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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1339604
審判番号 不服2017-4485  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-30 
確定日 2018-04-16 
事件の表示 特願2013- 92032「動画視聴システム、同システムの動作方法、動画再生端末装置、同装置の動作プログラム及び動作プログラム配信サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-216808〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成25年4月25日の出願であって、平成28年10月7日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成28年11月29日付けで手続補正がなされたが、平成28年12月28日付け(発送日平成29年1月5日)で拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成29年3月30日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされた。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

(理由1)この出願の請求項1?8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(理由2)この出願の請求項1?8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開2008-148071号公報

(理由3:明確性、理由4:実施可能要件については省略)

第2 補正却下の決定
平成29年3月30日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成29年3月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年3月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成28年11月9日付けの手続補正の特許請求の範囲を以下のとおり補正するものである(下線は補正箇所である。)。

「 【請求項1】
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信し、これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムであって、
前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報と、を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する動画視聴システム。
【請求項2】
コメント配置情報送信部は、各コメントの文字数に応じてコメントのフォントサイズ又は/及びコメントの画面占有量を演算させるための第二画面占有量情報を送信する第二画面占有量情報送信手段をさらに有する請求項1に記載の動画視聴システム。
【請求項3】
コメント配置情報送信部は、コメントに付された属性に応じてコメントを配置するコメント属性依存配置計画を演算させるためのコメント属性依存配置情報を送信するコメント属性依存配置情報送信手段をさらに有する請求項1又は2に記載の動画視聴システム。
【請求項4】
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信し、これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムの動作方法であって、
前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報取得ステップと、
各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報を取得する画面占有量情報取得ステップと、
前記画面占有量情報取得ステップにて取得された画面占有量情報と前記継続表示時間情報取得ステップにて取得された継続表示時間情報と、を含むコメント配置情報を動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信ステップと、
を有する動画視聴システムの動作方法。
【請求項5】
動画配信サーバから動画を受信する動画受信部と、
請求項1から3のいずれか一に記載の静止コメント配信サーバから静止コメントのコメント文字情報を受信する文字情報受信部と、
そのコメント文字情報で構成されるコメントのコメント配置情報を受信するコメント配置情報受信部と、
受信したコメント文字情報と、受信したコメント配置情報とからコメントの配置計画を演算するコメント配置計画演算部と、
演算されたコメント配置計画に基づいて動画と同時にコメントを再生する再生部と、
を有する動画再生端末装置。
【請求項6】
コメント配置計画演算部は、
各コメントを動画再生画面中にランダムに配置するための不規則性コメント配置演算手段と、
同時に表示すべきコメント数に応じて不規則性コメント配置演算手段を利用するか決定する配置演算決定手段と、
を有する請求項5記載の動画再生端末装置。
【請求項7】
動画配信サーバから動画を受信する動画受信ステップと、
請求項1から3のいずれか一に記載の静止コメント配信サーバから静止コメントのコメント文字情報を受信する文字情報受信ステップと、
受信したコメント文字情報で構成されるコメントのコメント配置情報を受信するコメント配置情報受信ステップと、
受信したコメント文字情報と受信したコメント配置情報とによってコメントの配置計画であるコメント配置計画を演算するコメント配置計画演算ステップと、
演算されたコメント配置計画に基づいて動画と同時にコメントを再生する再生ステップと、
を有する動画再生端末装置の動作プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の動作プログラムを配信する動作プログラム配信サーバ。」

を、

「 【請求項1】
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩を定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信し、これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムであって、
前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントの文字数を示す画面占有量情報と、一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する動画視聴システム。
【請求項2】
コメント配置情報送信部は、コメントに付された属性に応じてコメントを配置するコメント属性依存配置計画を演算させるためのコメント属性を送信するコメント属性依存配置情報送信手段をさらに有する請求項1又は2に記載の動画視聴システム。
【請求項3】
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩を定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信し、これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムの動作方法であって、
前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報取得ステップと、
各コメントの文字数を示す画面占有量情報を取得する画面占有量情報取得ステップと、
前記画面占有量情報取得ステップにて取得された画面占有量情報と前記継続表示時間情報取得ステップにて取得された継続表示時間情報と、一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報を含むコメント配置情報を動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信ステップと、
を有する動画視聴システムの動作方法。」
に補正するものである。

