し、当該右扉246bで第1の操作手段画像BG1の一部を覆うことにより、第1の操作手段画像BG1の一部が視認不能または視認困難な状態となるように構成し(【6483】)、

b5 遮蔽装置246の右扉246bが閉じる前の開いた状態では、第1の操作手段画像BG1を視認可能であり(認定ウ)、

b6 遮蔽装置246の右扉246bが閉じた状態において、チャンスボタン136の操作が行われた場合、第1の操作手段画像BG1を消去した後に、当該特図変動の当否結果を示唆する情報(「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示し(認定エ)、
た遊技台。」

そして、刊行物1には、第3の実施の形態(【5750】?【6132】)に関する技術事項として、「チャンスボタン136の操作有効期間中、チャンスボタンランプ138が発光し、チャンスボタン136の操作を促すこと(【5997】)。」が記載されている(以下「刊行物1に記載された技術事項」という。)。

(3)対比
本願補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?B6と刊行物発明の構成a?b6について、それぞれ(a)?(b6)の見出しを付けて行った。)。

(a)刊行物発明における「所定の進入領域に遊技球が進入した場合」、「当否判定を実行可能な当否判定手段」、「遊技台」は、それぞれ、本願補正発明における「所定条件の成立に基づ」くこと、「遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段」、「遊技機」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する。

(b、b1)刊行物発明における「第1副制御部400」は、本願補正発明における「演出制御手段」に相当する。
そして、刊行物発明において、「第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞」すると、構成aにより「当否判定」が実行されることから、刊行物発明における「第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞したことを条件に」することは、本件補正発明の「判定手段による判定結果に基づ」くことに相当する。
また、刊行物発明における「装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、装飾図柄の変動表示を行」うことは、本願補正発明における「変動演出を表示手段に表示」することに相当する。
また、刊行物発明における「主制御部300から受信した大当りフラグの値を含むコマンドの中に遮蔽装置246への命令がある場合」は、「大当りフラグの値を含むコマンドの中」には、当否判定の結果を示すコマンドが含まれることから、本願補正発明における「判定手段による判定結果に基づ」くことに相当する。
また、刊行物発明における「この命令を遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432に出力」することは、本願補正発明における「可動部材の可動演出を実行可能と」することに相当する。
また、刊行物発明における「主制御部300が送信したコマンド等に基づいて」は、「主制御部300が送信したコマンド」には、当否判定の結果を示すコマンドが含まれることから、本願補正発明における「判定手段による判定結果に基づ」くことに相当する。
さらに、刊行物発明における「駆動回路420により、チャンスボタンランプ138の制御を行」うことは、本願補正発明における「遊技者により操作可能な操作手段を制御可能」とすることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b、b1は、本願補正発明における構成B、B1に相当する。

(b2)刊行物発明における「第1の操作手段画像BG1(チャンスボタンを模した画像)を装飾図柄表示装置208に表示」させることは、遊技者に「チャンスボタン136の操作」が可能であることを知らせることにより、操作を促進させる作用を奏するものである。
ここで、刊行物発明における「チャンスボタン136の操作の受付期間」は、本願補正発明における「所定の有効期間」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「装飾図柄の変動表示中にチャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングが到来したことを契機と」することは、本願補正発明における「変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において操作手段の操作を促す場合」に相当する。
同様に、刊行物発明における「チャンスボタン136の1回目の操作に対応する第1の操作手段画像BG1を装飾図柄表示装置208に表示」することは、本願補正発明における「操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を表示手段に実行させる」に相当する。
そして、刊行物発明における「・・・画像BG1を装飾図柄表示装置208に表示」することは、本願補正発明における「・・・表示演出を表示手段に実行させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b2と、本願補正発明における構成B2とは、「変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において操作手段の操作を促す場合、操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を表示手段に実行させることが可能であ」る点で共通する。

