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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1339524
審判番号 不服2017-3136  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-02 
確定日 2018-05-08 
事件の表示 特願2012-247595「レポート作成装置およびレポート作成プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月22日出願公開、特開2014- 96055、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成24年11月9日の出願であって、平成28年6月2日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年8月9日付けで手続補正がなされたが、平成28年11月28日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年3月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、当審において、平成29年12月14日付けで拒絶理由通知がなされ、平成30年2月9日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年2月9付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
被検体の疾病に関する複数種類の検査が予約された際に、当該検査を識別するための検査識別子と、検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子とが、当該疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられたレイアウト情報を作成する作成部と、
前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部と、
前記配置部によって複数の検査結果が配置されたレイアウト情報を用いて、当該複数の検査結果を含む統合レポートを出力する出力部と
を有することを特徴とするレポート作成装置。」

なお、本願発明2-6の概要は以下のとおりである。

本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の各部をプログラムの処理としただけの発明である。

第3 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010-86355号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0020】
図1に示す医療情報システムは、病院などの医療施設に構築される。医療情報システムは、診療科10に配置される診療科端末11と、各検査科12に配置される、オーダ管理サーバ13、モダリティ14、レポート作成端末16と、DBサーバ17と、レポート統合サーバ18とからなり、ネットワーク19を介して通信可能に接続される。ネットワーク19は、例えば、院内に敷設されたLANである。」

イ.「【0047】
レポート統合サーバ18には、AP40として、レポート統合用のサーバプログラムがインストールされている。レポート統合サーバ18は、レポート統合用のサーバプログラムによって、オーダ29の中継処理や、複数の検査のレポートの統合処理を行う。
【0048】
図4に示すように、レポート統合サーバ18のCPU31は、レポート統合用のサーバプログラムを起動すると、オーダ受信部18a、判定部18b、アドレス付加部18c、フォーム生成部18d、オーダ転送部18eとして機能する。オーダ受信部18aとオーダ転送部18eは、オーダ中継部(図示せず)を構成する。アドレス付加部18cとフォーム生成部18dは、統合部18fを構成する。」

ウ.「【0054】
・・・(中略)・・・特殊入力フォーム46は、各検査科12のレポート作成端末16がダウンロードできるように、DBサーバ17のレポートDB26内に格納される。
【0055】
特殊入力フォーム46は、最上段に共通領域47が配置されており、その下段には、検査単位の個別領域48a?48cが設けられている。本例では、複合検査を構成する個々の検査は、CT検査、内視鏡検査、病理検査であるので、各個別領域48a?48cは、それらの検査に対応している。特殊入力フォーム46は、各検査科12のレポート作成端末16に順次ダウンロードされて、各検査科12において、各個別領域48a?48cに個々の検査のレポートの内容が入力される。
【0056】
・・・(中略)・・・また、レポート統合サーバ18は、個別領域48a?48cに対して、検査種、検査日といった、個別領域48a?48cの見出し情報を入力する。共通情報と同様に、見出し情報についても、オーダ29から読み出される。各検査科12のレポート作成者は、予め入力された見出し情報に基づいて、各検査科12において入力すべき個別領域を識別する。そして、レポート作成者は、それぞれに対応する個別領域48a?48cに、所見やキー画像といった、レポートの主たる内容を入力する。」