2 補正の適合性
本件補正の目的について検討する。
本件補正のうち請求項1は、以下のとおりにする補正である。

(a)「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信し」を
「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩を定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信し」
とする。
(b)「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報」を「各コメントの文字数を示す画面占有量情報」とする。
(c)「コメント配置情報」に、さらに、「一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報」を含むとする。

上記(a)をみると、補正後の「動画再生端末装置」は、「その表示または相互表示に関する情報」を作成する事項が削除されており、このような請求項1を含む補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。
また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとも認められない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

仮に、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、以下のとおり、特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 独立特許要件
(1)補正発明
補正後の請求項1?3に係る発明のうち請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、次のとおりのものである。

(補正発明)
「(A)動画を配信する動画配信サーバと、
(B)前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩を定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信し、
(C)これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
(D)からなる動画視聴システムであって、
(E)前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントの文字数を示す画面占有量情報と、一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する
(F)動画視聴システム。」

((A)?(F)は、当審で付与した。以下各構成を「構成A」?「構成F」という。)

(2)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-148071号公報(上記引用文献1)には、「表示装置、コメント表示装置、及びプログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0018】
以下、本発明の一実施形態によるコメント配信システムの第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるコメント配信システムの構成を示す概念図である。この図において、動画配信サーバ1は、端末装置3からの配信要求に応じて、動画データを配信する。この配信は、例えば、ストリーミング配信によって行われる。コメント配信サーバ2は、動画配信サーバ1が配信する動画に対するコメントを端末装置3から受信し、その動画を閲覧する各端末装置3に配信する。端末装置3は、ネットワーク4を介して動画配信サーバ1とコメント配信サーバ3に接続し、動画配信サーバ1から配信される動画を受信して表示するとともに、コメント配信サーバ3から配信されるコメントを受信して動画上に表示する。
【0019】
次に、図1におけるコメント配信サーバ2、端末装置3について、図面を用いて更に説明する。図2は、コメント配信サーバ2の構成を示す概略ブロック図である。この図において、コメント情報記憶部21は、コメントの内容と、このコメント内容が付与された時点における、動画の再生開始時点を基準とした動画再生時間をコメント付与時間としてコメント内容とを対応づけてコメント情報として記憶する。
このコメント情報記憶部21に記憶されるデータの一例を図3に示す。コメント情報記憶部21には、動画配信サーバ1により配信される動画に対するコメントをスレッド毎にまとめたコメント情報が複数記憶されている。各コメント情報は、動画を識別する動画IDとスレッドを識別するスレッドIDの情報を含み、どの動画に対するどのスレッドであるのかを識別できるようになっている。そして、コメント情報には、コメント付与時間とコメント内容の他に、そのコメントを付与(発言)した実際の時刻を示すコメント情報投稿実時間(上述の実時間情報に相当)と、コメントを付与したユーザを識別する情報であるユーザ名、コメントを動画上にどのように表示させるのかを指定する情報であるコメント表示方法を対応付けたコメントデータが複数含まれ、当該動画IDの動画を再生しており、且つ当該スレッドIDのスレッドのコメントを閲覧している端末装置3からコメントデータを受信した場合には、当該受信したコメントデータが追加保存されるようになっている。ここでは、スレッドIDが動画IDに対応づけて記憶されていることによって、同じ動画であっても、異なるスレッドを複数設けても、それらを識別することができる。このコメント情報記憶部21が上述の第1のコメント情報記憶部に相当する。
【0020】
次に、コメント情報配信部22は、コメント情報記憶部21に記憶されたコメント情報を読み出して、端末装置3に配信する。コメント情報更新管理部23は、通信部24を介して端末装置3から受信した、追加となるコメント情報を動画ID、スレッドIDに従って、コメント情報記憶部21に追加して記憶する。
通信部24は、端末装置3と各種通信を行い、端末装置3から送信される情報をコメント情報更新管理部23に出力してコメント情報を追加して記憶させるための指示を出力をしたり、コメント情報配信部22にコメント情報の配信指示を出力する。」