(b3)刊行物発明における「チャンスボタン136の操作の受付期間の開始タイミングから所定時間が経過する前の状態において、チャンスボタン136の操作が行われた場合」は、本願補正発明における「所定の有効期間に操作手段が操作された場合」に相当する。
そして、刊行物発明における「当該特図変動の当否結果を示唆する情報(「リーチじゃ!」という文字情報)を変動アイコンCIの後方に表示」することは、本願補正発明における「操作演出を実行可能」であることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b3は、本願補正発明における構成B3に相当する。

(b4)刊行物発明における「遮蔽装置246の右扉246b」は、開閉可能なものであるから、本願補正発明における「可動部材」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「遮蔽装置246の右扉246bを閉じる方向に移動し、当該右扉246bで第1の操作手段画像BG1の一部を覆う」ことは、本願補正発明における「第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態」に相当する。
そして、刊行物発明において、「遮蔽装置246の右扉246b」が「閉じる方向に移動し」たとき、「第1の操作手段画像BG1の一部が視認不能または視認困難な状態となる」ことは、上記構成b2によると、「第1の操作手段画像BG11(チャンスボタンを模した画像)」が、「装飾図柄表示装置208に表示」されたままの状態であることを意味する。
したがって、刊行物発明における構成b4と、本願補正発明における構成B4とは、「第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で第1操作促進表示演出を実行する場合」がある点で共通する。

(b5)刊行物発明における「遮蔽装置246の右扉246bが閉じる前の開いた状態」は、本願補正発明における「第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態」に相当する。
そして、刊行物発明における「第1の操作手段画像BG1を視認可能で」あることは、本願補正発明における「第1操作促進表示演出」「を実行する場合」があることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b5と、本願補正発明における構成B5とは、「第1操作促進表示演出と重複しない位置に可動部材が配置された状態で第1操作促進表示演出」「を実行する場合」がある点で共通する。

