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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1339534
審判番号 不服2017-5185  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-12 
確定日 2018-05-10 
事件の表示 特願2012-275290「弾性ブッシュ及びそれを有するコネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 8日出願公開、特開2013-134987、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月18日(パリ条約による優先権主張2011年12月22日、欧州特許庁)の出願であって、平成28年7月12日付けで拒絶理由が通知され、同年10月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年12月8日付け(発送日:同年12月12日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成29年4月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同年12月19日に審尋がされ、平成30年3月15日に回答書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1?13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1?4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.実願平1-132636号(実開平3-71578号)
のマイクロフィルム
2.特開2010-153268号公報
3.実公昭39-32331号公報
4.実願昭46-86923号(実開昭48-43184号)
のマイクロフィルム

第3 本願発明
本願請求項1?13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、平成28年10月7日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。

「【請求項1】
コネクタ内で線の編組に接触するためのブッシュであって、該ブッシュは、挿入方向に実質的に傾斜しており、前記編組に囲まれるようにするために前記編組に挿入されるよう構成されたブッシュにおいて、
前記ブッシュは、該ブッシュのばね付勢による拡張や収縮を可能にする放射方向の弾性を有し、
前記挿入方向に沿って延びる少なくとも1個のスリットを具備し、
少なくとも1個の突起及び該突起を収容する少なくとも1個の凹部が、前記少なくとも1個のスリットに形成されると共に、前記ブッシュの周方向に沿って延び、
前記スリットは、前記突起及び前記凹部により蛇行形状を有することを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
前記スリットは、前記挿入方向へ前記ブッシュの全長に沿って延びることを特徴とする請求項1記載のブッシュ。
【請求項3】
互いに対向し相補的な複数の前記突起及び前記凹部は、前記少なくとも1個のスリットに沿って形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のブッシュ。
【請求項4】
前記挿入方向を向く前記ブッシュの先端は、前記挿入方向とほぼ平行に延びる少なくとも1個の切欠を具備することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載のブッシュ。
【請求項5】
前記ブッシュの少なくとも一端は、前記挿入方向とほぼ平行に延びる複数の舌片として形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のブッシュ。
【請求項6】
前記舌片は、前記挿入方向とほぼ平行に延びる前記ブッシュの縦軸に沿った突起内に前記縦軸の放射方向の周りに配置されることを特徴とする請求項5記載のブッシュ。
【請求項7】
前記ブッシュは、筒状部及び円錐部を具備することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載のブッシュ。
【請求項8】
前記ブッシュは、弾性を有する金属又は合金製であることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載のブッシュ。
【請求項9】
前記ブッシュは、打抜き加工された金属板から一体的に形成されることを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項記載のブッシュ。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の少なくとも1個のブッシュを具備するコネクタ。
【請求項11】
前記ブッシュは、放射方向に圧縮された状態にあり、
前記ブッシュの径は、該ブッシュの非圧縮状態と比較すると縮小していることを特徴とする請求項10記載のコネクタ。
【請求項12】
前記ブッシュは、線の少なくとも1個の編組やシールド構造に挿入され、且つ該編組やシールド構造と放射方向に重なることを特徴とする請求項10又は11記載のコネクタ。
【請求項13】
前記ブッシュを取り囲むフェルールをさらに具備することを特徴とする請求項10ないし12のうちいずれか1項記載のコネクタ。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、「同軸コネクタ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「[産業上の利用分野]
本考案は、CATV用同軸ケーブルなどに使用して有用なコネクタに関し、とくにコネクタ部において外部から入りがちな外部雑音の侵入を最少限に止め得る一方、外部導体との長期安定的な接続を維持し、コネクタ接続部における引抜力を大巾に高め得ることにより信頼性を格段に向上させ得る新規な同軸コネクタに関するものである。」(明細書2ページ11行?18行)