「【0021】
次に、端末装置3について、図面を用いて説明する。図4は、端末装置3の構成を説明する概略ブロック図である。
この図において、動画再生部31は、端末装置3のユーザによって指定された動画の配信要求を動画配信サーバ1に送信し、動画配信サーバ1から配信される動画を受信して再生する。コメント情報受信部32は、再生する動画に対して入力されたコメント情報をコメント配信サーバ2から受信する。コメント情報記憶部33は、コメント情報受信部32が受信したコメント情報を記憶する。このコメント情報記憶部33は、上述の第2のコメント情報記憶部に相当する。
【0022】
表示装置34は、液晶表示装置やCRT(Cathode Ray Tube)等であり、各種情報を表示する。第1の表示部35は、動画再生部31によって再生される動画を表示するとともに、コメント情報記憶部33に記憶されたコメント情報のうち、再生する動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間が対応づけられたコメントをコメント情報から読み出し、読み出したコメントを動画とともに表示装置34によって表示する。また、第1の表示部35は、コメント内容を動画上にオーバーレイ表示させる機能を有する。第2の表示部36は、コメント情報記憶部33に記憶されるコメントデータに基づいて、コメントのリストをコメント一覧として表示装置34に表示する。ここでは、コメントデータに含まれたコメント投稿実時間の情報の順に従って表示する。」

「【0024】
操作パネル106は、再生ボタン、停止ボタン、巻き戻しボタン、早送りボタン、音量調整ボタン、動画全体のどのあたりを再生しているのかを示す再生状態表示欄、などが表示されており、マウスによっていずれかのボタンにカーソルを合わせてクリックされることによって、そのボタンに応じた操作の入力を受け付けする。表示欄107には、動画全体の再生時間長と、現在表示欄105に表示されている動画の動画再生時間とが表示される。入力欄108には、動画に対して発言するユーザの名前がキーボード等の入力装置を介して入力される。入力欄109には、コメントを書き込むユーザのメールアドレスが入力される。なお、入力欄109は、メールアドレスの入力を行う他に、コメントの表示のさせ方を指定する情報を入力することも可能である。コメントの表示のさせ方としては、例えば、コメントの動画上に表示させる位置、フォント、文字のサイズ、移動表示させる開始位置と終了位置と移動表示させる方向等を、オーバーレイ表示をさせるための指定をする情報として設定可能である。」

「【0035】
一方、ステップS205において、表示させるコメントがなければ、配信部40は、入力部37からコメントが入力されたか否かを検出する(ステップS209)。コメントの入力があった場合には、そのコメントが入力された時点(例えば、「書く」ボタン(符号111)がクリックされた時点)における、その動画を再生しているソフトウェアのプレイヤーが指す再生時間(動画再生時間)を読み出し、その動画再生時間をコメント付与時間とし、再生中の動画の動画IDと、閲覧中のコメントのスレッドIDと、現在の実時間情報(現在時刻の情報)と、端末装置3のユーザのユーザ名と、入力されたコメント内容と、コメント表示方法とを対応づけて、コメント情報としてコメント情報記憶部33のコメント一覧に追加保存する(ステップS210)。そして、送信部40は、追加保存したコメント情報をコメント配信サーバ2に送信し(ステップS211)、ステップS208に移行する。」

「【0045】
次に、第2の実施形態について説明する。ここでは、コメントが表示される位置が重複するか否かを検出し、重複すると判定された場合に、コメントの表示位置を変更する場合について説明する。
図11は、図4における第1の表示部35の構成を示すブロック図である。
変更部50は、文字列の文字サイズを変更して表示させるたり、文字のフォント、文字の装飾(斜体など)を変更する機能を有する。
判定部51は、表示されるコメントが他のコメントと重なるか否かを判定する。
この判定部51は、コメントのコメント表示時間と当該コメントの文字列長とに基づいて、コメント同士が重なるか否かを判定する。ここでは、コメントが同じ位置(固定位置)で表示されるコメント同士である場合には、その固定位置において同じ座標において重なるか否かを判定し、コメントが移動しながら表示される場合は、そのコメントが移動しながら表示される位置において重なるか否かを判定する。
判定部51は、移動して表示されるコメントについては、表示させておく時間であるコメント表示時間とコメントの文字列長とに基づいた移動速度でコメントが移動して画面上に表示されるので、コメントのコメント表示時間と当該コメントの文字列長とに基づいて、移動するコメントと他の移動するコメントとが重なるか否かを判定する。
また、判定部51は、移動して表示されるコメントと、固定位置で表示されるコメントとが重なるか否かを判定する機能も有しており、移動して表示されるコメントが、固定位置で表示されるコメントが固定表示をする間継続して重なる場合に、重なっていると判定し、一部の期間で重なっていても、重なっていない期間がある場合には、重ならないとして判定する。
また、判定部51は、変更部50によって変更された後の文字サイズに基づいて、文字列長を決定し、コメントが重なるか否かを判定したり、コメントが複数行で表示される場合、コメントの行数と各行の文字列長に基づいて、重なるか否かを判定したりする機能を有する。
表示位置制御部52は、判定部51がコメントが重なると判定した場合に、各コメントを判読可能に表示させる。ここでは、コメント同士が重ならない位置にコメントを表示させるように表示位置を変更する。」