(b6)まず、本願補正発明における構成B6中の「操作演出を実行するとき」の技術的意義について検討する。
「操作演出」に関して、審判請求書において、構成B6の補正の根拠箇所と主張する本願明細書には、
「【0852】
図80の(e-3-2)は、「決め演出B1」の例を示している。サブCPU102aは、「決め演出B1」を実行する場合、「特別キャラリーチB2-1」において、操作手段である演出ボタン18Aの操作を有効とする操作有効期間X52を設定する。サブCPU102aは、操作有効期間X52において、突出状態の演出ボタン18Aへの操作を促す操作促進報知の画像を含む演出画像(図80の(e-3-2))を表示する演出を実行する。
【0853】
サブCPU102aは、この「決め演出B1」において、操作有効期間X52中に演出ボタン18Aに対して1回の押下操作がされることに基づいて、図80の(e-3-3)(ここで、当審により「e-3-3」は「e-3-4」の誤記と認める。)に示すように、「閃光b1」の演出画像を画像表示装置14に表示するとともに、第1装飾部材17Aを「待機位置1」から「動作位置1-1」を経由して、画像表示装置14の前面の下側の位置である「動作位置1-2」まで移動させる、といった内容の「決め演出」(対応演出)を実行する。」こと、
「【1024】
次にサブCPU102aは、操作有効期間の開始0.0秒から開始0.5秒までに演出ボタン18Aが操作されないと、図92の(n-1-3)に示すように、操作有効期間の開始0.5秒が経過すると、可動部材として第2装飾部材17Bを「待機位置2」から「動作位置2-1」に移動させて画像表示装置14のボタン操作促進画像(第1操作促進表示)の前面側に重複させると共に、所定の演出音を出力する演出制御を行う。尚、第2装飾部材17Bによってボタン操作促進画像が完全に隠れるようにしたが、ボタン操作促進画像の一部が視認可能となるようにしてもよい。
【1025】
ここで、図92の(n-1-4)に示すように、第2装飾部材17Bを第1操作促進表示の前面側に重複させてから操作有効期間の開始1.5秒までに、演出ボタン18Aが操作されると、サブCPU102aは、ランブ制御基板104及び画像制御基板105に、操作演出を実行させるためのコマンドを送信する。これにより、サブCPU102aは、図93の(n-1-5)に示すように、第2装飾部材17Bを「動作位置2-1」から「待機位置2」に移動させる。この後、サブCPU102aは、図93の(n-1-6)に示すように、操作対応演出として、「待機位置2」から「動作位置2」に移動させ、表示装置14の画面にエフェクトa4を表示させると共に、所定の演出音を出力する演出制御を行う。この操作対応演出が終了すると、サブCPU102aは、変動演出パターンA036におけるスペシャルリーチの演出制御を行う。」こと、及び、
「【1075】
また、決め演出(図80の(e-3-2)参照)の演出ボタン18Aの操作有効期間中では、図92に示した可動部材(第2装飾部材17B)を第1操作促進表示の前面側に重複する位置に移動させても、移動させなくてもよい。」ことが記載されている。
すなわち、上記【0852】、【0853】には、演出画像の例を示す【図80】に関して、「決め演出B1」として、演出ボタン18Aへの操作を促す操作促進報知の画像を含む演出画像(図80の(e-3-2))を表示する演出を実行した後に、「閃光b1」の演出画像を画像表示装置14に表示するとともに、第1装飾部材17Aを移動させる「決め演出」(図80の(e-3-4))を実行することが記載され、
上記【1024】、【1025】には、同じく、演出画像の他の例を示す【図91】?【095】に関して、操作有効期間の開始0.5秒が経過すると、第2装飾部材17Bを「待機位置2」から「動作位置2-1」に移動させて画像表示装置14のボタン操作促進画像の前面側に重複させ(【図92】のn-1-3)、重複後、操作有効期間の開始1.5秒までに、演出ボタン18Aが操作されると(【図92】のn-1-4)、第2装飾部材17Bを「動作位置2-1」から「待機位置2」に移動させ(【図93】の(n-1-5))、表示装置14の画面にエフェクトa4を表示させると共に、所定の演出音を出力する演出制御を行う(【図93】の(n-1-6))ことが記載され、
上記【1075】には、「決め演出」(【図80】の(e-3-2))の演出ボタン18Aの操作有効期間中では、【図92】に示した可動部材(第2装飾部材17B)を第1操作促進表示の前面側に重複する位置に移動させてもよいことが示唆されている。
そうすると、本願補正発明の構成B6に関して、本願明細書及び図面には、演出ボタン18Aの操作有効期間中では、【図92】に示した可動部材(第2装飾部材17B)を第1操作促進表示の前面側に重複する位置に移動させた後(構成B6の「操作手段の操作に基づいて変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するとき」)に、表示装置14の画面にエフェクトa4を表示させると共に、所定の演出音を出力する演出制御を行うこと(構成B6の「操作手段の操作に基づいて変動演出の結果を報知するための操作演出を実行する」こと)が記載されているといえる。
したがって、本願補正発明の構成6は、「前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行する前に、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行可能である」ことと解される。

そこで、本件補正発明の構成B6が上記のとおり解釈できるものとして、以下検討を進める。
刊行物発明において、「遮蔽装置246の右扉246bが閉じた状態において」は、「第1の操作手段画像BG1」が表示された状態から「消去された状態」に状態が変化するものである。
そうすると、刊行物発明における「遮蔽装置246の右扉246bが閉じた状態」で、かつ、「第1の操作手段画像BG1」が表示された状態と、本願補正発明における「第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出を実行」する状態とは、「第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で第1操作促進表示演出を実行」する状態である点で共通する。
そして、刊行物発明における「チャンスボタン136の操作が行われた場合」は、本願補正発明における「操作手段の操作に基づ」くことに相当する。

よって、刊行物発明における構成b6と、本願補正発明における構成B6とは、「操作手段の操作に基づいて変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で第1操作促進表示演出を実行可能である」ことで共通する。

上記(a)?(b6)の検討により、本願補正発明と刊行物発明とは、
[一致点]
「A 所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
B 演出制御手段は、
B1 前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
B2’前記変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に実行させることが可能であり、
B3 前記所定の有効期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行可能であり、
B4’前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出を実行する場合と、
B5’前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態で前記第1操作促進表示演出を実行する場合とがあり、
B6’前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出を実行可能である遊技機。」
である点で一致し、構成B2、B4?B6に関して次の点で相違する。