エ.「【0071】
以下、上記構成による作用について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。依頼医が検査科12に検査を依頼する場合には、依頼医は、診療科端末11を操作して、オーダ29の内容を入力する。診療科端末11は、依頼医の入力内容に応じたオーダ29を発行し、レポート統合サーバ18に送信する。診療科端末11は、複合検査のオーダ29である場合には、複合検査を構成する各オーダ29にグループIDを付与する。
【0072】
レポート統合サーバ18は、オーダ受信部18aが診療科端末11からのオーダ29を受信する(ステップ(S)10)。受信したオーダ29は、判定部18bに送られる。判定部18bは、オーダ29内のグループIDの有無を調べて、受信したオーダ29が複合検査のオーダ29であるか否かを判定する(S11)。判定部18bは、受信したオーダ29が複合検査のオーダ29でないと判定した場合(S11で「N」)には、オーダ29を宛先の検査科12へ転送する(S14)。
【0073】
判定部18bは、受信したオーダ29が複合検査のオーダ29であると判定した場合(S11で「Y」)には、オーダ29を統合部18fに送る。統合部18fでは、フォーム生成部18dが特殊入力フォーム46の生成・更新を行い(S12)、アドレス付加部18cがオーダ29に対して特殊入力フォーム46のアドレスを付加する(S13)。アドレスが付加されたオーダ29は、オーダ転送部18eによって検査科12のオーダ管理サーバ13に転送される(S14)。
【0074】
各検査科12においては、受信したオーダ29の内容に応じてモダリティ14で検査画像23が撮影される。レポート作成者は、レポート作成端末16を操作して、オーダ管理サーバ13からワークリストを取得して、ワークリスト表示画面53でレポートを作成するオーダ29を確認する。
【0075】
ワークリスト表示画面53において、オーダ29が選択されて、そのレポートアイコン55がクリック操作されると、オーダ29が複合検査のものでない場合には、標準入力フォームが表示され、複合検査のものである場合には、特殊入力フォーム46が表示される。特殊入力フォーム46は、各検査科12のレポート作成端末16に順次ダウンロードされて、それぞれの検査科12において、各検査のレポートの内容が個別領域48a?48cに入力される。レポート作成端末16は、個別領域48a?48cに入力されたデータを特殊入力フォーム46に付加し、これをレポートファイル25として、特殊入力フォーム46の元の格納アドレスにアップロードする。
【0076】
こうして複数の検査のレポートの内容が統合された統合レポートが完成する。依頼医は、診療科端末11で統合レポートのレポートファイル25にアクセスして、コンソール36に統合レポートを表示して、閲覧する。」

オ.図5には、各個別領域48a?48cの見出し情報として、検査種、検査日のほかに、検査IDが記載されている。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「医療施設に構築される医療情報システムであって(【0020】)、
診療科10に配置される診療科端末11と、各検査科12に配置されるレポート作成端末16と、DBサーバ17と、レポート統合サーバ18とを備え(【0020】)、
依頼医は、検査科12に検査を依頼する場合に、診療科端末11を操作してオーダ29の内容を入力し(【0071】)、
診療科端末11は、依頼医の入力内容に応じたオーダ29を発行し、レポート統合サーバ18に送信し、複合検査のオーダ29である場合には、複合検査を構成する各オーダ29にグループIDを付与し(【0071】)、
レポート統合サーバ18は、複数の検査のレポートの統合処理を行い(【0047】)、そのCPU31は、オーダ受信部18a、判定部18b、フォーム生成部18dとして機能し、フォーム生成部18dは、統合部18fを構成し(【0048】)、
オーダ受信部18aは、診療科端末11からのオーダ29を受信し(【0072】)、
判定部18bは、受信したオーダ29が複合検査のオーダ29であると判定した場合に、オーダ29を統合部18fに送り(【0073】)、
統合部18fは、フォーム生成部18dが特殊入力フォーム46の生成・更新を行い(【0073】)、当該特殊入力フォーム46には、複合検査を構成する個々の検査に対応する各個別領域48a?48cが設けられ(【0055】)、当該個別領域48a?48cに、検査種、検査日、検査IDの見出し情報を入力し(【0056】、図5)、
当該特殊入力フォーム46を、各検査科12のレポート作成端末16がダウンロードできるように、DBサーバ17のレポートDB26内に格納し(【0054】)、
各検査科12のレポート作成者は、ダウンロードした特殊入力フォーム46において、見出し情報に基づいて各検査科12において入力すべき個別領域を識別して、対応する個別領域48a?48cに所見やキー画像といったレポートの主たる内容を入力し(【0056】)、これをレポートファイル25として、元の格納アドレスにアップロードし(【0075】)、
こうして複数の検査のレポートの内容が統合された統合レポートが完成し、依頼医は、診療科端末11で統合レポートのレポートファイル25にアクセスして、コンソール36に統合レポートを表示して、閲覧する(【0076】)、
医療情報システム。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2004-46569号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0033】
診断医Aは依頼された検査をリストから選択して自己のモニタに表示すると、図4に示すような診断報告書画面60が表示される。ここには、診断に必要なデータが表示されていると共に、診断医Aが診断結果記入欄にこれらの表示データを読影診断した結果を記入できるようになっている。
【0034】
診断医Aが診断した内容を診断結果記入欄に記入し、登録ボタンをクリックすると診断報告書のデータが管理サーバ20に送信され、診断レポートの登録ステップが完了する。ここで、管理サーバ20は登録された診断レポートと前述した依頼内容データ、眼底画像データD1、D2をそれぞれ関連付けて保管する。
【0035】
次に、管理サーバ20は依頼内容データ及び診断レポートから所定の情報の抽出作業を行う。例えば、図2の表示例を示した診断依頼データから、患者番号、氏名、性別、年齢等の内容を抽出し、眼底画像データD1、D2のそれぞれのヘッダ領域に付加する。更に診断レポートから、所見、左右眼、コメントの内容の抽出を行う。図4の表示例においては左眼:所見有り、糖尿病性網膜症の情報が抽出され、左眼の眼底画像データD1のヘッダ領域に情報が付加される。更に、右眼データD2に対し所見無しを示す情報を付加してもよい。
【0036】
このような構成により、連携診断システムにおける患者情報及び診断情報が、画像データにも付加することが可能となり、システムのみならず画像データ単体としても重要な情報を二重管理することが可能となる。」