(2)「[考案が解決しようとする課題]
一般に同軸ケーブル1の外部導体3はアルミ等の薄肉パイプにより構成されており、上記クランプ10の締付力により導体3の表面に摩滅や変形等が生じ易く、長期間に亘り使用している中に、振動や温度変化に伴う膨張収縮の繰返しにより締付金具8のネジのゆるみ等が生じ、クランプ10の外部導体3に対する把持力が弱まり、電気的接触が不安定となって、伝送特性が損なわれたり、機械的な引抜力が低下するといった不都合が応々にして生じている。 ・・・(後略)」(明細書5ページ9行?6ページ2行)

(3)「[実施例]
以下に、本考案について実施例図面を参照し詳細に説明する。
第1図は、本考案に係るコネクタの実施例を示す断面図であり、第9図と同一符号は実質的に同一構成を示すものである。
ワッシャ23については、第9図においてとくに説明はしなかったが従来例においても存在しているものである。従って、本考案が特徴点とするところは、内部テーパースリーブ20、外部テーパースリーブ21、および外部導体用コンタクト22にある。以下これらについて順次詳説する。
まず、外部導体3を段剥ぎ露出させたケーブル1にそれぞれガスケット締付金具9、ガスケット11、締付金具8、ワッシャ23、外部テーパースリーブ21を予め仮装着した状態で、段剥ぎ露出させた外部導体3の端部に内部テーパースリーブ20を嵌合させる。」(明細書11ページ1行?18行)

(4)「第2図は当該内部テーパースリーブ20の具体例を示す斜視図であり、第3図はそのA-A´断面を示す断面図である。
内部テーパースリーブ20の内面は通常の円筒形状に形成されているが、外周面は先細りテーパー面20aに形成されている。しかして、テーパー面20aの小径部は、外部導体3の内径とほぼ同径に構成されるが、大径部側は外部導体3の内径よりも若干大きく形成され、かつ大径部に隣接してツバ部20_(3)が形成されており、このように構成された内部テーパースリーブ20を外部導体3の端部に挿通させ、外部導体3の先端が前記ツバ部20_(3)に突き当るまで嵌合させることにより、外部導体3は内部テーパースリーブ20によって第1図の断面図に示すように若干先開き状態に形成される。」(明細書11ページ19行?12ページ14行)

(5)「内部テーパースリーブ20のテーパー面20aの外周面には、第3図によってよくわかるように、長手方向に延びる多数の突起20_(1),20_(1)が形成されており、前記スリーブ20の外部導体3内側への嵌合によって、この突起20_(1),20_(1)が外部導体3の内表面にしっかりとくい込み得るように構成される。」(明細書12ページ15行?13ページ1行)

(6)「第2および3図において20_(2)は弾性力を発揮させるために形成されたスリットであり、内部テーパースリーブ20そのものをベリリウム銅やリン青銅の如き導電性の良好なバネ材を用いあるいは大きなバネ力を有するバネ鋼との複合材等によって構成すれば、このスリット20_(2)の存在により外部導体3の内表面に対しバネ押圧力を発生させることができ、スリーブ20と外部導体内面との当接押圧力を高め、両者を強固に結合することができる。」(明細書13ページ2行?11行)

(7)「これによって、外部導体3と内部テーパースリーブ20との間の電気的、機械的接触は益々強大となる上、内部テーパースリーブ20を介しての外部導体3と内部シェル7との間の電機的、機械的接触も外部導体用コンタクト22の存在によって益々強力なものとなり ・・・(後略)」(明細書16ページ8行?20行)