「【0054】
上述した実施形態において、ユーザによって入力されたコメントは、画面上の上段、中段、下段など、表示させる位置や、コメントを移動表示させる表示時間を入力欄109に入力することによって設定することが可能である。また、表示時間を設定する場合は、例えば、画面の上段にコメントを一定時間(例えば、4秒)表示させて消すようにすることができる。また、画面の表示領域内に現れてから領域外に移動して消えるまでの時間を指定して(例えば、4秒)、移動スピードを調整することも可能である。また、ある動画再生時間に多数のコメントが集中して入力された場合等において、それらを表示させると同じ高さのラインで重なってしまう場合は、画面上の高さを変えて表示あるいは、移動表示させることが可能である。また、表示時間が設定されたことによって、コメントの文字列の長さに応じて移動スピードが異なる場合は、コメントが移動し終わる前に次のコメントが追いついてしまう場合もあるので、このような場合にも、次のコメントを違う高さのラインに表示または、移動表示させるようにしてもよい。
【0055】
また、コメントは、文章を入力するだけでなく、文字や記号等を並べ、アスキーアート(テキストアートともいう)をコメントとして入力することも可能である。この場合、チェックボックス114の「1行」のチェックを外し、数行に渡って文字や記号を記述することで、風景描写や写実画を描くことも可能である。ここでは、アスキーアートの全ての行が画面内に収まるように、必要に応じて、文字フォントを拡大あるいは縮小させるようにしてもよい。
【0056】
また、実時間に基づいて、コメントの新旧を判断し、実時間において古い時点で入力されたコメントを表示した一定時間後に半透明に表示させ、そののち、消すようにしてもよい。また、コメントに重要度を設定し、重要度に応じてコメントの文字サイズを変更するようにしてもよい。例えば、レスポンスコメント数が多いものについては、重要度が大きいものとして判断し、ルートのコメントの文字サイズを大きくするようにすることができる。また、コメントの縦方向(画面の鉛直方向)における表示位置を重要度に応じて変更するようにしてもよい。例えば、重要度が高いコメントは、画面上段のラインに表示させ、重要度が低いコメントは、画面下段のラインに表示させるようにしてもよい。」

「【図5】



イ 引用文献1に記載された発明
段落【0018】によると、引用文献1記載の「コメント配信システム」は、「動画配信サーバ1」、「端末装置3」、「コメント配信サーバ2」からなる。

段落【0018】によると、引用文献1記載の「動画配信サーバ1」は、「動画データを配信する」。

段落【0018】、【0024】、【0035】、【0045】、【0054】、【0055】によると、引用文献1記載の「端末装置3」は、前記動画配信サーバ1から配信される動画を受信し再生する端末装置3であって、前記端末装置3は、コメントの入力があった場合には、そのコメントが入力された時点における、その動画を再生している再生時間(動画再生時間)を読み出し、その動画再生時間をコメント付与時間とし、再生中の動画の動画IDと、コメント情報投稿実時間と、前記端末装置3のユーザのユーザ名と、入力されたコメント内容と、コメント表示方法とを対応づけて、コメント情報としてコメント情報記憶部33のコメント一覧に追加保存し、追加保存した前記コメント情報をコメント配信サーバ2に送信し、ここで、前記コメント内容は文字、記号を含むものであり、前記コメント表示方法は、前記コメントを表示させる位置、フォント、文字サイズ、表示時間を指定する情報を含むものである。

段落【0018】、【0019】によると、引用文献1記載の「コメント配信サーバ2」は、前記動画配信サーバ1が配信する動画に対する前記コメント情報を前記端末装置3から受信し、その動画を閲覧する各端末装置3に前記コメント情報を配信する前記コメント配信サーバ2であって、前記コメント配信サーバ2は、コメントの内容と、このコメント内容が付与された時点における、動画の再生開始時点を基準とした動画再生時間を前記コメント付与時間として前記コメント内容とを対応づけて前記コメント情報として記憶し、ここで、前記コメント情報は、前記コメント付与時間と前記コメント内容の他に、前記コメント情報投稿実時間と、前記ユーザ名と、コメントを動画上にどのように表示させるのかを指定する情報である前記コメント表示方法を対応付けたコメントデータが複数含まれている。