イ.図4には、眼底画像データD1、D2と、当該眼底画像に対する所見が記入された所見結果記入欄とを表示した診断報告書画面60が記載されている。

したがって、上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

<引用文献2の記載事項>
「診断医Aは自己のモニタに診断報告書画面60を表示させ、診断結果記入欄に眼底画像データを読影診断した結果を記入し、
登録ボタンをクリックすると診断報告書のデータが管理サーバ20に送信され、診断レポートの登録が完了し、
管理サーバ20は、診断レポートから所見の内容を抽出し、眼底画像データのヘッダ領域にその情報を付加すること。」

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2009-223481号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0033】
・・・(中略)・・・
ここで、説明支援のためのツールを起動するためのボタン211e(以下、説明支援ツール起動ボタンと言う)をクリックすると、患者説明支援画面が起動する。
【0034】
図6は、患者説明支援画面を示す図である。
患者説明支援画面31には、メニュー項目が表示されたボタン31a?31eが表示されている。ボタン31a?31eに表示されている各メニュー項目は、そのボタンがクリックされることにより表示される検査結果表示名を示している。
【0035】
医者がマウス等を操作してカーソルをボタンに合わせクリックすること等により、検査結果表示名に対応する検査結果を表示する画面(図示せず)が起動する。」

イ.「【0041】
図9は、表示順番テーブルのデータ構造例を示す図である。
表示順番テーブル141には、検査名に対応して患者説明支援画面31における検査結果表示名の表示順番の優先度を示す値(優先値)が並んでいる。優先値が大きい検査名に対応する検査結果表示名ほど、患者説明支援画面31の上位に配置される。」

ウ.「【0055】
次に、医療システム300全体の処理を説明する。
図15は、医療システムの処理を示す図である。
医師の電子カルテシステムへのログイン後に、制御部110は、患者データテーブル221、表示回数テーブル231および係数テーブル251のデータを読み込む(ステップS1)
そして、制御部110は、優先値を算出する(ステップS2)。
【0056】
その後、患者説明支援画面31の起動時に、優先値に応じた検査結果表示名を表示する(ステップS3)。」