(8)第2図及び第3図を参照すると、内部テーパースリーブ20は、直線状のスリット20_(2)を備えていることが看取される。

上記の記載事項及び図面の記載を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、実施例として次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「同軸コネクタ内でアルミ等の薄肉パイプにより構成される外部導体3に接触するための内部テーパースリーブ20であって、該内部テーパースリーブ20は、外周面は先細りテーパー面20aに形成されており、前記外部導体3に囲まれるようにするために前記外部導体3に挿入されるよう構成された内部テーパースリーブ20において、
前記内部テーパースリーブ20は、バネ材あるいはバネ鋼との複合材等により構成され、スリット20_(2)により外部導体3の内表面に対し押し圧力を発生させ、
前記挿入方向に沿って延びるスリット20_(2)を具備し、
前記スリット20_(2)は、直線状である内部テーパースリーブ20。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、「アース構造及び該アース構造を用いた電気コネクタ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0013】
図1から図13に基づいて本実施の電気コネクタ10の構成部品について説明する。
まず、本発明のポイントである前記ケーブル40と前記バックシェル20とのアース構造について説明する。第1に、前記ケーブル40の外部編組402を外被403上に折り返す。第2に、折り返した前記外部編組402と前記外被403との間に、弾性を有するとともに前記外部編組402を外側方向に押圧する前記弾性部材28を配置する。第3に、折り返された前記外部編組402上に前記外部編組402と接するとともに前記バックシェル20の表面処理を削る少なくとも1個の削除・接触手段を有する前記グランド部材30を配置する。最後に、第3状態のままの前記グランド部材30を前記バックシェル20の貫通孔201に挿入する。このようにすることで、前記外部編組402と前記グランド部材30とが導通し、前記グランド部材30と前記バックシェル20とが導通し、ひいては前記ケーブル40と前記バックシェル20が導通し、前記ケーブル40と前記バックシェル20のアースを取ることができる。」

(2)「【0014】
前記弾性部材28について説明する。この弾性部材28は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記弾性部材28の材質としては、弾性や寸法安定性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記弾性部材28は、折り返した前記外部編組402と前記外被403との間に入れ、前記外部編組402を外側方向(前記グランド部材30側)に押圧するためのものである。前記弾性部材28には前記ケーブル40が入る挿入孔282が設けられ、略円筒形をしており、一部に略『く』の字形状のスリット281が設けられている。前記スリット281を設けることで弾性を持たせ、前記外部編組402を外側方向(前記グランド部材30側)に押圧できるようになっている。前記スリット281の形状・大きさは上記の役割が満足できれば如何なるものでもよく、弾性や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。前記スリット281の形状を、本実施例では略『く』の字形状にしたが、I字でもS字でもM字でもよい。」

(3)【図2】、並びに【図3】(A)及び(B)を参照すると、弾性部材28は、軸方向に延びる略「く」の字形状のスリット281を備え、外径が一定の筒状であることが看取される。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、「高周波同軸ケーブル用コネクター」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「図面について説明すれば、1は傾斜をつけた後端部2および凹陥部3ならびに螺子4を形成すると共に、長手方向に切欠溝1’を設けたコネクター金属部。5はコネクター金属部1の後端部2より同軸ケーブルの外周縁11をはさんで装着する締付螺管で内面に金属部1の後端部2の傾斜に合致する傾斜面6と、金属部1の螺子4に螺合する螺条7が形成されている。」(1ページ左欄下から2行?右欄6行)

(2)「本考案は上記のように構成されているもので、
・・・(中略)・・・
また金属部1には、切欠溝1’が設けられているので、螺管5で締付けると内部の絶縁体19を締付けることになり、外周線11を固着するだけでなく、ケーブル自体をも固着するのである。」(1ページ右欄14行?29行)

(3)第2図を参照すると、コネクター金属部1に直線状の切欠溝1’が設けられていることが看取される。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、「同軸ケーブル用コネクタに於ける外部導体クランプ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「本考案は,同軸ケーブル用コネクタにおいて,被接続同軸ケーブルの特に外部導体を接続するときに使用されるクランプの改良に関するものである。
同軸ケーブルの外部導体を接続する場合には,第1図に示すように中心導体4上の絶縁体5と外部導体6との間にクランプ1を挿着して外部導体6とそのケーブル外被7の端面部をクランプ1のフランジ部2に当接し,次いでケーブル外被7上にリング8を嵌着し,このリング8をコネクタ本体9にネジ込んだ締めつけクランプ10により締めつける方法が従来知られている。ところが,この接続に使用されているクランプ1は,第2図に示すように一端側にフランジ部2が形成された単なる短筒状のものであって,それ自体には何等の弾性的圧接機能を有してない。」(明細書1ページ13行?2ページ8行)