段落【0020】によると、引用文献1記載の「コメント配信サーバ2」は、前記コメント情報を前記端末装置3に配信するコメント情報配信部22を有している。

段落【0021】、【0022】によると、引用文献1記載の「端末装置3」は、再生する動画に対して入力された前記コメント情報を前記コメント配信サーバ2から受信し、再生される動画を表示するとともに、再生する動画の動画再生時間に対応する前記コメント付与時間が対応づけられたコメントを前記コメント情報から読み出し、読み出したコメントを前記コメント表示方法に従って動画とともに表示する。

段落【0045】によると、引用文献1記載の「端末装置3」は、コメントが同じ位置(固定位置)で表示されるコメントである場合には、その固定位置で表示されるコメントを固定表示する。

段落【0045】、【0056】によると、引用文献1記載の「端末装置3」は、コメントの前記表示時間と当該コメントの文字列長とに基づいて、コメント同士が重なるか否かを判定し、コメントが重なると判定した場合に、コメント同士が重ならない位置にコメントを表示させるように表示位置を変更するものであり、例えば、実時間に基づいて、コメントの新旧を判断し、実時間において古い時点で入力されたコメントを表示した一定時間後に半透明に表示させ、そののち、消すようにする。

以上によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「(a)動画データを配信する動画配信サーバ1と、
(b-1)前記動画配信サーバ1から配信される動画を受信し再生する端末装置3であって、
(b-2)前記端末装置3は、コメントの入力があった場合には、そのコメントが入力された時点における、その動画を再生している再生時間(動画再生時間)を読み出し、その動画再生時間をコメント付与時間とし、再生中の動画の動画IDと、コメント情報投稿実時間と、前記端末装置3のユーザのユーザ名と、入力されたコメント内容と、コメント表示方法とを対応づけて、コメント情報としてコメント情報記憶部33のコメント一覧に追加保存し、追加保存した前記コメント情報をコメント配信サーバ2に送信し、ここで、前記コメント内容は文字、記号を含むものであり、前記コメント表示方法は、前記コメントを表示させる位置、フォント、文字サイズ、表示時間を指定する情報を含むものであり、
(c-1)前記動画配信サーバ1が配信する動画に対する前記コメント情報を前記端末装置3から受信し、その動画を閲覧する各端末装置3に前記コメント情報を配信する前記コメント配信サーバ2であって、
(c-2)前記コメント配信サーバ2は、コメントの内容と、このコメント内容が付与された時点における、動画の再生開始時点を基準とした動画再生時間を前記コメント付与時間として前記コメント内容とを対応づけて前記コメント情報として記憶し、
(c-3)ここで、前記コメント情報は、前記コメント付与時間と前記コメント内容の他に、前記コメント情報投稿実時間と、前記ユーザ名と、コメントを動画上にどのように表示させるのかを指定する情報である前記コメント表示方法を対応付けたコメントデータが複数含まれており、
(d)前記動画配信サーバ1、前記端末装置3、前記コメント配信サーバ2からなるコメント配信システムであって、
(e-1)前記コメント配信サーバ2は、前記コメント情報を前記端末装置3に配信するコメント情報配信部22を有し、
(e-2)前記端末装置3は、再生する動画に対して入力された前記コメント情報を前記コメント配信サーバ2から受信し、再生される動画を表示するとともに、再生する動画の動画再生時間に対応する前記コメント付与時間が対応づけられたコメントを前記コメント情報から読み出し、読み出したコメントを前記コメント表示方法に従って動画とともに表示し、
(e-3)前記端末装置3は、コメントが同じ位置(固定位置)で表示されるコメントである場合には、その固定位置で表示されるコメントを固定表示し、
(e-4)前記端末装置3は、コメントの前記表示時間と当該コメントの文字列長とに基づいて、コメント同士が重なるか否かを判定し、コメントが重なると判定した場合に、コメント同士が重ならない位置にコメントを表示させるように表示位置を変更するものであり、例えば、実時間に基づいて、コメントの新旧を判断し、実時間において古い時点で入力されたコメントを表示した一定時間後に半透明に表示させ、そののち、消すようにする
(f)コメント配信システム。」