[相違点1](構成B2)
変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において操作手段の操作を促す場合に実行される操作促進表示演出に関して、
本願補正発明は、第1操作促進表示演出を表示手段に実行させるとともに、操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を操作手段に実行させることが可能であるのに対して、
刊行物発明は、第1操作促進表示演出を表示手段に実行させることが可能であるが、操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を操作手段に実行させることが可能であるか否か明らかでない点。

[相違点2](構成B4、B5)
第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態、及び、第1操作促進表示演出と重複しない位置に可動部材が配置された状態で実行される操作促進表示演出に関して、
本願補正発明は、第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出であるのに対して、
刊行物発明は、第1操作促進表示演出は実行されるが、第2操作促進演出が実行されるか否か明らかでない点。

[相違点3](構成B6)
操作演出を実行するときに、第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で実行可能である操作促進表示演出が、
本願補正発明は、第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出であるのに対して、
刊行物発明は、第1操作促進表示演出は実行可能であるが、第2操作促進演出を実行可能であるか否か明らかでない点。

(4)当審における判断
ア 相違点1?3について
上記相違点1?3は、操作促進表示演出に関するものであり互いに関連する構成であるのでまとめて検討する。
刊行物1に記載された技術事項の「チャンスボタン136の操作有効期間中、チャンスボタンランプ138が発光し、チャンスボタン136の操作を促すこと」は、本願補正発明における構成B2の「変動演出の実行中に発生する所定の有効期間において操作手段の操作を促す場合」、「操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を操作手段に実行させることが可能」であることに相当する。
そして、刊行物1には、上記(2)の記載事項ケには、「以上説明した各実施形態や付記の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や付記に適用してもよい。」ことが記載されている。この記載によると、第4実施形態に第3の実施の形態を適用することが可能であることが示唆されている。
また、刊行物発明において、「チャンスボタン136のチャンスボタンランプ138」は、「第1副制御部400」が「駆動回路420により」制御するものである。
したがって、刊行物発明に刊行物1に記載された技術事項を適用して、「第1副制御部400」が「チャンスボタン136の操作の受付期間」に「第1の操作手段画像BG1を装飾図柄表示装置208に表示」させることに加えて、チャンスボタン136のチャンスボタンランプ138を発光可能とし。上記相違点1に係る本願補正発明の構成とし、
加えて、第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態、及び、第1操作促進表示演出と重複しない位置に可動部材が配置された状態で、第1操作促進表示演出、及び、「チャンスボタン136のチャンスボタンランプ138を発光させる」演出(第2操作促進表示演出)を実行し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とし、
加えて、操作演出を実行するときに、第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態で、第1操作促進表示演出、及び、「チャンスボタン136のチャンスボタンランプ138を発光させる」演出(第2操作促進表示演出)を実行可能とし、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「(4)本願発明と引用発明及び引用事項との対比
補正後の請求項1に係る発明の遊技機では、・・・遊技者にとっては特に重要な変動演出の結果を報知するための操作演出(所謂決め演出)の実行前から可動部材を移動させていることで、この操作演出において特別な演出が行われて特別遊技状態に制御されるのではないかという遊技者の期待感を高めることができます。つまり、可動部材が待機位置に配置された状態で第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出が実行される場合との対比効果によって、遊技の興趣を効果的に向上させることが可能となります。
しかしながら、引用文献1、2には、前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出を行なうことを示す記載はありません。従って、引用発明1、2を組み合わせた遊技機では、上述した作用効果を奏することはできません。」(第7頁第10?27行。下線は当審により付与した。)と主張する。