エ.「【0059】
・・・(中略)・・・
次に、ステップS2の優先値の算出処理を説明する。
図16は、優先値の算出処理を示すフローチャートである。
【0060】
まず、モニタ11に表示された電子カルテ画面21の説明支援ツール起動ボタンが押下されると、制御部110が、検査結果テーブル131から患者の主病名を取得する(ステップS11)。
・・・(中略)・・・
【0062】
パラメータXの値が、検査の個数以下の場合(ステップS13のNo)、主病名の各検査名の表示回数aを読み込んだ表示回数テーブル231のデータから取得する(ステップS14)。
【0063】
次に、ログインした医師の、該当する検査名に対応する係数bを読み込んだ係数テーブル251のデータから取得する(ステップS15)。
そして、表示回数aと係数bとの積を表示順番テーブル141の該当する検査名の優先度の欄に格納する(ステップS16)。」

したがって、引用文献3には、次の事項が記載されている。

<引用文献3の記載事項>
「電子カルテ画面21の説明支援ツール起動ボタンが押下されると、検査結果テーブル131から患者の主病名を取得し(【0060】)、
表示回数テーブル231から、主病名の各検査名の表示回数aのデータを取得し(【0062】)、
係数テーブル251から、ログインした医師の、該当する検査名に対応する係数bのデータを取得し(【0063】)、
表示回数aと係数bとの積を、表示順番テーブル141の該当する検査名の優先度の欄に格納し(【0063】)、
その後、患者説明支援画面31が起動すると(【0056】)、メニュー項目が表示されたボタン31a?31eが表示され、ボタン31a?31eに表示されている各メニュー項目は、そのボタンがクリックされることにより表示される検査結果表示名を示し(【0034】)、その際、優先値が大きい検査名に対応する検査結果表示名ほど、患者説明支援画面31の上位に配置し(【0041】【0056】)、
医者がマウスを操作してカーソルをボタンに合わせクリックすることにより、検査結果表示名に対応する検査結果を表示する画面を起動する(【0035】)、
医療システム。」

4.引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2010-128655号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

「【0047】
図6に、表示部35に表示されるビューア画面351の一例を示す。ビューア画面351とは、診断に用いる医用画像を表示し、医師が読影診断や、患者に対するインフォームドコンセントを行う際に表示させる画面である。
・・・(中略)・・・
【0049】
また、ビューア画面351には、画像取込みボタン81aと、画像取込みボタン81bとが設けられている。
画像取込みボタン81aは、ネットワーク9に接続されている画像生成装置2から送信される医用画像を現在診断対象となっている患者(患者表示欄71に表示されている患者)の画像として取り込むことを指示するためのボタンである。本実施の形態において、画像取込みボタン81aは、ネットワーク9に接続されている画像生成装置2の種別に対応してビューア画面351上に配置されるようになっている。」

したがって、引用文献3には、次の事項が記載されている。

<引用文献4の記載事項>
「診断に用いる医用画像を表示し、医師が読影診断や、患者に対するインフォームドコンセントを行う際に表示させるビューア画面351において(【0047】)、
画像取込みボタン81aが設けられ、当該画像取込みボタン81aは、ネットワーク9に接続されている画像生成装置2から送信される医用画像を現在診断対象となっている患者(患者表示欄71に表示されている患者)の画像として取り込むことを指示するためのボタンである(【0049】)、ビューア画面351。」

第4 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

・引用発明の「医療情報システム」は、複数の検査のレポートの統合処理を行うことから本願発明1の「レポート作成装置」に相当する。

・引用発明のレポート統合サーバ18は、診療科端末11から複合検査のオーダ29を受診すると、特殊入力フォーム46の生成を行うことから、被検体の疾病に関する複数種類の検査が予約された際に、レイアウト情報を作成するといえる。
また、この特殊入力フォームには、複合検査を構成する個々の検査に対応する各個別領域48a?48cが設けられ、当該個別領域48a?48cに、検査IDの見出し情報が入力されることから、当該特殊入力フォームは、検査を識別するための検査識別子が、疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられたレイアウト情報といえる。
したがって、引用発明の、特殊入力フォーム46の生成を行うレポート統合サーバと、本願発明1の「被検体の疾病に関する複数種類の検査が予約された際に、当該検査を識別するための検査識別子と、検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子とが、当該疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられたレイアウト情報を作成する作成部」は、「被検体の疾病に関する複数種類の検査が予約された際に、当該検査を識別するための検査識別子が、当該疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられたレイアウト情報を作成する作成部」の点で一致する。