(2)「まず,第3図に示す第1実施例について説明すると,
・・・(中略)・・・
このスプリングアクション部3はクランプ主体1の周面部上に適宜間隔を置き軸方向に沿って切り起こされた切り起し片により構成され,これによってクランプ主体7は,これを前述したように外部導体クランプとして使用した場合に所望の弾発機能を発揮できるようになる。
次に,第4図に示す第2実施例について説明すると,この実施例によるクランプは,周面部に形成されるスプリングアクション部の形態が上記第1実施例のそれと異なるだけで,他の構成は同様である。
すなわち,クランプ主体7の周面部はフランジ部2側寄りを若千残してほぼ太鼓状に膨出し,その膨出部上には間隔を置きほぼ軸方向に延びる切込み3aが設けられているもので,この膨出部分がスプリングアクション部3として機能づけられている。」(明細書3ページ1行?4ページ3行)

(3)第3図を参照すると、クランプ1は、切り起し片による直線状の切込みを備えていることが、また、第4図を参照すると、クランプ1は、直線状の切込み3aを備えていることが看取される。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「同軸コネクタ」は、本願発明1の「コネクタ」に相当する。
以下同様に、「内部テーパースリーブ20」は、「ブッシュ」に、
「外周面は先細りテーパー面20aに形成されて」いることは、「挿入方向に実質的に傾斜して」いることに、
「スリット20_(2)」は、「少なくとも1個のスリット」に、それぞれ相当する。

引用発明の「アルミ等の薄肉パイプにより構成される外部導体3」と、本願発明1の「線の編組」とは、「外部の導体」という限りで共通する。

引用発明の「内部テーパースリーブ20は、バネ材あるいはバネ鋼との複合材等により構成され、スリット20_(2)により外部導体3の内表面に対し押し圧力を発生させ」ることは、本願発明1の「ブッシュは、該ブッシュのばね付勢による拡張や収縮を可能にする放射方向の弾性を有し」ていることに相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。
「コネクタ内で外部の導体に接触するためのブッシュであって、該ブッシュは、挿入方向に実質的に傾斜しており、前記外部の導体に囲まれるようにするために前記外部の導体に挿入されるよう構成されたブッシュにおいて、
前記ブッシュは、該ブッシュのばね付勢による拡張や収縮を可能にする放射方向の弾性を有し、
前記挿入方向に沿って延びる少なくとも1個のスリットを具備するブッシュ。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明1においては、外部の導体は「線の編組」であり、ブッシュのスリットは「少なくとも1個の突起及び該突起を収容する少なくとも1個の凹部が、前記少なくとも1個のスリットに形成されると共に、前記ブッシュの周方向に沿って延び、前記スリットは、前記突起及び前記凹部により蛇行形状を有する」のに対して、
引用発明においては、外部の導体は「アルミ等の薄肉パイプにより構成される外部導体3」であり、スリットは「直線状」である点。

(2)相違点についての判断
引用文献2(前記「第4 2」を参照。)には、外部編組402(上記「外部の導体」、すなわち本願発明1の「線の編組」に相当。)を外被403上に折り返し、折り返した外部編組402と外被403との間に、軸方向に延びる略「く」の字形状のスリット281を備え外径が一定の筒状の弾性部材28(本願発明1の「ブッシュ」に相当。)を入れたこと、及びスリット281を設けることで弾性を持たせ、外部編組402を外側方向(グランド部材30側)に押圧できるようになっており、スリット281の形状・大きさは上記の役割が満足できれば如何なるものでもよく、弾性や加工性や強度等を考慮して適宜設計するもので、I字、S字、M字とすることもできることが記載されている(以下、「引用文献2記載事項」という。)。