((a)?(f)は、引用発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成a」?「構成f」という。)

(3)対比
ア 補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)構成Aと構成aを対比する。
構成aの「動画データ」は、構成Aの「動画」に相当する。
したがって、構成Aと構成aとは、「動画を配信する動画配信サーバ」として一致する。

(イ)構成Bと構成b-1、b-2とを対比する。
構成b-1、b-2において、端末装置3は、「前記動画配信サーバ1から配信される動画を受信し再生する端末装置3であって、前記端末装置3は、コメントの入力があった場合には、そのコメントが入力された時点における、その動画を再生している再生時間(動画再生時間)を読み出し、その動画再生時間をコメント付与時間とし、再生中の動画の動画IDと、コメント情報投稿実時間と、前記端末装置3のユーザのユーザ名と、入力されたコメント内容と、コメント表示方法とを対応づけて、コメント情報としてコメント情報記憶部33のコメント一覧に追加保存し、追加保存した前記コメント情報をコメント配信サーバ2に送信」するものであり、「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメント」「を作成しコメント配信サーバに送信」するといえる。
また、構成b-2において、「前記コメント内容は文字、記号を含むものであり、前記コメント表示方法は、前記コメントを表示させる位置、フォント、文字サイズ、表示時間を指定する情報を含むものであ」るから、端末装置3は、「文字・記号・フォントを定義付ける」コメント文字情報を作成しているといえる。
しかしながら、「コメント文字情報」として、補正発明は「色彩」を含むのに対し、引用発明は「色彩」を含むものではない点で相違する。
したがって、構成要件Bと構成b-1、b-2とは、「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩を定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信」する点で共通する。
しかしながら、「コメント文字情報」として、補正発明は「色彩」を含むのに対し、引用発明は「色彩」を含むものではない点で相違する。

(ウ)構成Cと構成c-1、e-2?e-3とを対比する。
構成c-1は、「前記動画配信サーバ1が配信する動画に対する前記コメント情報を前記端末装置3から受信し、その動画を閲覧する各端末装置3に前記コメント情報を配信する前記コメント配信サーバ2」であるから、「これを受信したコメントであって、・・・再生すべきコメントを、・・・前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対して・・・配信するコメント配信サーバ」として構成要件Cと共通する。
構成e-3によると、固定位置で表示されるコメントがあり、このコメントは「静止コメント」といえ、当該静止コメントを配信するコメント配信サーバは「静止コメントサーバ」ともいえる。
そうすると、構成c-1、e-3は、「これを受信したコメントであって、・・・再生すべきコメントを、・・・前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対して・・・配信する静止コメント配信サーバ」として構成要件Cと共通する。
さらに、構成e-2によると、「前記端末装置3は、再生する動画に対して入力された前記コメント情報を前記コメント配信サーバ2から受信し、再生される動画を表示するとともに、再生する動画の動画再生時間に対応する前記コメント付与時間が対応づけられたコメントを前記コメント情報から読み出し、読み出したコメントを前記コメント表示方法に従って動画とともに表示」するから、上記の「静止コメントサーバ」が配信する「静止コメント」は、「前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する」といえ、また、「コメント」は、「動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメント」といえる。
以上まとめると、構成Cと構成c-1、e-2?e-3とは、「これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバ」として一致する。

(エ)構成D、Fと構成d、fとを対比する。
引用発明は、「前記動画配信サーバ1、前記端末装置3、前記コメント配信サーバ2からなるコメント配信システム」であるが、「端末装置3」において動画を視聴するものでもあるから、「動画視聴システム」といえ、「動画視聴システム」として、補正発明と一致する。