しかしながら、請求人が主張する本願補正発明が有する「操作演出(所謂決め演出)の実行前から可動部材を移動させている」構成は、上記「(3)対比(b6)」において検討したように、刊行物発明の「遮蔽装置246の右扉246bが閉じた状態において」、「第1の操作手段画像BG1」が表示された状態から「消去された状態」に状態が変化する構成が対応する。
一方、刊行物発明は、「遮蔽装置246の右扉246bが閉じる前の開いた状態では、第1の操作手段画像BG1を視認可能であ」るから、上記主張において、本願補正発明が有するとする「可動部材が待機位置に配置された状態で第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出が実行される場合」に相当する構成を刊行物発明も有するものである。
そうすると、刊行物発明においても、本願補正発明と同様に、上記「可動部材が待機位置に配置された状態で第1操作促進表示演出及び第2操作促進表示演出が実行される場合との対比効果によって、遊技の興趣を効果的に向上させることが可能とな」るという作用効果が奏されることは明らかである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)まとめ
本願補正発明により奏される効果は、刊行物発明及び刊行物1に記載された技術事項から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、新たな効果を奏するものでなない。
よって、上記(4)において検討したとおり、本願補正発明は、刊行物発明及び刊行物1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
上記1?3より、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年11月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
A 所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
B 演出制御手段は、
B1 前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
B2 前記変動演出の実行中に前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に所定期間、表示させるとともに、前記操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を前記所定期間、前記操作手段に表示させ、
B3 前記所定期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行し、
B4 前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合と、
B5 前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合とがあることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項及び刊行物発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)刊行物に記載された事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、「操作促進表示演出」に関して、「前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合」とあったものを、「前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合」とその限定を省き、
さらに、「前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材が配置された状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行する場合」とあったものを、「前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第2操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合」とその限定を省と共に、
「操作演出」に関して、
「前記所定の有効期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行可能であり」とあったものを、「前記所定期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行し、」とその限定を省き、
さらに、「前記操作手段の操作に基づいて前記変動演出の結果を報知するための操作演出を実行するときに、前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で前記第1操作促進表示演出及び前記第2操作促進表示演出を実行可能である」との限定を省くものである。

そうすると、本願補正発明における上記各限定を省き、構成B6を備えない本願発明と刊行物発明とは、
「【請求項1】
A 所定条件の成立に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御するか否かを判定する判定手段を備える遊技機において、
B 演出制御手段は、
B1 前記判定手段による判定結果に基づいて、変動演出を表示手段に表示し、可動部材の可動演出を実行可能とし、遊技者により操作可能な操作手段を制御可能とし、
B2’’前記変動演出の実行中に前記操作手段の操作を促す場合、前記操作手段の操作を遊技者に促す第1操作促進表示演出を前記表示手段に所定期間、表示させ、
B3 前記所定期間に前記操作手段が操作された場合、操作演出を実行し、
B4’’前記第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に前記可動部材を移動させた状態で操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合と、
B5’’前記第1操作促進表示演出と重複しない位置に前記可動部材を移動させた状態で操作促進表示演出を前記操作手段に表示する場合とがある遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1’](構成B2)
変動演出の実行中に操作手段の操作を促す場合に所定期間表示される操作促進表示演出に関して、
本願発明は、第1操作促進表示演出を表示手段に表示させるとともに、操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を操作手段に表示させるるのに対して、
刊行物発明は、第1操作促進表示演出を表示手段に表示させるが、操作手段の操作を遊技者に促す第2操作促進表示演出を操作手段に表示させるか否か明らかでない点。

[相違点2’](構成B4、B5)
第1操作促進表示演出に少なくとも一部が重複する位置に可動部材を移動させた状態、及び、第1操作促進表示演出と重複しない位置に可動部材を移動させた状態で表示される操作促進表示演出に関して、
本願発明は、第2操作促進表示演出であるのに対して、
刊行物発明は、第1操作促進演出が表示されるが、第2操作促進演出が表示されるか否か明らかでない点。

そして、相違点1’?相違点2’についての判断は、本願発明が、本願補正発明における発明特定事項の限定を解除するものであることからみて、前記「第2 3(4)当審における判断」における相違点1?相違点2についての判断と同様である。
したがって、本願発明は、刊行物発明及び刊行物1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-09 
結審通知日 2018-02-13 
審決日 2018-02-26 
出願番号 特願2015-242025(P2015-242025)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 長崎 洋一
青木 洋平
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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