・引用発明のレポートファイル25(統合レポート)は、特殊入力フォーム46の個別領域48a?48cに所見やキー画像といったレポートの内容を入力したものである。また、診療科端末11は、この複数の検査のレポートの内容を統合した統合レポートを表示する。
したがって、引用発明の、統合レポートを表示する診療科端末11と、本願発明1の「前記配置部によって複数の検査結果が配置されたレイアウト情報を用いて、当該複数の検査結果を含む統合レポートを出力する出力部」は、「複数の検査結果が配置されたレイアウト情報を用いて、当該複数の検査結果を含む統合レポートを出力する出力部」の点で一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「被検体の疾病に関する複数種類の検査が予約された際に、当該検査を識別するための検査識別子が、当該疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられたレイアウト情報を作成する作成部と、
複数の検査結果が配置されたレイアウト情報を用いて、当該複数の検査結果を含む統合レポートを出力する出力部と
を有するレポート作成装置。」

<相違点1>
レイアウト情報として、本願発明1では、検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子も、各検査結果の配置位置に割り当てられるのに対し、引用発明では、当該データ種識別子が、各検査結果の配置位置に割り当てられていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部」を備えるのに対し、引用発明では、各検査科12のレポート作成者が、ダウンロードした特殊入力フォーム46において、見出し情報に基づいて各検査科12において入力すべき個別領域を識別して、対応する個別領域48a?48cに所見やキー画像を入力しており、所見やキー画像を、検査の検査識別子とデータ種識別子とが対応する配置位置に配置する機能はなく、上記配置部を備えていない点。

(2)相違点についての判断

本願発明1と引用発明との間には上記相違点1、2があることから、本願発明1は、引用発明と同一ではない。
また、上記相違点1、2について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子」が「疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられた」という構成、及び、相違点2に係る本願発明1の「前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部」という構成は、上記引用文献2-4に記載されていない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-5について

本願発明2-5も、本願発明1の「検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子」が「疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられた」という構成、「前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明3は引用発明と同一ではなく、また、本願発明2-5は、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明できたものでもない。

3.本願発明6について

本願発明6は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子」が「疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられた」という構成、「前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明と同一ではなく、また、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された事項に基づいて容易に発明できたものでもない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定は、請求項1、3、6について、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、請求項1-6について、上記引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成30年2月9日付け手続補正により補正された請求項1-5は、それぞれ「検査結果のデータ種別を表すデータ種識別子」が「疾病の診断に用いられるレポートにおける各検査結果の配置位置に割り当てられた」という構成、及び、「前記検査が実施されるごとに、当該検査で得られた検査結果である画像データ及び計測値の少なくとも一方を、当該検査の検査識別子と当該検査結果のデータ種識別子とが対応する前記レイアウト情報の配置位置に配置する配置部」という構成を有し、また、請求項6は、これらに対応する構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1、3,6は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2-4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について

当審では、請求項2に係る発明は、出力された統合レポートを分解部によって複数の検査結果に分解し、出力された統合レポートのレイアウト情報と同じレイアウト情報にその検査結果を配置して統合レポートを出力することになり、同様の統合レポートを繰り返し作成しているから不明であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成30年2月9日付けの補正において、分解の対象となる「単独レポート又は統合レポート」から「統合レポート」が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1、3,6は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、本願発明1-6は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-23 
出願番号 特願2012-247595(P2012-247595)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山内 裕史  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 金子 幸一
石川 正二
発明の名称 レポート作成装置およびレポート作成プログラム  
代理人 特許業務法人虎ノ門知的財産事務所  

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