しかし、引用発明と引用文献2記載事項とは、外部の導体、ブッシュに相当する部材の作用、入れる箇所及び形状、電流の流れ、並びにスリットの役割が異なるから、引用発明の内部テーパースリーブ20に、引用文献2記載事項の弾性部材28の技術を適用する動機付けがあるとはいえない。
具体的に説明すると、外部の導体に関して、引用発明においては、「アルミ等の薄肉パイプにより構成される外部導体3」であるのに対して、引用文献2記載事項においては、外部編組402である点で相違している。
そして、ブッシュに相当する部材の作用、入れる箇所及び形状に関して、引用発明においては、内部テーパースリーブ20の作用は、外部導体3を先開き状態に形成し、テーパー面20aの外周面の突起20_(1)、20_(1)を外部導体3の内表面にくい込み得るようにするものであり、そのために入れる箇所は外部導体3の端部で、その形状は先細りテーパー面20aを有しているのに対して、引用文献2記載事項においては、弾性部材28の作用は、外部編組402を外側方向に押圧するものであり、そのために入れる箇所は折り返した外部編組402と外皮403との間で、その形状は外径が一定の筒状である点で、それぞれ相違している。
また、電流の流れに関して、引用発明においては、電流は内部テーパースリーブ20(ブッシュ)を介して流れるものであるのに対して、引用文献2記載事項においては、電流は弾性部材28(ブッシュ)を介して流れるものではない点で相違している。
更に、スリットの役割に関して、引用発明においては、内部テーパースリーブ20(ブッシュ)と外部導体3(線の編組)の内面との当接圧力を高めることにより、内部テーパースリーブ20(ブッシュ)と外部導体3(線の編組)との間の電気的接触及び機械的接触を強大とする役割であるのに対して、引用文献2記載事項においては、外部編組402(線の編組)を外側方向のグランド部材30(引用文献1の第1図における「外部テーパースリーブ21」に相当する部材。)側に押圧し、外部編組402とグランド部材30とを導通させる役割である点で相違している。

引用文献3(前記「第4 3」を参照。)には、同軸ケーブルの外周縁11と絶縁体9との間に挿入されるコネクター金属部1の先端に直線状の切欠溝1’を設けることが記載されている(以下、「引用文献3記載事項」という。)。
しかし、引用文献3記載事項のコネクター金属部1(本願発明1の「ブッシュ」に相当。)の切欠溝1’は直線状であるから、たとえ引用発明に引用文献3記載事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではない。

引用文献4(前記「第4 4」を参照。)には、同軸ケーブルの絶縁体5と外部導体6との間に、直線状の切込みを備えたクランプ1を設けることが記載されている(以下、「引用文献4記載事項」という。)。
しかし、引用文献4記載事項のクランプ1(本願発明1の「ブッシュ」に相当。)の切込みは直線状であるから、たとえ引用発明に引用文献4記載事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではない。

一方、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の構成を備えることにより、「スリットにおけるブッシュの縁は、その長さに沿って噛み合う、すなわち交互配置される。このため、ブッシュの全長や周囲に沿って、ばね力は、編組に均等に作用する。換言すると、挿入方向に沿った特に突起内で、間隙が編組の壁内に形成されることを防止する。これは、編組内へのブッシュの穏やかな挿入を改善する」(本願明細書段落【0014】)との効果を奏するものである。

以上のことから、上記相違点に係る本願発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、本願発明1は、引用発明、及び引用文献2?4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2?13について
本願発明2?13は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、引用発明、及び引用文献2?4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?13は、引用発明、及び引用文献2?4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-27 
出願番号 特願2012-275290(P2012-275290)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 小関 峰夫
内田 博之
発明の名称 弾性ブッシュ及びそれを有するコネクタ  
代理人 タイコエレクトロニクスジャパン合同会社  
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