(オ)構成Eと構成c-1?c-3、b-2、e-1?e-4とを対比する。
構成c-3の「コメント付与時間」及び構成b-2の「コメント表示方法」の「表示時間」は、構成要件Eの「各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報」に相当する。
構成b-2の「コメント表示方法」の「文字サイズ」は、文字サイズによって、画面占有量が変わることは明らかであるから、「各コメントの画面占有量情報」として、構成要件Eと共通する。
しかしながら、「各コメントの画面占有量情報」が、補正発明においては「文字数を示す」のに対し、引用発明においては、「文字数を示す」ものでない点で相違する。
構成b-2の「コメント表示方法」の「表示させる位置」は、構成要件Eの「一のコメントの表示」「に関する情報」に相当する。構成b-2の「コメント表示方法」の「表示させる位置」及び構成c-3の「コメント情報投稿実時間」は、端末装置において、「コメントの表示される位置が重複する場合の表示として、実時間に基づいて、コメントの新旧を判断し、実時間において古い時点で入力されたコメントを表示した一定時間後に半透明に表示させ、そののち、消すように」(構成e-4)するために用いられるから、構成要件Eの「複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報」に相当する。
構成c-1?c-3の「コメント配信サーバ2」は、これらの情報を端末装置3に配信するものであって、端末装置3は、構成e-2?e-4のように、コメントを表示するものであるから、配信する情報は、「コメント配置情報」といえ、「動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信する」といえる。
構成e-1の「コメント情報配信部22」は、構成Eの「コメント配置情報送信部」に相当する。
さらに、「コメント配信サーバ」が「静止コメントサーバ」ともいえることは、上記(ウ)のとおりである。

以上まとめると、構成Eと構成c-1?c-3、b-2、e-1?e-4とは、
「前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントの画面占有量情報と、一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する」点で共通する。
しかしながら、「各コメントの画面占有量情報」が、補正発明においては「文字数を示す」のに対し、引用発明においては、「文字数を示す」ものでない点で相違する。

イ 一致点、相違点
以上によると、補正発明と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォントを定義づけるコメント文字情報を作成しコメント配信サーバに送信し、これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムであって、
前記静止コメント配信サーバは、各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントの画面占有量情報と、一のコメントの表示又は複数のユーザによって作成された表示を望むシーンのタイミングで再生すべき複数のコメントの文字情報の相互表示に関する情報を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する
動画視聴システム。

(相違点1)
「コメント文字情報」として、補正発明は「色彩」を含むのに対し、引用発明は「色彩」を含むものではない点。

(相違点2)
「各コメントの画面占有量情報」が、補正発明においては「文字数を示す」のに対し、引用発明においては、「文字数を示す」ものでない点。

(4)判断
ア 相違点1について
コメント文字を表示する際に、色を指定することは普通に想定できるから、引用発明において、コメント文字情報に色彩を定義づけるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について
引用発明の構成e-4は、コメントの文字列長を用いてコメントが重なるか否かを判定するものであって、コメントの文字列長として、コメントの文字数は普通に想定されるから、コメント文字列長(コメントの文字数)をコメントを作成した端末から送信することも想定される。
また、本願の図15をみると、「コメント文字数(画面占有量情報)」と記載されているから、コメント文字列長、すなわち、コメントの文字数は、コメントの文字数を示す画面占有量情報といえる。
したがって、引用発明において、「画面占有量情報」を「文字数を示す画面占有量情報」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ そして、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

エ したがって、補正発明は、引用文献1記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。

4 まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮に、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年3月30日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成28年11月29日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

(本願発明)
「(A)動画を配信する動画配信サーバと、
(B’)前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信し、
(C)これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
(D)からなる動画視聴システムであって、
(E’)前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報と、を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する
(F)動画視聴システム。」

((A)?(F)は、当審で付与した。補正発明と同じ構成には同じ記号を付与し、補正発明の構成に対応する構成には、記号に「’」を付与した。以下各構成を「構成A」?「構成F」という。)

2 引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、上記引用発明が記載されている(上記第2の3(2)イ)。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)構成Aと構成aを対比する。
構成aの「動画データ」は、構成Aの「動画」に相当する。
したがって、構成Aと構成aとは、「動画を配信する動画配信サーバ」として一致する。

(2)構成B’と構成b-2、c-3とを対比する。
構成b-2において、「端末装置は、コメントの入力があった場合には、そのコメントが入力された時点における、その動画の再生時間(動画再生時間)を読み出し、その動画再生時間をコメント付与時間とし、再生中の動画の動画IDと、現在の実時間情報(現在時刻の情報)と、端末装置のユーザのユーザ名と、入力されたコメント内容と、コメント表示方法とを対応づけて、コメント情報としてコメント情報記憶部のコメント一覧に追加保存し、追加保存したコメント情報を静止コメント配信サーバに送信」するものであり、「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメント」「を作成しコメント配信サーバに送信」するといえる。
また、構成b-2において、「コメントには文字、記号があり、コメント表示方法として、表示させる位置、フォント、文字サイズ、表示時間を指定する情報があ」るから、「文字・記号・フォント・色彩などを定義付ける」コメント文字情報を作成しているといえる。
さらに、構成b-2の「表示させる位置」は、「その表示」(コメント文字情報)「に関する情報」に相当する。構成b-2の「表示させる位置」及び構成c-3の「コメント情報投稿実時間」は、端末装置において、「コメントの表示される位置が重複する場合の表示として、実時間に基づいて、コメントの新旧を判断し、実時間において古い時点で入力されたコメントを表示した一定時間後に半透明に表示させ、そののち、消すように」(構成e-4)するために用いられるから、「相互表示に関する情報」に相当する。
したがって、構成B’と構成b-2と、c-3は、「前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信」する点で一致する。

(3)構成Cは、補正発明の構成Cと同じであるから、上記第2の3(3)ア(ウ)を援用する。
構成要件Cと構成c-1、e-2?e-3は、「これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバ」として一致する。

(4)構成D、Fは、補正発明の構成D、Fと同じであるから、上記第2の3(3)ア(エ)を援用する。
本願発明と引用発明とは、「動画視聴システム」として一致する。

(5)構成E’と構成c-1?c-3、b-2、e-1?e-4とを対比する。
構成c-3の「コメント付与時間」及び構成b-2の「コメント表示方法」の「表示時間」は、構成要件Eの「各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報」に相当する。
構成b-2の「コメント表示方法」の「文字サイズ」は、文字サイズによって、画面占有量が変わることは明らかであるから、「各コメントの画面占有量情報」として、構成要件Eと共通する。
しかしながら、「各コメントの画面占有量情報」が、本願発明においては「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」のに対し、引用発明においては、「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」と特定されていない点で相違する。
構成c-1?c-3の「コメント配信サーバ2」は、これらの情報を端末装置3に配信するものであって、端末装置3は、構成e-2?e-4のように、コメントを表示するものであるから、配信する情報は、「コメント配置情報」といえ、「動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信する」といえる。
構成e-1の「配信するコメント情報配信部22」は、構成Eの「コメント配置情報送信部」に相当する。
さらに、「コメント配信サーバ」が「静止コメントサーバ」ともいえることは、上記(3)で援用した上記第2の3(3)ア(ウ)のとおりである。

以上まとめると、構成E’と構成c-1?c-3、b-2、e-1?e-4とは、
「前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報と、を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する」点で共通する。
しかしながら、「各コメントの画面占有量情報」が、本願発明においては「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」のに対し、引用発明においては、「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」と特定されていない点で相違する。

4 一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
動画を配信する動画配信サーバと、
前記動画を視聴し、又は視聴した動画再生端末装置にて動画再生中のコメントの表示を望むシーンのタイミングで当該コメントの文字・記号・フォント・色彩などを定義づけるコメント文字情報とその表示または相互表示に関する情報を作成しコメント配信サーバ等に送信し、
これを受信したコメントであって、動画の再生に対して前記コメントの表示を望むシーンのタイミングで再生すべきコメントを、静止コメントとして前記動画配信サーバから動画を受信し再生している動画再生端末装置に対してコメントを表示すべき前記タイミングと略同じタイミングで表示するように配信する静止コメント配信サーバと、
からなる動画視聴システムであって、
前記静止コメント配信サーバは、
各コメントが動画再生画面中に再生開始されるタイミングである再生時間タイミング又は/及びその後消去されるタイミングである消去時間タイミングを示す情報である継続表示時間情報と、各コメントの画面占有量情報と、を含むコメント配置情報を、動画再生端末装置において動画再生画面上にて同時に表示されるコメントの配置計画を演算させるために送信するコメント配置情報送信部を有する
動画視聴システム。

(相違点)
「各コメントの画面占有量情報」が、本願発明においては「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」のに対し、引用発明においては、「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す」と特定されていない点。

5 判断
本願発明における「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報」は、コメントの文字数を示す画面占有量情報を含む概念と認められる。
そして、「コメントの文字数を示す画面占有量情報」については、上記第2の3(4)イにおいて判断したとおりであるから、「各コメントの画面占有量情報」を「各コメントに割り当てられている画面占有量を示す画面占有量情報」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-20 
結審通知日 2018-02-21 
審決日 2018-03-06 
出願番号 特願2013-92032(P2013-92032)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 57- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 鳥居 稔
小池 正彦
発明の名称 動画視聴システム、同システムの動作方法、動画再生端末装置、同装置の動作プログラム及び動作プログラム配信サーバ  
代理人 工藤 一郎  
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